(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による感光性樹脂組成物は、(a)コポリマーと、(b)エポキシ樹脂化合物またはそれから誘導された化合物と、(c)重合性化合物と、(d)光重合開始剤と、(e)着色剤と、を含み得、所望される場合、(f)界面活性剤、(g)シランカップリング剤、及び/または(h)溶媒をさらに含み得る。
【0016】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/または「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び/または「メタクリレート」を意味する。
【0017】
以下、本発明の着色感光性樹脂組成物の各構成成分を詳細に説明する。
【0018】
(a)コポリマー
本発明において使用されるコポリマーは、(a−1)エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導された構造単位と、(a−2)芳香環を含有するエチレン系不飽和化合物から誘導された構造単位とを含んでもよく、また(a−3)(a−1)及び(a−2)と異なるエチレン系不飽和化合物から誘導された構造単位を追加で含んでもよい。
【0019】
コポリマーは、現像ステップにおいて現像性を有するためのアルカリ可溶性樹脂であり、その上にコーティングされた膜を形成するためのベース及び最終パターンを達成するための構造の役割も果たし得る。
【0020】
エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導された(a−1)構造単位
本発明において、構造単位(a−1)は、エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導される。エチレン系不飽和カルボン酸またはエチレン系不飽和カルボン酸無水物は、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーである。それらの好ましい例としては、不飽和モノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、アルファ−クロロアクリル酸、及びケイ皮酸、不飽和ジカルボン酸及びその無水物、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、及びメサコン酸、三価以上の不飽和ポリカルボン酸及びその無水物、ならびに二価以上のポリカルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステル、例えばモノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタレートなどが挙げられ得る。上記の化合物から誘導された構造単位は、単独で、または2つ以上の組み合わせでコポリマー中に含まれてもよい。
【0021】
構造単位(a−1)の量は、コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて、5〜65モル%、好ましくは10〜50モル%であってもよい。この量の範囲内において、現像性は、容易に維持され得る。
【0022】
芳香環を含有するエチレン系不飽和化合物から誘導された(a−2)構造単位
構造単位(a−2)は、芳香環を含有するエチレン系不飽和化合物から誘導され、芳香環を含有するエチレン不飽和化合物の好ましい例としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、スチレン、アルキル置換基を含有するスチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、及びオクチルスチレン、ハロゲンを含有するスチレン、例えばフルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、及びヨードスチレン、アルコキシ置換基を含有するスチレン、例えばメトキシスチレン、エトキシスチレン、及びプロポキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、アセチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o−ビニルベンジルジメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられ得る。
【0023】
上記の例示された化合物から誘導された構造単位は、単独で、または2つ以上の組み合わせでコポリマー中に含まれてもよい。
【0024】
上記化合物の中でも、スチレン化合物が、重合特性を考慮して好ましく使用されてもよい。
【0025】
構造単位(a−2)の量は、コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて、2〜70モル%、好ましくは5〜60モル%であってもよい。この量の範囲内において、好ましい耐化学性は、達成され得る。
【0026】
(a−1)及び(a−2)と異なるエチレン系不飽和化合物から誘導された(a−3)構造単位
(a−1)及び(a−2)に加えて、本発明において使用されるコポリマーは、(a−1)及び(a−2)とは異なるエチレン系不飽和化合物から誘導された構成単位を追加で含んでもよい。
【0027】
(a−1)及び(a−2)と異なるエチレン系不飽和化合物は、不飽和カルボン酸エステルを含んでもよく、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα−ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル基、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、及びN−ビニルモルホリンを含有する三級アミン、不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル、エポキシ基を含有するエチレン系不飽和化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジルアクリレート、α−n−プロピルグリシジルアクリレート、α−n−ブチルグリシジルアクリレート、N−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル)アクリルアミド、N−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、4−ヒドロキシ(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、及び2−メチルアリルグリシジルエーテル、ならびに不飽和イミド、例えばN−フェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられ得る。
【0028】
上記の例示された化合物から誘導された構造単位は、単独で、または2つ以上の組み合わせでコポリマー中に含まれてもよい。
【0029】
好ましくは、エポキシ基及び/または不飽和イミドを含有するエチレン系不飽和化合物から誘導された構造単位が使用され得、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、及び/またはN−置換マレイミドから誘導された構造単位は、共重合特性及び絶縁膜の強度における改善を考慮すると、より好ましくあり得る。
【0030】
構造単位(a−3)の量は、コポリマーを構成する構造単位の総モルに基づいて、10〜80モル%、好ましくは20〜75モル%であってもよい。この量の範囲内において、着色感光性樹脂組成物の貯蔵安定性は、維持され得、残りの膜の厚さは改善され得る。
【0031】
構造単位(a−1)〜(a−3)を有するコポリマーとしては、(メタ)アクリル酸/スチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N−シクロヘキシルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/n−ブチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル/N−フェニルマレイミドのコポリマーなどが挙げられ得る。
【0032】
コポリマーのうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つは、着色感光性樹脂組成物中に含まれてもよい。
【0033】
コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを基準としてゲル浸透クロマトグラフィ(溶出液:テトラヒドロフラン)で決定されるとき、3,000〜50,000、好ましくは5,000〜40,000の範囲であってもよい。この量の範囲内において、改善された基板に対する接着性、物理的/化学的特性、及び粘度は、有利に得られ得る。
【0034】
コポリマーは、着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0.5〜60重量%、好ましくは5〜50重量%の量の割合で使用され得る。この範囲内において、組成物は、現像後の良好なパターンプロファイル及び耐化学性のような改善された特性を有する膜を生成し得る。
【0035】
コポリマーは、分子量調整剤、ラジカル重合開始剤、溶媒、及び構造単位(a−1)〜(a−3)を反応器に注入し、窒素をそこにさらに注入し、その後、重合のためにゆっくりと撹拌することによって調製されてもよい。
【0036】
分子量調整剤は、メルカプタン化合物、例えばブチルメルカプタン及びオクチルメルカプタン、またはα−メチルスチレンダイマーであってもよいが、それらに限定されるものではない。
【0037】
ラジカル重合開始剤は、アゾ化合物、例えば2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、またはベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシドであってもよいが、それらに限定されるものではない。ラジカル重合開始剤は、単独で、または2つ以上の混合物として使用されてもよい。
【0038】
また、溶媒は、コポリマーの調製に一般的に使用される任意の従来の溶媒であってもよく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を含んでもよい。
【0039】
(b)エポキシ樹脂化合物またはそれから誘導された化合物
本発明の着色感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂化合物またはそれから誘導された化合物を含む。
【0040】
好ましくは、エポキシ樹脂化合物またはそれから誘導された化合物は、カルド主鎖構造を有してもよい。
【0041】
エポキシ樹脂化合物またはそれから誘導された化合物の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを基準としてゲル浸透クロマトグラフィで決定されるとき、400〜10,000の範囲であってもよい。
【0042】
好ましくは、エポキシ樹脂化合物またはそれから誘導された化合物は、以下の式3によって表されるカルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂化合物であってもよい。
【0045】
L
1は、各々独立して、C
1−10アルキレン基、C
3−20シクロアルキレン基、またはC
1−10アルキレンオキシ基であり、R
1〜R
7は、各々独立して、H、C
1−10アルキル基、C
1−10アルコキシ基、C
2−10アルケニル基、またはC
6−14アリール基であり、R
8は、H、メチル、エチル、CH
3CHCl−、CH
3CHOH−、CH
2=CHCH
2−、またはフェニルであり、nは、0〜10の整数である。
【0046】
C
1−10アルキレン基の好ましい例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン、t−ブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、t−ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、イソオクチレン、t−オクチレン、2−エチルヘキシレン、ノニレン、イソノニレン、デシレン、イソデシレンなどが挙げられ得る。C
3−20シクロアルキレン基の好ましい例としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、デカリニレン、アダマンチレンなどが挙げられ得る。C
1−10アルキレンオキシ基の好ましい例としては、メチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、ブチレンオキシ、sec−ブチレンオキシ、t−ブチレンオキシ、ペンチレンオキシ、ヘキシレンオキシ、ヘプチレンオキシ、オクチレンオキシ、2−エチル−ヘキシレンオキシなどが挙げられ得る。C
1−10アルキル基の好ましい例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシルなどが挙げられ得る。C
1−10アルコキシ基の好ましい例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブチルオキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチルオキシ、2−エチル−ヘキシルオキシなどが挙げられ得る。C
2−10アルケニル基の好ましい例としては、ビニル、アリル、ブテニル、プロペニルなどが挙げられ得る。C
6−14アリール基の好ましい例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチルなどが挙げられ得る。
【0047】
好ましい例において、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂化合物は、下記の合成ルートによって調製されてもよい。
【0049】
反応スキーム1において、Halはハロゲンであり、X、R
1、R
2、及びL
1は、式3で定義されたものと同じである。
【0050】
カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂から誘導された化合物は、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂を不飽和塩基酸と反応させて、エポキシ付加物を生成し、その後、このように得られたエポキシ付加物を多塩基酸無水物と反応させることによって、またはこのように得られた生成物を単官能性もしくは多官能性エポキシ化合物とさらに反応させることによって得られてもよい。当技術分野において既知の任意の不飽和塩基酸、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ソルビン酸などが使用されてもよい。当技術分野において既知の任意の多塩基酸無水物、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水トリメリト酸、無水ピロメリト酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物などが使用されてもよい。当技術分野において既知の任意の単官能性または多官能性エポキシ化合物、例えば、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールZグリシジルエーテルなどが使用されてもよい。
【0051】
好ましい例において、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂から誘導された化合物は、下記の合成ルートによって調製されてもよい。
【0053】
反応スキーム2において、R
9は、各々独立して、H、C
1−10アルキル基、C
1−10アルコキシ基、C
2−10アルケニル基、またはC
6−14アリール基であり、R
10及びR
11は、各々独立して、飽和または不飽和C
6脂肪族環またはベンゼン環であり、nは、1〜10の整数であり、X、R
1、R
2、及びL
1は、式3で定義されたものと同じである。
【0054】
カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂化合物またはそれから誘導された化合物が使用される場合、カルド主鎖構造は、基板に対する硬化材料の接着性、耐アルカリ性、加工性、強度などを改善し得る。さらに、微細解像度を有する画像は、現像時に未硬化部が除去されると、パターンにおいて形成されてもよい。
【0055】
エポキシ樹脂化合物またはそれから誘導された化合物の量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の総重量(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、1〜70重量%、及び好ましくは5〜50重量%であってもよい。この範囲内において、解像度及び耐化学性は、改善され得る。さらに、パターンプロファイルは十分に維持され得、パターン間の一定の高さの違いは、所望のマージン幅(すなわち、許容される幅)内で有利に得られ得る。
【0056】
(c)重合性化合物
本発明において使用される重合性化合物は、重合開始剤の作用によって重合されてもよい任意の化合物であってもよく、着色感光性樹脂組成物の調製において一般的に使用される多官能性モノマー、オリゴマー、またはポリマーであってもよい。
【0057】
より好ましくは、重合性化合物としては、少なくとも1つのエチレン系不飽和二重結合を有する単官能性ならびにアクリル酸またはメタアクリル酸の多官能性エステル化合物が挙げられ得、好ましくは、耐化学性の観点から、少なくとも2つの官能基を有する多官能性化合物が挙げられ得る。
【0058】
重合性化合物は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びコハク酸のモノエステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びコハク酸のモノエステル、カプロラクトン改変ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート−ヘキサメチレンジイソシアネート(ペンタエリスリトールトリアクリレート及びヘキサメチレンジイソシアネートの反応生成物)、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されてもよいが、それらに限定されるものではない。
【0059】
市販の重合性化合物の例としては、(i)単官能性(メタ)アクリレート、例えばToagosei Co.,Ltd.製のAronix M−101、M−111、及びM−114、Nippon Kayaku Co.,Ltd.製のKAYARAD T4−110S及びT4−120S、ならびにOsaka Yuki Kayaku Kogyo Co.,Ltd.製のV−158及びV−2311、(ii)二官能性(メタ)アクリレート、例えばToagosei Co.,Ltd.製のAronix M−210、M−240、及びM−6200、Nippon Kayaku Co.,Ltd.製のKAYARAD HDDA、HX−220、及びR−604、ならびにOsaka Yuki Kayaku Kogyo Co.,Ltd.製のV−260、V−312、及びV−335 HP、ならびに(iii)三官能性以上の(メタ)アクリレート、例えばToagosei Co.,Ltd.製のAronix M−309、M−400、M−403、M−405、M−450、M−7100、M−8030、M−8060、及びTO−1382、Nippon Kayaku Co.,Ltd.製のKAYARAD TMPTA、DPHA、DPHA−40H、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、及びDPCA−120、ならびにOsaka Yuki Kayaku Kogyo Co.,Ltd.製のV−295、V−300、V−360、V−GPT、V−3PA、V−400、及びV−802が挙げられ得る。
【0060】
重合性化合物の量は、着色感光性樹脂組成物の総固形分(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、1〜60重量%、好ましくは5〜45重量%であってもよい。この量の範囲内において、パターンは、容易に形成され得、スカムなどのパターンプロファイルの欠陥は、現像中の端部に発生し得ない。
【0061】
(d)光重合開始剤
本発明において使用される光重合開始剤は、オキシム光重合開始剤(オキシムエステル光重合開始剤)及びトリアジン光重合開始剤を含む。
【0062】
オキシム光重合開始剤は、以下の式1によって表される化合物である。
【0064】
式1において、R
1〜R
4は、各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換C
1−12アルキル、置換もしくは非置換C
2−12アルケニル、置換もしくは非置換ハロ−C
1−12アルキル、置換もしくは非置換C
6−12アリール、置換もしくは非置換C
3−12シクロアルキル、置換もしくは非置換C
1−12アルコキシ、またはC
1−12エステルであり、Aは、置換もしくは非置換5〜12員ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換5〜7員ヘテロシクロアルキルであり、R
1〜R
4及びAの置換基は、各々独立して、ハロゲン、ハロ−C
1−12アルキル、C
1−12アルキル、C
2−12アルケニル、C
6−12アリール、C
3−12シクロアルキル、C
1−12アルコキシ、カルボキシ、ニトロ、及びヒドロキシからなる群から選択される少なくとも1つであり、Y
1は、−O−、−S−、または−Se−であり、mは、0〜4の整数であり、mが2以上の整数の場合、R
4は同じまたはそれぞれに異なり、pは、0〜5の整数であり、qは、0または1である。
【0065】
ここで、5〜12員ヘテロアリール、または5〜7員ヘテロシクロアルキルは、各々独立して、N、S、及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
【0066】
加えて、C
1−12エステルは、1〜12の炭素原子を有し、エステル基(−C(=O)−O−)を含有する炭化水素基を意味する。
【0067】
具体的には、式1の化合物は、以下の式1aによって表され得る。
【0069】
式1aにおいて、R
1〜R
4、p、及びAは、式1で定義されたものと同じである。
【0070】
具体的には、式1の化合物は、以下の式1bによって表され得る。
【0072】
トリアジン光重合開始剤は、以下の式2によって表される化合物である。
【0074】
式2において、R
5及びR
6は、ハロメチルであり、R
7は、各々独立して、C
1−4アルキルまたはC
1−4アルコキシであり、nは、0〜3の整数である。
【0075】
具体的には、式2の化合物は、以下の式2aによって表され得る。
【0077】
式1のオキシム光重合開始剤は、短波長で反応する高感度開始剤である。オキシム光重合開始剤が単独で使用される場合、着色感光性樹脂組成物の感度が改善され得るが、露光マージンは低下し得、黒色カラムスペーサなどに必要とされる高さの違いを形成することが困難であり得る。反対に、式2のトリアジン光重合開始剤は、長波長で反応する開始剤であり、トリアジン光重合開始剤が単独で使用される場合、着色感光性樹脂組成物の露光マージンは好ましくあり得るが、感度は低下し得、それによって硬化膜の生産性が低下する。本発明において、オキシム光重合開始剤とトリアジン光重合開始剤を光重合開始剤として合わせて使用することは、黒色カラムスペーサなどに必要とされる高さの違いの製作を容易にし、感度及び着色感光性樹脂組成物の露光マージンの両方を向上する。
【0078】
式1のオキシム光重合開始剤及び式2のトリアジン光重合開始剤のそれぞれの量は、着色感光性樹脂組成物の総固形分(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0.01〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%であってもよい。
【0079】
この場合、式1の化合物及び式2の化合物は、2:8〜8:2、好ましくは2.5:7.5〜7.5:2.5、さらに好ましくは3:7〜7:3の重量比を有し得る。これらの範囲内において、組成物は、露光によって十分に硬化され得、それによって優れた感度及び露光マージンを有利に達成する。
【0080】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、任意の既知の光重合開始剤であり得る別の光重合開始剤をさらに含んでもよい。
【0081】
追加の光重合開始剤は、アセトフェノン化合物、非イミダゾール化合物、オニウム塩化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ジケトン化合物、α−ジケトン化合物、多核キノン化合物、チオキサントン化合物、ジアゾ化合物、イミドスルホネート化合物、カルバゾール化合物、スルホニウムボレート化合物、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0082】
光重合開始剤は、着色感光性樹脂組成物の総固形分(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0.02〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%の量で含まれ得る。この範囲内において、樹脂組成物は、スペーサパターンを容易に得るために、露光によって十分に硬化され得、このように形成されたスペーサは、現像中、基板に対する十分な接着性を有し得る。
【0083】
(e)着色剤
着色剤は、遮光性を付与するため、本発明の着色感光性樹脂組成物内に添加される。
【0084】
本発明において使用される着色剤は、2つ以上の無機または有機着色剤の混合物であってもよく、好ましくは高い発色性及び高耐熱性を有する。具体的には、2つ以上の有機着色剤の混合物は、黒色マトリックスを通した光漏れの防止のため及びマスクアラインメント用の透過を確保するために有利に使用され得る。
【0085】
加えて、着色剤は、黒色着色剤及び青色着色剤を含み得る。黒色着色剤は、黒色無機着色剤及び/または黒色有機着色剤であり得る。
【0086】
一実施形態によると、着色感光性樹脂組成物は、着色剤として黒色有機着色剤を含み得て、任意選択で、黒色無機着色剤及び青色着色剤をさらに含み得る。
【0087】
任意の黒色無機着色剤、任意の黒色有機着色剤、及び当技術分野において既知の任意の青色着色剤が、本発明で使用されてもよい。例えば、Color Index(The Society of Dyers and Colouristsによって発行)において顔料及び当技術分野において既知の任意の染料として分類される化合物が使用されてもよい。
【0088】
黒色無機着色剤の特定の例としては、カーボンブラック、チタンブラック、金属酸化物、例えばCu−Fe−Μn系酸化物及び合成鉄黒などが挙げられ得る。これらの中でも、所望のパターン性及び耐化学性のためのカーボンブラックが好ましい。加えて、黒色有機着色剤の特定の例としては、アニリンブラック、ラクタムブラック、ペリレンブラックなどが挙げられ得る。これらの中でも、所望の光学密度、誘電率などのためのラクタムブラック(例えば、BASFのBlack 582)が好ましい。青色着色剤の特定の例としては、C.I. Pigment Blue15:6、C.I. Pigment Blue15:4、C.I. Pigment Blue60、C.I. Pigment Blue16などが挙げられ得る。これらの中でも、光漏れを防止するためのC.I.Pigment Blue15:6が好ましい。
【0089】
黒色無機着色剤の量は、着色感光性樹脂組成物の総固形分(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0〜20重量%、好ましくは0重量%よりも多く最大20重量%、さらに好ましくは0〜6重量%であってもよい。黒色有機着色剤の量は、着色感光性樹脂組成物の総固形分(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、10〜40重量%であってもよい。青色着色剤の量は、着色感光性樹脂組成物の総固形分(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0〜15重量%、好ましくは1〜15重量%であってもよい。
【0090】
着色剤の総量は、着色感光性樹脂組成物の総固形分(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、10〜60重量%、好ましくは20〜60重量%であってもよい。この範囲内において、光漏れを防止すること及びマスクアラインメント用に必要な透過率のために、樹脂組成物は高い光学密度を有利に有し得る。
【0091】
一方、分散剤が本発明の着色感光性樹脂組成物において着色剤を分散するために使用され得る。分散剤の例としては、着色剤のための任意の既知の分散剤が挙げられ得る。特定の例としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、シリコン界面活性剤、フッ素界面活性剤などが挙げられ得る。市販の分散剤としては、BYK CoからのDisperbyk−182、Disperbyk−183、Disperbyk−184、Disperbyk−185、Disperbyk−2000、Disperbyk−2150、Disperbyk−2155、Disperbyk−2163、またはDisperbyk−2164が挙げられ得る。これらの化合物は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせとして使用されてもよい。分散剤は、それによって着色剤を表面処理することによって、着色剤に予め添加されてもよく、または着色感光性樹脂組成物を調製する間に、着色剤とともに添加されてもよい。
【0092】
代替的に、着色剤は、着色感光性樹脂組成物の調製に使用されるために、結合剤と混合され得る。この場合、結合剤は、本発明に記載のコポリマー(a)、既知のコポリマー、またはそれらの混合物であってもよい。
【0093】
このため、本発明において使用される着色剤は、分散剤、結合剤、溶媒などと着色剤を混合することで得られる着色分散体(すなわち、着色練り顔料)の形態で、着色感光性樹脂組成物に添加されてもよい。
【0094】
(f)界面活性剤
本発明の着色感光性樹脂組成物は、コーティング性を改善して、欠陥の発生を防止するために界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0095】
界面活性剤の種類は、特に限定されないが、例えば、フッ素系界面活性剤またはシリコン系界面活性剤が使用されてもよい。
【0096】
市販のシリコン系界面活性剤としては、Dowcorning Toray siliconからのDC3PA、DC7PA、SH11PA、SH21PA、及びSH8400、GEからのTSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4446、TSF−4460、及びTSF−4452、BYKからのBYK333、BYK307、BYK3560、BYK UV3535、BYK361N、BYK354、及びBYK399などが挙げられ得る。界面活性剤は、単独で、または2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0097】
市販のフッ素系界面活性剤としては、DIC(Dainippon Ink Kayaku Kogyo Co.)からのMegaface F−470、F−471、F−475、F−482、F−489、及びF−563が挙げられ得る。その中でも、界面活性剤として使用され得るのは、好ましくはBYKからのBYK333及びBYK307、ならびにBYKからのF−563である。
【0098】
界面活性剤の量は、着色感光性樹脂組成物の総固形分(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%であってもよい。この範囲内において、着色感光性樹脂組成物は、好適なコーティング性を呈し得る。
【0099】
(g)シランカップリング剤
本発明の着色感光性樹脂組成物は、所望される場合、基板に対する接着性を改善するために、カルボキシ、(メタ)アクリロイル、イソシアナート、アミノ、メルカプト、ビニル、エポキシ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される反応性置換基を有するシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
【0100】
シランカップリング剤の種類は、特に限定されないが、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フェニルアミノトリメトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から好ましくは選択され得る。これらの中でも、イソシアナート基(例えば、Shin−Etsu Co.からのKBE−9007)を有するγ−イソシアナトプロピルトリエトキシシランまたはフェニルアミノトリメトキシシランが好ましく、良好な耐化学性及び良好な基板に対する接着性を有する。
【0101】
シランカップリング剤の量は、着色感光性樹脂組成物の総固形分(すなわち、溶媒を除いた重量)に基づいて、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%であってもよい。この範囲内において、着色感光性樹脂組成物は、改善された接着性を有し得る。
【0102】
(h)溶媒
本発明の着色感光性樹脂組成物は、好ましくは、溶媒と上記の構成成分を混合することで液体組成物として調製されてもよい。着色感光性樹脂組成物中の構成成分と相溶性であるが、反応性ではない、当技術分野において既知の任意の溶媒は、着色感光性樹脂組成物の調製において使用されてもよい。
【0103】
溶媒の例としては、グリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、例えばエチルセロソルブアセテート、エステル、例えばエチル2−ヒドロキシプロピオネート、ジエチレングリコール、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ならびにアルコキシアルキルアセテート、例えば3−メトキシブチルアセテートが挙げられ得る。溶媒は、単独で、または2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0104】
溶媒の量は、特に限定されないが、最終的な着色感光性樹脂組成物のコーティング性及び安定性の観点から、溶媒を除いた組成物の固形分の濃度が、5〜70重量%、好ましくは10〜55重量%であり得るように決定され得る。
【0105】
さらに、着色感光性樹脂組成物の物理的特性が悪影響を受けない限り、抗酸化剤及び安定剤のような他の添加剤が、含まれてもよい。
【0106】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、硬化膜として形成される際、良好な高さの違いを達成し得、感度及び露光マージンの両方に対する要件を満たし得る。
【0107】
上記の構成成分を含む本発明の着色感光性樹脂組成物は、一般的な方法によって、例えば、以下の方法によって調製されてもよい。
【0108】
着色剤は、着色剤の平均粒径が所望の値に達するまで、ビーズミルを使用して溶媒と予め混合され、その中に分散させる。この場合、界面活性剤が使用されてもよく、またはコポリマーの一部もしくは全体が混合されてもよい。このように得られた分散体に、コポリマー及び界面活性剤の残部、エポキシ樹脂化合物またはそれから誘導される化合物、重合性化合物、ならびに光重合開始剤が添加され、シランカップリング剤または追加の溶媒のような添加剤は、必要に応じて、ある特定の濃度までさらに混合され、その後、それらを十分に撹拌して所望の着色感光性樹脂組成物を得る。
【0109】
また、着色感光性樹脂組成物を硬化させることによって生成される遮光スペーサが本発明において提供される。
【0110】
好ましくは、着色感光性樹脂組成物を使用して形成される黒色カラムスペーサ(BCS)が本発明において提供され、カラムスペーサ及び黒色マトリックスは、1つのモジュールに集積される。黒色カラムスペーサのパターンの実施形態は、
図1に例証される。
【0111】
カラムスペーサ、黒色マトリックス、または黒色カラムスペーサは、コーティング形成ステップ、露光ステップ、現像ステップ、及び加熱ステップを通して製造され得る。
【0112】
コーティング形成ステップにおいて、本発明による着色感光性樹脂組成物は、所望の厚さ、例えば、1〜25μmを有するように、スピンコーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング方法、スクリーン印刷方法、アプリケータ法などによって、前処理された基板上にコーティングされ、その後、70〜100℃の温度で1〜10分間予備硬化され、溶媒をそれから除去することによって、コーティングを形成する。
【0113】
コーティングされた膜中にパターンを形成するために、所定の形状を有するマスクがその上に配置され、200〜500nmを有する活性光線で照射される。この場合、集積型黒色カラムスペーサを製造するために、透過率が異なるパターンを有するマスクを使用して、カラムスペーサ及び黒色マトリックスを同時に実現してもよい。照射のために使用される光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザなどが使用されてもよく、必要に応じて、X線、電子線なども使用されてもよい。露光量は、組成物の構成成分の種類及び組成比、ならびに乾燥コーティングの厚さに応じて異なってもよい。高圧水銀ランプが使用されるとき、露光量は500mJ/cm
2以下(365nmの波長)であってもよい。
【0114】
露光ステップ後、アルカリ水溶液、例えば炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどを現像溶媒として使用する現像ステップは、不必要な部分を溶解し、除去するために実行され、ここで、露出部のみが残り、パターンを形成する。現像によって得られたイメージパターンは、室温に冷却され、180〜250℃の温度で10〜60分間熱風循環型乾燥炉中でポストベークされ、それによって、最終的なパターンを得る。
【0115】
このように生成された遮光スペーサは、その優れた物理的特性のために、LCD、OLEDディスプレイなどの電子部品の製造において使用されてもよい。このため、本発明は、遮光スペーサを含む電子部品を提供する。
【0116】
LCD、OLEDディスプレイなどは、本発明による遮光スペーサを除いて、当業者に既知の任意の要素を含んでもよい。すなわち、本発明は、あらゆるLCD、あらゆるOLEDディスプレイなどを包含し、その中で本発明の遮光スペーサが用いられてもよい。
【0117】
以下、本発明は、以下の実施例を参照しながらさらに詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明を例証するために記載され、本発明の範囲は、それらに限定されない。
【0118】
調製例1:コポリマーの調製
還流コンデンサ及び撹拌機を装備した500mLの丸底フラスコに、以下の表1に記載の組成比を有する100gのモノマー混合物、溶媒としての300gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、及びラジカル重合開始剤としての2gの2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を添加し、70℃まで加熱し、5時間撹拌して、31重量%の固形分を有するコポリマー溶液を得た。このように調製されたコポリマーは、100mgKOH/gの酸価、及びゲル浸透クロマトグラフィによって測定された20,000のポリスチレン基準の重量平均分子量(Mw)を有した。
【0120】
調製例2:カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂から誘導された化合物
【0122】
ステップ(1):9,9−ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレンの調製
3,000mLの3つ口丸底フラスコに、200gのトルエン、125.4gの4,4´−(9−フルオレニリデン)ジフェノール、及び78.6gのエピクロロヒドリンを添加し、撹拌しながら40℃に加熱し、溶液を得た。0.1386gのt−ブチルアンモニウムブロミド及び50%のNaOH水溶液(3当量)を容器中に混合し、得られた溶液に撹拌しながら混合物をゆっくりと添加した。
【0123】
このように得られた反応混合物を90℃に1時間加熱し、4,4´−(9−フルオレニリデン)ジフェノールを完全に除去し、HPLCまたはTLCによって確認した。反応混合物を30℃に冷却し、400mLのジクロロメタン及び300mLの1N HClを撹拌しながらそれに添加した。次いで、有機層を分離し、300mLの蒸留水で2回または3回洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸留して、ジクロロメタンを除去した。ジクロロメタン及びメタノールの混合物を使用して、合成物を再結晶させ、表題化合物であるエポキシ樹脂化合物を得た。
【0124】
ステップ(2):(((9H−フルオレン−9,9−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ))ビス(2−ヒドロキシプロパン−3,1−ジイル)ジアクリレート(CAS番号143182−97−2)の調製
1,000mLの3つ口フラスコに、ステップ(1)で得られた115gの化合物、50mgのテトラメチルアンモニウムクロライド、50mgの2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、及び35gのアクリル酸を添加した。25mL/分の流速での送風とともに、混合物を90〜100℃に加熱し、さらに120℃に加熱して、溶液を得た。得られた溶液は、その酸価が1.0mgKOH/g未満に下がり、室温に冷却されるまで、約12時間撹拌した。300mLのジクロロメタン及び300mLの蒸留水を撹拌しながら反応混合物に添加した。次いで、有機層を分離し、300mLの蒸留水で2回または3回洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸留して、ジクロロメタンを除去し、それにより、表題化合物を得た。
【0125】
ステップ(3):カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂化合物から誘導された化合物の調製
PGMEA中のステップ(2)で得られた化合物を1,000mLの3つ口フラスコに入れ、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(0.75当量)、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物(0.5当量)、及びトリフェニルホスフィン(0.01当量)をそれにさらに添加した。反応混合物を撹拌しながら120〜130℃に2時間加熱して、次いで、80〜90℃に冷却後、6時間撹拌した。室温に冷却した後、6,000の重量平均分子量(Mw)及び107mgKOH/g(固形分に基づく)の酸価を有するポリマーの溶液(49重量%の固形分)を得た。
【0126】
調製例3:着色分散体の調製
上記の調製例1で得られた8gのコポリマー溶液、8gのポリマー分散剤(DISPERBYK−2000、BYK)、12gのカーボンブラック、有機ブラックとしての53gのラクタムブラック(Black582、BASF)、16gのC.I. Pigment Blue15:6、及び溶媒としての384gのPGMEAをペイントシェーカ中に入れ、混合物を25〜60℃で6時間分散させた。この分散ステップは、0.3mmのジルコニアビーズを用いて実行した。分散の終了後、フィルタを使用してビーズを分散体から分離し、それにより、23重量%の固形分を有する着色分散体を得た。
【0127】
実施例1:着色感光性樹脂組成物の調製
(a)7.7gの調製例1で得られたコポリマー溶液、(b)7.5gの調製例2で得られたポリマー溶液、(c)4.3gの重合性化合物としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、Nippon Kayaku)、(d−1)0.205gの式1bによって表されるオキシム光重合開始剤(N−1919、ADEKA)、(d−2)0.205gの式2aによって表されるトリアジン開始剤(T−Y、PHARMASYNTEHSE)、(e)36.0gの調製例3で着色剤として調製された着色分散体、及び(f)0.009gの界面活性剤(BYK−307、BYK)を、44.0gのPGMEA溶媒に添加し、その後、従来の方法に従って混合及び撹拌を5時間行い、着色感光性樹脂組成物を得た。
【0128】
実施例2〜5及び比較例1〜6:着色感光性樹脂組成物の調製
以下の表2に例証されるように光重合開始剤の量を変更した点を除き、着色感光性樹脂組成物は実施例1に記載される同じ手順で調製した。
【0130】
実験例1:着色感光性樹脂組成物からの硬化膜の製造
実施例及び比較例において得られた着色感光性樹脂組成物を、スピンコータを使用してガラス基板上にコーティングし、80℃で150秒間プリベークして、コーティングされた膜を形成した。このように形成されたコーティングされた膜上に、100%フルトーンカラムスペーサ(CS)パターン及び20%ハーフトーン黒色マトリックスパターンを含むパターンマスクを適用し、40mJ/cm
2の露光量で365nmの波長を有する光で照射した。23℃でブレークポイント(BP)の時間を確認した後、水酸化カリウムの0.04重量%水溶液を使用して、さらに15秒間、現像を実行し、その後1分間、純水で洗浄した。このように形成されたパターンを230℃で30分間、オーブン中でポストベークし、それぞれに硬化膜(遮光スペーサ)を得た。
【0131】
実験例2:感度の評価(中心の露光エネルギーの測定)
実験例1に記載される手順に従って実施例及び比較例の組成物を使用して硬化膜を製造する間、20%ハーフトーンマスクを適用することで2.0μmの膜の厚さ(すなわち、
図1のBに一致する厚さ)を得るための露光エネルギー(mJ/cm
2)を測定する。このように測定された65mJ/cm
2以下の露光エネルギーが、感度を考慮して好ましい。
【0132】
実験例3:露光マージンの測定
実験例1に記載される同じ手順に従って実施例及び比較例の組成物を使用して硬化膜を製造する間、20%ハーフトーンマスクを適用することで得られる膜の厚さを測定する。具体的には、それぞれの組成物を、その中心の露光エネルギーよりも大きな量の3.5mJによるエネルギーに露出し、このように得られた膜の厚さ(μm)を測定した(「T
E+3.5」)。別に、それぞれの組成物を、その中心の露光エネルギーよりも小さな量の3.5mJによるエネルギーに露出し、このように得られた膜の厚さ(μm)を測定した(「T
E−3.5」)。膜の厚さは、非接触型光学装置(SNU precision)を使用して測定した。露光マージンは、測定された膜の厚さを使用して、以下の式に基づいて計算した。
【0134】
このように測定された0.10μm/mJ以下の露光マージンが、好ましい。
【0135】
実験例2及び3の結果は、以下の表3に要約される。
【0137】
表3に示されるように、実施例1〜5の着色感光性樹脂組成物を使用して製造された硬化膜は、良好な感度及び露光マージンを示す65mJ/cm
2以下の中心の露光エネルギー及び0.10μm/mJ以下の露光マージンを有した。実施例に従った組成物は、高さの違いを有する黒色カラムスペーサを製造する確実性を呈した。
【0138】
対照的に、比較例1〜3の着色感光性樹脂組成物を使用して製造された硬化膜は、65mJ/cm
2を超える中心の露光エネルギーを有し、比較例4〜6の着色感光性樹脂組成物を使用して製造された硬化膜は、0.10μm/mJを超える露光マージンを有した。このため、比較例において製造された硬化膜は、それらの実施例と比較して感度及び露光マージンの点で低下したことがわかった。