【文献】
Atul Bansode, Atsushi Urakawa,Towards full one-pass conversion of carbon dioxide to methanol and methanol-derived products,Journal of Catalysis,2014年,volume 309,pp.66-70
【文献】
J. G. van Bennekom et al.,Methanol synthesis beyond chemical equilibrium,Chemical Engineering Science,2013年,volume 87,pp.204-208
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、メタノールの製造方法に関する。その方法は、200℃〜300℃の温度かつ150bar〜500barの反応物圧力で、H
2及びCO
2を固体触媒と接触させることを含む。CO
2に対するH
2のモル比はx:1.0であり、xは2.5〜3.5である。触媒は、(i)Cu、CuO、もしくはCu
2O、又はこれらの2つもしくは3つの混合物である銅成分と、(ii)ZnOと、を含有する。好ましくは、触媒は、少なくとも10m
2/g触媒の比銅表面積(a specific copper surface area)(S
Cu)を有する
【0016】
本明細書中で使用される「反応物圧力」という用語は、反応物の分圧の合計を意味する。本発明の方法において、反応物はH
2及びCO
2であるから、本発明で採用される反応物圧力(150bar〜500bar)は、H
2及びCO
2の分圧の合計を指す。
【0017】
反応物H
2及びCO
2並びにそれらに加えて存在する他の成分は、混合物が触媒と接触する前に予め混合され、すなわち混在し、その後に触媒と接触させる反応物供給物を形成することができる。あるいは、反応物は、複数の異なる供給物により別々に反応器に供給することができるので、反応物ガス(及び他の存在する成分)は、固体触媒の存在下においてその位置で一緒に混合可能である。
【0018】
上述したように、1種以上のさらなる成分が、触媒と接触する反応物供給物や複数の供給物中に反応物H
2及びCO
2に加えて存在してもよい。1種以上のさらなる成分は、一般的には気体である。例えば、非酸化性ガス又は不活性ガスがさらに存在してもよい。不活性ガス成分は、具体的にはキャリアガスとして存在することができる。窒素、又は希ガスが例えば存在してもよい。いくつかの実施形態では、希ガスが存在する。希ガスが存在する多くの場合、希ガスはアルゴンである。
【0019】
反応物供給物又は複数の供給物中に存在する1種以上のさらなる成分は、追加的又は代替的に、具体的には水蒸気(water vapour)又は蒸気(steam)の形態で存在し得るH
2Oを含むことができる。また、触媒と接触させる反応物供給物又は複数の供給物中に存在する1種以上のさらなる成分は、COを含んでも含まなくてもよい。
【0020】
いくつかの場合において、反応物供給物又は複数の供給物はCOを含まない。すなわち、COは触媒と接触させる反応物供給物又は複数の供給物中に存在しなくてもよい。
【0021】
しかしながら、他の実施形態において、反応物供給物又は複数の供給物はCOを含む。例えば、プロセスは未反応成分の再利用(すなわち再供給)を備えることができ、そのような未反応成分はCOを含有することができる。COが反応物供給物又は複数の供給物中に存在する場合には、供給物中のCO
2:COのモル比が高く、例えば10:1より大きく、より好ましくは100:1より大きく、さらにより好ましくは1000:1より大きく、あるいは10000:1より大きい。これは、本発明が、CO及びH
2からではなく、CO
2及びH
2からメタノールを製造することに関係するからである。
【0022】
H
2及びCO
2の反応ガスに加えて、1種以上の他のガスが反応物供給物又は複数の供給物中に存在する場合、全圧力(代わりに「反応圧力」とも呼ばれることもある)は、当然のことながら、H
2及びCO
2の反応ガスの分圧の合計よりも高い。言い換えると、反応圧力は反応物圧力よりも高く、反応物圧力は常にH
2及びCO
2のみの分圧の合計である。
【0023】
例えば、8モル%のアルゴンがH
2及びCO
2に加えて供給物中に存在し、H
2及びCO
2が3:1のモル比で存在することにより、CO
2:H
2:Arのモル比が23:69:8である場合、全圧力(すなわち、「反応圧力」)が、例えば100barである場合、反応物圧力は92barに過ぎない。同様に、供給組成物が23:69:8のモル比のCO
2、H
2、及びArからなる場合、50barの反応圧力は46barの反応物圧力に対応し、200barの反応圧力は184barの反応物圧力に対応し、360barの反応圧力は331barの反応物圧力に対応し、480barの反応圧力は442barの反応物圧力に相当する。
【0024】
一般的にはガスである1種以上の他の成分がH
2及びCO
2の反応物に加えて触媒と接触する反応物供給物又は複数の供給物中に存在する場合、(a)H
2及びCO
2の合計の(b)他の成分に対する体積比、(a):(b)は、9:1以上にすることができる。言い換えると、他の成分又は混合成分(通常、単一ガス又は混合ガス)は、触媒と接触する反応物供給物又は複数の供給物の10体積%に等しいか又はそれ未満を構成することができる。他のガスは、例えば、反応物供給物又は複数の供給物の8体積%以下、又は例えば、5体積%以下もしくは2体積%以下を構成することができる。他のガスは、例えば、反応物供給物又は複数の供給物の1体積%以下、又は例えば、0.5体積%以下もしくは0.1体積%以下を構成することができる。
【0025】
従って、多くの場合、H
2及びCO
2の反応物に加えて触媒と接触する反応物供給物又は複数の供給物中に他のガスは存在しない。触媒と接触させる反応物供給物又は複数の供給物は、基本的にH
2及びCO
2の反応物から構成することができる。触媒と接触する反応物供給物又は複数の供給物は、H
2及びCO
2の反応物から構成することができる。
【0026】
多くの場合、具体的には、反応物供給物又は複数の供給物は、H
2及びCO
2の反応物を含み(より一般的には、基本的にそれらから構成するか、又はそれらから構成する)、かつ10体積%以下の不活性ガスを含む。より一般的には、不活性ガスの割合は8体積%以下であり、例えば、5体積%以下又は2体積%以下の不活性ガスである。不活性ガスは、例えば、反応物供給物又は複数の供給物の1体積%以下、例えば0.5体積%以下又は0.1体積%以下を構成することができる。不活性ガスは、上記でさらに定義されたものでもよく、例えば、窒素又は希ガスでもよい。 多くの場合、不活性ガスはアルゴンである。
【0027】
上述したように、CO
2に対するH
2のモル比はx:1.0であり、xは2.5〜3.5である。xは、例えば、2.6〜3.4、又は例えば、2.7〜3.3とすることができる。具体的には、xは、2.8〜3.2、又は例えば、2.9〜3.1とすることができる。しかしながら、好ましくは、xは3.0である。
【0028】
あるいは、xは2.5〜3.3とすることができ、例えば、2.6〜3.2、又は具体的には、2.7〜3.1とすることができる。従って、xは2.8〜3.1とすることができる。しかしながら、やはり、xは2.9〜3.1とすることが好ましく、例えば約3.0とすることが好ましい。
【0029】
通常、H
2及びCO
2を固体触媒と接触させる工程は、H
2及びCO
2を触媒上に通過させる工程を含む。
【0030】
上記にさらに定義されているような、例えば、アルゴン等の1種以上のさらなる成分のような他の成分が、反応物供給物又は複数の供給物に存在する場合、H
2及びCO
2を固体触媒と接触させる工程は、一般的には、H
2及びCO
2、並びに反応物供給物又は複数の供給物に存在する1種以上の他の成分を、触媒上に通過させる工程を含む。
【0031】
言い換えると、このプロセスは、通常、連続法(バッチ法とは対照的なプロセス)である。通常、H
2及びCO
2を触媒上に通過させることは、上記触媒を備える反応器にH
2及びCO
2を通過させることを含む。好ましくは、H
2及びCO
2を触媒上に通過させることは、触媒の固定床を備える反応器にH
2及びCO
2を通過させることを含む。
【0032】
しかしながら、本発明の方法はバッチ法として操作することが可能である。バッチ法としての本発明の方法の操作は、反応ガス及び触媒の間の接触時間が比較的非常に高く、非常に高いCO
2の転化率及び非常に高いメタノールの選択率をもたらすという利点を有する。従って、方法はバッチ法でもよい。
【0033】
しかしながら、連続法が好ましい。本明細書中の実施例に示されるように、連続法として操作される場合、本発明の方法は、顕著なCO
2の転化率(例えば90%)及びメタノールの選択率(>95%)を依然として与えることができる上、同時に、例えば1g
MeOHg
cat−1h
−1の良好なメタノール収率を与えることができる。また、高い空間速度では、具体的には4.5g
MeOHg
cat−1h
−1の非常に高いメタノール収率を達成することができ、場合によってはさらに高い収率、例えば15.3g
MeOHg
cat−1h
−1を達成することができる。
【0034】
パーセンテージで表される「メタノールの選択率」及び「メタノール形成に対する選択率」という用語は、反応によって得られる全ての炭素含有生成物の合計モル量に対する生成されるメタノールのモル量を指す。
【0035】
「二酸化炭素転化率」及び「CO
2の転化率」という用語は同一の意味を持ち、同一の意味で使用されている。それらは、二酸化炭素の初期のモル量に対する別の化合物に転化された二酸化炭素(CO
2)のモル量を指す。連続法の特定のケースにおいて、それらの「二酸化炭素転化率」及び「CO
2の転化率」は、「二酸化炭素の1パス当たりの転化率」、すなわち、反応器を1回通過した後における、二酸化炭素の初期モル量に対する他の化合物に転化された二酸化炭素のモル量を指す。あるいは、バッチ法の特定のケースにおいて、それらは、反応の終わりにおける、二酸化炭素の初期量に対する他の化合物に転化された二酸化炭素のモル量を指す。本発明に関して、転化率はパーセンテージとして表され、プロセス中に形成された炭素含有生成物のモル数を最初に存在する二酸化炭素のモル数で割ることによって計算することができる。
【0036】
本発明の方法において、H
2及びCO
2を固体触媒と接触させることは、一般的には、H
2及びCO
2(加えて、さらに上記のように定義されたような、例えば、アルゴンであるような、反応物供給物又は複数の供給物に存在する任意の他の成分)を少なくとも500h
−1の空間速度で触媒上に通過させることを含む。
【0037】
上記にさらに定義されたような、例えば、アルゴンであるような、1種以上のさらなる成分のような他の成分が、反応物供給物又は複数の供給物に存在するならば、H
2及びCO
2を固体触媒と接触させる工程は、一般的には、H
2及びCO
2並びに反応物供給物又は複数の供給物に存在する1種以上の他の成分を少なくとも500h
−1の空間速度で触媒上に通過させることを含む。
【0038】
本明細書中で使用される「空間速度」という用語は、反応物供給物の流入体積流量を触媒で占有された反応器の体積(触媒体積を含む)で除した値を指し、単位時間内に処理可能な供給物の反応器体積を指す。空間速度は、SV=u
0/Vとして表すことができる。ここで、u
0は、反応器に流入する反応物供給物の体積流量(例えば、秒あたりm
3又は時間あたりm
3で表される)を表し、Vは、触媒で占有された反応器自体の体積(例えば、m
3で表される)(触媒体積を含む)を表す。この測定のための特別な値は、液体及び気体並びに固体触媒を使用するシステムのために存在する。
【0039】
「ガス時間空間速度」又は「GHSV」という用語は同一の意味を持ち、同一の意味で使用されている。GHSVはガスの空間速度の具体的な大きさであり、常圧(大気圧)での入口流れの体積流量を、触媒で占有された反応器体積(触媒体積を含む)で除した値により定義される。
【0040】
一般的には、本明細書中で言及される空間速度は、ガス時間空間速度である。従って、一般的には、本発明の方法において、H
2及びCO
2を固体触媒に接触させることは、少なくとも500h
−1のガス時間空間速度でH
2及びCO
2を触媒上に通過させることを含む。
【0041】
上記にさらに定義されている、例えば、アルゴンのような、1種以上のさらなる成分のような他の成分が、反応物供給物又は複数の供給物に存在するならば、H
2及びCO
2を固体触媒と接触させる工程は、一般的には、H
2及びCO
2並びに反応物供給物又は複数の供給物に存在する1種以上の他の成分を、少なくとも500h
−1のガス時間空間速度で触媒上に通過させる工程を含む。
【0042】
本発明の方法において使用される固体触媒は、酸化亜鉛(ZnO)及び銅成分を含有する。
【0043】
銅成分は、Cu、CuO、もしくはCu
2O、又はこれらの2つもしくは3つの混合物である。従って、銅成分は、CuO、CuOとCu
2Oとの混合物、CuOとCu
2OとCuとの混合物、Cu
2O、CuOとCuとの混合物、Cu
2OとCuとの混合物、又はCuであればよい。
【0044】
銅成分中に存在する化合物の種類は、銅成分が還元されている程度により決まることになる。銅成分は、水素ガスの存在下において還元することができる。特に、触媒中のCuOの一部又は全部を、Cu
2O、Cu、又はそれらの混合物に還元することができ、触媒中のCu
2Oの一部又は全部を、Cuに還元することができる。
【0045】
当業者であれば理解するように、反応物供給物中の水素の存在は、一般的に、この種の還元を引き起こす。
【0046】
また、H
2及びCO
2を固体触媒に接触させる工程の前に、本発明の方法は触媒を還元する工程をさらに備えることができる。触媒を還元する工程は、触媒を水素ガスで処理することを備えることができる。水素ガスによる処理は、例えば、200℃を超える温度、より一般的には300℃を超える温度のような高温で行うことができる。水素ガスによる処理は、少なくとも10分間、例えば、少なくとも30分間、又は例えば、少なくとも1時間の間、行うことができる。そのような工程もまた、触媒中のCuOの一部又は全部を、Cu
2O、Cu、又はそれらの混合物に還元する結果、及び/又は触媒中のCu
2Oの一部又は全部をCuに還元する結果をもたらす。
【0047】
従って、本発明の方法において使用される固体触媒中の銅成分は、一般的にはCuO、CuOとCu
2Oとの混合物、CuOとCu
2OとCuとの混合物、Cu
2OとCuとの混合物、又はCuである。あるいは、固体触媒中の銅成分は、Cu
2O又はCuO及びCuの混合物でもよい。
【0048】
一般的には、銅成分はCuOを含有する。従って、多くの場合、銅成分は、CuO、CuOとCu
2Oとの混合物、CuOとCuとの混合物、又はCuOとCu
2OとCuとの混合物である。それは、例えば、CuO、CuOとCu
2Oとの混合物、又はCuOとCu
2OとCuとの混合物でもよい。
【0049】
触媒の銅成分は、多くの場合、Cuも含む。従って、銅成分は、CuOとCu
2OとCuとの混合物、CuOとCuとの混合物、Cu
2OとCuとの混合物、又はCuでもよい。銅成分は、例えば、CuOとCu
2OとCuとの混合物でもよい。
【0050】
上述したように、本発明で採用される触媒は、好ましくは、少なくとも10m
2/g触媒の比銅表面積(S
Cu)を有する。
【0051】
本発明の方法において採用される触媒に関連して本明細書中で使用される「比銅表面積」(又は「S
Cu」)という用語は、非特許文献13で報告された方法を使用して、亜酸化窒素(N
2O)パルス化学吸着によって決定されるような、触媒の比銅表面積を意味する。
【0052】
非特許文献11には、補助資料において、「Cu/ZnO/Al
2O
3(I)」と呼ばれる触媒に関するS
Cuの測定を含む、非特許文献13に開示された方法を使用する様々な組成物の触媒に関するS
Cuの測定が記載されている。非特許文献11によると、分析前に、試料は603KにおいてHe流中の5%のH
2で還元され、続いてHe流中において363Kまで冷却された。続いて、既知の体積のN
2Oが、6ポートバルブを使用してパルス状に注入された。出口におけるN
2Oは、液体N
2中に閉じ込められ、放出されたN
2は、較正された質量分析計、Pffeifer Omnistar GSD 301 Cで測定された。銅金属の表面積は、1.46×10
19個の銅原子/m
2を仮定して計算した。「Cu/ZnO/Al
2O
3(I)」と呼ばれる触媒は、僅かに1.7m
2/g
catのS
Cuを有することが判明した(非特許文献11)。非特許文献11中において「Cu/ZnO/Al
2O
3(I)」と呼ばれる触媒は、特許文献1に記載された多くの反応において採用されているものと同一の触媒であり、その文書中において混合物(IIA)と呼ばれている。
【0053】
その一方、本発明で採用される触媒は、一般的に、少なくとも10m
2/g
catである、同一の方法で測定された比銅表面積(S
Cu)を有する。それは、好ましくは、例えば、少なくとも12m
2/g
catのさらに大きいS
Cuを有する。それは、例えば、少なくとも14m
2/g
catのS
Cu、例えば、少なくとも15m
2/g
cat、又は少なくとも16m
2/g
catのS
Cuを有することができる。それは、具体的には、少なくとも17m
2/g
catのS
Cuを有することができる。
【0054】
本発明で採用される触媒は、例えば10m
2/g
cat〜40m
2/g
catの比銅表面積(S
Cu)を有することができ、または例えば、先の段落に記載された他の数値範囲の下限のいずれか、すなわち12m
2/g
cat、14m
2/g
cat、15m
2/g
cat、16m
2/g
cat、又は17m
2/g
catから40m
2/g
catの範囲の比銅表面積(S
Cu)を有することができる。あるいは、本発明で採用される触媒は、例えば10m
2/g
cat〜35m
2/g
catのS
Cuを有することができ、例えば、12m
2/g
cat〜30m
2/g
cat、もしくは具体的には、14m
2/g
cat〜25m
2/g
cat、又は例えば、15m
2/g
cat〜22m
2/g
cat、具体的には15m
2/g
cat〜20m
2/g
catのS
Cuを有することができる。
【0055】
一般的には、本発明で採用される触媒はCuOを含有し、6.0nm以下の平均CuO結晶子径を有する。多くの場合、本発明の方法において採用される触媒は、5.5nm以下、又は例えば5.0nm以下の平均CuO結晶子径を有する。それは、通常、例えば4.5nm以下の平均CuO結晶子径を有し、例えば4.0nm以下の平均CuO結晶子径を有する。あるいは、上記触媒は、6.0nmより大きい平均CuO結晶子径を有することができ、例えば6.0nm〜8.0nmの平均CuO結晶子径を有することができる。上記触媒は、例えば、8.0nm以下の平均CuO結晶子径を有することができる。
【0056】
上記触媒の平均CuO結晶子径は、例えば1.0nm〜6.0nm、又は例えば2.0nm〜5.5nm、2.5nm〜5.0nm、もしくは例えば2.5nm〜4.5nmでもよい。
【0057】
本明細書中で使用される「平均CuO結晶子径」という用語は、非特許文献11に記載されているようにX線回折(XRD)によって測定されるような平均CuO結晶子径を意味する。従って、触媒のXRDパターンは記録され、CuOの結晶子径は、球形粒子を仮定して、0.9の形状係数を用いて、シェラーの式を使用することにより、対応するピークの半値全幅(FWHM)から推定される(非特許文献14)。CuOの(−111)反射は、平均CuO結晶子径を決定するために使用される。
【0058】
触媒中の銅成分の量は、一般的には少なくとも55重量%である。従って、触媒は、一般的には、55重量%以上の銅成分を含有する。銅成分は、本明細書中においてさらに定義され得る。より一般的には、触媒は、58重量%以上の銅成分を含有し、例えば、60重量%以上の銅成分を含有する。触媒は、例えば、61重量%以上の銅成分、62重量%以上の銅成分、又は63重量%以上の銅成分を含有することができる。
【0059】
触媒中の銅成分の量は、例えば、55重量%〜75重量%でもよい。触媒は、例えば58重量%〜72重量%の銅成分を含有することができ、例えば60重量%〜70重量%又は61重量%〜68重量%の銅成分を含有することができる。触媒は、具体的には62重量%〜66重量%の銅成分を含有することができ、例えば63重量%〜65重量%の銅成分を含有することができる。銅成分は、本明細書中のいずれかでさらに定義され得る。
【0060】
あるいは、触媒は、60重量%〜80重量%の銅成分を含有することができる。例えば、触媒は、70重量%〜80重量%の銅成分を含有することができる。
【0061】
触媒は、一般的には10重量%以上のZnOを含有する。より一般的には、触媒は12重量%以上のZnOを含有し、例えば15重量%以上のZnOを含有する。触媒は、例えば、18重量%以上のZnOを含有することができ、20重量%以上のZnO又は22重量%以上のZnOを含有することができる。
【0062】
触媒は、例えば10重量%〜35重量%のZnOを含有することができ、又は例えば12重量%〜32重量%もしくは15重量%〜30重量%のZnOを含有することができる。触媒は、具体的には18重量%〜28重量%のZnOを含有することができ、具体的には22重量%〜25重量%のような、例えば20重量%〜26重量%のZnOを含有することができる。
【0063】
触媒は、銅成分及びZnOからなるものでもよい。この場合、触媒中の銅成分の量は上記の通りであり、残部はZnOである。あるいは、ZnOの量は上記の通りであり、残部は銅成分である。
【0064】
しかしながら、より一般的には、触媒は1種以上の他の酸化物成分をさらに含有する。例えば、Al、Mg、Si、Ti、V、Cr、Zr、Mn、La、Ce、及びThの酸化物、並びにこれらのうちの2種以上を含有する混合酸化物から選択される1種以上の酸化物をさらに含有することができる。
【0065】
従って、触媒は、Mg
2+、Al
3+、Si
2+、Si
4+、Ti
3+、Ti
4+、V
2+、V
3+、V
4+、V
5+、Cr
2+、Cr
3+、Cr
6+、Zr
4+、Mn
2+、Mn
3+、Mn
4+、Mn
6+、La
3+、Ce
3+、Ce
4+、及びTh
4+のうちの2種以上を含有する混合酸化物を含め、Al
3+、Mg
2+、Si
2+、Si
4+、Ti
3+、Ti
4+、V
2+、V
3+、V
4+、V
5+、Cr
2+、Cr
3+、Cr
6+、Zr
4+、Mn
2+、Mn
3+、Mn
4+、Mn
6+、La
3+、Ce
3+、Ce
4+、及びTh
4+のうちの1種以上の酸化物をさらに含有することができる。
【0066】
触媒は、例えば、Anに対する正の電荷の合計が、Xmに対する負の電荷の合計に等しいならば、Aが、Al
3+、Mg
2+、Si
2+、Si
4+、Ti
3+、Ti
4+、V
2+、V
3+、V
4+、V
5+、Cr
2+、Cr
3+、Cr
6+、Zr
4+、Mn
2+、Mn
3+、Mn
4+、Mn
6+、La
3+、Ce
3+、Ce
4+、及びTh
4+から選択されるカチオンであり、XがO
2−であり、nが1〜3の整数であり、mが1〜9の整数である式A
nX
mのうち、1つ、2つ、又は3つ以上の異なる化合物をさらに含有することができる。
【0067】
触媒が1種以上の他のそのような酸化物成分を含有する場合には、触媒中の銅成分及びZnOの量は、通常、上記のように定義した通りであり、一般的には、残部は、1種以上の他のそのような酸化物成分から構成される。
【0068】
多くの場合、触媒はAl
2O
3をさらに含有する。触媒がAl
2O
3を含有する場合、それは、通常、少なくとも2重量%のAl
2O
3、さらに一般的には少なくとも5重量%のAl
2O
3、又は例えば少なくとも8重量%のAl
2O
3を含有する。
【0069】
多くの場合、触媒がAl
2O
3を含有する場合には、それは、一般的には2〜30重量%のAl
2O
3を含有する。それは、例えば2〜25重量%のAl
2O
3、又は例えば5〜25重量%のAl
2O
3、具体的には5〜20重量%のAl
2O
3を含有することができる。触媒は、例えば、5〜15重量%のAl
2O
3を含有することができ、又は例えば、8〜12重量%のAl
2O
3、具体的には9〜11重量%のAl
2O
3、例えば約10重量%のAl
2O
3を含有することができる。一つの実施形態では、触媒は10.1重量%のAl
2O
3を含有する。
【0070】
触媒は、一般的には、MgOをさらに含有する。
【0071】
好ましくは、触媒は、Al
2O
3及びMgOの両方をさらに含有する。
【0072】
触媒がMgOを含有する場合、それは、通常、少なくとも0.2重量%のMgOを含有し、さらに一般的には少なくとも0.5重量%のMgO又は例えば少なくとも0.8重量%のMgOを含有する。それは、具体的には少なくとも0.9重量%のMgO、具体的には少なくとも1重量%のMgOを含有することができる。
【0073】
触媒がMgOを含有する場合、それは、一般的には、0.2〜5重量%のMgOを含有する。触媒は、例えば0.5〜3重量%のMgO、例えば0.8〜2重量%のMgO、又は例えば0.9〜1.7重量%のMgOを含有することができる。触媒は、具体的には、1〜2重量%のMgOを含有することができる。一つの実施形態では、触媒は1.3重量%のMgOを含有する。
【0074】
従って、多くの場合、触媒は少なくとも55重量%の上記銅成分、少なくとも10重量%のZnO、少なくとも2重量%のAl
2O
3、及び少なくとも0.2重量%のMgOを含有する。これらの数値の下限値のいずれもが、本明細書中においてさらに定義されているような値になり得る。
【0075】
例えば、触媒は、少なくとも55重量%の上記銅成分、少なくとも10重量%のZnO、少なくとも5重量%のAl
2O
3、及び少なくとも0.5重量%のMgOを含有することができる。
【0076】
触媒は、具体的には、少なくとも55重量%の上記銅成分、少なくとも10重量%のZnO、2〜30重量%のAl
2O
3、及び0.2〜5重量%のMgOを含有することができる。これらの数値範囲の下限値又は上限値のいずれもが、本明細書中においてさらに定義されているような値になり得る。
【0077】
触媒は、例えば、少なくとも55重量%の上記銅成分、少なくとも15重量%のZnO、5〜30重量%のAl
2O
3、及び0.5〜5重量%のMgOを含有することができる。
【0078】
一つの実施形態において、触媒は、約64重量%のCuO、約25重量%のZnO、約10重量%のAl
2O
3、及び約1重量%のMgOを含有する。触媒は、例えば、63.5重量%の上記銅成分、24.7重量%のZnO、10.1重量%のAl
2O
3、及び1.3重量%のMgOを含有することができる。
【0079】
別の実施形態において、触媒は、20重量%〜26重量%のZnO及び少なくとも63重量%のCuOを含有する。触媒は、必要に応じて、8重量%〜12重量%のAl
2O
3及び1重量%〜2重量%のMgOをさらに含有することができる。
【0080】
別の実施形態において、触媒は、20重量%〜26重量%のZnO及び少なくとも74重量%のCuOを含有する。触媒は、約25重量%のZnO及び約75重量%のCuOを含有する。例えば、触媒は、25.1重量%のZnO及び74.9重量%のCuOを含有することができる。そのような触媒を使用する場合、温度は一般的に260℃〜280℃である。
【0081】
本発明の方法において採用される触媒は、商業的に入手可能なメタノール合成触媒、例えばAlfa Aesarから製品番号:45776で入手可能なCu/ZnO/Al
2O
3触媒でもよい。あるいは、本発明の方法において使用するために本明細書中で定義される触媒は、標準的な共沈法を用いて合成することができる。不均一系触媒の準備のための共沈法は、当技術分野において周知である。それは、通常、以下の主な工程を備える:沈殿、熟成、濾過、洗浄、乾燥、及び焼成。沈殿工程は、通常、金属塩の同時沈殿を備える。沈殿、熟成、及び/又は焼成工程の間に、触媒の基本特性が確立される。従って、触媒性能は、沈殿、熟成、洗浄、及び/又は焼成条件を変化させることによって有意に影響され得る(非特許文献15; 特許文献1)。
【0082】
その方法は、200℃〜300℃の温度で、H
2及びCO
2を固体触媒と接触させることを備える。多くの場合、温度は210℃〜295℃、又は例えば220℃〜295℃である。一般的には、温度は225℃〜290℃、例えば230℃〜290℃である。好ましくは、温度は250℃〜300℃、例えば250℃〜290℃、255℃〜285℃、又は具体的には260℃〜280℃である。温度は、例えば255℃〜265℃、例えば約260℃でもよい。他の実施形態において、温度は275℃〜285℃でもよく、例えば約280℃でもよい。
【0083】
H
2及びCO
2を固体触媒と接触させることは、一般的には、少なくとも500h
−1の空間速度で、触媒の上にH
2及びCO
2(加えて、上記のようにさらに定義されているような反応物供給物又は複数の供給物中に存在する任意の他の成分)を通過させることを備える。
【0084】
しかしながら、空間速度は、一般的には少なくとも1,000h
−1、例えば少なくとも1,500h
−1、又は具体的には少なくとも2,000h
−1である。
【0085】
多くの場合、空間速度は少なくとも3,000h
−1、又は例えば少なくとも3500h
−1である。それは、例えば少なくとも4,000h
−1であってもよく、少なくとも5,000h
−1、又は具体的には少なくとも6,000h
−1もしくは少なくとも7,000h
−1でもよい。
【0086】
あるいは、空間速度は、例えば少なくとも9,000h
−1、具体的には少なくとも10,000h
−1、又は例えば少なくとも11,000h
−1でもよい。
【0087】
しかしながら、多くの場合、空間速度は、少なくとも25,000h
−1、より具体的には少なくとも30,000h
−1、又は例えば少なくとも35,000h
−1である。
【0088】
いくつかの実施形態において、空間速度は、少なくとも40,000h
−1、例えば少なくとも45,000h
−1、又は例えば少なくとも50,000h
−1である。
【0089】
空間速度は、例えば少なくとも55,000h
−1、例えば少なくとも60,000h
−1、又は具体的には少なくとも65,000h
−1でもよい。
【0090】
いくつかの実施形態において、空間速度は、少なくとも80,000h
−1であり、例えば少なくとも90,000h
−1、又は少なくとも95,000h
−1である。空間速度は、例えば少なくとも100,000h
−1でもよい。
【0091】
上記のように開示された下限値の任意の値から、例えば150,000h
−1まで、又は例えば200,000h
−1まで、又はそれ以上、例を挙げると250,000h
−1の空間速度であれば、採用することができる。
【0092】
多くの場合、反応物圧力は、160bar〜500barであり、例えば170bar〜500barであってもよく、具体的には180bar〜500barでもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、反応物圧力は150bar〜250barであり、例えば160bar〜220bar、具体的には170bar〜210bar、又は180bar〜200barでもよい。好ましくは、これらの圧力において、温度は250℃〜300℃、より好ましくは250℃〜290℃、さらにより好ましくは255℃〜285℃、又はさらによりいっそう好ましくは260℃〜280℃である。
【0093】
多くの場合、先の段落の温度及び圧力において、少なくとも10,000h
−1の空間速度が採用され、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも1.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。あるいは、少なくとも30,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも2.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。例えば、少なくとも50,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも3.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。あるいは、少なくとも90,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも4.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。従って、これらの条件下で高いメタノール収率を得ることができる。
【0094】
あるいは、反応物圧力は、300bar〜500bar、又は例えば310bar〜500barでもよい。反応物圧力は、例えば320bar〜500bar、具体的には325bar〜500bar、又は330bar〜500barでもよい。他の実施形態において、反応物圧力は、300bar〜400barでもよいし、例えば310bar〜380bar、又は具体的には320bar〜360barでもよいし、例えば325bar〜350bar又は330bar〜340barでもよい。好ましくは、これらの圧力において、温度は250℃〜300℃、より好ましくは250℃〜290℃、さらにより好ましくは255℃〜285℃、又はさらによりいっそう好ましくは260℃〜280℃である。
【0095】
多くの場合、先の段落の温度及び圧力において、少なくとも5,000h
−1の空間速度が採用され、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも1.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。あるいは、少なくとも20,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも2.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備え、好ましくは少なくとも3.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で生成する。例えば、少なくとも30,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合、その方法は、一般的には、少なくとも2.8g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備え、好ましくは少なくとも3.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で生成する。あるいは、少なくとも50,000h
−1、好ましくは少なくとも60,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも4.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備え、又は少なくとも90,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも4.5g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。
【0096】
反応物圧力は、例えば400bar〜500barであってもよく、又は例えば410bar〜500barでもよい。それは、420bar〜500barであってもよく、具体的には430bar〜500bar又は440bar〜500barでもよい。反応物圧力は、例えば400bar〜490bar、例えば410bar〜480bar、具体的には430bar〜480bar、もしくは具体的には420bar〜460bar、又は例えば430bar〜450bar、435bar〜450bar、もしくは440bar〜450barでもよい。好ましくは、これらの圧力において、温度は250℃〜300℃、より好ましくは250℃〜290℃、さらにより好ましくは255℃〜285℃、又はさらによりいっそう好ましくは260℃〜280℃である。
【0097】
多くの場合、先の段落の温度及び圧力において、少なくとも5,000h
−1の空間速度が採用され、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも1.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。あるいは、少なくとも9,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも2.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備え、好ましくは少なくとも3.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で生成する。例えば、少なくとも20,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合、その方法は、一般的には、少なくとも3.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。あるいは、少なくとも30,000h
−1又は少なくとも40,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも4.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率、又は例えば少なくとも6.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。少なくとも70,000h
−1の空間速度を、先の段落の温度及び圧力において採用することができ、この場合において、その方法は、一般的には、少なくとも4.5g
MeOHg
cat−1h
−1の収率、又は例えば少なくとも10.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。
【0098】
多くの場合、その方法は、少なくとも1.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。その方法は、例えば、少なくとも2.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で、又は例えば少なくとも3.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備えることができる。好ましくは、その方法は、少なくとも3.5g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で、例えば少なくとも4.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で、又は少なくとも4.5g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。特定の実施形態では、その方法は、少なくとも6.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で、例えば少なくとも10.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で、又は少なくとも15.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。
【0099】
本発明の方法において、メタノール形成のため上記方法の選択率は、一般的には少なくとも60%、より一般的には少なくとも70%である。メタノール形成のため上記方法の選択率は、例えば少なくとも80%であり、多くの場合、少なくとも90%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも95%である。
【0100】
本発明の方法において、一般的には1パス当たりのCO
2の転化率であるCO
2の転化率は、少なくとも40%である。好ましくは、それは少なくとも60%、より好ましくは、それは少なくとも70%、又は例えば少なくとも75%、具体的には少なくとも80%である。
【0101】
本発明の一つの実施形態において、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも80%であり、空間速度は500h
−1から50,000h
−1であり、好ましくは、反応物圧力は320barから500barである。
【0102】
メタノール形成のため上記方法の選択率は、例えば少なくとも90%でもよく、空間速度は500h
−1から20,000h
−1でもよいし、好ましくは1,000h
−1から20,000h
−1でもよい。一般的には、この実施形態では、反応物圧力は320bar〜450barである。
【0103】
あるいは、メタノール形成のため上記方法の選択率は、例えば少なくとも90%でもよく、空間速度は500h
−1から3,000h
−1でもよい。好ましくは、反応物圧力は150bar〜300barであり、例えば160bar〜250bar、又は170bar〜200barである。
【0104】
本発明の方法において、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも40%でもよく、空間速度は500h
−1から60,000h
−1でもよいが、例えば500h
−1から50,000h
−1、又は具体的には500h
−1から20,000h
−1の範囲でもよい。反応物圧力は、200〜500barでもよいが、好ましくは320〜500barである。
【0105】
1パス当たりのCO
2の転化率は、例えば少なくとも40%でもよく、空間速度は500h
−1〜70,000h
−1でもよく、反応物圧力は420〜500barでもよい。
【0106】
1パス当たりのCO
2の転化率は、例えば少なくとも75%でもよいし、例えば少なくとも80%でもよく、空間速度は500h
−1から30,000h
−1でもよいし、好ましくは500h
−1から20,000h
−1でもよく、反応物圧力は420〜450barでもよい。あるいは、空間速度は500h
−1から5,000h
−1でもよく、反応物圧力は320から500barでもよく、例えば320から450barでもよい。
【0107】
多くの場合、本発明の方法において、反応物圧力は320〜500barであり、好ましくは320〜450barであり、空間速度は500h
−1〜30,000h
−1であり、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも80%であり、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも40%であり、好ましくは少なくとも60%である。
【0108】
一般的には、反応物圧力は320〜500barであり、好ましくは320〜450barであり、空間速度は500h
−1〜15,000h
−1であり、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも90%であり、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも60%である。
【0109】
反応物圧力は、例えば420〜500barでもよいが、好ましくは420〜450barであり、空間速度は500h
−1〜15,000h
−1でもよく、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも90%でもよく、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも80%でもよい。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態では、反応物圧力は320〜500barであり、好ましくは320〜450barであり、空間速度は少なくとも5,000h
−1であり、その方法は、少なくとも1.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。
【0111】
あるいは、反応物圧力は320〜500barでもよいし、好ましくは320〜450barであり、空間速度は少なくとも10,000h
−1でもよいし、好ましくは少なくとも20,000h
−1であり、その方法は、少なくとも2.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。
【0112】
反応物圧力は、例えば320〜500barでもよいし、好ましくは320〜450barであり、空間速度は少なくとも20,000h
−1でもよいし、好ましくは少なくとも50,000h
−1、より好ましくは少なくとも60,000h
−1でもよく、その方法は、少なくとも4.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備えてもよい。
【0113】
反応物圧力は、例えば320〜500barでもよいし、好ましくは320〜450arであり、空間速度は少なくとも30,000h
−1でもよいし、好ましくは少なくとも90,000h
−1、より好ましくは少なくとも100,000h
−1であり、その方法は、少なくとも5.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備えてもよい。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態において、反応物圧力は320bar〜500barであり、空間速度は5,000h
−1〜110,000h
−1であり、好ましくは5,000h
−1〜30,000h
−1である。さらに、好ましくは、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも80%であり、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも40%であり、その方法は、少なくとも1.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備えてもよい。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態では、反応物圧力は320bar〜500barであり、空間速度は5,000h
−1〜110,000h
−1であり、好ましくは5,000h
−1〜40,000h
−1、より好ましくは20,000h
−1〜40,000h
−1である。加えて、好ましくは、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも85%であり、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも45%であり、その方法は、少なくとも1.5g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備えてもよい。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態では、反応物圧力は320bar〜500barであり、空間速度は5,000h
−1〜110,000h
−1であり、好ましくは5,000h
−1〜40,000h
−1、より好ましくは20,000h
−1〜40,000h
−1である。さらに、好ましくは、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも95%であり、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも75%であり、その方法は、少なくとも2.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備えてもよい。
【0117】
本発明の他の実施形態では、反応物圧力は150〜250barであり、空間速度は少なくとも50,000h
−1であり、好ましくは、その方法は、少なくとも3.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備えてもよい。
【0118】
本発明の他の実施形態では、反応物圧力は150〜250barであり、空間速度は少なくとも30,000h
−1であり、好ましくは、その方法は、少なくとも2.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備えてもよい。
【0119】
本発明者らは、触媒の活性部位の高い割合が、H
2及びCO
2の反応物に接触可能な触媒の一部に存在することを確実にすることによって顕著なさらなる改善が達成可能であることを見出した。反応物に接触可能な触媒の一部は、触媒の「接触可能な拡散層」として知られている。
【0120】
本発明者らは、本発明の方法の条件下において、特に気体が液化する傾向にあるより高い圧力において、反応物が、触媒の活性部位に接触するために触媒粒子間に拡散する必要があることを見出した。触媒の接触可能な拡散層が十分に大きくない場合、触媒の一部はその方法に参加しておらず、これにより収率が低下することがある(1時間に触媒1グラム当たりで生成されるメタノールのグラムで表される)。本発明者らは、この状況は、接触可能な拡散層に属する触媒の活性部位の割合を増加させることによって改善することができることを見出した。触媒粒子のサイズを小さくすること、触媒を設計すること、又は膜もしくは他のタイプの支持体等の触媒支持体上に触媒を支持することを含むが、これに限定されない、いくつかの方法によって、これを達成することができる。
【0121】
接触可能な拡散層に属する触媒の活性部位の割合は、パーセンテージで表すことができ、例えば、触媒の活性部位の少なくとも70%が接触可能な拡散層に属することが好ましい。
【0122】
従って、本発明の方法において、上記H
2及び上記CO
2に接触可能な触媒の一部は、触媒の活性部位の少なくとも70%を備えることが好ましい。上記H
2及び上記CO
2に接触可能な触媒の一部は、触媒の活性部位の少なくとも80%を備えることがより好ましい。上記H
2及び上記CO
2に接触可能な触媒の一部は、触媒の活性部位の少なくとも90%、例えば触媒の活性部位の少なくとも95%、触媒の活性部位の少なくとも98%、又は具体的には触媒の活性部位の少なくとも99%を備えることがさらにより好ましい。上記H
2及び上記CO
2に接触可能な触媒の一部は、触媒の活性部位の全て又は実質的に全て(例えば、99.5%以上又は99.9%以上)を備えることが最も好ましい。
【0123】
上述したように、接触可能な拡散層に属する触媒の活性部位の割合を増加させる1つの方法は、触媒の粒子サイズを減少させることである。本明細書中で使用される「粒子サイズ」という用語は、粒子が球形である場合には粒子の直径を意味し、粒子が非球形である場合には体積を基準とする粒子サイズを意味する。体積を基準とする粒子サイズは、問題の非球状粒子と同一の体積を有する球の直径である。
【0124】
本発明で採用される触媒は、多くの場合、約80μm〜約320μm、例えば約100μm〜約300μmの粒子サイズを有する。
【0125】
しかしながら、本発明者らは、接触可能な拡散層に属する触媒の活性部位の割合を増加させるために、触媒がこれよりもさらに小さな粒子サイズを有する場合に、顕著なさらなる改善が達成できることを見出した。そのようなさらなる改善は、例えば80μm未満の触媒粒子サイズが採用される場合、特に50μm以下の粒子サイズが採用される場合、例えば30μm以下の粒子サイズ、又は具体的には20μm以下の粒子サイズが採用される場合に見られる。
【0126】
従って、本発明の方法において採用される触媒は、50μm以下の粒子サイズ、具体的には20μm以下の粒子サイズのような、例えば30μm以下の粒子サイズを有することが好ましい。
【0127】
これらの実施形態における触媒の粒子サイズは、例えば5μm〜80μm、又は、具体的には10μm〜30μmもしくは例えば10μm〜25μmのような、例えば5μm〜50μmでもよい。
【0128】
以下のさらなる選択肢及び実施形態は、触媒の活性部位の高い割合が、H
2及びCO
2の反応物に接触可能な触媒の一部(すなわち、「接触可能な拡散層」)に存在する触媒の使用に特に適用可能である。従って、以下の選択物及び実施形態は、本発明において、触媒粒子サイズが小さい触媒、例えば、粒子サイズが80μm未満の触媒の使用に特に適用可能である。接触可能な拡散層に触媒の活性部位の高い割合が存在する触媒が採用される場合、例えば、そのような小さい粒子サイズが採用される場合には、これによりメタノールの選択率、CO
2の転化率、メタノール収率が顕著に向上する。
【0129】
例えば、いくつかの実施形態では、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%であり、空間速度は500h
−1〜110,000h
−1、好ましくは500h
−1〜70,000h
−1であり、反応物圧力は、好ましくは320bar〜500bar、より好ましくは320bar〜450bar、又は420bar〜500barであり、例えば420bar〜450barである。
【0130】
他の実施形態では、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも40%、好ましくは少なくとも75%であり、空間速度は500h
−1〜110,000h
−1、好ましくは500h
−1〜40,000h
−1であり、反応物圧力は320〜500bar、好ましくは420〜500bar、より好ましくは420〜450barである。
【0131】
いくつかの実施形態では、反応物圧力は320〜500bar、好ましくは320〜450barであり、空間速度は500h
−1〜110,000h
−1、好ましくは500h
−1〜40,000h
−1であり、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも80%であり、1パス当たりのCO
2の転化率が少なくとも40%である。
【0132】
例えば、反応物圧力は320〜500barでもよいが、好ましくは320〜450barであり、空間速度は500h
−1〜15,000h
−1でもよいし、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも90%でもよいし、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも60%でもよい。
【0133】
反応物圧力は、例えば420〜500barでもよいが、好ましくは420〜450barであり、空間速度は500h
−1〜40,000h
−1でもよいが、好ましくは500h
−1〜15,000h
−1であり、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも90%であり、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも80%である。
【0134】
いくつかの実施形態では、反応物圧力は320〜500bar、好ましくは320〜450barであり、空間速度は少なくとも5,000h
−1であり、その方法は、少なくとも1.5g
MeOHg
cat−1h
−1、より好ましくは少なくとも2.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。
【0135】
例えば、反応物圧力は320〜500barでもよいが、好ましくは320〜450barであり、空間速度は少なくとも20,000h
−1でもよいし、その方法は、少なくとも3.0g
MeOHg
cat−1h
−1、より好ましくは少なくとも6.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備えてもよい。
【0136】
反応物圧力は、具体的には、320〜500barでもよいが、好ましくは320〜450barであり、空間速度は少なくとも50,000h
−1でもよいが、好ましくは少なくとも60,000h
−1であり、その方法は、少なくとも4.0g
MeOHg
cat−1h
−1、好ましくは少なくとも10.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備えてもよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、反応物圧力は320〜500bar、好ましくは320〜450barであり、空間速度は少なくとも90,000h
−1、好ましくは少なくとも100,000h
−1であり、その方法は、少なくとも5.0g
MeOHg
cat−1h
−1、好ましくは少なくとも15.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。
【0138】
本発明の他の好ましい実施形態では、反応物圧力は320bar〜500barであり、空間速度は5,000h
−1〜40,000h
−1、好ましくは20,000h
−1〜40,000h
−1であり、好ましくは、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも85%であり、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも45%であり、その方法は、少なくとも1.5g
MeOHg
cat−1h
−1の収率、好ましくは少なくとも3.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。
【0139】
または、例えば、いくつかの実施形態では、反応物圧力は420bar〜500barであり、空間速度は5,000h
−1〜40,000h
−1、好ましくは20,000h
−1〜40,000h
−1であり、好ましくは、メタノール形成のため上記方法の選択率は少なくとも95%であり、1パス当たりのCO
2の転化率は少なくとも75%であり、その方法は、少なくとも2.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率、好ましくは少なくとも6.0g
MeOHg
cat−1h
−1の収率で上記メタノールを生成することを備える。
【実施例】
【0140】
本発明は、以下の実施例においてさらに説明される。
【0141】
(実施例1)
実験手順
連続流通の高圧固定床反応器を使用して、CO
2のメタノールへの水素化を調査した。ステンレス鋼製の反応器は、1/8インチ又は1/4インチの外径及び0.07インチ又は0.12インチの内径を有する管状である。高圧固定床反応器及び分析システムの詳細は、非特許文献4に記載されている。反応ガス混合物(CO
2:H
2:Arのモル比=23:69:8)は、Abello Linde(スペイン)から購入した。市販のメタノール合成触媒(Cu/ZnO/Al
2O
3、製品番号:45776)は、Alfa Aesarから購入した。触媒ペレットを粉砕し、100〜300μmの粒子サイズにふるい分けし、所望の反応条件によって規定される触媒の量に応じて、20〜100mmのおおよその触媒床長さで反応器に充填した。反応前に、触媒を、20mL/分の水素流(H
2:Arのモル比=90:10)中において、大気圧、330℃で2時間還元した。続いて、触媒床を室温まで冷却し、予め混合された反応ガスを用いて所望の反応圧力にまで加圧した。高圧シリンジポンプ(Teledyne ISCO 260D)を使用して、予め混合された反応ガスを分配して、CO
2対H
2のモル比を正確に制御した。GHSVが650h
−1である場合には、1.0gの触媒を備える1/4インチの反応管を使用した一方で、より高いGHSV条件(2,000〜8,000h
−1及び10,000〜100,000h
−1)である場合には、400mg及び50mgの触媒を備える1/8インチの反応管を使用した。
【0142】
以下の表1は、(i)購入した市販のメタノール合成触媒(Cu/ZnO/Al
2O
3、Alfa Aesa製品番号:45776)の組成、(ii)還元前処理後の触媒の比銅表面積(S
Cu)、及び(iii)触媒中のCuOの平均結晶子径を示す。非特許文献13において以前に報告された方法を用いて、N
2Oパルス化学吸着(非特許文献11)によって比Cu表面積(S
Cu)を測定した。
【0143】
【表1】
【0144】
メタノールへの連続的なCO
2の水素化が、50、100、200、360、及び480barの5つの異なる圧力条件で試験された。しかしながら、8モル%のArも供給組成物中に存在することを考慮すると、反応物圧力、すなわちCO
2及びH
2の分圧の合計は、それぞれ46、92、184、331、及び442barであった。
【0145】
GHSVは、常圧での入口流れの体積流量を触媒が充填されている反応器体積(触媒体積を含む)で除した値によって定義される。広範囲のGHSV条件(650〜100,000h
−1)を調査した。GHSVは、触媒質量正規化単位でも示され、その値は0.37〜49.85NLg
cat−1h
−1の範囲内である。両方の単位におけるGHSV計算のために、Arを含有する常圧における総流量を使用した。気化された出口流れは、温度、圧力、及びGHSVの各条件で、3時間の間に約12分間ごとにGCに注入され、それらの平均値が求められた。触媒失活は、実施された触媒試験中には検出されなかった。
【0146】
熱力学計算
熱力学計算は、メタノール合成のために、van Bennekomらによって報告された最適値(非特許文献16)から得られている、CO、CO
2、H
2、メタノール、及び水ための変更された二成分系相互作用パラメータを用いて、Soave-Redlich-Kwong(SRK)状態方程式(EOS)を使用したAspen HYSYSV 8.6シミュレーションツールを用いて実行された。計算はギブス自由エネルギーの最小化によって実行された。メタンは全ての計算においては考慮されなかった。
図4は、46、92、184、331、442barにおける150〜340℃の温度範囲でのCO
2の平衡転化率を示し、
図5は、これらの圧力におけるこの温度範囲でのメタノールの平衡選択率を示す。
【0147】
結果と考察
高圧条件下における温度の影響
まず、CO
2の転化率及びメタノールの選択率に対する温度の影響を、46、92、184、331、及び442barの反応物圧力で調査した(
図1)。触媒試験は10,000h
−1の一定のGHSVで実施されたが、次節で論じるように、この反応パラメーターは、反応器中の反応物の滞留時間及び触媒性能に直接影響を及ぼすことができる。CO
2の転化率及びメタノールの選択率は、理論上の平衡値と比較して示されている。
【0148】
高圧条件の利点は、熱力学計算から分かる(
図1、点線)。46barでは、CO
2の転化率が、220〜300℃の温度領域において、メタノールの選択率が約90%から20%にまで急速に低下するのに伴い、25〜30%の間で変化する。92barでは、CO
2の転化率は、メタノールの選択率(220℃で96.5%及び300℃で53.4%)を節制するのに非常に良好に大体50%(220℃)から30%(300℃)に変化する一方で、442barの非常に高い試験圧力では、全温度範囲での非常に高い選択率(220℃で99.9%を超え、300℃で99.0%)を伴い、理論的にCO
2を効果的にメタノールに転化できる(220℃で98.7%、300℃で86.1%)。中間の試験圧力(184及び331bar)では、約230℃及び約280℃のそれぞれで、CO
2の平衡転化率において急激な変化があった(この変化は92barでも起きるが、はるかに低い温度(約160℃)で起きる、
図4)。これは、反応温度が転移点よりも低い場合に、生成物の凝縮に伴う相転移及び分離(液相の形成)によって起こるCO
2の転化率の向上を原因とするものである。そのような相分離は、Heeres及び共同研究者によって正確に記載され、実証されているように、一相平衡を超えて、メタノールへのCO
2の転化を可能にする(非特許文献6)。そのような相分離がCO
2の転化率に与えるプラスの影響は、184bar及び331barのCO
2の平衡転化率曲線からわかるように、より高い圧力では目立たなくなる。442barでは、その影響はわからなくなる。この傾向は、その密度が液体生成物と僅かにしか異ならない、及び/又は高圧条件で単に混和性であることを示す、高密度の反応物/生成物混合物に起因する。実験的に、CO
2の転化率、メタノールの選択率、及びこれらに伴うメタノール収率における高圧条件の一般的な利点は、より高い圧力でのより良い触媒性能によって確認された(
図1)。メタノールの他に、COがRWGS反応から生じる唯一の主要生成物として見出された。観察された別の生成物は少量(<0.8%)のメタンであった。理論上の平衡と比較すると、より低い温度では、CO
2の転化率及びメタノールの選択率の両方において、より大きな偏差が見られた。これら2つの反応性能の主要指標は、331barにおけるメタノールの選択率を除いて260〜280℃で最大値を示し、その後より高い温度で低下した。260〜280℃の最適温度を超える温度におけるわずかな性能低下は、理論上の平衡により予測される傾向に従う。220〜300℃の範囲では、最適温度を超える温度において、実験上のCO
2の転化率及びメタノールの選択率と理論上のCO
2の転化率及びメタノールの選択率との間に小さな偏差があり、最適温度より低い温度において、それらの間により大きな偏差が見られた。これは、熱力学平衡に達しているか、または熱力学平衡が少なくとも、各圧力条件で最適温度より高い温度で有意な効果を有していることを意味する。言い換えると、触媒性能の最大値より低い温度では、反応は、低温で触媒により決定される低い反応速度のため、動力学的に調整される。理論上は、CO
2の転化率は、184barで230℃より低い温度では大幅に上昇する。しかしながら、そのような性能向上は見られず、220℃では非常に低い値となった。これは、反応がその温度において動力学的に調整されることを明示するものである。相分離から完全に利益を得るためには、低温において高い反応速度を達成するために、より低いGHSVで反応を実行しなければならない。また、有利な相分離が、理論上、より高い圧力条件下でより高い温度において起こると予想されることに着目することは重要である。従って、高圧条件は、動力学的に好ましい高温条件下で相分離を達成するために、この点において非常に有益になり得る。
【0149】
CO
2の転化率及びメタノールの選択率に関する最適な触媒性能は、331barにおける260℃、並びに46、92、184、及び442barにおける280℃で得られた。最大限に実行する反応温度は、331barでのより高いGHSV条件及びより低いGHSV条件で調査された。興味深いことに、最適温度は、GHSV条件の相違にかかわらず同一であることが見出された(データは示されていない)。従って、GHSVの触媒性能への影響を調べた以下の研究においては、最適温度がそれぞれの圧力で選択された。
【0150】
高圧条件下でのGHSVの効果
最適温度での高圧条件下での反応性能が、広範囲のGHSV(650〜100,000h
−1、0.37〜49.85NLg
cat−1h
−1に相当)でさらに評価された。
図2は、46、92、184、331、及び442barでのGHSVの関数としてのCO
2の転化率及びメタノールの選択率を示し、
図3はそれらの圧力でのGHSVの関数としてのメタノール収率を示す。この節は、サイズが100〜300μmの触媒粒子を用いた結果(
図2及び
図3の黒塗り記号)に関するものである。
【0151】
メタノール収率がGHSVに依存している点(
図2)から目を引くことは、優れた収率であると一般的に考えられている1.0g
MeOHg
cat−1h
−1に近いメタノール収率を伴う高いCO
2の転化率及びメタノールの選択率を与える反応条件が存在することである。442barで、収率は、88.5%のCO
2の転化率及び97.2%のメタノールの選択率を伴い、4,000h
−1で0.92g
MeOHg
cat−1h
−1の値に達した(表2)。0.89g
MeOHg
cat−1h
−1が、83.3%のCO
2の転化率及び96.8%のメタノールの選択率を伴い、331barでも4,000h
−1で得られた(表3)。同様のメタノール収率はより低い圧力で達成することができるが、これはより低いCO
2の転化率及びメタノールの選択率のためにGHSVを増加させる必要がある。例えば、184barでは、8,000h
−1で0.88g
MeOHg
cat−1h
−1が得られ、47.0%のCO
2の転化率及び84.8%のメタノールの選択率であった(表4)。92bar(本発明との比較のために示されている)で、低いCO
2の転化率(28.6%)及びメタノールの選択率(53.6%)を伴う1.0g
MeOHg
cat−1h
−1を達成するためには、30,000h
−1の高いGHSVが必要であった(表5))。46barでは、低いCO
2の転化率(20.2%)及びメタノールの選択率(19.7%)を伴う1.0g
MeOHg
cat−1h
−1を達成するために、より高い100,000h
−1のGHSVが必要であった(表6)。
【0152】
CO
2の水素化におけるメタノール合成の反応メカニズム、すなわちCO
2又はCOを介した反応メカニズムは広く議論されている(非特許文献17)。この実施例では、より高いGHSVにおいてCOの選択率が一貫して増加した(
図2及び表2〜5)。その結果は、より長い滞留時間がメタノールの選択率を向上させ、メタノール合成がRWGSによって生成されるCOを介して進行することができることを示す。過剰な水素が使用された化学量論を超えるCO
2の水素化(CO
2:H
2=1:10)においても同様の結論が導かれている(非特許文献11)。
【0153】
実際には、高い転化率及び高いメタノールの選択率は、未反応のCO
2、CO、及びH
2が効率的にリサイクルされる場合、最も重要な性能指標ではないことがある。より大きい体積流量(すなわち、高いGHSV)は、CO
2の転化率が低いためにリサイクルプロセスのためのより高いエネルギー要件を要求するにもかかわらず、そのような条件はメタノール収率を大幅に改善することがある。このことは、本調査の高いGHSV条件(
図3、100〜300μmの触媒粒子を用いた黒塗り記号)下で実証された。100,000h
−1においては、92barでさえ、約3g
MeOHg
cat−1h
−1の非常に高い収率が達成され、4.5g
MeOHg
cat−1h
−1を超える全体的に優れた収率が184bar以上で達成された。興味深いことに、CO
2の転化率における高圧の利益は、サイズが100〜300μmの触媒を用いた高いGHSVでは、あまり顕著ではなく、転化率の値は、すべての試験圧力条件において100,000h
−1で大体20〜30%に収束した。対照的に、メタノールの選択率における高圧の優位性は残っていた(331barで70.0%、92barで47.7%)。そこでは、高圧条件下でのその反応性の特徴により、184〜442barの間のメタノール収率の差が小さくなっており、そのことは、供給物のリサイクルが実現可能な場合に、極めて生産性の高いメタノール合成が少しの高圧(例えば、184bar)で可能になることを支持している。
【0154】
【表2】
【0155】
【表3】
【0156】
【表4】
【0157】
【表5】
【0158】
【表6】
【0159】
触媒粒子サイズの影響
同一の触媒を、本実施例において「実験手順」の項目で上記のように記載したように調製した。しかしながら、この際には、触媒を粉砕して100〜300μmの粒子サイズにふるい分ける代わりに、触媒ペレットを粉砕して10〜20μm(10〜20ミクロン)の粒子サイズにふるい分けた。100、360、及び480barの反応圧力で実施した上記の実験を、10〜20μmの粒子サイズを有する触媒を用いて繰り返したところ、以下の結果の表並びに
図2及び3(白抜き記号)に示すように顕著なさらなる改善が得られた。特に、442barでは、メタノールの重量時間収率が、より大きな触媒粒子を採用した場合に比べて大幅に改善された。10〜20μmの触媒粒子では、100,000h
−1で15.3g
MeOHg
cat−1という非常に高い重量時間収率を達成することができた。この改善は、生成物の凝縮が起こることにより、拡散プロセスが非常に制限されている条件下における、分子拡散長のより小さい寸法を原因とする、活性触媒成分(すなわち、より大きな接触可能な拡散層)の効率的な利用に起因する。
【0160】
【表7】
【0161】
【表8】
【0162】
【表9】
【0163】
(実施例2)沈殿したCu/Zn触媒を用いた場合における化学量論的なCO
2のメタノールへの水素化
1.触媒の合成
300mLの純水(HPLCグレード)を加熱マントル内に置いた1Lの丸底フラスコに加えた。0.5M[(Cu(NO
3)
2及びZn(NO
3)
2 Cu/Zn比:70/30]の金属硝酸塩の溶液を、攪拌しかつ予熱した(60℃)ガラス反応器にポンプにより2mL/分で注入した。同時に、pHを6.4〜6.6に維持するために、(NH
4)HCO
3(3M)の溶液を、制御された速度で順序正しくポンプにより注入した。金属硝酸塩の溶液を完全に追加した後、塩基の溶液の注入を止め、系を6時間撹拌したままにした。得られた固形物を、ブフナー漏斗でろ過し、60℃で一晩乾燥させた。最後に、その固形物を、2℃/分の加熱ランプを用いて、400℃で2時間焼成した。
【0164】
2.触媒特性評価
仮焼成された共沈触媒は、主として、亜鉛マラカイト(zincian malachite)及び水亜鉛銅鉱(aurichalcite)によって形成される。焼成後、ヒドロキシ炭酸塩の分解が起こり、触媒中にCuO及びZnOのみが残った。両方の酸化物の結晶子径は、XRDによって約7nmと測定される。還元(2時間、300℃で、10%H
2/90%N
2の25mL/分)後、得られた材料の比Cu表面積は23m
2/gであった(表10)。
【0165】
【表10】
【0166】
3.触媒活性
化学量論的なCO
2のメタノールへの水素化(CO
2:H
2=1:3)は、100〜300μmのサイズのペレット形状の触媒を用いて、10,000h
-1において331及び442barで行った。メタノールの重量時間収率(WTY)は、280℃、331barで、52%のCO
2の転化率及び84%のメタノールの選択率を伴って、1.2g
MeOHg
cat-1h
-1を超えていた。同一のレベルのWTY(1.2g
MeOHg
cat-1h
-1を超えている)が、56%CO
2の転化率及び92%のメタノールの選択率を伴って、300℃、442barでも得られた。
本発明は、以下の態様を含む。
[項1]
H2及びCO2を200℃〜300℃の温度かつ150bar〜500barの反応物圧力で固体触媒と接触させることを備え、反応物圧力が前記H2及び前記CO2の分圧の合計である、メタノールを製造する方法であって、
前記CO2に対する前記H2のモル比はx:1.0であり、xは2.5〜3.5であり、
前記触媒は、(i)Cu、CuO、もしくはCu2O、又はこれらの2つもしくは3つの混合物である銅成分と、(ii)ZnOと、を含有し、前記触媒は、少なくとも10m2/g触媒の比銅表面積(SCu)を有するメタノールを製造する方法。
[項2]
xは2.8〜3.2である項1に記載の方法。
[項3]
xは3.0である項1に記載の方法。
[項4]
前記接触は、H2及びCO2を少なくとも500h−1の空間速度で前記固体触媒上に通過させることを含む項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
[項5]
前記温度は、230℃〜290℃である項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
[項6]
前記温度は、260℃〜280℃である項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[項7]
前記触媒は、(iii)Al2O3をさらに含有する項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[項8]
前記触媒は、(iii)Al2O3及び(iv)MgOをさらに含有する項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
[項9]
前記触媒は、少なくとも55重量%の前記銅成分、少なくとも15重量%のZnO、5重量%〜30重量%のAl2O3、及び0.5重量%〜5重量%のMgOを含有する項7又は8に記載の方法。
[項10]
前記触媒は、63.5重量%の前記銅成分、24.7重量%のZnO、10.1重量%のAl2O3、及び1.7重量%のMgOを含有する項9に記載の方法。
[項11]
前記触媒は、少なくとも15m2/g触媒の比銅表面積を有する項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
[項12]
前記空間速度は、少なくとも5,000h−1である項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項13]
前記空間速度は、少なくとも10,000h−1である項12に記載の方法。
[項14]
前記空間速度は、少なくとも30,000h−1である項13に記載の方法。
[項15]
前記空間速度は、少なくとも50,000h−1である項14に記載の方法。
[項16]
前記空間速度は、少なくとも60,000h−1である項15に記載の方法。
[項17]
前記空間速度は、少なくとも90,000h−1である項16に記載の方法。
[項18]
前記反応物圧力は、320bar〜500barである項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
[項19]
前記反応物圧力は、410bar〜500barである項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
[項20]
前記反応物圧力は、430bar〜480barである項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
[項21]
メタノール形成についての前記方法の選択率は、少なくとも80%であり、
前記空間速度は、500h−1〜110,000h−1であり、
前記反応物圧力は、好ましくは320bar〜500barである項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項22]
メタノール形成についての前記方法の選択率は、少なくとも90%であり、
前記空間速度は、500h−1〜70,000h−1であり、
前記反応物圧力は、320bar〜450barである項21に記載の方法。
[項23]
前記空間速度は、500h−1〜50,000h−1、又は500h−1〜20,000h−1、又は1,000h−1〜20,000h−1である項21又は22に記載の方法。
[項24]
1パス当たりのCO2の転化率は、少なくとも40%であり、
前記空間速度は、500h−1〜110,000h−1であり、
前記反応物圧力は、320bar〜500barである項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項25]
1パス当たりのCO2の転化率は、好ましくは少なくとも75%であり、
前記空間速度は、500h−1〜60,000h−1であり、
前記反応物圧力は、420bar〜500barである項24に記載の方法。
[項26]
前記反応物圧力は、420bar〜450barである項25に記載の方法。
[項27]
前記空間速度は、500h−1〜60,000h−1、又は500h−1〜50,000h−1、又は500h−1〜40,000h−1、又は1,000h−1〜20,000h−1である項25又は26に記載の方法。
[項28]
前記反応物圧力は、320bar〜500bar、好ましくは320bar〜450barであり、前記空間速度は、500h−1〜110,000h−1、好ましくは500h−1〜40,000h−1、より好ましくは500h−1〜30,000h−1であり、メタノール形成についての前記方法の選択率は、少なくとも80%であり、1パス当たりのCO2の転化率は、少なくとも40%である項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項29]
前記反応物圧力は、320bar〜500bar、好ましくは320bar〜450barであり、前記空間速度は、500h−1〜110,000h−1、好ましくは500h−1〜15,000h−1、より好ましくは1,000h−1〜15,000h−1であり、メタノール形成についての前記方法の選択率は、少なくとも90%であり、1パス当たりのCO2の転化率は、少なくとも60%である項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項30]
前記反応物圧力は、420bar〜500bar、好ましくは420bar〜450barであり、前記空間速度は、500h−1〜40,000h−1、好ましくは500h−1〜30,000h−1、より好ましくは500h−1〜15,000h−1であり、メタノール形成についての前記方法の選択率は、少なくとも90%であり、1パス当たりのCO2の転化率は、少なくとも80%である項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項31]
前記反応物圧力は、320bar〜500bar、好ましくは320bar〜450barであり、前記空間速度は、少なくとも5,000h−1であり、前記方法は、少なくとも1.0gMeOHgcat−1h−1の収率で、好ましくは少なくとも1.5gMeOHgcat−1h−1の収率で、より好ましくは少なくとも2.0gMeOHgcat−1h−1の収率で前記メタノールを製造することを備える項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項32]
前記反応物圧力は、320bar〜500bar、好ましくは320bar〜450barであり、前記空間速度は、少なくとも10,000h−1、好ましくは少なくとも20,000h−1であり、前記方法は、少なくとも2.0gMeOHgcat−1h−1の収率で、好ましくは少なくとも3.0gMeOHgcat−1h−1の収率で、より好ましくは少なくとも6.0gMeOHgcat−1h−1の収率で前記メタノールを製造することを備える項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項33]
前記反応物圧力は、320bar〜500bar、好ましくは320bar〜450barであり、前記空間速度は、少なくとも20,000h−1、好ましくは少なくとも50,000h−1、より好ましくは少なくとも60,000h−1であり、前記方法は、少なくとも4.0gMeOHgcat−1h−1の収率で、好ましくは少なくとも10.0gMeOHgcat−1h−1の収率で前記メタノールを製造することを備える項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項34]
前記反応物圧力は、320bar〜500bar、好ましくは320bar〜450barであり、前記空間速度は、少なくとも30,000h−1、好ましくは少なくとも90,000h−1、より好ましくは少なくとも100,000h−1であり、前記方法は、少なくとも5.0gMeOHgcat−1h−1の収率で、好ましくは少なくとも15.0gMeOHgcat−1h−1の収率で前記メタノールを製造することを備える項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項35]
前記反応物圧力は、320bar〜500barであり、前記空間速度は、5,000h−1〜110,000h−1、好ましくは5,000h−1〜30,000h−1である項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項36]
メタノール形成についての前記方法の選択率は、少なくとも80%であり、1パス当たりのCO2の転化率は、少なくとも40%であり、前記方法は、少なくとも1.0gMeOHgcat−1h−1の収率で前記メタノールを製造することを備える項35に記載の方法。
[項37]
前記反応物圧力は、320bar〜500barであり、前記空間速度は、5,000h−1〜110,000h−1、好ましくは5,000h−1〜40,000h−1、より好ましくは20,000h−1〜40,000h−1である項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項38]
メタノール形成についての前記方法の選択率は、少なくとも85%であり、1パス当たりのCO2の転化率は、少なくとも45%であり、前記方法は、少なくとも1.5gMeOHgcat−1h−1の収率で、好ましくは少なくとも3.0gMeOHgcat−1h−1の収率で前記メタノールを製造することを備える項37に記載の方法。
[項39]
前記反応物圧力は、320bar〜500barであり、前記空間速度は、5,000h−1〜110,000h−1、好ましくは5,000h−1〜40,000h−1、より好ましくは20,000h−1〜40,000h−1である項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項40]
メタノール形成についての前記方法の選択率は、少なくとも95%であり、1パス当たりのCO2の転化率は、少なくとも75%であり、前記方法は、少なくとも2.0gMeOHgcat−1h−1の収率で、好ましくは少なくとも6.0gMeOHgcat−1h−1の収率で前記メタノールを製造することを備える項39に記載の方法。
[項41]
前記反応物圧力は、150bar〜250barであり、前記空間速度は、少なくとも50,000h−1である項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項42]
前記方法は、少なくとも3.0gMeOHgcat−1h−1の収率で前記メタノールを製造することを備える項41に記載の方法。
[項43]
前記触媒における前記H2及び前記CO2に接触可能な部位は、前記触媒の活性部位の少なくとも90%を構成する項1〜42のいずれか一項に記載の方法。
[項44]
前記触媒は、15重量%〜30重量%のZnOを含有する項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
[項45]
前記触媒は、20重量%〜26重量%のZnO及び少なくとも63重量%のCuOを含有する項1〜44のいずれか一項に記載の方法。
[項46]
前記触媒は、さらに8重量%〜12重量%のAl2O3及び1重量%〜2重量%のMgOを含有する項45に記載の方法。
[項47]
前記触媒は、20重量%〜26重量%のZnO及び少なくとも74重量%のCuOを含有する項1〜6及び11〜43のいずれか一項に記載の方法。
[項48]
前記触媒は、25.1重量%のZnO及び74.9重量%のCuOを含有し、前記温度は、260℃〜280℃である項1〜4及び11〜43のいずれか一項に記載の方法。