【文献】
Current Opinion in Biotechnology (2009) Vol.20, pp.685-691
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ストークを含まない第2及び/若しくは第3の可溶性CD27Lドメインが、E51G、E51S、S117N、T119N、S137N、R144N、R138S、R138D、R179D及びD182Sから選択されるアミノ酸配列変異を含む、並びに/又は
可溶性CD27Lドメインのうちの少なくとも1つが、配列番号1のヒトCD27Lのアミノ酸Glu51若しくはAsp56で開始するN末端配列を有する可溶性CD27Lドメインであり、Glu51が中性アミノ酸で置き換えられていてもよい、請求項1に記載のCD27受容体アゴニストタンパク質。
可溶性CD27Lドメインが配列番号1のアミノ酸Pro193で終止し、及び/又は任意選択でW55、N63、R83、R122、R138、R144、H123、H124、H148、N170、R179、D182、E183の位置に又は前記位置の2つ以上に変異を含む、請求項2に記載のCD27受容体アゴニストタンパク質。
可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)が配列番号1のヒトCD27Lのアミノ酸Glu51〜Pro193からなる、請求項2又は3に記載のCD27受容体アゴニストタンパク質。
第1及び第2のペプチドリンカー(ii)及び(iv)が配列番号2のアミノ酸配列からなる、請求項1から5のいずれか一項に記載のCD27受容体アゴニストタンパク質。
配列番号15、配列番号25〜35及び/又は配列番号43〜47のいずれかのアミノ酸配列を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のCD27受容体アゴニストタンパク質。
請求項1から10のいずれか一項に記載のCD27受容体アゴニストタンパク質、請求項11に記載の核酸分子、又は請求項12に記載のベクターを活性薬剤として含み、任意選択で、1つ又は複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤及び/又はアジュバントを更に含む、医薬組成物又は診断用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、2つのペプチドリンカーによって連結された少なくとも3つの可溶性CD27Lドメイン、並びにN末端及び/又はC末端に抗体から誘導された二量体化ドメインを含む一本鎖融合ポリペプチドを提供する。本発明者らは二量体化ドメインによる2つの一本鎖融合ポリペプチドの二量体化によって、高い生物学的活性及び良好な安定性を提供する六価のCD27受容体アゴニストが得られることを発見した。
【0025】
好ましくは、一本鎖融合ポリペプチドは非凝集性である。「非凝集性」という用語は、製剤のモノマー含量が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上であることを意味する。モノマー含量の凝集物含量に対する比は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて凝集物の生成量を検討することによって決定できる。凝集に関する安定性は、異なった保存条件下、例えば4℃又は25℃で定義した期間、例えば2〜3日から数日、数週間及び数か月の後、SECによって決定できる。融合タンパク質については、実質的に非凝集性と分類するためには、「モノマー」含量が4℃又は25℃の保存で数日、例えば10日、より好ましくは数週間、例えば2、3又は4週間、最も好ましくは数か月、例えば2又は3か月の期間の後で、上で定義した通りであることが好ましい。Fc融合タンパク質の場合の「モノマー」の定義に関して、2つのポリペプチド鎖の会合がFc部分によって促進され、得られた会合タンパク質の機能性単位が2つの鎖からなっている。Fc融合タンパク質の場合には、二量体化一本鎖融合ポリペプチドであるか否かに関わらず、この単位が「モノマー」と定義される。
【0026】
一本鎖融合ポリペプチドは、そのN末端及び/又はC末端に位置するさらなるドメインを含んでよい。さらなる融合ドメインの例は、例えばプロテアーゼ切断部位を含んでもよいN末端シグナルペプチドドメイン、又は認識/精製ドメインを含み及び/若しくはこれに連結されていてもよいC末端要素である。好ましい実施形態によれば、融合ポリペプチドはリンカーを介して融合したStrep-tagをそのC末端に含む。短いセリンリンカーを含む例示的なStrep-tagを配列番号18に示す。
【0027】
本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質は、CD27Lから誘導された3つの可溶性ドメインを含む。好ましくは、これらの可溶性ドメインはアレル多様体及び/又はその誘導体を含む哺乳類、特にヒトのCD27Lから誘導される。可溶性ドメインは、膜所在ドメインを含まない受容体結合ドメインを含むCD27Lの細胞外部分を含む。TNFスーパーファミリーの他のタンパク質と同様に、CD27Lは15〜30アミノ酸のN末端部分、いわゆるストーク領域を介して膜に固定されている。ストーク領域は三量体化に寄与しており、細胞膜に対して一定の距離を提供している。しかし、ストーク領域は受容体結合ドメイン(RBD)の部分ではない。
【0028】
重要なことに、RBDはそのN末端及びC末端アミノ酸の特定の局在化によって特徴付けられる。前記アミノ酸は直接に隣接しており、三量体の軸に対して中央部に位置している。RBDの第1のN末端アミノ酸は、RBDのC末端アミノ酸と逆平行ベータストランドを形成している(
図2)。
【0029】
したがって、RBDの逆平行ベータストランドは細胞膜との界面を形成しており、このストランドはストーク領域のアミノ酸を介して細胞膜に連結され、その中に固定されている。CD27受容体アゴニストタンパク質の可溶性CD27Lドメインは、ストーク領域からのアミノ酸を何ら含まないCD27Lの受容体結合ドメインを含むことが極めて好ましい。そうでなければ、次の可溶性ドメインのN末端ストーク領域を補償するために可溶性ドメインの1つのC末端を次の可溶性ドメインのN末端に連結する長いリンカーが必要になり、それによって不安定性及び/又は凝集物の形成が生じることになる。
【0030】
そのような可溶性ドメインのさらなる利点は、RBDのN末端アミノ酸が抗薬剤抗体に接近できないことである。好ましくは、(i)第1の可溶性CD27Lサイトカインドメイン、(ii)第1のペプチドリンカー、(iii)第2の可溶性CD27Lドメイン、(iv)第2のペプチドリンカー、(v)第3の可溶性CD27Lドメインからなる一本鎖融合ポリペプチドは、その天然の対応物の三量体構成を模倣する順序付けられた構造を形成することができ、それにより、それぞれのCD27L受容体のための少なくとも1つの機能性結合部位を含む。したがって、成分(i)〜(v)を含む一本鎖融合ポリペプチドは、一本鎖CD27L受容体結合ドメイン(scCD27L-RBD)とも名付けられる。
【0031】
CD27受容体アゴニストタンパク質は、3つの機能性CD27受容体結合部位、即ちCD27受容体と複合体を形成し得るアミノ酸配列を含む。したがって、可溶性ドメインは対応するCD27受容体に結合することができる。1つの実施形態では、可溶性ドメインのうちの少なくとも1つは受容体を活性化することができ、それによりアポトーシス及び/又は増殖活性が影響される。さらなる実施形態では、可溶性ドメインの1つ又は複数が、受容体活性化能を有しないものとして選択される。
【0032】
可溶性CD27Lドメインは、配列番号1に示すように、ヒトCD27Lから誘導される。好ましくは、可溶性CD27LドメインはヒトCD27Lから誘導され、特にアミノ酸51又は56から出発して、特に配列番号1のアミノ酸51〜193又は56〜193を含む。任意選択で、配列番号1のアミノ酸Glu51は、非荷電アミノ酸、例えばSer又はGlyで置き換えられていてもよく、又はグルタミンで置き換えられる。
【0034】
上に示したように、可溶性CD27Lドメインは配列番号1に示すように野生型配列を含んでもよい。しかし、これらの可溶性ドメインの1つ又は複数に変異、例えば可溶性ドメインの結合特性を変化させる(例えば増加させ又は減少させる)変異を導入することができることに注目されたい。1つの実施形態では、対応するサイトカイン受容体に結合できない可溶性ドメインを選択することができる。
【0035】
本発明のさらなる実施形態では、可溶性CD27Lドメイン(i)はCD27Lの変異体又はその受容体結合ドメインを含み、それにより親和性が低下し、及び/又はCD27受容体の活性化が低下する。
【0036】
受容体結合及び/又は活性に影響するCD27L-ムテイン
変異体は当業者に公知の任意の手法で生成させることができる。本明細書に述べるように、置換はCD27L、例えばヒトCD27L(例えば配列番号1)、又はその受容体結合ドメインの少なくとも1つのアミノ酸に影響することがある。これに関し、好ましい置換は配列番号1のヒトCD27Lの以下のアミノ酸、即ちR83、R122、R138、R144、H123、H124、H148、R179、D182、E183のうちの少なくとも1つに影響する。好ましい実施形態では、R138及び/又はR179はS又はDに変異している。
【0037】
アミノ酸置換はCD27L、例えばヒトCD27LのCD27結合又はCD27誘起シグナリングに対する結合及び/又は活性に影響することがある。CD27の結合及び/又は活性はプラスに、即ちより強く、より選択的に若しくはより特異的に、及び/又は受容体をより活性化させるように、影響されることがある。或いは、CD27の結合又は活性はマイナスに、即ちより弱く、より非選択的に若しくはより非特異的結合に、及び/又は受容体があまり若しくは全く活性化されないように、影響されることがある。
したがって、1つの実施形態は本明細書に記載したCD27受容体アゴニストタンパク質であって、可溶性ドメインのうちの少なくとも1つが野生型CD27Lよりも少なくCD27に結合し及び/又はこれを活性化するCD27Lの変異体又はその受容体結合ドメインを含む、CD27受容体アゴニストタンパク質である。
【0038】
CD27L誘起受容体凝集が低減し、及び/又はシグナリングが低減したCD27Lの変異体のさらなる例は、R144N及びD182Sである。
【0039】
安定性/可溶性が増大したCD27Lムテイン
1つの実施形態は本明細書に記載したCD27受容体アゴニストタンパク質であって、少なくとも1つの人工のNグリコシル化コンセンサス部位がヒトCD27L(配列番号1)のT172〜F185によって定義される配列領域に導入され、それにより受容体の凝集の低減及び/又はシグナリングの低減がもたらされる、CD27受容体アゴニストタンパク質である。この領域における人工のNグリコシル化コンセンサス部位をもたらすCD27Lの変異体の例はD182Sである。
本発明のさらなる実施形態では、可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)、及び(v)の1つ又は複数はCD27Lの変異体又はその受容体結合ドメインを含んでよく、それにより自己凝集性が低減し、及び/又はインビボ安定性が延長する。
これに関して好ましい置換はS117N、T119N、S137N及びR144Nである。それぞれのCD27Lドメインの変異は同じであっても異なっていてもよい。
本発明の一本鎖融合分子は3つの可溶性CD27Lドメイン、即ち成分(i)、(iii)及び(v)を含む。第2及び/又は第3の可溶性CD27Lドメインがアミノ酸配列の変異を含んでもよいN末端が短縮されたドメインである場合には、一本鎖CD27L融合ポリペプチドの凝集に対する安定性が増大する。したがって、好ましくは第2及び第3の可溶性CD27Lドメインの両方は、N末端領域に、好ましくは可溶性CD27LドメインのN末端の最初の5つのアミノ酸の中にアミノ酸配列変異を任意選択で含んでもよい、N末端が短縮されたドメインである。これらの変異は、中性アミノ酸、特にセリン又はグリシンによる塩基性アミノ酸の置き換えを含んでよい。
【0040】
これとは対照的に、第1の可溶性CD27Lドメインの選択はそれほど重要ではない。ここでは、全長のN末端配列を有する可溶性ドメインを用いてよい。しかし、第1の可溶性CD27LドメインもN末端が短縮され、任意選択で変異した配列を有してよいことに注目されたい。
【0041】
本発明の更に好ましい実施形態では、可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)は可溶性ヒトCD27Lドメインである。第1の可溶性CD27Lドメイン(i)は、天然の、短縮された、及び/又は変異した配列から選択してよい。したがって、第1の可溶性CD27Lドメイン(i)はヒトCD27Lのアミノ酸Glu51又はAsp56から開始するN末端配列を有し、発現の間のピログルタメートの形成を可能にするためにGlu51は中性アミノ酸、例えばSer又はGly又はGlnによって置き換えられてもよい。第2及び第3の可溶性CD27Lドメイン(iii)及び(v)は、好ましくはヒトCD27L(配列番号1)のアミノ酸Ser52又はGly54から開始する、短縮されたN末端配列を有し、Glu51は別のアミノ酸、例えばSer又はGlyで置き換えられてもよい。
【0042】
好ましくは、可溶性CD27Lドメイン(iii)及び(v)のN末端配列は、
(a)Glu51〜Asp56
(b)(Gly/Ser)51〜Asp56
から選択される。
【0043】
可溶性CD27Lドメインは好ましくはヒトCD27Lのアミノ酸P193で終止する。ある実施形態では、CD27Lドメインは上記の内部変異を含んでよい。
【0044】
CD27受容体アゴニストタンパク質の成分(ii)及び(iv)は、それぞれ成分(i)と(iii)の間、又は成分(iii)と(v)の間に位置するペプチドリンカー要素である。可撓性のリンカー要素は3〜8アミノ酸の長さ、特に3、4、5、6、7、又は8アミノ酸の長さを有する。リンカー要素は好ましくはグリシン/セリンリンカーであり、即ちペプチドリンカーは実質的にアミノ酸グリシン及びセリンからなる。可溶性サイトカインドメインがS又はGで開始する(N末端)場合には、リンカーはこのS又はGの前で終止する。
【0045】
リンカー(ii)及びリンカー(iv)は同じ長さである必要はないことに注目されたい。免疫原性の可能性を低減させるために、短いリンカーを用いることが好ましい。更に、短いリンカーは凝集物を形成する傾向が低減した一本鎖分子をもたらすことが見出された。一方、本明細書に開示したものより実質的に長いリンカーは不都合な凝集特性を示すことがある。
【0046】
所望であれば、リンカーはグリコシル化部位Asn-Xaa-Serを形成するアスパラギン残基を含んでよい。ある実施形態では、リンカーの1つ、例えばリンカー(ii)又はリンカー(iv)は、グリコシル化部位を含む。他の実施形態では、両方のリンカー(iv)がグリコシル化部位を含む。CD27Lアゴニストタンパク質の可溶性を増大させるため、及び/又は免疫原性の可能性を低減させるため、リンカー(ii)若しくはリンカー(iv)、又はその両方がグリコシル化部位を含むことが好ましい。
【0047】
好ましいリンカー配列をTable 2(表2)に示す。好ましいリンカーはGSGSGNGS(配列番号2)である。
【0049】
CD27受容体アゴニストタンパク質は、第1のCD27Lドメイン(i)のN末端及び/又は第3のCD27Lドメイン(v)のC末端に位置する抗体Fc断片ドメインを更に含む。好ましくは、抗体Fc断片ドメインは、インビボでFcガンマR受容体と相互作用する能力が低減している。好ましくは、抗体Fc断片ドメインは、配列番号13又は14で示されるアミノ酸配列を含むか、これからなる(Table 3(表3)参照)。配列番号13は野生型ヒトIGG1-Fcと比較してN297S変異を有しており、FcガンマR受容体と結合しない。配列番号14はグリコシル化(N297野生型)ヒトIGG1-Fcムテインであり、FcガンマR結合能が低減している。
【0051】
グリコシル化部位の数及びインビボ安定性
グリコシル化部位の総数及び三次元における糖鎖の個別の場所はCD27受容体アゴニストタンパク質のインビボ安定性に影響する。更に、糖鎖の認識は末端サッカライドの局所的密度、糖鎖ツリーの分枝、及び糖鎖の互いの相対的な場所に依存する。
更に、部分的に分解した糖鎖はレクチンによって促進される機構によってCD27受容体アゴニストタンパク質のインビボ半減期を低下させる。分子上のグリコシル化部位の総数を減少させることによって、得られる化合物ではこれらの機構が起こりにくくなり、半減期が増大する。
Fc受容体に基づくインビボ架橋及びCD27受容体スーパークラスタリングに基づく毒性の可能性を避けるために、抗体CH2ドメイン糖鎖の除去が必要である。また、Fcによって促進されるADCC等の望ましくない機構が有毒事象をもたらすこともある。したがって、1つの実施形態では、本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質におけるグリコシル化部位の総数は、CH2グリコシル化部位、特にNグリコシル化部位の除去によって減少させ、これにより、非グリコシル化CH2ドメインを生ずる配列番号15のN297S等価変異を含むCD27受容体アゴニストタンパク質(プロテインA)(EU番号付けシステムによる)が得られる。本発明の別の実施形態では、可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)の1つ又は複数は、N63及び/又はN170がアスパラギン酸、セリン又はグリシンに変換されてもよく、それによりCD27受容体アゴニスト融合タンパク質のグリコシル化部位の数が減少する。好ましい実施形態では、N63[D,S,G]変異及びN170[D,S,G]変異は、本発明のアゴニストCD27受容体アゴニスト融合タンパク質の可溶性CD27Lドメイン(iii)及び(v)に限られる。
【0052】
CH2ドメイン不安定化は追加のヒンジシステインによって補償される
内部表面領域に存在するCH2(重鎖定常ドメイン2)-グリコシル化は通常、「オープンFcコンフォメーション遷移」の間、サブドメインをプロテアーゼから遮蔽し、ヒンジ-鎖間ジスルフィド結合は減少し、共有結合による鎖間リンケージは破壊される(
図6)。これにより、CH2の解離と内部表面領域のプロテアーゼへの露出が可能になる。配列番号15のN297S等価変異を有するFcドメインを含むCD27受容体アゴニストタンパク質(プロテインA)(EU番号付けシステムによる)は非グリコシル化CH2ドメインを生成し、したがってプロテアーゼ消化の対象となりやすく、野生型のCH2グリコシル化を有する等価構造よりも安定性が低い。これは、宿主細胞のプロテアーゼが存在し、長期にわたって構造に接近するUSP/DSP/保存の間の化合物の安定性に影響する。したがって、ある実施形態では、CD27受容体アゴニストはCH2グリコシル化部位を有しないが、各ポリペプチド鎖のリンカー配列(例えばGSGSGNGS、配列番号2)中のグリコシル化部位を含む。
本発明の好ましい実施形態によれば、抗体Fc断片ドメインはヒンジ-リンカー要素を介して融合している。ヒンジ-リンカー要素は10〜30アミノ酸の長さ、特に15〜25アミノ酸の長さ、例えば22アミノ酸の長さを有する。「ヒンジ-リンカー」という用語は、ヒンジ-リンカー要素がドメインに結合して生物学的に活性なコンフォメーションを保持することができるために十分な長さを有する任意のリンカーを含む。ヒンジ-リンカー要素は好ましくは本明細書において「Igヒンジ領域」と称する免疫グロブリンのヒンジ領域配列を含む。「Igヒンジ領域」という用語は、1つ又は複数のシステイン残基、例えばジスルフィド結合が免疫グロブリンの2つの重鎖を連結する2つのシステイン残基を含む、天然に産生するIgヒンジ領域配列の一部と配列同一性又は類似性を共有するアミノ酸配列を含む任意のポリペプチドを意味する。
【0053】
ヒンジ領域の誘導体及び類似体は変異によって得ることができる。本明細書で言及する誘導体又は類似体は、欠失、挿入、及び/又は置換に帰せられる1つ又は複数のアミノ酸配列の相違を有することを除いて野生型(又は天然に産生するタンパク質)の全長配列と配列同一性又は類似性を共有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0054】
個別のCD27受容体アゴニストタンパク質におけるオープンFcコンフォメーションを有する分子の数は、ヒンジ領域に存在する鎖間ジスルフィド結合の数に依存する。したがって、1つの実施形態では、CH2グリコサイトの除去による影響を改善するために、第3のシステイン(EU番号付けシステムによるC225)を、本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質のヒンジ領域に導入した。
【0055】
ヒンジ領域におけるリジンのグリシンへの変換により、タンパク質分解安定性が増大する
1つの実施形態では、本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質は、上側ヒンジのリジン(EU番号付けシステムによるK223)のグリシンへの変異を更に含み、これによりこの部位におけるタンパク質分解プロセシングが低減され、したがって融合タンパク質の全体としての安定性が向上する。ヒンジ領域内における上述の第3のシステイン(EU番号付けシステムによるC225)の導入と上述のリジンのグリシンへの変異(EU番号付けシステムによるK223G)を併せることによって、本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質の全体としての安定化がもたらされる。
上述のシステイン(C225)及びリジンのグリシンへの変異(K223G)を含む特に好ましいヒンジ-リンカー要素は、配列番号16(Table 4(表4))で示されるアミノ酸配列を含み、又はこれからなる。
【0056】
内因性システインはヒンジ-ジスルフィド形成を妨げる
六価のCD27受容体アゴニストタンパク質のホモ二量体を安定化させる鎖間-ジスルフィド結合性は、CD27サブ配列の遊離チオール基によっても影響される。遊離チオール基は、表面に露出したジスルフィド架橋の還元によって、例えばCD27LのC115〜C151ジスルフィドの還元によって作成することができる。これはまた、この構造のヒンジジスルフィド架橋が高タンパク質濃度における製剤の内因性遊離チオールによって自己還元することによる上述のオープンFcコンフォメーションをもたらす。その結果、遊離チオールを含む一本鎖CD27L-Fc融合タンパク質は、酸素及びプロテアーゼへの長時間の曝露が起こる製造及び保存の間、より不安定であることが予想される。
【0057】
したがって、技術的なスケールでの六価のCD27受容体アゴニストの製造を可能にするために、C115及びC151残基は、好ましくは同時に異なったアミノ酸(例えばS、A又はG)に変異させられる。
【0058】
CD27受容体アゴニストタンパク質はN末端シグナルペプチドドメインを更に含んでよく、それにより好適な宿主細胞中でのプロセシング、例えば細胞外分泌が可能になる。好ましくは、N末端シグナルペプチドドメインはプロテアーゼ切断部位、例えばシグナルペプチダーゼ切断部位を含み、それにより発現の後又は発現の間に除去されて成熟したタンパク質が得られる。特に好ましいN末端シグナルペプチドドメインは配列番号17(Table 4(表4))で示されるアミノ酸配列を含む。
【0059】
更に、CD27受容体アゴニストタンパク質は、認識/精製ドメイン、例えばFLAGドメイン、Strep-tag若しくはStrep-tag IIドメイン、及び/又はポリHisドメインを含み、又はこれに結合した、例えば1〜50、好ましくは10〜30アミノ酸の長さを有するC末端要素を更に含んでもよい。好ましい実施形態によれば、融合ポリペプチドは配列番号18(Table 4(表4))に示す短いセリンリンカーを介してC末端に融合したStrep-tagを含む。
【0060】
好ましいヒンジ-リンカー要素(配列番号16、19〜24)、好ましいN末端シグナルペプチドドメイン(配列番号17)、及びセリンリンカー-Strep-tag(配列番号18)をTable 4(表4))に示す。
【0062】
ヒンジリンカー(配列番号16及び19〜24)を用いて本発明の受容体結合モジュールを好ましいFcドメイン(配列番号13及び14)の1つに融合させることによって、一本鎖受容体結合ポリペプチドの共有結合で連結された二量体を形成することができる。したがって、本発明の1つの実施形態は、配列番号27で示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの一本鎖融合ポリペプチドの二量体を含むCD27受容体アゴニストタンパク質を提供し、この2つのポリペプチドは、それぞれのポリペプチドのシステイン残基457、463、及び466の間に形成された3つの鎖間ジスルフィド結合によって共有結合で連結されている。非限定的な例として、同じ種類のさらなるポリペプチド二量体を、配列番号28、29、30及び35の457、463及び456位のシステインの共有結合による連結によって形成させることができる。
Table 5(表5))のCD27受容体アゴニストタンパク質の非限定的な例の全てによって二量体の形成が可能になることは当業者には明らかである。したがって本発明のさらなる実施形態は、2つの一本鎖融合タンパク質の共有結合で連結された二量体である。例えば453、459及び462位のシステインで連結された配列番号31、43、47の二量体、又は(450、456及び459位で連結された)配列番号32のポリペプチドの二量体、又は(436、442、445位で連結された)配列番号33のポリペプチドの二量体、又は(454、460及び463位で連結された)配列番号34のポリペプチドの二量体、又は(438、444及び447位で連結された)配列番号49のポリペプチドの二量体、又は(442、448及び451位で連結された)配列番号44又は46のポリペプチドの二量体である。
【0063】
本発明の1つの実施形態では、融合ポリペプチドは配列番号2のペプチドリンカー要素によって融合した3つの可溶性CD27Lドメインを含む。第1の可溶性CD27Lドメイン(i)は配列番号1のヒトCD27Lのアミノ酸51〜193からなり、可溶性CD27Lドメイン(iii)及び(v)は配列番号1のヒトCD27Lのアミノ酸51〜193からなる。
【0064】
CD27L-Fcの好ましい構成
更に、融合ポリペプチドは、配列番号16のヒンジリンカーを介して可溶性CD27Lドメイン(v)にC末端で融合した配列番号13の抗体Fc断片ドメインを含む。発明者らは驚くべきことに、この特定の融合ポリペプチドが二価のアゴニスト抗CD27-mABと比較して改善された生物学的活性を提供し、223位にリシン及びCH2ドメインにN297S変異(EU番号付けによる)を含む同様の融合タンパク質と比較して長期の安定性を有していることを見出した。本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質の例示的な実施形態のアミノ酸配列は、配列番号27で示される。
【0065】
更に、融合ポリペプチドは、例えば配列番号17のN末端シグナルペプチドドメインを含んでもよい。本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質の特定の例を配列番号25に示す。
【0066】
別の好ましい実施形態によれば、融合ポリペプチドは配列番号18に示す短いセリンリンカーを介して本発明のポリペプチドに融合したC末端Strep-tagを更に含んでもよい。本発明のこの態様によれば、Fc断片は好ましくは配列番号13又は14に示すアミノ酸配列からなる。更に、Fc断片は、例えば配列番号13のアミノ酸1〜127を含む短いFc断片からなってもよい。C末端Strep-tagを含む融合ポリペプチドの特に好ましい例を配列番号15に示す(プロテインA)。
【0067】
配列番号15、25、及び26に示す例示的なCD27受容体アゴニストタンパク質は、それぞれ各配列のアミノ酸1〜20にN末端シグナルペプチドドメインを含む。それぞれの場合に、成熟タンパク質はアミノ酸21で開始する。本発明の成熟した例示的なCD27受容体アゴニストタンパク質(シグナルペプチドなし)は、配列番号27〜35及び43〜46で示される。上記の例示的なCD27受容体アゴニストタンパク質をTable 5(表5)に示す。
【0068】
本発明の1つの実施形態によれば、一本鎖CD27L融合ポリペプチドドメインは、配列番号2のペプチドリンカー要素によって融合した3つの可溶性CD27Lドメインを含む。可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)はそれぞれ、任意選択でE51Q変異を含む可溶性ドメイン(i)を伴う、配列番号1のヒトCD27Lのアミノ酸51〜193からなる。ドメイン(i)に上述のCD27L E51Qムテインを含む一本鎖CD27Lポリペプチドを配列番号36に示す(Table 5B(表6))。これは、野生型と比較して増大した安定性を有する、N末端又はC末端に融合した追加のドメインを含む融合タンパク質を生成させるためによく適合している。
【0069】
本発明の別の実施形態によれば、一本鎖CD27L融合ポリペプチドドメインは、配列番号2のペプチドリンカー要素によって融合した3つの可溶性CD27Lドメインを含む。可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)はそれぞれ、任意選択でN63D及び/又はN170D変異を含む可溶性ドメイン(i)、(iii)及び(v)を伴う、配列番号1のヒトCD27Lのアミノ酸51〜193からなる。例示的に、ドメイン(i)、(ii)及び(v)に上述のCD27L N63D変異を含む一本鎖CD27Lポリペプチドを配列番号39に示す(Table 5B(表6))。好ましい実施形態では、配列番号39のリンカー(iv)は配列番号11に変換され、配列番号40となる(Table 5B(表6))。
【0070】
本発明の更に別の実施形態によれば、一本鎖CD27L融合ポリペプチドドメインは、配列番号2のペプチドリンカー要素によって融合した3つの可溶性CD27Lドメインを含む。可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)はそれぞれ、任意選択でN63D及び/又はN170D変異を含む可溶性ドメイン(i)、(iii)及び(v)を伴う、配列番号1のヒトCD27Lのアミノ酸56〜193からなる。例示的に、ドメイン(i)、(ii)及び(v)に上述のCD27L N63D変異を含む一本鎖CD27Lポリペプチドを配列番号41に示す(Table 5B(表6))。好ましい実施形態では、配列番号41のリンカー(iv)は配列番号11に変換され、配列番号42となる(Table 5B(表6))。
【0071】
好ましい実施形態では、配列番号13の抗体Fc断片ドメインは、配列番号16のヒンジリンカーを介して配列番号36の可溶性CD27Lドメイン(v)にC末端で融合している。ドメイン(i)にE51Qムテイン、配列番号16のヒンジリンカー、及び配列番号13の抗体Fc断片を含む本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質の特定の例を配列番号30に示す(Table 5(表5))。
【0072】
配列番号27で示されるCD27受容体アゴニストは、グリコシル化部位(CH2領域のEU番号付けシステムによるN297S変異が非グリコシル化CH2ドメインを提供する)の総数が減少し、ヒンジ領域における鎖間ジスルフィド結合の数が増加し、上部ヒンジのリジンのグリシンへの変異(EU番号付けシステムによるK223G)が生じている。これらの変化により、分解の可能性及びCD27L受容体のスーパークラスタリング(付随する毒性を伴う)が減少する。
【0073】
配列番号47で示されるCD27受容体アゴニストは配列番号27と同じ配置を含むが、第2のペプチドリンカー(iv)が短縮されており、それによりプロトマーの解離が低減し、プロテアーゼに対するタンパク質の安定性が向上している。
【0074】
配列番号30で示されるCD27受容体アゴニストは配列番号27と同じ配置を含むが、可溶性CD27Lドメイン(i)にE51Q変異を有し、それによりピログルタメートの形成が可能になり、アミノペプチダーゼに対してN末端が保護され、その結果、製造及び保存中のタンパク質の全体の安定性が向上している。配列番号31で示されるCD27受容体アゴニストは配列番号30と同じ配置を含むが、第2のペプチドリンカー(iv)が短縮されており、それによりプロトマーの解離が低減し、プロテアーゼに対するタンパク質の安定性が向上している。配列番号32で示されるCD27受容体アゴニストは配列番号31と同じ配置を含むが、第3のペプチドリンカー(vi)が短縮されており、それにより可溶性CD27Lドメイン(v)とFcドメイン(vii)との間のドメイン間距離が低減し、それによりプロテアーゼに対するタンパク質の安定性が向上している。配列番号33で示されるCD27受容体アゴニストは、(i)W55Qの変異を有する配列番号1のアミノ酸55〜193を含む第1の可溶性CD27Lサイトカインドメイン、(ii)配列番号2である第1のペプチドリンカー、(iii)配列番号1のアミノ酸55〜193を含む第2の可溶性CD27Lドメイン、(iv)配列番号11の第2のペプチドリンカー、(v)配列番号1のアミノ酸55〜193を含む第3の可溶性CD27Lドメイン、(vi)配列番号21の第3のペプチドリンカー、及び(vii)配列番号13の抗体Fc断片を含む。配列番号34で示されるCD27受容体アゴニストは配列番号30と同じ配置を含むが、第3のペプチドリンカー(vi)が短縮されており、それにより可溶性CD27Lドメイン(v)とFcドメイン(vii)との間のドメイン間距離が低減し、それによりプロテアーゼに対するタンパク質の安定性が向上している。
【0075】
配列番号35で示されるCD27受容体アゴニストは配列番号27と同じ配置を含むが、可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)にN63D変異を有し、それによりタンパク質表面のN結合型糖鎖の総数が減少しており、それによりインビボで糖鎖によって促進される化合物の脱離が低減している。配列番号43で示されるCD27受容体アゴニストは配列番号35で表わされるN63D変異の戦略と短いリンカー(iv)を組み合わせたものである。短いリンカー(配列番号11)はグリコシル化コンセンサス配列を欠いているので、N結合型糖鎖の総数は更に減少している。N結合型糖鎖の数が減少した本発明のさらなる特定のCD27受容体アゴニスト融合タンパク質はN63D変異に基づいており、配列番号44及び配列番号45で示される(Table 5(表5))。配列番号46において、可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)のそれぞれは、N63D及びN170D変異を含み、CD27受容体アゴニスト融合タンパク質からN結合型糖鎖が更に除去されている。
【0087】
更に、scCD27L-RBDモジュール(配列番号36及び39〜42)が、Table 2(表2)に記載したリンカー(配列番号2〜12)を用いてN末端又はC末端に融合された追加的なドメインを有する融合タンパク質を生成させるためによく適合していることに注目しなければならない。
【0088】
本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質の上で提示した実施形態は、本発明の可溶性受容体アゴニストタンパク質の安定性に影響する構築原理若しくは凝集抵抗性に対処し、又は受容体アゴニストタンパク質の受容体結合及び活性を調節する。
【0089】
医薬品における活性薬剤としての物質の適合性を記述するためのさらなる重要な特性は、その薬物動態学的プロファイル(PKプロファイル)である。薬物動態学は体内における薬物の配置の研究であり、薬物の血漿中濃度の変化に焦点を当てている。任意の所与の薬物及び用量について、血漿中濃度は吸収、分布及び排泄のプロセスに応じて変動する。血漿中薬物濃度の時間依存性低下及び体内からのその最終的な排泄は主として薬物の生体内変化及び排出に依存し、一般にインビボ半減期として測定される(Pharmacology、4版、Elesevier、2013年)。
【0090】
病原体又は腫瘍に対する免疫応答を形成する事象の経過を理解することにより、本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質の有利なPKプロファイルを決定することができる。抗原を有する病原体又はまさに腫瘍に対する免疫応答は、いくつかの相に分けることができる。それぞれの相は、特徴的な経過期間及び通常特別の組織で起こる事象を示す。特に、準備相はリンパ球が二次的なリンパ器官において腫瘍関連抗原に提示される免疫応答の初期の事象を説明している。T細胞及びB細胞はそれぞれ、それらのT細胞又はB細胞受容体を通して抗原を認識するために、抗原提示細胞(APC)と細胞-細胞コンジュゲートを形成する必要がある。抗原認識に成功した場合には、リンパ球はAPCによってCD27L等の共刺激分子にも提示される。抗原と共刺激分子の両方の提示がAPC/リンパ球コンジュゲートの界面で起こるので、コンジュゲートは数分又はごく短時間で分離し、この相互作用の寿命はかなり短い。抗原認識及びCD27等の分子との共刺激の後、リンパ球が活性化されて拡張相に入り、ここでリンパ球が増殖して腫瘍に対する免疫応答を開始する。
【0091】
二次リンパ器官におけるAPCとリンパ球の物理的相互作用が短いことに鑑みて、CD27経路を標的とした組み換え生物製剤によって誘導される共刺激シグナルの寿命は短いことが望ましいと考えられる。実際、共刺激シグナルに長時間曝露しているとリンパ球が超活性化状態になり、全身的毒性の影響を及ぼす可能性がある。したがって、免疫系の共刺激経路を標的とする生物製剤の好ましいPKプロファイルは、数時間又はおそらく1日の範囲の比較的短い終末半減期を示す。これは、通常数日又は1週間以上の終末半減期を示す同じ経路を標的とする抗体とは対照的である。まとめると、数時間の範囲の半減期を有する、免疫系の共刺激経路を活性化する生物製剤は、刺激抗体と比較して、その一時的な活性に関して天然のリガンドにより近い。このことは、いくつかの免疫刺激抗体による治療の間に観察される毒性効果の可能性に対してプラスの寄与をする。したがって、さらなる実施形態では、本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質は、4日未満、3日未満、2日未満、1日未満の短い終末半減期を有する。
【0092】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載したCD27受容体アゴニストタンパク質をコードする核酸分子に関する。核酸分子はDNA分子、例えば二本鎖若しくは一本鎖DNA分子、又はRNA分子であってよい。核酸分子は、CD27受容体アゴニストタンパク質又はその前駆体、例えば好ましくはCD27受容体アゴニストタンパク質のN末端及び/又はC末端に位置する分泌又は精製のためのシグナル配列又は他の異種のアミノ酸部分を含んでもよいCD27受容体アゴニストタンパク質のプロ-又はプレ-プロフォームをコードする。異種アミノ酸部分は、プロテアーゼ切断部位、例えばファクターX3、トロンビン又はIgAプロテアーゼ切断部位を介して第1及び/又は第2のドメインに連結されてもよい。本発明の核酸配列の特定の例を配列番号37としてTable 6(表7)に示す。この核酸分子は配列番号25の融合ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む。
【0095】
核酸分子は発現制御配列、例えば所望の宿主細胞中での核酸分子の発現を可能にする発現制御配列に作動可能に連結されてよい。核酸分子はベクター、例えばプラスミド、バクテリオファージ、ウイルスベクター、染色体統合ベクター等に位置してよい。好適な発現制御配列及びベクターの例は、例えばSambrookら(1989年)、Molecular Cloning, A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press及びAusubelら(1989年)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons又はそれらの最近の版に記載されている。
【0096】
本発明のCD27受容体アゴニストタンパク質をコードする核酸配列を発現するために種々の発現ベクター/宿主細胞系を用いることができる。好適な宿主細胞には、これだけに限らないが、細菌、例えば大腸菌(E.coli)等の原核細胞、酵母細胞等の真核宿主細胞、昆虫細胞、植物細胞若しくは動物細胞、好ましくは哺乳類細胞、及びより好ましくはヒト細胞が含まれる。更に、本発明は上記の核酸分子で形質変換された又はトランスフェクトされた非ヒト生命体に関する。そのようなトランスジェニック生命体は、同種組み換え等の公知の遺伝子伝達の方法によって作成することができる。
【0097】
本発明のさらなる態様は、全て本明細書に記載した少なくとも1つのCD27受容体アゴニストタンパク質、それをコードするそれぞれの核酸、又は形質転換された若しくはトランスフェクトされた細胞を活性薬剤として含む医薬組成物又は診断用組成物に関する。
【0098】
別の態様では、本発明は本明細書に開示するCD27受容体アゴニストタンパク質並びに1つ又は複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤及び/又はアジュバントを含む医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明はCD27受容体アゴニストタンパク質をコードする核酸分子を提供する。別の実施形態では、本発明は核酸分子を含む発現ベクターを提供する。別の実施形態では、本発明は核酸分子を含む細胞を提供する。さらなる実施形態では、細胞は真核細胞である。別の実施形態では、細胞は哺乳類細胞である。別の実施形態では、細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。他の実施形態では、細胞はCHO-DBX11、CHO-DG44、CHO-S、及びCHO-K1細胞からなる群から選択される。他の実施形態では、細胞はVero、BHK、HeLa、COS、MDCK、HEK-293、NIH-3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT20、T47D、NS0、CRL7030、HsS78Bst、PER.C6、SP2/0-AgI4、及びハイブリドーマ細胞からなる群から選択される。
【0099】
別の態様では、本発明はCD27L関連疾患又は障害を有する対象を処置する方法を提供し、本方法は対象に有効量のCD27受容体アゴニストタンパク質を投与するステップを含む。1つの実施形態では、CD27受容体アゴニストタンパク質は単独で投与される。別の実施形態では、CD27受容体アゴニストタンパク質は第2の薬剤の投与の前、これと同時に、又はその後に投与される。別の実施形態では、疾患又は障害は腫瘍、感染症、炎症、代謝性疾患、自己免疫障害、退行性疾患、アポトーシス関連疾患、及び移植拒絶反応からなる群から選択される。1つの実施形態では、腫瘍は固形腫瘍である。1つの実施形態では、腫瘍は肉腫、食道がん、及び胃がんからなるがんの群から起こる。別の実施形態では、腫瘍はユーイング肉腫又は線維肉腫から起こる。別の実施形態では、腫瘍は非小細胞肺癌(NSCLC)、膵がん、結腸直腸がん、乳がん、卵巣がん、頭頸部がん、及び小細胞肺がん(SCLC)からなるがんの群から起こる。別の実施形態では、腫瘍はリンパ腫瘍である。1つの実施形態では、腫瘍は血液腫瘍である。別の実施形態では、腫瘍は非ホジキンリンパ腫、白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、又はヘアリー細胞白血病から起こる。別の実施形態では、自己免疫障害はリウマチ性疾患、関節性疾患、又はリウマトイド及び関節炎疾患である。さらなる実施形態では、疾患又は障害はリウマチ性関節炎である。別の実施形態では、退行性疾患は神経退行性疾患である。さらなる実施形態では、神経退行性疾患は多発性硬化症である。
【0100】
1つの実施形態では、第2の薬剤は化学療法剤、放射線薬剤、又は生物学的薬剤である。1つの実施形態では、第2の薬剤はヅベリシブ、イブルチニブ、ナビトクラックス、及びベネトクラックスからなる群から選択される。別の実施形態では、第2の薬剤はアポトーシス薬剤である。1つの実施形態では、アポトーシスの第2の薬剤はボルテゾミブ、アザシチジン、ダサチニブ、及びゲフィチニブからなる群から選択される。特定の実施形態では、本明細書に開示する医薬組成物は静脈内又は皮下投与によって患者に投与される。他の実施形態では、開示した医薬組成物は経口、非経口、筋肉内、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、空腔内、腔内、大脳内、脳室内、結腸内、頸管内、消化管内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、髄腔内、滑液内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、経膣、直腸、頬内、舌下腺、鼻内、又は経皮投与によって患者に投与される。
【0101】
1つの実施形態では、CD27受容体アゴニストタンパク質は単回ボーラスとして投与される。別の実施形態では、CD27受容体アゴニストタンパク質はいくつかの分割用量で投与してよい。CD27受容体アゴニストタンパク質は約0.1〜100mg/kgで投与することができる。1つの実施形態では、CD27受容体アゴニストタンパク質は約0.1〜0.5、0.1〜1、0.1〜10、0.1〜20、0.1〜50、0.1〜75、1〜10、1〜15、1〜7.5、1.25〜15、1.25〜7.5、2.5〜7.5、2.5〜15、5〜15、5〜7.5、1〜20、1〜50、7〜75、1〜100、5〜10、5〜15、5〜20、5〜25、5〜50、5〜75、10〜20、10〜50、10〜75及び10〜100mg/kgからなる群から選択される用量で投与することができる。他の実施形態では、CD27受容体アゴニストタンパク質は約0.1〜100mg/mlで医薬組成物中に存在する。1つの実施形態では、CD27受容体アゴニストタンパク質は約0.1〜0.5、0.1〜1、0.1〜10、0.1〜20、0.1〜50、0.1〜75、1〜10、1〜20、1〜50、1〜75、1〜100、5〜10、5〜15、5〜20、5〜25、5〜50、5〜75、10〜20、10〜50、10〜75、又は10〜100mg/mlからなる群から選択される量で医薬組成物中に存在する。他の実施形態では、治療有効量のCD27受容体アゴニストタンパク質が対象に投与される。別の実施形態では、予防有効量のCD27受容体アゴニストタンパク質が対象に投与される。
【0102】
本明細書において用いる「CD27L関連疾患又は障害」という用語は、有効量のCD27受容体アゴニストを、それを必要とする対象に投与することによって改善される任意の疾患又は障害である。全て本明細書に記載した少なくとも1つのCD27受容体アゴニストタンパク質、それをコードするそれぞれの核酸、又は形質転換された若しくはトランスフェクトされた細胞は、治療、例えばCD27Lの機能不全によって引き起こされる、これに関連する、及び/又はこれに付随する障害、特に腫瘍等の増殖性障害、例えば固形又はリンパ腫瘍、感染症、炎症、代謝性疾患、自己免疫障害、例えばリウマトイド及び/又は関節炎疾患、退行性疾患、例えば多発性硬化症等の神経退行性疾患、アポトーシス関連疾患又は移植拒絶反応の予防及び/又は処置において用いられる。
【0103】
本明細書において用いる「CD27Lの機能不全」という用語は、CD27Lの正常な機能又は発現から逸脱したCD27Lの任意の機能又は発現、例えばCD27Lの正常な生理学的発現レベルと比較したCD27L遺伝子又はタンパク質の過発現、CD27L遺伝子又はタンパク質の低減した又は破壊された発現、CD27Lの正常な生理学的活性又は結合と比較したCD27Lの増加した活性、CD27Lの低減した又は破壊された活性、任意の結合パートナー、例えば受容体、特にCD27L受容体若しくは別のサイトカイン分子に対するCD27Lの増加した結合、任意の結合パートナー、例えば受容体、特にCD27L受容体若しくは別のサイトカイン分子に対する減少した又は破壊された結合として理解されたい。
【0104】
種々の実施形態では、CD27受容体を標的とすることによって処置することができる障害に罹患したヒト対象を処置する方法が提供され、本方法は本明細書に開示したCD27受容体アゴニストタンパク質をヒト対象に投与するステップを含み、それによりヒト対象における標的(単数又は複数)の活性に対する効果はアゴニスト性であり、1つ又は複数の症状が改善され、及び/又は処置が達成される。本明細書で提供されるCD27受容体アゴニストタンパク質は、乳腺、結腸、直腸、肺(例えば小細胞肺がん「SCLC」及び非小細胞肺がん「NSCLC])、中咽頭、下咽頭、食道、胃、膵、肝、胆嚢及び胆管、小腸、尿路(腎、膀胱及び尿路上皮等)、女性生殖器官(頸管、子宮、及び卵巣、並びに絨毛腫及び妊娠性絨毛性疾患等)、男性生殖器官(前立腺、精嚢、精巣及び生殖細胞腫瘍等)、内分泌腺(甲状腺、副腎、及び下垂体)、及び皮膚の癌腫、並びに血管腫、黒色腫、肉腫(骨及び軟組織から生じるもの並びにカポジ肉腫を含む)、脳腫瘍、神経、眼、及び髄膜(星状細胞腫、神経膠腫、膠芽腫、網膜芽腫、神経腫、神経芽腫、神経鞘腫、及び髄膜腫を含む)、造血器悪性疾患から生じる腫瘍、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、DLBCL、濾胞性リンパ腫、造血器悪性疾患、カポジ肉腫、悪性リンパ腫、悪性組織球増殖症、悪性黒色腫、多発性骨髄腫、腫瘍随伴症候群/悪性疾患の高カルシウム血症、又は固形腫瘍を含む原発及び転移がんに罹患したヒトを処置するために用いることができる。
【0105】
本明細書に開示したCD27受容体アゴニストタンパク質及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は障害を処置するための少なくとも1つの追加的な治療薬剤を含む。例えば、追加的な薬剤は治療剤、化学療法剤、造影剤、細胞毒性剤、血管新生阻害剤、キナーゼ阻害剤(これだけに限らないが、KDR及びTIE-2阻害剤を含む)、共刺激分子モジュレーター又は免疫チェックポイント阻害剤(これだけに限らないが、抗B7.1、抗B7.2、抗B7.3、抗B7.4、抗CD28、抗B7RP1、CTLA4-Ig、抗CTLA-4、抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2、抗ICOS、抗LAG-3、抗Tim-3、抗VISTA、抗HVEM、抗BTLA、LIGHT融合タンパク質、抗CD137、抗CD137L、抗OX40、抗OX40L、抗CD70、抗CD27、抗GAL9、抗A2AR、抗KIR、抗IDO-1、抗CD20を含む)、樹状細胞/抗原提示細胞モジュレーター(これだけに限らないが、抗CD40抗体、抗CD40L、抗DC-SIGN、抗Dectin-1、抗CD301、抗CD303、抗CD123、抗CD207、抗DNGR1、抗CD205、抗DCIR、抗CD206、抗ILT7を含む)、Toll様受容体のモジュレーター(これだけに限らないが、抗TLR-1、抗TLR-2、抗TLR-3、抗TLR-4、抗TLR-4、抗TLR-5、抗TLR-6、抗TLR-7、抗TLR-8、抗TLR-9を含む)、接着分子ブロッカー(これだけに限らないが、抗LFA-1抗体、抗E/L選択抗体、小分子阻害剤を含む)、抗サイトカイン抗体又はその機能性断片(これだけに限らないが、抗IL-18、抗TNF、又は抗IL-6/サイトカイン受容体抗体を含む)、二重特異性再指向T細胞又はNK細胞の細胞毒性(これだけに限らないが、BiTE(登録商標)を含む)、キメラT細胞受容体(CAR-T)に基づく治療、T細胞受容体(TCR)に基づく治療、治療用がんワクチン、メトトレキセート、シクロスポリン、ラパマイシン、FK506、検出可能なラベル又はレポーター、TNFアンタゴニスト、抗リウマチ剤、筋弛緩剤、麻酔剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋ブロッカー、抗微生物剤、乾癬治療剤、コルチコステロイド、タンパク同化ステロイド、エリスロポエチン、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤、成長ホルモン、ホルモン補充薬剤、放射性医薬品、抗うつ剤、抗精神病薬、興奮剤、喘息薬、ベータアゴニスト、吸入ステロイド、エピネフリン又はアナログ、サイトカイン、又はサイトカインアンタゴニストであってよい。
【0106】
ある実施形態では、がんを処置する方法において、又は本明細書に記載した腫瘍からの転移の予防若しくは阻止において、CD27受容体アゴニストタンパク質は単独で、又は1つ又は複数の追加的な薬剤、例えば化学療法剤、放射線薬剤、又は生物学的薬剤と組み合わせて用いることができる。いくつかの実施形態では、薬剤には以下の、13-シス-レチノイン酸、2-CdA、2-クロロデオキシアデノシン、5-アザシチジン、5-フルオロウラシル、5-FU、6-メルカプトプリン、6-MP、6-TG、6-チオグアニン、アブラキサン、アキュテーン(登録商標)、アクチノマイシン-D、アドリアマイシン(登録商標)、アドルシル(登録商標)、アフィニトル(登録商標)、アグリリン(登録商標)、アラコート(登録商標)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、ALIMTA、アリトレチノイン、アルカバン-AQ(登録商標)、アルケラン(登録商標)、全トランスレチノイン酸、アルファインターフェロン、アルトレタミン、アメトプテリン、アミフォスチン、アミノグルテチミド、アナグレリド、アナンドロン(登録商標)、アナストロゾール、アラビノシルシトシン、アラ-Cアラネスプ(登録商標)、アレディア(登録商標)、アリミデックス(登録商標)、アロマシン(登録商標)、アラノン(登録商標)、三酸化ヒ素、アルゼラ(商標)、アスパラギナーゼ、ATRA、アバスチン(登録商標)、アザシチジン、BCG、BCNU、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、BEXXAR(登録商標)、ビカルタミド、BiCNU、ブレノキサン(登録商標)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、ブスルフェックス(登録商標)、C225、カルシウムロイコボリン、カムパス(登録商標)、カムプトサル(登録商標)、カムプトテシン-11、カペシタビンカラク(商標)、カルボプラチン、カルムスチン、カルムスチンウェーファ、カソデックス(登録商標)、CC-5013、CCI-779、CCNU、CDDP、CeeNU、セルビジン(登録商標)、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、シトロボラムファクター、クラドリビン、コーチゾン、コスメゲン(登録商標)、CPT-11、シクロホスファミド、シタドレン(登録商標)、シタラビン、シタラビンリポソーマル、シトサル-U(登録商標)、シトキサン(登録商標)、ダカルバジン、ダコゲン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダサチニブ、ダウノマイシン、ダウノルビシン、ダウノルビシン塩酸、ダウノルビシンリポソーマル、ダウノキソーム(登録商標)、デカドロン、デシタビン、デルタ-コルテフ(登録商標)、デルタゾン(登録商標)、デニロイキン、ディフティトックス、デポシト(商標)、デキサメタソン、デキサメタソンアセテート、デキサメタソンリン酸ナトリウム、デキサソン、デキストラゾキサン、DHAD、DIC、ディオデックス、ドセタキセル、ドキシル(登録商標)、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーマル、ドロキシア(商標)、DTIC、DTIC-ドーム(登録商標)、デュラロン(登録商標)、ヅベリシブ、エフデックス(登録商標)、エリガード(商標)、エレンス(商標)、エロキサチン(商標)、エルスパル(登録商標)、エムシト(登録商標)、エピルビシン、エポエチンアルファ、エルビツックス、エルロチニブ、エルウィナL-アスパラギナーゼ、エストラムスチン、エチオールエトポホス(登録商標)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、ユーレキシン(登録商標)、エベロリムス、エビスタ(登録商標)、エキセメスタン、ファレストン(登録商標)、ファスロデックス(登録商標)、フェマラ(登録商標)、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラ(登録商標)、フルダラビン、フルオロプレックス(登録商標)、フルオロウラシル、フルオロウラシル(クリーム)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォリン酸、FUDR(登録商標)、フルベストラント、ゲフィニチブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムザール、グリーベック(商標)、グリアデル(登録商標)ウェーファ、GM-CSF、ゴセレリン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(G-MCSF)、ハロテスチン(登録商標)、ハーセプチン(登録商標)、ヘキサドロール、ヘキサレン(登録商標)、ヘキサメチルメラミン、HMM、ヒカムチン(登録商標)、ヒドレア(登録商標)、ヒドロコートアセテート(登録商標)、ヒドロコーチゾン、ヒドロコーチゾンリン酸ナトリウム、ヒドロコーチゾンコハク酸ナトリウム、ヒドロコートンリン酸、ヒドロキシ尿素、イブルチニブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イダマイシン(登録商標)、イダルビシ
ンイフェックス(登録商標)、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b(PEGコンジュゲート)、イフォスファミド、インターロイキン-11(IL-11)、インターロイキン-2(IL-2)、イマチニブメシレート、イミダゾールカルボキサミド、イントロンA(登録商標)、イピリムマブ、イレッサ(登録商標)、イリノテカン、イソトレチノイン、イキサベピロン、イキセムプラ(商標)、KADCYCLA(登録商標)、キドロラーゼ(t)ラナコート(登録商標)、ラパチニブ、L-アスパラギナーゼ、LCR、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、ロイケラン、ロイキン(商標)、ロイプロリド、ロイコクリスチン、ロイスタチン(商標)、リリルマブ、リポソーマルAra-C、リキッドプレッド(登録商標)、ロムスチン、L-PAM、L-ザルコリシン、ルプロン(登録商標)、ルプロンデポ(登録商標)、マツラン(登録商標)、マキシデックス、メクロレタミン、メクロレタミン塩酸、メドラロン(登録商標)、メドロール(登録商標)、メガス(登録商標)、メゲストロール、メゲストロール酢酸、MEK阻害剤、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メスネックス(商標)、メソトレキセート、メソトレキセートナトリウム、メチルプレドニソロン、メチコルテン(登録商標)、マイトマイシン、マイトマイシン-C、ミトキサントロンM-プレドニソール(登録商標)、MTC、MTX、ムスタルゲン(登録商標)、ムスチン、ムタマイシン(登録商標)、ミレラン(登録商標)、ミロセル(商標)、ミロタルグ(登録商標)、ナビトクラックス、ナベルビン(登録商標)、ネララビン、ネオサル(登録商標)、ニューラスタ(商標)、ニューメガ(登録商標)、ニューポゲン(登録商標)、ネキサバル(登録商標)、ニランドロン(登録商標)、ニロチニブ、ニルタミド、ニペント(登録商標)、ナイトロジェンマスタードノバルデックス(登録商標)、ニボルマブ、ノバントロン(登録商標)、エヌプレート、オクトレオチド、オクトレオチド酢酸、オファツムマブ、オンコスパル(登録商標)、オンコビン(登録商標)、オンタック(登録商標)、オンキサル(商標)、オプレルベキン、オラプレッド(登録商標)、オラソン(登録商標)、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合、パミドロナート、パニツムマブ、パントレチン(登録商標)、パラプラチン(登録商標)、パゾパニブ、ペディアプレッド(登録商標)、PEGインターフェロン、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、PEG-INTRON(商標)、PEG-L-アスパラギナーゼ、PEMETREXED、ペムブロリズマブ、ペントスタチン、ペルツズマブ、フェニルアラニンマスタード、ピジリズマブ、プラチノール(登録商標)、プラチノール-AQ(登録商標)、プレドニソロン、プレドニソン、プレロン(登録商標)、プロカルバジン、PROCRIT(登録商標)、プロロイキン(登録商標)、カルムスチンインプラントを伴うプロリフェプロスパン20、プリネトール(登録商標)、BRAF阻害剤、ラロキシフェン、レブリミド(登録商標)、リューマトレックス(登録商標)、リツキサン(登録商標)、リツキシマブ、ロフェロン-A(登録商標)、ロミプロスチム、ルベックス(登録商標)、ルビドマイシン塩酸、サンドスタチン(登録商標)、サンドスタチンLAR(登録商標)、サルグラモスチム、ソル-コルテフ(登録商標)、ソル-メドロール(登録商標)、ソレフェニブ、SPRYCEL(商標)、STI-571、STIVAGRA(商標)、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、スーテント(登録商標)、タモキシフェンタルセバ(登録商標)、タルグレチン(登録商標)、タシグナ(登録商標)、タキソール(登録商標)、タキソテレ(登録商標)、テモダル(登録商標)、テモゾロミドテムシロリムス、テニポシド、TESPA、サリドマイド、サロミド(登録商標)、テラシス(登録商標)、チオグアニン、チオグアニンタブロイド(登録商標)、チオホスホアミド、チオプレックス(登録商標)、チオテパ、TICE(登録商標)、トポサル(登録商標)、トポテカン、トレミフェン、トリセル(登録商標)、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレアンダ(登録商標)、トレメリムマブ、トレチノイン、トレキサル(商標)、トリセノックス(登録商標)、TSPA、TYKERB(登録商標)、ウレルマブ、VCR、ベクチビックス(商標)、ベルバン(登録商標)、ベルカード(登録商標)、ベネトクラックス、VePesid(登録商標)、ベサノイド(登録商標)、ビアジュール(商標)、ビダザ(登録商標)、ビンブラスチン、ビンブラスチン硫酸、ビンカサルPfs(登録商標)、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビノレルビン酒石酸、VLB、VM-26、ボリノスタット、ボトリエント、VP-16、ブモン(登録商標)、キセロダ(登録商標)、ザノサル(登録商標)、ゼバリン(商標)、ジネカード(登録商標)、ゾラデックス(登録商標)、ゾレドロン酸、ゾリンザ、若しくはゾメタ(登録商標)、及び/又は同様の経路を標的とし、本明細書に特に挙げていない他の任意の薬剤が含まれ得る。
【0107】
組み合わされた治療計画の一部として2つ以上の物質又は成分を用いる場合は、これらは同じ投与経路を介して又は異なった投与経路を介して、実質的に同時に又は別の時に(例えば実質的に同時に、継続して、又は交互の計画に従って)投与することができる。物質又は成分が同じ投与経路を介して同時に投与される場合には、当業者には明らかなように、これらは異なった医薬品製剤若しくは組成物として、又は組み合わされた医薬品製剤若しくは組成物の一部として、投与してよい。
【0108】
また、組み合わされた治療計画の一部として2つ以上の活性物質又は成分を用いる場合には、物質又は成分のそれぞれを、その化合物又は成分をそのままで用いるのと同じ量で、同じ計画に従って投与してよく、そのような併用は相乗効果をもたらすことも、もたらさないこともある。しかし、2つ以上の活性物質又は成分の併用によって相乗効果が得られる場合には、投与すべき物質又は成分の1つ、2つ以上、又は全ての量を減少させ、しかも所望の治療作用を得ることも可能である。これは、例えば1つ以上の物質又は成分をその通常の量で用いた場合にその使用に伴う望ましくない副作用を避け、制限し、又は低減させ、しかも所望の薬学的又は治療的効果を得るために有用である。
【0109】
本出願に従って用いる治療計画の効果は、臨床医には明らかなように、関連する疾患又は障害についてそれ自体、公知の任意の様式で、決定し、及び/又は追跡することができる。臨床医は、適切にかつケースバイケースで、特定の治療計画を変更し又は改変することによって、所望の治療効果を達成し、望ましくない副作用を避け、制限し、又は低減させ、及び/又は一方で所望の治療効果を達成することと他方で望ましくない副作用を避け、制限し、又は低減させることとのバランスを達成することができる。
【0110】
一般に、治療計画は所望の治療効果が達成されるまで、及び/又は所望の治療効果が維持されている間、実行されることになる。この場合も、この期間は臨床医によって決定され得る。
【0111】
種々の実施形態では、1つ又は複数のCD27受容体アゴニストタンパク質を含む医薬組成物が単独で、又は予防薬、治療薬、及び/若しくは薬学的に許容される担体と組み合わせて、本明細書に提供される。種々の実施形態では、本明細書に開示する医薬組成物の使用の非限定的な例には、障害の診断、検出、及び/又はモニタリング、障害若しくはその1つ又は複数の症状の予防、治療、処置、及び/又は改善、並びに/又は研究が含まれる。医薬組成物の単独の、又は予防薬、治療薬、及び/若しくは薬学的に許容される担体と組み合わせた製剤は当業者には公知である(米国特許公開第20090311253A1号)。
【0112】
本明細書で用いる「有効量」という語句は、CD27Lの機能不全に関連する又はCD27L関連疾患又は障害に関連する1つ又は複数のパラメーターにおける検出可能な(例えばベースラインから少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、又はそれを超える)改善をもたらすCD27Lアゴニストタンパク質の量を意味する。
【0113】
本明細書で提供する治療薬を投与する方法には、これだけに限らないが、経口投与、非経口投与(例えば皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内及び皮下)、硬膜外投与、腫瘍内投与、粘膜投与(例えば鼻内及び経口経路)、及び肺内投与(例えば吸入器又は噴霧器を用いて投与するエアロゾル化合物)が含まれる。特定の投与経路のための医薬組成物の製剤並びに種々の投与方法のために必要な材料及び手技は利用可能であり、当業者には公知である(米国特許公開第20090311253A1号)。
【0114】
種々の実施形態では、投与計画は最適の所望の応答(例えば治療応答又は予防応答)が得られるように調節される。例えば、単回ボーラスを投与してもよく、経時的にいくつかの分割用量を投与してもよく、又は治療状況の要求による指示を受けて用量を比例的に減少させ又は増加させてもよい。いくつかの実施形態では、投与を容易にし、用量を均一にするために、非経口組成物を用量単位形態に製剤化してもよい。「用量単位形態」という用語は、処置すべき哺乳類対象のための単位用量として適した物理的に分離された単位を意味し、各単位は必要な薬学的担体に関連する所望の治療効果を得るために算出された所定量の活性化合物を含む。
本明細書で提供するCD27受容体アゴニストタンパク質の治療又は予防有効量の例示的で非限定的な範囲は、約0.1〜100mg/kg(例えば約0.1〜0.5、0.1〜1、0.1〜10、0.1〜20、0.1〜50、0.1〜75、1〜10、1〜15、1〜7.5、1.25〜15、1.25〜7.5、2.5〜7.5、2.5〜15、5〜15、5〜7.5、1〜20、1〜50、7〜75、1〜100、5〜10、5〜15、5〜20、5〜25、5〜50、5〜75、10〜20、10〜50、10〜75若しくは10〜100mg/kg、又はその間の任意の濃度)である。いくつかの実施形態では、CD27受容体アゴニストタンパク質は医薬組成物中に治療有効濃度で、例えば約0.1〜100mg/mlの濃度(例えば約0.1〜0.5、0.1〜1、0.1〜10、0.1〜20、0.1〜50、0.1〜75、1〜10、1〜20、1〜50、1〜75、1〜100、5〜10、5〜15、5〜20、5〜25、5〜50、5〜75、10〜20、10〜50、10〜75若しくは10〜100mg/ml、又はその間の任意の濃度)で存在する。用量値は緩和すべき病状の型及び/又は重篤度によって変動することに注目されたい。いかなる特定の対象に対しても、特定の用量計画は個別の必要性及び/又は組成物を投与する者若しくは投与を監督する者の専門的判断によって時とともに調節できること、並びに本明細書で説明する用量範囲は例示的のみであって特許を請求する組成物の範囲又は実施を限定することを意図していないことを更に理解されたい。
【実施例】
【0115】
(実施例1)
CD27受容体アゴニストタンパク質の製造
1.1ポリペプチドの構造
A)アミノ酸Met1〜Gly20
Igカッパシグナルペプチド、アミノ酸Gly20の後の推定されるシグナルペプチダーゼ切断部位
B)アミノ酸Glu21〜Pro163
ヒトCD27Lリガンド(CD27L、配列番号1のアミノ酸51〜193)の第1の可溶性サイトカインドメイン
C)アミノ酸Gly164〜Ser171
配列番号2の第1のペプチドリンカー要素
D)アミノ酸Glu172〜Pro314
ヒトCD27Lリガンド(CD27L、配列番号1のアミノ酸51〜193)の第2の可溶性サイトカインドメイン
E)アミノ酸Gly315〜Ser322
配列番号2の第2のペプチドリンカー要素
F)アミノ酸Glu323〜Pro465
ヒトCD27Lリガンド(CD27L、配列番号1のアミノ酸51〜193)の第3の可溶性サイトカインドメイン
G)アミノ酸Gly466〜Cys486
配列番号16のヒンジリンカー要素
H)アミノ酸Pro487〜Lys704
配列番号13の抗体Fc断片ドメイン
【0116】
上記のCD27受容体アゴニストタンパク質を配列番号25に示す。
【0117】
示されたリンカーを、例えば配列番号3〜12に示すように、他の好ましいリンカーで置き換えてもよい。
【0118】
示されたヒンジリンカー要素を、例えば配列番号19〜24に示すように、他の好ましいヒンジリンカーで置き換えてもよい。
【0119】
第1及び第2のペプチドリンカーは同一でなくてもよいことに注目されたい。
【0120】
シグナルペプチド配列(A)は、他の任意の好適な、例えば哺乳類のシグナルペプチド配列で置き換えてもよい。
【0121】
1.2 ポリペプチドをコードする遺伝子カセット
合成遺伝子は好適な宿主細胞、例えば昆虫細胞又は哺乳類細胞における発現のためのコドンの使用に鑑みて最適化される。好ましい核酸配列を配列番号37に示す。
【0122】
(実施例2)
発現及び精製
2.1 融合ポリペプチドのクローニング、発現及び精製
上述の融合タンパク質は、下記の方法によって2つの異なった真核宿主細胞内で組み換えにより発現される。
【0123】
CD27受容体アゴニスト融合タンパク質の小スケール発現の方法
上述のCD27受容体アゴニスト融合タンパク質の初期の解析のため、10%のFBS、100units/mlのペニシリン及び100[mu]g/mlのストレプトマイシンを補ったDMEM+GlutaMAX(GibCo)中で増殖させたHek293細胞に、融合ポリペプチドのための発現カセット及び好適な選択マーカー、例えばブラスチシジン、プロマイシン又はヒグロマイシン耐性遺伝子を含む機能性発現カセットを含むプラスミドを一時的にトランスフェクトする。これらの例では、最終生成物を得るために複数のポリペプチド鎖が必要な場合には、トランスフェクションの間、発現カセットは1つのプラスミドに結合するか、異なったプラスミドの上に位置することになる。トランスフェクションの3日後に組み換え融合ポリペプチドを含む細胞培養上清が回収され、300Xでの遠心で清澄化され、続いて0.22μmの無菌フィルターで濾過される。
【0124】
CD27受容体アゴニスト融合タンパク質の大スケール発現及び精製の方法
インビボで用いるCD27受容体アゴニスト融合タンパク質の大スケール発現のため、上述のタンパク質をコードする合成DNAカセットを、適切な選択マーカー(例えばブラスチシジン、プロマイシン又はヒグロマイシン耐性遺伝子を含む機能性発現カセット)及び宿主細胞ゲノム中でトランスクリプション活性の挿入部位の数を増大させるために好適な遺伝要素を含む真核細胞発現ベクターに挿入する。配列を検証した発現ベクターを、懸濁に適合したチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO-S、Invitrogen)にエレクトロポレーションによって導入する。トランスフェクトした細胞に、トランスフェクション後3日間、適切な選択圧を適用することになる。選択圧の下に培養を続けることにより、ベクター由来の耐性遺伝子を有する生存細胞を回収する。選択した細胞プールを、軌道振盪インキュベーター(100rpm、振盪長50mm)中、37℃及び7%CO
2雰囲気下、化学的に定義された培地(PowerCHO2-CD、Lonza)中で安定的に増殖させ、個別の上清をELISAアッセイによって分析し、上述のタンパク質及びタンパク質の産生の前に浸透フラスコ(軌道振盪器、100rpm、振盪長50mm)中で増殖した最大の特異的産生能を有する細胞プールを検出する。
【0125】
実験室スケールのタンパク質産生のため、個別の細胞プールを、Waveバイオリアクター20/50EHT(GE-Healthcare)中、37℃及び7%CO
2雰囲気下、化学的に定義された培地(PowerCHO2-CD、Lonza)中で7〜12日間、培養する。基本培地は4mMのグルタマックスを添加したPowerCHO2-CDである。生細胞濃度0.3〜0.4×10e6細胞/ml及び以下の設定(5リットル又は10リットルのバッグについて)振盪頻度18rpm、振盪角7°、気流0.2〜0.3L/分、7%CO
2、36.5℃でWave培養を開始する。Wave培養の間、細胞培養液にPowerFeed A(Lonza)を2回、通常2日目(20%供給)及び5日目(30%供給)に供給する。2回目の供給の後、振盪頻度を22rpmに、また振盪角を8°に増加させる。
【0126】
バイオリアクターは通常7日目と12日目の間に、細胞の生存率が80%未満に低下した際に回収する。最初に、手動のデプスフィルターシステム(Millipore Millistak Pod、MC0HC 0.054m
2)を用いて培養上清を清浄化する。Strep-tagを結合したタンパク質については、アビジンを加えて最終濃度を0.5mg/Lにする。最後に、ボトルトップフィルター(0.22μm、PES、Corning)を用いてCD27受容体アゴニスト融合タンパク質を含む培養上清を無菌濾過し、さらなる処理まで2〜8℃に保存する。
【0127】
アフィニティ精製のため、ストレプトアクチンセファロースをカラムに充填し(ゲルベッド2ml)、15mlの緩衝液W(100mM Tris-HCl、150mM NaCl、pH8.0)又はPBS pH7.4で平衡化し、細胞培養上清を流量約4ml/分でカラムに加える。続いてカラムを15mlの緩衝液Wで洗浄し、7×1mlの緩衝液E(100mM Tris-HCl、150mM NaCl、2.5mMデスチオビオチン、pH8.0)を加えることによって、結合したポリペプチドを段階的に溶出させる。或いは、2.5mMのデスチオビオチンを含むPBS pH7.4をこのステップに用いてもよい。
【0128】
ストレプトアクチンセファロース系の方法の代わりに、アフィニティリガンドとして固定化されたプロテインAを含むカラムとAktaクロマトグラフィーシステム(GE-Healthcare)を用いるアフィニティ精製が実施される。融合タンパク質のFcドメインに高いアフィニティを有する固相材料:MABSelect Sure(商標)(GE-Healthcare)を選択した。簡単に述べると、洗浄緩衝液-1(20mM Pi、95mM NaCl、pH7.2)で平衡化したHiTrap MabSelectSureカラム(CV=5ml)に、清浄化した細胞培養上清を、ロード量がカラムベッド1mlあたり融合タンパク質10mgを超えないようにロードする。カラム体積の10倍(10CV)の上述の平衡緩衝液でカラムを洗浄し、次いでカラム体積の4倍(4CV)の洗浄緩衝液-2(20mM Pi、95ml NaCl、pH8.0)でカラムを洗浄して、宿主細胞タンパク質及び宿主細胞DNAを除去する。次いでカラムを溶出緩衝液(20mM Pi、95mM NaCl、pH3.5)で溶出させ、各分画がカラムベッド体積(5ml)に等しい体積を有する10個の分画まで溶出液を収集する。各分画を等体積の上述の洗浄緩衝液-2で中和する。線速度を150cm/時に設定し、上述のアフィニティクロマトグラフィー法の間、一定に保つ。溶出分画のタンパク質量を定量し、ピーク分画を超濾過によって濃縮し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって更に精製する。
【0129】
プロテインA(配列番号15)及び三価の対照タンパク質プロテインX(配列番号38)の分析用サイズ排除クロマトグラフィーを
図5に示す。対照タンパク質の調製については実施例4を参照されたい。SECはTosoh TSKgelG3000SWxlカラムを用い、1260 Infinity HPLCシステムで実施した。カラムにはタンパク質を濃度0.6mg/ml、全量20μlでロードした。流量は0.5ml/分とした。16.39分にプロテインA(
図5、パートB)、18.91分にプロテインX(
図5、パートA)の単一の主ピークが観察される。内部分子量標準(BioRad SEC Stadard)を用いることによって、それぞれの保持時間からプロテインA及びプロテインXの分子量を内挿することができる。その結果、プロテインXは80.4kDaの見かけ分子量を有し、プロテインAは201.8kDaの分子量を示す。これらの値はアミノ酸配列から誘導した理論的期待値と一致している。
【0130】
上述の方法を用いて、組み換えCD27受容体アゴニスト融合タンパク質(プロテインA、配列番号15)をCHO-S細胞中で発現させ、アフィニティクロマトグラフィー及びそれに続くSECによる仕上げによって精製した。
六価のscCD27L-RBD-Fc(プロテインA、配列番号15)融合タンパク質の分析用SECのクロマトグラムを
図5(パートB)に示す。三価の対照タンパク質(プロテインX、配列番号38)の分析用SECのクロマトグラムを
図5(パートA)に示す。
【0131】
精製した融合ポリペプチドの自然の条件下における見かけの分子量を決定するため、Superdex 200カラムに既知の分子量の標準タンパク質をロードした。標準タンパク質の溶出体積に基づいて較正曲線をプロットし、精製した融合ポリペプチドの見かけの分子量を決定した。CD27受容体アゴニスト融合タンパク質を含むFcドメインはSuperdex 200カラムから典型的には見かけの分子量約160〜180kDaで溶出し、成熟CD27受容体アゴニスト融合ポリペプチドのFcドメインによるホモ二量体化が確認された。
【0132】
(実施例3)
プロテインAから発現した二量体タンパク質のSDS-PAGEの結果
プロテインAのホモ二量体が共有結合で連結されているかを決定するため、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)実験を還元条件下及び非還元条件下で行なった。還元条件下における主バンドのサイズは非還元条件下で観察されたサイズのわずかに半分である。このことは、ホモ二量体がジスルフィド架橋によって共有結合で連結されていることを示している(
図7も参照されたい)。
【0133】
(実施例4)
三価の対照タンパク質
六価のCD27受容体アゴニスト融合タンパク質とバクテリオファージRB69-FOLDONで安定化された三価のCD27との間の相対的結合を比較するため、CHO-S細胞中でプロテインX(配列番号38)を発現し、以前のセクションに記載したように精製した。以下の実施例ではSECで精製したタンパク質を対照として用いた。プロテインX(配列番号38)の配列をTable 7(表8)に示す。プロテインXのアミノ酸1〜20はシグナルペプチドを表し、成熟タンパク質はアミノ酸Glu51から開始する。このタンパク質は、それぞれが1つの可溶性CD27Lドメイン(配列番号1のE51〜P193)を含む3つの同一のポリペプチドからなっており、この会合体は可撓性リンカーとともにCD27LのC末端に融合したバクテリオファージRB69のフィブリチンの三量体化ドメインによって安定化されている。
【0134】
【表8】
【0135】
(実施例5)
TCR活性化と組み合わせたCD27受容体アゴニストはマウスT細胞を活性化する
CD27受容体アゴニストタンパク質のT細胞活性化能を評価するため、磁性ビーズを用いるネガティブ選択により、マウス脾臓からT細胞を精製する。細胞をCFSEで標識し、種々の量のCD27受容体アゴニストタンパク質の存在下又は非存在下に培養して、37℃で2〜5日間、抗マウスCD3抗体と組み合わせる。細胞の分割を測定するための手段としてのCFSE希釈に関するデータをフローサイトメーターで取得する。細胞培養上清と捕捉のための抗マウスIFNγ抗体を用いるELISAアッセイによって、IFNγ産生を測定する。
CD27受容体アゴニストタンパク質が抗マウスCD3抗体とともにT細胞培養中に存在する場合には、CD4+及びCD8+T細胞の両方によるIFNγの分泌の明らかな増強が見られることが予想される。IFNγの産生が高くなったことと同様に、フローサイトメトリーを用いてCFSE希釈を測定することによって、より多くのT細胞が細胞サイクルに動員されることが見られると予想される。これは、T細胞の活性化に関連するCD27受容体アゴニストタンパク質の共刺激効果を立証するものである。
【0136】
(実施例6)
CD27受容体アゴニストタンパク質のマウス免疫細胞へのインビボ結合及び循環リンパ球に対する効果
CD27受容体アゴニストタンパク質の免疫細胞へのインビボ結合を評価するため、種々の濃度でのCD27受容体アゴニストタンパク質の単回静脈注射あり及びなしで、マウスを処置する。動物は20日まで観察し、注射の日から毎日、血液試料を採取する。血液試料を氷の上で蛍光標識抗ヒトFc抗体とともにインキュベートし、続いて赤血球溶解緩衝液を用いて赤血球を溶血させる。次いで試料をフローサイトメーターで分析する。血液からの全リンパ球を、その側方散乱及び前方散乱プロファイルに基づいて同定し、注射を受けたマウスからの染色した集団を未処置の対照動物からの細胞と比較する。
CD27受容体アゴニストタンパク質は、標的受容体CD27を発現している循環リンパ球の表面に結合することが予想される。結合は、おそらくアゴニスト/受容体複合体の内在化を介して起こる標的媒介薬物処理によって時とともに弱くなる傾向がある。
更に、循環リンパ球集団に対するCD27受容体アゴニストタンパク質の効果を評価する。この目的のため、種々の濃度のCD27受容体アゴニストタンパク質の単回静脈注射を受けたマウスから血液試料を注射の日から毎日採取する(上記参照)。赤血球を溶血させた後、B細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞又はNK細胞等の免疫細胞のサブセットに対する蛍光抗体で細胞を染色する。染色した細胞をフローサイトメトリーで分析する。
処置期間の経過にわたって循環免疫細胞の数に有意の変化が観察されないことが予想される。
【0137】
(実施例7)
CD27受容体アゴニストタンパク質は抗原特異的CD8+T細胞の増殖及び活性化、並びにマウス末梢血細胞及び脾臓細胞の五量体染色を増大させる
種々の量のCD27受容体アゴニストタンパク質と組み合わせた1〜10mgのニワトリ卵アルブミンをマウスに経静脈注射する。抗マウスCD27及び無関係なヒトIgG1抗体をそれぞれ陽性及び陰性対照として加える。0日目にCD27受容体アゴニストタンパク質を卵アルブミンとともに注射し、1日目に追加量のCD27受容体アゴニストタンパク質を単独で注射する。7〜10日目に末梢血及び脾臓細胞を回収する。脾臓細胞及び全血を染色に用いる。Fc受容体をブロックした後、蛍光標識したH-2 Kb/SIINFEKL、即ち卵アルブミンのペプチドT細胞エピトープと複合させたマウスMHCクラスIの四量体複合体、並びに追加的にマウスCD8及びマウスCD27を検出する蛍光標識抗体によって、室温で30分〜1時間、細胞を染色する。続いて試料を赤血球溶血緩衝液で処理して赤血球を除去し、洗浄して固定する。細胞をフローサイトメーターで分析して、CD8+及びCD27+T細胞コンパートメント中の、MHCクラスIに関連してSIINFEKLペプチドを認識し、したがって抗原特異的である細胞の数を計数する。免疫応答に関連する抗原特異的CD8+T細胞の増殖をアゴニストが増大させるという意味で、CD27受容体アゴニストタンパク質によって補助的な効果が誘発されることが観察されると予想される。これは、CD27受容体アゴニストタンパク質によって発揮される明らかな共刺激効果を立証するものである。
【0138】
(実施例8)
制限プロテアーゼ消化によるCD27受容体アゴニストタンパク質のインビトロ安定性の決定
実施例1に記載したように、検討すべき全てのCD27受容体アゴニストタンパク質を発現し、六価のFc融合タンパク質として精製する。セットは、CH2ドメインのN297S変異(EU番号付けシステムによる)、及び3つのジスルフィド架橋の生成が可能で、更に上部ヒンジのリジン(EU番号付けシステムによるK223)がグリシンに変異(K223G)して欠落しているヒンジ領域を含むCD27受容体アゴニストタンパク質を含んでいる。制限プロテアーゼ消化アッセイにおいて、3つのジスルフィドを可能にするヒンジの文脈でN297S変異及びK223G変異を同時に含む上述のCD27受容体アゴニストタンパク質を、2つのジスルフィド又は3つのジスルフィドのいずれかを可能にするヒンジ領域の文脈でN297S変異を含むがK223野生型は存在するCD27受容体アゴニストタンパク質と比較することになる。
更に、4アミノ酸に還元された第2のリンカー要素(iv)及び短縮されたヒンジ要素(vi)を有するCD27受容体アゴニストタンパク質を検討する(例えば配列番号32及び34)。両方の組み換え戦略(3つのジスルフィドを可能にするヒンジ領域の文脈でのN297SとK223Gの変異の組合せ)及びリンカー要素の短縮(iv及びvi)は、それぞれの分子の安定性に影響する可能性がある。
本発明の異なったCD27アゴニストタンパク質の安定性は、インビトロの制限プロテアーゼ消化によって取り扱うことができる。この分析のため、上述のCD27受容体アゴニストタンパク質を、異なった時間、異なった温度(例えば4℃、25℃、37℃)で、低濃度のプロテアーゼ(例えばトリプシン、V8プロテアーゼ)とともにインキュベートする。続いて、特定のタンパク分解断片の定量及びその外観を時間にわたって異なった方法、例えばSDS-PAGE、分析用SEC又は当技術で公知の分析用マススペクトリー法(例えばナノRP-HPLC-ESI-MSMS)によって測定することができる。検討するタンパク質はその配列の大部分を共通して有するので、個別のタンパク質から時間にわたって特定のタンパク分解断片がより速く出現し、その量が多いことを用いて、その相対的安定性を判定し、互いに順位を付けることができる。検討した上述のCD27受容体アゴニストタンパク質のプロテアーゼに基づくデコイ動力学に関して、そのタンパク分解安定性に関する以下の順序が予想される。
【0139】
N297S及びK223G並びに3つのジスルフィドを可能にするヒンジ領域を含むCD27受容体アゴニストタンパク質は同時に、ヒンジ領域にN297Sと野生型K223とを含むCD27受容体アゴニストタンパク質と比較して長期の安定性を有している。ヒンジリンカーとして配列番号21を含むCD27受容体アゴニストタンパク質は、ヒンジリンカー要素として配列番号16を含むCD27受容体アゴニストタンパク質と比較して長期の安定性を有している。
【0140】
(実施例9)
半減期の決定
プロテインA分子は3つの鎖間ジスルフィド結合によって共有結合で連結された2つのポリペプチドからなっており、ヒンジリンカーにK223G変異、並びにFc領域にN297S変異(EU番号付けシステムによる)を含み、その結果、CH2ドメインは非グリコシル化されている。精製されたプロテインAのマウスにおける半減期を試験した。
【0141】
雌CD1マウスに1.0mg/kgのプロテインAを単回静脈内ボーラス注射として投与した。適用の前(投与前)、及び試験物質投与後312時間まで、全血を採取した。血清を調製し、試料は血清濃度の決定まで-80℃で保存した。
【0142】
マウス血清中のプロテインA濃度の定量を、Table 8(表9)に示すCD27アゴニストを検出するELISAアッセイで行なった。プレートはCD27-Fcでコートした。次いで、その受容体CD27に特異的に結合するCD27リガンド構築物を、StrepTactin-HRPを用いるStrep-tagによって検出した。ELISAアッセイは参照プロテインAを較正及び対照試料として用いて行なった。標準濃度の測定データを用い、5パラメーターフィットで較正曲線を作成した。これにより、それぞれのマウス血清試料中の未知のプロテインAの濃度の決定ができた。
【0143】
平均血清濃度及び非コンパートメント薬物動態学データ解析のための薬物動態学評価プログラムPK Solutionsバージョン2.0(Summit Research Services, Montrose, CO)を用いて薬物動態学パラメーターを算出した。PK Solutionsは自動化されたエクセルをベースとしたアプリケーションであり、例えば静脈内又は血管外経路の投与に続く生物学的試料の分析で得られた濃度-時間データから薬物動態学パラメーターを計算する。PK Solutionsは特定のコンパートメントモデルを全く仮定せずに結果を算出する。
【0144】
薬物動態学評価の結果をTable 8(表9)にまとめる。
【0145】
【表9】
【0146】
結果は、プロテインAがマウスにおいて10.42時間と驚くほど短い終末半減期を有していることを示している。CD27受容体アゴニストタンパク質との共刺激による刺激は短いことが望ましいので、この短い半減期は好ましい治療選択肢の要素となる。
【0147】
(実施例10)
安定性/凝集試験
実施例2に記載したように分析用SECによってモノマー及び凝集物の含量を決定する。この特定の目的のため、生理学的pHで生理学的食塩濃度を含む緩衝液(例えば0.9% NaCl、pH7.4、PBS pH7.4)中で分析を行なう。典型的な凝集分析はSuperdex200カラム(GE Healthcare)で行なう。このカラムは10〜800kDaの範囲のタンパク質を分離する。
【0148】
天然条件下における精製された融合ポリペプチドの見かけの分子量を決定するため、Superdex200カラムに既知分子量の標準タンパク質をロードする。標準タンパク質の溶出体積に基づいて較正曲線をプロットし、未知分子量の精製された融合タンパク質の見かけの分子量を溶出体積に基づいて算出する。
【0149】
可溶性の非凝集タンパク質のSEC分析により、典型的には定義された溶出体積に明確な単一のタンパク質ピーク(OD 280nm又はOD 214nmで測定)が示される。この溶出体積は特定のタンパク質の見かけの天然の分子量に対応する。Fc融合タンパク質の場合の「モノマー」の定義に関して、2つのポリペプチド鎖の会合がタンパク質のFc部分によって促進され、機能性単位は2つの鎖からなるタンパク質である。Fc融合タンパク質の場合には、二量体化一本鎖融合ポリペプチドであるか否かに関わらず、2つのFc連結ポリペプチド鎖を含むこの単位が「モノマー」と定義される。
【0150】
タンパク質の凝集が起こった場合には、SEC分析はより低い保持体積にさらなるタンパク質のピークを示す。タンパク質オリゴマーは凝集の種として働く可能性があり、高含量のオリゴマーはタンパク質の凝集をもたらす可能性がある。高分子量のオリゴマー及び凝集物はSuperdex200カラムのボイド体積に溶出し、その天然の分子量に関してSECで分析することができない。
【0151】
CD27受容体アゴニスト融合タンパク質の精製された製剤は、定義されたモノマータンパク質のみ及び極めて少量のオリゴマータンパク質のみを含むことが好ましい。特定のCD27受容体アゴニスト融合タンパク質製剤の凝集/オリゴマー化の程度はSEC分析に基づき、定義されたモノマー及びオリゴマー/凝集物分画のそれぞれについてのOD280ダイアグラムのピーク面積を算出することによって決定される。全ピーク面積に基づいて、定義されたモノマータンパク質の百分率は以下のように算出される。
モノマー含量[%]=[モノマータンパク質のピーク面積]/[全ピーク面積]×100
【0152】
(実施例11)
三価及び六価のCD27受容体リガンド構築物のQCM分析による平衡結合定数の決定
三価及び六価のプロテインX及びプロテインAの平衡結合定数(K
D)は、自動化バイオセンサーシステム(Attana A100)によって決定される動的結合データ(k
on及びk
off)に基づいて算出される。A100により、クオーツ結晶マイクロバランス(QCM)手法に基づいてリアルタイムで分子間相互作用を検討することができる。
この目的のため、カルボキシル活性化QCMチップの表面にヒトCD27受容体を固定化する。続いて、三価又は六価のプロテインX又はプロテインAをそれぞれ、異なった濃度(例えば0.5、1、2、5及び10μg/ml)で被分析物質として用いて、リガンド-受容体結合(k
on)及び解離(k
off)の動的結合データを解析する。解析はリアルタイムで行なわれ、対応するK
Dを算出することができる。K
D=k
off/k
on。
QCM解析から、三価のプロテインXは対応する固定化CD27受容体に低いnM範囲のK
Dで結合し、K
Dの予想値は1〜100nMであることが示される。しかし、プロテインAの六価の構築物は対応する固定化CD27受容体に対してpM範囲の高い結合親和性を示し、K
Dの予想値は1〜1000pMである。動的結合データ(k
on及びk
off)の共通の特徴は六価の構築物が三価の構築物と比較してより速いk
onを示すことである。更に、六価のリガンドは三価のリガンドと比較すればより遅い解離(k
off)が一般に観察される。
【0153】
(実施例12)
細胞増殖アッセイ
ネガティブ選択及び磁性ビーズを用いて、新鮮なバフィーコート製剤から一次ヒト細胞を単離した。細胞にCFSE色素を担持させ、ウェルあたり2×10e6細胞で24ウェルプレートに播種した。T細胞を抗ヒトCD3抗体(クローンHIT3a、1μg/ml)、抗ヒトCD28抗体(クローンCD28.2、5μg/ml)、及び種々の量のCD27Lアゴニスト(プロテインA)(10〜1000ng/ml)とともにインキュベートし、又は対照として単に培地中に放置した。37℃で6日間インキュベートした後、グアバeasyCyteフローサイトメーターにより全ての細胞をCFSE蛍光について評価した。
抗CD3抗体及び抗CD28抗体とインキュベートしたのみの細胞は培地対照と比較してCFSE蛍光(GeoMean)を失っていることが観察され(Table 9(表10))、細胞分割及びそれによるCFSE色素の希釈が示された。重要なことに、この効果は細胞をCD27Lアゴニスト(プロテインA)とともにインキュベートした場合にもより強く、濃度依存性であった。GeoMean値を用いて、増殖が促進された細胞の百分率を誘導することができ、CD27L(プロテインA)アゴニストとともにインキュベートした細胞は、抗CD3抗体及び抗CD28抗体とともにインキュベートしただけの細胞又は培地のみの中に放置した細胞より強く増殖することが明らかである。
【0154】
【表10】
【0155】
(実施例13)
CD27アゴニスト結合アッセイ
ネガティブ選択及び磁性ビーズを用いて、新鮮なバフィーコート製剤から一次ヒト細胞を単離した。細胞をウェルあたり2×10e6細胞で24ウェルプレートに播種した。T細胞を抗ヒトCD3抗体(クローンHIT3a、1μg/ml)、抗ヒトCD28抗体(クローンCD28.2、5μg/ml)、及び種々の量のプロテインA(CD27L、10〜1000ng/ml)とともにインキュベートし、又は対照として単に培地中に放置した。37℃、3日後に細胞を抗ヒトCD27抗体及び抗ヒトCD4抗体又は抗ヒトCD8抗体で蛍光標識した。CD4+及びCD8+T細胞集団中のCD27蛍光をグアバeasyCyteフローサイトメーターで評価した。
抗CD3抗体及び抗CD28抗体とインキュベートしたT細胞を培地のみの中に放置した細胞と比較すると(Table 10(表11))、CD27の蛍光シグナルが低いことが観察され、活性化によって誘起された受容体の下方制御が示される。重要なことに、この効果は細胞をCD27アゴニスト(プロテインA)とともにインキュベートした場合により強く、用量依存性であり、CD27アゴニスト(プロテインA)によって引き起こされる補助的な効果を示している。アゴニストは天然のCD27リガンド(CD70)の受容体結合ドメインを模倣しているので、CD27の表面発現が低いことはCD27アゴニスト(プロテインA)の結合に際しての受容体の内在化による可能性がある。この結果は、インビトロにおけるCD27アゴニスト(プロテインA)のその受容体に対する結合を明らかに示唆している。
【0156】
【表11】
【0157】
(実施例14)
雌C57BI/6Nマウスの皮下同系結腸癌MC38-CEAにおけるプロテインAの抗腫瘍効果
材料及び方法
皮下に移植した同系結腸癌モデルMC38-CEAにおけるプロテインAの抗腫瘍効果を評価するため、研究はそれぞれ5〜6週齢の12匹の雌C57BI/6Nマウスを含む3実験群からなっていた。全ての動物についてPBS中の1×10
6個のMCE38-CEA腫瘍細胞を動物の左側腹部に皮下移植した。腫瘍移植の8日後に原発腫瘍が24.5〜106.25mm
3の体積に達したとき、36匹の腫瘍担持動物をランダムに3群(n=12)に分けた。同じ日に、10ml/kgのビヒクル対照(PBS)、並びに1mg/kg及び10mg/kgの試験化合物プロテインAによる処置を開始した。全群の動物を毎週2回、8、12、15及び19日目に静脈(i.v.)処置した。19日目に最後の投与を行なった後、24時間で(20日目)研究を終了し、動物を犠牲死させ、剖検を行なった。剖検の際、動物の体重を測定し、イソフルランで麻酔した。血清を調製するため、眼球後静脈穿刺によって血液試料を採取した。その後、頸椎脱臼によって動物を死亡させ、原発腫瘍を採取して湿潤重量及び腫瘍体積を決定した。更に、分析のため脾臓組織も採取した。
【0158】
結果
研究の経過中、全ての研究群の動物の平均体重は一定であるか、僅かに増加した。大きな体重減少は観察されなかった。
プロテインAは原発腫瘍増殖の用量依存性阻害を示した。用量1mg/kgにおけるプロテインAの腫瘍増殖阻害(25.8%)は見られたが、統計的に有意ではなかった。用量10mg/kgのAPG1293は、20日目にインビボで測定すると統計的に有意な腫瘍増殖阻害(48.2%)を示した。剖検の間に、原発腫瘍を切除して腫瘍体積及び湿潤腫瘍重量を決定した。高用量群(10mg/kg)の湿潤腫瘍重量はビヒクルと比較して有意に(P=0.0295)低減していた(
図9)。また高用量群の腫瘍体積もビヒクル群と比較して有意に低減していた(
図10)。
【0159】
結論
プロテインAは雌C57BI/6Nマウスの皮下同系MC38-CEA結腸癌モデルにおいてインビボ用量依存性抗腫瘍効果応答を示した。
【0160】
(実施例15)
雌BALB/cマウスの皮下同系結腸癌CT26におけるプロテインAの抗腫瘍効果
材料及び方法
雌BALB/cマウスの皮下に移植した同系結腸癌CT26におけるプロテインAの抗腫瘍効果を評価した。研究はそれぞれ5〜6週齢の10匹の雌BALB/cマウスを含む3実験群からなっていた。全ての動物について細胞培養培地(フェノールレッドなしのRPMI)中の5.0×10
5個のCT26腫瘍細胞を動物の右側腹部に皮下移植した。0日目(腫瘍移植の11日後)に原発腫瘍が23.5mm
3〜132.7mm
3の体積に達したとき、30匹の腫瘍担持動物をランダムに3群(n=10)に分けた。同じ日に、10ml/kgのビヒクル対照(群1、PBS)、並びに1mg/kg(群2)及び10mg/kg(群3)の試験化合物プロテインAによる処置を開始した。全群の動物を毎週2回、11日目(0日目)、15日目(4日目)、及び18日目(7日目)に静脈(i.v.)処置した。18日目に最後の投与を行なった後、72時間で21日目(10日目)に研究を終了し、動物を犠牲死させ、剖検を行なった。剖検の際、動物の体重を測定し、イソフルランで麻酔した。血清を調製するため、血液試料を採取した。その後、頸椎脱臼によって動物を死亡させ、原発腫瘍を採取して湿潤重量を決定した。更に、分析のため脾臓組織も採取した。
【0161】
結果
研究の経過中、全ての研究群の動物の平均体重は一定であるか、僅かに増加した(
図1)。体重はプロテインAによる処置に影響されなかった。
雌BALB/cの皮下に移植した同系結腸癌CT26モデルにおいて試験した任意の用量(1mg/kg及び10mg/kg)のプロテインAによって誘導された腫瘍増殖阻害をビヒクル対照(PBS)と比較した。推定した腫瘍体積に対する1mg/kg及び10mg/kgのプロテインAによる処置の効果は同程度であり、15日目(4日目)の2回目のプロテインAの投与以後、ずっと顕著であった。20日目にインビボで測定すると、1mg/kg及び10mg/kgの用量のプロテインAは、統計的に有意な腫瘍増殖阻害効果、即ちそれぞれ84.7%(P<0.001)及び73.1%(P<0.001)を示した。
【0162】
剖検の間、原発腫瘍を切除して腫瘍体積及び湿潤腫瘍重量を決定した。低用量群(1mg/kg)の湿潤腫瘍重量はビヒクルと比較して有意に(P=0.0175)低減していた(
図12)。また高用量群及び低用量群の腫瘍体積もビヒクル群と比較して有意に低減していた(P=0.0005及びP=0.0002)(
図11)。
【0163】
結論
プロテインAは1mg/kg及び10mg/kgの試験用量で雌BALB/cの皮下移植同系結腸癌CT26モデルにおいてビヒクル対照(PBS)と比較して高度に有意な腫瘍増殖阻害効果を示した。
【0164】
(実施例16)
CD27受容体アゴニストタンパク質はインビボでマウス抗原特異的CD8陽性T細胞のクローン性増殖を増大させる
gentleMACS Octo Dissociator(Miltenyi Biotec)を用いて、「ドナー」OT-1マウスの脾臓及びリンパ節からT細胞を単離した。細胞をPBS中に再懸濁し、「レシピエント」C57BI/6マウスに静脈注射した。1日後(0日目)、マウスに5mgのニワトリ卵アルブミン(OVAタンパク質)の腹腔内注射、及び六価のプロテインA(0.1、1又は10mg/kg)、三量体CD27リガンド(プロテインX)(10mg/kg)、又はビヒクル対照の静脈内注射を行なった。種々の時点で連続的に血液を採取した。最終時点では脾臓も採取した。
【0165】
血液及び脾臓の試料を溶解し、特異抗体及びKb/OVA四量体(OT-1細胞に特異的なH-2 Kb/SIINFEKL、Biozol-MBL)で染色して、BD Biosciences FACSCelesta BVR12を用いるフローサイトメトリーで分析した。Kb/OVA四量体はマウスMHCクラスIと、CD8陽性OT-1細胞並びにその他の任意のOVA特異的CD8陽性T細胞のT細胞受容体(TCR)に特異的に結合するOVAペプチドの複合体である。データ解析はFlowJo 10.1ソフトウェア(FlowJo, LLC)を用いて行なった。試料あたり最少1万個のCD8+ T細胞を記録し、検査した。群あたり3匹の反復を行なった。Kb/OVA四量体陽性細胞(OT-1細胞)の百分率を全CD8陽性細胞中の百分率として(平均偏差とともに)Table 11(表12))に示す。予想されるように、三量体アゴニストではなく六価のCD27受容体アゴニストがCD8陽性OT-1細胞の抗原特異的クローン性増殖を増大させた。これは、CD27受容体アゴニストタンパク質によって発揮される明らかな共刺激効果を立証するものである。
【0166】
【表12】
【0167】
(実施例17)
CD27受容体アゴニストの半減期はN結合型糖鎖の数と相関する
プロテインA分子は3つの鎖間ジスルフィド結合によって共有結合で連結された2つのポリペプチドからなっており、ヒンジリンカーにK223G変異、並びにFc領域にN297S変異(EU番号付けシステムによる)を含み、その結果、CH2ドメインはグリコシル化されている。プロテインBはプロテインAと同じFcドメイン配置を有しているが、リンカー要素(iv)が短く、N結合したグリコシル化コンセンサス部位を欠いている。プロテインBは配列番号47で表わされるが、C末端Strep-tagを有している。プロテインCはプロテインBと同じ配置を有しているが、可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)のそれぞれにN63D変異を含む。プロテインCは配列番号43で表わされる。プロテインDはプロテインCと同じ配置を有し、可溶性CD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)のそれぞれにN63D変異を含むが、N末端に短縮された可溶性CD27Lドメインを有する。プロテインDは配列番号45で表わされる。
したがって、成熟タンパク質は共有結合で連結された2つのポリペプチドからなるので、プロテインAは16個のN結合型糖鎖を含み、プロテインBは14個のN結合型糖鎖を含み、プロテインC及びプロテインDは両方とも全部で8個のN結合型糖鎖を含む。精製したプロテインA、B、C及びDについて、マウスにおける半減期を試験した。
【0168】
雌CD1マウスに10mg/kgのプロテインA、B、C又はDを単回静脈内ボーラス注射として投与した。適用の前(投与前)、及び試験物質投与後312時間まで、全血を採取した。血清を調製し、試料は血清濃度の決定まで-80℃で保存した。
【0169】
マウス血清中のプロテインA/、B/、C/、又はD濃度の定量を、Table 8(表9)に示すCD27アゴニストを検出するELISAアッセイで行なった。プレートはCD27-Fcでコートした。次いで、その受容体CD27に特異的に結合するCD27リガンド構築物を、StrepTactin-HRPを用いるStrep-tagによって検出した。ELISAアッセイは参照プロテインA、B、C、又はDを較正及び対照試料として用いて行なった。標準濃度の測定データを用いて、5パラメーターフィットで較正曲線を作成した。これにより、それぞれのマウス血清試料中の未知のプロテインA、B、C、又はDの濃度の決定ができた。
【0170】
平均血清濃度及び非コンパートメント薬物動態学データ解析のための薬物動態学評価プログラムPK Solutionsバージョン2.0(Summit Research Services、Montrose、CO)を用いて薬物動態学パラメーターを算出した。PK Solutionsは自動化されたエクセルをベースとしたアプリケーションであり、例えば静脈内又は血管外経路の投与の後の生物学的試料の分析で得られた濃度-時間データから薬物動態学パラメーターを計算する。PK Solutionsは特定のコンパートメントモデルを全く仮定せずに結果を算出する。
【0171】
薬物動態学評価の結果をTable 12(表13)にまとめる。
【0172】
【表13】
【0173】
結果は、プロテインA、B、C及びDがマウスにおいて14.5、20.3、26.6及び31.2時間と異なった半減期を有することを示している。半減期はN結合型糖鎖の総数と逆相関している。8個のN結合型糖鎖を有するがN末端が短縮されたCD27Lドメイン(i)、(iii)及び(v)を含むCD27受容体アゴニスト(プロテインD)は、プロテインCで得られたデータを裏付けている。CD27受容体アゴニストタンパク質との共刺激による刺激は短いことが望ましいので、観察された短い半減期は好ましい治療選択肢の要素となる。