特許 6918077 極小曲面ゴルフボール部品

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6918077

(24)【登録日】2021年7月26日

(45)【発行日】2021年8月11日

(54)【発明の名称】極小曲面ゴルフボール部品

(51)【国際特許分類】

   A63B 37/00 20060101AFI20210729BHJP

【ＦＩ】

   A63B37/00 410

   A63B37/00 618

   A63B37/00 514

   A63B37/00 512

   A63B37/00 522

【請求項の数】27

【外国語出願】

【全頁数】18

(21)【出願番号】特願2019-205209(P2019-205209)

(22)【出願日】2019年11月13日

(65)【公開番号】特開2020-99679(P2020-99679A)

(43)【公開日】2020年7月2日

【審査請求日】2020年7月30日

(31)【優先権主張番号】16/226,755

(32)【優先日】2018年12月20日

(33)【優先権主張国】US

(73)【特許権者】

【識別番号】390023593

【氏名又は名称】アクシュネット カンパニー

【氏名又は名称原語表記】ＡＣＵＳＨＮＥＴ ＣＯＭＰＡＮＹ

(74)【代理人】

【識別番号】100086531

【弁理士】

【氏名又は名称】澤田 俊夫

(74)【代理人】

【識別番号】100093241

【弁理士】

【氏名又は名称】宮田 正昭

(74)【代理人】

【識別番号】100101801

【弁理士】

【氏名又は名称】山田 英治

(72)【発明者】

【氏名】マイケル アール． マッドソン

【審査官】 槙 俊秋

(56)【参考文献】

【文献】 特表２０１１−５０２５７８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 米国特許出願公開第２００８／０１４９２９９（ＵＳ，Ａ１）

【文献】 特開平１０−２１６２７０（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特表２０１５−５２１０８１（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０００−２８８１２２（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０００−０１４８２９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００５−２８８１２６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 実開昭５２−００１２４９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】 米国特許第０９７８２６３２（ＵＳ，Ｂ１）

【文献】 特表平１０−５１２１７５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 米国特許出願公開第２０１７／０２９１０７７（ＵＳ，Ａ１）

【文献】 米国特許出願公開第２００５／００５４４６３（ＵＳ，Ａ１）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ａ６３Ｂ ３７／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

コア、中間層、およびディンプル付きの外側カバー層を有するゴルフボールにおいて、
上記中間層は、外側境界および内側境界を具備するエンベロープ形状により形成され、
上記中間層は三重周期性の極小曲面および間質空間から成り、上記極小曲面および上記間質空間は上記中間層の上記エンベロープ形状によって境界付けられ、
上記極小曲面は、それ自体と交差せず、平均曲率がゼロの上記単一の連続表面であることを特徴とするゴルフボール。

【請求項2】

上記間質空間は、組成物で満たされ、当該組成物が上記中間層の上記エンベロープ形状の外側境界を越えて延び、上記中間層が上記組成物から形成される層によって囲まれる請求項１記載のゴルフボール。

【請求項3】

上記間質空間の上記組成物から形成される上記層は、上記ディンプル付きの外側カバー層である請求項２に記載のゴルフボール。

【請求項4】

上記間質空間を満たし上記ディンプル付きの外側カバー層を形成する上記組成物は、ポリウレタン組成物である請求項３記載のゴルフボール。

【請求項5】

上記間質空間を満たし上記ディンプル付きの外側カバー層を形成する上記組成物は、アイオノマー組成物である請求項３記載のゴルフボール。

【請求項6】

上記間質空間の上記組成物から形成される上記層は、付加的な中間層である請求項２記載のゴルフボール。

【請求項7】

上記間質空間は組成物によって充填され、上記間質空間の上記組成物は上記中間層の上記エンベロープ形状の上記外側境界によって境界付けられる請求項１記載のゴルフボール。

【請求項8】

上記組成物が発泡性固体組成物である、請求項７記載のゴルフボール。

【請求項9】

上記組成物が非発泡性固体組成物である、請求項７記載のゴルフボール。

【請求項10】

上記組成物が液体である、請求項９記載のゴルフボール。

【請求項11】

上記コアは、上記中間層の上記エンベロープ形状の上記内側境界を越えて延びる上記間質空間の上記液体組成物から形成される液体コアである請求項１０記載のゴルフボール。

【請求項12】

上記間質空間は空洞である請求項１記載のゴルフボール。

【請求項13】

上記極小曲面は、一定の厚さを有する請求項１記載のゴルフボール。

【請求項14】

上記中間層の上記エンベロープ形状の上記外側境界が、球、立方体、八面体、立方八面体、十二面体、四面体、および二十面体からなるグループから選択される、第１の三次元形状の外側表面によって形成され、上記中間層の上記エンベロープ形状の上記内側境界が、球、立方体、八面体、立方八面体、十二面体、四面体、および二十面体からなるグループから選択される、第２の三次元形状の外側表面によって形成される請求項１記載のゴルフボール。

【請求項15】

上記第１の三次元形状は上記第２の三次元形状と同一の形状である請求項１４記載のゴルフボール。

【請求項16】

上記第１の三次元形状は上記第２の三次元形状と異なる請求項１４記載のゴルフボール。

【請求項17】

上記中間層の上記エンベロープ形状の上記外側境界は、第１の球の外側表面によって形成され、上記中間層の上記エンベロープ形状の上記内側境界は、第２の球の外側表面によって形成される請求項１記載のゴルフボール。

【請求項18】

上記第１の球の直径は１．２７ｃｍ（０．５０インチ）から４．２４ｃｍ（１．６７インチ）であり、上記第２の球の直径は０．６３５ｃｍ（０．２５インチ）から４．１４ｃｍ（１．６３インチ）である請求項１７記載のゴルフボール。

【請求項19】

上記中間層の上記エンベロープ形状の上記外側境界は、第１の立方体の外側表面によって形成され、上記中間層の上記エンベロープ形状の上記内側境界は、第２の立方体の外側表面によって形成される請求項１記載のゴルフボール。

【請求項20】

上記中間層の上記エンベロープ形状の上記外側境界は、球の外側表面によって形成され、上記中間層の上記エンベロープ形状の上記内側境界は、立方体の外側表面によって形成される請求項１記載のゴルフボール。

【請求項21】

上記エンベロープ形状の体積（ＶＥ）に対する上記極小曲面の体積（ＶＭ）の比が１未満である請求項１記載のゴルフボール。

【請求項22】

上記エンベロープ形状の体積（ＶＥ）に対する上記極小曲面の体積（ＶＭ）の比が、０．５０未満である請求項１記載のゴルフボール。

【請求項23】

上記エンベロープ形状の体積（ＶＥ）に対する上記極小曲面の体積（ＶＭ）の比が０．２５未満である請求項１に記載のゴルフボール。

【請求項24】

上記エンベロープ形状の表面積（ＡＥ）に対する上記極小曲面の表面積（ＡＭ）の比が１未満である請求項１記載のゴルフボール。

【請求項25】

上記エンベロープ形状の表面積（ＡＥ）に対する上記極小曲面の表面積（ＡＭ）の比が２より大きい請求項１記載のゴルフボール。

【請求項26】

上記エンベロープ形状の表面積（ＡＥ）に対する上記極小曲面の表面積（ＡＭ）の比が４より大きい請求項１に記載のゴルフボール。

【請求項27】

上記コアは空洞である請求項１記載のゴルフボール。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

この発明は、極小曲面設計に基づくゴルフボール部品、とくに、ゴルフボール中間層およびカバー層に関する。

【背景技術】

【0002】

極小曲面（ｍｉｎｉｍａｌ ｓｕｒｆａｃｅ）は、平均曲率がゼロの表面であり、特定の境界条件に対する極小曲面積の表面としても特徴付けられる。極小曲面の使用は、高層建築、組織工学用の足場設計、物質移動プロセスなどの分野で研究されている。例えば、米国特許出願公開第２０１４／００１４４９３号は、分離および混合の性能を著しく向上させるとされる極小曲面を備えた物質移動パッキングを開示している。極小曲面構造は、ゴルフボールで使用するためにこれまで検討されていない。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】米国特許出願公開第２０１４／００１４４９３号明細書

【発明の概要】

【0004】

この発明は、コア、中間層、およびディンプル付き外側カバー層を有するゴルフボールに関する。中間層は、外側境界および内側境界を具備するエンベロープ形状によって形成され、三重周期性の極小曲面および間質空間から成り、極小曲面および間質空間は中間層のエンベロープ形状によって境界付けられる。極小曲面は、それ自体と交差せず、平均曲率がゼロの単一の連続した表面である。

【図面の簡単な説明】

【0005】

添付図面は明細書の一部を形成し、これと併せて読まれるべきものであり、これら添付図面において、様々な図において同様の部品を示すために同様の参照番号が使用されている。

【0006】

【図1A】この発明の実施例による、エンベロープ形状によって境界付けられる極小曲面の斜視図を図示する。

【図1B】この発明の実施例による、エンベロープ形状によって境界付けられる極小曲面の斜視図を図示する。

【図2A】この発明の別の実施例による、エンベロープ形状によって境界付けられた極小曲面の斜視図を図示する。

【図2B】この発明の別の実施例による、エンベロープ形状によって境界付けられた極小曲面の斜視図を図示する。

【図3A】この発明の別の実施例による、エンベロープ形状によって境界付けられる極小曲面の斜視図を図示する。

【図3B】この発明の別の実施例による、エンベロープ形状によって境界付けられる極小曲面の斜視図を図示する。

【図3C】図３Ａおよび図３Ｂに示されている極小曲面の平面図である。

【図3D】図３Ａおよび図３Ｂに示されている極小曲面の平面図である。

【図3E】図３Ａおよび図３Ｂに示されている極小曲面の平面図である。

【図3F】図３Ａおよび図３Ｂに示されている極小曲面の平面図である。

【図4A】この発明の実施例による、エンベロープ形状によって境界を定められた３重周期極小曲面の斜視図を示す。

【図4B】この発明の実施例による、エンベロープ形状によって境界を定められた３重周期極小曲面の斜視図を示す。

【図5A】この発明の一実施例に従うゴルフボール部分組立体の斜視図である。

【図5B】図５Ａのゴルフボール部分組立体の等角断面図である。

【図5C】図５Ａおよび５Ｂのゴルフボールの部分組立体の断面図である。

【図6】この発明の一実施例に従うゴルフボールの断面図である。

【図7】この発明の他の実施例に従うゴルフボールの断面図である。

【図8】この発明の他の実施例に従うゴルフボールの断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0007】

この発明のゴルフボールは、新規な構造を具備し、この新規な構成において、中間層は極小曲面および間質空間から成り、これらはエンベロープ表面内に閉じ込められている。極小曲面は、その面積を局所的に最小化する表面である。所与の境界の範囲内の面積を最小化することにより、とくに密度のエンベロープ体積比を小さくすることができ、この結果、速度や耐久性を犠牲にすることなくゴルフボール内で重量および材料を分配する新しい方法が可能になる。極小曲面によって実現される別の利点は、極小曲面の単一の連続表面に不連続性または鋭い角がないことに由来し、従来のゴルフボールと比較して改善された耐久性を潜在的に可能にする。ゴルフボール層に極小曲面を使用する別の潜在的な利点は、極小曲面に複数の対称軸があるため、方向に関係なく高い弾性があることである。ゴルフボール層に極小曲面を使用すると、同心性を維持するのに困難を伴うことなく、非常に薄いウレタンカバーを作成できる可能性がある。

【0008】

本開示においては、「極小曲面」は、エンベロープ形状に限定され、以下の特性を有する表面である。
（ａ）表面は単一の連続した表面である。
（ｂ）表面はそれ自体と交差しない。
（ｃ）表面がエンベロープ形状の外側境界および内側境界で終了する場合を除き、表面に不連続性がない。そして、
（ｄ）表面の平均曲率はゼロである。

【0009】

本開示において、極小曲面の「不連続性」とは、応力集中部を形成し得る鋭い角を指す。したがって、この発明の極小曲面は、エンベロープ形状のそれらの境界の１つに位置しない鋭い縁がない。

【0010】

本開示において、「ゼロ平均曲率」は、当該表面上のすべての点で極小曲面の平均曲率がゼロであることを意味する。平均曲率は、２つの主曲率の平均である。主曲率は、表面上の特定のポイントでの法線曲率の最大値および最小値である。言い換えると、表面上の各点に対して、反対側に、等しく反対の曲率を持つ点があり、表面全体の平均曲率はゼロである。

【0011】

ゴルフボールの中間層での使用に適した極小曲面は、三重周期性であり、この発明の開示において、三重周期性、当該曲面が３つの異なる軸に沿って周期的に繰り返す基本単位を具備することを意味する。本開示において、「基本単位」とは、３つの軸に沿ってパターン化されて三重周期性の極小曲面を形成する基本の極小曲面構造を指す。

【0012】

「表面」（ｓｕｒｆａｃｅ）の純粋な数学的定義は、３次元空間には存在しない。したがって、この発明の開示においては、ここで説明される数学的な表面は、製造可能なコンポーネントを製造するために特定の厚さｔが規定される。具体的な実施例において、この発明の極小曲面は、０．００１インチから０．０３０インチの厚さｔを有する。別の具体的な実施例において、極小曲面の厚さは一定である、すなわち、極小曲面の厚さはすべての点でほぼ等しい。本開示の開示において、極小曲面上の任意の点での厚さが極小曲面の平均厚さに対して０．００２インチ以下の差分しか有しない場合、極小曲面の厚さは一定である。別の具体的な実施例において、極小曲面の厚さは一定ではない。

【0013】

本開示において、「エンベロープ」という用語は、ここでは、極小曲面が制限される三次元形状の境界を指すために使用される。

【0014】

例えば、図１Ａは、この発明の一実施例に従う、立方体エンベロープ形状に限定された極小曲面１０を示す。図１Ｂは、図１Ａの極小曲面１０および立方体１５を示し、この立法体１５中に極小曲面１０が限定される。さらに、図１Ｂに間質空間１８も示され、これは極小曲面１０を制約している立方体１５によって境界付けられる。図１Ａおよび図１Ｂに示される極小曲面は単一の基本単位である。

【0015】

図２Ａは、この発明の実施例に従う、球形エンベロープ形状に限定された極小曲面２０を示す。図２Ｂは、図２Ａの極小曲面２０および球体２５を示し、球体２５は極小曲面２０を制約する。図２Ｂには、間質空間２８も示され、間質空間２８は極小曲面２０が閉じ込められている球体２５によって境界付けられる。図２Ａおよび２Ｂに示す極小曲面は、球形のエンベロープ形状に限定される、図１Ａおよび１Ｂの単一の基本単位である。

【0016】

図３Ａは、この発明の実施例に従う、立方体エンベロープ形状に限定された三重周期性極小曲面３０を示す。図３Ｂは、図３Ａの三重周期性極小曲面３０と、当該三重周期性極小曲面３０が閉じ込められる立方体３５とを示す。また、図３Ｂには、極小曲面３０が閉じ込められている立方体３５によって境界付けられた間質空間３８が示される。

【0017】

図３Ｃ〜３Ｅは、それぞれ、図１Ａ〜１Ｃの三重周期性極小曲面３０の正面図、右側面図、および上面図である。図３Ｆは、図３Ａ〜３Ｅに図説された三重周期性極小曲面３０の平面図であり、この図において、表示面は、立方体エンベロープ形状の重心を立方体エンベロープ形状の頂点に結合する軸に垂直である。

【0018】

図３Ａ〜３Ｆに示す実施例において、図１Ａおよび１Ｂの極小曲面１０を基本単位として使用して、３つの異なる軸に沿って基本単位を繰り返し、三重周期性極小曲面３０が作成され、三重周期性極小曲面は立方体エンベロープ形状で終端する。

【0019】

図４Ａおよび図４Ｂは、この発明の一実施例に従う、球形エンベロープ形状に限定された３重周期極小曲面４０の斜視図である。図４Ａ〜図４Ｂに示す実施例において、図１Ａおよび１Ｂの極小曲面１０を基本単位として使用して、これ３つの異なる軸に沿って繰り返して三重周期極小曲面４０が作成され、この三重周期性の極小曲面４０は球形のエンベロープ形状で終端する。

【0020】

多くの極小曲面が知られており、この発明は特定の極小曲面に限定されることを意図していない。三重周期性極小曲面がとりわけ適切である、この三重周期性極小曲面は、これに限定されないが、ＳｃｈｏｅｎのＧｙｒｏｉｄ（Ｇ）曲面（ｓｕｒｆａｃｅ）、ＳｃｈｗａｒｚのＰ曲面、ＳｃｈｗａｒｚのＤ曲面、Ｓｃｈｏｅｎの相補Ｄ曲面、ＳｃｈｏｅｎのＦ−ＲＤ曲面、ＳｃｈｏｅｎのＧＷ曲面、ＳｃｈｏｅｎのＩ−ＷＰ曲面、Ｎｅｏｖｉｕｓの曲面、ＳｃｈｏｅｎのＢａｔｗｉｎｇ曲面、Ｂｒａｋｋｅの擬似Ｂａｔｗｉｎｇ曲面、ＬｏｒｄおよびＭａｃＫａｙのＰ３ａ曲面、Ｆｉｓｈｅｒ−ＫｏｃｈのＳ曲面、およびそれらのハイブリッド、例えば、Ｐ曲面とＩ−ＷＰ曲面とのＯ、Ｃ−ＴＯ曲面ハイブリッドを含む。以上の図に示される極小曲面は、ＳｏｌｉｄＷｏｒｋｓを使用して作成されたＳｃｈｏｅｎのＧｙｒｏｉｄ（Ｇ）曲面の近似に基づいている。

【0021】

この発明において、極小曲面を利用してゴルフボールの中間層を形成する。したがって、本開示において、極小曲面を限度内に抑え込むエンベロープ形状は外側境界および内側境界を有し、エンベロープ形状の外側および内側境界は中間層の外側および内側境界を形成する。極小曲面を取り囲むエンベロープ形状の残りの体積は、中間層の間質空間である。エンベロープ形状の外側および内側境界は、中間層の極小曲面および間質空間が制限される空間に関する基準境界であり、必ずしも最終ゴルフボールのソリッド表面ではないことに留意されたい。例えば、間質空間が中空または液体充填の場合、中間層はソリッドの外側または内側表面を有しない。

【0022】

エンベロープ形状の外側および内側の境界は、３次元形状の外側の表面によって定義される。外側および内側境界を定義する際に使用するのに適した３次元形状の非限定的な例は、立方体、八面体、立方八面体、十二面体、四面体、二十面体などの球と規則的な形状であり、それらは等しい側面と等しい内角を有している。この発明のエンベロープ形状の外側および内側境界は、同じ三次元形状、または上記の三次元形状の任意の２つの組み合わせによって定義することができる。例えば、具体的な実施例において、エンベロープ形状は、球体の外側表面によって定義される外側境界と、球体の外側表面によって定義される内側境界とを有する。他の具体的な実施例において、エンベロープ形状は、立方体の外側表面によって画定される外側境界と、立方体の外側表面によって画定される内側境界とを有する。他の具体的な実施例において、エンベロープ形状は、球体の外表面によって定義される外側境界と、立方体の外表面によって定義される内側境界とを有する。

【0023】

たとえば、図５Ａ〜５Ｃは、コアの周りに配置された中間層からなるゴルフボール部分組立体６０を示している。図５Ｃに示すように、中間層は、極小曲面６２および間質空間６３から成り、コア６１の周りに配置されている。図５Ａ〜５Ｃにおいて、極小曲面は、図１Ａおよび１Ｂの極小曲面１０を基本単位として採用してこれを３つの異なる軸に沿って繰り返し、エンベロープ形状の外側境界および内側境界で終端させることにより形成さえる三重周期性極小曲面である。図５Ａ〜５Ｃに示すように、極小曲面が内側に限定されるエンベロープ形状は、第１の球体の外面によって形成される外側境界と、第２の球体の外面によって形成される内側境界とを有し、第１の球体の直径は第２の球体の直径より大きい。図５Ａ〜５Ｃに示されるゴルフボール部分組立体の実施例の具体的な側面において、第１の球体がエンベロープ形状の外側の境界を形成し、この第１の球体の直径は０．５インチから１．６７インチであり、エンベロープ形状の内側の境界を軽形成する第２の球体の直径は０．２５からインチから１．６３インチである。図５Ａ〜５Ｃに示されるゴルフボール部分組立体の実施例の他の具体的な側面において、エンベロープの形状は：
−直径が約１．６２０インチの球形の外側境界、
−直径が約１．４３５インチの球状の内側境界、
−約７．３５７平方インチの平均表面積（Ａ_Ｅ）、および
−約０．６７９ｉｎ^３のエンベロープ体積（Ｖ_Ｅ）
であり、
最小曲面は：
約０．００５インチの一定の厚さ、
−約１５．４７０ｉｎ^２の表面積（Ａ_Ｍ）、および
−約０．０４３５ｉｎ^３の体積（Ｖ_Ｍ）
を有する。

【0024】

エンベロープ形状の体積はエンベロープ体積ＶＥであり、エンベロープ形状の外側境界を形成する３次元形状の体積Ｖ_{ＯＵＴＥＲ}から、エンベロープ形状の内側境界を形成する３次元形状の体積Ｖ_{ＩＮＮＥＲ}を引いたものとして計算される。

【0025】

エンベロープ形状の平均表面積ＡＥは、エンベロープ形状の外側境界を定義する３次元形状の表面積（Ａ_{ＯＵＴＥＲ}）とエンベロープ形状の内側境界を定義する３次元形状の表面積（Ａ_{ＩＮＮＥＲ}）との平均として計算される。

【0026】

本開示において、「エンベロープ体積比」は、極小曲面の体積Ｖ_Ｍのエンベロープ形状の体積Ｖ_Ｅに対する比率であり、１未満、または０．５０未満または０．２５未満である。したがって、図５Ａ〜５Ｃに示されるゴルフボール組立体の実施例のさらに具体的な側面において、エンベロープ体積比は約０．０６４である。

【0027】

本開示において、「エンベロープ表面積比」は、極小曲面の表面積Ａ_Ｍのエンベロープ形状の平均表面積Ａ_Ｅに対する比率であり、１未満または１より大きいか、または２より大きく、または４より大きい。したがって、図５Ａ〜５Ｃに示されるゴルフボール組立体の実施例のさらに具体的な側面において、エンベロープ表面積期は約２．１０である。

【0028】

中間層の間質空間は中空または充填されていて良い。中間層の間質空間が充填されている、この発明の実施例においては、間質空間を埋めるために使用される材料は、中間層のエンベロープ形状の外側境界で終わるか、エンベロープ形状の外側境界を超えて延びて中間層を囲む層を形成して良い。同様に、中間層の間質空間が充填される、この発明の実施例においては、当該空間を埋めるために使用される材料は、中間層のエンベロープ形状の内側境界で終わるか、エンベロープ形状の内側境界を越えて延びて良い。間質空間を充填するために使用される材料が中間層のエンベロープ形状の内側境界を超えて広がる、この発明の実施例においては、間質空間の材料はゴルフボールの内側部分を充填し、液体充填、または発泡または非発泡固体コアを形成して良く、または、材料は表面（すなわち、コアの外面またはコアの周りに配置された層の外面）で終端して、中間層に囲まれた層を形成して良い。

【0029】

間質空間を充填するために使用される材料が中間層のエンベロープ形状の外側境界を越えて延びる、この発明の実施例においては、材料は、エンベロープ形状の外側境界と同じ形状または異なる形状を有して良い表面で終端する。たとえば、具体的な実施例において、エンベロープ形状の外側境界は球体の外側表面によって定義され、間質空間を満たすために使用される材料はエンベロープ形状の外側境界を超えて広がり、球体の外側表面によって定義される表面で終端する。他の具体的な実施例において、エンベロープ形状の外側境界は立方体の外側表面によって定義され、間質空間を満たすために使用される材料はエンベロープ形状の外側境界を超えて広がり、球体の外側表面によって定義される表面で終端する。

【0030】

間質空間を充填するために使用される材料が中間層のエンベロープ形状の内側境界を超えて延び、所定の表面で終わる、この発明の実施例においては、当該は、エンベロープ形状の内側境界と同じ形状または異なる形状を有して良い。たとえば、具体的な実施例において、エンベロープ形状の内側境界は球体の外側表面によって定義され、間質空間を満たすために使用される材料はエンベロープ形状の内側境界を超えて広がり、球体の外側表面によって定義される表面で終端する。他の具体的な実施例において、エンベロープ形状の内側境界は立方体の外側表面によって定義され、間質空間を満たすために使用される材料は、エンベロープ形状の内側境界を超えて広がり、球体の外側表面によって定義される所定の表面で終端する。

【0031】

ゴルフボール中間層で使用するための極小曲面は、ラピッドプロトタイピング法を使用して製造することができ、このラピッドプロトタイピング法は、これに限定されないが、例えば、米国特許第１０，０１６，６６１号に開示されているような連続液体界面印刷法を含み、その内容は参照してここに組み入れる。極小曲面を形成するのに適した材料は、そのようなラピッドプロトタイピング方法で使用できる材料を含み、これは、光硬化性重合性材料、例えば、ゾルゲル、ポリエステル、ビニルエーテル、アクリレート、メタクリレート、ポリウレタン、ポリ尿素、バイオ吸収性樹脂、シリコーン、シリコーン、エポキシド、シアン酸エステル、ヒドロゲル、インベストメントキャスティング樹脂、ポリカーボネート、およびチオールエンを含む。また、銃らのゴルフボール材料も極小曲面を形成するのに適しており、ここで、コア層およびカバー層を形成するのに適しているものとして開示されるものを含む。

【0032】

具体的な実施例において、極小曲面は、光開始剤と光硬化性オリゴマーおよびモノマーの混合物を含む紫外線（ＵＶ）光重合性樹脂から形成される。好ましくは、ＵＶ光重合性樹脂は、樹脂の総重量に基づいて６０重量％以上の量の光硬化性オリゴマーを含む。特に適切なオリゴマーは、エポキシド、ウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、アクリル、および好ましくはアクリレートにより官能化されたそれらの２つ以上の混合物が含まれるが、これらに限定されない。具体的な実施例において、オリゴマーは、アクリル化ポリエーテル、アクリル化ポリエステル、アクリル化アクリル、ポリブタジエンジメタクリレート、およびポリブタジエンジアクリレートから選択される。この発明での使用に適した市販のアクリル化オリゴマーの非限定的な例は、ＢＡＳＦから市販されているＬａｒｏｍｅｒ（登録商標）ＰＥ ４４ＦおよびＬａｒｏｍｅｒ（登録商標）ＰＥ ８９８１ポリエステルアクリレート；Ａｌｌｎｅｘから市販されているＥｂｅｃｒｙｌ（商標）塩素化アクリル化ポリエステル；および、Ｓａｒｔｏｍｅｒから市販されているＣＮ３０１ポリブタジエンジメタクリレートおよびＣＮ３０２ポリブタジエンジアクリレートを含む。

【0033】

好ましくは、ＵＶ光重合性樹脂は、樹脂の総重量に基づいて２０重量％以上の量の光硬化性モノマーを有する。紫外線重合性樹脂に使用するのに特に適したモノマーには、スチレンモノマー、Ｎ−ビニルピロリドンモノマー、およびアクリルモノマーが含まれるが、これらに限定されない。これらのモノマーは、硬化速度、架橋密度、粘度など、樹脂の特性を制御するのに役立つ。具体的な実施例において、モノマーは、アクリルモノマー、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート（ＰＥＴＡ）、トリメチロールプロパントリアクリレート（ＴＭＰＴＡ）、１，６ヘキサンジオールジアクリレート（ＨＯＤＡ）、トリプロピレングリコールジアクリレート（ＴＲＰＧＤＡ）、トリエチレングリコールジアクリレート（ＴＲＥＧＤＡ）、アクリル酸２−エチルヘキシル、酢酸ビニル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、イソブトキシメチルアクリルアミド、およびジメチルアクリルアミドから選択される。この発明での使用に適した市販のアクリルモノマーの非限定的な例は、Ａｌｌｎｅｘから市販されているＴＭＰＴＡトリメチロールプロパントリアクリレートおよびＥｂｅｃｒｙｌ（商標）４０テトラアクリレートモノマーを含む。

【0034】

好ましくは、ＵＶ光重合性樹脂は、樹脂の総重量に基づいて３重量％以上の量の光開始剤を有し、ＵＶ光放射を使用して硬化される。しかしながら、樹脂は、他の光およびエネルギー硬化源を使用して硬化されてもよく、これは可視光および電子ビームを含むが、これらに限定されない。適切な光開始剤は、アニオンおよびカチオン光開始剤、例えば、スチレン系化合物、ビニルエーテル、Ｎ−ビニルカルバゾール、ラクトン、ラクタム、環状エーテル、環状アセタール、環状シロキサン、ベンゾインエーテル、ベンゾフェノンを含む。具体的な実施例において、光開始剤は、１−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、およびトリメチルベンゾフェノン、高分子ヒドロキシケトン、およびトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドのブレンドから選択される。この発明での使用に適した市販の光開始剤の非限定的な例は、Ｃｉｂａ Ｓｐｅｃｉａｌｔｙ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓから市販されているＩｒｇａｃｕｒｅ（登録商標）１８４ １−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン光開始剤およびＩｒｇａｃｕｒｅ（登録商標）８１９フェニルビス（２，４，６−トリメチルベンゾイル）ホスフィンオキシド光開始剤；およびＩＧＭ ｒｅｓｉｎｓから市販されているトリメチルベンゾフェノン、高分子ヒドロキシケトン、およびトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドのＥｓａｃｕｒｅ ＫＴＯ−４６ブレンドを含む。

【0035】

種々の他の熱可塑性および熱硬化性材料、フィラー、および他の添加剤、例えば、抑制剤、界面活性剤、ワックス、硬化促進剤、消泡剤、顔料、分散剤、蛍光増白剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、接着促進剤を樹脂に添加して良い。阻害剤は、オリゴマーとモノマーの望ましくない重合を遅延または停止させるために使用して良い。

【0036】

中間層の間質空間は、任意の適切な液体、発泡、または非発泡固体組成物で満たされていて良い。中間層の間質空間を充填するのにとくに適した組成物は、発泡した高度に中和されたポリマー例えば米国特許第７，７０８，６５４号（Ｓｕｌｌｉｖａｎ等）に開示されているもの；発泡ポリウレタン例えば米国特許第９，２５４，４２２号（Ｓｕｌｌｉｖａｎ等）に開示されているもの；；キャスタブルポリウレタンたとえば米国特許第９，２５４，４２２号（Ｓｕｌｌｉｖａｎ等）に開示されているもの；およびゴムを含むけれども、これに限定されない。なお、これらの開示内容は参照してここに組み入れる。

【0037】

この発明のゴルフボールは、中空コア、液体充填コア、または１または複数の層を具備するソリッドコアを含む。コア層を形成するのにとくに適切な材料は、これに限定されないが、熱硬化性材料、例えば、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ポリイソプレン、およびトランスイソプレン；熱可塑性材料、例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド、およびポリエステル；および熱可塑性および熱硬化性ポリウレタンおよびポリ尿素を含む。とくに好ましいコア組成物は、ベースポリマー、開始剤、コエージェントおよび／または硬化剤、ならびに任意で１種以上の金属酸化物、金属脂肪酸または脂肪酸、酸化防止剤、ソフト・ファースト剤、フィラー、および添加剤を有する熱硬化性ゴム組成物である。適切なベースポリマーは、天然ゴムおよび合成ゴムを含み、合成ゴムは、これに限定されないが、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンプロピレンゴム（「ＥＰＲ」）、スチレン−ブタジエンゴム、スチレンブロックコポリマーゴム（例えばＳＩ、ＳＩＳ、ＳＢ、ＳＢＳ、ＳＩＢＳ。ここで「Ｓ」はスチレン、「Ｉ」はイソブチレン、「Ｂ」はブタジエン）、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリ尿素エラストマー、メタロセン触媒エラストマーおよびプラストマーなどイソブチレンとパラアルキルスチレンの共重合体、イソブチレンとパラアルキルスチレンのハロゲン化共重合体、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリクロロプレン、アクリル酸アルキルゴム、塩素化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩素化イソプレンゴム、ポリアルケナマー、およびそれらの２つ以上の組み合わせを含む。適切な開始剤は、有機過酸化物、フリーラジカルを生成できる高エネルギー放射線源、Ｃ−Ｃ開始剤、およびそれらの組み合わせを含む。適切なコエージェントは、これらに限定されないが、不飽和カルボン酸の金属塩；不飽和ビニル化合物および多官能性モノマー（例、トリメチロールプロパントリメタクリレート）；フェニレンビスマレイミド；およびその組み合わせを含む。適切な硬化剤は、これに限定されないが、硫黄；Ｎ−オキシジエチレン２−ベンゾチアゾールスルフェンアミド；Ｎ，Ｎ−ジ−オルト−トリルグアニジン；ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス；Ｎ−シクロヘキシル２−ベンゾチアゾールスルフェンアミド；Ｎ，Ｎ−ジフェニルグアニジン；４−モルホリニル−２−ベンゾチアゾールジスルフィド；ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド；チウラムジスルフィド；メルカプトベンゾチアゾール；スルフェンアミド；ジチオカルバメート；チウラム硫化物；グアニジン；チオ尿素；キサンテート；ジチオリン酸塩；アルデヒドアミン；ジベンゾチアジルジスルフィド；テトラエチルチウラムジスルフィド；テトラブチルチウラムジスルフィド；およびその組み合わせを含む。ベースポリマー、開始剤、コエージェント、充填剤、および添加剤の適切なタイプおよび量は、例えば、米国特許第６，５６６，４８３号、第６，６９５，７１８号、第６，９３９，９０７号、第７，０４１，７２１号および第７，１３８，４６０号により詳細に記載されており、これらの内容は参照してここに組み入れる。とく適切なジエンゴム組成物は、例えば、米国特許出願公開第２００７／００９３３１８号にさらに開示されており、その内容は参照してここに組み入れる。

【0038】

この発明のゴルフボールは、単一、二重、マルチ層カバーを含む。カバー層を形成するのにとくに適切な材料は、以下を含むけれども、これらに限定されない。
ａ）ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタンとポリ尿素のハイブリッド；
ｂ）Ｅ／ＸおよびＥ／Ｘ／Ｙタイプのイオノマー；ここでＥはオレフィン（例、エチレン）、Ｘはカルボン酸（例、アクリル、メタクリル、クロトン、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸）、およびＹは軟化コモノマー（例えば、酸が２〜１０個の炭素を有する脂肪族カルボン酸のビニルエステル、アルキル基が１〜１０個の炭素を有するアルキルエーテル、およびアルキル基が１から１０個の炭素を有するアルキルメタクリレートなどのアルキルアルキルアクリレートである）。例えば、Ｅ．Ｉ． ｄｕ Ｐｏｎｔ ｄｅ Ｎｅｍｏｕｒｓ ａｎｄ Ｃｏｍｐａｎｙから市販されるＳｕｒｌｙｎ（商標）アイオノマー樹脂、ＤｕＰｏｎｔ（商標）ＨＰＦ １０００およびＨＰＦ ２０００、ＥｘｘｏｎＭｏｂｉｌ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏｍｐａｎｙから市販されるＩｏｔｅｋ（登録商標）アイオノマー、Ｔｈｅ Ｄｏｗ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏｍｐａｎｙ社から市販されるＡｍｐｌｉｆｙ（商標）ＩＯエチレンアクリル酸コポリマーのイオノマー、およびＡ．Ｓｃｈｕｌｍａｎ社から市販されているＣｌａｒｉｘ（登録商標）アイオノマー樹脂である。
ｃ）ポリイソプレン；
ｄ）Ｅｖｏｎｉｋ Ｉｎｄｕｓｔｒｉｅｓから市販されているＶｅｓｔｅｎａｍｅｒ（登録商標）ポリオクテナマーなどのポリオクテナマー。
ｅ）例えば低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを含むポリエチレン；ポリプロピレン；
ｆ）ゴム強化オレフィンポリマー；アイオノマー共重合体の一部にならない非アイオノマー酸共重合体、例えば、（メタ）アクリル酸；
ｇ）プラストマー；
ｈ）フレキソマー；
ｉ）スチレン／ブタジエン／スチレンブロック共重合体；
ｊ）スチレン／エチレンブチレン／スチレンブロック共重合体；
ｋ）ポリブタジエン；
ｌ）スチレンブタジエンゴム；
ｍ）エチレンプロピレンゴム；
ｎ）エチレンプロピレンジエンゴム；
ｏ）動的加硫エラストマー；
ｐ）エチレン酢酸ビニル；
ｑ）エチレン（メタ）アクリレート；
ｒ）ポリ塩化ビニル樹脂；
ｓ）ポリアミド、アミドエステルエラストマー、およびアイオノマーとポリアミドのコポリマー、例えば、Ａｒｋｅｍａ Ｉｎｃから市販されているＰｅｂａｘ（商標）熱可塑性ポリエーテルおよびポリエステルアミド；
ｔ）架橋トランスポリイソプレン；
ｕ）Ｅ．Ｉ． ｄｕ Ｐｏｎｔ ｄｅ Ｎｅｍｏｕｒｓ ａｎｄ Ｃｏｍｐａｎｙから市販されているＨｙｔｒｅｌ（商標）ポリエステルエラストマー、およびＴｉｃｏｎａから市販されているＲｉｔｅｆｌｅｘ（登録商標）ポリエステルエラストマーなどのポリエステル系熱可塑性エラストマー；
ｖ）ＢＡＳＦから市販されているＥｌａｓｔｏｌｌａｎ（商標）ポリウレタンなどのポリウレタンベースの熱可塑性エラストマー；
ｗ）合成または天然の加硫ゴム；および
ｘ）その組み合わせ。

【0039】

アイオノマーまたは２つ以上のＥ／Ｘ型およびＥ／Ｘ／Ｙ型アイオノマーのブレンドを有する組成物は、とくに適切なカバー材料である。好ましいＥ／Ｘ型およびＥ／Ｘ／Ｙ型アイオノマーカバー組成物は以下のものを含む。
（ａ）Ｓｕｒｌｙｎ ８１５０（登録商標）などの「高酸アイオノマー」（すなわち、１６重量％を超える酸含有量を有する）を含む組成物；
（ｂ）高酸アイオノマーと無水マレイン酸グラフト化非アイオノマーポリマー（例えば、フサボンド（登録商標）官能化ポリマー）を含む組成物。高酸アイオノマーと無水マレイン酸グラフトポリマーの特に好ましいブレンドは、Ｓｕｒｌｙｎ８１５０（登録商標）とＦｕｓａｂｏｎｄ（登録商標）の８４ｗｔ％／１６ｗｔ％ブレンドある。高酸イオノマーと無水マレイン酸グラフトポリマーとのブレンドは、例えば、米国特許第６，９９２，１３５号および第６，６７７，４０１号にさらに開示されており、その開示内容を参照によりここに組み入れる。
（ｃ）好ましくは８０〜８５ショアＣの材料硬度を有する、Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）８９４０／Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）９６５０／Ｎｕｃｒｅｌ（登録商標）９６０の５０／４５／５ブレンドを含む組成物；
（ｄ）好ましくは約９０ショアＣの材料硬度を有する、Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）８９４０／Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）９６５０／Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）９９１０の５０／２５／２５ブレンドを含む組成物；
（ｅ）好ましくは約８６ショアＣの材料硬度を有する、Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）８９４０／Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）９６５０の５０／５０ブレンドを含む組成物；
（ｆ）Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）７９４０／Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）８９４０のブレンドを含む組成物、任意にメルトフローモディファイアを含む；
（ｇ）第１の高酸アイオノマーと第２の高酸アイオノマーのブレンドを含む組成物であって、第１の高酸アイオノマーは第２の高酸アイオノマーとは異なるカチオンで中和される（例えば、Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）８１５０およびＳｕｒｌｙｎ（登録商標）９１５０の５０／５０ブレンド）、オプションで、アイオノマー、エチレン酸共重合体、エステル三元共重合体などの１つまたは複数のメルトフロー調整剤を含む；そして
（ｈ）第１の高酸アイオノマーおよび第２の高酸アイオノマーのブレンドと０〜１０重量％のエチレンとを含む組成物であって、第１の高酸アイオノマーは第２の高酸アイオノマーとは異なるカチオンで中和され、エチレン／酸／エステルアイオノマーは第１の高酸アイオノマーと同じカチオンか第２の高酸アイオノマーと同じカチオンか第１および第２の高酸アイオノマーと別のカチオンで中和されるもの（例えば、４０−５０ｗｔ％Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）８１４０、４０−５０ｗｔ％Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）９１２０、および０−１０ｗｔ％Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）６３２０）。

【0040】

Ｓｕｒｌｙｎ８１５０（登録商標）、Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）８９４０、およびＳｕｒｌｙｎ（登録商標）８１４０は、酸基がナトリウムイオンで部分的に中和された異なるグレードのＥ／ＭＡＡコポリマーである。Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）９６５０、Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）９９１０、Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）９１５０、およびＳｕｒｌｙｎ（登録商標）９１２０は、酸基が亜鉛イオンで部分的に中和されたＥ／ＭＡＡコポリマーの異なるグレードである。Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）７９４０は、酸基がリチウムイオンで部分的に中和されたＥ／ＭＡＡコポリマーである。Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）６３２０は、中程度の酸含有量の非常に低い弾性率のマグネシウムアイオノマーである。Ｎｕｃｒｅｌ（登録商標）９６０は、名目上１５重量％のメタクリル酸で作られたＥ／ＭＡＡ共重合体樹脂である。Ｓｕｒｌｙｎ（登録商標）アイオノマー、Ｆｕｓａｂｏｎｄ（登録商標）ポリマー、およびＮｕｃｒｅｌ（登録商標）コポリマーは、Ｅ．Ｉ． ｄｕ Ｐｏｎｔ ｄｅ Ｎｅｍｏｕｒｓ ａｎｄ Ｃｏｍｐａｎｙから市販されている。

【0041】

適切なＥ／Ｘ型およびＥ／Ｘ／Ｙ型アイオノマー材料は、例えば、米国特許第６，６５３，３８２号、第６，７５６，４３６号、第６，８９４，０９８号、第６，９１９，３９３号、および第６，９５３，８２０号にさらに開示されている。

【0042】

適切なポリウレタン、ポリ尿素、ならびにポリウレタン／ポリ尿素のブレンドおよびハイブリッドは、例えば、米国特許第５，３３４，６７３号、第５，４８４，８７０号、第６，５０６，８５１号、第６，７５６，４３６号、第６，８３５，７９４号、第６，８６７，２７９号、第６，９６０，６３０号、および７，１０５，６２３号、米国特許出願公開第２００９／００１１８６８号；および米国特許出願第６０／４０１，０４７号にさらに開示されており、それらの内容は参照してここに組み入れる。適切なポリウレタン?尿素材料には、米国特許出願公開第２００７／０１１７９２３号に開示されているように、ウレタンおよび尿素セグメントを含むポリウレタン／ポリ尿素ブレンドおよびコポリマーが含まれ、その内容は参照してここに組み入れる。

【0043】

カバー組成物は、１または複数の充填剤、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム等、および／または、添加物、例えば、着色剤、蛍光剤、美白剤、酸化防止剤、分散剤、ＵＶ吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤、相溶化剤、発泡剤、補強剤、離型剤、その他を含んで良い。

【0044】

この発明のゴルフボールは、オプションとして、最小曲面および間質空間から成る中間層に加えて、１つまたは複数の中間層を含む。そのような層は、任意の適切なゴルフボール組成物から形成されて良く、これは適切なコアおよびカバー組成物としてここに開示されるものを含む。

【0045】

［具体的なゴルフボール構造］
この発明は、コア、中間層、およびディンプル付き外側カバー層を有するゴルフボールに関する。中間層は、エンベロープの形状によって定義され、極小曲面および間質空間から成り、極小空間および間質空間はエンベロープ形状によって内部に制限される。エンベロープ形状は、第１の三次元形状の外側表面により定義される外側境界と、第２の三次元形状の外側表面により定義される内側境界とを具備する。

【0046】

具体的な実施例において、間質空間は中間層のエンベロープ形状の外側境界を越えて延びる組成物で満たされ、もって、中間層が組成物から形成された層によって取り囲まれるようになっている。この実施例の具体的な側面において、中間層のエンベロープ形状の外側境界を越えて延びる間質空間の組成物から形成される層は外側カバー層であり、間質空間を充填し外側カバー層を形成する組成物は、ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン−尿素ハイブリッドおよびブレンドからなるグループから任意に選択される。この実施例の他の具体的な側面において、中間層のエンベロープ形状の外側境界を越えて延びる間質空間の組成物から形成される層は、付加的な中間層である。この実施例の他の具体的な側面において、コアはソリッドの外側表面を有し、間質空間の組成物は、中間層のエンベロープ形状の内側境界によって境界が定めらる。

【0047】

他の具体的な実施例において、間質空間は、中間層のエンベロープ形状の外側境界によって境界付けられる組成物で満たされる。この実施例の具体的な側面において、コアはソリッドの外側表面を有し、間質空間の組成物は、中間層のエンベロープ形状の内側境界によって境界付けられている。この実施例の他の具体的な側面において、間質空間の組成物は、中間層のエンベロープ形状の内側境界を越えて広がる。さらに他の具体的な側面において、間質空間の組成物は液体であり、コアは、中間層のエンベロープ形状の内側境界を越えて延びる間質空間の液体組成物から形成される液体コアである。さらに他の具体的な側面において、間質空間の組成物は発泡性組成物であり、コアは中間層のエンベロープ形状の内側境界を越えて延びる間質空間の発泡性組成物から形成される発泡性コアである。さらに他の具体的な側面において、間質空間の組成物は熱可塑性組成物であり、コアは中間層のエンベロープ形状の内側境界を越えて延びる間質空間の熱可塑性組成物から形成される。

【0048】

他の具体的な実施例において、間質空間は中間層のエンベロープ形状の外側境界を越えて延びる組成物で満たされ、もって、中間層が、当該組成物から形成される層に囲まれ、間質空間の組成物が中間層のエンベロープ形状の内側境界を超えて延びるようになっている。この実施例の具体的な側面において、中間層のエンベロープ形状の外側境界を越えて延びる間質空間の組成物から形成される層は、外側カバー層である。この実施例の他の具体的な側面において、中間層のエンベロープ形状の外側境界を越えて延びる間質空間の組成物から形成された層は、付加的な中間層である。この実施例の他の具体的な側面において、間質空間の組成物は発泡性組成物であり、コアは、中間層のエンベロープ形状の内側境界を越えて延びる間質空間の発泡性組成組成物から形成される。さらに他の具体的な側面において、間質空間の組成物は、アイオノマー組成物などの熱可塑性組成物、とくに高度に中和されたポリマー組成物であり、コアは、中間層のエンベロープ形状の内側境界を超えて延びる間質空間の熱可塑性組成物から形成される。

【0049】

他の具体的な実施例において、間質空間は中空である。この実施例の具体的な側面において、コアはソリッドの単層または多層コアである。この実施例の他の具体的な側面において、コアは中空である。

【0050】

［例］
以下の例は、この発明の具体的な実施例の単なる例示であり、この発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、その範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。

【0051】

以下の例において、極小曲面は、図５Ａ〜５Ｃの三重周期性の極小曲面である。

【0052】

［例１］
図６は、この発明の実施例に従うゴルフボール構造の一例を示す。具体的には、図６は、ゴルフボール７０の断面図を示し、この図において、ゴルフボールは、コア７１と、中間層とを有し、この中間層は、球形の外側境界および球形の内側境界を有し、極小曲面７２および間質空間７３からなるエンベロープ形状により画定される。間質空間は、組成物で充填され、この組成物は、エンベロープ形状の球形の外側境界を越えて延び、もって、間質空間の組成物が中間層を取り囲む層を形成し、ゴルフボールのディンプル付き外面として機能するようになっている。間質空間の組成物は、中間層のエンベロープ形状の内側境界によって境界を定められるか、または中間層によって包囲される層を形成する、中間層のエンベロープ形状の内側境界を越えて延びて、中間層によって包囲される層を形成して良い。図６では単一層として示されているけれども、コア７１は、単一層、二重層、または多層コアであって良い。

【0053】

［例２］
図７は、この発明の別の実施例に従うゴルフボール構造の一例を示す。具体的には、図７は、ゴルフボール８０の断面図を示し、この図において、ゴルフボールは、外側表面８１を有するコアと、球形の外側境界および球形の内側境界を有し、極小曲面８２および空洞の間質空間から成るエンベロープ形状により画定される第１の中間層と、オプションの第２の中間層８３と外側カバー層８４とを有する。図７においては単一層として示されているけれども、コア８１は、単一層、二重層、または多層コアであって良い。

【0054】

［例３］
図８は、この発明の他の実施例に従うゴルフボール構造の一例を示す。具体的には、図８は、ゴルフボール９０の断面図を示し、この図において、ゴルフボールは、中空コア９１と、球形の外側境界および球形の内側境界を有するエンベロープ形状により画定され、極小曲面９２および中空の間質空間から成る第１の中間層と、オプションの第２の中間層９３と、外側カバー層９４とを有する。

【0055】

ここで数値の下限および数値の上限が記載されている場合、これらの値の任意の組み合わせを使用できることに留意されたい。

【0056】

優先権書類を含む、ここに引用されたすべての特許文献、刊行物、試験手順、およびその他の参考文献は、そのような開示がこの発明と矛盾しない範囲で、かつ、そのような組み込みが許可されるすべての司法管轄区に関して参照により完全に組み込まれる。

【0057】

この発明の例示的な実施例を詳細に説明したけれども、この発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の様々な修正が当業者に明らかであり、当業者によって容易に行われ得ることが理解される。したがって、本明細書に添付される特許請求の範囲は、本明細書に記載される実施例および説明に限定されるものではなく、この発明が関係する当業者によってそれらの均等物として扱われる特徴を含む、特許請求可能な新規性の特徴のすべてを包含するものとして解釈されることに留意されたい。

【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図3E】

【図3F】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図6】

【図7】

【図8】