(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本願発明の実施形態を説明する。
【0010】
(回路入りコネクタ1)
図1には、回路入りコネクタ1(コネクタ)の斜視図を示している。
図2には、回路入りコネクタ1の分解斜視図を示している。
【0011】
本実施形態において回路入りコネクタ1は、微弱な電流が流れる回路間の影響が懸念されるような電子機器に用いられるコネクタである。電子機器は、回路基板と、回路基板を収容する筐体とを備えており、回路入りコネクタ1は、例えば、筐体の正面パネルに取り付けられる。
【0012】
図2に示すように、回路入りコネクタ1は、ハウジング2と、回路ユニット3と、を備えている。
図3には、ハウジング2の分解斜視図を示している。
図3に示すように、ハウジング2は、ハウジング本体4と、第1絶縁板5(第2保持板)と、第1カバー分割体6と、第2絶縁板7と、第2カバー分割体8と、を有する。ハウジング本体4、第1絶縁板5、第1カバー分割体6、第2絶縁板7、第2カバー分割体8が並べられる方向を以下、「コネクタ高さ方向」と定義する。第1カバー分割体6、第1絶縁板5、ハウジング本体4、第2絶縁板7、第2カバー分割体8は、コネクタ高さ方向に沿ってこの順に積層されている。
【0013】
回路入りコネクタ1は、更に、金属製である複数のコンタクト9を備えている。複数のコンタクト9は、ハウジング本体4に保持されている。
【0014】
(回路ユニット3)
図4には、折り畳まれた回路ユニット3の斜視図を示している。
図5には、折り畳む前の回路ユニット3の斜視図を示している。
図4及び
図5に示すように、回路ユニット3は、フレキシブル基板10と、内方コネクタ部分11と、複数の電子部品12と、を有する。電子部品12は、例えば抵抗器である。
【0015】
ここで、「挿抜方向」と「コネクタ幅方向」を定義する。
図3に示すように、ハウジング本体4は、外部ケーブルに取り付けられた外部コネクタを収容することで、外部コネクタと嵌合可能なパネルコネクタ部分13を有している。そして、外部コネクタをパネルコネクタ部分13に挿抜する方向を以下、「挿抜方向」と称する。また、挿抜方向とコネクタ高さ方向に対して直交する方向を以下、コネクタ幅方向と定義する。
【0016】
図4に戻り、フレキシブル基板10は、第1フレキシブル基板部分14と、第2フレキシブル基板部分15と、第3フレキシブル基板部分16と、第4フレキシブル基板部分17と、を有する。第1フレキシブル基板部分14と、第2フレキシブル基板部分15と、第3フレキシブル基板部分16と、第4フレキシブル基板部分17と、は、
図4に示すように回路ユニット3が折り畳まれた状態において、何れも平坦である。第1フレキシブル基板部分14の面内方向は、コネクタ高さ方向に対して直交している。換言すれば、第1フレキシブル基板部分14の厚み方向は、コネクタ高さ方向に一致している。従って、挿抜方向及びコネクタ幅方向は、第1フレキシブル基板部分14の面内方向に属している。第2フレキシブル基板部分15、第3フレキシブル基板部分16、第4フレキシブル基板部分17についても同様である。
図4に示すように回路ユニット3が折り畳まれた状態において、第2フレキシブル基板部分15、第1フレキシブル基板部分14、第3フレキシブル基板部分16、第4フレキシブル基板部分17は、コネクタ高さ方向においてこの順に積層されている。
【0017】
図5に示すように、回路ユニット3の折り畳み前の状態で、第1フレキシブル基板部分14と第2フレキシブル基板部分15は、コネクタ幅方向に離れて配置されており、湾曲自在な第1連結部分20によって相互に連結されている。第2フレキシブル基板部分15と第3フレキシブル基板部分16は、挿抜方向において離れて配置されており、湾曲自在な第2連結部分21によって相互に連結されている。第3フレキシブル基板部分16と第4フレキシブル基板部分17は、コネクタ幅方向において離れて配置されており、湾曲自在な第3連結部分22によって相互に連結されている。第4フレキシブル基板部分17と第1フレキシブル基板部分14は、挿抜方向において離れて配置されている。
【0018】
本実施形態において、第2連結部分21は、第1フレキシブル基板部分14寄りに位置しているので、フレキシブル基板10は、
図5に示す折り畳み前の状態で、全体としてH字状である。しかし、これに代えて、第2連結部分21は、第1フレキシブル基板部分14から遠くに位置することで、フレキシブル基板10は、折り畳み前の状態で、全体としてU字状であってもよい。更には、フレキシブル基板10は、折り畳み前の状態で、全体として一直線状であってもよい。
【0019】
(第1フレキシブル基板部分14)
第1フレキシブル基板部分14は、フレキシブル基板10が折り畳まれた状態で第2フレキシブル基板部分15と対向する対向面14Aと、対向面14Aと反対の面である非対向面14Bと、を有する。第1フレキシブル基板部分14には、1つのスリット25が形成されている。スリット25は、挿抜方向に延びるように、また、パネルコネクタ部分13(
図3を併せて参照)に向かって開口するように形成されている。第1フレキシブル基板部分14は、スリット25によって、第1領域14Pと、第2領域14Qと、に区分けされている。第1領域14Pは、第2領域14Qと比較して第1連結部分20から遠い領域である。
【0020】
第1領域14Pには、1つのスルーホール26(導体露出部)が形成されている。第1領域14Pのスルーホール26は、パネルコネクタ部分13寄りに形成されている。第2領域14Qには、1つのスルーホール26が形成されている。第2領域14Qのスルーホール26は、パネルコネクタ部分13寄りに形成されている。そして、第1領域14Pのスルーホール26と第2領域14Qのスルーホール26を結んだ線上にスリット25の一部が位置している。
【0021】
第1領域14Pの対向面14Aには、1つの電子部品12が表面実装されている。第1領域14Pの対向面14Aには、表面実装用のパッドP(導体露出部)が複数形成されている。第2領域14Qの対向面14Aには、2つの電子部品12が表面実装されている。第2領域14Qの対向面14Aには、表面実装用のパッドPが複数形成されている。第1フレキシブル基板部分14の対向面14Aに表面実装された3つの電子部品12は、コネクタ幅方向において互いに離れるように配置されている。なお、本実施形態において、第1フレキシブル基板部分14の非対向面14Bには、電子部品12が配置されていない。
【0022】
(第2フレキシブル基板部分15)
第2フレキシブル基板部分15は、フレキシブル基板10が折り畳まれた状態で第1フレキシブル基板部分14と対向する対向面15Aと、対向面15Aと反対の面である非対向面15Bと、を有する。第2フレキシブル基板部分15には、2つのスリット25が形成されている。各スリット25は、挿抜方向に延びるように、また、パネルコネクタ部分13(
図3を併せて参照)に向かって開口するように形成されている。第2フレキシブル基板部分15は、2つのスリット25によって、第1領域15Pと、第2領域15Qと、第3領域15Rと、に区分けされている。第1領域15Pと、第2領域15Qと、第3領域15Rとは、第1連結部分20から離れる方向でこの順に並んでいる。
【0023】
第1領域15Pには、3つのスルーホール26が形成されている。第2領域15Qには、1つのスルーホール26が形成されている。第3領域15Rには、1つのスルーホール26が形成されている。第2フレキシブル基板部分15に形成されている5つのスルーホール26は、何れも、パネルコネクタ部分13寄りに形成されている。そして、第1領域15Pのスルーホール26と第2領域15Qのスルーホール26を結んだ線上にスリット25の一部が位置している。同様に、第2領域15Qのスルーホール26と第3領域15Rのスルーホール26を結んだ線上にスリット25の一部が位置している。
【0024】
第1領域15Pの非対向面15Bには、
図4に示すように、内方コネクタ部分11が表面実装されている。第1領域15Pの非対向面15Bには、表面実装用のパッドPが複数形成されている。
図5に戻り、第2領域15Qの対向面15Aには、1つの電子部品12が表面実装されている。第3領域15Rの対向面15Aには、1つの電子部品12が表面実装されている。第2領域15Qの対向面15A、及び、第3領域15Rの対向面15Aには、表面実装用のパッドPが複数形成されている。第2フレキシブル基板部分15の対向面15Aに表面実装された2つの電子部品12は、コネクタ幅方向において互いに離れるように配置されている。なお、本実施形態において、第2フレキシブル基板部分15の非対向面15Bには、電子部品12が配置されていない。
【0025】
(第3フレキシブル基板部分16、第4フレキシブル基板部分17)
第3フレキシブル基板部分16及び第4フレキシブル基板部分17においても、同様に、複数のスルーホール26や複数のスリット25が形成されており、また、複数の電子部品12が表面実装されている。
【0026】
(ハウジング2)
図3に戻り、本実施形態において、ハウジング2を構成するハウジング本体4、第1絶縁板5、第1カバー分割体6、第2絶縁板7、第2カバー分割体8は、何れも絶縁樹脂によって形成されている。
【0027】
(ハウジング本体4)
図6及び
図7は、それぞれ、ハウジング本体4を異なる角度から見た斜視図を示している。
【0028】
図6及び
図7に示すように、ハウジング本体4は、前述したパネルコネクタ部分13と、中段支持台30と、下段支持台31(第1保持板)と、を有する。本実施形態において、パネルコネクタ部分13と中段支持台30は一体成型されており、下段支持台31は別部品として形成されている。しかし、これに代えて、パネルコネクタ部分13、中段支持台30、下段支持台31を一体成型してもよい。パネルコネクタ部分13、中段支持台30、下段支持台31は、挿抜方向においてこの順に配置されている。
【0029】
パネルコネクタ部分13は、外部コネクタを受け入れ可能な筒部32と、筒部32の外周に環状に突出するフランジ33と、を有する。
【0030】
中段支持台30は、コネクタ高さ方向に対して直交する第1支持面34と、第1支持面34と反対の面である第2支持面35と、を有する。
【0031】
下段支持台31は、厚み方向がコネクタ高さ方向に一致する板体であって、第1絶縁板5(
図3を併せて参照)を向く第3支持面36と、第3支持面36と反対の面である第4支持面37と、を有する。
【0032】
図6に示すように、第1支持面34と第3支持面36は同じ方向を向いている。同様に、
図7に示すように、第2支持面35と第4支持面37は同じ方向を向いている。
【0033】
中段支持台30のコネクタ高さ方向における寸法は、下段支持台31のコネクタ高さ方向における寸法よりも大きい。従って、第1支持面34と第3支持面36の間には段差38が存在し、
図7に示すように、第2支持面35と第4支持面37の間には段差39が存在する。
【0034】
図6に戻り、第1支持面34から、複数のコンタクト9の接触部Cが突出している。同様に、第3支持面36から、複数のコンタクト9の接触部Cが突出している。各コンタクト9の接触部Cはコネクタ高さ方向に延びている。そして、第1支持面34から突出する複数のコンタクト9の接触部C、及び、第3支持面36から突出する複数のコンタクト9の接触部Cは、コネクタ高さ方向で見ても、挿抜方向で見ても、実質的に千鳥配置されており、もって、複数のコンタクト9の接触部Cの間の空間距離が効果的に確保されている。
【0035】
図7に示すように、第2支持面35から、複数のコンタクト9の接触部Cが突出している。第4支持面37から、複数のコンタクト9の接触部Cが突出している。各コンタクト9の接触部Cはコネクタ高さ方向に延びている。そして、第2支持面35から突出する複数のコンタクト9の接触部C、及び、第4支持面37から突出する複数のコンタクト9の接触部Cは、コネクタ高さ方向で見ても、挿抜方向で見ても、実質的に千鳥配置されており、もって、複数のコンタクト9の接触部Cの間の空間距離が効果的に確保されている。
【0036】
図6に示すように、下段支持台31の第3支持面36には、コネクタ高さ方向に突出する1つのリブ40が形成されている。換言すれば、下段支持台31はリブ40を有している。リブ40は、挿抜方向に延びている。リブ40は、第1絶縁板5(
図3を併せて参照)に向かって突出している。リブ40は、下段支持台31の第3支持面36から突出する2つのコンタクト9の接触部Cの間に配置されている。
【0037】
同様に、
図7に示すように、下段支持台31の第4支持面37には、コネクタ高さ方向に突出する2つのリブ41が形成されている。換言すれば、下段支持台31は、2つのリブ41を有している。各リブ41は、挿抜方向に延びている。各リブ41は、第2絶縁板7(
図3を併せて参照)に向かって突出している。各リブ41は、下段支持台31の第4支持面37から突出し、コネクタ幅方向で隣り合う2つのコンタクト9の接触部Cの間に配置されている。
【0038】
図6及び
図7に示すように、下段支持台31は、コネクタ幅方向における側方の縁として、第1側縁45(周縁)及び第2側縁46(周縁)を有している。
【0039】
図6に示すように、第1側縁45には、第1絶縁板5を下段支持台31に取り付けるための2つのロック爪47が形成されている。2つのロック爪47は、挿抜方向において互いに離れて配置されている。2つのロック爪47の間において、第1側縁45には、第2絶縁板7を下段支持台31に取り付けるための1つのロック爪48が形成されている。
【0040】
図7に示すように、第2側縁46には、第1絶縁板5を下段支持台31に取り付けるための1つのロック爪49と、第2絶縁板7を下段支持台31に取り付けるための1つのロック爪50と、が形成されている。ロック爪49とロック爪50は、挿抜方向において互いに離れて配置されている。
【0041】
(第1絶縁板5)
図8及び
図9には、第1絶縁板5の異なる角度から見た斜視図を示している。
図8及び
図9に示すように、第1絶縁板5は、厚み方向がコネクタ高さ方向と一致する板体であって、第1カバー分割体6を向く外方面60と、ハウジング本体4の下段支持台31を向く内方面61と、を有している。内方面61は、外方面60の反対の面である。
【0042】
図8に示すように、外方面60には、第1カバー分割体6に向かって突出する2つのリブ62と、2つの収容凹部63と、が形成されている。各リブ62は、挿抜方向に延びている。2つのリブ62と2つの収容凹部63は、コネクタ幅方向において交互に並ぶように配置されている。
【0043】
図9に示すように、内方面61には、1つのリブ収容溝64と、2つの収容凹部65と、が形成されている。リブ収容溝64は、挿抜方向に延びている。リブ収容溝64は、コネクタ幅方向において2つの収容凹部65の間に形成されている。換言すれば、リブ収容溝64は、コネクタ幅方向において隣り合う2つの収容凹部65の間を区画する区画壁65Aに形成されている。
【0044】
図8及び
図9に示すように、第1絶縁板5は、コネクタ幅方向における側方の縁として、第1側縁70(周縁)及び第2側縁71(周縁)を有している。
【0045】
図8及び
図9に示すように、第1絶縁板5は、第1側縁70において、2つのロック梁72と、1つの端面対向部73と、を有する。2つのロック梁72と端面対向部73は、第1側縁70からコネクタ高さ方向に沿ってハウジング本体4の下段支持台31に向かって突出している。各ロック梁72は、第1側縁70からU字状に、片持梁状に突出している。2つのロック梁72と端面対向部73は、挿抜方向に沿って並べられている。端面対向部73は、2つのロック梁72の間に配置されている。従って、端面対向部73は、各ロック梁72に対して挿抜方向で隣り合っている。2つのロック梁72のうち何れか一方は省略することができる。
図9に示すように、端面対向部73は、内方面61よりも下段支持台31側に突出している。
【0046】
図9に示すように、第1絶縁板5は、第2側縁71において、1つのロック梁74と、1つの端面対向部75と、を有する。ロック梁74と端面対向部75は、第2側縁71からコネクタ高さ方向に沿ってハウジング本体4の下段支持台31に向かって突出している。ロック梁74は、第2側縁71からU字状に、片持梁状に突出している。ロック梁74と端面対向部75は挿抜方向に沿って並べられている。従って、ロック梁74と端面対向部75は挿抜方向で隣り合っている。端面対向部75は、内方面61よりも下段支持台31側に突出している。
【0047】
(第2絶縁板7)
図10及び
図11には、第2絶縁板7の異なる角度から見た斜視図を示している。
図10及び
図11に示すように、第2絶縁板7は、厚み方向がコネクタ高さ方向と一致する板体であって、第2カバー分割体8を向く外方面80と、ハウジング本体4の下段支持台31を向く内方面81と、を有している。内方面81は、外方面80の反対の面である。
【0048】
図11に示すように、外方面80には、第2カバー分割体8に向かって突出する3つのリブ82と、2つの収容凹部83と、が形成されている。各リブ82は、挿抜方向に延びている。3つのリブ82と2つの収容凹部83は、コネクタ幅方向において交互に並ぶように配置されている。
【0049】
図10に示すように、内方面81には、2つのリブ収容溝84と、3つの収容凹部85と、が形成されている。各リブ収容溝84は、挿抜方向に延びている。2つのリブ収容溝84と3つの収容凹部85は、コネクタ幅方向において交互に配置されている。コネクタ幅方向において隣り合う2つの収容凹部85の間に1つのリブ収容溝84が形成されている。詳しくは、各リブ収容溝84は、コネクタ幅方向において隣り合う2つの収容凹部85の間を区画する区画壁85Aに形成されている。
【0050】
図10及び
図11に示すように、第2絶縁板7は、コネクタ幅方向における側方の縁として、第1側縁90(周縁)及び第2側縁91(周縁)を有している。
【0051】
図10に示すように、第2絶縁板7は、第1側縁90において、1つのロック梁92と、1つの端面対向部93と、を有する。ロック梁92と端面対向部93は、第1側縁90からコネクタ高さ方向に沿ってハウジング本体4の下段支持台31に向かって突出している。ロック梁92は、第1側縁90からU字状に、片持梁状に突出している。ロック梁92と端面対向部93は、挿抜方向に沿って並べられている。従って、ロック梁92と端面対向部93は挿抜方向で隣り合っている。端面対向部93は、内方面81よりも下段支持台31側に突出している。
【0052】
図10及び
図11に示すように、第2絶縁板7は、第2側縁91において、1つのロック梁94と、1つの端面対向部95と、を有する。ロック梁94と端面対向部95はコネクタ高さ方向に沿ってハウジング本体4の下段支持台31に向かって突出している。ロック梁94は、第2側縁91からU字状に、片持梁状に突出している。ロック梁94と端面対向部95は挿抜方向に沿って並べられている。従って、ロック梁94と端面対向部95は挿抜方向で隣り合っている。
図10に示すように、端面対向部95は、内方面81よりも下段支持台31側に突出している。
【0053】
(第1カバー分割体6)
図2に示すように、第1カバー分割体6は、ハウジング本体4に向かって開口する箱型である。第1カバー分割体6には、複数のカバーロック爪96が形成されている。
【0054】
(第2カバー分割体8)
同様に、第2カバー分割体8は、ハウジング本体4に向かって開口する箱型である。第2カバー分割体8には、複数のカバーロック梁97が形成されている。
【0055】
そして、第1カバー分割体6と第2カバー分割体8でハウジング本体4をコネクタ高さ方向に挟み、第1カバー分割体6の複数のカバーロック爪96に第2カバー分割体8の複数のカバーロック梁97を係合させることで、第1カバー分割体6と第2カバー分割体8は互いに連結され、回路ユニット3が第1カバー分割体6及び第2カバー分割体8に収容される。なお、第1カバー分割体6には、内方コネクタ部分11を回路入りコネクタ1の外部空間に露出させるためのコネクタ開口98が形成されている。内方コネクタ部分11には、例えば、電子機器内の回路基板に搭載されたコネクタが嵌合される。
【0056】
(コンタクト9)
図6に示す複数のコンタクト9は、パネルコネクタ部分13の筒部32に至るまで延びている。これにより、複数のコンタクト9は、パネルコネクタ部分13に嵌合した外部コネクタのコンタクトに対して電気的に接触可能である。
【0057】
(組み立て手順)
以下、
図12から
図18を参照して、回路入りコネクタ1の組み立て手順を説明する。
【0058】
先ず、
図12(a)に示すように、ハウジング本体4の下段支持台31の第3支持面36(
図6を併せて参照)を上向かせた姿勢としておき、回路ユニット3の第1フレキシブル基板部分14を下段支持台31に載せる。これにより、
図5の第1フレキシブル基板部分14の非対向面14Bが
図6の下段支持台31の第3支持面36に面接触する。また、このとき、
図5の第1フレキシブル基板部分14のスリット25に
図6の下段支持台31のリブ40が挿入される。また、このとき、
図5の第1フレキシブル基板部分14の各スルーホール26に、
図6の下段支持台31の第3支持面36から突出する2つの接触部Cが挿入される。この状態で、各スルーホール26に各接触部Cをはんだ付けする。
【0059】
次に、
図12(b)に示すように、第1フレキシブル基板部分14に第1絶縁板5を載せて、第1絶縁板5を下段支持台31に取り付ける。具体的には、
図8の第1絶縁板5の2つのロック梁72を
図6の下段支持台31の2つのロック爪47に係合させると共に、
図9の第1絶縁板5のロック梁74を
図7の下段支持台31のロック爪49に係合させる。これにより、
図9の第1絶縁板5の内方面61と
図6の下段支持台31の第3支持面36は、
図5の第1フレキシブル基板部分14の対向面14A及び非対向面14Bに夫々面接触しつつ、第1フレキシブル基板部分14をコネクタ高さ方向で挟むことで、第1フレキシブル基板部分14を保持する。
【0060】
図13は、
図12のXIII−XIII線断面模式図を示している。
図13に示すように、第1絶縁板5を下段支持台31に取り付けると、下段支持台31のリブ40が第1フレキシブル基板部分14のスリット25に挿入されると共に、リブ40の突出方向における先端40Aが第1絶縁板5のリブ収容溝64に挿入される。すると、第1領域14Pのスルーホール26やパッドPと、第2領域14Qのスルーホール26やパッドPと、の間の沿面距離が極めて長く確保され、両者間の電気的絶縁が高いレベルで実現される。
【0061】
また、
図13の状態で、電子部品12が第1絶縁板5の収容凹部65に収容されるので、回路入りコネクタ1のコネクタ高さ方向におけるコンパクト化に寄与している。
【0062】
次に、
図14(a)に示すように、第1連結部分20を湾曲させつつ、第1絶縁板5の外方面60に第2フレキシブル基板部分15の対向面15Aを近づける。そして、
図14(b)に示すように、第1絶縁板5の外方面60に第2フレキシブル基板部分15の対向面15Aを面接触させる。このとき、
図5の第2フレキシブル基板部分15の2つのスリット25に
図8の第1絶縁板5の2つのリブ62が挿入される。また、このとき、
図5の第2フレキシブル基板部分15の各スルーホール26に、
図6の中段支持台30の第1支持面34から突出する各接触部Cが挿入される。この状態で、各スルーホール26に各接触部Cをはんだ付けする。
【0063】
図14(b)の状態においても、第2フレキシブル基板部分15の各スリット25に第1絶縁板5の各リブ62が挿入されるので、
図5の第1領域15Pの各スルーホール26と、第2領域15Qのスルーホール26及びパッドPと、第3領域15Rのスルーホール26及びパッドPと、の間の沿面距離が極めて長く確保され、電気的絶縁が高いレベルで実現される。
【0064】
図15は、
図14(b)のXV-XV線断面模式図を示している。
図15に示すように、第1絶縁板5を下段支持台31に取り付けると、コネクタ幅方向において第1絶縁板5の端面対向部73が第1フレキシブル基板部分14の端面14Eと対向する。すると、細い実線矢印で示すように、第1フレキシブル基板部分14の対向面14Aに形成されているパッドPから第1絶縁板5の端面対向部73の外側を通って第2フレキシブル基板部分15の対向面15Aに形成されているパッドPへ至る沿面距離が極めて長く確保され、両者間の電気的絶縁が高いレベルで実現される。
【0065】
なお、
図15に示す状態で、下段支持台31の第3支持面36と第1フレキシブル基板部分14の非対向面14Bが面接触している。第1フレキシブル基板部分14の対向面14Aと第1絶縁板5の内方面61が面接触している。第1絶縁板5の外方面60と第2フレキシブル基板部分15の対向面15Aが面接触している。
【0066】
続けて、
図16(a)に示すように、第2連結部分21を湾曲させつつ、ハウジング本体4の下段支持台31の第4支持面37に第3フレキシブル基板部分16を近づける。
図16(b)には、
図16(a)を上下逆に描いている。続けて、
図16(b)に示すように、下段支持台31の第4支持面37に第3フレキシブル基板部分16を面接触させる。このとき、
図5の第3フレキシブル基板部分16の2つのスリット25に
図7の2つのリブ41が挿入される。また、このとき、
図5の第3フレキシブル基板部分16の各スルーホール26に、
図7の下段支持台31の第4支持面37から突出する各接触部Cが挿入される。この状態で、各スルーホール26に各接触部Cをはんだ付けする。
【0067】
次に、
図17(a)に示すように、第2絶縁板7を下段支持台31に取り付ける。具体的には、
図11の第2絶縁板7のロック梁94を
図7のハウジング本体4の下段支持台31のロック爪50に係合させると共に、
図10の第2絶縁板7のロック梁92を
図6のハウジング本体4の下段支持台31のロック爪48に係合させる。これにより、第2絶縁板7と下段支持台31は、第3フレキシブル基板部分16をコネクタ高さ方向で挟むことで、第3フレキシブル基板部分16を保持する。
【0068】
次いで、
図17(b)に示すように、第3連結部分22を湾曲させつつ、第2絶縁板7に第4フレキシブル基板部分17を近づける。そして、
図18に示すように、第2絶縁板7に第4フレキシブル基板部分17を面接触させる。
【0069】
最後に、
図2に示す第1カバー分割体6と第2カバー分割体8で折り畳まれた回路ユニット3を挟むように、第1カバー分割体6と第2カバー分割体8を結合する。これにより、第1カバー分割体6及び第2カバー分割体8はハウジング本体4に取り付けられる。また、折り畳まれた回路ユニット3は第1カバー分割体6及び第2カバー分割体8により収容されると共に、
図1に示すように、回路ユニット3の内方コネクタ部分11が第1カバー分割体6のコネクタ開口98から露出する。
【0070】
以上に、本願の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は以下の特長を有する。
【0071】
図1から
図5に示すように、回路入りコネクタ1(コネクタ)は、少なくとも2つのコンタクト9と、少なくとも2つのコンタクトに電気的に接続された平坦な第1フレキシブル基板部分14を含むフレキシブル基板10と、少なくとも2つのコンタクト9及びフレキシブル基板10を収容するハウジング2と、を備える。回路入りコネクタ1は、第1フレキシブル基板部分14の面内方向で外部コネクタ(相手側コネクタ)と嵌合可能なコネクタである。
図3、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、ハウジング2は、第1フレキシブル基板部分14をコネクタ高さ方向(第1フレキシブル基板部分14の厚み方向)で挟むことで第1フレキシブル基板部分14を保持する下段支持台31(第1保持板)及び第1絶縁板5(第2保持板)を含む。
図5に示すように、第1フレキシブル基板部分14は、少なくとも2つのコンタクト9に電気的に接続される少なくとも2つのスルーホール26(導体露出部)と、少なくとも2つのスルーホール26の間に形成されるスリット25と、を有する。
図6に示すように、下段支持台31は、第1絶縁板5に向かって突出すると共に第1フレキシブル基板部分14のスリット25に挿入されるリブ40を有する。
図9及び
図13に示すように、第1絶縁板5は、リブ40の突出方向における先端40Aを収容するリブ収容溝64を有する。以上の構成によれば、少なくとも2つのスルーホール26の間の沿面距離を効果的に確保することができる。
【0072】
なお、上記実施形態において、スルーホール26は、導体露出部の一具体例であるとしたが、パッドPも導体露出部の一具体例に成り得る。
【0073】
また、上記の構成に代えて、第1絶縁板5は、下段支持台31に向かって突出すると共に第1フレキシブル基板部分14のスリット25に挿入されるリブを有し、下段支持台31は、リブの突出方向の先端を収容するリブ収容溝を有してもよい。
【0074】
また、
図5、
図6、
図9に示すように、スリット25、リブ40、及び、リブ収容溝64は、外部コネクタとの挿抜方向に沿って延びている。以上の構成によれば、挿抜方向に対して直交する方向における回路入りコネクタ1の小型化に寄与する。
【0075】
また、
図13に示すように、第1フレキシブル基板部分14には、少なくとも1つの電子部品12が実装されている。第1絶縁板5に、少なくとも1つの電子部品12を収容する収容凹部65が形成されている。以上の構成によれば、コネクタ高さ方向における回路入りコネクタ1の小型化に寄与する。
【0076】
なお、電子部品12を収容する収容凹部を第1絶縁板5に形成することに代えて、下段支持台31に形成してもよいし、第1絶縁板5及び下段支持台31の両方に形成してもよい。即ち、電子部品12を第1フレキシブル基板部分14の対向面14Aに配置するのであれば電子部品12を収容する収容凹部を第1絶縁板5に形成することが好ましく、電子部品12を第1フレキシブル基板部分14の非対向面14Bに配置するのであれば電子部品12を収容する収容凹部を下段支持台31に形成することが好ましく、或いは、予備的に第1絶縁板5及び下段支持台31の両方に形成しておけば電子部品12の配置を急遽変更することになっても当該変更に対して円滑に対応することができるようになる。
【0077】
また、
図4に示すように、フレキシブル基板10は、第1フレキシブル基板部分14から、コネクタ高さ方向において離れて配置された第2フレキシブル基板部分15を更に含む。
図15に示すように、下段支持台31と第1絶縁板5の間に第1フレキシブル基板部分14が配置されている。第1フレキシブル基板部分14と第2フレキシブル基板部分15の間に第1絶縁板5が配置されている。第2フレキシブル基板部分15には、少なくとも1つのパッドP(導体露出部)が形成されている。
図8及び
図15に示すように、第1絶縁板5の第1側縁70(周縁)から延びてコネクタ幅方向において第1フレキシブル基板部分14の端面14Eと対向する端面対向部73が形成されている。以上の構成によれば、第1フレキシブル基板部分14のパッドP(導体露出部)と、第2フレキシブル基板部分15のパッドP(導体露出部)と、の間の沿面距離を効果的に確保することができる。
【0078】
また、
図6に示すように、下段支持台31の第1側縁45(周縁)からコネクタ幅方向に突出する2つのロック爪47が形成されている。
図8に示すように、第1絶縁板5の第1側縁70からコネクタ高さ方向に沿って片持梁状に延び、2つのロック爪47と係合可能な2つのロック梁72が形成されている。端面対向部73と2つのロック梁72は、挿抜方向(第1絶縁板5の第1側縁70の長手方向)において隣り合うように配置されている。以上の構成によれば、端面対向部73と2つのロック梁72が集約されることで、回路入りコネクタ1の簡素な構造が実現される。
【0079】
なお、2つのロック爪47のうち一方を省略してもよい。また、2つのロック梁72のうち一方を省略してもよい。
【0080】
また、
図6に示すように、少なくとも2つのコンタクト9は、少なくとも4つのコンタクト9を含む。各コンタクト9は、フレキシブル基板10に対して電気的に接続される接触部Cを有する。そして、挿抜方向で見ても、コネクタ高さ方向で見ても、少なくとも4つのコンタクト9の接触部Cは千鳥配置されている。以上の構成によれば、少なくとも4つのコンタクト9の間の空間距離を効果的に確保することができる。
【0081】
また、
図6に示すように、各コンタクト9は、フレキシブル基板10に対して電気的に接続される接触部Cを有する。各コンタクト9の接触部Cは、コネクタ高さ方向に沿って延びている。
図5に示すように、第1フレキシブル基板部分14の少なくとも2つの導体露出部は、接触部Cが挿入可能なスルーホール26である。以上の構成によれば、各導体露出部に各接触部Cを効率よくはんだ付けできるようになる。
【0082】
また、
図5に示すように、第1フレキシブル基板部分14には、少なくとも1つの電子部品12が実装されている。
【0083】
また、リブ40の少なくとも一部がリブ収容溝64に収容されている。
【0084】
以上に、本願発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は以下のように変更できる。
【0085】
図5に示すように、フレキシブル基板10には複数のスルーホール26を形成したが、複数のスルーホール26に代えて複数のパッドを形成し、複数のコンタクト9の接触部Cを複数のパッドにはんだ付けするようにしてもよい。
【0086】
また、
図6において、筒部32内に延びる各コンタクト9は、ピン型であってもよいし、ソケット型であってもよい。