(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検知電圧が前記メモリセルに印加されている間に前記メモリセルによって出力された前記第1の電流と、前記検知電圧が前記メモリセルに印加されている間に前記メモリセルによって出力された前記第2の電流とを分離することが、前記メモリセルによって出力された前記第1の電流に対応する前記メモリセルによって放電された電荷と、前記メモリセルによって出力された前記第2の電流に対応する前記メモリセルによって放電された電荷とを分離することを含む請求項1に記載の方法。
前記メモリセルの前記データ状態が、前記コンデンサによって蓄積された前記電荷に関連した前記電圧量が前記基準電圧よりも小さいことを前記比較が示すときに第1のデータ状態であり、
前記メモリセルの前記データ状態が、前記コンデンサによって蓄積された前記電荷に関連した前記電圧量が前記基準電圧よりも大きいことを前記比較が示すときに第2のデータ状態である、請求項8に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、メモリ検知のための電流分離を行う装置、方法及びシステムを含む。実施形態は、強誘電体材料を有するメモリセルに検知電圧を印加することと、検知電圧がメモリセルに印加されている間にメモリセルによって出力された第1の電流と、検知電圧がメモリセルに印加されている間にメモリセルによって出力された第2の電流とを分離することによってメモリセルのデータ状態を判定することであって、メモリセルによって出力された第1の電流がメモリセルの強誘電体材料の第1の分極状態に対応し、メモリセルによって出力された第2の電流がメモリセルの強誘電体材料の第2の分極状態に対応する、判定することとを含む。
【0008】
本開示による電流分離を使用したメモリ(例えば、FeRAMメモリ)の検知は、メモリの検知のための従前の方式よりも速くすることができ、使用する電力を少なくすることができ、かつ/または信頼性を高くすることができる。例えば、本開示による電流分離を使用したメモリの検知により、メモリのデータ状態を区別するために使用される検知窓のサイズを、従前の検知方式で使用される検知窓と比較して大きくすることができる。これにより、本開示による電流分離を使用して、従前の検知方式よりも信頼性が高い(例えば、正確な)検知動作を実行することができる。さらに、本開示によってメモリを検知するために使用される検知窓は、従前の検知方式で使用される検知窓よりも速く取得することができる。これにより、従前の検知方式と比較して、本開示による電流分離を使用して実行された検知動作の速度を上げる(例えば、データ状態が区別され得るときの速度を上げる)ことができる。加えて、本開示によってメモリを検知するために使用される回路は、従前の検知方式で使用されるコンデンサよりも低い静電容量を有するコンデンサ(例えば、増幅コンデンサ)を含むことができる。これにより、従前の検知方式のサイズ及び/または消費電力と比較して、本開示の検知回路のサイズ及び/または消費電力を減少させることができる。
【0009】
本明細書で使用される場合、「a」または「an」は、何かの1つ以上を指すことができ、「複数の」は、そのようなもののうちの2つ以上を指すことができる。例えば、メモリセル(a memory cell)は、1つ以上のメモリセルを指すことができ、複数のメモリセルは、2つ以上のメモリセルを指すことができる。加えて、特に図面の参照符号に関して、本明細書で使用される場合の指示子「M」及び「N」は、そのように指定された特定の特徴の1つ以上が、本開示の実施形態と共に含まれ得ることを示す。
【0010】
本明細書の図面は、最初の一桁または複数桁が描写図面の番号に対応し、残りの桁が図面の要素または構成要素を識別するという付番規則にしたがう。異なる図面間での類似の要素または構成要素は、類似の数字を使用することによって識別され得る。例えば、108は、
図1A及び
図1Bの要素「08」を指し得、類似の要素は、
図3の308として指され得る。
【0011】
図1Aは、本開示の実施形態によるメモリアレイ106の例を示す。メモリアレイ106は、例えば、強誘電体メモリ(例えば、FeRAM)アレイとすることができる。
【0012】
図1Aに図示したように、メモリアレイ106は、異なる状態を記憶するようにプログラム可能であり得るメモリセル108を含み得る。メモリセル108は、プログラム可能な状態を表す電荷を蓄積するためのコンデンサを含み得る。例えば、充電されたコンデンサ及び充電されていないコンデンサは、それぞれ、2つの論理状態(例えば、0及び1)を表し得る。メモリセル108は、例えば、いくつかの例では、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの酸化物材料などの強誘電体材料を有するコンデンサを含み得る。例えば、強誘電体材料は、(例えば、
図2に関してさらに説明されるように、例えば、ヒステリシスループの形で)印加電界と蓄積電荷との間の非線形関係を有し得、自発的な電気分極(例えば、電界が存在しないときの非ゼロ分極)を有し得る。強誘電体コンデンサの異なる充電レベルは、例えば、異なる論理状態を表し得る。
【0013】
図1Aに図示したように、メモリセル108は、アクセス線110−1〜110−Mのうちのそれぞれ1本などの、それぞれのアクセス線、及びデータ線115−1〜115−Nのうちの1本などの、それぞれのデータ(例えば、デジット)線に結合され得る。例えば、メモリセル108は、アクセス線110とデータ線115との間に結合され得る。一例では、アクセス線110はワード線とも呼ばれ得、データ線115はビット線とも呼ばれ得る。アクセス線110及びデータ線115は、例えば、銅、アルミニウム、金、タングステンなどの導電性材料、金属合金、他の導電性材料などから作製され得る。
【0014】
一例では、アクセス線110に共通に結合されたメモリセル108は、メモリセルの行と呼ばれ得る。例えば、アクセス線110は、行デコーダ(
図1Aに図示せず)に結合され得、データ線115は、列デコーダ(
図1Aに図示せず)に結合され得る。プログラミング(例えば、読み込み)及び検知(例えば、書き込み)などの動作は、適切なアクセス線110及びデータ線115を活性化または選択することによって(例えば、アクセス線に電圧を印加することによって)メモリセル108に対して実行され得る。アクセス線110を活性化することにより、メモリセル108の対応する行がそれらのそれぞれのデータ線115に電気的に結合され得る。
【0015】
分かりやすくするために、かつ本開示の実施形態を不明瞭にしないように
図1Aには図示されていないが、メモリアレイ106は、メモリデバイスの形態で装置に含めることができる。本明細書で使用される場合、「装置」は、限定されることはないが、例えば、回路もしくは回路網、1つもしくは複数のダイ、1つもしくは複数のモジュール、1つもしくは複数のデバイス、または1つもしくは複数のシステムなどの、様々な構造または構造の組み合わせのいずれかを指すことができる。さらに、装置(例えば、メモリデバイス)は、アレイ106と類似した追加のメモリアレイ(複数可)を含み得る。
【0016】
図1Bは、本開示の実施形態によるメモリセル108を含む例示的な回路120を示す。
図1Bに図示したように、回路120は、強誘電体メモリ(例えば、FeRAM)セル108、アクセス線110及びデータ線115を含み得る。これらは、それぞれ、
図1Aに図示したメモリセル108、アクセス線110及びデータ線115の例を表し得る。
【0017】
図1Bに図示したように、メモリセル108は、コンデンサ122などの記憶素子を含み得る。このコンデンサは、セルプレート124などの第1のプレート、及びセル底126などの第2のプレートを有し得る。セルプレート124とセル底126とは、それらの間に配置された強誘電体材料128を通じて容量的に結合され得る。セルプレート124及びセル底126の向きは、メモリセル108の動作を変更せずに反転され得る。
【0018】
図1Bに図示したように、回路120は、選択トランジスタなどの選択デバイス130を含み得る。例えば、選択デバイス130の制御ゲート112は、アクセス線110に結合され得る。
図1Bの例では、セルプレート124はプレート線132を介してアクセスされ得、セル底126はデータ線115を介してアクセスされ得る。例えば、選択デバイス130は、アクセス線110が選択デバイス130を活性化したことに応じてデータ線115をセル底126に選択的に結合するために使用され得る。例えば、コンデンサ122は、選択デバイス130が非活性化されるとデータ線115から電気的に絶縁され得、コンデンサ122は、選択デバイス130が活性化されるとデータ線115に電気的に結合され得る。選択デバイス130の活性化は、例えば、メモリセル108の選択と呼ばれ得る。
【0019】
一例では、正または負の電気的パルス(例えば、正または負の電圧または電流パルス)などの、電界またはエネルギーの源を特定の期間中にメモリセル108の記憶素子に(例えば、コンデンサ122に)印加して、セルを目標データ状態にプログラムすることができる。例えば、電界(例えば、電気的パルス)がコンデンサ122の強誘電体材料128全体に印加されると、強誘電体材料128の双極子は、印加電界の方向に配列され得る。双極子は、電界が除かれた後にその配列(例えば、分極状態)を保持し得、異なる論理状態(例えば、0及び1)は、強誘電体材料128の異なる分極状態として記憶され得る。したがって、メモリセル108は、セルプレート124及びセル底126を帯電させることによってプログラムされ得る。このように帯電させることにより、強誘電体材料128全体に電界が印加され得、強誘電体材料が、特定のデータ(例えば、論理)状態に対応し得る(例えば、印加電界の極性に応じた)特定の分極状態に置かれ得る。本明細書でさらに説明されるように、メモリセルのデータ状態は、その後、強誘電体材料がどの分極状態にあるかを判定することによって決定(例えば、検知)され得る。
【0020】
図2は、本開示の実施形態による印加電界(例えば、電圧)とメモリセルの蓄積電荷(例えば、印加電圧に応じてメモリセルによって放電された電荷)との間の関係242を示す
図240の例である。例えば、メモリセルは、例えば、
図1A〜
図1Bに関連して先に説明したメモリセル108などの強誘電体メモリ(例えば、FeRAM)セルとすることができる。
図2に示したように、この関係240は、ヒステリシスループの形をとり得る。
【0021】
検知電圧がメモリセルに印加されるとき(例えば、セルに対して実行されている検知動作中)、電流は、検知電圧がセルに印加されていることに応じてメモリセルを流れ、メモリセルによって出力され得る。この電流は、検知電圧がメモリセルに印加されている間にメモリセルによって(例えば、メモリセルのコンデンサによって)放電された電荷量に対応することができ、2つの成分に分離(例えば、分割)することができる。第1の成分は、本明細書では変位または誘電性成分と呼ばれ得、セルのコンデンサのプレートの間の距離などの、メモリセルの物理的次元の特徴の結果としてメモリセルによって放電された電荷に対応することができ、検知電圧がセルに印加されてからほぼ直後に放電され得る。第2の成分は、本明細書では極性成分と呼ばれ得、セルのコンデンサの強誘電体材料の特徴の結果としてメモリセルによって放電された電荷に対応することができ、強誘電体材料の特徴のために特定の遅延を伴って放電され得る。
【0022】
例えば、メモリセルの強誘電体材料の第1の分極状態に対応する第1のデータ状態(例えば、0)にメモリセルがプログラムされている場合、メモリセルの強誘電体材料の双極子の配列は、検知電圧がセルに印加されていることに応じて変化し得ない。したがって、メモリセルは、強誘電体材料の双極子配列の変化に起因する電荷を全く放電し得ない(例えば、メモリセルは、セルの物理的次元の特徴に起因する電荷のみを放電し得る)。この分極状態は、変位状態と呼ばれ得る。しかしながら、メモリセルの強誘電体材料の第2の分極状態に対応する第2のデータ状態(例えば、1)にメモリセルがプログラムされている場合、セルの強誘電体材料の双極子の配列は、検知電圧がセルに印加されていることに応じて変化(例えば、スイッチング及び/または反転)し得る。したがって、セルは、セルの物理的次元の特徴に起因する電荷に加えて(例えば、その後に)強誘電体材料の双極子配列の変化に起因する電荷を放電し得る。この分極状態は、極性状態と呼ばれ得る。
図2に示した時刻t0は、検知電圧がメモリセルに印加され始めたときの初期時刻(例えば、放電電荷の変位成分の開始)に対応し得、
図2に示した時刻t1は、セルの強誘電体材料の双極子配列の変化が発生し得る時刻(例えば、変位成分の終了及び放電電荷の極性成分の開始)に対応し得る。
【0023】
このように、検知電圧がセルに印加されている間にメモリセルによって出力された第1の電流成分と、検知電圧がセルに印加されている間にメモリセルによって出力された第2の電流成分とを分離することにより(例えば、電流の変位成分と分極成分とを分離することにより)、メモリセルのデータ状態を判定することができる。先に本明細書で説明したように、第1の電流成分は、セルの強誘電体材料の第1の(例えば、変位)分極状態に対応することができ、第2の電流成分は、セルの第2の(例えば、極性)分極状態に対応することができる。すなわち、第1の電流成分は、検知電圧がセルに印加されている間に特定の基準時刻の前にセルによって出力された電流を含み得、第2の電流成分は、検知電圧がセルに印加されている間に特定の基準時刻の後にセルによって出力された電流を含み得る。この基準時刻は、セルが第2のデータ状態にプログラムされている場合、検知電圧がメモリセルに印加されている間にメモリセルの強誘電体材料の分極状態の変化(例えば、双極子の配列のスイッチング)が発生するときの時刻(例えば、
図2に示した時刻t1)に基づく(例えば、関連する)。この基準時刻は、例えば、検知電圧がメモリセルに印加され始めてから約10ナノ秒後であり得、検知電圧は、例えば、約1.6ボルトである(例えば、その大きさを有する)場合がある。
【0024】
第1の電流成分と第2の電流成分とは、例えば、メモリセルに結合されたデータ(例えば、デジット)線を、検知電圧がメモリセルに印加されている間に特定の基準時刻に到達するまで継続的にプリチャージする(例えば、プリチャージ信号を継続的に印加する)ことによって分離することができる。例えば、検知動作の一部として、メモリセルに結合されたデータ線は、検知電圧がセルに印加される前に(例えば、時刻t0の前に)プリチャージされ得る。一旦データ線がプリチャージされると、次いで、検知電圧がメモリセルに印加され得る。しかしながら、検知電圧がメモリセルに印加されている間、プリチャージ信号は、特定の基準時刻までデータ線に継続的に印加され得る。一旦特定の基準時刻に到達すると、プリチャージ信号はオフにされ得るが、検知電圧はメモリセルに継続的に印加される。これにより、検知電圧が印加されている間に特定の基準時刻の前にメモリセルによって出力された電流を、検知電圧が印加されている間に特定の基準時刻の後にメモリセルによって出力された電流から分離することが可能になる。
【0025】
次いで、メモリセルのデータ状態を、第2の電流成分(例えば、基準時刻の後に出力された電流)のみを使用して判定することができる。すなわち、セルのデータ状態は、第1の電流成分を使用せずに判定することができる(例えば、第1の電流成分を検知プロセスから排除及び/または除去することができる)。例えば、第1の電流成分と第2の電流成分との分離は、第1の電流成分に対応するメモリセルによって放電された電荷(例えば、メモリセルの物理的次元の特徴に起因する電荷)と、第2の電流成分に対応するメモリセルによって放電された電荷(例えば、セルの強誘電体材料の双極子配列の変化に起因する電荷)とを分離することを含むことができ、セルのデータ状態は、第2の電流成分に対応する電荷のみを使用して(例えば、第1の電流成分に対応する電荷を使用せずに)判定することができる。
【0026】
例えば、第2の電流成分に対応するメモリセルによって放電された電荷に関連した電圧量と基準電圧との比較に基づいて(例えば、それらを比較することによって)メモリセルのデータ状態を判定することができる。この電圧量が基準電圧よりも小さいことを比較が示す場合、メモリセルは、第1のデータ状態(例えば、0)にプログラムされており、この電圧量が基準電圧よりも大きいことを比較が示す場合、メモリセルは第2のデータ状態(例えば、1)にプログラムされている。追加的な例として、第2の電流成分がメモリセルによって出力される時間に基づき、メモリセルのデータ状態を判定することができる。例えば、第2の電流成分は、セルが第1のデータ状態にプログラムされている場合に比べて、メモリセルが第2のデータ状態にプログラムされている場合により速やかに排出され得る。そのため、第2の電流がメモリセルによって出力される時間は、セルが第1のデータ状態にプログラムされている場合に比べて、セルが第2のデータ状態にプログラムされている場合により短くなり得る。メモリセルによって出力された電流成分を分離し、メモリセルのデータ状態を判定するために使用することができる回路の例について、(例えば、
図3及び
図6に関して)本明細書でさらに説明する。
【0027】
第2の電流成分のみを使用して(例えば、第1の電流成分を使用せずに)セルのデータ状態を判定することにより、2つの可能なセルのデータ状態を区別するために使用される検知窓のサイズを大きくすることができる。これにより、従前の検知方式よりも信頼性が高い(例えば、正確な)データ状態の判定を行うことができる。さらに、検知窓は、第2の電流成分のみを使用することによってより速く取得することができる。これにより、従前の検知方式と比較してセルのデータ状態が判定され得るときの速度を上げることが可能になる。
【0028】
図3は、本開示の実施形態によるメモリ検知のための電流分離を行う回路(例えば、検知回路)350の例を示す。回路350は、
図1A〜
図1Bに関して先に説明したメモリアレイ106に結合させることができ、このメモリアレイと同じ装置(例えば、メモリデバイス)に含めることができる。
【0029】
例えば、
図3に示したように、回路350は、
図1A〜
図1Bに関して先に説明したメモリセル108と類似したメモリセル308を含むアレイに結合させることができる。例えば、
図3に示したように、メモリセル308は、記憶素子(例えば、コンデンサ)322、ならびに
図1A〜
図1Bに関して先に説明したものと類似した手法でアクセス線310及びデータ(例えば、デジット)線315に結合された選択デバイス330を含むことができる。簡単にするために、かつ本開示の実施形態を不明瞭にしないように単一のメモリセル308が
図3に図示されているが、回路350は、アレイの各それぞれのメモリセルに結合させることができる。
【0030】
さらに、簡単にするために、かつ本開示の実施形態を不明瞭にしないように
図3には図示されていないが、セル308を含む回路350及び/またはメモリアレイはコントローラに結合させることができる。コントローラは、例えば、制御回路ならびに/またはロジック(例えば、ハードウェア及び/もしくはファームウェア)を含むことができ、メモリアレイと同じ物理デバイス(例えば、同じダイ)上に含めることができるか、またはメモリアレイを含む物理デバイスに通信可能に結合された別の物理デバイス上に含めることができる。実施形態では、コントローラの構成要素は、複数の物理デバイス(例えば、アレイと同じダイ上のいくつかの構成要素、及び異なるダイ、モジュールまたはボード上のいくつかの構成要素)にわたって分散させることができる。コントローラは、本明細書で説明した電流分離を利用してメモリセル308のデータ状態を判定するように回路350を動作させることができる。
【0031】
例えば、
図3に図示したように、回路350はコンデンサ352を含むことができる。このコンデンサは、本明細書では増幅コンデンサと呼ばれ得る。
図3に示したように、コンデンサ352は、カスコード362及び選択器356を通じてメモリセル308に(例えば、データ線315を介して)結合させることができる。カスコード362は、例えば、nチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)とすることができ、選択器356は、例えば、複数のスイッチを含むシャントとすることができる。
【0032】
カスコード362は、セルに対して実行されている検知動作中、検知電圧をメモリセル308(例えば、データ線315)に印加するために使用することができる。例えば、カスコード362は、メモリセル308を検知電圧でバイアスするために使用することができる。さらに、データ線315は、検知電圧がメモリセル308に印加される前に、(例えば、プリチャージ信号をこのデータ線に印加することによって)プリチャージされ得る。
図3に示したコンデンサ316は、一旦データ線315がプリチャージされてからのデータ線315の容量を表し得る。
【0033】
一旦データ線315がプリチャージされると、次いで、検知電圧がメモリセル308に印加され得る。検知電圧がメモリセル308に印加されている間、プリチャージ信号は、
図2に関して先に説明した特定の基準時刻までデータ線315に継続的に印加され得る。特定の基準時刻の後、
図2に関して先に説明したように、プリチャージ信号はオフにされ得る。検知電圧がメモリセル308に印加されている間、コンデンサ352は、検知電圧がメモリセル308に印加されている間にこのメモリセルによって出力された第2の(例えば、極性)電流成分に対応するメモリセル308によって(例えば、コンデンサ322によって)放電された電荷のみ(例えば、特定の基準時刻の後に放電された電荷のみ)を蓄積することができる。すなわち、検知電圧がメモリセル308に印加されている間にこのメモリセルによって出力された第1の(例えば、変位)電流成分に対応するメモリセル308によって放電された電荷(例えば、データ線315が継続的にプリチャージされている間、特定の基準時刻の前に放電された電荷)は、コンデンサ352によって蓄積され得ない(例えば、この電荷は、データ線315を継続的にプリチャージすることによって分離及び除去することができる)。メモリセル308によって蓄積された電荷のコンデンサ352への放電をさらに示す例について、(例えば、
図4に関して)本明細書でさらに説明する。
【0034】
例えば、
図3に図示したように、回路350は、コンデンサ352に結合されたスイッチ354を含むことができる。
図3に示したように、スイッチ352はまた、カスコード362及び選択器356を通じてメモリセル308に結合され得る。スイッチ354は、検知電圧がメモリセル308に印加されている間にこのメモリセルによって出力された第1の電流成分(例えば、データ線315が継続的にプリチャージされている間、特定の基準時刻の前にセルによって放電された電荷)と、検知電圧がメモリセル308に印加されている間にこのメモリセルによって出力された第2の電流成分(例えば、特定の基準時刻の後にセルによって放電された電荷)とを分離するために使用することができる。例えば、スイッチ354は、特定の基準時刻の前にイネーブルすることができ、特定の基準時刻の後にディセーブルすることができる。スイッチ354がディセーブルされているときのみ、メモリセル308によって放電された電荷がコンデンサ352によって蓄積され得る。メモリセル308によって放電された電荷は、スイッチ354をイネーブルすることによって分離及び除去され得る。スイッチ354は、例えば、信号(例えば、
図3に示したように3.2ボルト)をこのスイッチに印加することによってイネーブルすることができ、次いで、その信号をオフにすることによってディセーブルすることができる。
【0035】
メモリセル308のデータ状態は、次いで、コンデンサ352によって蓄積された電荷量に基づいて(例えば、第2の電流成分に対応する電荷のみに基づいて)判定することができる。この判定は、例えば、回路350のラッチ360を使用することによって実行することができる。ラッチ360は、例えば、当業者によって理解されるように、複数のロジックゲート及び/またはスイッチなどの、ラッチ回路を含むことができる。
【0036】
例えば、ラッチ360は、コンデンサ352によって蓄積された電荷に関連した電圧量と基準電圧(例えば、
図3に示したVref)との比較に基づいて(例えば、それらを比較することによって)メモリセル308のデータ状態を判定することができる。コンデンサ352によって蓄積された電荷に関連した電圧量が基準電圧よりも小さいことを比較が示す場合、メモリセルは第1のデータ状態(例えば、0)にプログラムされている。コンデンサ352によって蓄積された電荷に関連した電圧量が基準電圧よりも大きいことを比較が示す場合、メモリセルは第2のデータ状態(例えば、1)にプログラムされている。このような比較に関連した検知窓の例について、(例えば、
図5に関して)本明細書でさらに説明する。
【0037】
メモリセル308のデータ状態の判定に使用するために第2の電流成分に対応する電荷のみがコンデンサ352によって蓄積されるため、コンデンサ352は、従前の検知方式で使用される増幅コンデンサよりも低い容量を有することができる。したがって、回路350のサイズ及び/または消費電力は、従前の検知方式で使用される検知回路よりも小さくなり得る。
【0038】
図4は、本開示の実施形態によるメモリセルの検知に関連したタイミング
図470の例を示す。メモリセルは、例えば、
図3に関して先に説明したメモリセル308とすることができる。
【0039】
図4に図示したように、タイミング
図470は、波形472及び474を含む。波形472は、メモリセルが第1の(例えば、変位)データ状態にプログラムされている場合、検知動作中に電荷がメモリセルから
図3に関して先に説明したコンデンサ352に放電されていることを表す。波形474は、メモリセルが第2の(例えば、極性)データ状態にプログラムされている場合、検知動作中に電荷がメモリセルからコンデンサ352に放電されていることを表す。
図4に示した時刻t0は、
図2に関して先に説明した時刻t0(例えば、検知動作の検知電圧がメモリセルに印加され始める初期時刻)に対応することができ、
図4に示した時刻t1は、
図2に関して先に説明した時刻t1(例えば、特定の基準時刻)(例えば、セルが極性データ状態にプログラムされている場合にメモリセルの強誘電体材料の双極子配列の変化が発生し得るときの時刻)に対応することができる。
【0040】
図4に図示したように、時刻t1の後、波形474は波形472よりも低くなる。それにより、波形472と波形474との間に間隔(例えば、間隙)が存在するようになる。この間隔は、セルが第1のデータ状態にプログラムされているか、それとも第2のデータ状態にプログラムされているかに応じて、時間t1の後にメモリセルから放電される電荷の差に対応することができ、(例えば、
図3に関して)本明細書で先に説明したように、セルのデータ状態を判定するために使用することができる。
【0041】
図5は、本開示の実施形態によるメモリセルの検知に関連した検知窓を示す
図580の例である。メモリセルは、例えば、
図3に関して先に説明したメモリセル308とすることができる。
【0042】
図3に関して先に説明したように、メモリセルのデータ状態は、コンデンサ352によって蓄積された電荷(例えば、メモリセルによって出力された極性電流成分に対応する電荷)に関連した電圧量と基準電圧(例えば、
図3に示したVrefに対応することができる、
図5に示したVref)との比較に基づいて判定することができる。コンデンサ352によって蓄積された電荷に関連した電圧量が基準電圧よりも小さい(例えば、
図5に示した検知窓の一部582−0の範囲内である)ことを比較が示す場合、メモリセルは、第1のデータ状態(例えば、0)にプログラムされている。コンデンサ352によって蓄積された電荷に関連した電圧量が基準電圧よりも大きい(例えば、
図5に示した検知窓の一部582−1の範囲内である)ことを比較が示す場合、メモリセルは、第2のデータ状態(例えば、1)にプログラムされている。すなわち、
図5に示した検知窓は、メモリセルがプログラムされている場合がある2つの可能なデータ状態を区別するために使用され得る。
【0043】
図5に示した検知窓の一部582−0及び582−1は、従前の検知方式でデータ状態を区別するために使用される検知窓のものよりも大きく(例えば、広く)なり得る。したがって、
図5に示した感知窓を利用してメモリセルのデータ状態を判定することにより、従前の検知方式よりも信頼性が高い(例えば、正確な)データ状態の判定を得ることができる。
【0044】
さらに、コンデンサ352の容量は、
図5の破線583によって表されるように、従前の検知方式で使用される増幅コンデンサの容量よりも小さくすることができる。すなわち、線583の勾配は、従前の検知方式で使用される増幅コンデンサの場合よりも傾斜が小さくなり得る。したがって、本開示によって使用される検知回路のサイズ及び/または消費電力は、従前の検知方式で使用される検知回路のサイズ及び/または消費電力よりも小さくなり得る。
【0045】
図6は、本開示の実施形態によるメモリ検知のための電流分離を行う回路(例えば、検知回路)651の例を示す。回路651は、
図3に関して先に説明した回路350と類似した手法で、
図1A〜
図1Bに関して先に説明したメモリアレイ106に結合させることができ、このメモリアレイと同じ装置(例えば、メモリデバイス)に含めることができる。例えば、
図6に示したように、回路651は、
図1A〜
図1Bに関して先に説明したメモリセル108に類似した(例えば、記憶素子622、ならびに
図1A〜
図1Bに関して先に説明したものと類似した手法でアクセス線610及びデータ線615に結合された選択デバイス630を含む)メモリセル608を含むアレイに結合させることができる。
【0046】
図6に図示したように、回路651は、コンデンサ(例えば、増幅コンデンサ)652、カスコード662、選択器656及びラッチ660を含むことができる。これらは、
図3に関して先に説明したコンデンサ352、カスコード362、選択器356及びラッチ360と類似し得る。例えば、カスコード662は、検知電圧をメモリセル608に印加するために使用することができ、コンデンサ652は、
図3に関して先に説明したものと類似した手法で、検知電圧がメモリセル608に印加されている間にこのメモリセルによって出力された第2の(例えば、極性)電流成分に対応するメモリセル608によって放電された電荷のみを蓄積することができる。
【0047】
図6に示した例では、回路651は、コンデンサ652に結合されたトランジスタ655を含む。トランジスタ655はまた、
図6に示したように、カスコード662及び選択器656を通じてメモリセル608に結合され得る。トランジスタ655は、例えば、pチャネルMOSFETとすることができる。さらに、回路651は、
図6に示したように、トランジスタ655と並列に抵抗器659を含むことができる。抵抗器659は、大きい抵抗値を有し得る。例えば、抵抗器659は、大きい抵抗値を有する線形抵抗器であり得るか、または高抵抗のMOSデバイスを使用して作製され得る。MOSデバイスの使用により、回路651のサイズ(例えば、面積)が減少し得る。
【0048】
トランジスタ655は、
図3に関してスイッチ354について先に説明したものと類似した手法で、検知電圧がメモリセル608に印加されている間にこのメモリセルによって出力された第1の電流成分と、検知電圧がメモリセル308に印加されている間にこのメモリセルによって出力された第2の電流成分とを分離するために使用することができる。例えば、トランジスタ655は、スイッチ354について先に説明したものと類似した手法で、特定の基準時刻の前にイネーブルすることができ、特定の基準時刻の後にディセーブルすることができる。
【0049】
メモリセル608のデータ状態は、次いで、コンデンサ652によって蓄積された電荷量に基づいて(例えば、第2の電流成分に対応する電荷のみに基づいて)判定することができる。この判定は、例えば、
図3に関してラッチ360について先に説明したものと類似した手法で、回路651のラッチ660を使用して実行することができる。
【0050】
特定の実施形態が本明細書で例示及び説明されてきたが、当業者は、同じ結果を達成するように推測される配置構成が、示された特定の実施形態に置き換えられ得ることを認識するであろう。この開示は、本開示の複数の実施形態の適応または変形を網羅することを意図している。上記の説明は、例示的になされたものであり、限定的になされたものではないことが理解されるべきである。上記の実施形態と、本明細書に具体的に説明されていない他の実施形態との組み合わせは、上記の説明を考察すれば当業者にとって明らかとなるであろう。本開示の複数の実施形態の範囲は、上記の構造及び方法が使用される他の用途を含む。したがって、本開示の複数の実施形態の範囲は、添付された特許請求の範囲、ならびにこのような特許請求の範囲によって権利が与えられる均等物の全範囲を参照して定められるべきである。
【0051】
前述の詳細な説明では、本開示を簡素化するために、単一の実施形態にいくつかの特徴をまとめている。本開示の方法は、開示された本開示の実施形態が、各請求項に明示的に記載されたものよりも多くの特徴を使用する必要があるという意図を反映したものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ないところにある。したがって、以下の特許請求の範囲は、各請求項が別個の実施形態として独自に存在する状態で、本明細書によって発明を実施するための形態に組み込まれる。