特許第6917811号(P6917811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6917811ポリウレタンフォーム用発泡性組成物及びそれを用いたポリウレタンフォームの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6917811
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム用発泡性組成物及びそれを用いたポリウレタンフォームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/50 20060101AFI20210729BHJP
   C08G 18/34 20060101ALI20210729BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20210729BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20210729BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20210729BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20210729BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20210729BHJP
【FI】
   C08G18/50 021
   C08G18/34 080
   C08G18/42 008
   C08G18/00 H
   C08J9/04 101
   C08G18/40 018
   C08G101:00
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-134670(P2017-134670)
(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公開番号】特開2019-14839(P2019-14839A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】関 浩之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆康
【審査官】 尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−266569(JP,A)
【文献】 特開平07−025975(JP,A)
【文献】 特開2010−024347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00− 101/14
C08G 18/00− 18/87
C08J 9/00− 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールを主体とするポリオール組成物と、ポリイソシアネートとから構成され、かかるポリオールとポリイソシアネートとの反応と共に、発泡剤による発泡にて、ポリウレタンフォームを与える発泡性組成物にして、
前記ポリオール組成物中のポリオールの30質量%超60質量%以下が、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールにて構成されていると共に、該ポリオール組成物が、水酸基及びカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸化合物を、該ポリオール組成物中のポリオールの100質量部に対して0.1〜3質量部の割合において、更に含有していることを特徴とするポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
【請求項2】
ポリオールを主体とするポリオール組成物と、ポリイソシアネートとから構成され、かかるポリオールとポリイソシアネートとの反応と共に、発泡剤による発泡にて、ポリウレタンフォームを与える発泡性組成物にして、
前記ポリオール組成物中のポリオールの30〜60質量%が、水酸基価:450〜1000mgKOH/gのエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールにて構成されていると共に、該ポリオール組成物が、水酸基及びカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸化合物を、該ポリオール組成物中のポリオールの100質量部に対して0.1〜3質量部の割合において、更に含有していることを特徴とするポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
【請求項3】
前記ヒドロキシカルボン酸化合物が、芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシカルボン酸化合物が、水酸基及びカルボキシル基をそれぞれ1つずつ有してなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシカルボン酸化合物が、2価カルボン酸成分と2価アルコール成分とのエステル化反応で得られる、末端に水酸基及びカルボキシル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
【請求項6】
前記2価カルボン酸成分が、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上のフタル酸系化合物であり、前記2価アルコール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上のグリコール系化合物であることを特徴とする請求項5に記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
【請求項7】
前記ポリオール組成物が、前記ポリオールとして、更にフタル酸系ポリエステルポリオール及びマンニッヒ系ポリエーテルポリオールを含有してなることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
【請求項8】
前記発泡剤が、水、ハイドロフルオロオレフィン及びハイドロクロロフルオロオレフィンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
【請求項9】
前記ポリオール組成物中に、アミン系触媒を、前記ポリオールの100質量部に対して0.1〜7質量部の割合で更に含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成物を用いて、かかる発泡性組成物を、所定の構造体の表面に吹き付けて、発泡・硬化せしめることを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォーム用発泡性組成物及びそれを用いたポリウレタンフォームの製造方法に係り、特に、施工作業性に優れたポリウレタンフォーム用発泡性組成物と、それを用いて、寸法安定性に優れたポリウレタンフォームを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性や接着性を利用して、主に断熱部材として、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体壁面、天井、屋根等の断熱及び結露防止、輸液パイプ等の断熱に実用されている。また、かかるポリウレタンフォームは、一般に、ポリオール化合物を主体とし、これに発泡剤、更に必要に応じて触媒や整泡剤、難燃剤等の各種助剤を配合したポリオール配合液(プレミックス液)からなるポリオール組成物と、ポリイソシアネートとを、混合装置により連続的に又は断続的に混合して、フォーム形成箇所に適用し、反応せしめて、発泡・硬化させることにより、製造されている。
【0003】
そして、そのようなポリウレタンフォームを形成するために、従来より、各種の手法が提案されてきており、例えば、特開平7−25975号公報には、ポリオール成分の一つとして水酸基価(mgKOH/g)が500〜1000のエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールを用いて、硬質のポリウレタンフォームを製造する方法が明らかにされ、その方法によって、吹付け施工時の横走現象及びそれに伴う被施工面からの硬質ウレタンフォームの剥離を防止し、断熱性、密着性に優れ、且つフライアビリティが小さく、スコーチを生じることのない硬質ウレタンフォームの断熱層を形成することが出来ることが、明らかにされている。
【0004】
しかしながら、かかる特許公報にて規定されているような割合において、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールを用いた場合には、ポリオール組成物とポリイソシアネートとからなる混合物を対象物に吹き付け、目的とする硬質のポリウレタンフォームの層を形成する吹付け施工時に、スプレーガンの先端でフォームの硬化反応が惹起されてしまい、スプレーガンの先端が詰まるというガン詰り現象が発生し、施工が出来なくなるという問題を内在している。また、そのような問題を解決すべく、硬化反応を抑制するために、触媒の添加量を減少させた場合には、吹付け躯体面において初期反応の進行が遅く、ポリオール組成物とポリイソシアネートの混合物の液が垂れながら発泡する液だれ現象が生じてしまう問題がある。
【0005】
また、特開平7−97472号公報においては、触媒量を減らすことなく、初期反応性を遅くしつつ、反応後期の硬化反応速度を維持する方法として、第3級アミン樹脂組成物を有機カルボン酸で中和してなる酸ブロックアミン触媒を用いて、ポリウレタンフォームを発泡生成せしめて、発泡断熱材を製造する方法が提案されている。
【0006】
そのような酸ブロックアミン触媒を用いることによって、ポリオール組成物とポリイソシアネートとからなる発泡性組成物を反応せしめ、発泡・硬化させるに際して、その初期反応を抑制することが出来るところから、吹付け用の硬質ポリウレタンフォーム原液に適用した場合には、ガン詰り等の施工上の問題の発生を防ぐことが出来ることとなるのであるが、触媒活性を発現するためには、反応混合物の温度が上昇し、酸ブロックアミン触媒からアミン触媒が乖離する必要がある。しかし、季節によって施工条件が大きく変わる吹付け施工による硬質ウレタンフォームの形成に際しては、躯体面が低温時の施工において、反応混合物の温度が上昇せず、酸ブロックアミン触媒が活性を発現し難いため、躯体面に吹き付けた際に、液だれ等の現象を引き起こし、また剥離等の施工不良を惹起する恐れがある。
【0007】
また、吹付け施工による硬質ポリウレタンフォームの形成には、泡化反応、樹脂化反応、イソシアヌレート化反応をバランスよく行い得るように調整した原液を調製する必要があるが、上述せる酸ブロックアミン触媒の多くは、樹脂化反応を触媒するが、泡化反応やイソシアヌレート化反応を触媒するものではなく、それら三つの反応を触媒する酸ブロックアミン触媒は多くない。このために、それぞれの反応に対応した複数の酸ブロックアミン触媒を用いて、原液を調製することが必要となるのであるが、その場合には、それら酸ブロックアミン触媒が乖離することによって発生した酸によって、他の反応を阻害してしまい、良好なフォーム体が得られなくなるという問題を惹起する恐れがある。
【0008】
このように、酸ブロックアミン触媒を用いた硬質ポリウレタンフォームの形成には、各種の問題が内在しているのであるが、酸ブロックアミン触媒の採用は、初期反応性や硬化反応性等の反応性の調整には有用な手段であるところから、様々な検討が為されてきている。例えば、特開平7−233234号公報には、ヒドロキシカルボン酸化合物を使用して第三級アミンをブロックした酸ブロックアミン触媒の採用が明らかにされており、また特開2000−204134号公報には、第三級アミンとハロ官能性及びヒドロキシル官能性を有するカルボン酸との塩を使用する方法が提案されているが、それらの酸ブロックアミン触媒は、何れも、一般的に高価なものであり、また遊離した酸が吹付け発泡施工に際して用いられた発泡機やスプレーガン等の金属部品を腐食する等の問題を内在しているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−25975号公報
【特許文献2】特開平7−97472号公報
【特許文献3】特開平7−233234号公報
【特許文献4】特開2000−204134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、良好な施工作業性を有するポリウレタンフォーム用発泡性組成物を提供することにあり、また、優れた寸法安定性を有するポリウレタンフォームとそれを与える発泡性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合せにて、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載やそこに開示の発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0012】
(1) ポリオールを主体とするポリオール組成物と、ポリイソシアネートとから構成さ れ、かかるポリオールとポリイソシアネートとの反応と共に、発泡剤による発泡に て、ポリウレタンフォームを与える発泡性組成物にして、
前記ポリオール組成物中のポリオールの30〜60質量%が、エチレンジアミン 系ポリエーテルポリオールにて構成されていると共に、該ポリオール組成物が、水 酸基及びカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸化合物を更に含有している ことを特徴とするポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
(2) 前記ヒドロキシカルボン酸化合物が、芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物である ことを特徴とする前記態様(1)に記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成物。(3) 前記ヒドロキシカルボン酸化合物が、水酸基及びカルボキシル基をそれぞれ1つ ずつ有してなることを特徴とする前記態様(1)又は前記態様(2)に記載のポリ ウレタンフォーム用発泡性組成物。
(4) 前記ポリオール組成物中のポリオールの100質量部に対して、前記ヒドロキシ カルボン酸化合物が、0.1〜3質量部の割合において含有されていることを特徴 とする前記態様(1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載のポリウレタンフォ ーム用発泡性組成物。
(5) 前記ヒドロキシカルボン酸化合物が、2価カルボン酸成分と2価アルコール成分 とのエステル化反応で得られる、末端に水酸基及びカルボキシル基を有する化合物 であることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載の ポリウレタンフォーム用発泡性組成物。
(6) 前記2価カルボン酸成分が、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸及びテレフ タル酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上のフタル酸系化合物であり、前記 2価アルコール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチ レングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上のグリコール系化合物で あることを特徴とする前記態様(5)に記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成 物。
(7) 前記ポリオール組成物が、前記ポリオールとして、更にフタル酸系ポリエステル ポリオール及びマンニッヒ系ポリエーテルポリオールを含有してなることを特徴と する前記態様(1)乃至前記態様(6)の何れか1つに記載のポリウレタンフォー ム用発泡性組成物。
(8) 前記発泡剤が、水、ハイドロフルオロオレフィン及びハイドロクロロフルオロオ レフィンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする前記態様 (1)乃至前記態様(7)の何れか1つに記載のポリウレタンフォーム用発泡性組 成物。
(9) 前記ポリオール組成物中に、アミン系触媒を、前記ポリオールの100質量部に 対して0.1〜7質量部の割合で更に含有していることを特徴とする前記態様(1 )乃至前記態様(8)の何れか1つに記載のポリウレタンフォーム用発泡性組成物 。
(10) 前記態様(1)乃至前記態様(9)の何れか1つに記載のポリウレタンフォー ム用発泡性組成物を用いて、かかる発泡性組成物を、所定の構造体の表面に吹き付 けて、発泡・硬化せしめることを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明に従うポリウレタンフォーム用発泡性組成物にあっては、ポリオールの一つとしてのエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールと共に、水酸基及びカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸化合物が組み合わされて用いられているところから、ポリオールとポリイソシアネートとの反応に際し、かかるヒドロキシカルボン酸化合物の存在により、その初期反応を遅延化させながらも、硬化反応速度を有利に向上させることが可能となり、これよって、かかる発泡性組成物の吹付け施工に際して、スプレーガンの先端でフォームが硬化して、スプレーガンが詰まり、吹付け施工が出来なくなることが効果的に抑制され得ることとなるのであり、また、吹き付けを行った際のフォーム強度を有利に向上せしめることが可能となったのである。
【0014】
かくして、本発明によれば、発泡性組成物の吹付け施工に際して、その吹き付けられたものの横走現象や液だれが効果的に抑制され、以て、良好な施工性が有利に確保され得ることとなったのであり、また、優れた寸法安定性を有するポリウレタンフォームが有利に提供され得たのである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に従うポリウレタンフォーム用発泡性組成物と、それを用いたポリウレタンフォームの製造方法の構成について、詳細に説明することとする。
【0016】
先ず、本発明に従うポリウレタンフォーム用発泡性組成物は、ポリオールを主体とするポリオール組成物と、ポリイソシアネートとから構成され、かかるポリオールとポリイソシアネートとの反応と共に、発泡剤による発泡にて、ポリウレタンフォームを与える発泡性組成物であるが、そこで用いられるポリオール組成物を構成する主たる成分であるポリオールには、その必須の構成成分としてのエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールと共に、ポリイソシアネートと反応してポリウレタンを生じる、公知の各種のポリオール化合物が、単独で又は適宜に組み合わされて、用いられることとなる。なお、そのようなポリオール組成物におけるポリオールの割合は、合計で、50〜80質量%程度、好ましくは60〜70質量%程度とされることとなる。
【0017】
また、ポリオールの一つとして必須のエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールは、主な反応開始剤としてエチレンジアミンを使用し、これに、アルキレンオキシドを付加してなるポリオールであって、その水酸基価が400〜1000mgKOH/g、好ましくは450〜800mgKOH/gとなるように調整されたものが、好適に用いられることとなる。そこで、エチレンジアミンとしては、二塩化エチレンとアンモニアとの反応により生成する通常のものを使用することが出来、またアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等を、単独で又は2種以上組み合わせて、用いることが出来るが、原料の価格や硬質フォームの物性上からして、プロピレンオキシドが、有利に用いられることとなる。なお、かかるエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールの水酸基価が400mgKOH/g未満となると、フォーム強度の発現が不充分となり、吹付け施工時において横走現象を生じて、形成される硬質フォームが施工面から剥離する恐れがある。また、1000mgKOH/gを越えるようになると、フライアビリティが大きくなると共に、スコーチが発生する等の問題を生じ易くなる。
【0018】
さらに、かかるエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールは、ポリオール組成物中のポリオールの30〜60質量%、好ましくは35〜55質量%を占める割合において用いられることとなる。このエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールのポリオール中の割合が30質量%よりも少なくなると、フォーム強度の発現が不充分となり、吹付け施工時の横走現象を充分に防止することが困難となり、施工面に生成しつつある硬質フォームが剥離してしまう恐れがある。一方、その割合が60質量%よりも多くなると、フライアビリティが大きくなり、スコーチを生じ易くなる等の問題が惹起されるようになる。
【0019】
そして、本発明にあっては、上述の如きエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールの所定量と共に、他のポリオール成分が組み合わされて、ポリオール組成物中のポリオールが、構成されることとなるのであるが、そこにおいて、併用される他のポリオール成分としては、公知の各種のポリオール化合物の1種又は2種以上が、適宜に用いられることとなる。例えば、かかる他のポリオール成分としては、上記のエチレンジアミン系ポリエーテルポリオール以外の他のポリエーテルポリオールや、ポリエステルポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリマーポリオール等を挙げることが出来るが、本発明にあっては、それらポリオールの中でも、先の他のポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールからなる群の中から選択された1種或いは2種以上のものが、好適に用いられることとなる。
【0020】
なお、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール以外の他のポリエーテルポリオールとしては、マンニッヒ系ポリエーテルポリオール、グリセリン系ポリエーテルポリオール、芳香族ポリエーテルポリオール、シュクロース系ポリエーテルポリオール、ソルビトール系ポリエーテルポリオール、トルエンジアミン系ポリエーテルポリオール、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール等を挙げることが出来る。また、ポリエステルポリオールとしては、多価アルコール−多価カルボン酸縮合系のポリエステルポリオールや、環状エステル開環重合体系のポリエステルポリオール等を挙げることが出来る。そこにおいて、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を用いることが出来、中でも、2価アルコールが好ましく用いられることとなる。また、多価カルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びこれらの無水物等を挙げることが出来る。更に環状エステルとしては、ε−カプロラクトン等を挙げることが出来る。
【0021】
特に、本発明にあっては、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールと共に用いられる他のポリオール成分として、マンニッヒ系ポリエーテルポリオールとフタル酸系ポリエステルポリオールとの併用が有利に採用されることとなる。そこにおいて、マンニッヒ系ポリエーテルポリオールは、反応活性に優れているところから、その使用によって樹脂化反応の促進に有効に寄与することとなるため、吹付けを行った際に、硬化反応(樹脂化)及び泡化反応で生じた反応熱が低温環境下にさらされた被着体へ移行して、被着体に奪われるようなことが有利に防止され、その結果、生じた反応熱は、更なる硬化反応及び泡化反応に効果的に利用され得て、初期の発泡性を効果的に改善せしめることが可能となるのである。また、フタル酸系ポリエステルポリオールを使用すると、低温(−10〜5℃程度)下において現場発泡を実施した場合でも、建築躯体等からの剥離が生じ難く、更に現場発泡後のフォーム端部の処理が比較的容易な程度の柔軟性を有する硬質ポリウレタンフォームを得ることが出来る利点がある。特に、ハイドロフルオロオレフィン系発泡剤又はハイドロクロロフルオロオレフィン系発泡剤を含有せしめた際に、組成物としての保存安定性に優れたものを与える特徴がある。
【0022】
なお、上記したマンニッヒ系ポリエーテルポリオールは、マンニッヒ反応を利用して得られるものであって、分子中に2個以上の水酸基を有するマンニッヒ縮合物、またはそのようなマンニッヒ縮合物にアルキレンオキサイドを付加させたマンニッヒ系ポリエーテルポリオール又はそれらの混合物である。これらの中でも、フェノール類、アルデヒド類及び第2級アミンを反応させたマンニッヒ縮合物、又はそのようなマンニッヒ縮合物にアルキレンオキサイドを付加させたマンニッヒ系ポリエーテルポリオール等の、フェノール類をベースとしたマンニッヒ系ポリエーテルポリオールが、好ましく用いられることとなる。一方、フタル酸系ポリエステルポリオールには、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びこれらの無水物等と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールとの縮合物からなるフタル酸系ポリエステルポリオールが、好ましく用いられることとなる。
【0023】
ところで、本発明に従って、ポリオールの所定量をエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールにて構成してなるポリオール組成物には、更に、水酸基及びカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸化合物が、含有せしめられることとなる。このヒドロキシカルボン酸化合物は、フリーの水酸基及びカルボキシル基を有していることにより、カルボン酸としての反応遅延効果を発現し、反応の進行と共に、水酸基がイソシアネートと反応して、系中において消費されることにより、反応遅延効果を徐々に消失させる機能を有している。また、このヒドロキシカルボン酸化合物は、分子量が大きいため、揮発し難く、臭気源となり難いところから、芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物であることが好ましく、更には温和な反応遅延効果を発現することから、水酸基及びカルボキシル基は、ヒドロキシカルボン酸化合物の分子中、特に鎖状化合物の場合にあっては、その末端に、それぞれ、1つずつ有している(即ち、一方の端部に水酸基を有し、他方の端部にカルボキシル基を有している)ことが、望ましい。
【0024】
そして、そのようなヒドロキシカルボン酸化合物としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸化合物や、サリチル酸、クマル酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、フェルラ酸、シナピン酸、バニリン酸、4−ヒドロキシ安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物を挙げることが出来、それらの中でも、芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物が、好適に用いられることとなる。
【0025】
また、かかるヒドロキシカルボン酸化合物は、2価カルボン酸成分と2価アルコール成分のエステル化反応で得られる、末端に水酸基及びカルボキシル基を有する、換言すれば一方の端部側にフリーの水酸基を有し、他方の端部側には、フリーのカルボキシル基を有する反応生成物(化合物)であることが望ましい。そして、その際の2価カルボン酸成分としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上のフタル酸が有利に用いられる一方、2価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上のグリコールが有利に用いられることとなる。
【0026】
なお、かかるヒドロキシカルボン酸化合物は、ポリオール組成物中のポリオール全体の100質量部に対して、一般に、0.1〜3質量部、好ましくは0.3〜2質量部、より好ましくは0.5〜1.5質量部の割合において好適に用いられることとなる。なお、このヒドロキシカルボン酸化合物の使用量が少なくなると、その添加による効果を充分に享受し難くなるのであり、またその使用量が多くなり過ぎると、反応遅延効果が強くなり過ぎて反応が遅くなり、施工時に液だれや横走現象等の施工上の不具合を惹起する恐れがある。
【0027】
そして、本発明にあっては、上記したポリオールやヒドロキシカルボン酸化合物を必須成分として用いて、ポリオール組成物が調製されることとなるが、そのようなポリオール組成物には、従来からポリウレタンフォームの製造に際して用いられる各種の添加剤、例えば、発泡剤(及び/又はその発生源)、触媒、難燃剤、整泡剤等が、適宜に配合されて含有せしめられることとなる。
【0028】
例えば、発泡剤としては、非フロン系発泡剤(及び/又はその発生源)が用いられ、具体的には、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロカーボン(HC)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)及びハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)からなる群より選ばれた1種又は2種以上の有機の発泡剤が、含有せしめられる。なお、それら有機の発泡剤としては、公知の各種のものの中から適宜に選択されて用いられ、例えば、ハイドロフルオロカーボン(HFC)としては、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等を挙げることが出来、更にハイドロカーボン(HC)としては、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、イソブタン等を挙げることが出来る。
【0029】
また、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)としては、例えば、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO1225ye)等のペンタフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ye)等のテトラフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO1243zf)等のトリフルオロプロペン、テトラフルオロブテン(HFO1345)類、ペンタフルオロブテン異性体(HFO1354)類、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO1336mzz)等のヘキサフルオロブテン異性体(HFO1336)類、ヘプタフルオロブテン異性体(HFO1327)類、ヘプタフルオロペンテン異性体(HFO1447)類、オクタフルオロペンテン異性体(HFO1438)類、ノナフルオロペンテン異性体(HFO1429)類等を挙げることが出来、更にハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)としては、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、ジクロロトリフルオロプロペン(HCFO1223)等を挙げることが出来る。特に、かかるハイドロフルオロオレフィン(HFO)やハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)は、化学的に不安定であるために、地球温暖化係数が低く、そのために、環境に優しい発泡剤として、注目を受けているのであるが、また触媒として用いられるアミン化合物によって分解される恐れも内在している。しかしながら、本発明にあっては、アミン系触媒の使用量が可及的に低減され得ることとなるところから、そのような発泡剤(中でも、HCFO)の分解の恐れなく、その発泡機能を有利に発揮させることが出来る利点を有している。
【0030】
さらに、本発明にあっては、発泡剤としての水が、上記した有機の発泡剤と共に、或いはそれに代えて、有利に用いられることとなる。そのような水がポリオール組成物中に存在することによって、ポリオール組成物とポリイソシアネートとが混合せしめられて、反応させられるときに、かかる水とポリイソシアネートとが反応して、二酸化炭素を生じる際に、反応熱が発生することとなるため、その熱によって、ウレタン化反応やイソシアヌレート化反応が、効果的に進行せしめられ得て、得られるポリウレタンフォームの圧縮強度が、更に高められ得るようになるのである。そして、そのようなポリオール組成物中の水の存在によって、ポリオール組成物とポリイソシアネートとが混合せしめられて、反応させられると、かかる水とポリイソシアネートとの反応によって二酸化炭素が発生し、この二酸化炭素も、ポリウレタンの発泡に寄与することとなる。なお、かかる水の使用量としては、ポリオール組成物中のポリオール全体の100質量部に対して、一般に0.5〜5質量部、好ましくは1〜3質量部の割合となるようにポリオール組成物中に含有せしめられる。この水の使用量が5質量部より多くなると、かえって生成するポリウレタンフォームの強度の低下を招くようになる。それは、水とポリイソシアネートとの反応によって生じる尿素結合が樹脂中に多くなること、またイソシアヌレート化反応に用いられるポリイソシアネートが水との反応で消費されてしまい、反応系のポリイソシアネートが少なくなるためである。また、その使用量が0.5質量部よりも少なくなると、水を用いたことによる発泡剤としての効果が充分に得られなくなる。
【0031】
そして、本発明にあっては、ポリオール組成物とポリイソシアネートとが混合されて、触媒の存在下において、ポリオールとポリイソシアネートとの反応が進行せしめられると共に、発泡剤により発泡されて、硬化せしめられることにより、硬質のポリウレタンフォームが形成されることとなるのであるが、そこで用いられる触媒としては、その一つとして、アミン系触媒を挙げることが出来、更にそれに加えて、従来からポリウレタンフォームの製造に際して用いられている公知の触媒が必要に応じて適宜に選択されて、ポリオール組成物に含有せしめられることとなる。
【0032】
ところで、かかるアミン系触媒は、ポリウレタンの初期発泡性を有利に向上せしめ得るものであり、フォームの密度差を変えることなく、フォームの密度を全体的に下げる作用があり、更にフォームのべたつきを改善して、ゴミ等の付着による外観の悪化を阻止し得ると共に、スプレー発泡法においては、床等に付着した飛沫のべたつきによる作業性の悪化等を改善する特徴を発揮するものである。そして、そのようなアミン系触媒としては、化学構造内にOH基やNH基を有する反応性アミン化合物や、環状構造を有する環式アミン化合物を用いることが推奨され、中でも、反応性アミン化合物を触媒として用いることによって、より一層臭気の低減を図ることが出来る。
【0033】
なお、そのようなアミン系触媒として用いられる反応性アミン化合物や環式アミン化合物は、公知のウレタン化触媒の中から適宜に選択され得るところであって、例えば、反応性アミン化合物としては、2,4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、テトラメチルグアニジン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、エトキシ化ヒドロキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−プロパノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)、2−メチルピペラジン、3,3−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、N−メチル−N’−ヒドロキシエチルピペラジン等を挙げることが出来る。また、環式アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、メチレンビス(ジメチルシクロヘキシル)アミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、モルフォリン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルフォリン、4,4’−オキシジエチレンジモルフォリン、N,N’−ジエチルピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチルピペラジン、1,8−ジアゾビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、N,N−ジシクロヘキシルアミン、ジエチルジアミノトルエン等を挙げることが出来る。
【0034】
また、かかる触媒の一つとして用いられるアミン系触媒の使用量としては、その触媒としての機能を有効に発揮させつつ、臭気や作業環境の悪化等の問題を低減して、有効なフォーム特性を得るべく、ポリオール組成物中のポリオール全体の100質量部に対して、一般に0.1〜7質量部、好ましくは0.2〜3質量部、より好ましくは0.3〜1質量部の範囲内において、選択されることとなる。なお、このアミン系触媒の使用量が0.1質量部よりも少なくなると、触媒としての機能を充分に発揮せしめ難くなると共に、得られるフォームがべたつき、ゴミ等が付着して外観が悪くなる等の問題が惹起され易く、またスプレー発泡操作においては、床等に付着した飛沫がべたつくことになるために、施工性が悪くなる等の問題を惹起する恐れがある。また、かかるアミン系触媒の使用量が7質量部よりも多くなると、得られるポリウレタンフォームの臭気が顕著となり、また発泡中に揮発するアミン系触媒によって、吹付け作業性が悪化する問題を惹起するようになる。このため、臭気の点からかかるアミン系触媒は、その添加量を少なくすることが望ましいと言うことが出来る。
【0035】
さらに、本発明にあっては、イミダゾール系触媒も、上記したアミン系触媒と共に、或いはそれに代えて、有利に用いられることとなる。このイミダゾール系触媒は、ポリウレタンの反応後期の硬化反応を促進させ、フォーム強度の向上に寄与する効果があり、フォームのべたつきを改善して、ごみ等の付着による外観の悪化を阻止し得ると共に、スプレー発泡においては、床等に付着した飛沫のべたつきによる作業性を改善する特徴を発揮する。また、そのようなイミダゾール系触媒を構成するイミダゾール化合物は、一般的に、アミン系触媒を与えるアミン化合物と比較して、沸点が高いため、吹付け作業時に揮発し難く、また臭気の発生源になり難い特性を有している。そのようなイミダゾール系触媒としては、化学構造内にイミダゾール環を含有し、その窒素原子にアルキル基等が結合してなる構造の化合物を用いることが推奨され、中でも分子量の大きなイミダゾール化合物を触媒として用いることにより、臭気の有効な低減を図ることが出来る。
【0036】
なお、イミダゾール系触媒として用いられるイミダゾール化合物としては、公知のウレタン化触媒から中から適宜に選択される得るところであって、例えば、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−イソブチルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、1−メチルベンズイミダゾール、1−エチルベンズイミダゾール、1−プロピルベンズイミダゾール、1−イソプロピルベンズイミダゾール、1−イソブチルベンズイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール等を挙げることが出来る。
【0037】
また、かかるイミダゾール系触媒の使用量としては、その触媒としての機能を有効に発揮させつつ、臭気や作業環境の悪化等の問題を低減して、有効なフォーム特性を得るべく、ポリオール組成物中のポリオール全体の100質量部に対して、一般に0.1〜7質量部、好ましくは0.3〜5質量部、より好ましくは0.5〜3質量部の範囲内において、選択されることとなる。
【0038】
そして、上述の如きアミン系触媒あるいはイミダゾール触媒に加えて、更に必要に応じて用いられる触媒としては、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進させるために、樹脂化触媒が有利に用いられることとなる。この樹脂化触媒は、フォームの種類に応じて適宜に選択されて、用いられるものであり、例えば、ウレタン化触媒やイソシアヌレート化触媒が単独で用いられたり、或いはそれらが併用されたりされる。ここで、ウレタン化触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸ビスマス(2−エチルヘキシル酸ビスマス)、ネオデカン酸ビスマス、ネオドデカン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等の脂肪酸ビスマス塩、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛(2−エチルヘキシル酸鉛)等を挙げることが出来る。一方、イソシアヌレート化触媒としては、第四アンモニウム塩、オクチル酸カリウム、酢酸ナトリウム等の脂肪酸アルカリ金属塩、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン等を挙げることが出来る。
【0039】
なお、上述の如き樹脂化触媒としてのウレタン化触媒やイソシアヌレート化触媒としてのカルボン酸金属化合物や第四アンモニウム塩の使用量としては、ポリオール組成物中のポリオール全体の100質量部に対して、一般に、0.1〜7質量部の範囲内において、好ましくは0.5質量部〜5質量部の範囲内において選択されることとなる。かかる樹脂化触媒の使用量が0.1質量部よりも少なくなると、樹脂骨格に占めるウレタン結合やイソシアヌレート(三量体)構造の割合が少なくなり、フォームが軟らかくなるために、圧縮強度や寸法安定性が低下するようになる問題を惹起し、一方7質量部よりも多くなると、得られるウレタン化結合やイソシアヌレート(三量体)構造の割合が増加し難くなり、その添加量に見合う効果を期待し難くなることに加えて、反応速度が上昇し過ぎて、フォームがガン先で詰まるガン詰りの問題や、ポリオール組成物のコストが高くなる等の問題が惹起されるようになる。
【0040】
一方、本発明に従うポリウレタンフォーム用発泡性組成物を、上記したポリオール組成物と共に構成するポリイソシアネートは、かかるポリオール組成物に対して配合せしめられて、ポリオール組成物中のポリオールと反応して、ポリウレタン(樹脂)を生成するものであって、分子中に2つ以上のイソシアネート基(NCO基)を有する有機イソシアネート化合物であって、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ポリトリレントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートの他、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等を挙げることが出来る。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、又2種以上を併用してもよい。一般的には、反応性や経済性、取り扱い性等の観点から、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI)が、好適に用いられることとなる。
【0041】
なお、かかるポリイソシアネートと前記したポリオール組成物との配合割合は、フォームの種類(例えば、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート)によって変更されることとなるが、一般に、ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)とポリオール組成物中のポリオールの水酸基(OH)との比率を示すNCO/OHインデックス(当量比)が、0.9〜2.5程度の範囲となるように、適宜に決定されることとなる。
【0042】
ところで、本発明に従うポリウレタンフォーム用発泡性組成物を構成するポリオール組成物やポリイソシアネートには、上記した配合成分乃至は含有成分に加えて、更に必要に応じて、公知の難燃剤や整泡剤等の従来から知られている各種の助剤を適宜に選択して、配合せしめることも可能である。
【0043】
ここで用いられる整泡剤は、ポリウレタンフォームのセル構造を均一に整えるために用いられるものであって、ここでは、シリコーン系のものや非イオン系界面活性剤が、好適に採用される。具体例として、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物等を挙げることが出来、これらのうちの、1種が単独で、或いは2種以上が組み合わされて、用いられる。なお、この整泡剤の配合量は、所期のフォーム特性や、使用する整泡剤の種類等に応じて適宜に決定されるところであるが、ポリオール組成物中のポリオール全体の100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは1〜8質量部の範囲で選択される。
【0044】
また、難燃剤としては、環境への負荷が少なく、発泡性組成物の減粘剤としても機能する、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等のリン酸エステルが、有利に用いられる。このリン酸エステルを配合する場合、その配合量は、所期のフォーム特性や難燃剤の種類等に応じて適宜に決定され得るが、ポリオール組成物中のポリオール全体の100質量部に対して、一般に5〜60質量部、好ましくは10〜40質量部の範囲で選択される。また、上記リン酸エステル以外にも、難燃剤として、水酸化アルミニウム等が好適に使用され得る。なお、前記した難燃剤としては、環境への負荷が少なく、発泡性組成物の減粘剤としても機能する、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等のリン酸エステルが、有利に用いられる。このリン酸エステルを配合する場合、その配合量は、所期のフォーム特性や難燃剤の種類等に応じて適宜決定され得るが、ポリオール組成物中のポリオール全体の100質量部に対して、一般に5〜60質量部、好ましくは10〜40質量部の範囲で選択される。
【0045】
また、本発明に従うポリウレタンフォーム用発泡性組成物には、更に必要に応じて、例えば、尿素、メラミン等のホルムアルデヒド捕捉剤や、気泡微細化剤、可塑剤、補強基材等の、従来から知られている各種添加剤を、適宜に選択して配合することも出来る。
【0046】
そして、上述の如くして得られたポリオール組成物とポリイソシアネートとを用いて、触媒の存在下で反応させて、発泡・硬化せしめるに際しては、公知の各種のポリウレタンフォームの製造手法が採用され得るところであって、例えば、それらポリオール組成物とポリイソシアネートとの混合物を面材上に塗布して、板状に発泡・硬化を行うラミネート連続発泡法、電気冷蔵庫等の断熱性の要求される空間部内や軽量・高強度ボードのハニカム構造内に注入、充填して、発泡・硬化を行う注入発泡法、または現場発泡機のスプレーガンヘッドから所定の被着体(構造体)へ吹き付けて発泡・硬化させるスプレー発泡法によって、本発明に従う発泡性組成物は発泡・硬化せしめられ、目的とするポリウレタンフォームが形成されることとなるのであるが、特に、本発明にあっては、環境温度(周囲温度)下において、現場発泡せしめられるスプレー発泡法が、好適に採用される。このような現場吹付け発泡法への適用によって、本発明の特徴が更に有利に発揮され、また寸法安定性等の特性に優れたポリウレタンフォームが、有利に得られることとなるのである。
【実施例】
【0047】
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、比較例と対比することにより、本発明の特徴を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。なお、以下に示す百分率(%)及び部は、特に断りのない限り、何れも、質量基準にて示されるものである。
【0048】
また、以下の実施例や比較例において得られたポリウレタンフォームの密度や発泡特性(硬化速度)、施工性及び寸法変化率については、それぞれ、以下の如くして評価乃至は測定した。
【0049】
(1)密度の測定
それぞれの実施例や比較例で得られた硬質ポリウレタンフォームについて、それぞれの密度を、JIS−K−7222に準拠して、測定した。即ち、発泡後、72時間以上経過した発泡体であり、且つ測定前に23℃±2℃で16時間以上静置したポリウレタンフォームから、5cm角の立方体形状である試験片を、5個以上切り出し、ノギスを使用して、縦、横、高さの各寸法を3回以上測定して、その平均値を求め、各試験片の体積を算出した。次に、各試験片の質量を測定し、試験片の密度(ρ)を、以下の式から算出した。
ρ(kg/m3 )=[m(g)/V(mm3 )]×106
ここで、ρ:密度、m:試験片の質量、V:試験片の体積である。
【0050】
(2)発泡特性(硬化速度)の測定
ポリオール組成物と、ポリイソシアネートとしてのクルードMDI(ミリオネートMR−100:東ソー株式会社製)とを、それらポリオール組成物とポリイソシアネートとの体積比が、ポリオール組成物/ポリイソシアネート=100/100となるように、紙コップ(容量:500ml)内に秤量した後、ホモディスパー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、1秒間、高速撹拌混合することにより、硬質ポリウレタンフォーム用発泡性混合液を調製した。その後、かかる紙コップ内で調製された発泡性混合液を、そのまま、常温で発泡硬化せしめることにより、硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0051】
そして、かかる発泡硬化の際に、発泡性混合液の反応性を判断するために、クリームタイム(CT)及びライズタイム(RT)を測定した。なお、ここで、CTとは、ポリオール組成物とポリイソシアネートとの混合開始から、発泡が始まるまでの時間であり、RTとは、前記成分の混合開始から発泡が終了するまでの時間を示している。なお、かかるCTは、早過ぎても遅過ぎてもよくなく、2〜5秒が合格とされ、またRTは早い方がよいとされている。
【0052】
(3)施工性の評価
それぞれの実施例や比較例におけるポリオール組成物とクルードMDIとを、現場スプレー発泡機(商品名:A−25、グラコ社製)を用いて、撹拌混合して、発泡性混合液を形成すると共に、かかる発泡性混合液を、雰囲気温度:15℃の条件下において、躯体である所定大きさのコンクリート板表面に吹き付けて、硬質ポリウレタンフォームからなる発泡層を形成せしめた。そして、かかる発泡層の形成に際しての「施工性」について、「初期の発泡性」及び「スプレーパターンの形状」から、以下の評価基準に従って、判断した。
×:液だれが発生し、スプレーパターンが円形でないため、表面が平滑でない
△:液だれが僅かに発生し、パターン形状が若干変化して、表面が一部平滑でない
○:液だれが発生せず、パターン形状が変化せず、表面が平滑である
【0053】
(4)寸法変化率の測定
寸法変化率の測定を、ASTM−D−2126に準じて、以下の方法に従って行った。先ず、試験片として、それぞれの実施例や比較例で形成された発泡層から、中間スキン層を一層含むように、長さ:100±1mm、幅:100±1mm、厚み:25±0.5mmの寸法で、切り出した。そして、その切り出した試験片を23℃、50RH%の条件下に、20時間静置する。その後、70℃、95RH%の条件下に曝露する。48時間後に試験片を取り出し、その寸法を、厚み:5点、幅・長さ:3点において測定し、それぞれ平均値を求めて、それぞれの変化率を、以下の式に従って算出した。
長さの変化率=100×(lt −l0 )/l0
幅の変化率 =100×(bt −b0 )/b0
厚みの変化率=100×(δt −δ0 )/δ0
[l0 、b0 及びδ0 :最初の寸法の平均値、lt 、bt 及びδt :48時間経過後の 最終寸法の平均値]
【0054】
そして、上記式で計算された3つの変化率が、一点でも、5%以上の場合には、良好な寸法安定性を保持できていないため「×」とする一方、全て5%未満であるものを、「○」として、評価した。
【0055】
−ポリオール組成物の調製−
ポリオールとして、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールである750ED(旭硝子株式会社製)、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールである500ED(旭硝子株式会社製)、フタル酸系ポリエステルポリオールであるRDK133(川崎化成工業株式会社製)、フタル酸系ポリエステルポリオールであるRFK505(川崎化成工業株式会社製)、マンニッヒ系ポリエーテルポリオールであるDK3776(第一工業製薬株式会社製)、マンニッヒ系ポリエーテルポリオールであるFB800(旭硝子株式会社製)を準備する一方、ヒドロキシカルボン酸化合物として、末端に水酸基とカルボキシル基を有するRAK253(無水フタル酸とグリコールの反応生成物:川崎化成工業株式会社製)、サリチル酸(東京化成工業株式会社製)、乳酸(東京化成工業株式会社製)を、それぞれ、準備した。
【0056】
また、触媒として、3級アミンのN−メチルジシクロヘキシルアミンであるポリキャット12(エボニック・ジャパン社製)、イミダゾール系触媒であるKL−No.120(花王株式会社製)を準備し、難燃剤としては、トリス(1−クロロ−2−プロピル)ホスフェート(TCPP:ワンシャン社製)を準備し、整泡剤としては、シリコーン系整泡剤:テゴスターブB8450(エボニック・デグサ・ジャパン社製)を準備した。
【0057】
さらに、発泡剤として、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd:Honeywell社製)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO−1336mzz:Chemours社製)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa:セントラル硝子株式会社製)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc:SOLVAY社製)及び水を、それぞれ、準備した。
【0058】
そして、それらポリオール、ヒドロキシカルボン酸化合物、触媒、難燃剤、整泡剤及び発泡剤を、下記表1及び表2に示される各種の組合せ及び配合割合において、均一に混合せしめて、実施例1〜11及び比較例1〜9に係る各種のポリオール組成物を、それぞれ調製した。
【0059】
−ポリイソシアネートの調製−
ポリイソシアネートとして、クルードMDI(ミリオネートMR−100:東ソー株式会社製)を準備した。
【0060】
−ポリウレタンフォームの製造−
上記で得られた各種のポリオール組成物とポリイソシアネートとを、体積比1:1で用い、現場スプレー発泡機(商品名:A−25、グラコ社製)により撹拌混合せしめて、発泡原液とし、これを、雰囲気温度:15℃の条件下において、被着体である無機フレキシブルボードの表面に複数回吹き付けて、発泡・硬化させることにより、実施例1〜11及び比較例1〜9に係る各種の硬質ポリウレタンフォームを、それぞれ、作製した。
【0061】
そして、かくして得られた各種のポリウレタンフォームを用いて、その密度、施工性及び寸法安定性の測定を、それぞれ実施し、また、かかるポリウレタンフォームの形成に際しての反応時間(CT,RT)を、それぞれ測定して、それら得られた結果を、それぞれ、下記表1及び表2に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
かかる表1の結果から明らかなように、本発明に従う実施例1〜11において採用されたポリオール組成物とポリイソシアネートとの組合せからなる発泡性組成物にあっては、その反応に際して、適切なクリームタイム(CT)を有していると共に、ライズタイム(RT)も短くなっており、目的とする反応特性が有利に実現され得ていると共に、液だれを惹起することなく、平滑な表面を有するパターン形状が変化することのない発泡層を形成するものであり、また寸法変化率から求められる寸法安定性においても、何れも、寸法変化率が5%未満となるものであって、優れた寸法安定性を有す得るポリウレタンフォームを得ることが出来たことが認められる。
【0065】
これに対して、表2の結果に示される如く、ヒドロキシカルボン酸化合物をポリオール組成物中に配合していない比較例1〜3においては、反応時間が短過ぎるために、それぞれの発泡性組成物の吹付け施工時において、ガン詰りが惹起されて、液だれが発生し、円形のスプレーパターンを得ることが出来ないことに加えて、発泡層の表面が平滑とならない問題が惹起された。また、ポリオールとして用いられたエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールの使用量が少な過ぎる比較例4〜8の場合にあっては、寸法安定性が悪く、更に反応時間が遅いために、液だれが発生して、施工性が悪くなる等の問題も惹起されることが、明らかとなった。加えて、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールの使用量が多過ぎる比較例9にあっては、反応時間が早くなり過ぎるために、施工性や寸法安定性が悪化する問題を惹起することが明らかとなった。