特許第6917448号(P6917448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 広東衆生睿創生物科技有限公司の特許一覧

特許6917448チロシンキナーゼ阻害剤の結晶形、塩形態及び製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6917448
(24)【登録日】2021年7月21日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】チロシンキナーゼ阻害剤の結晶形、塩形態及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/48 20060101AFI20210729BHJP
   A61K 31/47 20060101ALN20210729BHJP
【FI】
   C07D215/48CSP
   !A61K31/47
【請求項の数】38
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2019-516627(P2019-516627)
(86)(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公表番号】特表2019-529478(P2019-529478A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】CN2017104260
(87)【国際公開番号】WO2018059534
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2019年5月24日
(31)【優先権主張番号】201610871081.1
(32)【優先日】2016年9月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519010293
【氏名又は名称】広東衆生睿創生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG RAYNOVENT BIOTECH CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】龍 超峰
(72)【発明者】
【氏名】陳 正霞
(72)【発明者】
【氏名】陳 小新
(72)【発明者】
【氏名】張 楊
(72)【発明者】
【氏名】劉 卓偉
(72)【発明者】
【氏名】陳 曙輝
(72)【発明者】
【氏名】黎 健
【審査官】 池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/161952(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第107115344(CN,A)
【文献】 国際公開第2002/032872(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.47±0.2°、7.80±0.2°、12.61±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、A結晶形を有する化合物1。
【請求項2】
A結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.47±0.2°、7.80±0.2°、8.87±0.2°、12.61±0.2°、13.25±0.2°、16.32±0.2°、19.03±0.2°、26.66±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物1。
【請求項3】
A結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.466°、7.803°、8.866°、10.938°、12.614°、13.246°、15.669°、16.324°、19.027°、20.344°、21.947°、22.5°、23.919°、25.338°、25.695°、26.286°、26.663°、27.961°、29.206°、31.495°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項2に記載の化合物1。
【請求項4】
B結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:13.55±0.2°、22.41±0.2°、24.16±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、B結晶形を有する化合物1。
【請求項5】
B結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:13.55±0.2°、15.94±0.2°、17.36±0.2°、22.41±0.2°、24.16±0.2°、24.78±0.2°、25.19±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項4に記載の化合物1。
【請求項6】
B結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:10.292°、11.027°、13.549°、15.028°、15.936°、16.365°、17.358°、18.043°、18.422°、19.687°、20.551°、20.727°、22.406°、22.703°、24.163°、24.778°、25.189°、26.37°、27.204°、27.892°、28.918°、29.431°、32.189°、38.226°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項5に記載の化合物1。
【請求項7】
C結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:16.21±0.2°、19.84±0.2°、24.95±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、C結晶形を有する化合物1。
【請求項8】
C結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:13.29±0.2°、15.58±0.2°、16.21±0.2°、19.84±0.2°、24.32±0.2°、24.95±0.2°、28.13±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物1。
【請求項9】
C結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:9.764°、10.725°、10.925°、13.056°、13.29°、13.938°、14.354°、15.58°、16.207°、18.499°、19.625°、19.84°、20.255°、20.434°、20.862°、21.423°、23.296°、23.41°、24.324°、24.952°、25.189°、25.344°、25.543°、26.178°、26.649°、26.985°、27.473°、28.129°、28.695°、28.916°、29.529°、30.178°、30.521°、31.662°、37.149°、38.705°、38.822°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項8に記載の化合物1。
【請求項10】
D結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.70±0.2°、11.30±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、D結晶形を有する化合物1。
【請求項11】
D結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.70±0.2°、11.30±0.2°、11.76±0.2°、15.52±0.2°、16.35±0.2°、27.26±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項10に記載の化合物1。
【請求項12】
D結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.703°、7.713°、11.3°、11.756°、12.444°、15.52°、16.349°、19.058°、21.524°、22.436°、24.954°、25.86°、27.264°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項11に記載の化合物1。
【請求項13】
E結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.51±0.2°、11.79±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、E結晶形を有する化合物1。
【請求項14】
E結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.51±0.2°、6.68±0.2°、11.79±0.2°、13.62±0.2°、15.51±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項13に記載の化合物1。
【請求項15】
E結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.506°、6.676°、7.604°、11.786°、13.621°、15.514°、18.138°、27.313°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項14に記載の化合物1。
【請求項16】
化合物1の塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、又はメタンスルホン酸塩。
【請求項17】
以下のものから成る群より選ばれることを特徴とする、請求項16に記載の化合物1の塩。
【請求項18】
F結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:13.32±0.2°、24.22±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、F結晶形を有する式(I)の化合物の
【請求項19】
F結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:11.64±0.2°、13.32±0.2°、14.02±0.2°、16.78±0.2°、20.06±0.2°、24.22±0.2°、25.02±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項18に記載の
【請求項20】
F結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:11.645°、13.321°、14.017°、14.406°、16.777°、19.382°、20.561°、21.058°、22.139°、22.758°、23.385°、24.215°、25.025°、25.242°、26.462°、27.478°、28.375°、28.912°、31.598°、32.521°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項19に記載の
【請求項21】
G結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.84±0.2°、19.48±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、G結晶形を有する式(II)の化合物の
【請求項22】
G結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.84±0.2°、9.93±0.2°、15.43±0.2°、19.48±0.2°、19.93±0.2°、20.56±0.2°、24.20±0.2°、24.89±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項21に記載の
【請求項23】
G結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.84°、9.661°、9.934°、10.763°、12.081°、12.811°、15.434°、15.987°、16.223°、18.233°、19.482°、19.93°、20.563°、21.16°、21.653°、22.895°、23.76°、24.196°、24.884°、25.812°、26.62°、27.452°、27.963°、29.685°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項22に記載の
【請求項24】
H結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.80±0.2°、21.90±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、H結晶形を有する式(III)の化合物の
【請求項25】
H結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.80±0.2°、12.53±0.2°、13.11±0.2°、14.86±0.2°、17.78±0.2°、20.11±0.2°、21.90±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項24に記載の
【請求項26】
H結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.801°、12.534°、13.109°、14.863°、17.784°、20.111°、21.076°、21.905°、24.571°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項25に記載の
【請求項27】
J結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.88±0.2°、22.00±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、J結晶形を有する式(IV)の化合物の
【請求項28】
J結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.88±0.2°、12.58±0.2°、15.02±0.2°、16.42±0.2°、20.41±0.2°、21.28±0.2°、22.00±0.2°、27.35±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項27に記載の
【請求項29】
J結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.88°、8.94°、11.725°、12.578°、13.286°、15.021°、16.424°、17.983°、20.408°、21.275°、21.611°、22.004°、22.716°、23.518°、24.511°、24.886°、25.379°、27.352°、28.023°、30.075°、34.532°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項28に記載の
【請求項30】
K結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:20.35±0.2°、22.10±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、K結晶形を有する式(IV)の化合物の
【請求項31】
K結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.02±0.2°、15.14±0.2°、16.52±0.2°、18.10±0.2°、20.35±0.2°、21.36±0.2°、22.10±0.2°、23.27±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項30に記載の
【請求項32】
K結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.024°、8.974°、9.816°、10.845°、11.828°、12.734°、13.388°、14.553°、15.14°、16.524°、17.23°、17.484°、18.101°、18.412°、19.517°、20.35°、20.861°、21.355°、21.709°、22.103°、22.816°、23.266°、23.563°、24.61°、25.001°、25.436°、25.972°、27.41°、27.726°、28.179°、28.655°、29.245°、29.914°、30.899°、31.966°、34.602°、35.358°、36.44°、37.721°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項31に記載の
【請求項33】
L結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:21.35±0.2°、22.05±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、L結晶形を有する式(IV)の化合物の
【請求項34】
L結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.00±0.2°、15.10±0.2°、16.49±0.2°、18.06±0.2°、20.49±0.2°、21.35±0.2°、22.05±0.2°、24.94±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項33に記載の
【請求項35】
L結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.002°、8.99°、9.754°、11.788°、12.695°、13.363°、15.103°、16.486°、18.06°、20.31°、20.486°、20.782°、21.354°、21.652°、22.047°、22.677°、22.795°、23.113°、23.523°、24.55°、24.944°、25.381°、26.764°、27.37°、27.686°、28.063°、28.596°、30.129°、30.802°、32.379°、33.859°、34.51°、35.334°、36.385°、37.627°、39.497°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項34に記載の
【請求項36】
M結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:20.78±0.2°、23.15±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、M結晶形を有する式(IV)の化合物の
【請求項37】
M結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:9.68±0.2°、17.37±0.2°、18.24±0.2°、20.19±0.2°、20.78±0.2°、22.10±0.2°、22.74±0.2°、23.15±0.2°、29.82±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項36に記載の
【請求項38】
M結晶形が、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:9.681°、10.703°、11.374°、12.929°、14.474°、15.324°、15.731°、16.562°、17.112°、17.369°、18.239°、18.674°、19.341°、20.188°、20.784°、21.396°、22.103°、22.736°、23.15°、23.588°、23.918°、24.632°、25.144°、25.26°、25.895°、26.106°、27.037°、27.604°、27.884°、28.258°、28.749°、29.103°、29.64°、29.816°、30.301°、30.84°、32.027°、32.461°、32.676°、34.507°、35.18°、35.65°、37.626°、38.276°、39.222°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項37に記載の
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2016年9月29日に出願された中国特許申請CN201610871081.1の優先権を主張するものであり、その内容が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、チロシンキナーゼ阻害剤の結晶形、塩形態及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質チロシンキナーゼは、リン酸基をATPからタンパク質基質に位置するチロシン残基に転移させることを触媒する酵素の一種であり、正常な細胞増殖に役割を果たしている。例えば、FGFR(Fibroblastgrowth factor receptor、線維芽細胞増殖因子受容体)、VEGFR(Vascular endothelialgrowth factor receptor、血管内皮増殖因子受容体)及びPDGFR(Platelet−derivedgrowth factor receptor、血小板由来増殖因子受容体)等のような多くの増殖因子受容体タンパク質は、チロシンキナーゼを介して役割を果たし、当該過程を介して信号に影響し、さらに細胞増殖を調整する。しかし、ある条件下にて、これらの受容体が突然変異したり過剰発現したりして、異常となることで、細胞増殖が制御できなくなり、腫瘍増殖に繋がり、最終的に周知の疾患である癌を引き起こす。増殖因子受容体タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤は、上記リン酸化反応を阻害することで、癌及び制御不能や異常細胞増殖を特徴とする他の疾患を治療する役割を果たすものである。
【0004】
制御されない血管新生は癌の特徴である。腫瘍増殖は、血管新生依存性であるということは、1971年にDr.Judah Folkmanから提案された(Folkman, New England Journal of Medicine, 285: 1182〜86(1971))。この提案では、その最も簡単な用語で「腫瘍の『取得』が一度起こると、腫瘍細胞集団における増殖の全ては、腫瘍上に集中する新しい毛細血管の増加が先行するはずである。」と記述している。現在では腫瘍の「取得」とは、数立方ミリメートルの容積を占める腫瘍細胞集団(数百万個以下の細胞)が、既存の宿主微小血管上で存在し続けることができる、腫瘍増殖の前血管形成相を示すと理解される。
【0005】
腫瘍細胞自己の増殖を阻害する代わりに血管新生を阻害することにより腫瘍を治療できることが判明した。血管新生は、固形腫瘍および血液由来の腫瘍を含めたいくつかの異なる種類の癌と関連付けられてきた。血管新生が関連付けられてきた固形腫瘍には、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫、および骨肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。血管新生は、乳癌、前立腺癌、肺癌及び結腸癌と関連付けられる。また、通常、貧血、血液凝固能の低下、並びにリンパ節、肝臓および脾臓の拡大に伴われる白血球の無制限な増殖が起こる白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫症、及び骨髄における任意の様々な急性または慢性新生物疾患のような血液由来の腫瘍とも関連付けられる。さらに、血管新生は、白血病、リンパ腫および多発性骨髄腫症を引き起こす骨髄内の異常において役割を果たしていると考えられている。
【0006】
血管新生は癌の転移において主な役割を果たしており、血管形成活性を阻害又は除去することができれば、腫瘍が存在しても増殖しない。病気の状態では、血管形成の防止により、新たな微細血管システムの侵入により引き起こされる損傷を低減することができる。血管形成過程の制御についての療法はこれらの疾患の除去又は軽減に繋がる可能性がある。
【0007】
なかでも、FGFR(Fibroblastgrowth factor receptor、線維芽細胞増殖因子受容体)、VEGFR(Vascular endothelialgrowth factor receptor、血管内皮増殖因子受容体)及びPDGFR(Platelet−derivedgrowth factor receptor、血小板由来増殖因子受容体)阻害剤が血管新生を阻害する検討は成熟している。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.47±0.2°、7.80±0.2°、12.61±0.2°において特徴的な回折ピークを有する化合物1のA結晶形を提供する。
【0009】
本発明の一態様において、前記A結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.47±0.2°、7.80±0.2°、8.87±0.2°、12.61±0.2°、13.25±0.2°、16.32±0.2°、19.03±0.2°、26.66±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0010】
本発明の一態様において、前記A結晶形のXRPDスペクトルは図1に示す通りである。
【0011】
本発明の一態様において、前記A結晶形のXRPDスペクトル解析データは表1に示す通りである。
表1:A結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0012】
本発明の一態様において、前記A結晶形の示差走査熱量曲線は69.00℃において吸熱ピークの開始点を有する。
【0013】
本発明の一態様において、前記A結晶形のDSCスペクトルは図2に示す通りである。
【0014】
本発明は、化合物1のB結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:13.55±0.2°、22.41±0.2°、24.16±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0015】
本発明の一態様において、前記B結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:13.55±0.2°、15.94±0.2°、17.36±0.2°、22.41±0.2°、24.16±0.2°、24.78±0.2°、25.19±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0016】
本発明の一態様において、前記B結晶形のXRPDスペクトルは図3に示す通りである。
【0017】
本発明の一態様において、前記B結晶形のXRPDスペクトル解析データは表2に示す通りである。
表2:B結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0018】
本発明の一態様において、前記B結晶形の示差走査熱量曲線は195.99℃において吸熱ピークの開始点を有する。
【0019】
本発明の一態様において、前記B結晶形のDSCスペクトルは図4に示す通りである。
【0020】
本発明の一態様において、前記B結晶形の熱重量分析曲線は179.31℃において重量減少率が0.6101%となる。
【0021】
本発明の一態様において、前記B結晶形のTGAスペクトルは図5に示す通りである。
【0022】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:16.21±0.2°、19.84±0.2°、24.95±0.2°において特徴的な回折ピークを有する化合物1のC結晶形をさらに提供する。
【0023】
本発明の一態様において、前記C結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:13.29±0.2°、15.58±0.2°、16.21±0.2°、19.84±0.2°、24.32±0.2°、24.95±0.2°、28.13±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0024】
本発明の一態様において、前記C結晶形のXRPDスペクトルは図6に示す通りである。
【0025】
本発明の一態様において、前記C結晶形のXRPDスペクトル解析データは表3に示す通りである。
表3:C結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0026】
本発明の一態様において、前記C結晶形の示差走査熱量曲線は197.02℃において吸熱ピークの開始点を有する。
【0027】
本発明の一態様において、前記C結晶形のDSCスペクトルは図7に示す通りである。
【0028】
本発明の一態様において、前記C結晶形の熱重量分析曲線は174.95℃において重量減少率が0.4391%となる。
【0029】
本発明の一態様において、前記C結晶形のTGAスペクトルは図8に示す通りである。
【0030】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.70±0.2°、11.30±0.2°において特徴的な回折ピークを有する化合物1のD結晶形をさらに提供する。
【0031】
本発明の一態様において、前記D結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.70±0.2°、11.30±0.2°、11.76±0.2°、15.52±0.2°、16.35±0.2°、27.26±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0032】
本発明の一態様において、前記D結晶形のXRPDスペクトルは図9に示す通りである。
【0033】
本発明の一態様において、前記D結晶形のXRPDスペクトル解析データは表4に示す通りである。
表4:D結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0034】
本発明の一態様において、前記D結晶形の示差走査熱量曲線は145.26℃において一つの吸熱ピークの開始点を有し、161.57℃において一つの吸熱ピークの開始点を有する。
【0035】
本発明の一態様において、前記D結晶形のDSCスペクトルは図10に示す通りである。
【0036】
本発明の一態様において、前記D結晶形の熱重量分析曲線は156.50℃において重量減少率が3.409%となる。
【0037】
本発明の一態様において、前記D結晶形のTGAスペクトルは図11に示す通りである。
【0038】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.51±0.2°、11.79±0.2°において特徴的な回折ピークを有する化合物1のE結晶形をさらに提供する。
【0039】
本発明の一態様において、前記E結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.51±0.2°、6.68±0.2°、11.79±0.2°、13.62±0.2°、15.51±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0040】
本発明の一態様において、前記E結晶形のXRPDスペクトルは図12に示す通りである。
【0041】
本発明の一態様において、前記E結晶形のXRPDスペクトル解析データは表5に示す通りである。
表5:E結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0042】
本発明の一態様において、前記E結晶形の示差走査熱量曲線は143.41℃において一つの吸熱ピークの開始点を有し、162.39℃において一つの吸熱ピークの開始点を有する。
【0043】
本発明の一態様において、前記E結晶形のDSCスペクトルは図13に示す通りである。
【0044】
本発明の一態様において、前記E結晶形の熱重量分析曲線は159.86℃において重量減少率が1.121%となる。
【0045】
本発明の一態様において、前記E結晶形のTGAスペクトルは図14に示す通りである。
【0046】
本発明は、化合物1の塩酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩をさらに提供する。
【0047】
本発明の一態様において、前記化合物1の塩は、以下のものから選ばれる。
【0048】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:13.32±0.2°、24.22±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(I)の化合物のF結晶形をさらに提供する。
【0049】
本発明の一態様において、前記F結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:11.64±0.2°、13.32±0.2°、14.02±0.2°、16.78±0.2°、20.06±0.2°、24.22±0.2°、25.02±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0050】
本発明の一態様において、前記F結晶形のXRPDスペクトルは図15に示す通りである。
【0051】
本発明の一態様において、前記F結晶形のXRPDスペクトル解析データは表6に示す通りである。
表6:F結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0052】
本発明の一態様において、前記F結晶形の示差走査熱量曲線は203.05℃において吸熱ピークの開始点を有する。
【0053】
本発明の一態様において、前記F結晶形のDSCスペクトルは図16に示す通りである。
【0054】
本発明の一態様において、前記F結晶形の熱重量分析曲線は155.80℃において重量減少率が0.8580%となる。
【0055】
本発明の一態様において、前記F結晶形のTGAスペクトルは図17に示す通りである。
【0056】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.84±0.2°、19.48±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(II)の化合物のG結晶形をさらに提供する。
【0057】
本発明の一態様において、前記G結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.84±0.2°、9.93±0.2°、15.43±0.2°、19.48±0.2°、19.93±0.2°、20.56±0.2°、24.20±0.2°、24.89±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0058】
本発明の一態様において、前記G結晶形のXRPDスペクトルは図18に示す通りである。
【0059】
本発明の一態様において、前記G結晶形のXRPDスペクトル解析データは表7に示す通りである。
表7:G結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0060】
本発明の一態様において、前記G結晶形の示差走査熱量曲線は186.93℃において吸熱ピークの開始点を有する。
【0061】
本発明の一態様において、前記G結晶形のDSCスペクトルは図19に示す通りである。
【0062】
本発明の一態様において、前記G結晶形の熱重量分析曲線は166.17℃において重量減少率が1.174%となる。
【0063】
本発明の一態様において、前記G結晶形のTGAスペクトルは図20に示す通りである。
【0064】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.80±0.2°、21.90±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(III)の化合物のH結晶形をさらに提供する。
【0065】
本発明の一態様において、前記H結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.80±0.2°、12.53±0.2°、13.11±0.2°、14.86±0.2°、17.78±0.2°、20.11±0.2°、21.90±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0066】
本発明の一態様において、前記H結晶形のXRPDスペクトルは図21に示す通りである。
【0067】
本発明の一態様において、前記H結晶形のXRPDスペクトル解析データは表8に示す通りである。
表8:H結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0068】
本発明の一態様において、前記H結晶形の示差走査熱量曲線は179.33℃において吸熱ピークの開始点を有する。
【0069】
本発明の一態様において、前記H結晶形のDSCスペクトルは図22に示す通りである。
【0070】
本発明の一態様において、前記H結晶形の熱重量分析曲線は159.12℃において重量減少率が1.336%となる。
【0071】
本発明の一態様において、前記H結晶形のTGAスペクトルは図23に示す通りである。
【0072】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.88±0.2°、22.00±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(IV)の化合物のJ結晶形をさらに提供する。
【0073】
本発明の一態様において、前記J結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.88±0.2°、12.58±0.2°、15.02±0.2°、16.42±0.2°、20.41±0.2°、21.28±0.2°、22.00±0.2°、27.35±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0074】
本発明の一態様において、前記J結晶形のXRPDスペクトルは図24に示す通りである。
【0075】
本発明の一態様において、前記J結晶形のXRPDスペクトル解析データは表9に示す通りである。
表9:J結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0076】
本発明の一態様において、前記J結晶形の示差走査熱量曲線は194.02℃において吸熱ピークの開始点を有する。
【0077】
本発明の一態様において、前記J結晶形のDSCスペクトルは図25に示す通りである。
【0078】
本発明の一態様において、前記J結晶形の熱重量分析曲線は172.21℃において重量減少率が1.717%となる。
【0079】
本発明の一態様において、前記J結晶形のTGAスペクトルは図26に示す通りである。
【0080】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:20.35±0.2°、22.10±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(IV)の化合物のK結晶形をさらに提供する。
【0081】
本発明の一態様において、前記K結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.02±0.2°、15.14±0.2°、16.52±0.2°、20.35±0.2°、22.10±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0082】
本発明の一態様において、前記K結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:
8.02±0.2°、15.14±0.2°、16.52±0.2°、18.10±0.2°、20.35±0.2°、21.36±0.2°、22.10±0.2°、23.27±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0083】
本発明の一態様において、前記K結晶形のXRPDスペクトルは図27に示す通りである。
【0084】
本発明の一態様において、前記K結晶形のXRPDスペクトル解析データは表10に示す通りである。
表10:K結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0085】
本発明の一態様において、前記K結晶形の示差走査熱量曲線は202.24℃において吸熱ピークの開始点を有する。
【0086】
本発明の一態様において、前記K結晶形のDSCスペクトルは図28に示す通りである。
【0087】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:21.35±0.2°、22.05±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(IV)の化合物のL結晶形をさらに提供する。
【0088】
本発明の一態様において、前記L結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.00±0.2°、15.10±0.2°、18.06±0.2°、21.35±0.2°、22.05±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0089】
本発明の一態様において、前記L結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.00±0.2°、15.10±0.2°、16.49±0.2°、18.06±0.2°、20.49±0.2°、21.35±0.2°、22.05±0.2°、24.94±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0090】
本発明の一態様において、前記L結晶形のXRPDスペクトルは図29に示す通りである
【0091】
本発明の一態様において、前記L結晶形のXRPDスペクトル解析データは表11に示す通りである。
表11:L結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0092】
本発明の一態様において、前記L結晶形の示差走査熱量曲線は209.66℃において吸熱ピークの開始点を有する。
【0093】
本発明の一態様において、前記L結晶形のDSCスペクトルは図30に示す通りである。
【0094】
本発明は、X線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:20.78±0.2°、23.15±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(IV)の化合物のM結晶形をさらに提供する。
【0095】
本発明の一態様において、前記M結晶形のX線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:9.68±0.2°、17.37±0.2°、18.24±0.2°、20.19±0.2°、20.78±0.2°、22.10±0.2°、22.74±0.2°、23.15±0.2°、29.82±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0096】
本発明の一態様において、前記M結晶形のXRPDスペクトルは図31に示す通りである。
【0097】
本発明の一態様において、前記M結晶形のXRPDスペクトル解析データは表12に示す通りである。
表12:M結晶形のXRPDスペクトル解析データ
【0098】
本発明の一態様において、前記M結晶形の示差走査熱量曲線は219.65℃において吸熱ピークの開始点を有する。
【0099】
本発明の一態様において、前記M結晶形のDSCスペクトルは図32に示す通りである。
【発明の効果】
【0100】
本発明の化合物1及びその塩は、安定で制御可能な塩形成結晶形を有するだけでなく、そのメタンスルホン酸塩もSGFにおいて良い溶解性を有するので、良好な製薬の見込みを有する。
【0101】
定義及び説明
特に断りのない限り、本明細書に用いられる以下の用語と句は下記の意味を含む。一つの特定の句又は用語は、特に定義されていない場合、不確定か不明であると考えられるものではなく、一般的な意味で理解すべきである。本明細書に商品名が現れる場合、その対応する商品又はその活性成分を表すことを意図する。
【0102】
本発明の中間体化合物は、以下に挙げられる具体的な実施の態様、他の化学合成法と組み合わせられた実施の態様、及び当業者に周知である等価の置き換え方式を含む、当業者に周知である複数の合成方法により調製することができる。好ましい実施の態様は、本発明の実施例が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
本発明の具体的な実施の態様の化学反応は適当な溶剤において完成されるものであり、前記溶剤は本発明の化学変化及びその必要な試薬と材料に適しなければならない。本発明の化合物を得るために、当業者は従来の実施の態様に基づき合成ステップ又は反応フローを変形又は選択することが必要である場合がある。
【0104】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何らか制限するものではない。
【0105】
本発明に用いられる全ての溶剤は市販のものであり、さらに精製することなく使用できる。
【0106】
本発明に用いられる溶剤は市販品として入手できる。本発明は下記の略語を用いる。DCMはジクロロメタンを表し、DMFはN,N−ジメチルホルムアミドを表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表し、EtOHはエタノールを表し、MeOHはメタノールを表し、TFAはトリフルオロ酢酸を表し、TsOHはp−トルエンスルホン酸を表し、mpは融点を表し、EtSOHはエタンスルホン酸を表し、MeSOHはメタンスルホン酸を表し、ATPはアデノシン三リン酸を表し、HEPESは4−ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸を表し、EGTAは乙二醇双(2-アミノエチルエーテル)四乙酸を表し、MgClは塩化マグネシウムを表し、MnClは塩化マンガン(II)を表し、DTTはジチオスレイトールを表す。
【0107】
粉末X線回折(X−ray powder diffractometer、XRPD)
測定器型番:ブルカーD8 advance X線回折計
測定方法:約10〜20mgのサンプルをXRPD測定に用いる。
詳細なXRPDパラメータは下記の通りである。
X線管:Cu、kα、(λ=1.54056Å).
管電圧:40kV、管電流:40mA
発散スリット:0.60mm
センサスリット:10.50mm
散乱防止スリット:7.10mm
走査範囲:4〜40deg(又は2〜40deg)
ステップ角:0.02deg
ステップ幅:0.12秒
サンプルパン回転数:15rpm
示差熱分析(Differential ScanningCalorimeter、DSC)
測定器型番:TA Q2000示差走査熱量計
測定方法:サンプル(〜1mg)をDSCアルミニウム製るつぼに置き測定を行い、50mL/min Nの条件で、10℃/minの昇温速度で、サンプルを25℃から300℃まで加熱する。
熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)
測定器型番:TA Q5000IR熱重量分析装置
測定方法:サンプル(2〜5mg)をTGA白金るつぼに置き測定を行い、25mL/min Nの条件で、10℃/minの昇温速度で、サンプルを室温から20%の重量減少まで加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1図1はA結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図2図2はA結晶形のDSCスペクトルである。
図3図3はB結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図4図4はB結晶形のDSCスペクトルである。
図5図5はB結晶形のTGAスペクトルである。
図6図6はC結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図7図7はC結晶形のDSCスペクトルである。
図8図8はC結晶形のTGAスペクトルである。
図9図9はD結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図10図10はD結晶形のDSCスペクトルである。
図11図11はD結晶形のTGAスペクトルである。
図12図12はE結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図13図13はE結晶形のDSCスペクトルである。
図14図14はE結晶形のTGAスペクトルである。
図15図15はF結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図16図16はF結晶形のDSCスペクトルである。
図17図17はF結晶形のTGAスペクトルである。
図18図18はG結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図19図19はG結晶形のDSCスペクトルである。
図20図20はG結晶形のTGAスペクトルである。
図21図21はH結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図22図22はH結晶形のDSCスペクトルである。
図23図23はH結晶形のTGAスペクトルである。
図24図24はJ結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図25図25はJ結晶形のDSCスペクトルである。
図26図26はJ結晶形のTGAスペクトルである。
図27図27はK結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図28図28はK結晶形のDSCスペクトルである。
図29図29はL結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図30図30はL結晶形のDSCスペクトルである。
図31図31はM結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
図32図32はM結晶形のDSCスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0109】
本発明の内容をよりよく理解するために、以下に具体的な実施例に基づいてさらに説明するが、具体的な実施の態様は本発明の内容を制限するものではない。
【0110】
実施例1:化合物1のA結晶形の製造
スキーム:
【0111】
1.化合物1−Bの製造
化合物1−A(40.00g、169.03mmol)と3−クロロ−2−フルオロ−4−ニトロフェノール(48.56g、253.55mmol)をクロロベンゼン(500mL)が収容された反応フラスコに添加し、反応フラスコを140℃まで加熱し、この温度で3時間撹拌し、LCMSから反応終了と示された時点で加熱を停止し、反応液を20℃まで冷却し、20℃で15時間撹拌を続け、大量の固体が析出し、ろ過、乾燥し、目的生成物の1−B粗生成物(78g、黄色い固体)を得、そのまま次工程に用いられた。
H NMR(400MHz、DMSO−d−6) 9.02(d、J=6.0Hz、2H)、8.68(s、1H)、7.96(d、J=13.6Hz、1H)、7.75(s、1H)、741−7.35(m、1H)、7.22−7.10(m、1H)、4.07(s、3H)
【0112】
2.化合物1−Cの製造
化合物1−B(78.00g、199.11mmol)をエタノール(700mL)と水(140mL)の混合液が収容された反応フラスコに添加し、撹拌下、鉄粉(33.36g、597.33mmol)と塩化アンモニウム(42.60g、796.44mmol)を反応フラスコに添加し、窒素ガス置換を3回行い、反応し90℃まで昇温し、この温度で2時間撹拌し、LCMSから反応終了と示された時点で反応液を50℃まで冷却し、ろ過し、ケークをそれぞれエタノール(200mL*3)、ジクロロメタンとイソプロピルアルコールとの混合液(200mL*5、3/1)で洗浄し、ろ液を併せ、濃縮し、残渣をジクロロメタンとイソプロピルアルコールとの混合液(3L、3/1)で溶解した後、それぞれ水酸化ナトリウム溶液(300mL*3、0.5N)と飽和食塩水(300mL*2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して目的生成物1−C粗生成物(20.40g、緑色の固体)を得、そのまま次工程に用いられた。
H NMR(400MHz、DMSO−d−6) 8.67(d、J=5.2Hz、2H)、7.88(s、1H)、7.76(s、1H)、7.53(s、1H)、7.19(t、J=8.8Hz、1H)、6.74(d、J=9.2Hz、1H)、6.51(d、J=5.2Hz、1H)、5.84(s、2H)、4.04(s、3H)
【0113】
3.化合物1のA結晶形の製造
化合物1−C(4.00g、11.06mmol)を40mLのDMFが収容された反応フラスコに添加した後、撹拌下、ピリジン(874.64mg、11.06mmol)とクロロチオノぎ酸フェニル(3.44g、19.91mmol)を反応フラスコに添加し、反応液を20℃で1時間撹拌した後、シクロプロピルアミン(1.26g、22.12mmol)を反応フラスコに滴下し、反応液を20℃で3時間撹拌し続けた。LCMSから原料の反応終了と示された時点でほぼ目的生成物に変換され、反応液に水(400)を入れてクエンチし、大量の固体が析出し、ろ過し、ケークを水(50mL*2)で洗浄し、目的生成物の粗生成物を得た。粗生成物を分取クロマトグラフィにより分離し(トリフルオロ酢酸システム)、その後飽和NaHCO(5mL)でpH=8〜9まで中和し、白い固体が析出し、ろ過、乾燥し、目的生成物のA結晶形(1.00g、白い固体)を得た。
H NMR(400MHz、METHANOL−d4) 9.05(s、1H)、8.75(d、J=6.4Hz、1H)、7.75−7.60(m、1H)、7.58(s、1H)、7.50−7.35(m、1H)、6.85−6.75(m、1H)、4.15(s、3H)、1.05−0.75(m、1H).
【0114】
他の各結晶形の製造:
30mgのA結晶形を取り、0.4mLのメタノールを添加し懸濁液とした。懸濁液サンプルをマグネチックスターラーに置き(40℃)2日間振とうした(遮光)。残った固形物を遠心分離し、40℃の真空乾燥箱で一晩乾燥し、XRPDでその結晶形状態を検出した結果、得られた最終生成物の結晶形はB結晶形であった。
【0115】
30mgのA結晶形を取り、0.4mLのエタノールを添加し懸濁液とした。懸濁液サンプルをマグネチックスターラーに置き(40℃)2日間振とうした(遮光)。残った固形物を遠心分離し、40℃の真空乾燥箱で一晩乾燥し、XRPDでその結晶形状態を検出した結果、得られた最終生成物の結晶形はC結晶形であった。
【0116】
30mgのA結晶形を取り、0.4mLのイソプロピルアルコールを添加し懸濁液とした。懸濁液サンプルをマグネチックスターラーに置き(40℃)2日間振とうした(遮光)。残った固形物を遠心分離し、40℃の真空乾燥箱で一晩乾燥し、XRPDでその結晶形状態を検出した結果、得られた最終生成物の結晶形はD結晶形であった。
【0117】
30mgのA結晶形を取り、0.4mLのメタノール−水の3:1混合物を添加し懸濁液とした。懸濁液サンプルをマグネチックスターラーに置き(40℃)2日間振とうした(遮光)。残った固形物を遠心分離し、40℃の真空乾燥箱で一晩乾燥し、XRPDでその結晶形状態を検出した結果、得られた最終生成物の結晶形はE結晶形であった。
【0118】
50mgのA結晶形を取り、4mLのアセトンを添加し超音波を当てて溶解させ、遠心後上澄み液を取り、マグネチックスターラーに置いた後、撹拌下に0.085mLの塩酸−アセトン溶液(V/V、1:9)を緩やかに添加した。常温で一晩撹拌した後遠心をかけ、残った固体サンプルを真空乾燥箱(25℃)に置き一晩乾燥し、XRPDでその結晶形状態を検出した結果、得られた最終生成物の結晶形はF結晶形であった。
【0119】
50mgのA結晶形を取り、4mLのアセトンを添加し超音波を当てて溶解させ、遠心後上澄み液を取り、マグネチックスターラーに置いた後、撹拌下に0.3mLのp−トルエンスルホン酸−アセトン溶液(p−トルエンスルホン酸19.3mgが0.3mLのアセトンに溶けた)を緩やかに添加した。常温で一晩撹拌した後遠心をかけ、残った固体サンプルを真空乾燥箱(25℃)に置き一晩乾燥し、XRPDでその結晶形状態を検出した結果、得られた最終生成物の結晶形はG結晶形であった。
【0120】
50mgのA結晶形を取り、4mLのアセトンを添加し超音波を当てて溶解させ、遠心後上澄み液を取り、マグネチックスターラーに置いた後、撹拌下に0.09mLのエタンスルホン酸−アセトン溶液(V/V、1:9)を緩やかに添加した。常温で一晩撹拌した後遠心をかけ、残った固体サンプルを真空乾燥箱(25℃)に置き一晩乾燥し、XRPDでその結晶形状態を検出した結果、得られた最終生成物の結晶形はH結晶形であった。
【0121】
50mgのA結晶形を取り、4mLのアセトンを添加し超音波を当てて溶解させ、遠心後上澄み液を取り、マグネチックスターラーに置いた後、撹拌下に0.07mLのメタンスルホン酸−アセトン溶液(V/V、1:9)を緩やかに添加した。常温で一晩撹拌した後遠心をかけ、残った固体サンプルを真空乾燥箱(25℃)に置き一晩乾燥し、XRPDでその結晶形状態を検出した結果、得られた最終生成物の結晶形はJ結晶形であった。
【0122】
1gのメタンスルホン酸を30mLアセトン溶液に添加し、60℃に加熱し、1gのA結晶形をメタンスルホン酸アセトン溶液に分割して添加し、添加終了後に60℃で5分間撹拌した後、15〜20℃まで緩やかに降温し、この温度で14時間撹拌した。ろ過し、ケークをアセトン(3mL*2)で洗浄し、30℃で8時間真空乾燥し、XRPDでその結晶形状態を検出した結果、得られた最終生成物の結晶形はK結晶形であった。
【0123】
メタンスルホン酸12.49gを1.5Lのエタノール溶液に添加し、温度が35〜40℃(内温)まで上げられ、反応液を60℃に加熱し、化合物のA結晶形50.00gをメタンスルホン酸エタノール溶液に添加し、添加終了後に60℃で1分間撹拌した後、15〜20℃まで緩やかに降温し、この温度で14時間撹拌し、ろ過し、ケークをエタノール(10mL*2)で洗浄し、常温で真空乾燥し、得られた最終生成物の結晶形はL結晶形であった。
【0124】
251mgのメタンスルホン酸を10〜15℃で20mLのメタノールに溶け、還流撹拌下で1.0gのA結晶形を添加し、溶解が終了した。加熱を停止し、徐々に冷却し、10〜15℃で20時間撹拌し、ろ過し、60℃で24時間乾燥し、XRPDでその結晶形状態を検出した結果、得られた最終生成物の結晶形はM結晶形であった。
【0125】
化合物1のA結晶形及びその塩の溶解度試験
1.希釈剤及び移動相の調製
希釈剤:アセトニトリルを希釈剤とする
移動相A:0.1%リン酸水溶液
例えば、2.0mLのリン酸を2000mLの水に添加し、10分間超音波を当て、均一に混合し、室温まで放冷し、移動相Aとする。
移動相B:アセトニトリルを移動相Bとする。
【0126】
2.対照品溶液の調製(A結晶形を対照サンプルとする)
A結晶形5mgをとり、精秤し、サンプルボトルに入れて、アセトニトリル10mLを添加し、5min超音波を当て、室温まで放冷した後均一に混合した。同時に2つを調製し、それぞれSTD−1及びSTD−2として表記した。
【0127】
3.直線性溶液の調製
対照品溶液STD−1を1倍、5倍、10倍、100倍及び1000倍に段階希釈し、直線性溶液L1、L2、L3、L4、L5として表記した。
【0128】
4.A結晶形及びその塩の溶解度試験
A結晶形及びその塩の4つの異なるpH媒体における溶解度を測定した。約10mgの遊離塩基(塩酸塩10.8mg、メタンスルホン酸塩12.1mg)をガラス瓶に添加し、4つ秤量した後、それぞれ5.0mLの異なる媒体(水、SGF、FaSSIF、FeSSIF*)を添加し、均一に懸濁液に混合した。磁子を上記懸濁液に入れて、マグネチックスターラーに置き撹拌した。24hrs撹拌した後、サンプリングし遠心をかけ、上層サンプルをHPLCでその濃度及びpHを測定した。なかでも、HPLC分析方法を表13に示した。
表13:化合物のクロマトグラフ法は下記の通りである。
【0129】
溶解度結果を表14に示した。
表14:A結晶形及びその塩の4種類の媒体における溶解度試験の結果
*:メタンスルホン酸塩に5mLのSGFを添加した後、溶液状態となり、対応する遊離塩基濃度が10mg/mLとなるまでメタンスルホン酸塩を継続して添加した。
結論:遊離塩基A結晶形はSGFにおける溶解度が大きい以外に、水、FaSSIF及びFeSSIFに殆ど不溶であるか又は難溶である。塩形成化合物はFaSSIF及びFeSSIFに殆ど不溶であるか又は難溶であり、SGF及び水における溶解度が増加し、なかでも、メタンスルホン酸塩のSGFにおける溶解度が大きい。
【0130】
塩酸塩のF結晶形、メタンスルホン酸塩のK結晶形及びL結晶形の固体安定性試験
1.固体安定性サンプルの製造及びロフティング
サンプルをそれぞれ約5mg精秤し、ガラスサンプルボトルに入れて、各条件各時点で供試サンプルとしてそれぞれ2つ秤量した。XRPDを測定するサンプルを各条件各時点において1つ入れた。上記サンプルをアルミホイルで瓶口を包み、アルミホイルに小さな穴を開けた後、サンプルを60℃、92.5%RH及び40℃/75%RHの恒温恒湿チャンバに入れた。
表15:化合物の固体安定性試験
*考察項目X:性状、XRPD、含有量及び関連物質(TRS)。
【0131】
2.固体安定性サンプルの分析
考察時点に、サンプルを取り出し、サンプルに蓋をして、室温まで放置した。サンプルの性状に変化がないかを観察し、XRPDを測定し、及びHPLCを用いてサンプルの含有量と関連物質(TRS)を分析した。固体安定性結果を表17及び表18に示した。
【0132】
2.1 移動相及び希釈剤の調製
希釈剤:メタノール−0.04%TFA水溶液(90:10、v:v)
例えば、900mLのメタノール に100mLの0.04%TFAの水溶液を添加し、均一に混合し、15分間超音波を当て、室温まで放冷し、希釈剤として用いられた。
移動相A:0.04%TFA水溶液
例えば、0.8mLのTFAを2000mLの水に添加し、均一に混合し、15分間超音波を当て、室温まで放冷し、移動相Aとした。
移動相B:アセトニトリルを移動相Bとした。
【0133】
2.2 サンプル溶液の調製
塩酸塩のF結晶形:それぞれ希釈剤18mL(0日目にサンプルに希釈剤20mLを入れた)を添加し、2min超音波を当て、均一に混合した後サンプル溶液とした。
メタンスルホン酸塩のK結晶形及びL結晶形:それぞれ希釈剤15mLを添加し、2min超音波を当て、均一に混合した後サンプル溶液とした。
備考:全てのサンプル溶液は調製直後に注入分析を行った。
【0134】
2.3 サンプル溶液の分析
液体クロマトグラフィーシステムが安定後に注入分析を行い、その分析方法を表16に示した。
表16:化合物の含有量及び関連物質分析方法
【0135】
分析結果を表17に示した。
表17:塩酸塩のF結晶形及びメタンスルホン酸塩のK結晶形の固体安定性試験の結果(5日目及び10日目)*
*塩酸塩の10日目の安定性サンプルは分析されていなかった。
0日目のサンプルを自己対照とした。
0.02%よりも大きい全ての単一の不純物の合計。
結論:塩酸塩のF結晶形及びメタンスルホン酸塩のK結晶形の固体安定性は優れている。
【0136】
表18:メタンスルホン酸塩のL結晶形の固体安定性試験の結果(5日目、10日目、30日目の安定性データ)*
*塩酸塩の10日目の安定性サンプルは分析されていなかった。
0日目のサンプルを自己対照とした。
0.05%よりも大きい全ての単一の不純物の合計。
結論:メタンスルホン酸塩のL結晶形の固体安定性は優れている。
【0137】
実験例1:化合物1の体外酵素活性の測定
実験目的
Z´−LYTETM Detection Kinase Assayにより酵素活性を検出し、化合物のIC50値を指標とし、化合物のVEGFR2、FGFR1、PDGFRBの3種類のキナーゼに対する阻害作用を評価した。
実験材料
組換えヒトVEGFR2及びFGFR1プロテアーゼはLife technologyから購入され、PDGFRBプロテアーゼはMilliporeから購入された。
Z−LYTETM Kit Tyr1及びTyr4はLife technologyから購入された。マルチマイクロプレートリーダEnvision(PerkinElmer)により読み取られた。
実験方法
測定化合物の濃度を3倍に段階希釈し、最終濃度が10μM〜0.17nMの11種の濃度となり、濃度ごとに2つの重複ウェルを実行した。DMSOの検出反応における含有量は1%であった。
VEGFR2酵素反応:
VEGFR2タンパク質キナーゼ3nM、Tyr1 peptide 2μM、ATP 100μM、HEPES(pH7.5)50mm、MgCl 10mm、EGTA 1mm、0.01%BRIJ−35を用いた。検出プレートはBlack Proxiplate 384−Plus plate(PerkinElmer)であり、室温で60分間反応し、反応系は10μlであった。
FGFR1酵素反応:
FGFR1タンパク質キナーゼ1nM、Tyr4 peptide 2μM、ATP 25μM、HEPES(pH7.5)50mm、MgCl 10mm、EGTA 1mm、0.01%BRIJ−35、MnCl 2mm、DTT 1mmを用いた。検出プレートはBlack Proxiplate 384−Plus plate(PerkinElmer)であり、室温で60分間反応し、反応系は10μlであった。
PDGFRB酵素反応:
PDGFRBタンパク質キナーゼ40nM、Tyr4 peptide 2μM、ATP 100μM、HEPES(pH7.5)50mm、MgCl 10mm、EGTA 1mm、0.01%BRIJ−35、MnCl 2mm、DTT 1mmを用いた。検出プレートはBlack Proxiplate 384−Plus plate(PerkinElmer)であり、室温で60分間反応し、反応系は10μlであった。
反応検出:
キナーゼ反応液に5μlのDV reagent B(1:128)を添加し、反応を停止し、23℃で60分間インキュベートし、Envision測定器により読み取られた。
データ分析
データをリン酸化率及び阻害率に変換し、4つのパラメータでカーブフィッティング(Model 205 in XLFIT5、iDBS)し、化合物のIC50データを得た。実験の結果を表19に示した。
表19:Z´−LYTETMによるIC50測定結果
備考:VEGFR2:AAA<50nM。
FGFR1:50nM≦AA<200nM。
PDGFRB:AAA<50nM。
結論:化合物1がVEGFR2、FGFR1、PDGFRBに対して優れたインビトロ阻害活性を有する。
【0138】
実験例2:化合物1のインビトロ細胞学的阻害活性
実験目的
CellTiter−Glo(R)Lのuminescent Cell Viability Assayにより細胞内のATP変化を検出し、化合物のIC50値を指標とし、化合物のインビトロ細胞HUVECに対する阻害作用を評価した。
実験材料
HUVEC細胞株(ATCC)、EGM−2 BulletKit(Lonza)、hVEGF−165(Cell Signaling)、パンクレアチン(Invitrogen)、DPBS(Hyclone)、384ウェル細胞培養用プレート(Greiner)、384ウェル化合物プレート(Greiner)、COインキュベータ(Thermo)、遠心機(Eppendorf)、Vi−cell細胞計数装置(Beckman Coulter)、Bravo自動ピペットワークステーション(Agilent)、Envision(Perkin Elmer)
実験方法
A 細胞の解凍、増殖。
B 細胞の播種:飢餓培地(2%FBS及び0.1%GA−1000のみを含む)でHUVEC細胞を再懸濁させ、濃度が20,000/mLとなるまで希釈し、50μl/ウェルで希釈された細胞を384ウェルプレート板(Greiner)に添加した。細胞培養用プレートを37℃で放置し、5%COインキュベータで一晩培養した。
C 薬物の添加:被検化合物を4倍段階希釈し、最終濃度が10μM〜0.038nMの10種の投与濃度を得、2つの重複ウェルを実行した。中間プレートのウェルごとに47.6μlの飢餓培地を添加し、段階希釈された化合物プレートから2.4μlの化合物を中間プレートに移し、十分に混合した。さらに中間プレートから5μlの液体を細胞培養用プレートに移し、37℃、5%COインキュベータで1時間インキュベートした後、最終濃度が20ng/mLのhVEGF−165と最終濃度が1ng/mLのHeparinを含有する5μlの飢餓培地に添加し、37℃、5%COインキュベータで72時間継続して培養した。
D 72時間後、30μlの検出試薬を添加した。室温で10〜30分間インキュベートし、Envisionにより読み取られた。
データ処理
下記の式:(Max−Sample)/(Max−Min)*100%によりカウント値を阻害率(%)に変換した。パラメータでカーブフィッティング(Model 205 in XLFIT5、iDBS)し、IC50データが測定された。実験の結果を表20に示した。
表20:CellTiter−Glo(R)によるIC50測定結果
備考:AA<100nM。
結論:化合物1はHUVECに対して優れた阻害活性を有する。
【0139】
実験例3:腫瘍増殖阻害(TGI)分析
腫瘍の進展増殖は、腫瘍体積と時間との関係で評価した。皮下腫瘍の長軸(L)と短軸(W)はノギスで週に2回測定し、腫瘍の体積(TV)は((LxW)/2)により計算した。TGIは溶剤群マウスの腫瘍体積の中央値と薬物群マウスの腫瘍体積の中央値との差で計算し、溶剤対照群の腫瘍体積の中央値の割合で表され、
下記の式により計算した。
%TGI=((中間腫瘍体積(対照群)−中間腫瘍体積(投与群))/中間腫瘍体積(対照群))×100%
一次統計分析は分散測定分析を繰り返すことでなされた。次にScheffe psot hoc実験法により多重比較を行った。単独の溶剤(0.5%メチルセルロース+0.2%トゥイーン水溶液)はネガティブコントロールであった。
実験の結果を表21に示した。
表21:マウスにおける抗腫瘍活性試験の結果
結論:式(IV)の化合物のL結晶形は優れた抗腫瘍生体内効果を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32