(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918101
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】ボディパック型送信機用ダイバーシティアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/48 20060101AFI20210729BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20210729BHJP
H04B 1/3827 20150101ALI20210729BHJP
【FI】
H01Q1/48
H01Q1/24 Z
H04B1/3827 130
【請求項の数】23
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-518375(P2019-518375)
(86)(22)【出願日】2017年6月14日
(65)【公表番号】特表2019-524040(P2019-524040A)
(43)【公表日】2019年8月29日
(86)【国際出願番号】US2017037524
(87)【国際公開番号】WO2017222897
(87)【国際公開日】20171228
【審査請求日】2020年6月15日
(31)【優先権主張番号】15/187,514
(32)【優先日】2016年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504189151
【氏名又は名称】シュアー アクイジッション ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SHURE ACQUISITION HOLDINGS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ザチャラ クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ニップステイン クリストファー リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ダウンズ トマス ジョン
【審査官】
佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02435549(GB,A)
【文献】
特開2015−139209(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0206302(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
H01Q 1/48
H04B 1/3827
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ組立体であって、
開放端を有する非導電性ハウジングと、
前記非導電性ハウジングの内側に配置されたアンテナ素子と、
前記アンテナ素子に電気的に接続された第1の端部及び前記非導電性ハウジングの前記開放端から外側に延びる第2の端部を有する電気ケーブルと、
前記非導電性ハウジングの内側に配置された1又は2以上の誘電材料と、
前記開放端に隣接しかつ前記非導電性ハウジングの外側に配置された前記電気ケーブルの部分に連結した導電性ガスケットと、
を備える、アンテナ組立体。
【請求項2】
前記アンテナ素子から形成され、前記非導電性ハウジングから外側に延びるアンテナ接地要素をさらに備える、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項3】
前記導電性ガスケットは、二次アンテナ接地要素を形成するように構成される、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項4】
前記1又は2以上の誘電材料は、前記非導電性ハウジングの前記開放端を環境的に密封するように構成される、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項5】
前記電気ケーブルの前記第2の端部は、前記アンテナ素子を回路基板に電気的に接続するように構成されたコネクタを含む、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項6】
前記電気ケーブルは、非導電性ジャケット、内側シールド、及び導電性コアを備える同軸ケーブルであり、前記内側シールドは、前記導電性ガスケットに連結された前記電気ケーブルの前記部分である、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項7】
前記導電性ガスケットは、前記電気ケーブルの前記内側シールドを、無線周波数(RF)干渉からシールするように構成される、請求項6に記載のアンテナ組立体。
【請求項8】
前記1又は2以上の誘電材料は、前記アンテナ素子の給電点の周りに形成されたエポキシ部分を含む、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項9】
前記1又は2以上の誘電材料は、前記エポキシ部分に隣接して前記アンテナ素子に付着した発泡体部分をさらに含む、請求項8に記載のアンテナ組立体。
【請求項10】
前記1又は2以上の誘電材料は、前記発泡体部分と前記アンテナ素子の内側端との間に配置された空気部分をさらに含む、請求項9に記載のアンテナ組立体。
【請求項11】
前記アンテナ素子は金属シートから形成され、逆F型アンテナを実装する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項12】
前記アンテナ素子は、1.5ギガヘルツ(GHz)、1.8GHz、2.4GHz、5.7GHz、6.9GHz、及び7.1GHzのうちの少なくとも1つの周波数帯で動作するように構成される、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項13】
携帯用無線ボディパック型装置であって、
第2の外側壁の反対側の第1の外側壁を有するフレームと、
前記第1の外側壁の一部を形成し、第1のダイバーシティアンテナを含む第1のアンテナハウジングと、
前記第2の外側壁の一部を形成し、第2のダイバーシティアンテナを含む第2のアンテナハウジングと、
を備える携帯用無線ボディパック型装置。
【請求項14】
前記フレームは導電性材料で作られている、請求項13に記載の携帯用無線ボディパック型装置。
【請求項15】
前記フレームの前面に連結された導電性前面カバーと、前記フレームの後面に連結された導電性後面カバーとをさらに備える、請求項14に記載の携帯用無線ボディパック型装置。
【請求項16】
前記第1のダイバーシティアンテナ及び前記第2のダイバーシティアンテナの各々は、前記導電性前面カバーと前記導電性後面カバーとの間の対応する側壁の中心に置かれる、請求項15に記載の携帯用無線ボディパック型装置。
【請求項17】
前記第1のアンテナハウジング及び前記第2のアンテナハウジングは、それぞれ、前記第1の外側壁及び前記第2の外側壁の対応するスロットに挿入するように構成される、請求項13に記載の携帯用無線ボディパック型装置。
【請求項18】
前記第1のアンテナハウジング及び前記第2のアンテナハウジングの各々は、非導電性材料で作られている、請求項13に記載の携帯用無線ボディパック型装置。
【請求項19】
前記第1のダイバーシティアンテナ及び前記第2のダイバーシティアンテナの各々は、1.5ギガヘルツ(GHz)、1.8GHz、2.4GHz、5.7GHz、6.9GHz、及び7.1GHzのうちの少なくとも1つの周波数帯で動作するように構成される、請求項13に記載の携帯用無線ボディパック型装置。
【請求項20】
前記フレームの上側面に連結された外部アンテナコネクタをさらに備え、前記ダイバーシティアンテナの各々の下端は、前記フレームの前記上側面よりも前記フレームの下側面に近接して配置される、請求項13に記載の携帯用無線ボディパック型装置。
【請求項21】
携帯用無線ボディパック型装置用のアンテナ組立体を製造する方法であって、
アンテナ素子と少なくとも1つの追加の誘電材料とを備えるアンテナハウジングの開放端に第1の誘電材料を堆積させるステップと、
前記開放端に隣接して前記アンテナハウジングの外側に連結される導電性ガスケットを、前記アンテナハウジングに連結された電気ケーブルに連結するステップと、
により前記アンテナ組立体を形成するステップを含む、方法。
【請求項22】
前記電気ケーブルを前記アンテナ素子の給電点に連結することによって第1の部分組立体を形成するステップと、前記給電点に隣接して前記少なくとも1つの追加の誘電材料を前記アンテナ素子に付着させるステップとをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の部分組立体を前記アンテナハウジング内に挿入することによって第2の部分組立体を形成するステップをさらに含み、前記第1の誘電材料は、前記第2の部分組立体内に堆積される、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2016年6月20日出願の米国特許出願第15/187,514号の利益を主張し、その開示内容全体は本明細書に組み込まれている。
【0002】
(技術分野)
本出願は、一般に携帯用無線通信装置に関し、より詳細には、無線ボディパック型送信機及び/又は受信機のような、無線ボディパック型装置に組み込まれたアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
無線マイクロホン、無線オーディオ送信機、無線オーディオ受信機、及び無線イヤホンのような携帯用無線通信装置は、物理的ケーブルを必要とせずに無線周波数(RF)信号を伝達するためのアンテナを含む。RF信号は、変調オーディオ信号、データ信号、及び/又は制御信号のようなデジタル信号又はアナログ信号を含むことができる。携帯用無線通信装置は、例えば、放送局及び他のビデオ番組ネットワークが、現場で電子ニュース取材(ENG)活動及びスポーツの生中継の放送を実行可能にすることを含む、多くの機能のために使用される。また、携帯用無線通信装置は、劇場、音楽会場及び映画撮影所において舞台公演者、歌手、及び/又は俳優によって、並びに集会、企業行事、礼拝所、学校及びスポーツ行事における講演者によって使用される。
【0004】
1つの一般的な携帯用無線通信装置は、無線ボディパック型マイクロホン送信機であり、これは一般にユーザの身体に(例えばベルトクリップ、ストラップ、テープなどを用いて)固定され、無線マイクロホン(例えば、手持ち式ユニット、身体装着型装置、又はインイヤホン)及び遠隔受信機(例えば、オーディオ増幅器又は録音装置)と通信する。他の一般的な携帯用無線通信装置は、無線ボディパック型パーソナルモニタ受信機であり、これも一般に(例えば、ベルトクリップ、ストラップ、テープなどを用いて)使用者の身体に固定され、無線イヤホン又は他のパーソナルモニタ(例えば、インイヤーモニタ、ヘッドホン又は他のヘッドセット)及び遠隔送信機(例えば、音源)と通信する。
【0005】
携帯用無線通信装置に組み込まれるアンテナは、特定のスペクトル周波数帯で動作するように設計可能であり、スペクトル周波数帯内の周波数の離散的セット又はスペクトル周波数帯内の全周波数範囲の何れかを範囲に含むように設計できる。携帯用無線通信装置が動作するスペクトル周波数帯は、その装置にどの技術規則及び/又は政府規制が適用されるかを決定することができる。
【0006】
例えば、連邦通信委員会(FCC)は、スペクトル周波数帯に応じて、無線マイクロホンを、許可及び無許可ベースで使用することを認めている。今日動作するほとんどの無線マイクロホンシステムは、現在テレビ(TV)用(例えば、TVチャネル2から51(チャネル37を除く))に指定された「極超短波」(UHF)周波数帯のスペクトルを使用する。現在、無線マイクロホンの使用者は、UHF/TV周波数帯(例えば、470〜698MHz)で動作させるためには、連邦通信委員会からの認可が必要である。しかしながら、無線マイクロホンに利用可能なTV周波数帯のスペクトルの量は、FCCが放送テレビジョンインセンティブオークションを実施する時点で減少するように設定されている。このオークションは、TV周波数帯スペクトルの一部である600MHzを新しい無線サービスに再利用するので、この周波数帯は無線マイロホンには利用できなくなる。無線マイクロホンシステムは、現在認可された30〜300MHzの範囲を含む「超短波」(VHF)周波数帯で動作するように設計することもできる。
【0007】
多数の無線マイクロホンシステムが、無免許ベースで他のスペクトル周波数帯で動作するよう開発されており、他のスペクトル周波数帯には、例えば、902−928MHz周波数帯、1920−1930MHz周波数帯(すなわち、1.9GHz又は「DECT」周波数帯、また1.8GHz周波数帯に含まれる)、及び2.4−2.483GHz周波数帯(すなわち、「ZigBee」又はIEEE802.15.4、本明細書では「2.4GHz周波数帯」とも呼ぶ)が含まれる。しかしながら、例えばUHF/TV周波数帯とZigBee周波数帯との間の周波数の大きな違いを考慮すると、特にこれら2つのスペクトルの一方のために設計された無線マイクロホンシステムは、一般に、既存のアンテナを取り替えることなく他のスペクトルのために再利用することはできない。
【0008】
さらに、アンテナ設計考慮事項は、単一の装置に含まれるアンテナの数を制限する可能性があり(例えば、利用可能空間の欠如により)、一方で、美観設計考慮事項は、使用可能なアンテナの形式を制限する可能性がある。例えば、無線ボディパック型送信機及び/又は受信機は、一般に小型アンテナを含み、このアンテナは、少なくとも部分的にボディパックハウジングに一体化されており、パッケージの全体サイズを小さくして、使用又は着用に心地よいものになっている。しかしながら、このアンテナのサイズ/空間の制限により、無線ボディパック型装置が十分な放射効率及び広帯域のアンテナ有効範囲を提供することは困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、スペクトル利用率の変化に適応可能であるが、依然として、一貫した高品質の広帯域性能を低価格かつ美感的デザインで提供する無線ボディパック型装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特に(1)誘電体装荷アンテナハウジング内にアンテナ素子(antenna element)を完全に収容するように構成されたアンテナ組立体(antenna assembly)、(2)2つの別個のアンテナハウジングがそれらの間の最大の空間ダイバーシティでもって支持されるように構成された携帯用無線ボディパック型装置(portable wireless bodypack device)、及び(3)アンテナ組立体を製造するためのプロセス、もたらすようにデザインされたシステム及び方法を提供することによって上述の問題を解決することを意図している。
【0011】
例示的な実施形態はアンテナ組立体を含み、アンテナ組立体は、開放端を有する非導電性ハウジングと、非導電性ハウジングの内側に配置されたアンテナ素子と、アンテナ素子に電気的に接続した第1の端部及び非導電性ハウジングの開放端から外側に延びた第2の端部を有する電気ケーブルと、非導電性ハウジングの内側に配置された1又は2以上の誘電材料(dielectric materials)と、電気ケーブルのうち開放端に隣接しかつ非導電性ハウジングの外側に配置された部分に連結した導電性ガスケットと、を備える。
【0012】
別の例示的な実施形態は携帯用無線ボディパック型装置を含み、携帯用無線ボディパック型装置は、第2の外側壁の反対側の第1の外側壁を有するフレームと、第1の外側壁の一部を形成し、第1のダイバーシティアンテナを含む第1のアンテナハウジングと、第2の外側壁の一部を形成し、第2のダイバーシティアンテナを含む第2のアンテナハウジングと、を備える。
【0013】
別の例示的な実施形態は、携帯用無線ボディパック型装置用のアンテナ組立体を製造する方法を含む。本方法は、アンテナ組立体を形成するステップを含み、このステップは、アンテナ素子と少なくとも1つの追加の誘電材料とを含むアンテナハウジングの開放端に第1の誘電材料を堆積させるステップ(depositing)と、開放端に隣接してアンテナハウジングの外側に連結される導電性ガスケットを、アンテナハウジングに連結された電気ケーブルに連結するステップとを含む。
【0014】
上述の及び他の実施形態、並びに様々な置換及び態様は、本発明の原理を使用することができる種々の方法を示す例示的な実施形態を記載する、以下の詳細な説明及び添付した図面から明らかになり十分に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】特定の実施形態による例示的な携帯用無線ボディパック型装置の正面斜視図である。
【
図1B】特定の実施形態による
図1Aの携帯用無線ボディパック型装置の背面斜視図である。
【
図2】特定の実施形態による
図1の携帯用無線ボディパック型装置における、例示的なフレーム及び例示的な後面カバーの部分分解背面斜視図である。
【
図3】特定の実施形態による、
図2に示したフレーム及びフレームに連結された2つの例示的なアンテナ組立体の部分分解背面斜視図である。
【
図4】特定の実施形態による、
図2に示したフレームに連結された例示的な内部回路構成要素の部分正面図である。
【
図5】特定の実施形態による例示的なアンテナ組立体の上面斜視図である。
【
図6】特定の実施形態による、
図5に示したアンテナ組立体の部分的に透視した上面斜視図である。
【
図7】特定の実施形態による、
図5に示したアンテナ組立体に含まれる第1の部分組立体(first subassembly)の拡大図である。
【
図8】特定の実施形態による、
図7の第1の部分組立体及び
図5のアンテナ組立体のアンテナハウジングの製造の第1段階の間の斜視図である。
【
図9】特定の実施形態による、
図5のアンテナ組立体の第2の部分組立体の製造の第2段階の間の部分透視図である。
【
図10】特定の実施形態による、第3の部分組立体及び
図5に示したアンテナ組立体の導電性ガスケットの製造の第3段階の間の部分的な透視図である。
【
図11】特定の実施形態による、
図2のフレームに組み込まれたアンテナ組立体の一部の拡大図である。
【
図12】特定の実施形態による
図1に示した携帯用無線ボディパック型装置の上面斜視図である。
【
図13】特定の実施形態による
図12に示した携帯用無線ボディパック型装置の断面図である。
【
図14】特定の実施形態による、
図3に示したフレームの一部及びそれに連結された例示的な前面カバーの斜視図である。
【
図15】特定の実施形態による、代替的なアンテナ配置をもつ別の例示的な携帯用無線ボディパック型装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明は、本発明の原理による本発明の1又は2以上の特定の実施形態を説明し、図示し、例示する。この説明は、本発明を本明細書で説明する実施形態に限定するためではなく、むしろ本発明の原理を説明し及び教示して、当業者がこれらの原理を理解した上でこれらの原理を応用し、本明細書で説明する実施形態のみならず、これらの原理に基づいて想起される他の実施形態も実施できるようにする。本発明の範囲は、文言上又は均等論の下で添付の特許請求の範囲に属し得る全ての実施形態を対象にすることを意図している。
【0017】
本明細書及び図面では、類似の又は実質的に同じ要素には同じ参照数字を付すことができる。しかしながら、これらの要素に異なる数字を付すこともあり、それは、例えばそのような数字の付与により説明が明確になる場合である。加えて、本明細書に記載の図面は必ずしも縮尺通りに示さず、場合によっては特定の特徴をより明確に示すために比率を誇張することができる。このような表示及び作図手法は、必ずしも根底にある本質的な目的に影響を与えない。上述したように、本明細書は、本明細書に教示され当業者に理解される本発明の原理に従って全体として受け取られ解釈されることが意図される。
【0018】
本明細書に説明しかつ図示した例示的なシステム、構成要素及び構造に関して、当業者に理解されるように、実施形態は、1又は2以上のシステム、ハードウェア、ソフトウェア又はファームウェア構成、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む、多数の構成及び構成要素によって具体化可能であり、又はこれらを使用可能であることを理解されたい。従って、図面は、本明細書で考慮する1又は2以上の実施形態のための構成要素を含む例示的なシステムを図示するが、各実施形態に関して、システムに1又は2以上の構成要素が存在せず又は必要ではない場合があることを理解されたい。
【0019】
図1A及び
図1Bは、実施形態による、例えば、無線マイクロホン(図示せず)とともに使用する携帯用無線ボディパック型送信機のような例示的な携帯用無線ボディパック型装置100(本明細書では「ボディパック型装置」とも呼ぶ)の前面斜視図及び背面斜視図を示す。本明細書に記載の実施形態は、ボディパック型送信機に関して説明するが、「ボディパック型装置」という用語は、本明細書では、無線パーソナルモニタとともに使用する携帯用無線ボディパック型のような送信機及び受信機の両方を含むように用いる。
【0020】
図示するように、ボディパック型装置100は、装置100の反対側に配置された前面カバー102及び後面カバー104と、それらの間に連結されたフレーム106とを含む。フレーム106は、ボディパック型装置100の左外側壁108a及び右外側壁108b、ならびに装置100の上外面108c及び下外面108dを形成することができる。実施形態では、フレーム106は、ボディパック型装置100の上部、前面セクションの周りに延びて、ボディパック型装置100の上前面部分108eを形成することができる。図示のように、上前面部分108eは、ディスプレイ画面110を保持及び/又は支持し、前面カバー102を支えるように構成できる。この場合、前面カバー102は、ボディパック型装置100の前面の下部のみを形成することができる。
【0021】
さらに
図2及び
図3を参照すると、実施形態によるボディパック型装置100のフレーム106の後方斜視図が示される。
図2に示すように、前面カバー102は、上前面部分108eの下方でフレーム106の前面106aに連結することができ、後面カバー104は、フレーム106の後面106bに連結することができる。従って、
図1に示すように、前面カバー102と後面カバー104とは、互いにフレーム106の幅分だけ離間することができる。
【0022】
実施形態では、前面カバー102、後面カバー104、及びフレーム106は互いに接合されて、ボディパック型装置100の様々な電気部品を収容するための筐体を形成する。例えば、さらに
図4を参照すると、ディスプレイ画面110用の回路、電源、無線通信ユニット、及び1又は2以上のオーディオ部品を含む、ボディパック型装置100の様々な電気部品を備える例示的な回路基板111が示される。図示するように、回路基板111は、フレーム106内で上前面部分108eと後面カバー104との間に位置することができる。実施形態によれば、回路基板111は、
図4に示すように、例えばプリント回路基板を含む任意の形式の回路基板にすることができる。
【0023】
図1〜
図4に示すように、ボディパック型装置100は、装置100の両側の側壁108a及び108bに配置された一組のアンテナ組立体112a及び112bをさらに含む。実施形態では、アンテナ組立体112a及び112bは、ボディパック型装置100の既存の形状因子を維持するように、ボディパック型装置100の筐体に完全に一体化するように又は埋め込まれるように構成されている。例えば、
図1A及び
図1Bに示すように、各アンテナ組立体112a、112bは、対応する側壁108a、108bの一部を形成し、及び/又は、対応する側壁108a、108bと同一平面上にある。さらに、
図2及び
図3に示すように、アンテナ組立体112a及び112bは、それぞれの側壁108a及び108bに含まれる対応するスロット114内に完全に嵌合して、ボディパック型装置100の外側のいかなる空間も占有しないように構成されている。実施形態では、少なくとも両側の側壁108a及び108bにおけるアンテナ組立体112a及び112bの共形構造及び対称配置に起因して、アンテナ組立体112a及び112bは、
図2及び
図3に示すように互いに鏡像となるように構成することができる。
【0024】
より具体的には、各アンテナ組立体112a、112bは、アンテナ素子(例えば、
図7のアンテナ素子202)を取り囲むように構成されたアンテナハウジング116と、アンテナハウジング116内部のアンテナ素子に接続した第1の端部及びアンテナハウジング116から外側に延びる第2の端部を有する電気ケーブル118と、アンテナハウジング116に隣接して外側で電気ケーブル118に連結された導電性ガスケット120とを含む。
図3に示すように、それぞれの側壁108a、108bにおいて対応するアンテナ組立体112a、112bを収容するためのスロット114は、アンテナハウジング116を収容するための外部開口部122と、電気ケーブル118及び導電性ガスケット120を収容するための内部チャネル124とを含む。内部チャネル124は、外部開口部122の上端から延びて、対応する側壁108a、108bの内側に沿ってボディパック型装置100の上面108cに向かって延びる。外部開口部122は、対応する側壁108a、108bに切れ目を形成し、対応する側壁108a、108bの幅と実質的に等しい幅をもつ。
【0025】
実施形態では、アンテナハウジング116の幅、深さ、及び全体形状は、外部開口部122の幅、深さ、及び形状に従って設定することができ、アンテナハウジング116は、開口部122全体に一致するか又はそれを満たす。例えば、
図1〜
図3に示すように、アンテナハウジング116の外壁は、ボディパック型装置100の外壁とぴったり合うことができ、より具体的には、それぞれの外側壁108a、108bの一部を形成し、アンテナハウジング116の前面及び後面は、フレーム106のそれぞれ前面106a及び後面106bと実質的に同一平面上とすることができる。
【0026】
また実施形態では、導電性ガスケット120の幅、深さ、及び全体形状は、それぞれ内部チャネル124の幅、深さ、及び形状に応じて設定することができ、導電性ガスケット120は、内部チャネル124及びケーブル118の周りにぴったり嵌合する。一部の実施形態において、導電性ガスケット120は、ゴムのような圧縮性材料から作られており、このことは、導電性ガスケット120を内部チャネル124内に圧入する際にその側面が圧縮されて、導電性ガスケット120と内部チャネル124との間に気密シールを形成することを可能にする。一部の実施形態において、
図2に示すように、フレーム106上に後面カバー104を配置すると、例えば、後面カバー104の内縁に沿う1又は2以上のリブ125が加える圧力によって、導電性ガスケット120は、内部チャネル124の中にさらに圧縮される。
【0027】
図4に示すように、電気ケーブル118は、アンテナ組立体112a及び112bを回路基板111に電気的に接続するように構成できる。例えば、各電気ケーブル118は、アンテナハウジング116の反対側でケーブル118に連結されたプラグ126(例えば、MHFプラグ)を含むことができ、回路基板111は、プラグを受け入れるための対応するコネクタ128(例えば、MHFソケット)を含むことができる。実施形態では、電気ケーブル118は、アンテナ組立体112のアンテナ素子と回路基板111との間で無線信号を伝達するのに適した、同軸ケーブル又は他の種類の通信ケーブルにすることができる。
【0028】
実施形態では、ボディパック型装置100は、コネクタ130(例えば、SMAコネクタ)に連結された追加の外部アンテナ又はホイップアンテナ(例えば、WIPアンテナ)を含むことができ、コネクタ130は、装置100の上面108cに組み込まれかつ回路基板111に電気的に接続される。1つの例示的な実施形態では、外部アンテナは、許可されたUHF周波数帯で動作するように構成可能であり、アンテナ組立体112a及び112bは、2.4ギガヘルツ(GHz)周波数帯(例えば、制御リンク信号のための)でダイバーシティ動作するように構成可能である。他の実施形態では、アンテナ組立体112a及び112b及び/又は外部アンテナは、以下の何れかの周波数帯域、すなわち1.5GHz、1.8GHz(1.9GHz又は「DECT」周波数帯が含まれる)、2.4GHz(例えば、ZigBee周波数帯)、5.7GHz、6.9GHz、及び7.1GHzで動作するように構成できる。当業者であれば理解できるように、これらの周波数帯域の各々は、指定周波数を囲む周波数範囲をカバーするか又は含む。
【0029】
外部アンテナの機能は、ボディパック型装置100の形式に応じて様々とすることができる。例えば、無線ボディパック型マイクロホン送信機の場合、外部アンテナは、無線マイクロホンから無線信号を受信するように構成可能であり、一方で、アンテナ組立体112a及び112bは、受信した無線信号を遠隔受信機に送信するように構成可能である。別の実施例として、無線ボディパック型パーソナルモニタ受信機の場合、アンテナ組立体112a及び112bは、遠隔送信機から無線信号を受信するように構成可能であり、外部アンテナは、受信した無線信号を無線パーソナルモニタに送信するように構成可能である。
【0030】
実施形態では、それぞれの側壁108a、108b上のアンテナ組立体112a、112bの配置は、各組立体112に含まれるアンテナ素子と外部アンテナ及び/又はこの外部アンテナに連結されたコネクタ130との間の距離を最大にするように構成可能である。例えば、
図1Aに示すように、各アンテナ組立体112a、112bの下端(従って、アンテナ組立体に含まれるアンテナ素子の下端)は、フレーム106のうち外部アンテナコネクタ130を含む上側面106cよりも下側面108dに近接して位置することができる。実施形態では、外部アンテナと各アンテナ組立体112a、112bとの間の距離は、各アンテナの動作周波数帯の間の望ましくない相互作用、例えば相互変調積、受信機過負荷作用の発生などを最小限に抑えるのを助けるために選択できる。
【0031】
実施形態によれば、前面カバー102、後面カバー104、及びフレーム106の各々は、装置100の内部構成要素に対する無線周波数(RF)の遮蔽作用を与えるために、金属のような頑丈な導電性材料から作ることができる。一方で、アンテナハウジング116は、アンテナハウジング116に含まれるアンテナ素子による無線通信を助長するために、プラスチックのような非導電性材料で作ることができる。理解されるように、アンテナ素子が、導電性部品又は金属部品にごく接近して配置される場合、及び/又は人体の上又はその近くに配置される場合、アンテナの離調が起こる可能性がある。実施形態では、このアンテナの離調を最小限に抑えて高いアンテナ効率を実現し、並びに、例えば、アンテナハウジング116内のアンテナと回路基板111上に含まれる内部回路との間のRF干渉を最小限に抑え、及び/又はボディパック型装置100のアンテナ間の干渉によって生じるRFリンク障害を軽減するために、非導電性アンテナハウジング116を、ボディパック型装置100の導電性筐体内に配置することができる。
【0032】
例えば、
図1A及び
図1Bに示すように、各アンテナ組立体112a、112bは、装置100の前面カバー102と後面カバー104との間の対応する側壁108a、108bの中心に置くことができる。このアンテナ組立体112a及び112bの配置は、導電性カバー102及び104を、例えば人体との干渉からアンテナ素子の空間的隔離を最大にするために利用し、それにより人体による離調の影響を軽減してアンテナ効率を改善することができる。
【0033】
さらに、
図2及び
図3に示すように、各非導電性アンテナハウジング116は、上面、下面、及び内面が導電性フレーム106のそれぞれの側壁108a、108b内に、さらに前面及び後面が導電性の前面カバー102と後面カバー104との間に、ハウジング116の残りの側面がボディパック型ハウジング100の外側に向いた状態で収容される。アンテナハウジング116をボディパック型装置100の導電性筐体内に配置すると、ボディパック型装置100の内部回路は、アンテナハウジング116のアンテナ素子によって伝達される及び/又は放射されるあらゆるRF干渉から遮蔽される。
【0034】
また、
図2及び
図3に示すように、アンテナ組立体112a及び112bは、それぞれ反対側の側壁108a及び108bに配置することができるので、内部のアンテナ素子は、ボディパック型装置100の全幅だけ分離される。この配置により、例えば、各アンテナ素子の空間分離が最大になるが、アンテナ組立体112a及び112bは、依然としてボディパック型装置100に完全に一体化した状態に維持される。この物理的な分離に起因して、各アンテナ素子はダイバーシティアンテナとして動作することができ、最大のダイバーシティ利得でもって、例えば相互変調積のような望ましくない作用を生じることなく、同一の又は類似のRF周波数帯(例えば、1.5GHz、1.8GHz、2.4GHz(例えば、ZigBee周波数帯)、5.7GHz、6.9GHz、7.1GHzなど)をカバーする。少なくとも、アンテナが、例えば人体による離調に起因して一方のアンテナに障害が発生した場合に互いのバックアップとして機能するので、このような空間ダイバーシティは、RFリンク障害の可能性をなくす又は低減するのを助けることもできる。
【0035】
図5及び
図6は、
図2及び
図3に示したフレーム106内に挿入するように構成された、実施形態による例示的なアンテナ組立体200を示す。図示した実施形態では、アンテナ組立体200は、
図3に示したアンテナ組立体112bに類似しており、アンテナ組立体112a及び112bに関して本明細書で説明したアンテナハウジング116、電気ケーブル118、導電性ガスケット120、及び電気プラグ126を含む。
図5は、完全に組み立てられてフレーム106に挿入する準備ができているアンテナ組立体200を示す。
図6では、図示の容易にしかつアンテナハウジング116の内側の構成要素の説明を容易にするために、アンテナ組立体200は、アンテナハウジング116を部分的に透視した状態で示される。本明細書に記載したアンテナ組立体200の実施形態は、アンナ組立体112bに関して説明するが、同じ技術を使用してアンテナ組立体200の鏡像を生成することによって、アンテナ組立体112aを実施できることを理解されたい。
【0036】
図6に示すように、実施形態によれば、アンテナハウジング116は、アンテナ素子202と、1又は2以上の誘電材料、例えば第1の誘電体部分204、第2の誘電体部分206、及び/又は第3の誘電体部分208とを完全に収容する。1又は2以上の誘電材料は、アンテナ素子202が高いアンテナ効率を実現するように選択された低損失、誘電体装荷材料であることが好ましい。例えば、1又は2以上の誘電材料は、単独で又は互いに組み合わさって、高い誘電率をもたらすことができ、それにより電気的に短いアンテナ素子202を補うこと、そうでなければアンテナ素子202の電気的長さを増大させることができる。
【0037】
実施形態では、第1の誘電体部分204は、例えば、PORON(登録商標)又は他の適切な導電性発泡体で作られた発泡パッドである。第2の誘電体部分206は、例えばSigma Plastronics社が製造したFlex Epoxyなどのエポキシ又はエポキシ樹脂、又は他の何らかの適切なエポキシ材料から作られている。第3の誘電体部分208は、空気又は他の適切な誘電材料から成る。
図6に示すように、第1の誘電体部分204(本明細書では「発泡体部分(foam portion)」とも呼ぶ)は、アンテナ素子202に隣接して、第2の誘電体部分206(本明細書では「エポキシ部分」とも呼ぶ)と空気部分208(本明細書では「空気部分」とも呼ぶ)との間に位置することができる。さらに、第3の誘電体部分208は、発泡体部分204とアンテナ素子202の内側端210との間に位置することができ、エポキシ部分206は、発泡体部分204とアンテナハウジング116の開放端212との間に位置することができる。実施形態では、エポキシ部分206は、アンテナハウジング116の開放端212を環境的に密封するように構成可能であり、一方で、アンテナハウジング116の反対端214は完全に閉鎖可能であり、それによってアンテナ素子202を両端上において湿気、ごみ、及び他の外部要因から保護する。
【0038】
実施形態では、アンテナ組立体200は、アンテナ素子202の構造的完全性及び電気的特性を維持するようデザインされた多段階で組み立てることができる。例えば、
図7〜
図10は、実施形態によるアンテナ組立体200を製造するための例示的なプロセスの間の種々の製造段階を示す。製造プロセスは、1つの設備又は複数の設備で行うことができる。例えば、場合によっては、1又は2以上の工程は前製造設備で行い、残りの工程は仕上げ設備で行うことができる。
【0039】
最初に
図7を参照すると、実施形態によるアンテナ組立体200の例示的な第1の部分組立体216が示される。図示のように、第1の部分組立体216は、アンテナ素子202、発泡体部分204、及び電気ケーブル118を含む。実施形態では、電気ケーブル118の第1の端部は、アンテナ202の給電点(feed point)としても機能する接続点217においてアンテナ素子202に接続することができ、発泡体部分204は、給電点217に隣接したアンテナ素子202に付着することができる。アンテナ素子202は、公知の金属形成技術を用いて1又は2以上の金属板又は他の適切な導電材料から形成することができる。実施形態によれば、アンテナ素子202は、何らかの適切な形式のアンテナ、例えば、逆Fアンテナ(inverted-F antenna)、平面逆Fアンテナ(PIFA)、改良逆Fアンテナ、逆Lアンテナ、二重逆Lアンテナ、又はこれらのアンテナ構造の混成となるように構成できる。加えて、アンテナ202は、オーディオ信号、データ信号、及び/又は制御リンク信号を送信及び/又は受信するために、何らかの所望の動作周波数帯、例えば、1.5GHz周波数帯、1.8GHz周波数帯、2.4GHz周波数帯、5.7GHz周波数帯、6.9GHz周波数帯、及び/又は7.1GHz周波数帯を範囲に含むように設定することができる。
【0040】
図7に示すように、アンテナ素子202(本明細書では「アンテナ」とも呼ぶ)は、内側端210と反対側の外側端220との間に延びる細長い本体218と、本体218から形成され又はそこから離れて延びる1又は2以上の構造体とを含む。例えば、図示の実施形態では、アンテナ202の内側端210は、アンテナ202の本体218から垂直に延びて、実質的にアンテナハウジング116の幅に広がる「L字型」構造体又は脚部を形成する。アンテナ202の外側端220も本体218から垂直に延びるが、
図7に示すように、同時にぐるりと一回り湾曲してらせん状構造体を形成する。さらに、アンテナ素子202は、給電構造体222及びベース構造体224を含み、両者は、アンテナ202の本体218から垂直に延び、電気ケーブル118に取り付くように構成される。
【0041】
図示のように、電気ケーブル118は、ベース構造224を貫通して延び、給電点217において給電構造体222に接続して終端する。実施形態では、電気ケーブル118は、マイクロ同軸ケーブル又は他の通信ケーブルにすることができ、内側シールド118b(「金属編組」とも呼ぶ)を覆う非導電性外側スリーブ118a(「プラスチックジャケット」とも呼ぶ)を有しており、内側シールド118は導電性コア118c(「中心導体」とも呼ぶ)を覆う。
図7に示すように、電気ケーブル118の特定の部分を切り取り、ケーブル118の内側シールド118b及び/又は導電性コア118cを露出させて、ケーブル118とアンテナ素子202との間に電気的接続をもたらすことができる。例えば、
図6に示すように、内側シールド118bは、ケーブル118のベース構造224の外部に連結してプラグ126に向かって延びる部分で露出することができ、この部分は、導電性ガスケット120によって実質的に覆われている。その場合、内側シールド118bは、ベース構造224の外部にはんだ付けすることができる。導電性コア118cは、構造体222と構造体224との間に延びるケーブル118部分で露出することができる。その場合、導電性コア118cは、接続点217において給電構造体222にはんだ付けすることができ、結果としてアンテナ給電点がもたらされる。
【0042】
実施形態では、本体218並びに1又は2以上の構造210、220、222、及び224の大きさ、形状、及び構成は、所望の形式のアンテナを実装する、所望のアンテナ長を実現する、適切なインピーダンス整合を可能にする又はそうでなければ所望の周波数帯域におけるアンテナ性能を最適化する、及び/又はアンテナ素子202をそれぞれの側壁108a、108b内のスロット114の幾何学形状(又はフレーム106の内側でアンテナ組立体200が利用できる他の空間)に一致させるように構成できる。例えば、本体218の幅及び長さは、
図3に示したスロット114の深さ及び長さに基づいて選択でき、一方で、アンテナ素子202の全体形状は、所望のアンテナ長及び形式を実現するように選択できる。別の実施例として、ベース構造体224と給電構造体222との間の距離は、アンテナ202のインピーダンス整合を最適化するように選択できる。
【0043】
さらに別の例として、実施形態において、外側端220のらせん構造は、内部チャネル124の形状又は構成に応じて設定することができ、内部チャネル124は、アンテナ組立体200がフレーム106内に配置されたときアンテナ202の外側端220を収容する。実施形態では、外側端220の形状及び配置は、アンテナ202用の接地要素をもたらすように構成することもできる。その場合、外側端220は、アンテナを接地するように設計された接地スプリング又は金属クリップとして機能することができる。例示のために、
図11にフレーム106の側壁108bに連結されたアンテナ組立体200を示すが、アンテナ202の外側端220を示すために、導電性ガスケット120及び電気ケーブル118は取り除かれている。図示のように、外側端220は、内部チャネル124の凹所に嵌合し、一回り湾曲して凹所を満たすが、接触壁226を除く凹所の壁とは非接触である。また、外側端220の平面部分は、接触壁226の反対側に接触する。実施形態によれば、外側端220と導電性フレーム106の接触壁226との間のこれら2つの接触点は、アンテナ素子202の動作時の接地ポストをもたらすことができる。内部チャネル124の凹所内への外側端220の配置は、アンテナ組立体200を適所に保持するのを助けること、及び/又はスロット114内でのアンテナ組立体200の移動を阻止するのを助けることができる。
【0044】
次に
図8を参照すると、実施形態によるアンテナ組立体200を製造するためのプロセスにおける、第1段階の間の第1の部分組立体216及びアンテナハウジング116が示される。第1段階の間に、第1の部分組立体216は、アンテナハウジング116に挿入されて第2の部分組立体228(
図9に示す)を形成する。
図6に示すように、第1の部分組立体216は、アンテナハウジング116内に完全には挿入されない。むしろ、
図9に示すように、少なくとも外側端220は、アンテナハウジング116の外側に残っている。実施形態では、発泡体パッド204は、アンテナ素子202を、アンテナハウジング116内に及び/又はハウジング116の内側に接して整列させるように構成することができる。例えば、発泡体パッド204は、アンテナハウジング116の内側に対してぴったりと嵌合するように設定された大きさ及び形状とすることができるので、アンテナ素子202が、ハウジング116の内側にある間に、あちこち移動するのを又は衝突するのを阻止することができる。場合によっては、発泡体パッド204とハウジング116の内側との間に密封シールを形成するために、発泡体パッド204は、部分組立体216をハウジング116に滑り込ませる際に少なくともわずかに縮むことができる。
【0045】
図9は、実施形態によるアンテナ組立体200を製造するためのプロセスにおける、第2段階の間の第2の部分組立体228を示す。第2段階の間に、エポキシ材料(図示せず)がアンテナハウジング116の開放端212に分配され、アンテナ組立体200のエポキシ部分206を形成するようになっている。例えば、エポキシ材料は、液体形態又は展着可能形態でハウジング116内に堆積され、次いで、例えば硬化プロセスを用いて所定位置に硬化させる又は固めることができる。実施形態では、発泡体パッド204は、例えばアンテナハウジング116の側壁と共に耐液シールを形成することによって、エポキシ材料の下向きの流れを制限するための基部として機能するよう構成することができる。その場合、エポキシ部分206は、例えば
図10に示すように、発泡体パッド204とアンテナハウジング116の開放端212との間の空間を、エポキシ材料で完全に充填することによって形成することができる。エポキシ部分206が形成されると、構造体222及び224を、より具体的にはケーブル118とアンテナ素子202との間の2つの接触点をエポキシ材料の中に入れることができ、アンテナハウジング116の開放端212は、エポキシ材料によって環境的に密封することができる。
【0046】
図10は、実施形態によるアンテナ組立体200を製造するためのプロセスにおける、第3段階の間の第3の部分組立体230を示す。図示のように、第3の部分組立体230は、所定の位置にエポキシ部分206を有する第2の部分組立体228を含む。第3段階の間に、導電性ガスケット120は、電気ケーブル118の内側シールド118bを導電性ガスケット120の中央スロット232に挿入することによって、第3の部分組立体230に連結される。実施形態では、導電性ガスケット120は、導電性ゴム(例えば、Chomerics(登録商標)で製造された導電性エラストマー)もしくは金属又は他の導電ピースを含む他の適切な圧縮性材料で作ることができる。導電性ガスケット120の大きさ及び形状は、第3の部分組立体230の周り又はその上に嵌合する、及び/又はフレーム106の内部チャネル124内に嵌合するように構成することができる。例えば、
図6に示すように、導電性ガスケット120の第1の部分120aは、外側端220に形成された金属クリップの上に置かれるか又はそれによって支持されるように構成することができる。さらに、導電性ガスケット120の第2の部分120bは、第1の部分120aを越えて下方に延びるように構成することができ、アンテナ組立体200が内部チャネル124に挿入される場合に第2の部分120bの底部側はフレーム106と接触するようになっている。第3段階が完了すると、アンテナ組立体200は、例えば
図5に示すように完全に組み立てられ、フレーム106に挿入する準備ができている。
【0047】
実施形態では、導電性ガスケット120は、アンテナ202の外側端220によって形成された金属クリップに加えて、アンテナ202の二次接地要素として機能するように構成することができる。特に、ガスケット120の中央スロット232は、少なくとも3つの側面で内側シールド118bの周りにしっかりと嵌合する及び/又はそれに接触する大きさ及び形状とすることができる。加えて、ガスケット120をフレーム106の内部チャネル124に押し込む際に、中央スロット232の側面は、内側シールド118bの周りでさらに圧縮された状態になり得る。導電性ガスケット120及び内側シールド118bの両方の電気的特性に起因して、このシールド118bの金属編組とガスケット120の導電性ゴムとの間の圧縮接触、及び導電性ガスケット120と内部チャネル124との間の周囲接触は、フレーム106と内側シールド118bとの間に電気接地経路をもたらし、結果的に二次アンテナ接地を形成することができる。実施形態では、導電性ガスケット120と内側シールド118bとの間の圧縮接触は、さらに内側シールド118bをRF干渉から保護し、ノイズを低減する。
【0048】
一部の実施形態では、携帯用無線ボディパック型装置100の他の構成要素は、例えば、ボディパック型装置100に起因する何らかの寄生共振(例えば、静電容量及び/又はインダクタンス)を抑える又は最小化するのを助けるために、アンテナ組立体200の機械的精度を保証することによって及び/又はアンテナ202用の追加の接地点を提供することによって、アンテナ組立体200の性能をさらに向上させるのを助けることができる。例えば、後面カバー104がフレーム106に固定されると、後面カバー104の内側縁上の1又は2以上のリブ125は、アンテナ組立体200を所定の位置に押し込み、装置100の急な動き(jerking)又は他の動きの間に、アンテナ組立体200をしっかり固定した状態にするのを助けることができる。別の実施例として、
図12〜
図14は追加の接地部位を示し、これらは、前面カバー又はドア102と導電性フレーム106の特定の接続点によって形成され、実施形態による装置100からの寄生共振を回避するのを助けるように構成されている。
【0049】
特に
図12は、フロントドア102がドア102の両側に配置された一対のラッチ234を用いてフレーム106に固定できることを示す。実施形態では、ラッチ234は金属又は他の導電材料で作られている。
図13は、ボディパック型装置100の片側の部分断面図であり、各ラッチ234が点236において導電性フレーム106と接触すること、又はそれをかむことを示す。実施形態では、ドア102の導電性ラッチ234と装置100の各側面上の導電性フレーム106との間の接触点236は、アンテナ202のために追加の接地部位をもたらす確かな電気的な接触を形成でき、それによってボディパック型装置100からの寄生共振を抑えるのを助ける。同様に、
図14は、前面ドア102が一対のヒンジ238によってフレーム106に連結されることを示す。実施形態では、ヒンジ238は、金属又は他の導電材料で作られており、前面ドア102を導電性フレーム106の底部又は後面106bに固定するスプリングピンを含む。ヒンジ238とフレーム106との間の確かな電気的な接触により、同様にボディパック型装置100の寄生共振を回避するのを助けるアンテナ202のための追加の接地部位を形成することができる。
【0050】
図15は、実施形態による別の例示的な携帯用無線ボディパック型装置300の断面図を示す。ボディパック型装置300は、
図1A及び
図1Bに示したボディパック型装置100と比べて、ダイバーシティアンテナ302のデザイン及び配置以外は、実質的に同じとすることができる。例えば、ボディパック型装置300は、導電性フレーム306に連結して、プリント回路基板311及びアンテナ302を含む様々な電子部品を収容するための筐体を形成する前面カバー(図示せず)及び後面カバー304を含む。しかしながら、
図15に示すように、アンテナ302は、フレーム306のそれぞれの側壁308の上部に沿って及び/又は装置300の両側面の上コーナー部に隣接して配置される。加えて、
図15に示すように、アンテナ302の形状は、側壁308及び/又はフレーム306の3枚パネルの形状に一致するように構成されている。例えば、アンテナ302は、1枚の金属板を3つのパネルに折り曲げること又は折り畳むことによって形成することができ、中央パネルは、側壁308a、308bの幅と一致し、2枚の側部パネルは、それぞれの側壁308a、308bの何れかの側面でフレーム306の周囲に配置される。さらに、アンテナを回路基板に接続するために電気ケーブルを用いる代わりに、アンテナ302は、回路基板311に直接接続される(例えば、はんだ付けによって)ポゴピン又は金属バネフィンガー310を用いて、回路基板311に電気的に接続することができる。場合によっては、電気ケーブル318は、アンテナ302の入力点319を基板311上の適切な回路320に接続するために使用できる。他の場合では、回路320は、ケーブル318が不要となるように、回路基板311上に配置することができる。従って、ボディパック型装置300のアンテナ配置は、実装がより簡単かつ容易な機械的構造をもたらすことができる。
【0051】
このように、本明細書に説明した実施形態は、ダイバーシティアンテナを備える改良された携帯用無線ボディパック型送信機又は受信機を提供し、ダイバーシティアンテナは、人体による離調に起因する無線周波数(RF)リンクの損失を最小限に抑えるのを助けるために、ボディパック型ハウジングの反対側の側面に好都合に配置される。ダイバーシティアンテナは、2.4GHz周波数帯、又は1.5GHz、1.8GHz、5.7GHz、6.9GHz、及び/又は7.1GHzなどの他の高周波数帯域での実装のために構成することができる。さらに、ボディパック型装置に組み込まれたアンテナ組立体は、ボディパック型装置の導電性筐体に完全に埋め込まれ、筐体内の既存の空間、より具体的には筐体を支持するフレームに適合するように構成されている。加えて、アンテナ組立体は、製造プロセス及び組み立てプロセス中にアンテナ性能が安定しかつ共振周波数変動が最小となるように構成された、特有の機械的デザインをもつ。例えば、組み立てプロセスは、アンテナ素子の部分組立体を機械的筐体(又はプラスチックハウジング)に挿入するステップ、及び部分組立体のRFケーブルをボディパック型装置の主回路基板に接続するステップを含むことができる。
【0052】
本開示は、様々な実施形態を本発明の技術に従ってどのように構成して使用するかについて説明することを意図しているが、本発明の真の、意図した、公正な範囲及び趣旨を限定するものではない。上述の説明は、網羅的であること、又は開示される厳密な形態に限定されることを意図するものではない。上記教示に照らして、変更又は変形が可能である。実施形態は、説明した技術の原理及びその実用的な適用例の最適な説明をもたらし、また、当業者が、当該技術を、様々な実施形態で、かつ想定される具体的な用途に適した様々な変更をともなって利用できるように、選択されて説明されている。この全ての変更例及び変形例は、本特許出願の係属中に補正される可能性のある添付の特許請求の範囲により定められる実施形態、及び、当該実施形態が、公正に、慣習法上かつ衡平法上受ける資格のある権利の幅に従って解釈された場合の当該実施形態の全ての均等例の範囲内に含まれる。