特許第6918058号(P6918058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918058
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】腹腔鏡電気外科用装置の切断電極強化
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20210729BHJP
   A61B 17/3211 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   A61B18/14
   A61B17/3211
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-151904(P2019-151904)
(22)【出願日】2019年8月22日
(65)【公開番号】特開2020-28715(P2020-28715A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2019年8月22日
(31)【優先権主張番号】62/722,679
(32)【優先日】2018年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/536,578
(32)【優先日】2019年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ケンリン エス. ボン
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−054665(JP,A)
【文献】 特表2001−518344(JP,A)
【文献】 特開2009−119218(JP,A)
【文献】 特開2012−081055(JP,A)
【文献】 特開平06−292685(JP,A)
【文献】 特開2011−050743(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0171352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 17/3211
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を凝固および切断するための電気外科用電極であって、前記電気外科用電極は、
導電性材料から作製された本体であって、前記本体は、遠位端部分を含み、前記遠位端部分は、組織を引っ張るように構成された内側表面を有するL形状フックと、組織を凝固させるための第1の電気外科的波形を受信するように構成された湾曲した外側表面とを有する、本体と、
前記遠位端部分の前記内側表面から延在するブレードであって、前記ブレードは、前記第1の電気外科的波形とは異なる第2の電気外科的波形を受信するように構成されており、前記ブレードは、縁部を有し、前記縁部は、前記内側表面によって引っ張られている組織を切断するために前記第2の電気外科的波形からRFエネルギーを集中させるように構成されている、ブレードと
を備える、電気外科用電極。
【請求項2】
前記ブレードは、前記遠位端部分の前記内側表面から内方に延在する、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項3】
前記ブレードは、前記縁部に向かって収束する一対の対向する側面を有する、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項4】
前記一対の対向する側面は、非導電性材料でコーティングされている、請求項3に記載の電気外科用電極。
【請求項5】
前記縁部は、前記非導電性材料を欠いている、請求項4に記載の電気外科用電極。
【請求項6】
前記遠位端部分の前記内側表面および前記外側表面は、前記非導電性材料でコーティングされている、請求項5に記載の電気外科用電極。
【請求項7】
前記一対の対向する側面の前記非導電性材料のコーティングは、前記遠位端部分の前記外側表面の前記非導電性材料のコーティングよりも厚い、請求項6に記載の電気外科用電極。
【請求項8】
前記ブレードおよび前記本体は、共押出されている、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項9】
前記本体は、平坦であり、かつ、湾曲した遠位周縁部を有し、前記遠位端部分の前記内側表面は、凹状であり、前記遠位端部分の前記外側表面は、凸状である、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項10】
前記本体は、
長脚部と、
前記長脚部から垂直に延在する短脚部であって、前記ブレードは、前記長脚部または前記短脚部のうちの少なくとも一方から内方に延在する、短脚部と
を含む、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項11】
組織を凝固および切断するための電気外科用電極であって、前記電気外科用電極は、
導電性材料から作製された本体であって、前記本体は、線形区分と、前記線形区分から延在する弧状区分とを含み、前記本体は、組織を引っ張るように構成された凹状内側表面と、組織を凝固させるための第1の電気外科的波形を受信するように構成された外側表面とを有する、本体と、
前記本体の前記凹状内側表面から延在する導電性ブレードであって、前記導電性ブレードは、前記第1の電気外科的波形とは異なる第2の電気外科的波形を受信するように構成されており、前記導電性ブレードは、鋭い縁部を有し、前記鋭い縁部は、前記凹状内側表面によって引っ張られている組織を切断するために前記第2の電気外科的波形からRFエネルギーを集中させるように構成されている、導電性ブレードと
を備える、電気外科用電極。
【請求項12】
前記導電性ブレードは、前記本体の前記凹状内側表面から突出している、請求項11に記載の電気外科用電極。
【請求項13】
前記導電性ブレードは、前記縁部に向かって収束する一対の対向する側面を有する、請求項11に記載の電気外科用電極。
【請求項14】
前記一対の対向する側面は、非導電性材料でコーティングされている、請求項13に記載の電気外科用電極。
【請求項15】
前記縁部は、前記非導電性材料を欠いている、請求項14に記載の電気外科用電極。
【請求項16】
前記本体の前記凹状内側表面および前記外側表面は、前記非導電性材料でコーティングされている、請求項15に記載の電気外科用電極。
【請求項17】
前記一対の対向する側面の前記非導電性材料のコーティングは、前記本体の前記外側表面の前記非導電性材料のコーティングよりも厚い、請求項16に記載の電気外科用電極。
【請求項18】
前記本体は、平坦であり、かつ、湾曲した遠位周縁部を有し前記本体の前記外側表面は、凸状である、請求項11に記載の電気外科用電極。
【請求項19】
前記本体は、前記線形区分から垂直に延在する短脚部を含み、前記弧状区分は、前記線形区分と前記短脚部とを相互接続している、請求項11に記載の電気外科用電極。
【請求項20】
前記導電性ブレードは、前記線形区分、前記弧状区分、または、前記短脚部のうちの少なくとも1つから内方に延在する、請求項19に記載の電気外科用電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年8月24日に出願された米国特許仮出願第62/722,679号の出願日の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、腹腔鏡電気外科用器具に関し、より具体的には、組織を処置及び/又は切開するための電気外科用電極に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の腹腔鏡電気外科用(例えば、RF)電極は、電気外科的「切断」波形を使用して組織を離断する装置の能力を犠牲にして、最適な凝固性能及び機械的組織切開を提供するように構成されている。多くの外科医がはるかに多くの凝固能力を必要とするために、これは意図的なものであるが、処置中に、外科医が組織平面を離断するために組織を引っ張ることが観察され得る。組織が活性電極を分割すると視野外に動くため、外科医は次に、電極端をカメラの視野に戻す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、装置の凝固能力に悪影響を及ぼすことなく、「切断」又は修正された「切断」波形を使用して、はるかに低減された電力で装置の組織離断能力を改善するために、RF集中を使用できる場所に表面を含む腹腔鏡電極の特徴部を提供する。これにより、外科医は、切開中の誤動作がより少ない使用が可能になり、様々な組織インピーダンスにより組織平面をきれいに離断し、熱拡散及び組織炭化を最小限に抑えるが通常の凝固使用を変化させない。凝固に通常使用されない電極の代わりにRF集中を使用すると、腹腔鏡電極は、切断及び凝固の両方を効果的に行う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、組織を凝固及び切断するための電気外科用電極が提供される。電気外科用電極は、導電性材料から作製された本体と、ブレードと、を含む。本体は、内側表面を有する遠位端部分と、組織を凝固させるように構成された湾曲した外側表面と、を含む。ブレードは、遠位端部分の内側表面から延在し、かつ組織を切断するためにRFを集中させるように構成された縁部を有する。
【0006】
態様では、ブレードは、遠位端部分の内側表面から内方に延在していてもよい。
【0007】
態様では、ブレードは、縁部に向かって収束する一対の対向する側面を有してもよい。
【0008】
態様では、一対の対向する側面は、非導電性材料でコーティングされていてもよい。
【0009】
態様では、縁部は非導電性材料を欠いてもよい。
【0010】
態様では、遠位端部分の内側及び外側表面は、非導電性材料でコーティングされていてもよい。
【0011】
態様では、一対の対向する側面の非導電性材料のコーティングが、遠位端部分の内側又は外側表面のうちの少なくとも一方の非導電性材料のコーティングよりも厚くてもよい。
【0012】
態様では、ブレード及び本体は、共押出されてもよい。
【0013】
態様では、本体は平坦であり、かつ湾曲した遠位周縁部を有してもよい。遠位端部分の内側表面は、凹状であってもよく、遠位端部分の外側表面は、凸状であってもよい。
【0014】
態様では、本体は、長脚部と、長脚部から垂直に延在する短脚部と、を含んでもよい。ブレードは、長脚部又は短脚部のうちの少なくとも一方から内方に延在していてもよい。
【0015】
本開示の別の態様によれば、組織を凝固及び切断するための電気外科用電極が提供され、かつ導電性材料及び導電性ブレードから作製された本体を含む。本体は、線形区分及び線形区分から延在する弧状区分と、内側表面と、組織を凝固させるように構成された外側表面と、を含む。導電性ブレードは、本体の内側表面から延在している。導電性ブレードは、組織を切断するためにRFを集中させるように構成された鋭利な縁部を有する。
【0016】
態様では、導電性ブレードは、本体の内側表面から突出していてもよい。
【0017】
態様では、導電性ブレードは、縁部に向かって収束する一対の対向する側面を有してもよい。
【0018】
態様では、一対の対向する側面は、非導電性材料でコーティングされていてもよい。
【0019】
態様では、縁部は非導電性材料を欠いてもよい。
【0020】
態様では、本体の内側及び外側表面は、非導電性材料でコーティングされていてもよい。
【0021】
態様では、一対の対向する側面の非導電性材料のコーティングが、本体の内側又は外側表面のうちの少なくとも一方の非導電性材料のコーティングよりも厚くてもよい。
【0022】
態様では、本体は平坦であり、かつ湾曲した遠位周縁部を有してもよい。本体の内側表面は、凹状であってもよく、本体の外側表面は、凸状であってもよい。
【0023】
態様では、本体は、線形区分から垂直に延在する短脚部を含んでもよい。弧状区分は、線形区分と短脚部とを相互接続していてもよい。
【0024】
態様では、導電性ブレードは、線形区分、弧状区分、又は短脚部のうちの少なくとも1つから内方に延在していてもよい。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
組織を凝固及び切断するための電気外科用電極であって、上記電気外科用電極が、
導電性材料から作製された本体であって、上記本体が、遠位端部分を含み、上記遠位端部分が、内側表面、及び組織を凝固させるように構成された湾曲した外側表面、を有する、本体と、
上記遠位端部分の上記内側表面から延在するブレードであって、組織を切断するためにRFを集中させるように構成された縁部を有する、ブレードと、を備える、電気外科用電極。
(項目2)
上記ブレードが、上記遠位端部分の上記内側表面から内方に延在している、上記項目に記載の電気外科用電極。
(項目3)
上記ブレードが、上記縁部に向かって収束する一対の対向する側面を有する、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目4)
上記一対の対向する側面が、非導電性材料でコーティングされている、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目5)
上記縁部が、上記非導電性材料を欠いている、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目6)
上記遠位端部分の上記内側及び外側表面が、上記非導電性材料でコーティングされている、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目7)
上記一対の対向する側面の上記非導電性材料の上記コーティングが、上記遠位端部分の上記内側表面又は外側表面のうちの少なくとも一方の上記非導電性材料の上記コーティングよりも厚い、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目8)
上記ブレード及び上記本体が共押出されている、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目9)
上記本体が、平坦であり、かつ湾曲した遠位周縁部を有し、上記遠位端部分の上記内側表面が凹状であり、上記遠位端部分の上記外側表面が凸状である、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目10)
上記本体が、
長脚部と、
上記長脚部から垂直に延在する短脚部であって、上記ブレードが、上記長脚部又は上記短脚部のうちの少なくとも一方から内方に延在している、短脚部と、を備える、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目11)
組織を凝固及び切断するための電気外科用電極であって、上記電気外科用電極が、
導電性材料から作製され、かつ線形区分、及び上記線形区分から延在する弧状区分、を含む本体であって、内側表面、及び組織を凝固させるように構成された外側表面、を有する、本体と、
上記本体の上記内側表面から延在する導電性ブレードであって、組織を切断するためにRFを集中させるように構成された鋭い縁部を有する、導電性ブレードと、を備える、電気外科用電極。
(項目12)
上記導電性ブレードが、上記本体の上記内側表面から突出している、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目13)
上記導電性ブレードが、上記縁部に向かって収束する一対の対向する側面を有する、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目14)
上記一対の対向する側面が、非導電性材料でコーティングされている、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目15)
上記縁部が、上記非導電性材料を欠いている、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目16)
上記本体の上記内側及び外側表面が、上記非導電性材料でコーティングされている、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目17)
上記一対の対向する側面の上記非導電性材料の上記コーティングが、上記本体の上記内側表面又は外側表面のうちの少なくとも一方の上記非導電性材料の上記コーティングよりも厚い、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目18)
上記本体が、平坦であり、かつ湾曲した遠位周縁部を有し、上記本体の上記内側表面が凹状であり、上記本体の上記外側表面が凸状である、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目19)
上記本体が、上記線形区分から垂直に延在する短脚部を含み、上記弧状区分が、上記線形区分と上記短脚部とを相互接続している、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(項目20)
上記導電性ブレードが、上記線形区分、上記弧状区分、又は上記短脚部のうちの少なくとも1つから内方に延在している、上記項目のいずれかに記載の電気外科用電極。
(摘要)
組織を凝固及び切断するための電気外科用電極は、導電性材料から作製された本体と、本体の内側表面から内方に延在する導電性ブレードと、を含む。ブレードは、組織を切断するためにRFを集中させるように構成された縁部を有する。
【0025】
本開示の様々な態様及び特徴を図面を参照して以下に記載するが、いくつかの図のそれぞれにおいて同様の数字は同じ又は対応する要素を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の一実施形態による電気外科用電極を示す部分斜視図である。
【0027】
図2図1の電気外科用電極の遠位端部分の拡大図である。
【0028】
図3】本開示の別の実施形態による電気外科用電極を示す部分斜視図である。
【0029】
図4】本開示の別の実施形態による電気外科用電極を示す部分斜視図である。
【0030】
図5】本開示の別の実施形態による電気外科用電極を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の一実施形態では、RF集中特徴部は、電極に電気的に接続されるが、凝固に使用されない表面上に位置している。RF集中特徴部は、金属であり、かつ金属押出技術(例えば、電極と共押出)又は金属射出成形若しくは金属3D印刷などが挙げられるがこれらに限定されない任意の他の好適な金属形成技術によって形成されてもよい。電極全体は、RF性能を維持するために、非粘着コーティングで特定の厚さにコーティングされていてもよい。しかしながら、RF集中特徴部の側部に沿って、非粘着性コーティング及び/又はより多くの絶縁性コーティングを適用して、非導電性表面を提供することができる。この表面の特徴部により、表面処理、凸状の特徴部、又はコーティングの表面張力を高める他の設計などの、非導電性コーティングの付着性又は凝集性を高めることもできる。非常に小さい半径が露出されたままになる。これにより、RFエネルギーは、薄い絶縁性縁部(例えば、約0.40mm以下の半径)上に集中することになる。
【0032】
RF集中は、非常に低い電力レベルでの優れた切断能力を有する最小限の熱損傷を生成する。薄い縁部上にRFを集中させることの限界は、電極が十分な止血/凝固電力をもはや提供しないことである。これらの縁部は、凝固が必要とされる汎用RF用途には有用ではない表面上に位置している。切開処置の間、外科医が組織を引っ張って組織を分離させるのをしばしば見ることができる。本開示は、電極の凝固能力を阻害することなく腹腔鏡電極の切断能力を向上させるために縁部が配置される、RF集中特徴部を追加することを提供する。
【0033】
例えば、本開示の実施形態では、RF集中特徴部は、装置上のほとんどの引っ掛け動作が発生するフックの内縁に含まれる。この追加的な特徴部により、外科医は組織を引っ掛けることができるようになるが、組織分離を達成するために引っ張る代わりに、RF「切断」又は修正された「切断」モード起動の低電力パルスは、特徴部の露出した縁部で組織を容易に切断するであろう。そうすることにより、電極は、引っ張るとしばしばフックが視界から外れるために、今度は腹腔鏡カメラの視界の限定された部位の範囲内に留まる。これはまた、凝固波形を使用して組織を離断しようとする試みも低減し、これは組織への不必要な炭化を引き起こす可能性があり、「切断」モードのようなきれいな組織離断を提供しない。加えて、RF集中特徴部は、特徴部の露出した縁部が離断のためにRFエネルギーを集束することから、「切断」モードに使用される電力レベルを低下させることを可能にする。
【0034】
RF集中特徴部は、電極の通常の凝固表面に影響を与えることなく、様々な場所に追加することができる。例えば、以下で更に詳細に説明するように、腹腔鏡ワイヤL形状フック電極10(図1図4)又は腹腔鏡スパチュラ電極100(図5)を用いて、電極上の任意の好適な場所(例えば、下縁、上縁、後縁、前縁、内部湾曲部、外部湾曲部など)に特徴部を追加することができる。
【0035】
本開示は、鈍的切開及び止血に使用される他の重要な表面を変更することなく、改善された組織離断性能を有する電気外科用電極を提供する。通常、使用者は、鈍的切開のために、Lフックの先端部の表面、又はスパチュラの縁部を引っ張る。使用者が止血を望む場合、電極のより広い平坦な表面がRF活性化され、かつ出血表面と接触して配置される。
【0036】
1つの切開方法では、RFエネルギーを使用して、組織をフック内に、又はスパチュラの広い湾曲面にわたって引っ張って組織を離断する。これを行うと、組織は常にきれいに分割されるとは限らず、及び/又は組織内の予測不可能な分割により、電極が隣接する組織に接触して、組織表面に意図しない火傷が引き起こされる可能性がある。外科医は、電極が外科医の部位から外れている可能性があることから、上記の事件に気付かない可能性がある。
【0037】
現在、Lフック電極の内部の、又はスパチュラ電極の受動表面に沿った小さいRF活性縁部に加えて、切開又は止血のいずれかでより一般的に使用される特定の表面に、追加の機能を追加できるようになった。現在、止血に使用される広い平坦な表面は、より少ない痂皮蓄積を有すること、及び特定の凝固波形を使用する場合にのみ電気的に活性になっていることを可能にする(コーティング上の表面エッチングパターン又は穿孔が、これを更に可能にする)、より厚い非粘着コーティングを有することができる。現在、これらの表面は、電極の任意の表面が使用されているときに常にRF高温である。これらの表面は、多くの場合、外科医の部位の直接線にはないことから、誤って組織に当たった場合、組織に不注意な火傷を引き起こす可能性がある。本開示の実施形態は、より広い表面の活性化を意図的な動作にするであろう。これはまた、両方のブレードの全ての表面が活性化中にRF高温である、単極ハサミにも適用することができる。ハサミの凸面及び底縁が特別な凝固モードでのみRF不活性又はRF活性であるように、コーティングが特別に設計されている場合、ハサミに隣接する組織へのエネルギーの不注意な適用は、煩雑な解決法(シリコンブーツのような)なしで緩和され得る。
【0038】
本開示はまた、より迅速な鈍的切開のためのより高いRF電流集中を可能にするように設計されるか、又は電極のコーティング部分をRFが通過することを可能にしない様式でコーティングされるように設計されるかのいずれかで、鈍的切開にのみ使用される表面を提供する。鈍的切開にのみ使用される表面の性能を更に向上させるために、コーティング及び形状を追加して、切開又は止血を向上させることができる。また、RF活性化は、電極の特定の表面設計によって制御することができる。
【0039】
図1及び図2を参照すると、組織を凝固及び切断するための電気外科用電極10の例示的な一実施形態が示されている。電極10は、本体12と、本体12に取り付けられた導電性ブレード14と、を含む。本体12は、その近位端で手持ち式電気外科器具のハンドルアセンブリ(明示的に示されていない)に連結されるように構成された近位端部分12aを有し、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2010年6月23に出願された米国特許出願公開第2011/0219887号などに記載されている。本体12は、導電性材料(例えば、鋼、アルミニウム、銅など)から作製され、かつ組織を凝固及び切断するための遠位端部分12bを含む。本体12は、例えば、選択された量のRFエネルギーを本体12に送達するためのRFエネルギー源(図示せず)などのエネルギー源と電気的に連通している。
【0040】
本体12の遠位端部分12bは、例えば、線形区分16、短脚部18、長脚部16と短脚部18とを相互接続する湾曲した区分20などの長脚部を有する。遠位端部分12bは、L形状構成をとることが企図される。しかしながら、遠位端部分12bの他の形状及び構成が企図される。本体12の遠位端部分12bは、内側表面22と、本体12の反対側に配置された外側表面24とを有する。外側表面24は、接触時に組織を凝固させるように構成されている。
【0041】
導電性ブレード14は、遠位端部分12bの内側表面22から内方に(例えば、外側表面24から離れる方向に)延在しており、又は突出している。導電性ブレード14は、長脚部16によって画定される長手方向軸に沿って長手方向に延在している。図1及び図2に示されるように、導電性ブレード14は、湾曲した区分20の上の長脚部16の遠位セクションに沿って延在しており、かつ短脚部18の前で終端する。態様では、導電性ブレード14は、本体12の内側表面22の任意の部分に沿って延在していてもよい。例えば、図3を簡単に参照すると、導電性ブレード14は、長い区分16の全長に沿って延在してもよい。別の例として、図4を簡単に参照すると、導電性ブレード14は、短脚部18の長さに沿ってのみ延在してもよい。
【0042】
引き続き図1及び図2を参照すると、ブレード14は、組織を切断するためにRFを集中させるように構成された縁部14c内で収束する一対の対向する側面14a、14bを有する。態様では、ブレード14は、三角形の横断面構成をとることができる。側面14a、14bは、例えば、ポリテトラフルオロエテンなどの非粘着性及び非導電性材料28でコーティングされている。縁部14cは、組織の切断を容易にするために鋭利にされていてもよい。態様では、縁部14cは丸みを帯びており、又は別様に鋭利にされていてもよい。態様では、縁部14cは、縁部14cがRFエネルギーを集中させるための露出した導電性及び鋭利な表面として機能するように、コーティングを欠いてもよい。態様では、側面14a、14bは、本体12の外側表面24よりも非粘着性及び非導電性である材料のより厚いコーティングを有し、又は外側表面24よりも絶縁性であるコーティングを有していてもよい。
【0043】
図5を参照すると、電気外科用電極10と同様に、電気外科用電極100の別の実施形態が示されている。電気外科用電極100は、本体112と、本体112に取り付けられたブレード116と、を含む。本体112は、細長い楕円形構成を有する平坦なものである。本体112は、湾曲した遠位周縁部118を画定する湾曲した遠位端部分115を有する。本体112の湾曲した遠位端部分115は、凹状内側表面122と、凸状外側表面124と、を有する。ブレード116は、凹状内側表面122から内方に突出している。
【0044】
本明細書に開示される様々な実施形態はまた、ロボット外科用システム、及び一般に「遠隔手術」と呼ばれるもので動作するように構成されてもよい。具体的には、これらの特徴部は、手術部位で組織と腹腔鏡的に相互作用するように設計された「エンドエフェクタ」に含まれ得る。そのようなロボットシステムは、外科医を支援し、かつ外科用器具の遠隔操作(又は部分的な遠隔操作)を可能にするために、様々なロボット要素を用いる。様々なロボットアーム、ギア、カム、プーリ、電気及び機械的モータなどをこの目的に使用することができ、手術又は処置の過程で外科医を支援するためにロボット外科用システムと共に設計されてもよい。そのようなロボットシステムは、遠隔操縦可能システム、自動可撓性外科用システム、遠隔可撓性外科用システム、遠隔関節式外科用システム、無線外科用システム、モジュール式又は選択的に構成可能な遠隔操作式外科用システムなどを含んでもよい。
【0045】
ロボット外科用システムは、手術室の隣にあり、又は遠隔場所に位置している1つ以上のコンソールと共に使用されてもよい。この例では、外科医又は看護師の1つのチームは、患者に手術の準備をさせ、かつロボット外科用システムを本明細書に開示される器具のうちの1つ以上と共に構成してもよく、一方、別の外科医(又は外科医のグループ)は、ロボット外科用システムを介して器具を遠隔制御する。理解され得るように、高度に熟練した外科医は、患者又は一連の患者にとって経済的に有利でもあり、かつ有益でもあり得るリモートコンソールを自身が離れることなく、複数の場所で複数の手術を行うことができる。
【0046】
外科用システムのロボットアームは、通常、コントローラによって一対のマスターハンドルに連結される。ハンドルは外科医によって動かされて、本明細書に記載される実施形態のうちの1つ以上の使用を補完し得る任意のタイプの外科用器具(例えば、エンドエフェクタ、把持具、ナイフ、ハサミなど)の作業端部の対応する動きを生成することができる。マスターハンドルの動きは、作業端部が、外科医の操作手によって行われる動きとは異なる、それより小さい、又はそれより大きい、対応する動きを有するように、拡大縮小されてもよい。操作者が手術器具(複数可)の作業端の解像度を制御できるように、倍率又はギア比は調整可能であってもよい。
【0047】
マスターハンドルは、様々な組織パラメーター又は条件、例えば操作、切断、又はその他の処置に起因する組織抵抗、器具による組織への圧力、組織温度、組織インピーダンスなどに関するフィードバックを外科医に提供するための様々なセンサを含んでもよい。理解され得るように、そのようなセンサは、実際の操作状態をシミュレートする強化された触覚フィードバックを外科医に提供する。マスターハンドルはまた、デリケートな組織の操作や治療のために様々なアクチュエータを含んでもよく、実際の操作状態をシミュレートする外科医の能力を更に向上させる。上述したように、RF集中特徴部は、「切断」モードに使用される電力レベルを低下させることを可能にする。電力レベルを低下させることによって、RF集中特徴部は、ロボットシステムによって提供される精度の向上に有益であり得る。
【0048】
上述から、及び様々な図面を参照しながら、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、ある修正を本開示にやはり行うことができることを理解していよう。本開示のいくつかの実施形態を図面で示してきたが、それによって本開示が限定されることを意図するものではなく、本開示が当該技術分野で可能な限り広い範囲を対象とすること、及び本明細書も同様に解釈されることが意図されている。したがって、上述の説明は、単に特定の実施形態の例示として解釈すべきであり、限定するものとして解釈すべきではない。本明細書に添付の請求項の範囲及び趣旨を逸脱しない他の修正は、当業者ならば想到するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5