(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定するステップが、前記エネルギー放電を印加するステップの後に前記熱反応性試薬の熱反応によって生成される反応生成物の量を測定するステップを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
前記測定するステップが、質量分析、ガスクロマトグラフィー、及びガスクロマトグラフィー質量分析からなる群から選択されるガス分析技術により測定するステップを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
前記測定するステップが、光学分光法、光学吸光度、光透過率、光学反射率、比濁法、発光、蛍光、リン光、レーザー誘起蛍光、平面レーザー誘起蛍光、レーザー励起原子蛍光、及びフーリエ変換赤外分光法からなる群から選択される光学技術により測定するステップを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
前記不燃性ガス混合物が、複数の熱反応性試薬を含み、前記熱反応性試薬の各々が、異なる発火源に応答して反応して、対応する反応生成物を生成するように構成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
前記接触させるステップが、前記不燃性ガス混合物の流れを前記試験品上に流すことによって、前記試験品を前記不燃性ガス混合物に曝すステップを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
前記熱反応性試薬を、酸化剤、希釈剤、及び別の熱反応性試薬のうちの1つ又は複数と混合することによって、前記不燃性ガス混合物を調製するステップをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
前記検出装置が、質量分析計、ガスクロマトグラフ、ガスクロマトグラフィー質量分析計、光学分光計、蛍光分光計、レーザー誘起蛍光装置、平面レーザー誘起蛍光装置、レーザー励起原子蛍光装置、及びフーリエ変換赤外分光計からなる群から選択される、請求項12に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載のシステム及び方法を、従来の発火ハザード試験技術の制限なしに発火ハザードを試験するために使用することができる。例えば、本明細書に記載のシステム及び方法は、可燃性雰囲気を必要とせずに、さまざまなタイプの発火ハザードを感知できる。より具体的には、本開示の燃焼性試験システム及び方法は、着火性混合物(可燃性ガス)試験システム及び方法と類似しているが、不燃性ガス混合物を利用することによって根本的に異なる。着火性混合物(可燃性ガス)試験システム及び方法は、可燃性ガスなしで結果(爆発性燃焼)を生じさせない。
【0010】
本開示の燃焼性試験システム及び方法では、試験品は、模擬発火リスク事象(例えば、模擬落雷)を受けてもよく、発火リスク事象が発火源を試験品に発生させる場合、何らかの不燃性ガス混合物が反応することになる。不燃性ガス混合物は、発火源が自己伝播燃焼面を発生させないように(すなわち、発火源に起因してガスが爆発しないように)選択され、構成され、及び/又は配合される。不燃性ガス混合物の一部、すなわち発火源に近い部分のみが発火源に反応することになる。発火源に起因する反応は、発火リスク事象の後のガス含有量を分析することによって検出され得る。不燃性ガス混合物に対する化学変化の程度又は量を調べることにより、エネルギー放出(発火リスク事象)に起因する発火のリスクを定量化することができる。発火のリスクは、バイナリ値(イエス/ノー、合格/不合格など)又は不燃性ガス混合物への化学変化の程度又は量に関連する値であってもよい。したがって、本開示の燃焼性試験システム及び方法は、写真法又は着火性混合物(可燃性ガス)試験法などの従来の発火ハザード試験技術よりも発火源に関するより多くの情報(放出されるエネルギー量など)を提供することができる。
【0011】
図1〜
図4は、燃焼性試験システム及び方法を示している。概して、図面において、所与の実施形態に含まれる可能性のある要素が実線で示され、任意の又は代替の要素は破線で示されている。ただし、実線で示されている要素は、本開示のすべての実施形態に必須ではなく、実線で示した要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の実施形態から省略されてもよい。同様の、又は少なくとも実質的に同様の目的を果たす要素には、図面の間で一貫した符号が付されている。図面の各々における同様の符号及び対応する要素は、各図を参照して本明細書で詳細に論議されないことがある。同様に、各図にはすべての要素が付され又は示されていなくてもよいが、それに付随する参照符号は一貫性のために使用されてもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、1つ又は複数の図面を参照して論じられた要素、構成要素、及び/又は特徴は、図面のいずれかに含まれ得、及び/又は使用され得る。
【0012】
図1は、発火リスク事象(エネルギー放電)を受ける試験品20の燃焼性を試験するために利用され得る燃焼性試験システム10を示している。試験システム10は、試験品20に発生した発火源24を感知するための不燃性ガス混合物30と、発火源24を潜在的に発生させるために試験品20にエネルギー放電を印加するように構成されたエネルギー供給源26と、エネルギー放電後の不燃性ガス混合物中の1又は複数の指標種の量を測定するように構成された検出装置50とを含む。燃焼性は、可燃性環境のような可燃性物質の発火を引き起こす能力である。したがって、燃焼性試験システム10を、可燃性試験システム、発火リスク試験システム、及び/又は発火ハザード試験システムと呼ぶことがある。
【0013】
一般に、試験システム10は、易燃性環境及び/又は易燃性材料に近いところで動作する機器、デバイス、及び/又は装置に関連する発火源24の存在を確認するように、及び/又は存在しないことを検証するように構成される。より具体的には、試験システム10は、実際の及び/又は潜在的な動作条件及び/又は制御されない事象をシミュレートする発火リスク事象(エネルギー供給源26が発生させたエネルギー放電)によって試験品20に発生した発火源24を検出するように構成され得る。例えば、エネルギー放電は、模擬落雷、熱、放電、電圧、電流、電気アーク、及び/又は燃焼事象(例えば、熱、炎、火)であってもよい。発生し得る発火源24の例は、電気アーク、スパーク、高温表面、高温粒子放出、静電気放電、及び火炎を含む。
【0014】
試験品20は、易燃性材料の近くで、及び/又は制御不能な発火源が危険であり得る易燃性環境で動作し得る機器、デバイス、及び/又は装置であってもよい。試験品20はまた、そのような機器、デバイス、及び/又は装置の一部、構成要素、及び/又はモデルであってもよい。機器、デバイス、及び/又は装置は、輸送、航空宇宙、化学処理、石油生産、鉱業、電力生産、林業、及び/又は農業のような1つ又は複数の産業に関連していてもよい。例えば、試験品20は、輸送ビークル(例えば、トラック、航空機、ロケット)、航空宇宙部材、航空機外板、航空機フレーム、翼、燃料取扱い部品、燃料システム、燃料タンク、燃料ポンプ、換気部品、換気システム、採掘機器、粉塵処理機器、及び/又は電気エンクロージャであってもよく、これらを表してもよく、及び/又はこれらの1つの構成要素であってもよい。一般に、試験品20は固体形態を有するが、試験品20は液体及び/又は気体要素を含んでもよい。試験品20は、金属、アルミニウム、プラスチック、及び繊維強化複合材料のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0015】
エネルギー供給源26は、放電されたエネルギーが発火源24を試験品20に発生させるかどうかを試験するために、試験品20の中に、試験品20で、及び/又は試験品20にエネルギーを放電するように構成される。エネルギー供給源26は、落雷、電荷シミュレーションによる静電気蓄積、熱シミュレーションによる環境条件(例えば、周辺動作条件、直接の分解及び/又は燃焼、及び/又は隣接するエンジンの動作)、及び/又は電磁放射シミュレーションによる動作環境などのシミュレートされた又は実際の動作条件であってもよい。エネルギー供給源26は、落雷シミュレータ、ヒータ、熱源、火炎、電力源、電圧源、電流源、及び/又は電気アーク発生器を含んでもよく、及び/又はそれらであってもよい。
図1では、放電されたエネルギーは、エネルギー伝達部28によって示されている。エネルギー伝達部28は、導管、ケーブル、及び/又は導体を介してもよく、エネルギー供給源26と試験品20との間の隙間に広がってもよい。エネルギー供給源26は、(
図1の例に示すように)試験品20とは別に及び/又は外部にあってもよい。いくつかの実施形態では、試験品20はエネルギー供給源26を含んでもよく、及び/又は、試験品20はエネルギー供給源26であってもよい(例えば、試験品20はバッテリであってもよく、試験システム10は、通常の動作状態のもとでバッテリを試験するように構成されてもよい)。
【0016】
試験システム10及び/又はエネルギー供給源26は、不燃性ガス混合物30をエネルギー放電と直接反応させないように構成される。1つの構成では、試験システム10及び/又はエネルギー供給源26は、不燃性ガス混合物30から隔離された適用部位で試験品20にエネルギー放電を印加するように構成されてもよい。例えば、エネルギー伝達部28は、電圧を伝達し、及び/又は電流を運び、かつ不燃性ガス混合物30から電気的に絶縁された電気ケーブルを含むことができる。別の例として、試験品20は、(流体的に互いに隔離されていてもよい)外部及び/又は内部を含むことができる。不燃性ガス混合物30は、外部及び内部のうちの一方と接触してもよく、放電されたエネルギーの適用部位は、他方の側(外部又は内部)にあってもよい。より具体的には、試験品20は、外部(又はその一部)に接触する不燃性ガス混合物30を有する外部(例えば、タンク、チャンバ、キャニスタ、容器)から流体的に隔離された内部と、内部に可燃性物質(例えば、内部を充填する可燃性ガス又はエアロゾル、又は部分的に内部を充填する揮発性の可燃性液体)とを有することができる。可燃性物質を発火させると、物質が燃焼するにつれてエネルギーが放電される。このエネルギーを、試験品20の内部に放電することができ、一方、不燃性ガス混合物30は試験品20の外部にあり、エネルギー放電が試験品20の外部に何らかの発火源24を生成するか否かを示す。
【0017】
試験システム10は、試験品20を少なくとも部分的に囲むように構成された試験チャンバ12を含むことができる。試験チャンバ12は、不燃性ガス混合物30を保持するように、及び/又は周囲環境(例えば、空気)から試験品20及び/又は不燃性ガス混合物30を流体的に隔離するように構成され得る。試験チャンバ12は、密閉チャンバ、密閉空間、及び/又は区画空間であってもよい。
【0018】
図1では、試験品20は、不燃性ガス混合物30で試験チャンバ12内に封入されている。試験チャンバ12は、試験品20の全体又は一部を囲むことができる。不燃性ガス混合物30は、試験品20の全体又は一部に接触してもよい。試験品20は試験チャンバ12に挿入されてもよく、及び/又は試験チャンバ12は試験品20の周囲に組み立てられてもよい。試験チャンバ12は、試験システム10の1つ又は複数の他の構成要素を部分的に又は完全に取り囲むことができる。例えば、エネルギー供給源26、検出装置50、及び/又はコントローラー70(本明細書でさらに説明する)は、試験チャンバ12内にあってもよい。
【0019】
試験チャンバ12は、ガスが試験チャンバ12に出入りできるように構成されたガス入口ポート14及び/又はガス出口ポート16を含んでもよい。いくつかの実施形態では、試験チャンバ12は、ガス入口ポート14及びガス出口ポート16の両方として機能する単一のポートを含んでもよい。ガス入口ポート14及び/又はガス出口ポート16は、ガス入口ポート14及び/又はガス出口ポート16を開閉するように構成された1つ又は複数のバルブ18と関連していてもよい。
【0020】
試験チャンバ12は、いくつかの構成(例えば、ガス入口ポート14、ガス出口ポート16、及び任意のドア、窓、カバーなどが閉じられ、及び/又は密封される場合)では気密性であってもよい。試験チャンバ12は、試験品20、不燃性ガス混合物30、及び/又は試験チャンバ12内の他の構成要素を外部からの影響から隔離するように、及びその逆に構成されてもよい。例えば、試験チャンバ12は、気密チャンバ、電磁シールド、及び/又は安全シールドであってもよい。別の例として、試験チャンバ12は、不燃性ガス混合物30の周囲環境との混合を避けるように構成されてもよい。
【0021】
試験システム10は、不燃性ガス混合物30を試験品20及び/又は試験チャンバ12に供給するように構成されたガス供給源40を含むことができる。ガス供給源40を、ガス入口ポート14を介して試験チャンバ12に流体的に接続することができる。ガス供給源40から試験品20及び/又は試験チャンバ12への流路は、不燃性ガス混合物30の流れを制御するように構成されたバルブ18を含むことができる。
【0022】
試験チャンバ12は、試験チャンバ12に不燃性ガス混合物30を流すことによって(例えば、試験チャンバ12を最初に満たしている空気又は他のガスを流出させるような方法で、試験チャンバ12を通じてある程度の量の試験チャンバ12を流すことによって)充填されてもよい。さらに、又は代替的に、試験チャンバ12は、試験チャンバ12を最初に満たしている空気又は他のガスを排気し、不燃性ガス混合物30を試験チャンバ12に流すことによって充填されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、試験システム10は、試験品20を不燃性ガス混合物30の流れに接触させて配置するように構成されてもよい。このような実施形態は、試験品20に及び/又は試験品20の周りに流れを導くための試験チャンバ12を含んでもよいし、試験チャンバ12を含まなくてもよい。不燃性ガス混合物30の流れは、試験品20の一部又は全部に接触してもよい。不燃性ガス混合物30の流れは、再循環流又は非再循環流であってもよい。
【0024】
不燃性ガス混合物30は、熱反応性試薬32を含む。熱反応性試薬32は、熱反応性であり、すなわち、熱反応性試薬32は、十分な熱に応答して、燃焼反応(すなわち、酸化剤34による燃料と酸化剤の反応)及び/又は熱分解などの反応を経て、1又は複数種の反応生成物38を生成する。
【0025】
熱反応性試薬32の存在により、不燃性ガス混合物30は、熱反応性であり、発火リスク事象(エネルギー供給源26のエネルギー放電)によって生成され得る発火源24に対して敏感である。ただし、不燃性ガス混合物30は、可燃性又は爆発性ではないように選択され、構成され、及び/又は配合される。不燃性ガス混合物30は、持続する火炎、自己伝播燃焼、又は爆発を生じるほど反応しないで、発火源24の存在下でガス含有量に測定可能な変化を生じさせるのに十分に反応性である。例えば、不燃性ガス混合物30は、連続燃焼をサポートするにはリーンになり過ぎの(すなわち、可燃限界の下限より薄い)燃料空気混合物であってもよい。不燃性ガス混合物30は、爆発しないか、持続する火炎を生成しないか、又は自己伝播燃焼を生じないので、不燃性ガス混合物30は、重要な爆発リスクすなわち着火性混合物(可燃性ガス)試験システムに利用される従来の可燃性ガス混合物ほどの重要な爆発リスクを示さない。
【0026】
不燃性ガス混合物30が試験品20と接触していると、試験品20は、発火リスク事象後の不燃性ガス混合物30のガス含有量の変化を測定することにより、発火リスク事象に応答して発火源24を生成する能力について試験され(すなわち、試験品20の燃焼性を試験され)得る。発火源24による熱反応性試薬32の熱反応は、使用中の試験品20に存在し得る燃料蒸気又は他の易燃性環境と同じ物理的機構(熱による化学反応)を介して生じる。したがって、熱反応性試薬32が発火源24に応答して十分に反応する場合には、実際の易燃性環境も同様に反応すると予想され得る。
【0027】
熱反応性試薬32は、燃焼燃料、すなわち、酸化剤34の存在下で燃焼する試薬であってもよい。熱反応性試薬32は、発火源24の存在下で熱分解する化合物であってもよい。そのような反応システムでは、酸化剤34は必要でないかもしれない。燃焼燃料の例として、炭化水素燃料、可燃性ガス、分子状水素、メタン、プロパン、ガソリン、ケロシン、及びエチレンが挙げられる。熱反応性試薬32の他の例としては、ハロゲン化アルキル、クロロカーボン、フルオロカーボン、ブロモカーボン、クロロフルオロカーボン、クロロエタン、及び臭化メチルなどのハロカーボン(ハロゲン−炭素結合を有する化合物)が挙げられる。
【0028】
不燃性ガス混合物30は、一般にガス状であり、気体及び/又は、液体及び/又は固体のエアロゾルを含んでもよい(例えば、不燃性ガス混合物30は熱反応性試薬32のエアロゾルを含んでもよい)。熱反応性試薬32は、気体、蒸気、及び/又はエアロゾルの形態であってもよい。
【0029】
不燃性ガス混合物30は、特に熱反応性試薬32が燃焼燃料である場合、酸化剤34を含んでもよく、さもなければ酸化剤34と反応するように選択され、構成され、及び/又は配合される。合わせて、熱反応性試薬32及び酸化剤34を、反応システムと呼ぶことができる。酸化剤34は、気体、蒸気、及び/又はエアロゾルの形態であってもよい。例えば、不燃性ガス混合物30は、酸化剤34のエアロゾルを含むことができる。酸化剤34の例として、分子状酸素、亜酸化窒素、過酸化水素が挙げられる。反応システムの例として、燃焼燃料及び分子状酸素、並びにハロカーボン及び分子状酸素が挙げられる。
【0030】
不燃性ガス混合物30は、希釈剤36を含んでもよい。希釈剤36は一般に気体であり、反応生成物38を生成するために熱反応性試薬32との反応に著しく関与しない。一般に、希釈剤36は、不活性及び/又は非反応性である。希釈剤36は、不燃性ガス混合物30の他の成分との反応性の欠如及び/又は反応生成物38を生成するための反応妨害の欠如のために、選択され、構成され、及び/又は配合され得る。希釈剤36は、不燃性ガス混合物30内の燃焼及び/又は火炎前面を消火するように選択され、構成され、及び/又は配合され得る。例えば、希釈剤36は、不燃性ガス混合物30の可燃性を制限し得る高い熱容量及び/又は低い熱伝導率を有することができる。希釈剤36の例として、不活性ガス、窒素、アルゴン、ヘリウムが挙げられる。
【0031】
燃焼燃料と酸化剤34との混合物は、(所定の圧力及び温度で)混合物が発火され得る可燃範囲を有する。可燃範囲外では、温度及び/又は圧力の上昇などの条件を変えることなく、混合物を発火させることができない。可燃範囲を、燃焼燃料対酸化剤濃度の比、及び/又は酸化剤‐燃料混合物中の燃焼燃料の濃度範囲として表すことができる。酸化剤‐燃料混合物は、酸化剤及び燃焼燃料の完全燃焼のための化学量論比を有する。燃焼燃料の量が化学量論量よりも少ない場合、この混合物はリーンと呼ばれる。燃焼燃料の量が化学量論量よりも多い場合、混合物はリッチと呼ばれる。特に明記しない限り、本明細書で使用される可燃範囲は、燃焼燃料対酸化剤の質量濃度比として表される。
【0032】
可燃範囲は、可燃限界の下限(リーン側の着火限界とも呼ばれる)及び可燃限界の上限(リッチ側の着火限界とも呼ばれる)によって表される。可燃限界の下限より薄い場合、酸化剤‐燃料混合物は、自己伝播する燃焼波をサポートするのに十分な燃焼燃料を含まない。可燃限界の上限を超える場合、酸化剤‐燃料混合物は、自己伝播する燃焼波をサポートするのに十分な酸化剤を含まない。
【0033】
不燃性ガス混合物30の例には、可燃限界の下限より薄い混合物と、可燃限界の上限より濃い混合物が含まれる。可燃限界の上限より濃い混合物は、(可燃限界内で燃焼燃料の濃度がより低い)可燃性ガス混合物を形成するために、汚染ガス(例えば、空気)によって希釈されてもよい。可燃限界の下限より薄い混合物は、可燃性ガス混合物を形成するために一般的な汚染ガスによって変換されなくてもよい。可燃限界の下限より薄い不燃性ガス混合物30の一例は、空気中に2.7%(室温及び室内圧力での可燃限界の下限)未満、2.5%未満、約2%、及び/又は0.1%超のエチレンの体積分率を含む不燃性ガス混合物30である。別の例として、不燃性ガス混合物30は、空気中に3.8%(室温及び室内圧力での可燃限界の下限)未満、約1%、及び/又は0.1%超の体積分率のクロロエタンを含んでもよい。不燃性ガス混合物30のさらに別の例として、臭化メチルは、強力な酸化剤又は強力な発火源の存在がない限り、一般的に可燃性ではない。不燃性ガス混合物30は、少量の臭化メチル、例えば0.01%の体積分率を空気中に含んでもよい。
【0034】
反応生成物38は、熱反応性試薬32の完全燃焼の結果、熱反応性試薬32の部分燃焼の結果、熱反応性試薬32の熱分解の結果、及び/又は完全燃焼もしくは部分燃焼生成物及び/又は熱分解生成物から誘導される化学種であってもよい。完全燃焼生成物の例として、水及び二酸化炭素(例えば、炭化水素の燃焼の場合)が挙げられる。部分燃焼生成物の例として、ホルムアルデヒド及び一酸化炭素(例えば、炭化水素の燃焼の場合)が挙げられる。反応生成物38の他の例(例えば、ハロカーボンの場合)として、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、二フッ化カルボニル、二塩化カルボニル(ホスゲンやオキシ塩化カーボンとも呼ばれる)、二臭化カルボニル(オキシ臭化カーボンとも呼ばれる)、分子状フッ素、分子状塩素、及び分子状臭素が挙げられる。不燃性ガス混合物30は、不燃性ガス混合物30が発火源24に曝される前に、比較的少量の反応生成物38を含んでもよく、及び/又は反応生成物38を本質的に含まなくてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、不燃性ガス混合物30は、バックグラウンド及び/又は汚染源から識別し易い及び/又は区別し易い指標種(例えば、熱反応性試薬32及び/又は反応生成物38)を含む。例えば、熱反応性試薬32はハロカーボンであってもよい。ハロカーボン類は、化合物の存在が不燃性ガス混合物30の存在を示すような、典型的な環境において独特であるか稀であり得る。同様に、ハロカーボンの反応生成物は、典型的な環境において独特であるか稀であり得る。対象の分子がバックグラウンド環境において珍しい場合、バックグラウンドシグナルの欠如及び/又はバックグラウンドノイズの欠如のために、ガス成分の分析は、その成分に対してより敏感であり得る。
【0036】
不燃性ガス混合物30は、反応生成物38を生成する反応が適切な条件のもと閾値反応エネルギー以上で起こるように選択され、構成され、及び/又は配合され得る。閾値エネルギーは、1000μJ(マイクロジュール)未満、500μJ未満、200μJ未満、100μJ未満、10μJ超過、50μJ超過、100μJ超過、200μJ超過、及び/又は約200μJであってもよい。適切な条件は、標準圧力及び温度、標準圧力及び温度と比較して低減された圧力及び/又は温度、及び/又は試験品20(又は、試験品20によって表される機器、デバイス、及び/又は装置)の動作条件及び/又は保存条件に対応する標準圧力及び温度と比較して上昇した圧力及び/又は温度を含んでもよい。適切な条件は、地球の表面上(例えば、暑い気候の暑い条件、寒い気候の寒い条件)、空(例えば、高度の低温及び低圧条件)、及び/又は地下(例えば、トンネルの高温状態)での動作条件及び/又は保存条件などの環境をシミュレートすることができる。例えば、適切な条件は、200℃未満、150℃未満、100℃未満、80℃未満、50℃未満、30℃未満、−40℃超過、−20℃超過、0℃超過、10℃超過、約20℃、及び/又は約40℃の温度を含んでもよい。適切な条件は、50kPa(キロパスカル)超過、70kPa超過、90kPa超過、100kPa超過、200kPa未満、150kPa未満、120kPa未満、100kPa未満、約70kPa、及び/又は約100kPaの圧力を含んでもよい。不燃性ガス混合物30及びその成分の選択、配合、及び/又は組成は、閾値反応エネルギーに影響を及ぼす可能性がある。不燃性ガス混合物30の最小反応エネルギーを、不燃性ガス混合物30を制御されたエネルギー発火源、例えば既知の発火エネルギーの制御された電気アークに曝すことによって、較正及び/又は検証することができる。
【0037】
不燃性ガス混合物30は、1又は複数種の熱反応性試薬32、酸化剤34、及び/又は希釈剤36を含むことができる。複数種及び/又は複数の反応システムは、異なるタイプ及び/又は異なるエネルギーの発火源に敏感であることが有利であり得る。例えば、1つの反応システム(熱反応性試薬32の1種及び酸化剤34の任意の1種)は、高温粒子放出に対して最も敏感であり得、別の反応システムは、電気アークに対して最も敏感であり得る。複数の熱反応性試薬32を有する実施形態では、各熱反応性試薬32は、酸化剤34の少なくとも1つ及び/又は同じ酸化剤34と反応して対応する反応生成物38を生成するように選択され、構成され、及び/又は配合され得る。
【0038】
試験システム10は、不燃性ガス混合物30と接触している試験品20に発火リスク事象が適用された後に、不燃性ガス混合物30の1又は複数の指標種を検出するように構成された検出装置50を含む。検出装置50は、指標種を検出することによって、発火源24による反応(もしあれば)及び/又は反応の程度を検出するように構成されている。検出される指標種は、熱反応性試薬32、酸化剤34、及び/又は反応生成物38であってもよい。反応生成物38の存在及び/又は増加、及び/又は反応物(例えば、熱反応性試薬32及び/又は酸化剤34)の減少は、発火源24の存在に起因する熱反応性試薬32の反応及び/又は反応の程度を示す。
【0039】
検出装置50は、1又は複数の指標種の量及び/又は指標種の比を測定することができる。本明細書中で使用される場合、化学種の量の検出、測定、及び/又は決定は、存在、閾値レベルを超える存在、制御成分に対する量、及び/又は絶対量の検出、測定、及び/又は決定を含んでもよい。制御成分は、他の指標種、熱反応性試薬32、酸化剤34、希釈剤36、反応生成物38、及び/又は不燃性ガス混合物30中の他の化学種(反応前又は反応後)であってもよい。例えば、検出装置50は、反応生成物38と熱反応性試薬32との比を測定してもよく、及び/又は2つの反応生成物38の比を測定してもよい。指標種のみを検出するよりも、指標種と他のガス成分との比(例えば、生成物対反応物比又は生成物対生成物比)がより堅牢であり得る(例えば、ある比が試験チャンバ12内のガス漏れに対して強い場合がある)。化学種の量及び/又は数量は、質量、体積、圧力、及び/又はモル(分子又は原子の数)に関して測定及び/又は決定されてもよい。特に明記しない限り、量及び数量は質量単位(例えば、質量、質量濃度、質量比など)で表される。制御成分は、別の指標種であってもよい。
【0040】
不燃性ガス混合物30は不燃性であるので、不燃性ガス混合物30の一部のみが発火源24に応答して反応することになる。この部分は、発火源の物理的サイズ、発火源の持続時間、及び発火源のエネルギー容量に関係する。不燃性ガス混合物30中の熱反応性試薬32は、発火源のサイズ及びエネルギー容量並びに熱反応性試薬32の反応の性質(例えば、燃焼及び/又は熱分解)に関連する局所的で比較的小さな容積で反応することになる。反応容積を、反応カーネル及び/又は燃焼カーネルと呼ぶことができる。反応容積は、10mL(ミリリットル)未満、1mL未満、又は0.1mL未満であってもよく、典型的には0.000001mL(1ナノリットル)より大きい。試験品20と接触している不燃性ガス混合物30の総容積は、試験品20のサイズ(少なくとも不燃性ガス混合物30と接触する部分のサイズ)に関係する。試験品には、非常に大きいもの(例えば、航空機の翼)もあり得る。不燃性ガス混合物30の典型的な容積は、1L(リットル)超過、10L超過、100リットル超過、又は1000L超過、典型的には100000L(100立方メートル)未満である。したがって、不燃性ガス混合物30の反応容積は、不燃性ガス混合物30の総容積の1000分の1未満又は100万分の1未満であってもよい。
【0041】
不燃性ガス混合物30の反応容積が小さいため、及び熱反応性試薬32が10%未満(又は1%未満)の体積濃度で不燃性ガス混合物30に含まれることがあるため、指標種(例えば、熱反応性試薬32及び/又は反応生成物38)は、発火リスク事象前の不燃性ガス混合物30に比較して、100万分の1又は10億分の1の範囲であってもよい濃度の変化を有することがある。したがって、検出装置50は、100万分の1又は10億分の1のレベルで濃度及び/又は濃度の絶対的な変化を測定するように構成され得る。
【0042】
検出装置50は、(潜在的に反応した)不燃性ガス混合物30を測定するように適合された高感度ガス分析装置であってもよい。例えば、
図2により詳細に示すように、検出装置50は、質量分析計、ガスクロマトグラフ、又はガスクロマトグラフィー質量分析計などのガスサンプリング検出装置52であってもよい。別の例として、
図3により詳細に示すように、検出装置50は、光学分光計(吸光度、透過率、反射率、散乱、スペクトル、発光、蛍光、及び/又はリン光を測定することができる)、レーザー誘起蛍光(LIF)装置、平面レーザー誘起蛍光(PLIF)装置、レーザー励起原子蛍光(LEAF)装置、及びフーリエ変換赤外(FTIR)分光計などの光学検出装置58であってもよい。
【0043】
図2に示すように、ガスサンプリング検出装置52(例えば、質量分析計、ガスクロマトグラフ、又はガスクロマトグラフィー質量分析計)は、発火リスク事象が試験品20における発火源24とその結果の不燃性ガス混合物30の反応容積の反応を引き起こし得る後に、不燃性ガス混合物30の一部(又は全体)をサンプリングするように構成されてもよい。ガスサンプリング検出装置52は、発火リスク事象の前に、未反応の不燃性ガス混合物30及び/又は不燃性ガス混合物30をサンプリングするように構成されてもよい。ガスサンプリング検出装置52は、試験チャンバ12のガスサンプルポート54を介して試験チャンバ12に流体的に接続されてもよい。試験チャンバ12からガスサンプリング検出装置52への流路は、不燃性ガス混合物30の流れを制御するように構成されたバルブ18を含んでもよい。
【0044】
質量分析計は、サンプル中の化学種をイオン化し、イオン化種を電場及び磁場に曝してイオン化種の質量電荷比を特定することによって、サンプルを分析する分析機器である。イオン化された種は、典型的には、サンプルの分子状種の断片である。化学種を、質量電荷比及び/又はイオン化フラグメントのパターンによって特定することができる。
【0045】
ガスクロマトグラフは、サンプル中の(及び/又はサンプル由来の)ガス状及び/又は蒸気状の化学種を分離及び/又は分析する分析機器である。ガスクロマトグラフは、通常、カラムを通過する化学種の保持時間を検出する。
【0046】
ガスクロマトグラフィー質量分析計は、ガスクロマトグラフのカラム入力段階及び質量分析計の検出段階を含む。ガスクロマトグラフの入力により、通常のガスクロマトグラフ(例えば、保持時間による)又は通常の質量分析計(例えば、質量電荷比による)よりもガス成分をより具体的に(例えば、保持時間及び質量電荷比によって)決定することができるように、質量分析前にサンプルの成分を分離する。
【0047】
図2にも示されているように、光学検出装置58(例えば、光学分光計、LIF装置、PLIF装置、LEAF装置、又はFTIR分光計)は、ガスサンプリング検出装置52と同様の構成で、不燃性ガス混合物30の一部(又は全体)をサンプリングして測定するように構成され得る。追加的又は代替的に、
図3に示すように、光学検出装置58は、試験品20に近接してその位置で不燃性ガス混合物30を測定するように構成されてもよい。
【0048】
光学検出装置58は、任意の試験チャンバ12内に1つ又は複数の構成要素を含んでもよいし、試験チャンバ12の外側に1つ又は複数の構成要素を含んでもよい。試験チャンバ12の外側に配置された構成要素の場合、これらの構成要素は、試験チャンバ12内の窓64(例えば、透明な壁)を介して試験チャンバ12内の不燃性ガス混合物30と光学的に連通することができる。
【0049】
光学検出装置58は、一般に、光源60と光検出器62とを含む。光源60は、入力光ビーム66を用いて試験チャンバ12内の及び/又は試験品20の近傍の不燃性ガス混合物30から情報を得るように構成されている。光源60は、レーザー、ランプ、又はLED(発光ダイオード)を含んでもよく、及び/又はそれらであってもよい。光源60は、紫外線(UV)、可視光線、赤外線(IR)、及び/又は遠赤外線(FIR)の波長を有する光を発生させてもよく、及び/又は入力光ビーム66がそれらを含んでもよい。例えば、光は、100nm(ナノメートル)超過、200nm超過、400nm超過、600nm超過、800nm超過、2000nm超過、10000nm超過、20000nm未満、4000nm未満、1000nm未満、800nm未満、400nm未満、及び/又は300nm未満の波長を有してもよい。
【0050】
光検出器62は、入力光ビーム66との相互作用により(潜在的に反応した)不燃性ガス混合物30からの出力光68を検出するように構成される。光検出器62は、光に対して敏感であってもよく、出力光68は、紫外線(UV)、可視光、赤外線(IR)、及び/又は遠赤外線(FIR)の波長を有してもよい。例えば、光は、100nm(ナノメートル)超過、200nm超過、400nm超過、600nm超過、800nm超過、2000nm超過、10000nm超過、20000nm未満、4000nm未満、1000nm未満、800nm未満、400nm未満、及び/又は300nm未満の波長を有してもよい。光検出器62は、(例えば、透過、吸収、反射、及び散乱(比濁法)測定の場合)入力光ビーム66の光を検出し、及び/又は(例えば、発光、蛍光、リン光、及びラマン散乱測定の場合)入力光ビーム66の光を除去するように構成されてもよい。
【0051】
光学検出装置58は、不燃性ガス混合物30の透過、反射、吸収、散乱、発光、蛍光、及び/又はリン光を決定するように構成されてもよい。散乱、蛍光、又はリン光モードでは、光学検出装置58は、例えば
図3の例に示す(光検出器62を実線で示す)ように直交する光路に対向して非共線的に配置された光源60及び光検出器62を有する。光検出器62は、入力光ビーム66との相互作用により不燃性ガス混合物30のサンプルから出る出力光68を検出するように構成されている。例えば、出力光68は、散乱(例えば、レイリー又はラマン散乱)及び/又は光学発光(例えば、発光、蛍光、及び/又はリン光発光)によるものであってもよい。
【0052】
透過モードでは(例えば、透過又は吸収測定の場合)、光学検出装置58は、不燃性ガス混合物30(又は不燃性ガス混合物30のサンプル)が光学的に光源60と光検出器62との間にあるように配置される。例えば、光源60と光検出器62は、
図3に示す(光検出器62を点線で示す)ように試験チャンバ12の対向側にあってもよい。光検出器62は、不燃性ガス混合物30のサンプルを透過する入力光ビーム66を検出するように構成される。入力光ビーム66は、サンプルとの相互作用によって、透過ビーム及び/又は減衰ビームの形態で出力光68に変換される。
【0053】
LIF装置、PLIF装置、及びLEAF装置は、指標種(分子又は原子)を含むサンプルを指標種の蛍光を励起するように調整されたレーザー光(入力光ビーム66)で照明するように構成された分析装置である。蛍光発光(出力光68)は、蛍光発光の光を検出し、入力光ビーム66の光を除去するように構成された光検出器62によって検出される。蛍光発光のスペクトル、強度、及び寿命は、他のバックグラウンド種に対する指標種の敏感な識別を提供してもよく、指標種の状態及び/又は指標種の近くの局所環境に関する情報を提供してもよい。PLIF装置では、レーザー光が走査され、及び/又は光シートに広げられ、蛍光発光が画像検出器によって検出され得る。
【0054】
FTIR分光計は、サンプルの赤外吸収スペクトル又は発光スペクトルを測定する分析機器である。FTIR分光器は、広いスペクトル範囲にわたって高スペクトル分解能データを同時に収集する。高いスペクトル分解能及び広いスペクトル範囲は、サンプル中の異なる指標種の敏感な識別を提供し得る。
【0055】
図1を全体的に参照すると、試験システム10は、試験システム10の全体及び/又は個々の構成要素として試験システム10の動作を制御するように構成され及び/又はプログラムされたコントローラー70を含むことができる。コントローラー70は、(a)エネルギー供給源26を放電してエネルギー放電を試験品20に印加するように、(b)検出装置50を用いて不燃性ガス混合物30中の指標種の存在及び/又は量を測定するように、及び/又は(c)指標種の存在及び/又は量に基づいてエネルギー放電に応答して試験品20の燃焼性を決定するように、構成され及び/又はプログラムされてもよい。コントローラー70は、ガス入口ポート14、ガス出口ポート16、及び/又はガスサンプルポート54でバルブ18を操作して、試験チャンバ12に入るガス、試験チャンバ12を出るガス、及び/又は検出装置50によってサンプリングされたガスをそれぞれ制御するように、構成され及び/又はプログラムされてもよい。コントローラー70は、本明細書で説明する方法のいずれかを実行するように構成され及び/又はプログラムされてもよい。コントローラー70は、コンピューター、組み込みコントローラー、プログラマブルロジックデバイス、及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイを含んでもよい。
【0056】
試験システム10は、不燃性ガス混合物30内でエネルギーを放電して(例えば、アークのような発火源を生成して)、不燃性ガス混合物30中の熱反応性試薬32を十分に反応させるように構成される制御された発火源72を含んでもよい。制御された発火源72は、任意の試験チャンバ12内の不燃性ガス混合物30に及び/又は検出装置50によって検出されるように構成された位置(例えば、不燃性ガス混合物30の流れの上流)でエネルギーを放電するように構成されてもよい。
【0057】
制御された発火源72は、コントローラー70によって制御されてもよい。例えば、コントローラーは、制御された発火源72のエネルギー放電を開始する、及び/又は制御された発火源72のエネルギー放電を終了させるように構成され及び/又はプログラムされてもよい。
【0058】
制御された発火源72は、所定の量のエネルギーを不燃性ガス混合物30に及び/又は熱反応性試薬32を反応させるように構成されたエネルギー量を放電するように構成されてもよい。所定の及び/又は制御可能な量のエネルギーを不燃性ガス混合物30に供給する制御された発火源72を、制御されたエネルギー発火源と呼ぶことがある。制御された発火源72は、1000μJ未満、500μJ未満、200μJ未満、100μJ未満、10μJ超過、50μJ超過、100μJ超過、200μJ超過、及び/又は約200μJのエネルギーを放電することができる。制御された発火源72は、電気アーク、スパーク、高温表面、高温粒子放出、静電気放電、及び/又は火炎を生成することができる。
【0059】
図4は、燃焼性試験方法100を示している。方法100は、可燃性試験法、発火リスク試験法、及び/又は発火ハザード試験法と呼ばれることがある。方法100は、試験品(試験品20など)を不燃性ガス混合物(不燃性ガス混合物30など)と接触させるステップ102と、試験品が不燃性ガス混合物と接触している間に、試験品にエネルギー放電を印加するステップ104と、その後、エネルギー放電に対する不燃性ガス混合物の応答を決定するために、不燃性ガス混合物の1つ又は複数の成分(例えば、本明細書に記載の指標種)の量を測定するステップ106と、測定された1つ又は複数の成分の量に基づいて、エネルギー放電に応答して試験品の燃焼性を決定するステップ108と、を含む。方法100は、不燃性ガス混合物を使用して試験品に対して燃焼性を試験するステップ及び/又は試験システム10を使用して試験品の燃焼性を試験するステップを含んでもよい。
【0060】
接触させるステップ102は、試験チャンバ(試験チャンバ12など)内で試験品を不燃性ガス混合物に接触させるステップを含んでもよい。接触させるステップ102は、試験チャンバを不燃性ガス混合物で満たすステップ、及び/又は試験チャンバ内の不燃性ガス混合物に適した条件を作り出すステップを含んでもよい。圧力、温度、及び模擬動作環境のような適切な条件は、不燃性ガス混合物30に関して本明細書でさらに論じられる。
【0061】
接触させるステップ102は、(試験品の少なくとも一部において)不燃性ガス混合物が試験品と接触する他のガスを実質的に又は完全に移動させるように、不燃性ガス混合物の流れを試験品上に流すステップを含んでもよい。不燃性ガス混合物の流れは、試験品の一部又は本質的に全体に接触してもよい。不燃性ガス混合物の流れは、再循環流又は非再循環流であってもよい。試験品に不燃性ガス混合物の流れを接触させる実施形態では、ガス分析(例えば、測定するステップ106)は、一般的に、エネルギー放電を印加するステップ104によって発生した発火源(例えば、発火源24)の地点で、又は発火源の下流で実行される。例えば、ガス分析は試験品の下流で実行されてもよい。不燃性ガス混合物の流れが再循環しない場合、ガス分析は発火源及び/又は試験品の下流で行われる。
【0062】
不燃性ガス混合物は、エネルギー放電を印加するステップ104によって発生した発火源(発火源24など)に反応する熱反応性試薬32などの熱反応性試薬を含む。熱反応性試薬が反応して、反応生成物38のような1つ又は複数の反応生成物を生成する。不燃性ガス混合物は、熱反応性試薬と反応する酸化剤(酸化剤34など)を含んでもよく、及び/又は希釈剤36などの希釈剤を含んでもよい。
【0063】
方法100は、熱反応性試薬を1つ又は複数の酸化剤及び1つ又は複数の希釈剤と混合することによって、不燃性ガス混合物を調製するステップを含んでもよい。方法100は、2種以上の熱反応性試薬を混合することによって不燃性ガス混合物を調製するステップを含んでもよい。接触させるステップ102及び/又は不燃性ガス混合物を調製するステップは、燃焼燃料と分子状酸素との混合物、ハロカーボンと分子状酸素との混合物、及び/又は不燃性ガス混合物30に関して本明細書に記載の他の混合物(例えば、空気中の2%エチレン、空気中の1%クロロエタン、空気中の0.01%臭化メチル)を接触させ、選択し、配合し、及び/又は調整するステップを含んでもよい。
【0064】
エネルギー放電を印加するステップ104は、放電されたエネルギーが、試験品に接触している不燃性ガス混合物を反応させるのに十分な発火源を試験品に発生させるかどうかを試験するために、試験品の中に、試験品で、及び/又は試験品にエネルギー放電を印加するステップを含む。エネルギー放電を印加するステップ104はまた、試験品の活性化、試験品への通電、及び/又は発火ハザードシミュレーションと呼ばれてもよい。エネルギー放電は、落雷、静電気放電、熱、及び/又はスパークのような試験品が経験し得る実際の動作状態をシミュレートしてもよく、及び/又は実際の動作状態であってもよい。エネルギー放電を印加するステップ104には、模擬落雷を試験品に印加するステップと、試験品を横切って電圧(例えば、1kV(キロボルト)超過又は5kV超過で、一般に100kV未満の電圧)を印加するステップと、試験品を通じて電流(例えば、1A(アンペア)超過又は10A超過で、一般に100000A未満の電流)を供給するステップとが含まれてもよい。エネルギー放電は、1kW(キロワット)超過又は10kW超過で、一般に10000kW未満のピーク電力を有してもよい。エネルギー放電の持続時間は比較的短くてもよく、例えば、1秒未満、0.1秒未満、0.01秒未満、又は0.001秒未満で、一般に1ナノ秒より長い持続時間を有する。エネルギー放電を印加するステップ104には、試験品を加熱するステップ(例えば、試験品の領域を加熱するステップ)、例えば、100℃超過、200℃超過、又は300℃超過で、一般に2000℃未満の温度に加熱するステップを含んでもよい。
【0065】
測定するステップ106は、エネルギー放電を印加するステップ104に応答して反応する不燃性ガス混合物中の熱反応性試薬の量を表す不燃性ガス混合物の成分の量を測定するステップを含む。不燃性ガス混合物の成分の量は、(潜在的に)反応した不燃性ガス混合物中の熱反応性試薬の量の代用であってもよい。測定するステップ106は、エネルギー放電を印加するステップ104後の不燃性ガス混合物中に残っている熱反応性試薬及び/又は酸化剤の量を測定するステップを含んでもよい。測定するステップ106は、エネルギー放電を印加するステップ104後の熱反応性試薬の熱反応(例えば、燃焼及び/又は熱分解)によって生成される反応生成物の量を測定するステップを含んでもよい。不燃性ガス混合物は、エネルギー放電を印加するステップ104の前に比較的少ない反応生成物を含み得るので、反応生成物の量を測定するステップは、熱反応性試薬又は酸化剤の量を測定するステップよりも誤差が少なく、及び/又は高精度であり得る。付加的に又は代替的に、反応生成物の濃度の相対的変化(エネルギー放電を印加するステップ104の前に対するエネルギー放電を印加するステップ104の後)は、熱反応性試薬又は酸化剤の濃度の対応する相対的変化よりも実質的に大きくてもよい。
【0066】
測定するステップ106は、一般に、高感度技術、例えば、低濃度及び/又は微小変化(例えば、100万分の1又は10億分の1の濃度及び/又は絶対的変化)に敏感な技術を用いて不燃性ガス混合物の成分を測定するステップを含む。測定するステップ106は、質量分析、ガスクロマトグラフィー、又はガスクロマトグラフィー質量分析などのガス分析技術により測定するステップを含んでもよい。測定するステップ106は、光学分光法、光学吸光度、光透過率、光反射率、比濁法、発光、蛍光、リン光、レーザー誘起蛍光、平面レーザー誘起蛍光、レーザー励起原子蛍光、及びフーリエ変換赤外分光法からなる群から選択される光学技術により測定するステップを含んでもよい。
【0067】
燃焼性を決定するステップ108は、エネルギー放電(例えば、熱反応性試薬32の燃焼又は熱分解)に応答して熱反応の存在及び/又は不在を決定するステップを含んでもよい。燃焼性を決定するステップ108は、熱反応(燃焼又は熱分解)が閾値レベルを超えて発生したか(例えば、燃焼又は分解生成物が閾値レベルより高い濃度で存在する)どうかを判定するステップを含んでもよい。燃焼性を決定するステップ108は、エネルギー放電に応答して発生した閾値エネルギーよりも大きい場合の、発火源の存在及び/又は不在を判定するステップを含んでもよい。燃焼性を決定するステップ108は、反応した熱反応性試薬の量(例えば、熱反応性試薬の濃度及び/又は反応生成物の濃度)に関連するパラメータを所定の閾値と比較するステップを含んでもよい。反応及び/又はエネルギーの閾値レベルは、発火ハザードであり得る発火源を表してもよい。したがって、決定するステップ108は、試験品がエネルギー放電に応答して発火ハザードを発生したと判定するステップを含んでもよい。決定するステップ108は、反応した熱反応性試薬の量(及び/又は反応生成物及び/又は酸化剤の濃度などのその代用)に基づいて、エネルギー放電を受ける試験品の燃焼レベルを決定するステップを含んでもよい。
【0068】
方法100は、不燃性ガス混合物中の制御された発火源(制御された発火源72など)を放電し、制御された発火源の放電後に、制御された発火源の放電に応答して反応した熱反応性試薬の少なくとも一部を検証するために、不燃性ガス混合物の1つ又は複数の成分(例えば、指標種)の量を測定することによって、不燃性ガス混合物が熱入力に反応することを検証するステップ110を含んでもよい。検証するステップ110は、エネルギー放電を印加するステップ104及び潜在的に反応した不燃性ガス混合物の成分を測定するステップ106の前に又は後に、実行されてもよい。検証するステップ110は、任意の試験チャンバで実行されてもよい。
【0069】
制御された発火源のような信頼できる発火源を用いて検証するステップ110は、対応する試験システム(検出装置50など)の構成要素が適切に機能することを検証する。追加的又は代替的に、検証するステップ110は、発火源(場合によっては所定のエネルギーの発火源)に応答して発生した熱反応性試薬の基準量(又は反応生成物の濃度などの代用)を提供してもよい。
【0070】
本開示による本発明の主題の例が、以下に列挙される段落に記載されている。
【0071】
A1.熱反応性試薬を含む不燃性ガス混合物に試験品を接触させるステップと、
試験品が不燃性ガス混合物と接触している間に、試験品にエネルギー放電を印加するステップと、
エネルギー放電を印加するステップの後に、エネルギー放電を印加するステップに応答して反応した熱反応性試薬の量を表す不燃性ガス混合物の1つ又は複数の成分の量を測定するステップと、
エネルギー放電を印加するステップに応答して反応した熱反応性試薬の量に基づいて、エネルギー放電に応答して試験品の燃焼性を決定するステップと
を含む、燃焼性試験方法。
【0072】
A2.試験品を接触させるステップが、試験チャンバ内の試験品を不燃性ガス混合物に接触させるステップを含む、段落A1に記載の方法。
【0073】
A2.1.接触させるステップが、試験チャンバを不燃性ガス混合物で充填するステップを含み、任意に、充填するステップが、試験チャンバを可燃性ガス混合物で、50kPa超過、70kPa超過、90kPa超過、100kPa超過、200kPa未満、150kPa未満、120kPa未満、100kPa未満、約70kPa、及び約100kPaのうちの少なくとも1つの圧力に充填するステップを含む、段落A2に記載の方法。
【0074】
A3.接触させるステップが、50kPa超過、70kPa超過、90kPa超過、100kPa超過、200kPa未満、150kPa未満、120kPa未満、100kPa未満、約70kPa、及び約100kPaのうちの少なくとも1つの圧力で、試験品を不燃性ガス混合物に接触させるステップを含む、段落A1〜A2.1のいずれかに記載の方法。
【0075】
A4.接触させるステップが、試験品を不燃性ガス混合物に曝すステップ、及び任意に、不燃性ガス混合物の流れを試験品上に流すステップを含む、段落A1〜A3のいずれかに記載の方法。
【0076】
A5.熱反応性試薬が、発火源に応答して反応して、反応生成物を生成するように構成される、段落A1〜A4のいずれかに記載の方法。
【0077】
A6.熱反応性試薬が、熱反応性ガス及び熱反応性エアロゾルの少なくとも一方を含むか、任意に、熱反応性ガス及び熱反応性エアロゾルの少なくとも一方である、段落A1〜A5のいずれかに記載の方法。
【0078】
A7.不燃性ガス混合物が、熱反応性試薬の自己伝播燃焼をサポートするにはリーンになり過ぎの混合物である、段落A1〜A6のいずれかに記載の方法。
【0079】
A8.不燃性ガス混合物が、リーン側の着火限界より薄い熱反応性試薬の濃度を有する、段落A1〜A7のいずれかに記載の方法。
【0080】
A9.熱反応性試薬が気体及び蒸気の少なくとも一方である、段落A1〜A8のいずれかに記載の方法。
【0081】
A10.不燃性ガス混合物が熱反応性試薬のエアロゾルを含む、段落A1〜A9のいずれかに記載の方法。
【0082】
A11.不燃性ガス混合物が複数の熱反応性試薬を含む、段落A1〜A10のいずれかに記載の方法。
【0083】
A11.1.熱反応性試薬の各々が、異なる発火源に応答して反応して、対応する反応生成物を生成するように構成される、段落A11に記載の方法。
【0084】
A12.熱反応性試薬が、炭化水素燃料、可燃性ガス、分子状水素、メタン、プロパン、ガソリン、ケロシン、及びエチレンからなる群から任意選択される燃焼燃料である、段落A1〜A11.1のいずれかに記載の方法。
【0085】
A13.熱反応性試薬が熱分解するように構成される、段落A1〜A12のいずれかに記載の方法。
【0086】
A14.熱反応性試薬が、ハロゲン化アルキル、クロロカーボン、フルオロカーボン、ブロモカーボン、クロロフルオロカーボン、クロロエタン、及び臭化メチルからなる群から任意選択されるハロカーボンである、段落A1〜A13のいずれかに記載の方法。
【0087】
A15.熱反応性試薬を、酸化剤、希釈剤、及び別の熱反応性試薬のうちの1つ又は複数と混合することによって、不燃性ガス混合物を調製するステップをさらに含む、段落A1〜A14のいずれかに記載の方法。
【0088】
A16.不燃性ガス混合物が酸化剤を含む、段落A1〜A15のいずれかに記載の方法。
【0089】
A16.1.熱反応性試薬が酸化剤と反応して、反応生成物を生成するように構成される、段落A16に記載の方法。
【0090】
A16.2.不燃性ガス混合物が複数の熱反応性試薬を含み、熱反応性試薬の各々が、異なる発火源に応答して酸化剤と反応して、対応する反応生成物を生成するように構成される、段落A16〜A16.1のいずれかに記載の方法。
【0091】
A16.3.不燃性ガス混合物が複数の熱反応性試薬を含み、不燃性ガス混合物が複数の対応する酸化剤を含み、各対応する酸化剤が、熱反応性試薬の少なくとも1つと反応して、対応する反応生成物を生成するように構成される、段落A16〜A16.2のいずれかに記載の方法
【0092】
A16.4.酸化剤が気体及び蒸気の少なくとも一方である、段落A16〜A16.3のいずれかに記載の方法。
【0093】
A16.5.不燃性ガス混合物が酸化剤のエアロゾルを含む、段落A16〜A16.4のいずれかに記載の方法。
【0094】
A16.6.酸化剤が、分子状酸素、亜酸化窒素、及び過酸化水素からなる群から選択される1又は複数種を含む、段落A16〜A16.5のいずれかに記載の方法。
【0095】
A17.不燃性ガス混合物が希釈剤を含む、段落A1〜A16.6のいずれかに記載の方法。
【0096】
A17.1.希釈剤が熱反応性試薬と反応しないように構成される、段落A17に記載の方法。
【0097】
A17.2.希釈剤が、不活性ガス、窒素、アルゴン、及びヘリウムからなる群から選択される1又は複数種を含む、段落A17〜A17.1のいずれかに記載の方法。
【0098】
A18.反応生成物が、水、二酸化炭素、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、二フッ化カルボニル、二塩化カルボニル、二臭化カルボニル、分子状フッ素、分子状塩素、及び分子状臭素からなる群から選択される、段落A1〜A17.2のいずれかに記載の方法。
【0099】
A19.不燃性ガス混合物が空気中に約1%の体積分率のクロロエタンを含む、段落A1〜A18のいずれかに記載の方法。
【0100】
A20.不燃性ガス混合物が空気中に約0.01%の体積分率の臭化メチルを含む、段落A1〜A19のいずれかに記載の方法。
【0101】
A21.不燃性ガス混合物が、空気中に2.7%未満、2.5%未満、約2%、及び/又は0.1%超過の体積分率のエチレンを含む、段落A1〜A20のいずれかに記載の方法。
【0102】
A22.エネルギー放電を印加するステップが、模擬落雷を試験品に印加するステップを含む、段落A1〜A21のいずれかに記載の方法。
【0103】
A23.エネルギー放電を印加するステップが、試験品にアークを発生させるステップを含む、段落A1〜A22のいずれかに記載の方法。
【0104】
A24.エネルギー放電を印加するステップが、試験品を横切って電圧を印加するステップを含み、任意に、電圧は1kV超過又は5kV超過である、段落A1〜A23のいずれかに記載の方法。
【0105】
A25.エネルギー放電を印加するステップが、試験品を通じて電流を供給するステップを含み、任意に、電流は1A超過又は10A超過である、段落A1〜A24のいずれかに記載の方法。
【0106】
A26.エネルギー放電が1kW超過又は10kW超過のピーク電力を有する、段落A1〜A25のいずれかに記載の方法。
【0107】
A27.エネルギー放電を印加するステップが、試験品を加熱するステップを含む、段落A1〜A26のいずれかに記載の方法。
【0108】
A28.エネルギー放電を印加するステップが、熱反応性試薬を反応させて反応生成物を生成するのに十分な発火源を試験品に発生させる、段落A1〜A27のいずれかに記載の方法。
【0109】
A29.測定するステップが、エネルギー放電を印加するステップの後に不燃性ガス混合物中に残存する熱反応性試薬の量を測定するステップを含む、段落A1〜A28のいずれかに記載の方法。
【0110】
A30.測定するステップが、エネルギー放電を印加するステップの後に不燃性ガス混合物中に残存する(an/the)酸化剤の量を測定するステップを含む、段落A1〜A29のいずれかに記載の方法。
【0111】
A31.測定するステップが、エネルギー放電を印加するステップの後に熱反応性試薬の熱反応によって生成される反応生成物の量を測定するステップを含む、段落A1〜A30のいずれかに記載の方法。
【0112】
A32.測定するステップが、質量分析、ガスクロマトグラフィー、及びガスクロマトグラフィー質量分析からなる群から選択されるガス分析技術により測定するステップを含む、段落A1〜A31のいずれかに記載の方法。
【0113】
A33.測定するステップが、光学分光法、光学吸光度、光透過率、光学反射率、比濁法、発光、蛍光、リン光、レーザー誘起蛍光、平面レーザー誘起蛍光、レーザー励起原子蛍光、及びフーリエ変換赤外分光法からなる群から選択される光学技術により測定するステップを含む、段落A1〜A32のいずれかに記載の方法。
【0114】
A34.燃焼性を決定するステップが、反応した熱反応性試薬の量に関連するパラメータを所定の閾値と比較するステップを含む、段落A1〜A33のいずれかに記載の方法。
【0115】
A35.燃焼性を決定するステップが、反応した熱反応性試薬の量が所定の閾値を超えているどうかに基づいて、エネルギー放電に応答して試験品が発火ハザードを発生したと判定するステップを含む、段落A1〜A34のいずれかに記載の方法。
【0116】
A36.燃焼性を決定するステップが、反応した熱反応性試薬の量に基づいて燃焼レベルを決定するステップを含む、段落A1〜A35のいずれかに記載の方法。
【0117】
A37.不燃性ガス混合物中の制御された発火源を放電し、不燃性ガス混合物中の制御された発火源を放電し、制御された発火源の放電後に、制御された発火源の放電に応答して反応した熱反応性試薬の少なくとも一部を検証するために、不燃性ガス混合物の1つ又は複数の成分の量を測定することによって、不燃性ガス混合物が熱入力に反応することを検証するステップをさらに含む、段落A1〜A36のいずれかに記載の方法。
【0118】
A37.1.検証するステップが決定するステップの後に実行される、段落A37に記載の方法。
【0119】
A37.2.制御された発火源が、試験品と共に試験チャンバ内で放電される、段落A37〜A37.1のいずれかに記載の方法。
【0120】
A37.3.制御された発火源を放電するステップが、1000μJ未満、500μJ未満、200μJ未満、100μJ未満、10μJ超過、50μJ超過、100μJ超過、200μJ超過、及び/又は約200μJのエネルギーを放電する、段落A37〜A37.2のいずれかに記載の方法。
【0121】
A37.4.制御された発火源が、電気アーク、スパーク、高温表面、高温粒子放出、静電気放電、及び火炎のうちの少なくとも1つを生成するか、任意に、電気アーク、スパーク、高温表面、高温粒子放出、静電気放電、及び火炎のうちの少なくとも1つである、段落A37〜A37.3のいずれかに記載の方法。
【0122】
A38.試験品が固体形態であり、任意に、金属、アルミニウム、プラスチック、及び繊維強化複合材料のうちの1つ又は複数を含む、段落A1〜A37.4のいずれかに記載の方法。
【0123】
A39.試験品が航空宇宙部材であり、任意に、航空機外板、航空機フレーム、翼、燃料取扱い部品、燃料システム、燃料タンク、燃料ポンプ、及び電気エンクロージャのうちの少なくとも1つである、段落A1〜A38のいずれかに記載の方法。
【0124】
B1.試験チャンバと、
試験チャンバ内の不燃性ガス混合物であって、不燃性ガス混合物は熱反応して反応生成物を生成するように配合された熱反応性試薬を含む、不燃性ガス混合物と、
不燃性ガス混合物と接触している試験チャンバ内の試験品と、
試験品にエネルギー放電を印加するように構成されたエネルギー供給源と、
不燃性ガス混合物及び反応生成物の成分からなる群から選択される1又は複数の指標種の量を測定するように構成された検出装置と
を備える燃焼性試験システム、任意選択で航空宇宙部材燃焼性試験システム。
【0125】
B2.熱反応性試薬が、熱反応性ガス及び熱反応性エアロゾルの少なくとも一方を含むか、任意に、熱反応性ガス及び熱反応性エアロゾルの少なくとも一方である、段落B1に記載のシステム。
【0126】
B3.不燃性ガス混合物が、熱反応性試薬の自己伝播燃焼をサポートするにはリーンになり過ぎの混合物である、段落B1又はB2に記載のシステム。
【0127】
B4.不燃性ガス混合物が、リーン側の着火限界より薄い熱反応性試薬の濃度を有する、段落B1〜B3のいずれかに記載のシステム。
【0128】
B5.熱反応性試薬が気体及び蒸気の少なくとも一方である、段落B1〜B4のいずれかに記載のシステム。
【0129】
B6.不燃性ガス混合物が熱反応性試薬のエアロゾルを含む、段落B1〜B5のいずれかに記載のシステム。
【0130】
B7.熱反応性試薬が、炭化水素燃料、可燃性ガス、分子状水素、メタン、プロパン、ガソリン、ケロシン、及びエチレンからなる群から任意選択される燃焼燃料である、段落B1〜B6のいずれかに記載のシステム。
【0131】
B8.熱反応性試薬が熱分解するように構成される、段落B1〜B7のいずれかに記載のシステム。
【0132】
B9.熱反応性試薬が、ハロゲン化アルキル、クロロカーボン、フルオロカーボン、ブロモカーボン、クロロフルオロカーボン、クロロエタン、及び臭化メチルからなる群から任意選択されるハロカーボンである、段落B1〜B8のいずれかに記載のシステム。
【0133】
B10.不燃性ガス混合物が複数の熱反応性試薬を含む、段落B1〜B9のいずれかに記載のシステム。
【0134】
B10.1.熱反応性試薬の各々が、異なる発火源に応答して反応して、対応する反応生成物を生成するように構成される、段落B10に記載のシステム。
【0135】
B11.不燃性ガス混合物が酸化剤を含む、段落B1〜B10.1のいずれかに記載のシステム。
【0136】
B11.1.熱反応性試薬が酸化剤と反応して、反応生成物を生成するように構成される、段落B11に記載のシステム。
【0137】
B11.2.不燃性ガス混合物が複数の熱反応性試薬を含み、熱反応性試薬の各々が、異なる発火源に応答して酸化剤と反応して、対応する反応生成物を生成するように構成される、段落B11〜B11.1のいずれかに記載のシステム。
【0138】
B11.3.不燃性ガス混合物が複数の熱反応性試薬を含み、不燃性ガス混合物が複数の対応する酸化剤を含み、各対応する酸化剤が、熱反応性試薬の少なくとも1つと反応して、対応する反応生成物を生成するように構成される、段落B11〜B11.2のいずれかに記載のシステム。
【0139】
B11.4.酸化剤が気体及び蒸気の少なくとも一方である、段落B11〜B11.3のいずれかに記載のシステム。
【0140】
B11.5.不燃性ガス混合物が酸化剤のエアロゾルを含む、段落B11〜B11.4のいずれかに記載のシステム。
【0141】
B11.6.酸化剤が、分子状酸素、亜酸化窒素、及び過酸化水素からなる群から選択される1又は複数種を含む、段落B11〜B11.5のいずれかに記載のシステム。
【0142】
B12.不燃性ガス混合物が希釈剤を含む、段落B1〜B11.6のいずれかに記載のシステム。
【0143】
B12.1.希釈剤が熱反応性試薬と反応しないように構成される、段落B12に記載のシステム。
【0144】
B12.2.希釈剤が、不活性ガス、窒素、アルゴン、及びヘリウムからなる群から選択される1又は複数種を含む、段落B12又はB12.1に記載のシステム。
【0145】
B13.反応生成物が、水、二酸化炭素、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、二フッ化カルボニル、二塩化カルボニル、二臭化カルボニル、分子状フッ素、分子状塩素、及び分子状臭素からなる群から選択される、段落B1〜B12.2のいずれかに記載のシステム。
【0146】
B14.不燃性ガス混合物が空気中に約1%の体積分率のクロロエタンを含む、段落B1〜B13のいずれかに記載のシステム。
【0147】
B15.不燃性ガス混合物が空気中に約0.01%の体積分率の臭化メチルを含む、段落B1〜B14のいずれかに記載のシステム。
【0148】
B16.不燃性ガス混合物が、空気中に2.7%未満、2.5%未満、約2%、及び/又は0.1%超過の体積分率のエチレンを含む、段落B1〜B15のいずれかに記載のシステム。
【0149】
B17.検出装置が、質量分析計、ガスクロマトグラフ、及びガスクロマトグラフィー質量分析計からなる群から選択されるガスサンプリング装置である、段落B1〜B16のいずれかに記載のシステム。
【0150】
B18.検出装置が、光学分光計、蛍光分光計、レーザー誘起蛍光装置、平面レーザー誘起蛍光装置、レーザー励起原子蛍光装置、及びフーリエ変換赤外分光計からなる群から任意選択される任意の検出装置である、段落B1〜B17のいずれかに記載のシステム。
【0151】
B19.エネルギー供給源が、落雷シミュレータ、電力源、電圧源、及び電流源のうちの少なくとも1つである、段落B1〜B18のいずれかに記載のシステム。
【0152】
B20.エネルギー供給源を放電してエネルギー放電を試験品に印加するように構成され、指標種の存在及び/又は量を測定するように構成され、指標種の存在及び/又は量に基づいてエネルギー放電に応答して試験品の燃焼性を決定するように構成されたコントローラーをさらに備える、段落B1〜B19のいずれかに記載のシステム。
【0153】
B20.1.コントローラーが、段落A1〜A39のいずれかの燃焼性試験方法を実行するようにプログラムされる、段落B20に記載のシステム。
【0154】
B21.不燃性ガス混合物を試験チャンバに供給するように構成されたガス供給源であって、任意に、ガス供給源は試験チャンバのガス入口ポートを介して試験チャンバに接続される、ガス供給源と、ガス供給源から試験チャンバへの不燃性ガス混合物の流れを制御するように構成されたバルブとをさらに備える、段落B1〜B20.1のいずれかに記載のシステム。
【0155】
B22.試験品が固体形態であり、任意に、金属、アルミニウム、プラスチック、及び繊維強化複合材料のうちの1つ又は複数を含む、段落B1〜B21のいずれかに記載のシステム。
【0156】
B23.試験品が航空宇宙部材であり、任意に、航空機外板、航空機フレーム、翼、燃料取扱い部品、燃料システム、燃料タンク、燃料ポンプ、及び電気エンクロージャのうちの少なくとも1つである、段落B1〜B22のいずれかに記載のシステム。
【0157】
B24.エネルギー放電に応答して試験品の燃焼性を試験するための段落B1〜B23のいずれかに記載の燃焼性試験システムの使用。
【0158】
C1.任意に、試験品が不燃性ガス混合物と接触している間に、試験品にエネルギー放電を印加し、エネルギー放電を印加した後に、不燃性ガス混合物の1つ又は複数の成分の量を測定して、測定された不燃性ガス混合物の1つ又は複数の成分の量に基づいて燃焼性を決定することによって、試験品の燃焼性を試験するための不燃性ガス混合物の使用。
【0159】
C2.不燃性ガス混合物及び/又は試験品が、段落A1〜A39及び/又はB1〜B23のいずれかに記載の通りである、段落C1に記載の使用。
【0160】
本明細書で使用される場合、用語「適合(adapted)」及び「構成(configured)」は、要素、構成要素、又は他の主題が、所定の機能を実行するように設計され及び/又は意図されていることを意味している。したがって、用語「適合(adapted)」及び「構成(configured)」の使用は、所定の要素、構成要素、又は他の主題が、所定の機能を単純に実行することが「可能(capable of)」であることを意味するように解釈されるべきでなく、この要素、構成要素、及び/又は他の主題が、機能を実行する目的のために、具体的に選択され、作成され、調整され、形成され、実装され、利用され、プログラムされ、及び/又は設計されている。また、特定の機能を実行するように適合されているものとして記載されている要素、構成要素、又は他の主題が、追加的又は代替的に、その逆もその機能を実行するように構成されているものとして説明され得ることは、本開示の範囲内である。同様に、特定の機能を実行するように構成されているものとして記載されている主題は、追加的又は代替的に、その機能を実行するように動作するものとして説明され得る。
【0161】
本明細書で使用される場合、本開示による1つ又は複数の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、及び/又は方法を参照して使用されるとき、用語「例えば(for example)」、用語「例として(as an example)」、及び/又は単に用語「例(example)」は、記載された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、及び/又は方法が、本開示による構成要素、特徴、詳細、構造、及び/又は方法の例示的で非限定的な例であることを伝えることを意図されている。したがって、記載された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、及び/又は方法は、限定的であること、要求されること、又は排他的/網羅的であることを意図するものではなく、構造的に及び/又は機能的に類似の及び/又は等価な構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、及び/又は方法を含む他の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、及び/又は方法もまた、本開示の範囲内である。
【0162】
本明細書で使用される場合、2つ以上のエンティティのリストを参照した、用語「少なくとも1つの(at least one of)」及び「1つ又は複数の(one or more of)」は、エンティティのリスト内の任意の1つ又は複数のエンティティを意味し、エンティティのリスト内に具体的に列挙されたあらゆるエンティティの少なくとも1つに限定されない。例えば、「A及びBの少なくとも1つ」(又は同等に「A又はBの少なくとも1つ」又は同等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、Aのみ、Bのみ、又はAとBとの組み合わせを指すことができる。
【0163】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数形も含むことを意図することができる。
【0164】
本開示のシステムのさまざまな要素及び本明細書に開示の方法のステップは、本開示に係るすべてのシステム及び方法である必要はなく、本開示は、本明細書に開示されたさまざまな要素及びステップのすべての新規かつ非自明な組み合わせと部分的組み合わせを含む。さらに、本明細書で開示されるさまざまな要素及びステップのいずれか、又はさまざまな要素及び/又はステップの任意の組み合わせは、開示されたシステム又は方法の全体とは別の独立した発明の主題を定義することができる。したがって、このような発明の主題は、本明細書に明示的に開示されている特定のシステム及び方法と関連している必要はなく、このような発明の主題は、本明細書に明示的に開示されていないシステム及び/又は方法において有用性を見出すことができる。