(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本発明の実施形態の一例として、拡散面を備える光拡散手段たる拡散ユニット10を用いた光学装置100について説明する。
光学装置100は、光源20と、光源20から出射された投射光Lを平行光束とするためのコリメートレンズ5と、平行光となった投射光Lを拡散して所定の拡散角2θで拡散させるための拡散ユニット10と、を有している。
【0010】
光源20は、本実施形態では半導体レーザ光源である。
光源20は、かかる構成に限定されるものではなく、その他のレーザ光源や、白色光源等であっても良い。
ただし、拡散ユニット10は、レーザー光源等のコヒーレンスの高い光源を用いたとき、結像時に生じる干渉縞やスペックルの低減を図るものであるので、コヒーレンスが高い光源であることが望ましい。
【0011】
拡散ユニット10は、
図2に示すように、微小レンズ11が複数、平面状に並べられたMLA(マイクロレンズアレイ)である拡散板12a、12bを有している。
本実施形態では、
図1に示したように2枚1組のMLAを投射光Lの入射方向であるA方向に沿って配置している。
図2においては、かかる拡散ユニット10をA方向側から見たときの模式図を、光源20側にあるMLAを特に第1拡散板12aとして実線で、出射側にあるMLAを特に第2拡散板12bとして一点鎖線で記載し説明する。
【0012】
第1拡散板12aと、第2拡散板12bとは何れも同一形状の板状部材であり、表面に正六角形の開口形状を持つ微小レンズ11が六方最密構造の配列パターンを構成するように並べられている。
それぞれの微小レンズ11は、
図3に示すように、断面が片側に突出した凸面形状を有する拡散面である微小レンズ面14を形成する。
かかる構成により、第1拡散板12aと、第2拡散板12bとは、それぞれが
図3に示すように、入射した投射光Lを発散角2θで発散する拡散板としての機能を有している。
本実施形態においては、微小レンズ11を投射光Lの入射方向側から見たときの形状すなわち微小レンズ面14を構成する曲線と底面とが形成する辺で囲まれる領域の形状を開口形状と表現している。
【0013】
微小レンズ11は、本実施形態では、投射光Lの入射方向から見たときに正六角形の形状をしているが、かかる構成に限定されるものではなく、
図4に変形例として示すように、正方形であっても良いし、その他正多角形であっても良い。
また、本実施形態では、第1拡散板12aと第2拡散板12bとを同一の微小レンズ11を備え、配列パターンも同一であるとしているが、かかる構成に限定されるものではない。
具体的には、
図5に変形例として示すように、第1拡散板12aに配列される微小レンズ11aの開口形状が正方形、第2拡散板12bに配列される微小レンズ11bの開口形状が正六角形、等の構成でも良い。
【0014】
微小レンズ11は、正六角形を構成する1辺(例えば
図2における辺13a、13b)が、互いに非平行、すなわち平行にならないようにずらして配置されている。
このとき、『非平行』とは2面のパターンの一辺が平行でないことを示している。また『ずらして』とは投射光Lの入射方向からみたときに重複しないように形成された態様を示している。最も好ましくは、互いに平行な状態から次に平行になる回転角βの半分の角度だけ辺13aと辺13bとが傾斜して配置される。
言い換えると、微小レンズ面14が構成する配列パターンの最も基準となるような位置に引いた線を基準線としたときに、第1拡散板12aの基準線Baと、第2拡散板12bの基準線Bbとは所定の角度αだけ回転した態様で配置される。
【0015】
例えば、本実施形態のように正六角形であれば、1辺の中心角が60度なので、30度(または90度、150度、210度、270度、330度でも同じ)互いに傾斜された状態が最も望ましい。
また、
図4に示したような正方形の場合には、中心角は90度なので、45度互いに傾斜された状態が最も望ましい。
かかる構成により、第1拡散板12aと、第2拡散板12bとを透過した投射光Lが、回折光を薄くすることができる。
【0016】
なお、回転角βと、基準線同士のなす角αとは、既に述べたように、α=β/2が最も望ましいが、数式(1)の範囲内であれば良い。
かかる構成により、第1拡散板12aと、第2拡散板12bとを透過した投射光Lは、それぞれの拡散面において拡散され方が異なり、光強度を均一にすることができる。
【0018】
さらに、第1拡散板12aに形成された微小レンズ11と、第2拡散板12bに形成された微小レンズ11とでは、その中心位置が所定距離zだけ互いにずれるように配置される。
かかる構成により、第1拡散板12aと、第2拡散板12bとを透過した投射光Lの回折光を薄くするとともに、輝度ムラを低減することができる。
なお、ここで所定距離zは、微小レンズ11の形状に合わせて適宜設定されてよいが、対角線あるいは直径よりも小さい値であることが望ましい。
【0019】
なお、
図11に変形例として示すように、かかる所定距離z=0として、第1拡散板12aと第2拡散板12bとの中心位置が揃った状態で、基準線同士のなす角α≠0であるように配列パターンを回転させた構成であっても良い。
【0020】
本実施形態では、かかる拡散ユニット10を用いて、投射光Lの拡散を行う。
拡散ユニット10を投射光Lが透過することで、微小レンズ11により所定の拡散角で拡散され、
図7に示すように、照射される面内における光強度が単に微小レンズを用いた拡散板を単数用いた従来例である
図6よりも均一化される。
かかる構成により、光強度の均一化と発散角の制御とを両立する。
【0021】
また、本実施形態では、拡散ユニット10は、複数の微小レンズ面14が配列された第1拡散板12aと、第2拡散板12bとを有している。
第1拡散板12aと第2拡散板12bとは、それぞれ投射光Lの入射方向A側からみたとき、互いに微小レンズ面を構成する一辺である辺13a、13bが重複しないように、かつ互いに非平行になるように配置される。
かかる構成により、光強度の均一化と発散角の制御とを両立する。
【0022】
また、本実施形態では、微小レンズ面14の中心位置が互いにずれて配置される。
かかる構成により、
図8に示すように、光強度の均一化と発散角の制御とが両立される。
【0023】
本実施形態では、微小レンズ面を構成する一辺13a、13bのなす角αが、互いに平行になる位置から次に平行になるまでの回転角βとしたとき、以下の計算式(1)β/4≦α≦3β/4を満たす。かかる構成により、光強度の均一化と発散角の制御とが両立される。
【0024】
本実施形態では、微小レンズ面を構成する一辺13a、13bのなす角αが、互いに平行になる位置から次に平行になるまでの回転角βの半分となる。
かかる構成により、単に数式(1)を満たすよりもさらに光強度の均一化と発散角の制御とが両立される。
【0025】
本発明の他の実施形態として、
図8に示すような拡散ユニット30について説明する。なお、簡便のため、既に述べた実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
拡散ユニット30は、第1拡散板12aと、第2拡散板12bとを有し、第1拡散板12aと第2拡散板12bとを相対的に移動させるための駆動部31を有している。
駆動部31は、
図9に示すように、投射光Lの入射方向から見たときに、第2拡散板12bを揺動、本実施形態においては特にCで示した方向に回転運動させるように駆動する。
【0027】
かかる構成により、第1拡散板12aと第2拡散板12bとにそれぞれ形成された配列パターンの相対位置が時間により変化するため、投射光Lの拡散具合が変動することになるため、コヒーレンスの高い光であっても光強度の均一化と発散角の制御とが両立される。
【0028】
なお、本実施形態では、駆動部31は、回転運動させるように揺動させるとしたが、かかる構成に限定されるものではなく、例えば往復運動させても良いし、
図10に示すように、2つの第1拡散板12aと第2拡散板12bとを独立して動かしても良い。
なお、
図10においては、移動している様をわかりやすく表示するために、移動距離については誇張して記載しているが、微小レンズ11のサイズ程度、例えば数μmの距離を移動させれば十分であり、かかる構成に限定されるものではない。
【0029】
かかる構成により、第1拡散板12aと第2拡散板12bとにそれぞれ形成された配列パターンの相対位置が時間により変化するため、さらに光強度の均一化と発散角の制御とが両立される。
【0030】
また、上述の実施形態においては、何れも1枚の拡散板が1つの拡散面である微小レンズ面を有する場合についてのみ述べたが、例えば
図12(a)、(b)にそれぞれ示すように、単一のレンズ拡散板12’が複数の拡散面を備える構成を用いても良い。
図12(a)、(b)から明らかなように、レンズ拡散板12’は、互いに配列パターンの異なる複数の拡散面として、第1拡散面14aと第2拡散面14bを有している。
【0031】
複数の拡散面14a、14bはそれぞれ、入射方向側からみたとき、互いに微小レンズ面を構成する一辺が重複しないように、かつ互いに非平行になるように配置される。
【0032】
このとき、
図12(a)に示すように、第1拡散面14aと第2拡散面14bとは、互いに同一の方向に凸の形状として形成されるとしても良い。
また
図12(b)に示すように、第1拡散面14aと第2拡散面14bとが互いに逆向きに凸の形状として形成されても良い。
【0033】
かかる構成により、投射光Lが第1拡散面14aと第2拡散面14bとで拡散されるから、光強度の均一化と発散角の制御とが両立される。
【0034】
また、他の実施形態として、
図13に示すように、第1拡散板12aと、第2拡散板12bとに配列される微小レンズ11aの開口形状が正三角形である構成としても良い。
この場合には、第1拡散板12aの基準線Baと、第2拡散板12bの基準線Bbとは所定の角度αだけ回転した態様で配置され、角度αは、0°≦α≦30°を満たすことが望ましく、
図13においては特にα=30°である。
このように、第1拡散板12aと第2拡散板12bとの形状を正三角形とすることにより、単位面積当たりの拡散に寄与する微小レンズの数量が最大化されて、拡散効果が増大する。
【0035】
また、
図14に示すように、第1拡散板12aと、第2拡散板12bとに配列される微小レンズ11aの開口形状が任意の角度をもった三角形であっても良い。かかる開口形状が三角形の微小レンズ11aを稠密配置するときには、平行四辺形のような四辺形を構成するとしても良い。かかる場合には、第1拡散面14aと第2拡散面14bとは入射方向側から見たとき互いに微小レンズ11aを構成する一辺が重複しないように、かつ互いに非平行になるように配置されることが望ましい。
【0036】
この発明によれば、新規な拡散ユニットと、これを用いる光学装置を実現できる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施の形態について述べたが、この発明は上述した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において種々の構成をとることが可能である。
【0038】
この発明の実施形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は、「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。