(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装置は、二段階で濾過を行うために、当該装置が大型化し(大掛かりとなり)、濾過後の装置の洗浄作業も煩雑となる。また、例えば固形物が土壌である、いわゆる土壌分析を行うときにおいては、土壌が粘土状である場合には当該土壌の粒子が非常に細かいために、二段階で濾過を行ったとしても、フィルターが目詰まりを起こし易く、濾過効率が悪いという課題を有している。
【0005】
このため、固形物の粒子が非常に細かい場合においても、当該固形物および溶媒を含む混合物から当該溶媒を濾過するのに好適な濾過装置が求められている。即ち、固形物および溶媒を含む混合物から当該溶媒を効率的に濾過(濾取)することができる簡便な濾過装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために発明者らが鋭意検討した結果、フィルターの目詰まりを防止するために、濾過時にフィルターを覆う、沈降した固形物を保持可能な保持部を備える濾過用フィルターカバーを用いることにより、固形物および溶媒を含む混合物から当該溶媒を効率的に濾過(濾取)することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、以下の[1]〜[4]に記載の発明を含む。
[1] 固形物および溶媒を含む混合物から当該溶媒を濾過する濾過時にフィルターを覆う濾過用フィルターカバーであって、沈降した固形物を保持可能な第一保持部と、溶媒を通過させる通過開口部と、を備える、濾過用フィルターカバー。
[2] 上記通過開口部は、第一保持部から立設する立設部位に設けられ、フィルターを覆ったときに、上記第一保持部よりも上方に位置するようになっている、[1]に記載の濾過用フィルターカバー。
[3] 上記通過開口部の上方に、沈降した固形物を保持可能な第二保持部をさらに備える、[2]に記載の濾過用フィルターカバー。
[4] 上記固形物が土壌である、[1]〜[3]の何れか一項に記載の濾過用フィルターカバー。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、濾過時にフィルターを覆う濾過用フィルターカバーが、フィルターの目詰まりを防止する構成である第一保持部を有している。これにより、固形物および溶媒を含む混合物から当該溶媒を効率的に濾過(濾取)することができる、濾過用フィルターカバーを用いた、簡便な濾過装置を提供することができるという効果を奏する。
【0009】
また、二段階で濾過を行う必要が無く、作業の効率化を図ることができると共に、濾過装置が大型化しない(大掛かりとならない)ので、濾過後の装置の洗浄作業を低減することができる。さらに、二段階で濾過を行う必要が無いので、不純物が混入するおそれを低減することができると共に、蒸発による濾液の減少を抑制することができる等の種々の効果も合わせて奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。尚、本明細書においては特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、「質量」と「重量」は同義語であると見なす。さらに、「常温」とは25℃を意味し、「常圧」とは1気圧(大気圧)(天候による変動を含む)を意味し、「加圧」とは意図的に1気圧(大気圧)を超えた圧力にする状態を意味し、「減圧」とは意図的に1気圧(大気圧)を下回る圧力にする状態を意味する。
【0012】
本発明の一実施の形態に係る濾過用フィルターカバーは、固形物および溶媒を含む混合物から当該溶媒を濾過する濾過時にフィルターを覆う濾過用フィルターカバーであって、沈降した固形物を保持可能な第一保持部と、溶媒を通過させる通過開口部と、を備える構成である。上記固形物としては、例えば、土壌、廃棄物等が挙げられるが、特に限定されない。
【0013】
以下、濾過用フィルターカバーを用いることができる濾過装置の各構成、濾過用フィルターカバーの構成、および濾過方法に関して説明する。
【0014】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1に係る上記濾過装置の各構成、濾過用フィルターカバーの構成、および濾過方法を、
図1,
図2を参照しながら説明する。
【0015】
[濾過装置]
図1に示すように、実施の形態1に係る濾過用フィルターカバーを用いることができる濾過装置は、固形物および溶媒を含む混合物S1から当該溶媒を濾過する濾過容器であって、本体1、濾過部材2、および蓋体3を少なくとも備えている。
【0016】
(本体)
本体1は、無底筒状であり、ガラス、プラスチック(樹脂)または金属で形成されている。本体1がプラスチックで形成されている場合において、当該プラスチックは透明である必要は無い。本体1の容量は、濾過対象となる混合物S1の量にもよるが、濾過部材2を取り付けた状態において、例えば、数百〜数千ml程度であればよい。
【0017】
本体1における開口部1a・1bの外側にあたる部分には、例えば、濾過部材2および蓋体3を螺着することができるように、雄ネジが形成されている。但し、本体1に濾過部材2、および蓋体3を着脱自在に取り付けることができる構成であれば、その構成は螺着に限定されない。
【0018】
(濾過部材)
濾過部材2は、
図1および
図2に示すように、フィルター22、当該フィルター22を支持する支持部材21、濾過用フィルターカバー5、および混合物S1の漏れを防止するパッキン23で構成されている。濾過部材2は、上記本体1の一方の開口部(例えば
図1では1b)に取り付けられたときに、濾過用フィルターカバー5によって締め付けられたパッキン23によって混合物S1がフィルター22の縁から漏れないようになっている。
【0019】
上記支持部材21の内側には、本体1に螺着することができるように、本体1に形成された雄ネジに対応する雌ネジが形成されている。これにより、支持部材21は、本体1に冠着されるようになっており、本体1に対して着脱容易となっている。また、支持部材21には、濾液S3が通過する複数の開口部21aが形成されている。支持部材21は、フィルター22に溶媒の重量等の負荷が掛かって破れることを防止するために当該フィルター22を支持する機能を有していればよい。従って、開口部21aの形状は特に限定されるものではなく、格子状や網目状等の種々の形状であってもよい。
【0020】
さらに、支持部材21の内側における濾過用フィルターカバー5の取り付け位置にあたる部分には、当該濾過用フィルターカバー5を螺着することができるように、雌ネジが形成されている。
【0021】
フィルター22の材質としては、紙(濾紙)、織布や不織布、金属、プラスチック等が挙げられ、濾過する対象(固形物・溶媒体)に応じて適宜使い分ければよい。例えば、濾過する対象が土壌溶出液である場合には、メンブレンフィルターが好適である。また、必要に応じて、複数枚の濾紙を重ねてフィルターとして用いることもできる。フィルター22の材質および目の粗さ(穴径)は、分析の目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
【0022】
パッキン23の材質としては、プラスチック等が挙げられるものの、分析対象の成分が吸着せず、また、分析対象の成分を汚染しない材質であって、しかも適度に変形することによって混合物S1が漏れないような材質であればよく、特に限定されない。
【0023】
尚、濾過部材2は、濾過後の装置の洗浄作業を容易に行うことができるように、本体1に対して着脱自在となっているものの、フィルター22の交換を行うことが可能な構成となっていれば、どのような構成であってもよい。
【0024】
(蓋体)
蓋体3は、
図1に示すように、その内側に、本体1の他方の開口部(例えば
図1では1a)に螺着することができるように、本体1に形成された雄ネジに対応する雌ネジが形成されている。また、蓋体3には、本体1内部を加圧するための加圧開口部31が設けられている。
【0025】
加圧開口部31には、コンプレッサやボンベ等で加圧された空気や窒素等のガスを供給する供給管が接続されるようになっている。従って、本体1内部は、後述する濾過方法を行うときに、空気や窒素等のガスで加圧されるようになっている。尚、加圧開口部31は、上記供給管の着脱時、濾過時、並びに、濾過部材2が目詰まりしたときにおける濾過部材2の交換時の作業性を考慮して、蓋体3における周縁部(中心からずれた位置)に設けることが好ましい。
【0026】
また、本発明に係る濾過装置においては、本体1内部を加圧して濾過を行う代わりに、濾過部材2側から減圧し、本体1内部を吸引して濾過を行うこともできる。つまり、本発明に係る濾過装置においては、減圧(吸引)濾過を行うこともできる。この場合には、蓋体3は設けない。
【0027】
[濾過用フィルターカバー]
図1および
図2に示すように、実施の形態1に係る濾過用フィルターカバー5は、ガラス、プラスチック(樹脂)または金属で形成されており、濾過容器の支持部材21の内側に取り付けることができるように、当該支持部材21の内径よりも小さい外径を有している。尚、濾過用フィルターカバー5は、濾過容器の支持部材21の内側に取り付ける(固定する)ことなく、即ち、本体1内部に収容された状態で使用することもできる。この場合には、濾過用フィルターカバー5は、濾過容器内に混合物S1が入れられたときに、浮き上がらない重量を備えていればよい。
【0028】
濾過用フィルターカバー5は、支持部材21の内側に取り付けた状態において底となる位置(或いは、本体1内部に収容された状態において底となる位置)に、沈降した固形物(以下、後述する濾過方法に合わせて「土壌S2」と記す)を保持可能な第一保持部51を有している。第一保持部51は、濾過時にフィルター22の上方を覆う大きさに形成されている。第一保持部51は、表面に微細な凹凸が形成されていることがより好ましい。これにより、第一保持部51は、沈降した土壌S2がより付着し易いようになっている。また、第一保持部51の裏側(フィルター22に対向する側)には、脚部52が形成されており、濾過用フィルターカバーがフィルター22を覆った状態であっても、当該脚部52によって、第一保持部51とフィルター22との間に空間(隙間)が形成されるようになっている。上記脚部52の外側には、支持部材21の内側に螺着することができるように、支持部材21の内側に形成された雌ネジに対応する雄ネジが形成されている。濾過用フィルターカバー5は、螺着によって支持部材21の内側に取り付けられるときに濾過部材2のパッキン23を締め付け、これにより、パッキン23が混合物S1の漏れを防止するようになっている。尚、脚部52の高さは、濾過容器の支持部材21の内側に取り付ける場合には雄ネジを形成することができる高さがあればよく、特に限定されないものの、濾液S3の通過に支障がなければ、濾液S3をより多く取得することができるように、より低い方が好ましい。
【0029】
上記第一保持部51には、その中央部分に、溶媒を通過させる通過開口部54が設けられている。より好ましくは、上記第一保持部51には、その中央部分に、支持部材21の内側に取り付けた状態(または本体1内部に収容された状態)のとき(つまり、フィルター22を覆ったとき)に、第一保持部51から立設する(上に向かう)立設部位53で形成された、溶媒を通過させる通過開口部54が設けられている。通過開口部54を形成する立設部位53は、第一保持部51による土壌S2の保持を妨げず、また、混合物S1から溶媒を濾過するのに支障が無い高さに調節されている。それゆえ、濾過用フィルターカバー5に立設部位53が設けられている場合には、通過開口部54は、フィルター22を覆ったときに、第一保持部51よりも上方に位置するようになっている。尚、通過開口部54を設ける位置は、第一保持部51の周縁部分であってもよい。また、通過開口部54は複数設けられていてもよい。さらに、立設部位53は、円筒状等の筒状となっていればよく、その形状は限定されない。
【0030】
また、必要に応じて、濾過用フィルターカバー5には、本体1内部に収容された状態において、通過開口部54の上方に、当該通過開口部54を覆い、沈降した土壌S2を保持可能な第二保持部55が形成されていてもよい。溶媒が通過しない第二保持部55が形成されている場合には、通過開口部54は、支持部材21の内側に取り付けた状態(または本体1内部に収容された状態)において、横向き(フィルター22と平行)に開口していることとなる。
【0031】
尚、濾過用フィルターカバー5には、当該濾過用フィルターカバー5を支持部材21の内側に取り付けるときに濾過用フィルターカバー5を持ち易くするための突起等が必要に応じて形成されていてもよい。
【0032】
〔変形例〕
濾過用フィルターカバー5における通過開口部54は、支持部材21の内側に取り付けた状態(または本体1内部に収容された状態)において、
図2に示すように横向きに開口していてもよく、
図3の(a)に示すように下向きに開口していてもよい。或いは、濾過用フィルターカバー5における通過開口部54は、
図3の(b)に示すように上向きに開口していてもよい。さらには、
図3の(c)に示すように、特定の方向に向かって開口していてもよい。即ち、通過開口部54は、どの方向に向かって開口されていてもよい。
図3の(d)に、上記濾過用フィルターカバー5における取り替え可能な部分(立設部位53、通過開口部54、第二保持部55を一式とした部分)の、幾つかの変形例を示す。
【0033】
[濾過方法]
以下、濾過用フィルターカバーを用いた濾過方法に関して説明する。以下の説明においては、混合物に含まれる固形物が土壌である場合、即ち、濾過用フィルターカバーを土壌分析用の前処理に用いる場合を例に挙げることとする。そして、土壌分析が行われる手順に沿って説明することとする。
【0034】
通常、土壌分析を行う場合には、分析する対象物となる金属や化合物等の物質を土壌から溶媒によって抽出する工程と、抽出後に、土壌および溶媒を含む混合物から当該溶媒を濾過する工程とが行われる。先ず、試料である土壌(g)と溶媒(ml)とを、その比が1:10になるように混合して、混合物を調製する。溶媒の具体的な量は、濾液を10〜1000ml程度採取できる量であればよい。但し、土壌分析方法に基づく土壌分析を行う場合には、溶媒の量は、濾液を500ml程度採取できる量とする(例えば、土壌50g、水500ml)。また、上記溶媒は、水や有機溶媒が例示されるものの、土壌に含まれる金属や化合物等の物質(分析する対象物)に応じて選択するか、または、分析方法に定められた溶媒を選択すればよく、特に限定されるものではない。
【0035】
(濾過方法の形態1)
濾過用フィルターカバーを用いて、分離操作および濾過操作を行う濾過方法に関して、
図1を参照しながら以下に説明する。
【0036】
先ず、調製された混合物を、例えば常温・常圧で振盪または超音波振動させて、溶媒による抽出を行う(抽出操作)。
【0037】
一方、
図1に示すように、本体1に濾過部材2を取り付けた濾過容器を用意し、濾過用フィルターカバー5を本体1内部に収容する。若しくは、濾過用フィルターカバー5を有する濾過部材2を本体1に取り付けた濾過容器を用意する。そして、濾過部材2の下に、濾過後の溶媒である濾液S3を受けるビーカー等の受器(図示しない)を配置する。
【0038】
その後、抽出操作を行った混合物S1を、濾過容器(本体1+濾過部材2)内に入れる。また、本体1に蓋体3を取り付ける。尚、混合物S1を濾過容器内に入れる前に、例えば、混合物S1が入った容器を静置することによって、混合物S1に含まれる土壌S2の一部を予め沈降させて除去しておいてもよい。
【0039】
濾過容器内に入れた混合物S1は、濾過用フィルターカバー5の第一保持部51(および第二保持部55)に沈降した土壌S2が保持されるように、暫時、濾過容器を静置することによって、溶媒と土壌S2との分離操作が行われる。
【0040】
尚、この間にも、フィルター22による濾過は行われることとなる。分離操作を行っているときにフィルター22による濾過を停止するには、蓋体3の加圧開口部31を封止すればよい。加圧開口部31を封止することにより、本体1の上側は蓋体3で閉じられている(空気が入らない)ため、溶媒の表面張力、濾過容器の内圧および外圧により、フィルター22側に溶媒が流れ込まず、フィルター22から濾液(濾過後の溶媒)が漏れ出ることはなく、濾過は開始されない。従って、溶媒と土壌S2との分離操作をさらに進めることができる。加圧開口部31を封止することにより、溶媒と土壌S2との分離操作をさらに進めることができるので、濾過時において、フィルター22に土壌S2がより一層付着し難くすることができる。
【0041】
そして、土壌S2が充分に沈降した後、必要に応じて、蓋体3の加圧開口部31から加圧されたガスを供給して加圧濾過を行う。これにより、土壌S2が殆ど除去された混合物S1は濾過用フィルターカバー5の通過開口部54を通ってフィルター22に達し、当該フィルター22によって濾過される。尚、濾過後の溶媒である濾液S3は受器に受け止められて溜まる。
【0042】
つまり、濾過は、加圧開口部31を開放することによって開始される。そして、本体1内部を加圧することによって濾過の速度が加速される。
【0043】
尚、濾過後の溶媒である濾液S3に対しては、例えば、ICP、吸光度計、ガスクロマトグラフ、蛍光X線等を用いた分析が行われる。これにより、当該濾液S3に含まれる金属や化合物等の物質(分析する対象物)の同定および定量が行われる。上記分析時には、必要に応じて、前処理として、濾液への酸若しくは塩基の添加、濾液の濃縮若しくは希釈、濾液の乾燥等の一般的な処理が行われる。
【0044】
(濾過方法の形態2)
濾過用フィルターカバーを用いて、抽出操作、分離操作および濾過操作を一貫して行う濾過方法に関して、
図4を参照しながら以下に説明する。
【0045】
先ず、
図4の工程(a)に示すように、底となる蓋体10を取り付けた本体1に、所定の量の混合物S1を入れる。
【0046】
上記蓋体10は、上記本体1の開口部を封止するようになっている一般的な蓋である。蓋体10は、ガラス、プラスチック(樹脂)または金属で形成されている。また、蓋体10の内側には、本体1に螺着することができるように、本体1に形成された雄ネジに対応する雌ネジが形成されている。これにより、蓋体10は本体1に対して着脱容易であると共に、溶媒が漏れないようになっている。
【0047】
次いで、
図4の工程(b)に示すように、上記本体1の他方の開口部に蓋体30を取り付けて濾過容器を密閉し、溶媒による抽出を行う(抽出操作)。
【0048】
上記蓋体30は、上記本体1の開口部を封止する蓋部となっており、本体1に取り付けられた状態において底となる位置に、沈降した土壌を保持可能な保持部が形成されている。そして、保持部は、分離操作において沈降した土壌S2を保持可能な(より付着し易い)ように、表面に凹凸が形成されている。蓋体30の内側には、本体1に取り付けるための雌ネジが形成されている。
【0049】
抽出操作を行った後、
図4の工程(c)に示すように、濾過容器の上下を入れ替えて遠心分離等の分離操作を行う。次いで、
図4の工程(d),(e)に示すように、蓋体10と濾過用フィルターカバー5を有する濾過部材2とを取り替えて静置する。その後、
図4の工程(f)に示すように、濾過容器の上下を入れ替える。このとき、本体1の上側は蓋体30で閉じられている(空気が入らない)ため、溶媒の表面張力、濾過容器の内圧および外圧により、フィルター22側に溶媒が流れ込まず、濾過部材2のフィルター22から濾液(濾過後の溶媒)が漏れ出ることはなく、濾過は開始されない。従って、溶媒と土壌S2との分離操作を静置することでさらに進めることができる。また、濾過用フィルターカバー5の第一保持部51により、蓋体30の保持部に保持されなかった土壌S2の一部が保持されるので、濾過容器の上下を入れ替えたときに、土壌S2と充分に分離されていない溶媒がフィルター22側に流れ込むことを抑制することができる。
【0050】
このとき、濾過容器の下に、濾液を受けるビーカー等の受器を予め配置しておく。そして、
図4の工程(g)に示すように、蓋体30を取り外し、蓋体3を上記本体1に取り付ける。これにより、
図4の工程(h)に示すように、溶媒は、フィルター22によって濾過され、濾液となって受器に受け止められる(濾過操作)。つまり、濾過は、蓋体30を取り外しているときから開始される。そして、本体1内部を加圧することによって濾過の速度が加速される。
【0051】
(まとめ)
本発明の一実施の形態に係る濾過用フィルターカバー5は、
図1に示すように、フィルター22の目詰まりを防止する構成である第一保持部51を有している。これにより、濾過時において、フィルター22に土壌S2が付着し難くなっている。従って、固形物の粒子が非常に細かい場合においても、混合物S1から濾液S3を効率的に濾過(濾取)することができる、濾過用フィルターカバー5を用いた、簡便な濾過装置を提供することができる。
【0052】
また、二段階で濾過を行う必要が無く、作業の効率化を図ることができると共に、濾過装置が大型化しない(大掛かりとならない)ので、濾過後の装置の洗浄作業を低減することができる。さらに、二段階で濾過を行う必要が無いので、不純物が混入するおそれを低減することができると共に、蒸発による濾液の減少を抑制することができる。