(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6917797
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】照明制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/125 20200101AFI20210729BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20210729BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20210729BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/16
H05B47/165
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-117439(P2017-117439)
(22)【出願日】2017年6月15日
(65)【公開番号】特開2019-3825(P2019-3825A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】菊地 誠
【審査官】
山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−037091(JP,A)
【文献】
特開2016−201218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00 − 45/58
H05B 47/00 − 47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象となる空間から検出した熱画像に基づいて前記空間内に存在する人を検知し、得られた人検知結果に基づいて前記空間内に設置されている照明機器を点消灯制御する照明制御装置であって、
前記点消灯制御を遅延させるディレイ時間を時間帯ごとに記憶する記憶部と、
前記熱画像に基づいて人の存否状態を検出する人検知部と、
検出された前記存否状態に基づいて、有人状態から無人状態への第1の変化と無人状態から有人状態への第2の変化のうち、少なくともいずれか一方の変化が確認された場合、前記変化を確認した変化確認時刻に応じた変化確認時間帯のディレイ時間を前記記憶部から取得し、前記変化確認時刻から前記ディレイ時間だけ遅延して前記照明機器を点灯または消灯するディレイ制御を行う照明制御部と
を備え、
前記記憶部は、前記時間帯ごとに、前記ディレイ時間としてオフディレイ時間とオンディレイ時間とを個別に記憶し、
前記照明制御部は、前記第1の変化が確認された場合には、前記変化確認時間帯の前記オフディレイ時間を前記ディレイ時間として前記記憶部から取得し、前記第2の変化が確認された場合には、前記変化確認時間帯の前記オンディレイ時間を前記ディレイ時間として取得する
ことを特徴とする照明制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明制御装置において、
前記記憶部は、前記時間帯ごとに、前記ディレイ制御に関する制御有無を記憶し、
前記照明制御部は、前記ディレイ制御を行う際、前記記憶部を参照して現在時刻の時間帯に関する前記制御有無を確認し、前記制御有無がディレイ制御ありを示す場合には前記ディレイ制御を行い、前記制御有無がディレイ制御なしを示す場合には前記照明機器を消灯する
ことを特徴とする照明制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明制御装置において、
前記ディレイ時間は、前記空間が無人状態である確率が高い時間帯ほど時間長が短いことを特徴とする照明制御装置。
【請求項4】
制御対象となる空間から検出した熱画像に基づいて前記空間内に存在する人を検知し、得られた人検知結果に基づいて前記空間内に設置されている照明機器を点消灯制御する照明制御装置であって、
前記点消灯制御を遅延させるディレイ時間を時間帯ごとに記憶する記憶部と、
前記熱画像に基づいて人の存否状態を検出する人検知部と、
検出された前記存否状態に基づいて、有人状態から無人状態への第1の変化と無人状態から有人状態への第2の変化のうち、少なくともいずれか一方の変化が確認された場合、前記変化を確認した変化確認時刻に応じた変化確認時間帯のディレイ時間を前記記憶部から取得し、前記変化確認時刻から前記ディレイ時間だけ遅延して前記照明機器を点灯または消灯するディレイ制御を行う照明制御部と
を備え、
前記ディレイ時間のうち点灯時に用いるオンディレイ時間は、屋外が暗い時間帯ほど時間長が短いことを特徴とする照明制御装置。
【請求項5】
制御対象となる空間から検出した熱画像に基づいて前記空間内に存在する人を検知し、得られた人検知結果に基づいて前記空間内に設置されている照明機器を点消灯制御する照明制御方法であって、
記憶部が、前記点消灯制御を遅延させるディレイ時間を時間帯ごとに記憶する記憶ステップと、
人検知部が、前記熱画像に基づいて人の存否状態を検出する人検知ステップと、
照明制御部が、検出された前記存否状態に基づいて、有人状態から無人状態への第1の変化と無人状態から有人状態への第2の変化のうち、少なくともいずれか一方の変化が確認された場合、前記変化を確認した変化確認時刻に応じた変化確認時間帯のディレイ時間を前記記憶部から取得し、前記変化確認時刻から前記ディレイ時間だけ遅延して前記照明機器を点灯または消灯するディレイ制御を行う照明制御ステップと
を備え、
前記記憶部は、前記時間帯ごとに、前記ディレイ時間としてオフディレイ時間とオンディレイ時間とを個別に記憶し、
前記照明制御部は、前記第1の変化が確認された場合には、前記変化確認時間帯の前記オフディレイ時間を前記ディレイ時間として前記記憶部から取得し、前記第2の変化が確認された場合には、前記変化確認時間帯の前記オンディレイ時間を前記ディレイ時間として取得する
ことを特徴とする照明制御方法。
【請求項6】
制御対象となる空間から検出した熱画像に基づいて前記空間内に存在する人を検知し、得られた人検知結果に基づいて前記空間内に設置されている照明機器を点消灯制御する照明制御方法であって、
記憶部が、前記点消灯制御を遅延させるディレイ時間を時間帯ごとに記憶する記憶ステップと、
人検知部が、前記熱画像に基づいて人の存否状態を検出する人検知ステップと、
照明制御部が、検出された前記存否状態に基づいて、有人状態から無人状態への第1の変化と無人状態から有人状態への第2の変化のうち、少なくともいずれか一方の変化が確認された場合、前記変化を確認した変化確認時刻に応じた変化確認時間帯のディレイ時間を前記記憶部から取得し、前記変化確認時刻から前記ディレイ時間だけ遅延して前記照明機器を点灯または消灯するディレイ制御を行う照明制御ステップと
を備え、
前記ディレイ時間のうち点灯時に用いるオンディレイ時間は、屋外が暗い時間帯ほど時間長が短いことを特徴とすることを特徴とする照明制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設に設置された複数の照明機器の点消灯を制御する照明制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焦電型赤外線センサと呼ばれる、サーモパイル、サーミスタまたはポロメータタイプなどの赤外線検出素子を用いて、照明機器の照明エリアにおける人の存在有無を検知し、その検知結果に基づいて照明機器を点消灯する照明制御技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。この照明制御技術は、照明エリアに存在する人が動いた場合、照度変化や熱移動が起こるという特性を利用し、照度変化や熱移動により検知された人検知結果に基づいて、照明機器を点消灯制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−093103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような照明制御技術では、人検知結果に基づいて照明機器を単に点消灯した場合、例えば照明エリアの境界に人が存在しているようなケースでは、人の微妙な動きの影響で人検知結果が逐次変化するため、照明機器が明滅を繰り返すことがある。このような明滅が発生した場合、人に不快感を与えるだけでなく、照明機器の寿命を短縮してしまう原因にもなる。
【0005】
従来、照明制御技術では、このような明滅の発生を抑制するため、ディレイ制御という技術が用いられている。ディレイ制御は、人の存在を検知した後に、その存在が検知できなくなった場合には、直ちに照明機器を消灯せず、人が検知できなくなった時点から所定のディレイ時間分だけ、照明機器の消灯を遅延させるものである。
【0006】
しかしながら、このような従来の照明制御によれば、例えば夜遅い時間など、空間に人が少ない状況において人が歩き回った場合、それまで消灯していた移動経路に該当する各照明エリアの照明機器が点灯した後、ディレイ制御により一定のディレイ時間だけ消灯が遅延することになる。したがって、人が照明エリアを通り過ぎても照明機器が無駄に点灯し続けてしまうため、余計な電力消費が発生するという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、空間内の状況に応じた効果的なディレイ制御ができる照明制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかる照明制御装置は、制御対象となる空間から検出した熱画像に基づいて前記空間内に存在する人を検知し、得られた人検知結果に基づいて前記空間内に設置されている照明機器を点消灯制御する照明制御装置であって、前記点消灯制御を遅延させるディレイ時間を時間帯ごとに記憶する記憶部と、前記熱画像に基づいて人の存否状態を検出する人検知部と、検出された前記存否状態に基づいて、有人状態から無人状態への第1の変化と無人状態から有人状態への第2の変化のうち、少なくともいずれか一方の変化が確認された場合、前記変化を確認した変化確認時刻に応じた変化確認時間帯のディレイ時間を前記記憶部から取得し、前記変化確認時刻から前記ディレイ時間だけ遅延して前記照明機器を点灯または消灯するディレイ制御を行う照明制御部とを備えている。
【0009】
また、本発明にかかる上記照明制御装置の一構成例は、前記記憶部が、前記時間帯ごとに、前記ディレイ時間としてオフディレイ時間とオンディレイ時間とを個別に記憶し、前記照明制御部は、前記第1の変化が確認された場合には、前記変化確認時間帯の前記オフディレイ時間を前記ディレイ時間として前記記憶部から取得し、前記第2の変化が確認された場合には、前記変化確認時間帯の前記オンディレイ時間を前記ディレイ時間として取得するようにしたものである。
【0010】
また、本発明にかかる上記照明制御装置の一構成例は、前記記憶部が、前記時間帯ごとに、前記ディレイ制御に関する制御有無を記憶し、前記照明制御部は、前記ディレイ制御を行う際、前記記憶部を参照して現在時刻の時間帯に関する前記制御有無を確認し、前記制御有無がディレイ制御ありを示す場合には前記ディレイ制御を行い、前記制御有無がディレイ制御なしを示す場合には前記照明機器を消灯するようにしたものである。
【0011】
また、本発明にかかる上記照明制御装置の一構成例は、前記ディレイ時間が、前記空間が無人状態である確率が高い時間帯ほど時間長が短いものである。
また、本発明にかかる上記照明制御装置の一構成例は、前記ディレイ時間のうち点灯時に用いるオンディレイ時間が、屋外が暗い時間帯ほど時間長が短いものである。
【0012】
また、本発明にかかる照明制御方法は、制御対象となる空間から検出した熱画像に基づいて前記空間内に存在する人を検知し、得られた人検知結果に基づいて前記空間内に設置されている照明機器を点消灯制御する照明制御方法であって、記憶部が、前記点消灯制御を遅延させるディレイ時間を時間帯ごとに記憶する記憶ステップと、人検知部が、前記熱画像に基づいて人の存否状態を検出する人検知ステップと、照明制御部が、検出された前記存否状態に基づいて、有人状態から無人状態への第1の変化と無人状態から有人状態への第2の変化のうち、少なくともいずれか一方の変化が確認された場合、前記変化を確認した変化確認時刻に応じた変化確認時間帯のディレイ時間を前記記憶部から取得し、前記変化確認時刻から前記ディレイ時間だけ遅延して前記照明機器を点灯または消灯するディレイ制御を行う照明制御ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、存否状態の変化を確認した変化確認時刻の変化確認時間帯に応じて、ディレイ制御に用いるディレイ時間、すなわち、点灯または消灯を遅延させる時間長が切り替えられることになる。このため、時間帯により変化する空間の状況に応じた効果的なディレイ制御が可能となる。したがって、夜遅い時間帯など、空間に人が少ない状況となる時間帯には比較的短いディレイ時間を設定することができる。このため、例えば、このような時間帯に人が歩き回った場合、それまで消灯していた移動経路に該当する各照明エリアの照明機器が点灯しても、短いディレイ時間ですぐに消灯することができ、結果として、照明機器の無駄な点灯を抑制でき、余計な電力消費の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】照明制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[照明制御装置]
まず、
図1を参照して、本実施の形態にかかる照明制御装置10について説明する。
図1は、照明制御装置の構成を示すブロック図である。
この照明制御装置10は、全体として産業用のコントローラやサーバ装置などの情報処理装置からなり、制御対象となる空間Rに設置されている赤外線センサSPで検出した熱画像に基づいてR内に存在する人Uを検知し、得られた人検知結果に基づいてRに設置されている照明機器Qを点消灯制御する装置である。
【0016】
赤外線センサSPは、空間Rの天井や壁に配置されたサーモパイルアレイセンサなどの赤外線センサであり、一定時間ごとにRの床面の熱画像を検出し、通信回線L1を介して照明制御装置10へ送信する機能を有している。
照明機器Qは、空間Rの天井に設置された蛍光灯などの照明機器であり、通信回線L1を介した照明制御装置10からの点灯制御に応じて、点灯/消灯する機能を有している。
なお、SPは、照明機器Qごとに設けられる照明エリアの熱画像を検出できる位置に配置しておけばよく、SPとQの位置関係について特に制限はない。
【0017】
照明制御装置10は、主な機能部として、通信I/F部11、熱画像取得部12、記憶部13、人検知部14、および照明制御部15を備えている。これら機能部のうち、熱画像取得部12、人検知部14、および照明制御部15は、中央処理装置(CPU)とプログラムとが協働することにより実現されている。
【0018】
通信I/F部11は、通信回線L1を介して赤外線センサSPおよび照明機器Qとデータ通信を行う機能を有している。
熱画像取得部12は、通信I/F部11で受信した赤外線センサSPからの熱画像を取得し、記憶部13に保存する機能を有している。
【0019】
記憶部13は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、照明制御装置10における照明制御処理に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。記憶部13で記憶する主な処理情報として、熱画像のほかディレイ時間情報がある。
【0020】
図2は、ディレイ時間情報の構成例である。ここでは、時間帯ごとに、ディレイ制御の制御有無Cont、オフディレイ時間Tdoff、およびオンディレイ時間Tdonが組として登録されている。オフディレイ時間Tdoffは、照明機器Qの消灯を遅延させる時間を示しており、オンディレイ時間Tdonは、照明機器Qの点灯を遅延させる時間を示している。なお、TdoffおよびTdonについて、これらを共通化して1つのディレイ時間Tdで兼用してもよい。
【0021】
図2には、空間Rがオフィスの居室である場合の設定例が示されており、例えば、時間帯「00:00−07:00」および「22:00−24:00」については、Tdoff=5sec,Tdon=0secに設定されている。これにより、夜中で暗く人が極めて少ない状況に合わせて、照明エリアへの進入に合わせてすぐに点灯し、照明エリアからの離脱により早期に消灯することができる。
また、時間帯「07:00−12:00」および「13:00−18:00」については、Tdoff=60sec,Tdon=60secに設定されている。これにより、日中の明るく多くの人が存在し移動する状況に合わせて、ある程度のディレイ時間を持ったディレイ制御が行われるため、頻繁な点消灯を抑制することができる。
【0022】
また、時間帯「18:00−22:00」については、Tdoff=30sec,Tdon=10secに設定されている。これにより、外が暗くなって残業時間帯で人も少ない状況に合わせて、照明エリアへの進入に合わせて早期に点灯し、照明エリアからの離脱により日中より短い時間で消灯することができる。
また、時間帯「12:00−13:00」については、Cont=制御なしに設定されている。これにより、仕事を行わない昼休み時間という状況に合わせて、照明制御そのものを停止し、すべての照明機器Qを消灯して電力消費を削減できる。
【0023】
人検知部14は、記憶部13に保存されている時系列の熱画像から得られた温度分布について、人Uの表面温度を示す人領域を検索する機能と、得られた検索結果に基づいて、照明機器Qの照明エリアごとに、人Uが1人以上存在するか否かを示す存否状態を検知し、検知結果として出力する機能を有している。
【0024】
照明制御部15は、人検知部14で得られた検知結果が、照明機器Qの照明エリアにおける存否状態が変化した場合、記憶部13のディレイ時間情報から、存否状態の変化が確認された変化確認時刻Tcに応じた変化確認時間帯Tpのディレイ時間Tdを取得する機能と、取得したTdだけTcから遅延して照明機器Qを点灯または消灯するディレイ制御を行う機能と、ディレイ制御を行う際、記憶部13のディレイ時間情報を参照して現在時刻の時間帯に関する制御有無を確認し、制御有無がディレイ制御ありを示す場合にはディレイ制御を行い、制御有無がディレイ制御なしを示す場合には、ディレイ制御を行わずに照明機器Qを消灯する機能とを有している。
【0025】
[本実施の形態の動作]
次に、
図3を参照して、本実施の形態にかかる照明制御装置10の動作について説明する。
図3は、照明制御処理を示すフローチャートである。ここでは、ある1つの照明機器Qを照明制御する場合について説明する。
【0026】
まず、熱画像取得部12は、赤外線センサSPから送信された新たな熱画像を取得し、記憶部13に保存し(ステップ100)、人検知部14は、記憶部13に保存された新たな熱画像から、照明機器Qの照明エリアに関する人Uの存否状態を検知する(ステップ101)。
次に、照明制御部15は、記憶部13のディレイ時間情報を参照して、現在時刻に応じた現在時間帯に関するディレイ制御の制御有無Contを確認する(ステップ102)。
ここで、現在時間帯に関するContが制御なしを示す場合(ステップ102:NO)、照明制御部15は、人検知結果に基づく照明制御そのものを行わず、照明機器Qを消灯し(ステップ103)、ステップ100へ移行する。
【0027】
また、現在時間帯に関するContが制御ありを示す場合(ステップ102:YES)、照明制御部15は、照明機器Qの照明エリアに関する存否状態が、前回の存否状態から変化したかどうか確認し(ステップ104)、存否状態に変化がない場合には(ステップ104:NO)、ステップ100へ戻る。
一方、存否状態に変化があった場合(ステップ104:YES)、照明制御部15は、存否状態の変化が有人状態から無人状態へ変化したことを示す第1の変化であるか確認する(ステップ110)。
【0028】
この存否状態の変化が第1の変化である場合(ステップ110:YES)、照明制御部15は、変化確認時間帯Tpに関するオフディレイ時間Tdoffを、記憶部13のディレイ時間情報からディレイ時間Tdとして取得する(ステップ111)。この後、照明制御部15は、TcからTdoffだけ遅延させた消灯時刻Twoff=Tc+Tdoffを計算し(ステップ112)、Twoffの到来に応じて照明機器Qを消灯した後(ステップ113)、ステップ100へ戻る。
【0029】
また、存否状態の変化が無人状態から有人状態へ変化したことを示す第2の変化である場合(ステップ110:NO)、照明制御部15は、変化確認時間帯Tpに関するオンディレイ時間Tdonを、記憶部13のディレイ時間情報からディレイ時間Tdとして取得する(ステップ114)。この後、照明制御部15は、TcからTdonだけ遅延させた点灯時刻Twon=Tc+Tdonを計算し(ステップ115)、Twonの到来に応じて照明機器Qを点灯した後(ステップ116)、ステップ100へ戻る。
【0030】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、点消灯制御を遅延させるディレイ時間Tdを時間帯ごとに予め記憶部13で記憶しておき、検出された存否状態に基づいて、有人状態から無人状態への第1の変化と無人状態から有人状態への第2の変化のうち、少なくともいずれか一方の変化が確認された場合、照明制御部15が、変化を確認した変化確認時刻Tcに応じた変化確認時間帯Tpのディレイ時間Tdを記憶部13から取得し、TcからTdだけ遅延して照明機器Qを点灯または消灯するディレイ制御を行うようにしたものである。
【0031】
これにより、存否状態の変化を確認した変化確認時刻Tcの変化確認時間帯Tpに応じて、ディレイ制御に用いるディレイ時間Td、すなわち、点灯または消灯を遅延させる時間長が切り替えられることになる。このため、時間帯により変化する空間Rの状況に応じた効果的なディレイ制御が可能となる。
したがって、夜遅い時間帯など、空間Rに人Uが少ない状況となる時間帯には比較的短いディレイ時間Tdを設定することができる。このため、例えば、このような時間帯に人が歩き回った場合、それまで消灯していた移動経路に該当する各照明エリアの照明機器Qが点灯しても、短い時間ですぐに消灯することができ、結果として、照明機器Qの無駄な点灯を抑制でき、余計な電力消費の発生を抑制することが可能となる。
【0032】
また、本実施の形態において、記憶部13で、時間帯ごとに、ディレイ時間Tdとしてオフディレイ時間Tdoffとオンディレイ時間Tdonとを個別に記憶し、照明制御部15が、第1の変化が確認された場合には、変化確認時間帯TpのTdoffをTdとして記憶部13から取得し、第2の変化が確認された場合には、TpのTdonをTdとして記憶部13から取得するようにしてもよい。これにより、第1の変化と第2の変化とで異なるTdを設定することができ、柔軟なディレイ制御を実現することができる。
【0033】
また、本実施の形態において、記憶部13で、時間帯ごとに、ディレイ制御の有無を示す制御有無を記憶し、照明制御部15が、遅延制御時刻Twに基づく点消灯制御を行う際、変化確認時間帯Tpの制御有無を確認し、制御有無がディレイ制御ありを示す場合には遅延制御時刻Twに基づく点消灯制御を行い、制御有無がディレイ制御なしを示す場合には照明機器Qを消灯するようにしてもよい。これにより、任意の時間帯におけるディレイ制御を容易に停止することができ、消費電力を削減できる。
【0034】
また、本実施の形態において、空間Rが無人状態である確率が高い時間帯ほどディレイ時間Tdの時間長を短くしてもよい。これにより、空間Rの状況に応じた極めて効果的なディレイ制御が可能となる。
また、本実施の形態において、屋外が暗い時間帯ほど、ディレイ時間Tdのうち点灯時に用いるオンディレイ時間Tdonの時間長を短くしてもよい。これにより、屋外が暗くても人の移動に応じてすぐに照明機器Qを点灯することができ、暗闇から受ける不安を減らすことが可能となる。
【0035】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【0036】
また、本実施の形態において、照明機器Qとして調光可能な機器を用いてもよい。この場合には、点灯状態が輝度100%である必要はなく中間輝度を点灯状態に割り当ててもよい。また、記憶部13のディレイ時間情報において、時間帯ごとに輝度を予め設定しておき、照明機器Qを点灯制御する場合には、、照明制御部15が、その時間帯に応じた輝度をディレイ時間情報から取得して、照明機器Qを点灯制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…照明制御装置、11…通信I/F部、12…熱画像取得部、13…記憶部、14…人検知部、15…照明制御部、SP…赤外線センサ、Q…照明機器、R…空間、U…人、L1…通信回線、Td…ディレイ時間、Tdoff…オフディレイ時間、Tdon…オンディレイ時間、Tc…変化確認時刻、Tp…変化確認時間帯、Tw…遅延制御時刻、Twoff…消灯時刻、Twon…点灯時刻、Cont…制御有無。