(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筋硬度測定手段は、前記第1電動モータ駆動手段による前記第1電動モータの駆動中の所定時間内に前記電流検出手段によって検出されたモータ電流の平均値を、前記被施療者の筋肉の硬度の指標値として演算するように構成されている、請求項1に記載のマッサージ機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を椅子型マッサージ機に適用した場合の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る椅子型マッサージ機1の外観を示す一部切り欠き斜視図である。
椅子型マッサージ機1は、座部11と、背もたれ部12と、肘掛部13と、脚載部(オットマン)14と、これらの土台となる基台部10とを含む。
【0013】
以下の説明において、前後方向、左右方向および上下方向とは、被施療者が椅子型マッサージ機1に通常の姿勢で着座したときに、その被施療者から見た場合の前後方向、左右方向および上下方向をそれぞれいうものとする。
座部11は、基台部10上に配置されている。背もたれ部12は、座部11の後部に配置されている。肘掛部13は、座部11の左右両側に配置されている。脚載部14は、座部11の前側に配置されている。背もたれ部12は、背もたれ回動用アクチュエータ15(
図3参照)により、座部11に対して、傾動可能に支持されている。また、脚載部14は、脚載部回動用アクチュエータ16(
図3参照)により、座部上部近傍に設けられた左右方向に延びる支軸を中心として回動できるようになっている。
【0014】
背もたれ部12には、マッサージユニット17が内蔵されている。マッサージユニット17は、左右一対の施療子(揉み玉)41を使用した各種マッサージを行うためのものである。背もたれ部12には、上下方向に延びる左右一対の断面U形状のガイドレール19,20(
図2参照)が設けられており、マッサージユニット17はガイドレール19,20に沿って上下方向に移動できるようになっている。マッサージユニット17の詳細な構成については、後述する。
【0015】
座部11、背もたれ部12、肘掛部13および脚載部14には、エアバック(図示略)が設けられている。各エアバッグは、エアポンプ(図示略)から電磁弁(図示略)を介して空気が供給されることにより膨張する。各エアバッグは、収縮時は偏平な形態であり、適宜膨張することで、被施療者に対して押圧の刺激を加える。
一方の肘掛部13には、操作装置支持部材21および表示装置支持部材22が取り付けられている。操作装置支持部材21には、被施療者が椅子型マッサージ機1を操作するための操作装置23が取外し自在に取り付けられている。表示装置支持部材22には、表示装置24が取外し自在に取り付けられている。表示装置24は、例えば液晶ディスプレイである。
【0016】
図2は、マッサージユニット17の構成を図解的に示す斜視図である。
マッサージユニット17は、ガイドレール19,20に対して昇降自在に取り付けられている。マッサージユニット17は、矩形枠状のメインフレーム31を含む。メインフレーム31は、左右一対の側壁と、これらの側壁の上端どうしおよび下端どうしをそれぞれ結合する天壁および底壁とからなる。メインフレーム31には、左右方向に延びたガイド軸32および昇降用駆動軸33が回転自在に取り付けられている。ガイド軸32は、メインフレーム31の上部に配置され、昇降用駆動軸33はメインフレーム31の下部に配置されている。ガイド軸32および昇降用駆動軸33の両端部は、メインフレーム31の両側壁から外方に突出している。ガイド軸32の両端部には、ガイドレール19,20によって案内されるガイドローラ34が取り付けられている。昇降用駆動軸33の両端部には、ガイドレール19,20に設けられたラック(図示略)と噛み合うピニオンギヤ35が取り付けられている。メインフレーム31には、昇降用駆動軸33を回転させるための昇降用モータ36が取り付けられている。昇降用モータ36は、昇降用駆動軸33にギヤ機構37を介して連結されている。昇降用モータ36が回転されることによって、マッサージユニット17はガイドレール19,20に沿って昇降される。
【0017】
マッサージユニット17には、昇降用駆動軸33の回転量を検出することによって、マッサージユニット17の昇降位置(上下方向位置)を検出するための昇降位置センサ38が設けられている。昇降位置センサ38は、昇降用駆動軸33の回転量を検出するためのロータリーエンコーダからなる。
昇降用駆動軸33の長さ中間部には、揺動フレーム39が前後方向に揺動自在に取り付けられている。揺動フレーム39には、左右一対の施療子41およびその駆動機構を備えた施療子駆動ユニット40が取り付けられている。メインフレーム31には、揺動フレーム(施療子駆動ユニット)を前後方向に進退させるための施療子駆動ユニット進退機構(移動機構)が設けられている。
【0018】
施療子駆動ユニット進退機構について説明する。メインフレーム31には、ガイド軸32の下側に配置されかつ左右方向に延びた進退軸42が回転自在に取り付けられている。メインフレーム31の一方の側部には、進退軸42を回転させるための進退用モータ43が取り付けられている。進退用モータ43は、ギヤ機構44を介して進退軸42に連結されている。進退軸42の長さ中間部には、左右一対のピニオンギヤ45が取り付けられている。揺動フレーム39の上部には、左右一対のピニオンギヤ45と噛み合う円弧状ラック46がそれぞれ設けられている。進退用モータ43によって進退軸42が回転されると、ピニオンギヤ45が回転し、円弧状ラック46が移動する。これにより、揺動フレーム39が昇降用駆動軸33を中心として揺動する。これにより、施療子駆動ユニット40(施療子41)が前後方向に進退する。
【0019】
マッサージユニット17には、進退軸42の回転量を検出することによって、施療子駆動ユニット40の前後位置を検出するための前後位置センサ47が設けられている。前後位置センサ47は、進退軸42の回転量を検出するためのエンコーダからなる。
施療子駆動ユニット40は、施療子41を偏心回動させることによって揉み動作を行う揉み機構と、施療子41を前後方向に揺動させることによって叩き動作を行う叩き機構とを備えている。揉み機構または叩き機構は、マッサージ機構の一例である。揉み機構は、アクチュエータ(駆動源)としての揉み用モータ48を含んでいる。叩き機構は、アクチュエータ(駆動源)としての叩き用モータ49を含んでいる。揉み動作には、施療子が上方向に動作する「揉み上げ」と、施療子が下方向に動作する「揉み下げ」とがある。「揉み上げ」と「揉み下げ」とでは、揉み用モータ48の回転方向が逆となる。
【0020】
マッサージユニット17には、昇降用モータ36のロータの回転角を検出するための回転角センサ50(
図3参照)および進退用モータ43のロータの回転角を検出するための回転角センサ51(
図3参照)が設けられている。また、マッサージユニット17には、揉み用モータ48のロータの回転角を検出するための回転角センサ52(
図3参照)および叩き用モータ49のロータの回転角を検出するための回転角センサ53(
図3参照)が設けられている。回転角センサ50〜53は、例えば、レゾルバ、エンコーダ等からなる。
【0021】
図3は、椅子型マッサージ機1の電気的構成を示すブロック図である。
図3においては、説明の便宜上、各エアバッグを膨張収縮させるためのエアポンプおよびその駆動回路ならびに電磁弁およびその駆動回路は省略されている。
椅子型マッサージ機1の内部には、椅子型マッサージ機1を制御するための制御部60が内蔵されている。制御部60は、マイクロコンピュータを含み、CPU、メモリ(RAM、ROM、不揮発性メモリ)61等を備えている。メモリ61には、椅子型マッサージ機1を制御するためのプログラム、必要なデータ等が記憶される。また、制御部60は、内部時計を備えている
制御部60には、操作装置23、表示装置24、背もたれ回動用アクチュエータ15の駆動回路71および脚載部回動用アクチュエータ16の駆動回路72が接続されている。制御部60には、さらに、マッサージユニット17内の昇降用モータ36の駆動回路73、進退用モータ43の駆動回路74、揉み用モータ48の駆動回路75および叩き用モータ49の駆動回路76が接続されている。制御部60には、さらに、マッサージユニット17内の昇降位置センサ38、前後位置センサ47および回転角センサ50,51,52,53が接続されている。
【0022】
制御部60は、操作装置23の操作等に基づいて、各アクチュエータ15,16の駆動回路71,72を制御する。また、制御部60は、操作装置23の操作等に基づいて、各モータ36,43,48,49の駆動回路73〜76、エアポンプの駆動回路(図示略)および電磁弁の駆動回路(図示略)を制御する。これにより、椅子型マッサージ機1は、各種のマッサージと筋硬度(筋肉の硬度)の測定とを行えるようになっている。
【0023】
言い換えれば、椅子型マッサージ機1は、マッサージモードと筋硬度測定モードとを有している。マッサージモードには、自動モードと手動モードとがある。自動モードでは、複数種類のマッサージコースの中から被施療者によって選択されたマッサージコースに従ったマッサージが行われる。手動モードでは、被施療者によって選択されたマッサージ種類のマッサージが行われる。筋硬度測定モードでは、被施療者の筋硬度を測定するための筋硬度測定処理が行われる。メモリ61には、複数種類のマッサージコースに応じた複数種類のマッサージプログラムと、筋硬度測定処理を実行するための筋硬度測定プログラムが記憶されている。
【0024】
制御部60は、昇降用モータ制御部62、進退用モータ制御部63、揉み用モータ制御部64および叩き用モータ制御部65を含んでいる。昇降用モータ制御部62は、昇降用モータ36の駆動時に、昇降用モータ36の回転速度(回転数)が所定の一定速度となるように駆動回路73を制御する。進退用モータ制御部63は、進退用モータ43の駆動時に、進退用モータ43の回転速度(回転数)が所定の一定速度となるように駆動回路74を制御する。揉み用モータ制御部64は、揉み用モータ48の駆動時に、揉み用モータ48の回転速度(回転数)が所定の一定速度となるように駆動回路75を制御する。叩き用モータ制御部65は、叩き用モータ49の駆動時に、叩き用モータ49の回転速度(回転数)が所定の一定速度となるように駆動回路76を制御する。
【0025】
各モータ36,43,48,49は、それらの回転速度が一定速度となるように制御(定速制御)されるので、モータ負荷が大きくなるとモータ電流が大きくなり、モータ負荷が小さくなるとモータ電流が小さくなる。つまり、これらのモータ電流は、モータ負荷の大きさの変化に応じて変化する。揉み用モータ48および叩き用モータ49のモータ負荷は、被施療者の筋肉が硬いほど大きくなる。したがって、揉み用モータ48または叩き用モータ49のモータ電流の大きさ(またはその平均値)は、被施療者の筋肉の硬度に応じた値になると考えられる。
【0026】
また、制御部60は、進退用モータ電流演算部66、揉み用モータ電流演算部67および叩き用モータ電流演算部68を含んでいる。進退用モータ電流演算部66は、進退用モータ43に流れるモータ電流を演算するための演算部である。揉み用モータ電流演算部67は、揉み用モータ48に流れるモータ電流を演算するための演算部である。叩き用モータ電流演算部68は、叩き用モータ49に流れるモータ電流を演算するための演算部である。
【0027】
さらに、制御部60は、マッサージ処理部69および筋硬度測定処理部70を含んでいる。マッサージ処理部69は、よく知られているように、被施療者によって選択されたマッサージモード(自動モードおよび手動モード)およびマッサージコースにしたがって、マッサージ処理を行う処理部である。筋硬度測定処理部70は、メモリ61内の筋硬度測定プログラムに従って筋硬度測定処理を行う処理部である。
【0028】
以下、昇降用モータ制御部62、進退用モータ制御部63、揉み用モータ制御部64、叩き用モータ制御部65、進退用モータ電流演算部66、揉み用モータ電流演算部67、叩き用モータ電流演算部68および筋硬度測定処理部70について詳しく説明する。
まず、進退用モータ制御部63および進退用モータ電流演算部66について説明する。
図4は、進退用モータ43の駆動回路74および進退用モータ制御部63の構成ならびに進退用モータ電流演算部66を示すブロック図である。
【0029】
この実施形態では、進退用モータ43は、ブラシ付き直流モータからなる。駆動回路74は、第1〜第4の4つのスイッチング素子81A〜84Aを含むHブリッジ回路からなる。各スイッチング素子81A〜84Aは、例えばトランジスタからなる。具体的には、駆動回路74は、ハイサイドの第1スイッチング素子81Aとローサイドの第2スイッチング素子82Aとからなる直列回路と、ハイサイドの第3スイッチング素子83Aとローサイドの第4スイッチング素子84Aとからなる直列回路とを含んでいる。各直列回路のハイサイドのスイッチング素子81A,83Aのコレクタは、電源Vcの正極端子に接続されている。第1スイッチング素子81Aのエミッタは、第2スイッチング素子82Aのコレクタに接続されている。第3スイッチング素子83Aのエミッタは、第4スイッチング素子84Aのコレクタに接続されている。各直列回路のローサイドのスイッチング素子82A,84Aのエミッタは、接地されている。
【0030】
第1スイッチング素子81Aと第2スイッチング素子82Aとの接続点には、進退用モータ43の第1端子が接続されている。第3スイッチング素子83Aと第4スイッチング素子84Aとの接続点は、シャント抵抗85Aを介して進退用モータ43の第2端子に接続されている。シャント抵抗85Aは、進退用モータ43に流れるモータ電流を検出するための電流検出用抵抗である。進退用モータ電流演算部66は、シャント抵抗85Aの両端間の電圧を測定することによって進退用モータ43に流れるモータ電流Im1を検出する。
【0031】
第2スイッチング素子82Aおよび第3スイッチング素子83Aがオフとされ、第1スイッチング素子81Aおよび第4スイッチング素子84Aがオンとされると、進退用モータ43は例えば正転方向に回転される。第1スイッチング素子81Aおよび第4スイッチング素子84Aがオフとされ、第2スイッチング素子82Aおよび第3スイッチング素子83Aがオンとされると進退用モータ43は例えば逆転方向に回転される。
【0032】
進退用モータ制御部63は、回転方向設定部90Aと、速度指令値設定部91Aと、速度偏差演算部92Aと、PI制御部93Aと、PWM制御部94Aと、回転角演算部95Aと、回転速度演算部96Aとを含む。回転角演算部95Aは、回転角センサ51の出力信号に基づいて、進退用モータ43のロータ回転角を演算する。回転速度演算部96Aは、回転角演算部95Aによって演算された進退用モータ43のロータ回転角を時間微分することにより、進退用モータ43の回転速度を演算する。
【0033】
回転方向設定部90Aは、施療子駆動ユニット40を移動させるべき方向(前進方向または後退方向)に応じた回転方向指令値を設定する。回転方向設定部90Aによって設定された回転方向指令値は、PWM制御部94Aに与えられる。速度指令値設定部91Aは、進退用モータ43の回転速度指令値を設定する。この実施形態では、回転速度指令値は所定の一定値である。
【0034】
速度偏差演算部92Aは、速度指令値設定部91Aによって設定された回転速度指令値と、回転速度演算部96Aによって演算された回転速度との偏差(速度偏差)を演算する。PI制御部93Aは、速度偏差演算部92Aによって演算された速度偏差に対してPI演算(比例積分演算)を行うことによって、電圧指令値を演算する。
PWM制御部94Aは、回転方向設定部90Aから与えられる回転方向指令値と、PI制御部93Aから与えられる電圧指令値とに基づいて、第1および第4スイッチング素子81A,84Aにそれぞれ与えられる第1および第4PWM信号と、第3および第2スイッチング素子83A,82Aにそれぞれ与えられる第3および第2PWM信号とを生成して、駆動回路74に与える。回転方向指令値が正転方向を表す指令値である場合には、第1および第4PWM信号は電圧指令値に応じたデューティ比のPWM信号として生成され、第3および第2PWM信号は非アクティブな信号となる。なお、この場合、第4PWM信号を、電圧指令値に応じたデューティ比のPWM信号ではなくHレベルの信号としてもよい。
【0035】
一方、回転方向指令値が逆転方向を表す指令値である場合には、第3および第2PWM信号は電圧指令値に応じたデューティ比のPWM信号として生成され、第1および第4PWM信号は非アクティブな信号となる。なお、この場合、第2PWM信号を、電圧指令値に応じたデューティ比のPWM信号ではなくHレベルの信号としてもよい。
駆動回路74は、PWM制御部94Aから与えられる第1〜第4PWM信号に基づいて、第1〜第4スイッチング素子81A〜84Aを制御する。これにより、進退用モータ43は、回転方向が回転方向設定部90Aによって設定された回転方向となり、回転速度が速度指令値設定部91Aによって設定された回転速度(所定の一定速度)と等しくなるように回転駆動される。
【0036】
図5は、昇降用モータ36の駆動回路73および昇降用モータ制御部62の構成を示すブロック図である。
図5において、
図4の81A〜84A,90A〜96Aで示される各部に対応する部分には、81B〜84B,90B〜96Bの符号を付して示す。
この実施形態では、昇降用モータ36は、ブラシ付き直流モータからなる。駆動回路73は、前述した進退用モータ43の駆動回路74と同様な構成を有しており、第1〜第4の4つのスイッチング素子81B〜84Bを含むHブリッジ回路からなる。第1〜第4の4つのスイッチング素子81B〜84Bは、前述した
図4の第1〜第4の4つのスイッチング素子81A〜84Aに対応している。ただし、この実施形態では、この駆動回路73には、シャント抵抗は設けられていない。各スイッチング素子81B〜84Bは、例えばトランジスタからなる。第1スイッチング素子81Bと第2スイッチング素子82Bとの接続点には、昇降用モータ36の第1端子が接続されている。第3スイッチング素子83Bと第4スイッチング素子84Bとの接続点は、昇降用モータ36の第2端子に接続されている。
【0037】
昇降用モータ制御部62は、前述した
図4の進退用モータ制御部63と同様な構成を有しており、回転方向設定部90Bと、速度指令値設定部91Bと、速度偏差演算部92Bと、PI制御部93Bと、PWM制御部94Bと、回転角演算部95Bと、回転速度演算部96Bとを含む。回転方向設定部90Bは、マッサージユニット17を移動させるべき方向(上昇方向または下降方向)に応じた回転方向指令値を設定する。
図5の他の各部91B〜96Bの動作は、
図4の対応する各部91A〜96Aと同様なので、その説明を省略する。
【0038】
図6は、揉み用モータ48の駆動回路75および揉み用モータ制御部64の構成ならびに揉み用モータ電流演算部67を示すブロック図である。
図6において、
図4の81A〜85A,90A〜96Aで示される各部に対応する部分には、81C〜85C,90C〜96Cの符号を付して示す。
この実施形態では、揉み用モータ48は、ブラシ付き直流モータからなる。駆動回路75は、前述した進退用モータ43の駆動回路74と同様な構成を有しており、第1〜第4の4つのスイッチング素子81C〜84Cを含むHブリッジ回路からなる。第1〜第4の4つのスイッチング素子81C〜84Cは、前述した
図4の第1〜第4の4つのスイッチング素子81A〜84Aに対応している。各スイッチング素子81C〜84Cは、例えばトランジスタからなる。第1スイッチング素子81Cと第2スイッチング素子82Cとの接続点には、揉み用モータ48の第1端子が接続されている。第3スイッチング素子83Cと第4スイッチング素子84Cとの接続点は、シャント抵抗85Cを介して揉み用モータ48の第2端子に接続されている。シャント抵抗85Cは、揉み用モータ48に流れるモータ電流を検出するための電流検出用抵抗である。揉み用モータ電流演算部67は、シャント抵抗85Cの両端間の電圧を測定することによって揉み用モータ48に流れるモータ電流Im3を検出する。
【0039】
揉み用モータ制御部64は、前述した
図4の進退用モータ制御部63と同様な構成を有しており、回転方向設定部90Cと、速度指令値設定部91Cと、速度偏差演算部92Cと、PI制御部93Cと、PWM制御部94Cと、回転角演算部95Cと、回転速度演算部96Cとを含む。回転方向設定部90Cは、実行しようとする揉み動作の種類(揉み上げまたは揉み下げ)に応じた回転方向指令値を設定する。
図6の他の各部91C〜96Cの動作は、
図4の対応する各部91A〜96Aと同様なので、その説明を省略する。
【0040】
図7は、叩き用モータ49の駆動回路76および叩き用モータ制御部65の構成ならびに叩き用モータ電流演算部68を示すブロック図である。
図7において、
図4の91A〜96Aで示される各部に対応する部分には、91D〜96Dの符号を付して示す。
この実施形態では、叩き用モータ49は、ブラシ付き直流モータからなる。叩き用モータ49の駆動回路76は、スイッチング素子81Dを含む。スイッチング素子81Dは、例えばトランジスタからなる。スイッチング素子81Dのコレクタは、電源Vcの正極端子に接続されている。スイッチング素子81Dのエミッタは、叩き用モータ49の第1端子に接続されている。叩き用モータ49の第2端子は、シャント抵抗85Dを介して接地されている。シャント抵抗85Dは、叩き用モータ49に流れるモータ電流を検出するための電流検出用抵抗である。叩き用モータ電流演算部68は、シャント抵抗85Dの両端間の電圧を測定することによって叩き用モータ49に流れるモータ電流Im2を検出する。
【0041】
叩き用モータ制御部65は、速度指令値設定部91Dと、速度偏差演算部92Dと、PI制御部93Dと、PWM制御部94Dと、回転角演算部95Dと、回転速度演算部96Dとを含む。速度指令値設定部91D、速度偏差演算部92D、PI制御部93D、回転角演算部95Dおよび回転速度演算部96Dの動作は、進退用モータ制御部63の速度指令値設定部91A、速度偏差演算部92A、PI制御部93A、回転角演算部95Aおよび回転速度演算部96Aの動作と同様である。PWM制御部94Dは、PI制御部93Dから与えられる電圧指令値に基づいて、電圧指令値に応じたデューティ比のPWM信号を生成し、駆動回路76に与える。駆動回路76は、PWM制御部94Dから与えられるPWM信号に基づいて、スイッチング素子81Dを制御する。これにより、叩き用モータ49は、回転速度が速度指令値設定部91Dによって設定される回転速度(所定の一定速度)に等しくなるように回転駆動される。
【0042】
次に、筋硬度測定処理部70について説明する。被施療者は、筋硬度を測定したい場合には、まず、操作装置23を操作して、筋硬度を測定したい部位(被測定部位、例えば肩部)に施療子41を移動させる。この後、被施療者は、操作装置23を操作して、筋硬度測定モードを選択する。筋硬度測定モードが選択されると、筋硬度測定処理部70は、筋硬度測定処理を開始する。
【0043】
図8は、筋硬度測定処理部70によって実行される筋硬度測定処理の手順を示すフローチャートである。
筋硬度測定モードが選択されると、筋硬度測定処理部70は、まず、進退用モータ制御部63を介して、進退用モータ43を所定方向に定速制御によって回転駆動させて、施療子41(施療子駆動ユニット40)を被施療者の被測定部位に接近させる方向に移動させる(ステップS1)。これにより、施療子41が前進して、被測定部位に押し付けられていく。
【0044】
進退用モータ43の駆動が開始されると、筋硬度測定処理部70は、次のステップS2およびS3の処理を、ステップS3の判定結果が肯定判定となるまで、第1の所定時間T1毎に繰り返し行う。ステップS2では、筋硬度測定処理部70は、進退用モータ電流演算部66によって演算されるモータ電流Im1を取得し、取得したモータ電流Im1を時間微分することにより、モータ電流Im1の変化率αを演算する。
【0045】
今回取得されたモータ電流Im1をIm1(n)とし、前回(所定時間前)に取得されたモータ電流Im1をIm1(n−1)とすると、モータ電流Im1の変化率αは、次式(1)で表される。
α=Im1(n)―Im1(n−1) …(1)
ステップS3では、筋硬度測定処理部70は、ステップS2で演算されたモータ電流Im1の変化率αが、所定の閾値A(A>0)以上であるか否かを判別する。このような判定を行っている理由について説明する。身体の硬さは、皮膚、脂肪および筋肉の多層構造による硬さである。皮膚および脂肪の厚さおよび硬さには個人差があるため、筋肉のみの硬さを計測するためには、皮膚および脂肪がそれ以上圧縮されない位置まで施療子41が押し込まれた後に、筋肉の硬さを計測する必要がある。
【0046】
図9は、進退用モータ43によって施療子41を一定速度で身体(被測定部位)に押し込んでいった場合に、進退用モータ43に流れるモータ電流Im1の時間的変化を示すグラフである。
施療子41が身体の表面に当接した状態から身体に一定速度で押し込まれると、最初は筋肉の表面を覆っている皮膚および脂肪が施療子41によって圧縮されていく。そして、皮膚および脂肪がそれ以上圧縮できない位置まで施療子41が押し込まれると、筋肉が施療子41によって圧縮されていく。筋肉は皮膚および脂肪に比べて硬いので、施療子41を一定速度で身体に押し込んでいった場合のモータ電流Im1の変化率は、皮膚および脂肪に対する変化率に比べて、筋肉に対する変化率αの方が大きくなる。
【0047】
したがって、
図9のグラフのうちの最初の緩やかな直線部分L1は皮膚および脂肪が施療子41によって圧縮されているときのモータ電流Im1の変化を示し、その後に曲線部を介して続く急峻な直線部分L2は筋肉が施療子41によって圧縮されているときのモータ電流Im1の変化を示していると考えられる。このことから、直線部分L1の勾配が、皮膚および脂肪に対するモータ電流Im1の変化率α(以下、α1という)に相当し、直線部分L1の勾配よりも大きい直線部分L2の勾配が、筋肉に対するモータ電流Im1の変化率α(以下、α2という)に相当すると考えることができる。
【0048】
ステップS3の判定は、被測定部位の皮膚および脂肪が、施療子41によってそれ以上圧縮されない位置まで、施療子41が押し込まれたか否かを判定するために行われている。閾値Aは、例えば、直線部分L1の勾配α1と直線部分L2の勾配α2との間の値に設定される。
ステップS3において、モータ電流Im1の変化率αが閾値A未満であると判別された場合には(ステップS3:NO)、筋硬度測定処理部70は、ステップS2に戻り、ステップS2およびS3の処理を再度行う。この場合、前回のステップS2の処理が行われてから、第1の所定時間T1が経過した時に、今回のステップS2の処理が実行されるように、今回のステップS2の処理の開始タイミングが制御される。
【0049】
ステップS3において、モータ電流Im1の変化率αが閾値A以上であると判別された場合には(ステップS3:YES)、筋硬度測定処理部70は、進退用モータ43の駆動を停止させる(ステップS4)。
次に、筋硬度測定処理部70は、叩き用モータ制御部65を介して、叩き用モータ43を定速制御によって回転駆動させて、施療子41に叩き動作を行わせる(ステップS5)。これにより、被測定部位に対して叩き動作が行われる。
【0050】
叩き用モータ43の駆動が開始されると、筋硬度測定処理部70は、次のステップS6およびS7の処理を、ステップS7の判定結果が肯定判定となるまで、第2の所定時間T2毎に繰り返し行う。ステップS6では、筋硬度測定処理部70は、叩き用モータ電流演算部68によって演算されるモータ電流Im2を取得して、メモリ61に記憶する。
ステップS7では、筋硬度測定処理部70は、前記ステップS5で叩き用モータ43が回転駆動されてから、第3の所定時間T3が経過したか否かを判別する。第3の所定時間T3が経過していない場合には(ステップS7:NO)、筋硬度測定処理部70は、ステップS6に戻り、ステップS6およびS7の処理を再度実行する。この場合、前回のステップS6の処理が行われてから、第2の所定時間T2が経過した時に、今回のステップS6の処理が実行されるように、今回のステップS6の処理の開始タイミングが制御される。
【0051】
ステップS7において、第3の所定時間T3が経過したと判別された場合には(ステップS7:YES)、筋硬度測定処理部70は、叩き用モータ49の駆動を停止させる(ステップS8)。
次に、筋硬度測定処理部70は、叩き用モータ49がステップS5で回転駆動されてからステップS8で停止されるまでに、メモリ61に記憶された複数のモータ電流Im2の平均値を、当該被施療者の当該被測定部位の筋硬度の指標として演算して、表示装置24に表示する(ステップS9)。そして、筋硬度測定処理部70は、今回の筋硬度測定処理を終了する。
【0052】
なお、ステップS9において、叩き用モータ49がステップS5で回転駆動されてからステップS8で停止されるまでに、メモリ61に記憶された複数のモータ電流Im2のうち、第3の所定時間T3よりも短い第4の所定時間T4内においてメモリ61に記憶された複数のモータ電流Im2の平均値を、当該被施療者の当該被測定部位の筋硬度の指標として演算するようにしてもよい。
【0053】
この実施形態では、筋硬度測定モードでは、進退用モータ43によって被測定部位の皮膚および脂肪がそれ以上圧縮されない位置まで施療子41が押し込まれた後に、叩き用モータ49を定速制御によって回転駆動させて、施療子41を用いた叩き動作を行うことができる。そして、叩き動作中に検出された叩き用モータ49のモータ電流に基づいて被測定部位の筋硬度を測定することができる。これにより、筋肉のみの硬度を測定することが可能となる。
【0054】
また、叩き用モータ49は、施療子41に叩き動作を行わせるための叩き機構の駆動源であり、進退用モータ43は、叩き機構を備えた施療子駆動ユニット40を被施療者に対して接近・離間方向に移動させるための施療子駆動ユニット進退機構(移動機構)の駆動源である。つまり、叩き用モータ49および進退用モータ43は、被施療者に対して叩き動作を行うために椅子型マッサージ機1に本来備えられているモータである。したがって、この実施形態では、特別な測定機器を用いることなく、筋肉のみの硬度を測定することが可能となる。
【0055】
図10は、筋硬度測定処理部70によって実行される筋硬度測定処理の他の例の手順を示すフローチャートである。
図10において、前述の
図8の各部のステップに対応するステップには、同じステップ番号を付して示す。
図10のステップS1〜S4の処理は、
図8のステップS1〜S4の処理と同様なのでその説明を省略する。
【0056】
ステップS4で、進退用モータ43の駆動が停止されると、筋硬度測定処理部70は、揉み用モータ制御部64を介して、揉み用モータ48を所定方向(例えば、揉み上げ動作方向)に定速制御によって回転駆動させて、施療子41に揉み動作(例えば揉み上げ動作)を行わせる(ステップS5A)。これにより、被測定部位に対して揉み動作(例えば揉み上げ動作)が行われる。
【0057】
揉み用モータ48の駆動が開始されると、筋硬度測定処理部70は、次のステップS6AおよびS7Aの処理を、ステップS7Aの判定結果が肯定判定となるまで、第5の所定時間T5毎に繰り返し行う。ステップS6Aでは、筋硬度測定処理部70は、揉み用モータ電流演算部67によって演算されるモータ電流Im3を取得して、メモリ61に記憶する。
【0058】
ステップS7Aでは、筋硬度測定処理部70は、前記ステップS5Aで揉み用モータ48が回転駆動されてから、第6の所定時間T6が経過したか否かを判別する。第6の所定時間T6が経過していない場合には(ステップS7A:NO)、筋硬度測定処理部70は、ステップS6Aに戻り、ステップS6AおよびS7Aの処理を再度実行する。この場合、前回のステップS6Aの処理が行われてから、第5の所定時間T5が経過した時に、今回のステップS6Aの処理が実行されるように、今回のステップS6Aの処理の開始タイミングが制御される。
【0059】
ステップS7Aにおいて、第6の所定時間T6が経過したと判別された場合には(ステップS7A:YES)、筋硬度測定処理部70は、揉み用モータ48の回転駆動を停止させる(ステップS8A)。
次に、筋硬度測定処理部70は、揉み用モータ48がステップS5Aで回転駆動されてからステップS8Aで停止されるまでに、揉み用モータ電流演算部67から取得されてメモリ61に記憶された複数のモータ電流Im3の平均値を、当該被施療者の当該被測定部位の筋硬度の指標として演算して、表示装置24に表示する(ステップS9A)。そして、筋硬度測定処理部70は、今回の筋硬度測定処理を終了する。
【0060】
なお、ステップS9Aにおいて、揉み用モータ48がステップS5Aで回転駆動されてからステップS8Aで停止されるまでに、メモリ61に記憶された複数のモータ電流Im3のうち、第6の所定時間T6よりも短い第7の所定時間T7内においてメモリ61に記憶された複数のモータ電流Im3の平均値を、当該被施療者の当該被測定部位の筋硬度の指標として演算するようにしてもよい。
【0061】
図10の変形例では、筋硬度測定モードにおいて、進退用モータ43によって被測定部位の皮膚および脂肪がそれ以上圧縮されない位置まで施療子41が押し込まれた後に、揉み用モータ48を定速制御によって回転駆動させて、施療子41を用いた揉み動作を行うことができる。そして、揉み動作中に検出された揉み用モータ48のモータ電流に基づいて被測定部位の筋硬度を測定することができる。これにより、筋肉のみの硬度を測定することが可能となる。
【0062】
また、揉み用モータ48は、施療子41に揉み動作を行わせるための揉み機構の駆動源であり、進退用モータ43は、揉み機構を備えた施療子駆動ユニット40を被施療者に対して接近・離間方向に移動させるための施療子駆動ユニット進退機構(移動機構)の駆動源である。つまり、揉み用モータ48および進退用モータ43は、被施療者に対して揉み動作を行うために椅子型マッサージ機1に本来備えられているモータである。したがって、この実施形態では、特別な測定機器を用いることなく、筋肉のみの硬度を測定することが可能となる。
【0063】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。例えば、前述の実施形態では、昇降用モータ36、進退用モータ43、揉み用モータ48および叩き用モータ49はブラシ付き直流モータであるが、これらのモータ36,43,48,49は三相ブラシレスモータ等の他の種類の電動モータであってもよい。これらのモータが三相ブラシレスモータである場合には、それらの駆動回路としては三相インバータ回路が用いられる。
【0064】
また、操作装置23は、例えば表示装置またはタッチパネル式表示装置を含んでいてもよい。この場合には、表示装置24はなくてもよい。
また、前述の実施形態では、この発明を椅子型マッサージ機に適用した場合について説明したが、この発明は、電動モータを駆動源とする叩き機構または揉み機構を備えたマッサージ機であれば、椅子型以外のマッサージ機(例えば、シート状マッサージ機)にも適用することができる。また、この発明は、エアバックを備えていないマッサージ機にも適用することができる。
【0065】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。