特許第6918118号(P6918118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918118
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】偏光感度を有する画像センサ
(51)【国際特許分類】
   G01J 4/04 20060101AFI20210729BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20210729BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20210729BHJP
   G01J 3/51 20060101ALI20210729BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20210729BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20210729BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20210729BHJP
【FI】
   G01J4/04 Z
   G02B5/30
   G03B11/00
   G01J3/51
   H04N5/225 400
   H01L27/146 D
   H01L27/146 A
   H04N5/369
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-535888(P2019-535888)
(86)(22)【出願日】2017年12月19日
(65)【公表番号】特表2020-504826(P2020-504826A)
(43)【公表日】2020年2月13日
(86)【国際出願番号】US2017067256
(87)【国際公開番号】WO2018125665
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年8月19日
(31)【優先権主張番号】15/395,803
(32)【優先日】2016年12月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト,マーティン フリードリヒ
(72)【発明者】
【氏名】グルントマン,マイケル ジェイソン
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−041793(JP,A)
【文献】 特表平11−514085(JP,A)
【文献】 特開2010−109798(JP,A)
【文献】 特開2017−017200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 4/00 − 4/04
G01J 1/02 − 1/04
G01J 1/42 − 1/44
G01J 3/00 − 3/51
G01N 21/21 − 21/23
G02B 5/30
G02B 27/28
G03B 11/00
G03B 15/00
H04N 5/222− 5/257
H04N 5/30 − 5/378
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数要素画像センサと、
第2の複数要素画像センサと、
前記第1の複数要素画像センサと前記第2の複数要素画像センサとの間に位置決めされた偏光層と
を含むデバイスであって、光のうちで第1の方向に沿って前記デバイスに入射する偏光は、前記第1の複数要素画像センサを介して透過され、前記偏光層を介して透過され、前記第2の複数要素画像センサによって検出され、
前記第1の方向に沿って前記デバイスに入射するp偏光は、前記第1複数要素の画像センサを介して透過され、前記偏光層によって阻止され、前記偏光層によって反射され、
前記阻止されるp偏光の少なくとも一部は、前記第1の複数要素画像センサによって検出される、
デバイスと、
前記デバイスと通信している電子処理モジュールと、
を含み、
動作中に、前記デバイスは、入射光を検出し、信号を前記電子処理モジュールに送り、前記電子処理モジュールは、前記信号に基づいて、前記入射光の強度に関する情報と前記入射光の偏光に関する情報とを判定し、
前記デバイスにより送られる前記信号は、前記第1の複数要素画像センサに関連付けられた第1の信号と、前記第2の複数要素画像センサに関連付けられた第2の信号とを含み、
前記電子処理モジュールは前記第1の信号及び前記第2の信号の双方に基づいて、前記入射光の前記偏光に関する前記情報をさらに決定する、
システム。
【請求項2】
前記第1の複数要素画像センサの各要素は、前記第2の複数要素画像センサの対応する要素に見当合わせされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の複数要素画像センサの各要素は、前記第2の複数要素画像センサの対応する要素に対して横にオフセットされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の複数要素画像センサと前記第2の複数要素画像センサとの一方または両方は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)アレイ、フォトダイオード・アレイ、または電荷結合素子(CCD)アレイである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記偏光層は、単一の通過軸方向を有する直線偏光子である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記偏光層は、円偏光子である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記偏光層は、複数の偏光素子を含み、隣接する偏光素子は、異なって方位付けされた通過軸を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記偏光層の各素子は、前記第1の複数要素画像センサの要素に対応する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記偏光層および前記第1の複数要素画像センサの前記対応する素子および要素は、お互いに見当合わせされる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記偏光層の各素子は、前記第2の複数要素画像センサの要素に対応する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記偏光層および前記第2の複数要素画像センサの前記対応する素子および要素は、お互いにおよび前記第1の複数要素画像センサの対応する要素に見当合わせされる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記偏光層は、反射偏光子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記偏光層は、偏光金属格子、誘電体格子、またはエア・ギャップ格子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
カラー・フィルタ要素のアレイを含むカラー・フィルタ層をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記入射光の前記偏光に関する前記情報は、s偏光p偏光との相対強度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記強度および偏光に関する情報は、前記デバイスにまたがる複数の位置のそれぞれについて判定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記入射光を前記デバイス上に収束させるように配置された1つまたは複数の光学要素をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つまたは複数の光学要素は、光を前記デバイス上に結像する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
請求項1に記載の前記システムを含むカメラ。
【請求項20】
請求項1に記載の前記システムを含む分光検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には画像センサに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル・カメラ内で使用されるものなど、ほとんどの従来の画像センサは、検出された光の偏光に無感覚である。偏光感度が望まれる応用例に関して、通常、吸収型偏光子または反射偏光子が、入射光の経路内に配置される。これは、そうでなければ非偏光入射光に関してセンサによって検出されるはずの光の約50%の減少をもたらす。というのは、一方の入射偏光状態が、実質的に偏光子によって吸収されるかまたは反射されるかのいずれかになるからである。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、一方が他方の上に積み重ねられたセンサの対を含み、その間に偏光層を有する画像センサを特徴とする。上側センサは、入射光に対して部分的に透過的である。したがって、上側センサからのすべての信号は、偏光状態に無感覚な、入射光の強度に比例する成分を含む。また、上側センサは、偏光状態に無感覚に、入射光のある分数を透過させる。透過した光は、偏光層に入射する。偏光子が反射偏光子である場合には、阻止される偏光状態のほとんどが、上側センサに戻って反射されるが、通過偏光状態のほとんどは、下側センサに透過される。したがって、反射偏光子に関して、上側センサ信号は、阻止される偏光状態から構成される入射光の量に帰せられる成分をも含む。同様に、下側センサ信号は、通過状態偏光に完全に帰せられ、したがって、入射光内の通過状態偏光の量を示す。吸収型偏光子が使用される場合には、上側センサからの信号は、追加の阻止される状態成分を含まない。適切に較正されたシステムに関して、各画素での阻止状態偏光に対する通過状態偏光の比率は、各上側センサ画素の信号を対応する下側センサ画素信号と比較することによって判定され得る。さらに、センサが、一方の偏光状態のすべてを破棄することなく、通過状態光と阻止状態光との両方を検出するので、S/Nは、従来の配置と比較して、開示されるセンサを使用することによって全般的に改善される。
【0004】
一般に、第1の態様では、本発明は、第1の複数要素画像センサと、第2の複数要素画像センサと、第1の複数要素画像センサと第2の複数要素画像センサとの間に位置決めされた偏光層とを含むデバイスを特徴とする。光のうちで第1の方向に沿ってデバイスに入射する第1の偏光状態を有する部分は、第1の画像センサを介して透過され、偏光層を介して透過され、第2の画像センサによって検出され、第1の方向に沿ってデバイスに入射する、第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する光は、第1の画像センサを介して透過され、偏光層によって阻止される。
【0005】
このデバイスの実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。たとえば、偏光層は、第2の偏光状態を有する光を実質的に反射することができ、阻止される光の少なくとも一部は、第1の画像センサによって検出される。
【0006】
第1の複数要素画像センサの各要素は、第2の複数要素画像センサの対応する要素に見当合わせされ得る。
【0007】
第1の複数要素画像センサの各要素は、第2の複数要素画像センサの対応する要素に対して横にオフセットされ得る。
【0008】
第1の複数要素画像センサと第2の複数要素画像センサとの一方または両方は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)アレイ、フォトダイオード・アレイ、または電荷結合素子(CCD)アレイとすることができる。
【0009】
偏光層は、単一の通過軸方向を有する直線偏光子とすることができる。偏光層は、円偏光子とすることができる。いくつかの実施形態では、偏光層は、複数の偏光素子から構成され、隣接する偏光素子は、異なって方位付けされた通過軸を有する。偏光層の各素子は、第1の複数要素画像センサの要素に対応することができる。偏光層および第1の複数要素画像センサの対応する素子および要素は、お互いに見当合わせされ得る。偏光層の各素子は、第2の複数要素画像センサの要素に対応することができる。偏光層および第2の複数要素画像センサの対応する素子および要素は、お互いにおよび第1の複数要素画像センサの対応する要素に見当合わせされ得る。
【0010】
偏光層は、反射偏光子および/または吸収型偏光子を含むことができる。
【0011】
偏光層は、偏光金属格子、誘電体格子、またはエア・ギャップ格子(air gap grating)を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、このデバイスは、カラー・フィルタ要素のアレイを含むカラー・フィルタ層を含むことができる。
【0013】
別の態様では、本発明は、そのデバイスと、デバイスと通信している電子処理モジュールとを含むシステムを特徴とする。動作中に、デバイスは、入射光を検出し、信号を電子処理モジュールに送り、電子処理モジュールは、信号に基づいて、入射光の強度に関する情報と入射光の偏光に関する情報とを判定する。入射光の偏光に関する情報は、第1の方向に偏光された入射光と第1の方向に直交する第2の方向に偏光された入射光との相対強度を含むことができる。強度および偏光に関する情報は、デバイスにまたがる複数の位置のそれぞれについて判定され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、このシステムは、入射光をデバイス上に収束させるように配置された1つまたは複数の光学要素を含むことができる。1つまたは複数の光学要素は、光をデバイス上に結像することができる。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、このシステムを含むカメラまたは分光検出器を特徴とする。
【0016】
偏光感度を有するセンサは、偏光感度が重要である多数のイメージング応用例または分光応用例で有用である可能性がある。さらに、開示されるデバイス・アーキテクチャは、ウェハ処理技法を使用して達成可能であり、たとえばセル電話機カメラに適切な、コンパクトな一体化されたフォームファクタおよび経済的な形での大規模製造を可能にする。
【0017】
本開示の主題の1つまたは複数の実施態様の詳細が、添付図面および下の説明で示される。この主題の他の特徴、態様、および利点は、その説明、図面、および特許請求の範囲から明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】偏光感度を有するセンサの実施形態を示す透視図である。
図1B図1Aに示された偏光感度を有するセンサの単一の要素を示す分解断面図である。
図2】偏光感度を有するセンサの偏光子アレイを示す上面図である。
図3】偏光感度を有するセンサの別の実施形態の一部を示す透視図である。
図4】偏光感度を有するセンサのさらなる実施形態を示す分解透視図である。
図5】偏光感度を有するセンサを含むイメージング・システムを示す概略図である。
図6】電子処理モジュールの実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
様々な図内の同様の参照符号および指定は、同様の要素を示す。
【0020】
図1Aを参照すると、偏光感度を有する画像センサ100は、他層の上に積み重ねられた3つの層すなわち、第1のセンサ層110、第2のセンサ層130、および第1のセンサ層と第2のセンサ層との間の偏光子層120を含む。要素のすべてが、コンパクトな一体化されたパッケージをもたらすために一緒に接着される。下で説明するように、画像センサ100は、センサ上の異なる位置で、ライト・フィールドに関する強度情報と偏光情報との両方を検出するように構成される。ここで、光は、センサの動作波長範囲にわたる電磁放射を指す。この範囲は、たとえば、紫外波長範囲(たとえば、200nmから400nm)、可視波長範囲(たとえば、400nmから700nm)、または赤外線の波長の範囲(たとえば、700nmから1200nm)とすることができる。
【0021】
デカルト軸が、参照を簡単にするために図1A内に示されている。これに関して、物体の厚さは、z軸に沿って測定された物体の寸法を指す。物体の側面積は、x−y平面内の物体の面積を指す。「上」および「下」は、それぞれ+z方向および−z方向を指す。たとえば、センサ100の上面は、+z方向に面する表面を指し、下面は、対向する表面を指す。センサ層110は、下では時々、上センサ層と呼ばれ、センサ層130は、対応して下センサ層である。
【0022】
上センサ層110および下センサ層130は、それぞれセンサ要素のアレイを含む。図示されているように、上センサ層110は、個々のセンサ要素110a〜110oの3×5アレイを含む。下センサ層130は、個々のセンサ要素130a〜130oの同様の3×5アレイを含む。上センサ層の各センサ要素は、下センサ層の対応するセンサ要素と同一の横寸法を有し、これに見当合わせされる。
【0023】
一般に、上センサ層110および下センサ層130は、画素センサのアレイを含む集積回路から構成された能動画素センサ・アレイであり、各画素センサは、光検出器および能動増幅器を含む。使用することのできる一般的な能動画素センサ技術は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ技術および電荷結合素子(CCD)センサ技術を含む。
【0024】
センサ・アレイは、例示のために比較的少数の画素センサを有するものとして図示されている。より一般的には、はるかに多数の画素数が通常である。たとえば、各アレイは、数百万画素までのセンサを含むことができる(たとえば、20Mまでなど、1MP以上、4MP以上、8MP以上、10MP以上、12MP以上、15MP以上)。
【0025】
一般に、下センサ層は、たとえばデジタル・カメラに通常使用されるものなど、従来の能動画素センサ・アレイに類似するアーキテクチャを有することができる。その一方で、上センサ層は、入射光の一部だけを吸収する(その後に検出信号に寄与する光キャリアを生成する)が、入射光のかなりの量を透過させる。たとえば、上センサ層内の各センサ要素は、それに垂直に入射する光の約10%以上(たとえば、80%までなど、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上)を透過させることができる。
【0026】
光検出と光透過との両方を提供する様々なアーキテクチャが可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、各センサは、適当なエネルギの入射光子との相互作用の際に光キャリアを生成する半導体層を含む。これらの領域は、各センサ要素の使用可能なアパーチャの分数だけを充たすように設計され得、センサの他の部分に入射する光子を透過させることを可能にする。この場合に、画素ごとに、偏光子は、少なくとも、上センサ層がそれを介して光を透過させるアパーチャと同程度に大きくなければならない。その代わりにまたはそれに加えて、光キャリアを生成する層は、適当なエネルギの入射光子の分数だけを吸収するために、十分に薄くすることができる。さらなる代替案として、いくつかの実施形態では、上センサは、より大きいバンドギャップを有し、したがって下センサより少ない吸収を有する半導体材料を使用することができる。
【0027】
図1Aには図示されていないが、一般に、本明細書で説明されるセンサの同一層内の隣接する要素は、たとえば光を吸収する材料および/または不動態化する材料によって分離され得る。
【0028】
一般に、偏光子層120は、偏光金属格子など、平面の偏光素子を含む。偏光金属格子は、ワイヤグリッド偏光子とも呼ばれるが、狭い離隔された平行金属ストリップから構成される。一般に使用される金属は、アルミニウムおよび金であるが、他の金属を使用することもできる。通常、ストリップは、周期的な間隔を設けられ、偏光感度を有する画像センサ100の動作波長より短い周期を有する。たとえば、動作波長が、スペクトルの可視部分内にある場合に、格子周期は、約200nm以下(たとえば、150nm以下、100nm以下、80nm以下、50nm以下)とすることができる。
【0029】
垂直に入射する光に関して、偏光金属格子は、格子線に直交する電場を有する直線偏光を実質的に透過させると同時に、格子線に平行な電場を有する直線偏光を実質的に反射する、反射直線偏光子として動作する。
【0030】
図1Bをも参照すると、センサ100の動作を、センサ要素110aと、センサ要素130aと、偏光子層120のうちでこれらのセンサ要素に隣接する部分とから構成される単一のセンサ画素を参照して説明する。−z方向に伝搬する垂直に入射する光が、センサ要素110aの上面に入射する。s偏光とp偏光との両方から構成される光に関して、各偏光状態の光のある割合が、センサ要素110aによって吸収され、その要素からの信号に寄与する。ここで、図1Bに関して、s偏光は、その電場ベクトルがy方向に平行な平面偏光の光を指し、p偏光は、その電場ベクトルがx方向に平行な平面偏光の光を指す。より一般的に、s偏光は、その電場ベクトルが、入射方向および表面法線によって画定される入射の平面に垂直な平面偏光の光を指し、p偏光は、直交する平面偏光を指す。格子線は、x方向に沿って延び、その結果、p偏光は実質的に反射されるが、s偏光は実質的に透過されるようになる。どの場合でも、上センサ要素110aが、両方の偏光状態に同等に感度を有すると仮定すると、各偏光状態の光のある割合tが、センサの下表面を介して透過され、この下表面で、光は偏光子層120に入射する。これは、各偏光状態の入射光の割合(1−t)が、センサ110aによって吸収され、光キャリアに変換され、センサ110aからの検出信号V110に寄与することを意味する。
【0031】
偏光子層120は、実質的にすべての(たとえば、95%以上、98%以上、99%以上)入射s偏光を透過させ、実質的にすべての(たとえば、95%以上、98%以上、99%以上)p偏光を反射するように配置される。
【0032】
透過されたs偏光 内 センサ要素130aに入射、そこで吸収され、センサでのその強度に関係する(たとえば、これに比例する)信号を作る。したがって、単純さのために、偏光子層120が完全な偏光子であると考え、層の間のフレネル反射を無視する場合に、センサ要素130aからの検出信号V130は、次のように、センサ画素に入射するs偏光の強度Sに関係する(たとえば、これに比例する)。
130∝t・S
【0033】
偏光子層120によって反射されたp偏光は、センサ要素110aに戻り、そこで一部が吸収され、センサ要素によって作られる信号にさらに寄与し、別の部分は透過され、反射光としてセンサ100から出る。やはり、当初にセンサ画素に入射するp偏光の強度Pに関して、完全な偏光子を仮定すると、これは、量t・Pがセンサ110aに入射し、この光の同一の割合(1−t)が、信号V110にさらに寄与することを意味する。したがって、この理想化に関して、上センサ要素110からの信号を次のように表すことができる。
110=(1−t)・[(1+t)・P+S]
【0034】
したがって、上センサ要素および下センサ要素からの信号V110およびV130に基づいて、上センサ画素の透過プロパティtが既知であると仮定すると、PとSとの両方に関して値を判定することが可能である。したがって、各センサ画素は、Pの値、Sの値、および強度(I=P+S)を提供することができる。
【0035】
上センサ画素の透過プロパティtおよび他のプロパティ(たとえば、偏光子層の透過プロパティおよび反射プロパティ、ならびに/またはセンサ層130の検出効率)を、各層の適当な較正によって判定することができる。たとえば、各層のプロパティを、制御された条件の下で独立に判定することができ、最終的なセンサ内の各層の性能を、各構成層の既知の性能から計算することができる。その代わりにまたはそれに加えて、センサを、その最終使用応用例で展開する前に、既知の照明条件を使用して較正することができる。
【0036】
他のタイプの直線偏光子を使用することもできる。一般に、反射偏光子と吸収型偏光子との両方を含む、上センサ層と下センサ層との間でセンサ内に一体化され得る偏光依存の透過プロパティを有する任意の要素を使用することができる。たとえば、誘電体格子、エア・ギャップ格子、または、フォトニック結晶、準周期構造、もしくは一方向にランダムな構造(unidirectionally random structure)などの他の構造を使用することができる。いくつかの実施形態では、ヨード染色されたPVA薄膜など、ステンドポリマ(stained−polymer)格子を使用することができる。そのような薄膜は、一般に、液晶ディスプレイの直線偏光子として使用される。
【0037】
いくつかの実施形態では、円偏光子を使用することができる。たとえば、偏光層は、直交偏光状態を有する光を透過させながら、一方の掌性の円偏光を反射するように配置されたキラル液晶高分子から形成され得る。
【0038】
前述の実施形態では、偏光子層120は、すべてのセンサ画素について同一である通過軸を有する均一な層である。しかし、パターン形成された偏光子も可能である。たとえば、図2を参照すると、偏光子層200は、4つのグループに配置された偏光素子210、220、230、および240のアレイを含む。これらの素子のそれぞれは、他とは異なって方位付けされた通過軸を有する。具体的には、素子210は、その通過軸をy方向に並列に整列され、素子220はx方向に平行に、素子230はx軸に対して45°に(反時計回りに測定)、素子240は135°に整列されている。各偏光素子は、上センサ層および下センサ層の対応するセンサ要素に見当合わせされる。したがって、4つのセンサ画素のグループごとに、信号の各対は、異なる方向での偏光強度に関する情報を提供する。
【0039】
さらに、センサ100の上センサおよび下センサ内のセンサ要素は、同一サイズであり、センサは、同一の画素数を有するが、他の実施態様も可能である。たとえば、2つのセンサの画素数を異なるものにすることができる。いくつかの実施態様では、上センサは、下画素より低い解像度を有し、各画素がより大きいアパーチャを有することと、偏光子層および下センサへの光透過を増加させることとを可能にする。
【0040】
センサ100内で、上センサ・アレイのセンサ要素は、下センサ・アレイ内の対応するセンサ要素に見当合わせされるが、必ずそうであるとは限らない。いくつかの実施形態では、センサ層の一方または両方が、隣接するセンサ層に関して横にオフセットされた要素を特徴とすることができる。たとえば、図3を参照すると、センサ(部分的に図示)は、上センサ層310、偏光子層320、および下センサ層330を含む。上センサ層310は、透過センサ要素310a、310b、および310cを含む。下センサ層は、センサ要素330a、330b、および330cを含み、これらは、それぞれセンサ310a、310b、および310cに関してx方向に横にオフセットされている。対照的に、センサ100内の上センサ要素および下センサ要素は、お互いに見当合わせされ、センサをタイリングされたセンサ画素のアレイに分割する。その一方で、センサ300内では、結果は、下センサ層内のセンサ要素が、上センサ層内の複数の画素によって透過された光を検出することである。一般に、オフセットの量は変化することができる。いくつかの実施形態では、横オフセットは、画素幅の半分とすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、画素は、x方向とy方向との両方でオフセットされる。
【0041】
偏光感度を有する画像センサは、上で説明した3つの層に加えて他の構成要素を含むことができる。たとえば、図4を参照すると、センサ400は、上センサ層410、偏光子層420、および下偏光子層430に加えて、カラー・フィルタ層440を含む。カラー・フィルタ層は、それぞれが異なるスペクトル透過プロパティを有するタイリングされたカラー・フィルタ要素440A、440B、および440Cを含む。たとえば、スペクトルの可視部分での動作のために構成されたセンサに関して、3つのフィルタ要素は、それぞれ赤色光、緑色光、および青色光、またはシアン色光、マゼンタ色光、および黄色光を透過させることができる。より一般的に、フィルタ要素は、狭い帯域(たとえば、50nm以下、たとえば10nm、20nm、30nm、40nmの半値全幅を有する)など、望み通りの他のスペクトル帯を透過させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、カラー・フィルタ要素は、赤外スペクトル内の異なる波長帯を透過させるように構成され得る。カラー・フィルタ要素は、たとえば液晶ディスプレイで使用されるものなど、吸収型カラー・フィルタとすることができる。反射カラー・フィルタ(たとえば、ダイクロイック・ミラー)も可能である。
【0042】
層440内の各カラー・フィルタ要素は、4つの対応するセンサ画素に見当合わせされる。具体的には、カラー・フィルタ要素440Aは、部分透過センサ要素410a、410b、410c、および410dに見当合わせされる。カラー・フィルタ要素440Bおよび440Cは、同様に、対応する部分透過センサ要素に見当合わせされる。部分透過センサ要素410a、410b、410c、および410dは、それぞれ偏光子要素420a、420b、420c、および420dに見当合わせされ、偏光子要素420a、420b、420c、および420dは、それぞれセンサ層430内のセンサ要素430a、430b、430c、および430dに見当合わせされる。
【0043】
動作中に、光は、まずカラー・フィルタ層440に入射し、カラー・フィルタ層440は、光をスペクトル的にフィルタリングし、各タイプのフィルタを介して異なるスペクトル成分を優先的に透過させる。したがって、透過センサ要素410a、410b、410c、および410dに入射する光は、図4に示された層410の他の要素に入射する光と比較して、異なるスペクトル成分を有する。同じことが、センサ400の追加の層にもあてはまり、その結果は、センサが、偏光情報および空間強度情報に加えて、入射強度パターンのスペクトル成分に関する情報を提供することである。
【0044】
センサ400が、3つの異なるカラー・フィルタ要素を含むものとして示されているが、より一般的には、カラー・フィルタ層440は、任意の個数の異なるフィルタ要素(たとえば、10個または12個の異なるフィルタ・タイプなど、4つ以上のタイプ、5つ以上のタイプ、6つ以上のタイプ)を含むことができる。さらに、以前に説明したセンサに関して、少数の要素だけが図示され、一般に、センサは、図4に示された12個よりはるかに多数のセンサ画素を含むことができる。
【0045】
カラー・フィルタ層の代わりにまたはそれに加えて、センサは、たとえば複屈折層(たとえば、1/4波長板、半波長板)、パシベーション層、反射防止コーティング、および/または光学ハード・コートなど、他の機能層を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサは、たとえばより表面法線方向の入射を実現するために、光を画素に結合するマイクロレンズ・アレイを含むことができる。たとえば、各画素に見当合わせされたマイクロレンズを有するマイクロレンズ・アレイを、センサの上面に設けることができる。
【0046】
その代わりにまたはそれに加えて、いくつかの実施形態では、1/4波長位相差板が、透過される直線偏光を円偏光に変換するために偏光層に隣接して含まれる。言い換えると、組み合わされた直線偏光子および1/4波長板の組合せが、通過状態偏光に関する円偏光子として動作する。
【0047】
一般に、上で説明した偏光感度を有する画像センサは、半導体デバイス製造で一般に使用される技法、具体的にはウェハ処理技法を使用して製造され得る。たとえば、偏光感度を有する画像センサの構成要素部分は、基板層に材料の層を順次堆積することと、必要に応じて各層にパターン形成することとによって形成され得る。層堆積は、形成される層の性質(たとえば、材料、厚さ、結晶性など)および層がその上に形成される基礎になる表面の性質に依存して、様々な技法を使用して実行され得る。例示的な堆積技法は、物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)、電気化学堆積(ECD)、分子線エピタキシ(MBE)、および原子層堆積(ALD)を含む。
【0048】
層パターン形成は、一般に、リソグラフ技法を使用して実行され、リソグラフ技法では、パターンがレジスト層に転写され、後続のエッチ・ステップが、レジスト層から上または下にある材料の層にパターンを転写する。レジスト層の初期パターン形成は、たとえばフォトリソグラフィまたはインプリント・リソグラフィを使用して実行され得る。ウェット・エッチング、ドライ・エッチング、および/またはプラズマ・エッチングが、材料を除去するのに使用され得る。研磨プロセス(たとえば、化学機械研磨)が、露出された表面を平坦化するのに使用され得る。
【0049】
いくつかの場合に、下センサが、基板上に形成され、偏光層が、その後、下センサの上に形成され、最後に、上センサが、偏光層の上に形成される。パシベーション層(たとえば、SiOまたはなんらかの他の誘電材料から形成される)が、各能動層の間に形成され得る。パシベーション層は、後続能動層 その上に形成される平坦な表面をもたらすために平坦化され得る。
【0050】
代替案では、各センサは、別々の製造プロセス中に別々の基板上に形成され得、偏光層は、センサのうちの1つの上に形成され得る。この2つの構成要素は、その後、偏光感度を有する画像センサを提供するために、後続ステップで一緒に接着される。その代わりにまたはそれに加えて、各能動層は、別々に形成され、その後、対応するスペーサ層にその後に接着され得る。そのような手法は、異なる構成要素が異なるベンダによって製造される場合にも望ましい可能性がある。
【0051】
ウェハ処理技法は、単一のウェハ上で複数のデバイスを形成するのにも使用され得、この単一のウェハは、個々のセンサまたは構成要素層を作るために、その後にダイシングされる。
【0052】
偏光感度を有する画像センサは、たとえばプリント回路基板への一体化によって、より大きいシステムにたやすく一体化され得る頑健な構成要素を提供するために、さらにパッケージ化され得る。集積回路、センサ・アレイ、LED、およびダイオード・レーザーをパッケージ化するのに従来使用されてきたチップ・パッケージング技法を使用することができる。
【0053】
一般に、偏光感度を有する画像センサは、ライト・フィールドの偏光分布に関する情報が有用である可能性がある様々な応用例で使用され得る。たとえば、偏光感度を有する画像センサは、偏光感度が望まれるイメージング応用例で使用され得る。偏光感度を有する画像センサを使用する光感知システムの例を、図5に示す。具体的には、光感知システム500は、偏光感度を有するセンサ510および収束光学系(focusing optics)530を含む。センサ510は、電子処理モジュール520と通信している。動作中に、収束光学系は、光をセンサ510の上面に結像し、センサ510は、収束された光を検出し、対応する信号を電子処理モジュール520に送る。電子処理モジュールは、信号を分析して、センサ上に集光されたライト・フィールドの強度情報を、およびライト・フィールドの偏光分布に関する情報をも判定する。
【0054】
光感知システム500は、一般に、カメラ(たとえば、DLSRまたは携帯電話機カメラなどの消費者カメラ)など、より大きいシステムの一部である。いくつかの実施形態では、光感知システムは、検出された画像の偏光分布に関する情報が望まれる機械視覚システムの一部である。
【0055】
その代わりにまたはそれに加えて、非イメージング応用例も可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、偏光感度を有する画像センサは、たとえば、入ってくる光がその成分波長に分光され、成分波長のそれぞれがセンサの異なる区域に向けられる、分光応用例で使用される。その後、センサは、強度に加えて、各波長(または波長の帯域)での偏光状態に関する情報を提供する。
【0056】
いくつかの実施形態では、偏光感度を有する画像センサは、表面検査応用例で使用され得る。たとえば、センサが、偏光光源と組み合わせて使用されて、表面が、スペキュラ反射または拡散反射を提供するかどうかを判定することができる(スペキュラ表面は、反射内により多くの偏光を保存するが、拡散表面は偏光解消効果を有する)。これは、たとえば、製造環境または自動化された表面検査が要求される可能性がある他の例で使用され得る。
【0057】
偏光感度を有するセンサおよび本明細書で説明されるこれらのセンサを含むシステムのいくつかの態様は、デジタル電子回路内で、または、本明細書で開示される構造およびその構造的同等物を含むコンピュータ・ソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェア内で、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組合せで実施され得る。たとえば、いくつかの実施態様では、電子処理モジュール520は、デジタル電子回路網を使用して、またはコンピュータ・ソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェア内で、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組合せで実施され得る。
【0058】
用語「電子処理モジュール」は、たとえばプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、システム・オン・ア・チップ、または前述の複数もしくは組合せを含む、データを処理し、かつ/または信号生成を制御するための、すべての種類の装置、デバイス、および機械を包含する。電子処理モジュールは、特殊目的論理回路網、たとえばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含むことができる。電子処理モジュールは、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータ・プログラムの実行環境を作成するコード、たとえば、プロセッサ・ファームウェア、プロトコル・スタック、データベース管理システム、オペレーティング・システム、クロスプラットフォーム・ランタイム環境、仮想計算機、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組合せを構成するコードをも含むことができる。電子処理モジュールおよび実行環境は、ウェブ・サービス、分散コンピューティング、およびグリッド・コンピューティング・インフラストラクチャなど、様々な異なるコンピューティング・モデル・インフラストラクチャを実現することができる。
【0059】
コンピュータ・プログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェア・アプリケーション、スクリプト、またはコードとも称する)は、コンパイルされる言語または解釈される言語、宣言型言語または手続き型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で記述され得る。コンピュータ・プログラムは、ファイル・システム内のファイルに対応する場合があるが、そうである必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部に(たとえば、マークアップ言語文書内に記憶された1つまたは複数のスクリプト)、問題のプログラムに専用の単一のファイル内に、または複数の調整されるファイル内に(たとえば、1つもしくは複数のモジュール、サブ・プログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)記憶され得る。コンピュータ・プログラムは、1台のコンピュータ上でまたは、1つの場所に配置されもしくは複数の場所にまたがって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開され得る。
【0060】
上で説明したプロセスの一部は、入力データに作用し、出力を生成することによってアクションを実行するために1つまたは複数のコンピュータ・プログラムを実行する1つまたは複数のプログラム可能プロセッサによって実行され得る。プロセスおよび論理フローは、特殊目的論理回路、たとえばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によっても実行され得、装置も、これらの特殊目的論理回路として実施され得る。
【0061】
コンピュータ・プログラムの実行に適切なプロセッサは、たとえば、汎用と特殊目的との両方のマイクロプロセッサ、ならびに任意の種類のデジタル・コンピュータのプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読取専用メモリ、またはランダム・アクセス・メモリ、またはその両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータは、命令に従ってアクションを実行するプロセッサと、命令およびデータを記憶する1つまたは複数のメモリ・デバイスとを含む。コンピュータは、データを記憶する1つまたは複数のマス・ストレージ・デバイス、たとえば磁気、光磁気ディスク、または光ディスクをも含み、またはこれからデータを受け取り、これにデータを転送し、もしくはその両方を行うために動作可能に結合され得る。しかし、コンピュータが、そのようなデバイスを有する必要はない。コンピュータ・プログラム命令およびデータを記憶するのに適するデバイスは、たとえば半導体メモリ・デバイス(たとえば、EPROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ・デバイス、および他)、磁気ディスク(たとえば、内蔵ハード・ディスク、リムーバブル・ディスク、および他)、光磁気ディスク、CD ROMディスク、およびDVD−ROMディスクを含む、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリ・デバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、特殊目的論理回路網によって増補され、またはその中に組み込まれ得る。
【0062】
ユーザとの対話を提供するために、動作は、ユーザに情報を表示するディスプレイ・デバイス(たとえば、モニタまたは別のタイプのディスプレイ・デバイス)と、それによってユーザがコンピュータに入力を供給できるキーボードおよびポインティング・デバイス(たとえば、マウス、トラックボール、タブレット、タッチ感知スクリーン、または別のタイプのポインティング・デバイス)とを有するコンピュータ上で実施され得る。他の種類のデバイスも、ユーザとの対話を提供するのに使用され得、たとえば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、たとえば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力を含む任意の形態で受け取られ得る。さらに、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスに文書を送り、これから文書を受け取ることによって、たとえば、ウェブ・ブラウザから受け取られる要求に応答してユーザのクライアント・デバイス上のウェブ・ブラウザにウェブ・ページを送ることによって、ユーザと対話することができる。
【0063】
電子処理モジュールは、単一のコンピューティング・デバイス、または、近接してもしくは全般的にお互いからリモートに動作し、通常は通信ネットワークを介して相互作用する複数のコンピュータを含むことができる。通信ネットワークの例は、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(たとえば、インターネット)、衛星リンクを含むネットワーク、ならびにピアツーピア・ネットワーク(たとえば、アド・ホック・ピアツーピア・ネットワーク)を含む。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で走行し、お互いとのクライアント−サーバ関係を有するコンピュータ・プログラムのおかげで生じるものとすることができる。
【0064】
図6は、プロセッサ610、メモリ620、ストレージ・デバイス630、および入出力デバイス640を含む例の電子処理モジュール600を示す。構成要素610、620、630、および640のそれぞれは、たとえばシステム・バス650によって相互接続され得る。プロセッサ610は、モジュール600内での実行のために命令を処理することができる。いくつかの実施態様では、プロセッサ610は、シングルスレッド・プロセッサ、マルチスレッド・プロセッサ、または別のタイプのプロセッサである。プロセッサ610は、メモリ620内またはストレージ・デバイス630上に記憶された命令を処理することができる。メモリ620およびストレージ・デバイス630は、システム600内で情報を記憶することができる。
【0065】
入出力デバイス640は、モジュール600に入出力動作を提供する。いくつかの実施態様では、入出力デバイス640は、ネットワーク・インターフェース・デバイス、たとえばイーサネット・カード、シリアル通信デバイス、たとえばRS−232ポート、および/または無線インターフェース・デバイス、たとえば802.11カード、3Gワイヤレス・モデム、4Gワイヤレス・モデムなどのうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施態様では、入出力デバイスは、入力データを受け取り、出力データを他の入出力デバイス、たとえばキーボード、プリンタ、およびディスプレイ・デバイス660に送るように構成されたドライバ・デバイスを含むことができる。いくつかの実施態様では、モバイル・コンピューティング・デバイス、スマートフォンまたはタブレット・コンピュータなどのモバイル通信デバイス、および他のデバイスを使用することができる。
【0066】
複数の実施形態を説明した。それでも、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、様々な変更を行えることを理解されたい。したがって、他の実施形態が、特許請求の範囲の範囲内にある。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6