特許第6918112号(P6918112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918112
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】高電圧パルスシステムを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20210729BHJP
   B02C 19/18 20060101ALI20210729BHJP
   B02C 25/00 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   H02J7/00 H
   B02C19/18 Z
   B02C25/00 Z
【請求項の数】19
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-531497(P2019-531497)
(86)(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公表番号】特表2019-527028(P2019-527028A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】CH2016000113
(87)【国際公開番号】WO2018039807
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2019年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】508294169
【氏名又は名称】ゼルフラーク アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】selFrag AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン カルケ
(72)【発明者】
【氏名】ラインハート ミュラー−ズィーベアト
【審査官】 大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−173885(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第01047730(GB,A)
【文献】 特開2010−237291(JP,A)
【文献】 特開2006−228673(JP,A)
【文献】 特表昭62−502733(JP,A)
【文献】 特表2009−531165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
B02C 19/18
B02C 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧パルス用のエネルギーを供給するエネルギー蓄積器(3)と、前記エネルギー蓄積器(3)を充電する充電器(4)とを備えた高電圧パルスシステム(1)を、特に、高電圧放電を用いた材料(2)の破砕および/または脆弱化のために、動作させる方法であって、
前記システム(1)により、意図された高電圧パルス動作中に、高電圧パルスのシーケンスが生成され、前記エネルギー蓄積器(3)は、各高電圧パルスのもとで完全に放電され、充電休止期間(LP)の経過後に初めて、次の高電圧パルスのための前記充電器(4)による充電エネルギーの供給によって再充電され、
前記エネルギー蓄積器(3)は、前記システム(1)を、意図された高電圧パルス動作から、前記高電圧パルスシステム(1)の前記エネルギー蓄積器(3)が放電され、意図しない充電から保護される非動作状態に移行させる際に、充電休止期間(LP)において、短絡および/または接地され
前記エネルギー蓄積器(3)の短絡および/または接地は、短絡または接地スイッチ(5)を用いて、特に少なくとも2つの短絡または接地スイッチ(5)を用いて行われ、
1つ以上の前記短絡または接地スイッチ(5)の接点は、オイル内に、特に、オイルで満たされた共通の容器内に前記エネルギー蓄積器(3)と共に配置されている、
方法。
【請求項2】
前記エネルギー蓄積器(3)の短絡および/または接地の後で、前記充電器(4)による充電エネルギーは、短絡および/または接地された前記エネルギー蓄積器(3)にもはや供給されない、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1つ以上の前記短絡または接地スイッチ(5)の切り替え状態は、1つ以上のセンサ(11)を用いて監視される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
1つ以上の前記短絡または接地スイッチ(5)の切り替え状態は、光学的切り替え状態表示器を用いて監視される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の前記短絡または接地スイッチ(5)は、閉成状態において、機械的にロックおよび/または固定される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
意図された高電圧パルス動作において、50kVを超える、特に100kVを超える電圧を有する高電圧パルスが生成される、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
意図された高電圧パルス動作において、1Hzを超える、特に5Hzを超えるシーケンス周波数で高電圧パルスが生成される、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記エネルギー蓄積器(3)の短絡および/または接地は、短絡または接地抵抗の使用なしで行われる、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法を実施する高電圧パルスシステム(1)であって、
a)高電圧パルス用のエネルギーを供給するエネルギー蓄積器(3)と、
b)前記エネルギー蓄積器(3)を充電する充電器(4)と、
c)短絡および/または接地により、意図しない充電から前記エネルギー蓄積器(3)を保護する1つ以上の短絡または接地スイッチ(5)と、
d)前記システム(1)を制御する装置(6,7)と、を備え、
前記システム(1)は、当該システム(1)を制御する前記装置(6,7)を用いて、
前記システム(1)により、意図された高電圧パルス動作中に、高電圧パルスのシーケンスが生成され、その際に前記エネルギー蓄積器(3)は、各高電圧パルスのもとで完全に放電され、充電休止期間(LP)の経過後に初めて、次の高電圧パルスのための前記充電器(4)による充電エネルギーの供給によって再充電されるように制御可能であり、
1つ以上の前記短絡または接地スイッチ(5)の接点は、オイル内に、特に、オイルで満たされた共通の容器内に前記エネルギー蓄積器(3)と共に配置されている、
高電圧パルスシステム(1)。
【請求項10】
前記システム(1)を制御する前記装置(6,7)は、停止命令に対して、当該システム(1)が、1つ以上の前記短絡または接地スイッチ(5)の閉成により、前記停止命令に続く充電休止期間(LP)中に、当該高電圧パルスシステム(1)の前記エネルギー蓄積器(3)が放電され、短絡または接地により、意図しない充電から保護される非動作状態に移行可能であるように構成されている、請求項記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記システム(1)を制御する前記装置(6,7)は、前記エネルギー蓄積器(3)の短絡および/または接地の後で、前記充電器(4)による充電エネルギーが、短絡および/または接地された前記エネルギー蓄積器(3)にもはや供給されないように構成されている、請求項10記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記システム(1)は、少なくとも2つの短絡または接地スイッチを有している、請求項9から11までのいずれか1項記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記システム(1)は、1つ以上の前記短絡または接地スイッチ(5)の切り替え状態を監視する1つ以上のセンサ(11)を有している、請求項9から12までのいずれか1項記載のシステム(1)。
【請求項14】
前記システム(1)は、1つ以上の前記短絡または接地スイッチ(5)の切り替え状態を視覚的に監視する光学的切り替え状態表示器を有している、請求項9から13までのいずれか1項記載のシステム(1)。
【請求項15】
前記システム(1)は、1つ以上の前記短絡または接地スイッチ(5)を、閉成状態において、機械的にロックおよび/または固定する装置を有している、請求項9から14までのいずれか1項記載のシステム(1)。
【請求項16】
1つ以上の前記短絡または接地スイッチ(5)は、非操作状態または操作エネルギーなしの状態において閉成されている、請求項9から15までのいずれか1項記載のシステム(1)。
【請求項17】
前記システム(1)は、自身により、意図された高電圧パルス動作において、50kVを超える、特に100kVを超える電圧を有する高電圧パルスが生成され得るように構成されている、請求項9から16までのいずれか1項記載のシステム(1)。
【請求項18】
前記システム(1)は、自身により、意図された高電圧パルス動作において、1Hzを超える、特に5Hzを超えるシーケンス周波数で高電圧パルスが生成され得るように構成されている、請求項9から17までのいずれか1項記載のシステム(1)。
【請求項19】
システム(1)によって生成された高電圧パルスを用いて、特に、導電性の低い材料(2)または複合材料、特に、コンクリート、岩石、鉱石またはスラグを破砕する、請求項9から18までのいずれか1項記載の高電圧パルスシステム(1)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念による、高電圧パルスシステムを動作させる方法、特に、高電圧放電を用いた材料の破砕および/または脆弱化のために、高電圧パルスシステムを動作させる方法、当該方法を実施するシステム、ならびに、当該システムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
高電圧パルスシステム、例えば、高電圧放電を用いた材料の電気力学的破砕のために使用されるような高電圧パルスシステムでは、動作中に高電圧の流れる部品の近傍に人が近づく可能性がある場合、安全上の理由から、エネルギー蓄積器、大抵の場合コンデンサが放電され、短絡または接地される必要がある。このことは、特に、そのようなシステムにおける、例えば、電気力学的破砕システムの作用電極の定期的な交換などの定期的な保守作業にも当てはまる。
【0003】
エネルギー蓄積器の短絡または接地は、典型的には、エネルギー蓄積器も同時に放電する短絡または接地スイッチを介して行われる。スイッチが短期間の極めて大きな電流による損傷を受けないようにするために、スイッチに直列に接続された抵抗によって電流が制限される。
【0004】
2つのスイッチ接点が近接した場合、必然的にアークが発生する。アークの強さと持続時間とは、エネルギー蓄積器内の電圧に依存する。絶縁の理由から、エネルギー蓄積器は、オイルに浸されている。短絡または接地スイッチも同様にオイル内に配置されていると、アーク放電は、オイル内で発生する。これらは、オイルを燃焼させる。燃焼生成物は、時間と共にオイルの絶縁特性を劣化させ、このことは最終的には電気的絶縁性の不良につながりかねない。
【0005】
このことを回避するために、短絡または接地スイッチの接点は、通常はガス容積内に存在し、このガス容積もオイル内に配置されている。しかしながら、この構想は、約50kVの電圧レベルまでにしか使用することができない。なぜなら、この電圧を超えると、スイッチの構造サイズも直列に接続された抵抗の構造サイズも過度に増大するからである。このことは、高いコストと非常に大量の絶縁油の必要性につながるだけでなく、特定の当該電圧範囲に好ましいシステム幾何形状も事実上不可能にさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の提示
それゆえ、ここでの課題は、前述した従来技術の欠点を持たないかあるいはこの欠点を少なくとも部分的に回避する支援となる技術的解決手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、独立請求項による方法およびシステムによって解決される。
【0008】
これにより本発明の第1の態様は、
高電圧パルス用のエネルギーを供給する1つ以上のエネルギー蓄積器と、当該1つ以上のエネルギー蓄積器を充電する1つ以上の充電器とを備えた高電圧パルスシステムを、好ましくは、高電圧放電を用いた材料の破砕および/または脆弱化のために、動作させる方法に関する。
【0009】
意図された高電圧パルス動作中に、システムにより、高電圧パルスのシーケンスが生成される。ここで1つ以上のエネルギー蓄積器は、各高電圧パルスのもとで実質的に完全に放電され、充電休止期間の経過後に初めて、次の高電圧パルスのための1つ以上の充電器による充電エネルギーの供給によって再充電される。
【0010】
本発明に係る動作方法によれば、それぞれ順次連続する2つの高電圧パルスの間で、1つ以上のエネルギー蓄積器が事実上完全に空となり、充電電圧が印加されない時間窓が達成される。
【0011】
これにより、本願方法の好ましい実施形態によって想定されているように、システムを、意図された高電圧パルス動作から、高電圧パルスシステムの1つ以上のエネルギー蓄積器が放電され、短絡または接地により、意図しない充電から保護される非動作状態に移行させるために、そのような無電圧時間窓(充電休止期間)中に、1つ以上のエネルギー蓄積器を、その際に短絡または接地電流を流すことなく短絡または接地させることが可能になる。
【0012】
このようにして、1つ以上のエネルギー蓄積器の短絡または接地の際のアークの形成を完全に防止することができ、このことは、これに関して事実上摩耗のないシステムの構造を可能にする。それに応じて、本願方法の好ましい実施形態によって想定されているように、1つ以上のエネルギー蓄積器の短絡または接地の際の短絡または接地抵抗の使用も省くことができる。
【0013】
さらに、本発明に係る動作方法によって、50kVを大幅に超える電圧範囲においても、実証済みのコンパクトなシステム構想を用いることが可能になる。
【0014】
有利には、1つ以上のエネルギー蓄積器の短絡または接地の後で、1つ以上の充電器による充電エネルギーは、1つ以上の短絡および/または接地されたエネルギー蓄積器にもはや供給されることはない。これにより、1つ以上の充電器の相応の負担と、それに結び付くエネルギー損失とを伴った1つ以上の充電器の短絡または接地には至らないという利点が生じる。
【0015】
好ましくは、1つ以上のエネルギー蓄積器の短絡または接地は、短絡または接地スイッチを用いて行われる。これにより、この短絡または接地を簡単な方法で自動化できるという利点が生じる。この場合、安全上の理由から、さらに好ましくは、この短絡または接地は、エネルギー蓄積器毎に少なくとも2つの短絡または接地スイッチを用いて行われる。
【0016】
好ましくは、1つ以上の短絡または接地スイッチの接点は、オイル内に配置され、有利には、オイルで満たされた共通の容器内に1つ以上のエネルギー蓄積器と共に配置されている。それにより、特にコンパクトなシステムが可能になる。
【0017】
さらに、好ましくは、各短絡または接地スイッチの切り替え状態は、センサおよび/または光学的切り替え状態表示器を用いて監視される。これにより安全性をさらに向上させることができる。
【0018】
また、有利には、各短絡または接地スイッチは、閉成状態において、すなわち、当該スイッチが、1つ以上のエネルギー蓄積器を短絡または接地している場合に、機械的にロックおよび/または固定される。これにより、短絡や接地の意図しない解除を確実に防止することができる。
【0019】
有利には、本発明に係る方法では、意図された高電圧パルス動作において、50kVを超える、好ましくは100kVを超える電圧を有する高電圧パルスが、特に好ましくは1Hzを超える、さらに好ましくは5Hzを超えるシーケンス周波数で生成される。
【0020】
そのような電圧およびシーケンス周波数において、本発明の利点は、特に明白である。
【0021】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による方法を実施する高電圧パルスシステムに関する。
【0022】
このシステムは、高電圧パルス用のエネルギーを供給する1つ以上のエネルギー蓄積器と、1つ以上のエネルギー蓄積器を充電する1つ以上の充電器とを備える。
【0023】
さらに、このシステムは、短絡または接地により、意図しない充電から1つ以上のエネルギー蓄積器を保護する1つ以上の短絡または接地スイッチを備える。
【0024】
また、このシステムは、システムを制御する装置も備え、当該システムを制御する装置を用いて、このシステムは、次のように制御可能である。すなわち、当該システムにより、意図された高電圧パルス動作中に、高電圧パルスのシーケンスが生成され、その際に1つ以上のエネルギー蓄積器は、各高電圧パルスのもとで実質的に完全に放電され、充電休止期間の経過後に初めて、次の高電圧パルスのための1つ以上の充電器による充電エネルギーの供給によって再充電されるように制御可能である。
【0025】
本発明に係るシステムは、それぞれ順次連続する2つの高電圧パルスの間に、1つ以上のエネルギー蓄積器が事実上完全に空になり、充電電圧がそこに印加されない時間窓が存在する、意図された高電圧パルス動作を可能にする。
【0026】
これにより、1つ以上のエネルギー蓄積器を、そのような無電圧時間窓(充電休止期間)中に短絡または接地させ、その際に短絡または接地電流を流すことなくシステムを、意図された高電圧パルス動作から、高電圧パルスシステムの1つ以上のエネルギー蓄積器が放電され、短絡または接地により、意図しない充電から保護される非動作状態に移行させることが可能になる。
【0027】
この目的のために、システムの好ましい実施形態では、システムを制御する装置は、次のように構成されている。すなわち、停止命令に対して、当該システムが、1つ以上の短絡または接地スイッチの閉成により、停止命令に続く充電休止期間中に、高電圧パルスシステムの1つ以上のエネルギー蓄積器が放電および短絡または接地され、それによって意図しない充電から保護される非動作状態に移行可能であるように構成されている。
【0028】
それに応じて、本発明の第1の態様のもとで既に述べた利点を伴って、1つ以上のエネルギー蓄積器の短絡または接地の際のアークの形成が完全に防止され得る。
【0029】
有利には、システムを制御する装置は、ここでは、1つ以上のエネルギー蓄積器の短絡または接地の後で、1つ以上の充電器による充電エネルギーが、短絡または接地された1つ以上のエネルギー蓄積器にもはや供給されないように構成されている。これにより、1つ以上の充電器の相応の負担と、それに結び付くエネルギー損失とを伴った1つ以上の充電器の短絡または接地には至らないという利点が生じる。
【0030】
安全上の理由から、さらに好ましくは、システムは、1つ以上のエネルギー蓄積器の短絡または接地のために、エネルギー蓄積器毎に少なくとも2つの短絡または接地スイッチを有する。
【0031】
また好ましくは、1つ以上の短絡または接地スイッチの接点は、オイル内に、好ましくは、オイルで満たされた共通の容器内に1つ以上のエネルギー蓄積器と共に配置されている。このようにして、特にコンパクトなシステムが可能になる。
【0032】
さらに、好ましくは、システムを制御する装置は、短絡または接地スイッチの切り替え状態を監視するセンサを有し、および/または、短絡または接地スイッチの切り替え状態を視覚的に監視する光学的切り替え状態表示器が存在している。これにより、システムの安全性をさらに向上させることができる。
【0033】
さらに、有利には、システムは、各短絡または接地スイッチを、閉成状態において、すなわち、当該スイッチが、1つ以上のエネルギー蓄積器を短絡または接地している場合に、機械的にロックおよび/または固定することができる装置を有する。これにより、短絡や接地の意図しない解除を確実に防止することができる。
【0034】
同様に好ましくは、システムの1つ以上の短絡または接地スイッチは、非操作状態または操作エネルギーなしの状態において閉成されている。これにより、システムの安全性をさらに向上させることができる。なぜなら、システムの1つ以上のエネルギー蓄積器は、短絡または接地スイッチ用の操作エネルギー(例えば電流または圧縮空気)にエラーが生じた場合に、自動的に短絡または接地されるからである。
【0035】
有利には、本発明に係る高電圧パルスシステムは、自身により、意図された高電圧パルス動作において、50kVを超える、好ましくは100kVを超える電圧を有する高電圧パルスが、特に好ましくは1Hzを超える、さらに好ましくは5Hzを超えるシーケンス周波数で生成され得るように構成されている。
【0036】
そのようなシステムにおいて、本発明の利点は特に明白である。
【0037】
本発明のさらなる実施形態、利点および用途は、従属請求項および図面に基づく以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】高電圧パルスを用いて材料を破砕する本発明に係る第1の高電圧パルスシステムの回路図。
図2】意図された高電圧パルス動作における図1からのシステムのエネルギー蓄積器の電圧経過を示した図。
図3】高電圧パルスを用いて材料を破砕する本発明に係る第2の高電圧パルスシステムの回路図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明の実施形態
図1は、高電圧放電を用いた岩石材料2の電気力学的破砕のための本発明に係る高電圧パルスシステム1のシステム回路図を示す。
【0040】
システム1は、高電圧パルス用のエネルギーを供給するコンデンサ3の形態のエネルギー蓄積器と、コンデンサ3を充電する充電器4と、スパークギャップ8の形態の出力スイッチと、処理液(水)で満たされた処理容器内で、処理容器底部によって形成され接地された対向電極10に距離をおいて対向している高電圧電極9とを備える。高電圧電極9と対向電極10との間には、処理液中に浸漬された破砕すべき材料2が次のように配置されている。すなわち、システムの意図された高電圧パルス動作において、2つの電極9,10の間に生成された高電圧放電(要求されているような高電圧パルス)が、可変負荷抵抗として示されている材料2を貫通するように配置されている。
【0041】
さらに、システム1は、電圧測定装置7を有するシステムコントローラ6と、コンデンサ3用の接地スイッチ5とを備える。
【0042】
意図された破砕動作(要求された高電圧パルス動作)において、システム1は、電極9,10間で材料2を貫通する高電圧放電のシーケンスを生成する。その際に、コンデンサ3は、各高電圧放電のもとで完全に放電される。
【0043】
意図された破砕動作における時間tにわたるコンデンサ3の電圧Uの経過は、図2において、特に、2つの充電サイクルにわたって示されている。この場合、放電開始時点の電圧Uは、ほぼ100kVであり、各充電サイクルは、対応する充電休止期間LPを含めてほぼ300ms持続する。
【0044】
システムコントローラ6は、その電圧測定装置7を用いて、各高電圧放電の際のコンデンサ3の電圧Uの降下を検出し、各放電に続いて、充電器4が充電エネルギーを供給しない充電休止期間(LP)が追従するように充電器4を制御する。充電休止期間LPの終了後に初めて、コンデンサ3は、充電器4を介して再充電され、それによって、コンデンサ3は、次の高電圧放電用のエネルギーを供給することができる。
【0045】
システム1が、意図された破砕動作から、コンデンサ3が放電され、短絡または接地により、意図しない充電から保護される非動作状態へ移行すべき場合には、システムコントローラ6は、停止命令に対して、当該停止命令に続く充電休止期間LP中に接地スイッチ5を閉成し、エネルギー蓄積器3の接地後にエネルギー蓄積器3用の充電エネルギーをもはや供給しないように、充電器4を制御する。
【0046】
図3は、高電圧パルスを用いて材料を破砕する本発明に係る第2の高電圧パルスシステムの回路図を示す。この第2の高電圧パルスシステムは、図1に示されているシステムと次の点のみが異なっている。すなわち、このシステムが、コンデンサ3用の2つの接地スイッチ5を有し、各接地スイッチ5の切り替え状態が、センサ11を用いてシステムコントローラ6によって監視される点である。
【0047】
本願には、本発明の好ましい実施形態が記載されているが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、以下に続く特許請求の範囲内の他の手法でも実施され得ることを明確に指摘しておく。
図1
図2
図3