(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6917900
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】繊維機械の作業ユニットを操作する方法ならびに操作装置
(51)【国際特許分類】
D01H 13/00 20060101AFI20210729BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
D01H13/00 A
D01H13/00 Z
G05B19/418 Z
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-556207(P2017-556207)
(86)(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公表番号】特表2018-520270(P2018-520270A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】IB2016052232
(87)【国際公開番号】WO2016174547
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2019年4月4日
(31)【優先権主張番号】102015106470.7
(32)【優先日】2015年4月27日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005597
【氏名又は名称】マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス キューブラー
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−120159(JP,A)
【文献】
特開平04−202816(JP,A)
【文献】
特開2013−252964(JP,A)
【文献】
特開2001−265420(JP,A)
【文献】
特開平10−133708(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0282015(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 13/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維機械、特に複数の同様な形式の作業ユニットを備えた繊維機械の作業ユニットを、操作員によって操作する方法であって、前記作業ユニットを操作するために、1つの作業命令の、状況に応じて種々様々な個々の複数の作業ステップが実施され、前記操作員と前記繊維機械の制御装置とが、ポータブルな通信機器を用いて互いに交信することができる、方法において、
前記制御装置は、1つの作業ステップを実施するための作業指示を、前記操作員の前記ポータブルな通信機器に送信し、前記作業ステップの実施を、前記作業ユニットおよび/または前記ポータブルな通信機器の信号を用いて前記制御装置により検出し、前記作業命令がなお完全に実施されていない場合に、前記作業ユニットを操作する別の作業指示を、先行する作業ステップが実施されたときまたは実施され得なかったときに直ぐに、前記操作員の前記ポータブルな通信機器に送信する、またはそこに表示する
ことを特徴とする、繊維機械の作業ユニットを操作する方法。
【請求項2】
1つの作業ステップを実施する別の作業指示を、前記作業命令が完全に履行されるまたは中断されるまで、前記ポータブルな通信機器に送信する、またはそこに表示する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1つの作業ステップを実施するための詳細な作業指示を、前記作業ステップが実施され得なかった場合に、前記ポータブルな通信機器に送信する、またはそこに表示する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記作業指示を、視覚的および/または聴覚的および/または触覚的に、前記ポータブルな通信機器において出力する、請求項1から3までのいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記ポータブルな通信機器は、視覚的、聴覚的および/または触覚的な入力および/または出力のための検出装置および/または再生装置を有している、請求項1から4までのいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記ポータブルな通信機器を、該通信機器と前記制御装置との間における交信を可能にするために、1つの作業ユニット制御装置および/または1つの機械制御装置および/または1つの設備装置に、特にワイヤレスで接続させる、請求項1から5までのいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記制御装置は、特定の作業ユニットおよび/または機械のための作業指示を、前記ポータブルな通信機器および/または操作員の位置に関連して送信する、請求項1から6までのいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記制御装置は、1つの作業ユニットの運転状態についての情報を、前記ポータブルな通信機器に伝達する、請求項1から7までのいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
繊維機械、特に複数の同様な形式の作業ユニットを備えた繊維機械の作業ユニットのための、操作員による前記繊維機械の操作を促進する操作装置であって、前記作業ユニットを操作するために、1つの作業命令の、状況に応じて種々様々な個々の複数の作業ステップが必要となっており、当該操作装置は、前記繊維機械の制御装置と、ポータブルな通信機器とを有しており、かつ前記制御装置は、データ交換のために前記ポータブルな通信機器に接続されており、これによって前記操作員と前記制御装置とは、前記ポータブルな通信機器を介して互いに交信することができる、操作装置において、
前記制御装置は、1つの作業ステップを実施するための作業指示を、前記ポータブルな通信機器に送信し、前記作業ユニットおよび/または前記ポータブルな通信機器は、
前記作業ステップが実施されたまたは実施され得なかったことを知らせるために、信号を前記制御装置に送信し、前記作業命令がなお完全に実施されていない場合に、先行する作業ステップが実施されたときまたは実施され得なかったとき直ぐに、前記制御装置は、前記作業ユニットを操作する別の作業指示を、前記ポータブルな通信機器に送信する
ことを特徴とする、繊維機械の操作を促進する操作装置。
【請求項10】
前記制御装置は、作業ユニット制御装置、機械制御装置、設備制御装置または外部の保守制御装置である、請求項9記載の操作装置。
【請求項11】
前記ポータブルな通信機器は、視覚的、聴覚的および/または触覚的な入力および/または出力のための検出装置および/または再生装置を有している、請求項9または10記載の操作装置。
【請求項12】
前記ポータブルな通信機器は、2次元および/または3次元の入力および/または出力のための検出装置および/または再生装置を有している、請求項9から11までのいずれか1つに記載の操作装置。
【請求項13】
前記ポータブルな通信機器は、現実および仮想の入力および/または出力のための検出装置および/または再生装置を有している、請求項9から12までのいずれか1つに記載の操作装置。
【請求項14】
前記ポータブルな通信機器は、ポータブルなコンピュータ、データテレフォン、データウォッチまたはデータグラスである、請求項9から13までのいずれか1つに記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械、特に複数の同様な形式の作業ユニットを備えた繊維機械の作業ユニットを、操作員によって操作する方法であって、作業ユニットを操作するために、1つの作業命令の、状況に応じて種々様々な個々の複数の作業ステップを実施し、操作員と上位の制御装置、特に繊維機械の制御装置とが、ポータブルな通信機器を用いて互いに交信することができる、方法、ならびに相応の操作装置に関する。
【0002】
独国特許出願公開第10055026号明細書(DE 100 55 026 A1)に基づいて、紡績準備設備および紡績準備機械における操作および表示のための装置が公知である。上位の操作兼表示装置は、主として給電装置、ネットワークを備えた交信装置、データメモリおよび管理装置、ならびにコンピュータを有する、第1の位置固定のユニットと、操作兼表示ユニットを有する、第2の可動のユニットとを具備している。位置固定のユニットを介して、特に故障診断のための入力および表示が行われ、これに対して第2の可動のユニットは、調節、パラメータ変更および/または応答のために利用可能である。この場合における欠点としては、可動のユニットを介しては単に比較的簡単な、もしくは操作員が知っている処置しか実施され得ない、ということが挙げられる。これに対して故障診断のためには、故障を見つけ出すために、不動に設置された上位のユニットを使用する必要がある。特に極めて長い繊維機械では、このようなことは、長い距離に基づいて大きな時間消費を要する。故障の修理または保守作業のために、操作員は引き続き独自のノウハウを持っていることが必要である。このとき操作員は、大きな助けを機械から得ていない。
【0003】
米国特許第5224047号明細書(US 5,224,047 A)に基づいて公知の、複数の作業ユニット、ここでは巻取りユニットを備えた繊維機械は、中央制御装置およびポータブルな通信機器を有している。操作員は、当該明細書の開示によれば、複数の巻取りユニットのうちの少なくとも1つを視覚的に検査し、そしてこの視覚的な検査の結果を、ポータブルな通信機器を用いて機械の中央制御装置に伝達する。この場合においても操作員は、その活動時に助けが得られない。操作員の高い能力が必要であり、かつさらに特に、操作員によって読み取ることができかつポータブルな通信機器に入力することができる表示が、個々の巻取りユニットにおいて必要である。
【0004】
ゆえに本発明の課題は、繊維機械の作業ユニットの操作を簡単化すること、および僅かなノウハウしか有する必要がない操作員によって、作業ユニットの操作を可能にすることである。
【0005】
この課題は、独立請求項に記載の特徴によって解決される。
【0006】
本発明に係る方法は、繊維機械、特に複数の同様な形式の作業ユニットを備えた繊維機械の作業ユニットを、操作するのに役立つ。このような繊維機械は、例えばカーディング機械、ドラフト機械またはコーミング機械、またはしかしながらまた、例えばリング精紡機、ロータ紡績機、空気紡績機または巻取り機のような長手方向において長い機械であってよい。このような機械の操作は、しばしば部分的に自動化されて行われる。しかしながら操作員の投入は、ある特定の活動のために今なお必要である。このとき作業ユニットを操作するために、作業任務の、状況に応じて種々様々な個々の複数の作業ステップを、実施しなくてはならない。
【0007】
作業ステップとしては、例えば、紡績ボックスを開放すること、ロータを除去またはクリーニングすること、紡績ボックスを再び閉鎖すること、ボビンにおいて糸端を探しかつ準備すること、および紡績開始のために糸端を仕掛けること、または少なくとも自動装置に適したようにセットすることを、含むことができる。極めて複雑な今日の繊維機械では、多数のこのような作業ステップを実施しなくてはならず、このことは、操作員に対する高度の要求および操作員の高い知識レベルを必要とする。
【0008】
このような形式の繊維機械は、例えば600またはそれ以上の紡績ユニットをも有することがあるので、どの作業ユニットにおいて手による干渉が必要であるのかが、操作員にとってしばしば明瞭でない。操作員が携行しているポータブルな通信機器を用いて、この通信機器の上位の制御装置、例えば繊維機械の制御装置は、操作員と接触することができる。
【0009】
本発明によれば、制御装置は、1つの作業ステップを実施するための作業指示を、操作員のポータブルな通信機器に送信することができる。制御装置による作業ステップの実施が、作業ユニットからの信号によっておよび/またはポータブルな通信機器によって検出されるや否や、作業ユニットを操作するための別の作業指示が、作業命令がなお完全に実施されていない場合に、制御装置から、操作員のポータブルな通信機器に送信される、またはそこに表示される。これによって制御装置は、最後に通知された作業ステップが実施された、または場合によっては実施され得なかった、または予め設定された所定時間内においては実施されなかった、ということを認識し、これによって操作員に次の作業指示をさらに与える。このことは、作業命令が完全に履行されるまたは中断されるまで長く行われる。択一的に、個々の作業ステップに関する情報がポータブルな通信機器において既に記憶されている場合には、ポータブルな通信機器において次の作業ステップを表示することが可能である。
【0010】
これによって制御装置は、作業命令を履行するために詳細な作業指示を順次出力することができる、もしくは個々の作業ステップが次々とポータブルな通信機器において表示される。これによって操作員は、個々の作業ステップを次々と実施することができる。作業ユニットが、この作業ステップが履行された、または操作員が通信機器に相応の完了通知を入力するや否や、上位の制御装置または通信機器は、次の作業ステップを指示できるということを認識する。これによって制御装置もしくは通信機器は、操作員を次々と作業命令に従わせる。
【0011】
操作員はこれによって、1つの作業命令を履行するためのすべての作業ステップを自身が知っている必要はもはやなくなる。
【0012】
したがって制御装置は、有利な実施形態では、ポータブルな通信機器に指示を出力し、最後の指示が実施された、または実施され得なかった、もしくは中断されたというフィードバックを、通信機器または作業ユニットから得、そしてさらに後続の作業指示を通信機器に出力する。このような作業指示は、例えば、作業ユニットにおける特定の作業を実施することにあってよい。作業指示、特に作業命令の最初または最後の作業指示は、しかしながらまた、操作員もしくはポータブルな通信機器を特定の作業ユニットに、該作業ユニットを操作するために移動させることが望まれているということも含んでいてよい。つまりこのとき制御装置は、好ましくは、今現在どこに操作員もしくはポータブルな通信機器がいるもしくはあるかを認識し、かつ繊維機械全体の操作必要性から、どの作業ユニットを次に操作するべきなのかを求めることができる。
【0013】
好ましくは、制御装置から、1つの作業ステップを実施するためのさらなる作業指示が、ポータブルな通信機器に送信される、またはそこに表示され、この表示は、作業命令が完全に履行されるまでまたは中断されるまで維持される。これによって作業指示は、個々の、小さな、簡単に実施可能な作業ステップに分割され、次々とポータブルな通信機器に送信され、またはそこに表示される。それぞれ1つの作業ステップの履行は、制御装置によって監視され、この作業ステップが作業ユニットまたはポータブルな通信機器の側において確定されたときに初めて、次の作業ステップのための指示が、制御装置からポータブルな通信機器に送信される、または通信機器において解放される。
【0014】
作業ステップが実施され得なかった場合のために、制御装置は、失敗した作業ステップを実施するためのさらに詳細な作業指示を、ポータブルな通信機器に送信し、かつ/またはそこで表示することができる。
【0015】
これによって操作員は、作業ステップを詳細な助けによって実施することができ、かつ場合によってはさらに成功裏に終了することができる。
【0016】
作業指示は、好ましくは、視覚的および/または聴覚的および/または触覚的に、ポータブルな通信機器において出力される。これによって操作員は、作業指示を見ることまたは聞くことができ、または例えば振動によってもポータブルな通信機器において、次にどの仕事を実施すべきであるかを認識することができる。作業ユニットが制御装置または通信機器に送信する実施内容が誤っている場合には、例えば振動を用いて操作員に、誤った操作が行われていることまたは注意が喚起されていることを、表示することができる。
【0017】
好ましくは、ポータブルな通信機器は、視覚的、聴覚的および/または触覚的な入力および/または出力のために適している検出装置および/または再生装置を有するように構成されている。この視覚的、聴覚的および/または触覚的な入力および/または出力は、作業ユニットの操作を容易にする。また、例えば音声制御(Gestensteuerung)を用いて作業ステップを確認すること、または受信することも可能である。
【0018】
無線の通信機器が、作業ユニット制御装置および/または機械制御装置および/または設備制御装置に、特に無線で接続されている場合には、通信機器と制御装置との間における簡単な通信が可能である。ポータブルな通信機器と作業ユニット制御装置との接続によって、特定の作業ステップの実施を、作業ユニット制御装置から直接、通信機器に伝えることができる。このようにすると例えば、作業ユニットの誤った操作の際に、作業ユニットの制御装置は、相応の信号をポータブルな通信機器にさらに伝え、かつ操作員に、この作業ステップは誤って実施されたということを、信号化することが可能である。ポータブルな通信機器と機械制御装置との通信時には、相応の作業指示および特定の活動の終了または操作員の質問を、ポータブルな通信機器と機械制御装置との間において交換することができる。ポータブルな通信機器と設備制御装置との通信時には、他の繊維機械において比較的高い優先順位を有する作業命令が存在している場合に、操作員を設備における他の繊維機械に送ることも可能である。
【0019】
好ましくは、制御装置は、特定の作業ユニットおよび/または機械のための作業指示を、ポータブルな通信機器および/または操作員の位置に関連して送信する。これによって、操作員のための移動距離を短く保つこと、ひいては操作員の作業能力発揮を最適化できることが可能になる。このようにして好ましくは、操作員は、隣接した機械の他方の端部にまたは他方の側に送られる代わりに、同じ機械の1つの作業ユニットに送られる。
【0020】
好ましくは、制御装置は、1つの作業ユニットの特定の運転状態についての情報を、ポータブルな通信機器に送信する。これによって操作員は例えば、作業ステップを実施できるようにするために、どの追加的な工具が必要であるかを決定することができる。他方においてまた、制御装置は第1の作業ステップとして、特定の工具または交換部品を取りに行く必要があるということを、操作員に出力することも可能である。
【0021】
繊維機械、特に、例えばカーディング機械、ドラフト機械、コーミング機械、または例えばリング精紡機、ロータ紡績機、空気紡績機または巻取り機のような長手方向において長い機械のような、複数の同様な形式の作業ユニットを備えた繊維機械の作業ユニットのための、本発明に係る操作装置が、操作員による前記繊維機械の操作を促進するのに役立つ。作業ユニットを操作するために、1つの作業命令の、状況に応じて種々様々な個々の複数の作業ステップが必要である。操作装置は、繊維機械の制御装置と、ポータブルな通信機器とを有している。制御装置は、データ交換のためにポータブルな通信機器に接続されており、これによって操作員と制御装置とは、ポータブルな通信機器を介して互いに交信することができる。
【0022】
繊維機械または作業ユニットの制御装置のみならず、上位の制御装置も、特定の作業ステップを送信するために使用することができる。例えばリモートメンテナンスを用いて、作業指示を、インターネットを介してポータブルな通信機器に伝達することも可能である。
【0023】
制御装置は、データ交換のためにポータブルな通信機器に接続されており、これによって操作員と制御装置とは、ポータブルな通信機器を介して互いに交信することができる。本発明によれば制御装置は、1つの作業ステップを実施するための作業指示を、ポータブルな通信機器に送信する。ポータブルな通信機器は、作業ステップが実施されたまたは実施され得なかったことを知らせるために、信号を制御装置に送信する。これらの信号は、作業ユニット自体の制御装置によって、上位の制御装置に送信されてもよい。上位の制御装置は、先行する作業ステップが実施されたときまたは実施され得なかったときまたは作業命令が履行されたときに直ぐに、当該制御装置が場合によっては作業ユニットを操作する別の作業指示を、ポータブルな通信機器に送信するように、形成されている。
【0024】
特に有利には、ポータブルな通信機器は、検出装置および/または再生装置を、視覚的、聴覚的および/または聴覚的な入力および/または出力のために有している。これによってポータブルな通信機器は、操作員にとって極めて簡単に取扱い可能になる。入力または出力は、例えば画像の表示を用いて視覚的に、例えば言葉による指示を用いて聴覚的に、または機器の振動を用いて触覚的に行うことができる。
【0025】
極めて特に有利な実施形態では、ポータブルな通信機器は、2次元および/または3次元の入力および/または出力のための検出装置および/または再生装置を有している。ポータブルな通信機器の特に3次元の出力は、実施すべき作業ステップを特に明瞭に示すのに役立つことができる。
【0026】
ポータブルな通信機器が、現実および仮想の入力および/または出力のための検出装置および/または再生装置を有していると、作業ステップを例えば拡張現実感(augumented reality)として再生することができる。特に有利な実施形態では、このとき操作員は作業ユニットにおいて、次に実施すべき個々の作業ステップが表示されていることを正確に見ることができる。
【0027】
好ましくは、ポータブルな通信機器は、ポータブルなコンピュータ、データテレフォン、データウォッチまたはデータグラスである。このようなスマートフォン、スマートウォッチまたはスマートグラスは、操作員の作業指示を特に明瞭にかつ簡単に伝達できるようにするために働く。
【0028】
本発明の別の利点は、以下の実施形態において記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】繊維機械を、操作員および種々様々なポータブルな通信機器と共に示す図である。
【0030】
図1には繊維機械1が側面図で示されており、この繊維機械1は、同様な形式の複数の作業ユニット2を有している。これらの作業ユニット2は、2つの端部フレーム3の間に配置されている。端部フレーム3のうちの一方には、機械制御装置4が設けられており、この機械制御装置4は、データライン5を用いて個々の作業ユニット制御装置6に接続されている。各作業ユニット2は、作業ユニット制御装置6の他に、作業ユニット2の課題を果たすことができるようにするために、例えばロータ紡績機では紡績ボックス7のような、種々様々な部材を有している。
【0031】
繊維機械1の前には、作業ユニット2を操作する操作員8がいる。操作員8は、1つまたは複数のポータブルな通信機器に対してアクセスする。このようなポータブルな通信機器は、例えばデータテレフォン9、データウォッチ10またはデータグラス11である。これらの通信機器のそれぞれは、入力エレメントおよび/または出力エレメントを有している。特にデータグラス11は、2次元または3次元の表示を操作員8に提供するように構成されていてよく、これによって操作員8は、作業ユニット2における特定の作業を実施することがさらに容易にできるようになる。
【0032】
操作員8のための情報を、ポータブルな通信機器9,10および/または11に送信できるようにするために、機械制御装置4とポータブルな通信機器9,10および/または11との間におけるデータ交換が、実施されている。このとき機械制御装置4は、個々の作業ステップに対する情報を、ポータブルな通信機器9,10および/または11に、例えばワイヤレスのデータライン12を介して送信する。このとき各1つの作業ステップは他の作業ステップの後で、作業ユニット2が例えばデータライン5を介して機械制御装置4に、作業ステップが実施されたことを伝えるや否や、ポータブルな通信機器9,10および/または11に送信されることができる。択一的にまた、機械制御装置4が1つの作業命令のすべての作業ステップをポータブルな通信機器9,10および/または11に送信していて、個々の作業ステップが、1つの作業ステップが終了するや否や、次々と通信機器9,10および/または11において表示されるような態様も可能である。
【0033】
データライン12に加えてまたはそれとは択一的に、作業ユニット制御装置6とポータブルな通信機器9,10および/または11との間においてワイヤレスのデータライン13を形成することも可能である。このような場合には、1つの作業ステップの終了を、作業ユニット制御装置6を介してポータブルな通信機器9,10および/または11に直接伝達すること、または次の作業ステップの表示を導入することが可能である。
【0034】
別の追加的なまたは択一的な可能性では、ポータブルな通信機器9,10および/または11への指示が、データライン14を介して外部の制御装置15を用いて行われる。このワイヤレスのデータライン14は、外部の制御装置15からの情報を直接ポータブルな通信機器9,10および/または11に送信することを可能にする。このことは、特に1つの工場に複数の繊維機械1が存在する場合に有利である。それというのは、これによって操作員8を種々異なった繊維機械1に送ることができ、かつ操作員8はそこで操作作業を実施することができるからである。
【0035】
本発明は、図示および記載の実施形態に制限されるものではない。請求項の枠内における変更、およびそれが異なった実施形態において図示および記載されたものであったとしても、それらの特徴の組合せが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 繊維機械
2 作業ユニット
3 端部フレーム
4 機械制御装置
5 データライン
6 作業ユニット制御装置
7 紡績ボックス
8 操作員
9 データテレフォン
10 データウォッチ
11 データグラス
12 データライン
13 データライン
14 データライン
15 外部の制御装置