(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
呼吸器疾患の分野における一般的な介入法は気管支鏡であり、気管支鏡は、患者の鼻又は口を通して気道内に挿入される。気管支鏡の構造は、一般に、典型的には3つの要素、すなわち、外部光源に接続された光ファイバを介して気管支鏡の先端より遠位の領域を照らすための照明アセンブリと、気管支鏡の遠位先端からビデオ画像を送り戻すための撮像アセンブリと、そこを通して留置用(例えば、ガイドワイヤ)、診断用(例えば、生検用器具)、治療用(例えば、処置用カテーテル又はレーザー、低温、高周波、又はマイクロ波組織処置用プローブ)器具、及び、薬剤などのその他物質などが挙げられるが、これらに限定されない、器具又は物質を挿入できる、ルーメン(1つ又は複数)、つまりワーキングチャネルと、を含む、細長い可撓性管を含む。気管支鏡の遠位先端は、操縦可能である。気管支鏡のハンドルに配設されたレバーを回転させると、先端を1つ又は2つ以上の方向にそらせる操縦機構が作動する。
【0003】
気管支鏡検査は、気管支鏡検査者としても知られる呼吸器科医によって行われ、肺癌、気道狭窄症、及び肺気腫などの状態の診断及び治療において日常的に使用される。気管支鏡検査は、典型的には、気管支鏡検査者及び少なくとも1名の補助者、通常は看護師からなる、少なくとも2名のスタッフによって行われる。典型的な処置中に、気管支鏡検査者は、片手で気管支鏡のハンドルを、他方の手で気管支鏡の管を保持する。気管支鏡検査者は、たわみレバーを回転させ、管を押し引きすることによって、肺の内部で気管支鏡の遠位先端を操作する。先端が標的に到達すると、器具をワーキングチャネルに挿入して診断又は治療処置を行うことができる。
【0004】
器具の挿入及び操作中は、気管支鏡の遠位先端を目標にてしっかりと保持しなくてはならない。気管支鏡を固定するためには2本の手が必要であり、器具を挿入及び作動するためには更に1本から2本の手を必要とする。一般に、気管支鏡検査者は、気管支鏡を解放して器具を挿入及び作動する。2人を必要とする操作を行うことは、通常はより高価であり、エラーの可能性が高くなる。したがって、可能であれば、1本又は2本の手で行うことができるように手順を修正することが望ましい。
【0005】
また、気管支鏡と共に使用される器具の全ては、必然的に長く細いものであるため、支えられていないと器具の形が保持されない。そのため、器具を片手で迅速に気管支鏡内に挿入することが、困難又は不可能であり得る。この問題は、シースの端部を片手で、器具をもう一方の手で保持することで容易に対応できるが、やはり、処置の実行中に追加の空いている手が必要である。
【0006】
特定の処置(例えば、マイクロ波アブレーション及び生検)中、カテーテル又は延長ワーキングチャネルを、ワーキングチャネルを通して挿入し、異なる部位、典型的には肺のより遠位の領域へのナビゲーションを可能にできる。生検又はアブレーション処置を行うために、カテーテル又は延長ワーキングチャネルを通して器具を挿入してもよい。外科用器具をカテーテルから延在させる、又は外科用器具の配置場所からカテーテルを後退させるための既存のシステム及び方法は、気管支鏡を含むシステムの全ての構成要素を操作するために少なくとも2名必要である。
【0007】
したがって、カテーテル及び外科用器具の片手での作動を容易にし、気管支鏡を操作するためにもう一方の手をフリーにする装置が必要とされる。また、1名の施術者によって、気管支鏡及び関連ツールの操作を容易にする、気管支鏡と共に使用するための支持具が必要とされる。処置中に1名の施術者によるカテーテル、プローブ、及び気管支鏡の操作を可能にする、プローブ及びカテーテル用の支持具を提供することも有利である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示の態様によると、支持システムは、気管支鏡に装着され、気管支鏡を通して挿入され気管支鏡と関連する器具を支持する。一実施形態では、支持システムは、ハンドル及び気管支鏡を通して挿入されるハンドル及びカテーテルを別々に支持するように構成されている。ハンドルは、気管支鏡を通過して患者の解剖学的構造内に入る延長ワーキングチャネルに連結される。カテーテルは、延長ワーキングチャネルを通して挿入され、標的組織に隣接して位置付けられる。延長ワーキングチャネルは、異なる種類の薬剤又は流体を標的部位に送達するために、一方向弁又は三方向ストップコック弁などの弁に接続される。
【0033】
ここで、本開示の実施形態を、図面を参照して詳細に説明するが、図面中の同様の参照番号は、複数の図のそれぞれにおける同一の又は対応する要素を示す。本明細書で使用するとき、用語「臨床師」は、医師、看護師、又は任意の他の医療提供者を指し、補助要員を含んでもよい。本説明全体において、用語「近位」は、臨床師に最も近い機器又はその構成要素の部分を指し、用語「遠位」は、臨床師から最も遠い機器又はその構成要素の部分を指す。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「患者」は、概して、ヒト又は他の動物を指す。本説明の目的において、用語「流体」は、概して、気体、液体、又は気体と液体との混合物を指す。本明細書で使用するとき、用語「有益剤」は、概して、任意の生理活性物質、薬理活性物質、及び/又は向精神物質を指す。
【0035】
ここで
図1を参照すると、ナビゲーションシステム又は外科用システム10は、気管支鏡11と、延長ワーキングチャネル(EWC)ハンドル15と、ケーブル18、プローブ19、ハンドル20、及び、マイクロ波発振器(図示せず)などのエネルギー源に接続するためのコネクタ21を含む、アブレーションカテーテルアセンブリ100と、を備える。ケーブル18の一部18aは、コネクタ21から、アブレーションカテーテルアセンブリ100に冷却流体を供給するための冷却剤源(図示せず)まで延在できる。また、
図1は、下部支持部材520によって気管支鏡11に支持された支持レール312を含むレールシステム300も示しており、ハンドル20を支持する機器支持具530を含む。
【0036】
EWCハンドル15は、器具がEWCハンドル15を通過するように気管支鏡11に接続する。EWCハンドル15の近位端16は、ハンドル20によって係合される嵌合機構を含む。マイクロ波アブレーションにおいては、ハンドル20がEWCハンドル15の近位端16に嵌合することにより、アブレーションプローブ19に対するEWC15の移動を可能にする。生検又は他の処置には、代替的な類似構成を設定できる。ハンドル20は、EWCハンドル15の近位端16の嵌合機構と係合する係合機構27を含んでよい。係合機構27は、例えば、EWCハンドル15の近位端16に画定された開口部内に受容されるクリップであってよい。
【0037】
アブレーションカテーテルアセンブリ100は、EWCハンドル15を通って延在するアブレーションプローブ19を備える。アブレーションプローブ19は、ケーブル18に電気的に接続され、かつ、アブレーションプローブ19の外側シース内に受容されるように寸法決めされたマイクロ波アンテナ(図示せず)を含んでよい。アブレーションプローブ19、より具体的にはマイクロ波アンテナは、能動的に冷却される。マイクロ波アンテナ構成の例は、本願と同一譲受人に譲渡された、米国特許出願公開第2014/0276033号、表題「Microwave Energy−Device and System」及び、同第2014/0046174号、表題「Microwave Ablation Catheter and Method of Utilizing Same」で確認することができ、それぞれの内容全体が、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0038】
レールシステム300は、レール312と、下部支持具520と、機器支持具530と、を備える。下部支持具520は、レール312を支持するために気管支鏡11に装着される、支持具本体522(
図2A)を備える。レール312は、下端部314と、上端部318と、を有し、その間に長手方向軸を画定する。機器支持具530は、レール312に摺動可能に配置される支持カラー532と、支持具から延在している器具フィンガー534と、支持具内に配置される固定機構540と、を含む。下部支持具520の支持具本体522は、レール312の下端部、つまり遠位端314に連結され、その内部にレール312の下端部を受容するレール開口部524(
図2A)を画定する。
【0039】
図2Aは、本開示の態様による、EWC15に取り付けられた一方向弁210を示す、
図1の細部の指定領域の拡大図である。弁210は、EWC15に接続されている。
図2Aでは、流体は、一方向弁210を通って流れない。更に、EWC15は、上部気管支鏡部材350を通って気管支鏡11内に延在している。また、アブレーションプローブ19は、EWC15の長さ全体を通って気管支鏡11内に延在している。アブレーションプローブ19は、EWC15内に受容されるように構成されている。一方向弁210は、EWC15に対して垂直に接続されている。
図2D及び2Eに示されるように、一方向弁210は、内側にダックビル封止部215を備えてよい。
図2Dでは、ダックビル封止部215は、非付勢状態(すなわち、流体が通過していない)で示されているが、
図2Eでは、ダックビル封止部215は、付勢状態(すなわち、流体205が通過している)で示されている。当然のことながら、当業者は、一方向弁で使用される任意の他の種類の封止部を想定してもよい。
【0040】
図2Bは、本開示の態様による、一方向弁210及びEWC15を通って流れる流体を示す。
図2Bでは、流体205は、一方向弁210を通ってEWC15内に流れる。その後、流体205は、上部気管支鏡部材350を介してEWC15に接続された気管支鏡11内に流れる。流体205は、アブレーションプローブ19がEWC15内に配置されているときに流れる。その結果、
図2Cに示されるように、流体205は、EWC15とアブレーションプローブ19との間に画定された空隙119内を流れる。空隙119は、これらの間に画定された環状領域である。これにより、臨床師は、手術部位に流体205を適用すると同時に、EWC15の使用によって手術部位において器具(例えば、アブレーションプローブ19)を操作することができる。このように、EWC15(つまり、一次チャネル)は、臨床師が、外科用器具を使用/操作すると同時に、EWC15を通して1種又は2種以上の流体を適用することを可能にする、2つの目的を達成する。したがって、外科用器具の配置が治療剤の送達を干渉しないのは、これら両方をEWC15内に並行して収容できるためである。
【0041】
図2Cは、
図2Bの切断線2C−2Cに沿って取られた断面
図230である。断面
図230は、EWC15と、EWC15内に位置付けられたアブレーションプローブ19とを示す。空隙119は、EWC15とアブレーションプローブ19との間に環状に画定されている。一方向弁210から流れる流体205は、空隙119内に受容される。流体205は、上部気管支鏡部材350の長さに沿って、EWC15を介して気管支鏡11内に移動する(
図2B)。流体205は、気管支鏡11に直接接触しないが、EWC15を出るまでEWC15内に留まる。流体205の流れは矢印「A」で示される。流体205は、環状空隙119内でアブレーションプローブ19の周りを周囲方向に流れる。
【0042】
流体205は、医薬品、造影剤、増感剤、凝固剤、治療薬、診断薬、止血剤、及び抗生物質、これら並びに診断及び治療目的で当業者によって想定され得る別の薬剤の組み合わせのうち、少なくとも1つであってよい。
【0043】
図3Aは、本開示の態様による、三方向頂部コック弁310を示している拡大図である。弁310は、延長ワーキングチャネルEWC15に接続されている。弁310は、三方向ストップコック弁である。三方向ストップコック弁310は、通路のうち1つを通して吸引能をユーザーに提供することができる。
図3Aでは、流体は、三方向ストップコック弁310を通って流れない。更に、
図2Aのように、EWC15は、上部気管支鏡部材350を通って気管支鏡11内に延在している。また、アブレーションプローブ19は、EWC15の長さ全体を通って気管支鏡11内に延在している。
【0044】
図3Bは、本開示の態様による、三方向ストップコック弁310及び延長ワーキングチャネル(EWC)15を通って流れる流体を示す。
図3Bでは、流体305は、三方向ストップコック弁310を通ってEWC15内に流れる。その後、流体305は、上部気管支鏡部材350を介してEWC15に接続された気管支鏡11内に流れる。流体305は、アブレーションプローブ19がEWC15内に配置されているときに流れる。その結果、
図2Cに示されるように、流体305は、EWC15とアブレーションプローブ19との間に画定された空隙219内を流れる。空隙219は、これらの間に画定された環状領域である。これにより、臨床師は、手術部位に流体305を適用すると同時に、EWC15の使用によって手術部位において器具(例えば、アブレーションプローブ19)を操作することができる。このように、EWC15(つまり、一次チャネル)は、臨床師が、外科用器具を使用/操作すると同時に、EWC15を通して1種又は2種以上の流体を適用することを可能にする、2つの目的を達成する。したがって、外科用器具の配置が治療剤の送達を干渉しないのは、これら両方をEWC15内に並行して収容できるためである。
【0045】
図4Aは、本開示の態様による、2つの一方向弁410、420を示している拡大図である。弁410、420は、延長ワーキングチャネルEWC15に接続されている。弁410、420は、一方向弁である。弁410、420は、互いに平行であってもよい。弁410、420は、EWC15に対して垂直であってもよい。
図4Aでは、流体は、一方向弁410、420を通って流れない。更に、EWC15は、上部気管支鏡部材350を通って気管支鏡11内に延在している。また、アブレーションプローブ19は、EWC15の長さ全体を通って気管支鏡11内に延在している。アブレーションプローブ19は、EWC15内に受容されるように構成されている。
【0046】
図4Bは、本開示の態様による、2つの一方向弁410、420の各々及び延長ワーキングチャネル(EWC)15を通って流れる流体を示す。
図4Bでは、流体405、407は、それぞれ一方向弁410、420を通ってEWC15内に流れる。流体405は、流体407とは異なる。その後、流体405、407は、上部気管支鏡部材350を介してEWC15に接続された気管支鏡11内に流れる。流体405、407は、アブレーションプローブ19がEWC15内に配置されているときに流れる。その結果、
図4Cに示されるように、流体405、407はそれぞれ、EWC15とアブレーションプローブ19との間に画定された空隙319、321内を流れる。空隙319、321は、これらの間に画定された半環状領域である。空隙319は、空隙321と実質的に同じであってもよい。空隙319、321は、壁415によって分割された、実質的に半球形の空隙であってよい。分割壁415は、流体405、407の不用意に混合するのを防止する。(
図4C)分割壁415は、EWC15の内部又は壁に形成されてよい。
【0047】
これにより、臨床師は、手術部位に2種類の流体405、407を適用すると同時に、EWC15の使用によって手術部位において器具(例えば、アブレーションプローブ19)を操作することができる。このように、EWC15(つまり、一次チャネル)は、臨床師が、外科用器具を使用/操作すると同時に、EWC15を通して1種又は2種以上の流体を適用することを可能にする、2つの目的を達成する。したがって、外科用器具の配置が治療剤の送達を干渉しないのは、これら両方をEWC15内に並行して収容できるためである。
【0048】
図4Cは、
図4Bの切断線4C−4Cに沿って取られた断面
図430である。空隙319、321は、EWC15とアブレーションプローブ19との間に画定されている。空隙319、321は、分割壁415によって分割されている。一方向弁410から流入した流体405は、空隙319内に受容され、一方向弁420から流入した流体407は、空隙321内に受容される。流体405、407は、上部気管支鏡部材350の長さに沿って、EWC15を介して気管支鏡11内に移動する。(
図4B)流体405、407は、気管支鏡11に直接接触しないが、EWC15を出るまでEWC15内に留まる。流体405の流れは矢印「B」で示され、流体407の流れは矢印「C」で示される。
【0049】
流体405、407は、手術部位に同時に適用されてもよい。あるいは、流体405、407は、手術部位に連続的に、又は独立して適用されてもよい。このように、臨床師は、まず流体405(例えば、診断薬)を適用し、その後外科処置中に流体407(例えば、治療薬)を適用することを判断してよい。これにより、臨床師は、外科処置中に弁410、420を制御する能力を有する。
【0050】
図5は、本開示の態様による、EWC15の外側表面に取り付けられた側方ポート525を示す、ナビゲーションシステム500を示す。システム500は、気管支鏡11と、延長ワーキングチャネル(EWC)ハンドル15と、ケーブル18、プローブ19、ハンドル20、及び、マイクロ波発振器(図示せず)などのエネルギー源に接続するためのコネクタ21を含む、アブレーションカテーテルアセンブリ100と、を備える。明確にするため、
図1に類似する要素については、
図5を参照して説明しない。
【0051】
ナビゲーションシステム500は、流体505(
図6A)を標的部位に供給するための、側方構成、つまり側方ポート525に接続された弁を含む。弁は、一方向弁510(
図6A)、又は、三方向ストップコック弁520(
図6B)であってよい。更に、EWC15は、上部気管支鏡部材555を通って気管支鏡11内に延在している。また、アブレーションプローブ19は、EWC15の長さ全体を通って気管支鏡11内に延在している。アブレーションプローブ19は、EWC15内に受容されるように構成されている。
【0052】
側方ポート525は、EWC15の外部表面及び上部気管支鏡部材555に沿って延在する。側方ポート525は、取付機構527によってEWC15に接続、つまりしっかりと固定される。取付機構527は、例えばクリップであってよい。アブレーションプローブ19は、気管支鏡11内を延在し、一方側方ポート525は、気管支鏡11の外側表面上を延在する。アブレーションプローブ19と側方ポート525の両方が、標的手術部位で終端してもよい。
【0053】
EWC15に流体を無理に通そうとするのではなく、側方ポート525は、設定中に気管支鏡11の外側に摺動可能に取り付けられ、EWC15の外側に固定的に取り付けられる。気管支鏡11が患者(図示せず)の気道内に挿入されると、EWC15はナビゲーションを開始し、EWC15に固定的に取り付けられているが、気管支鏡11には摺動可能に取り付けられているだけである、側方ポート525を取る。これにより、EWC15が標的領域までナビゲーションされる際に、側方ポート525が、EWC15を(側方配置に)引き寄せられるのを可能にする。一つの構成では、側方ポート525を用いて、特定の処置に必要な、流体、親水性若しくは疎水性材料、塩、及び/又は真空を供給する。
【0054】
図6Aは、本開示の態様による、側方ポート525に接続された一方向弁510を示す、
図5の細部の指定領域の拡大図である。弁510は、延長ワーキングチャネルEWC15に接続されている。弁510は、一方向弁である。
図6Aでは、流体505は、一方向弁510を通って側方ポート525内に流れる。流体の流れは矢印「B」で示される。その後、流体505は、上部気管支鏡部材555の外側表面上のEWC15に接続された気管支鏡11内に流れる。
【0055】
これにより、臨床師は、側方ポート525によって手術部位に流体505を適用すると同時に、EWC15の使用によって手術部位において器具(例えば、アブレーションプローブ19)を操作することができる。このように、EWC15(つまり、一次チャネル)は流体を含まないままであり、一次チャネルを介する外科用器具の配置が治療剤の送達を干渉しないのは、これら両方をEWC15及び側方ポート525内に並行して収容できるためである。
【0056】
図6Bは、本開示の態様による、側方ポート525に接続された三方向ストップコック弁520を示す。弁520は、延長ワーキングチャネルEWC15に接続されている。弁520は、三方向ストップコック弁である。
図6Bでは、流体505は、三方向ストップコック弁520を通って側方ポート525内に流れる。その後、流体505は、EWC15及び上部気管支鏡部材555の外側表面上に接続された気管支鏡11内に流れる。側方ポート525内の流体505は、EWC15内に位置付けられるアブレーションプローブ19と干渉することなく流れる。このため、流体流505は、ユーザーによるアブレーションプローブ19の操作に影響を与えない。
【0057】
そのため、臨床師は、側方ポート525によって手術部位に流体505を適用すると同時に、EWC15の使用によって手術部位において器具(例えば、アブレーションプローブ19)を操作することができる。このように、EWC15(つまり、一次チャネル)は流体を含まないままであり、一次チャネルを介する外科用器具の配置が治療剤の送達を干渉しないのは、これら両方をEWC15及び側方ポート525内に並行して収容できるためである。
【0058】
図6Cは、
図6Bの切断線6C−6Cに沿って取られた断面
図530である。
断面
図530は、EWC15と、EWC15内に位置付けられたアブレーションプローブ19とを示す。空隙419は、EWC15とアブレーションプローブ19との間に画定されている。空隙419は、環状空隙である。流体505が側方ポート525を介して標的手術部位まで流れるため、空隙419は流体を含まないままである。断面
図530は、EWC15に隣接する側方ポート525を更に示す。EWC15と側方ポート525との間の流体連通はない。
【0059】
一方向弁510から流れる流体505は、側方ポート525内に受容される。流体505は、上部気管支鏡部材555の外側表面の長さに沿って、EWC15を介して気管支鏡11内に移動する(
図6A)。流体505は、気管支鏡11に直接接触しないが、EWC15を出るまでEWC15内に留まる。流体505の流れは矢印「B」で示される(
図6A)。これにより、一次チャネルが流体を含まないままであるように、流体505は、側方ポート525(
図2A〜4Cに示されるようなEWC15の代わりに)を通って流れる。
【0060】
図7は、本開示の態様による、側方ポート525に接続された2つの一方向弁610、620を示す。弁610、620は、延長ワーキングチャネルEWC15に接続されている。弁610、620は、一方向弁である。当然のことながら、当業者は、2つの三方向ストップコック弁を使用することを想定してよい。あるいは、当業者は、1つの一方向弁と、1つの三方向ストップコック弁を並行して使用することを想定してよい。
【0061】
図7では、流体605、607は、それぞれ一方向弁610、620を通ってEWC15内に流れる。流体605は、流体607とは異なる。次に、流体605、607は、上部気管支鏡部材650及び気管支鏡11の外部表面に取り付けられた、側方ポート525を介して手術部位に流れる。流体605は矢印「B」で示され、流体607は矢印「C」で示される。流体605、607は、EWC15内に位置付けられるアブレーションプローブ19の操作と干渉することなく流れる。その結果、流体605、607は、側方ポート525を介してナビゲーションシステム500内を流れる。流体605、607は、手術部位に同時に適用されてもよい。あるいは、流体605、607は、手術部位に連続的に、又は独立して適用されてもよい。このように、臨床師は、まず流体605(例えば、診断薬)を適用し、その後外科処置中に流体607(例えば、治療薬)を適用することを判断してよい。これにより、臨床師は、外科処置中に弁610、620を制御する能力を有する。
【0062】
その結果、臨床師は、手術部位に2種類の流体605、607を適用すると同時に、EWC15及び側方ポート525の使用によって手術部位において器具(例えば、アブレーションプローブ19)を操作することができる。このように、EWC15(つまり、一次チャネル)は流体を含まないままであり、一次チャネルを介する外科用器具の配置が治療剤の送達を干渉しないのは、これら両方をEWC15及び側方ポート525内に並行して収容できるためである。
【0063】
装置の詳細な実施形態、当該の装置を組み込むシステム、及び、本明細書で説明するように当該システムを使用する方法。しかしながら、これらの詳細な実施形態は、単に本開示の実施例であり、本開示は、様々な形態で具現化され得る。したがって、本明細書で開示する特定の構造的及び機能的な詳細は、制限的と解釈されず、単に請求項の基盤として、及び、当業者が本開示を適切に詳説した構造で様々に採用することを可能にする代表的な基盤として解釈されるべきである。前出の実施形態が患者の気道の気管支鏡検査法の観点から記載されているが、当業者は、同一又は類似の装置、システム、及び方法が、例えば、血管網、リンパ系ネットワーク、及び/又は消化管ネットワークなど、他の管腔ネットワーク内でも使用され得ると理解するであろう。
【0064】
ハンドル20及びレールシステム300の使用は、患者の気道内で使用するために本明細書で詳述されているが、ハンドル20及び/又はレールシステム300は、延長ワーキングチャネルを有する細長い外科用器具を利用する様々な外科処置で使用され得ることが想定される。例えば、ハンドル20及び又はレールシステム300を使用して、心臓インターベンション、一般的な血管インターベンション処置、脳インターベンションなどの様々な血管内処置中にガイドワイヤやカテーテルを安定化してもよい。これらの処置として、バルーン拡張、ステント留置、経皮的人工弁置換、経皮的弁形成、ペーシングリード留置、心臓アブレーション術、及び電気的マッピング術を挙げてよいが、これらに限定されない。
【0065】
本開示のいくつかの実施形態を図面で示してきたが、それによって本開示が限定されることを意図するものではなく、本開示が当該技術分野で可能な限り広い範囲を対象とすること、及び本明細書も同様に解釈されることが意図されている。上記実施形態の任意の組み合わせも想起され、添付の特許請求の範囲内である。したがって、上述の説明は、単に特定の実施形態の例示として解釈すべきであり、限定するものとして解釈すべきではない。本明細書に添付の請求項の範囲及び趣旨を逸脱しない他の修正は、当業者ならば想到するであろう。