特許第6918119号(P6918119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タレスの特許一覧

<>
  • 特許6918119-アサーマルポッケルスセル 図000002
  • 特許6918119-アサーマルポッケルスセル 図000003
  • 特許6918119-アサーマルポッケルスセル 図000004
  • 特許6918119-アサーマルポッケルスセル 図000005
  • 特許6918119-アサーマルポッケルスセル 図000006
  • 特許6918119-アサーマルポッケルスセル 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918119
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】アサーマルポッケルスセル
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/03 20060101AFI20210729BHJP
   H01S 3/115 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   G02F1/03 505
   H01S3/115
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-536654(P2019-536654)
(86)(22)【出願日】2017年9月14日
(65)【公表番号】特表2019-530025(P2019-530025A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2017073105
(87)【国際公開番号】WO2018054751
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2020年7月22日
(31)【優先権主張番号】16/01378
(32)【優先日】2016年9月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュラン,エリク
(72)【発明者】
【氏名】デリケ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ブジェマー,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ダビド,ステファーヌ
【審査官】 井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0236771(US,A1)
【文献】 特開2007−316158(JP,A)
【文献】 特開昭63−210912(JP,A)
【文献】 特開2009−048165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 − 1/125
G02F 1/21 − 7/00
H01S 3/00 − 3/02
H01S 3/04 − 3/0959
H01S 3/098 − 3/102
H01S 3/105 − 3/131
H01S 3/136 − 3/213
H01S 3/23 − 4/00
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの同様の電気光学結晶(10a、10b)であって、前記2つの結晶に共通の水平金属ベース(12)上に温度補償を実現するように配向された電気光学結晶と、キャリア構造(13)と、を含むポッケルスセル(100)において、前記ベース(12)と前記キャリア構造(13)との間に、前記2つの結晶間を通る垂直面(160)に対して対称である構成を有する熱伝導性素子を含むことにより、前記キャリア構造(13)内で前記垂直面(160)に対して非対称に生成された熱流束(150)を前記ベース(12)へと対称に分散させることを特徴とするポッケルスセル(100)。
【請求項2】
前記熱伝導性素子は垂直のストリップ(15)であることを特徴とする、請求項1に記載のポッケルスセル。
【請求項3】
前記垂直ストリップ(15)及び前記ベース(12)は単体の部品を形成することを特徴とする、請求項2に記載のポッケルスセル。
【請求項4】
前記垂直ストリップ(15)及び前記キャリア構造(13)は単体の部品を形成することを特徴とする、請求項2に記載のポッケルスセル。
【請求項5】
前記垂直ストリップ(15)、前記ベース(12)、及び前記キャリア構造(13)は単体の部品を形成することを特徴とする、請求項2に記載のポッケルスセル。
【請求項6】
前記熱伝導性素子は、
−前記キャリア構造(13)と接触させることが意図された、その中心に穴の開いた水平フレーム(151)と、
−その上に前記ベース(12)が取り付けられ、前記フレーム(151)に接続される水平板(152)と、
−それを接続する、前記2つの結晶間を通る前記垂直面(160)内に配置されたアーム(153)と、
からなることを特徴とする、請求項1に記載のポッケルスセル。
【請求項7】
前記熱伝導性素子は、その縁部に設置されて前記2つの結晶間を通る前記垂直面(160)に対して垂直なヒートパイプ(156)を備える水平プラテン(155)であることを特徴とする、請求項1に記載のポッケルスセル。
【請求項8】
請求項1〜7の1項に記載のポッケルスセルを含むレーザキャビティを含むQスイッチレーザ。
【請求項9】
レーザと、前記レーザの射出口の直後の、請求項1〜7の1項に記載のポッケルスセルと、を含む波長スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野はポッケルスセルのそれであり、これらは特にレーザビームの増幅及び波長スイッチの分野で使用される。
【背景技術】
【0002】
電気光学材料は、電圧が材料の内部に印加されることにより、光の偏向を変化させる。これらの材料は偏向器に関連付けられることが多く、それによって電気光学的スイッチが製作され、これはポッケルスセルとも呼ばれる。偏向器は、事前に設定された偏光状態にある光ビームを選択的に通過させる。電気光学材料により、この状態を電圧印加を通じて変化させることができる。それゆえ、電圧によって光ビームの透過を制御することが可能である。
【0003】
ポッケルスセルは、レーザビーム増幅の分野において、多くの構成で使用されてきた。これらの構成の1つが「Qスイッチング」とも呼ばれ、レーザキャビティ内にあるポッケルスセルを活性化させて、発振器の損失を増大させること(又は、セルの透過率を下げることと等しい)を含み、すると、レーザパルスがキャビティ内に捕捉される。ポッケルスセルに電圧を突然印加することにより、キャビティの損失がなくなり、それによってレーザパルスを放出させることができる。Qスイッチレーザ発振器(典型的には幅5ns〜40nsの短パルスを生成する)はこの効果に基づく。
【0004】
温度補償を実現するために取り付けられた横方向の場を持つ2つの結晶を含むポッケルスセルにより、低電圧で切り換えられる光学スイッチを製作できる。これらのセルは、直列の2つの電気光学結晶を利用し、それによってこれらを活性化するために印加すべき電圧レベルを下げることができる。使用される結晶は一般に、双軸結晶と呼ばれるものであり、それらの自然複屈折は切断軸(X又はY軸)に依存し、また、温度によっても大きく変化する。温度補償を実現するために結晶を取り付ける場合、相互に対して正確に配向することで、一方の結晶の自然複屈折を他方のそれにより補償することが可能となる。この補償は、例えば−40°〜+60°という極めて広い温度範囲にわたり有効である。補償の質は、ポッケルスセルを動作させることのできる温度範囲を左右することになるが、2つの結晶の位置決めの相対的な精度だけでなく、それらの類似性にも依存する。結晶の適合ペアのことである。その名前が示すように、このような結晶の適合ペアは、できるだけ類似していなければならない。そのため、これらのセルの2つの結晶は、その寸法が確実に同じになるように、一緒に研磨されるのが一般的である。
【0005】
結晶(できるだけ類似している)を適当に選択し、取り付けることにより、ポッケルスセルは非常に広い温度範囲で正しく動作することが確実となるが、これは、結晶を通じて実現される温度補償が損なわれないことが条件となる。
【0006】
図1は、先行技術による、温度補償を実現するために取り付けられた2つの結晶10a、10bを含むポッケルスセル100を示す。2つの結晶の適合ペアは、電極としての役割も果たす共通のベース12上に位置決めされ、そこに接着剤で結合される。各結晶10a、10bに接着剤で結合された金属板11a、11bにより、電圧を印加でき、セルの透過率を変更できる。ベース12はキャリア構造13に固定される。
【0007】
しかしながら、このようなポッケルスセルは、標的とされる用途につきものの外的要因により不利な影響を受けることが多い。レーザ増幅器や発振器では、利得媒質を励起させる必要があり、すなわち、利得媒質に光エネルギーを供給し、後にそれをコヒーレントな単色ビームの形態で提供するためにそれを保存する必要がある。これがレーザ効果である。
【0008】
このような利得媒質への光エネルギーの供給は、それを生成するために必要なエネルギーの一部が熱200に変換されるため、完璧ではない。
【0009】
前述のように、補償を実現するために取り付けられた2つの結晶を含むポッケルスセルが広い温度範囲で正しく動作するには、結晶がそれらの類似性を保ち、温度補償が維持されることが条件となる。しかしながら、励起により生成される熱出力により、図1において矢印150(大きさの減少を示す)で示されているような2つの結晶間の温度差が誘発されると、不均衡が生じ、セル100は正しく動作しなくなる。
【0010】
このように生成される熱出力の排除は一般に、制約のほとんどない「地上の」環境では問題とならず、生成された熱出力がセルに伝わるのは、それを遠ざけること、又は例えば欧州特許第1 532 482号明細書に記載されているようにそれを熱源から断熱することの何れかによって阻止される。1つ目の解決策は、機器の占有体積が最小限でなければならない宇宙環境では望ましくない。2つ目の解決策も、小さい大きさで有効に実装することは、機器の剛性を弱めないかぎり難しい。
【0011】
例えば宇宙環境のように、より多くの制約があり、大きさが非常に限定されて、冷媒の使用が禁じられる環境では、励起により生成される熱出力は機器を担持する構造を通じた伝導により除去されることが最も多い。このような制約のある環境では、ポッケルスセルはほとんどの場合、熱源のすぐそばに配置される。すると、励起システムにより生成される熱出力はどうしてもポッケルスセルに伝わってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第1 532 482号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、今日でも、除熱に関する上記の要求事項と、大きさが非常に限定され、冷媒の使用が禁じられる宇宙環境等の制約のある環境の要求事項とのすべてを同時に満足させるポッケルスセルに対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
2つの結晶間に温度勾配が生じないようにするためにポッケルスセルへの熱出力の伝達を阻止するのではなく、本発明によるポッケルスセルは、この出力が確実にセルの2つの結晶に対称に伝達されるようにすることによって、結晶を通じて実現される補償が損なわれないようにする手段を含む。
【0015】
より正確には、本発明の1つの主題は、
−水平金属ベース上に温度補償を実現するように配向された2つの同様の電気光学結晶と、
−2つの結晶に共通の水平金属ベースと、
−キャリア構造と、
を含むポッケルスセルである。
【0016】
これは主として、それがベースとキャリア構造との間に、2つの結晶間を通る垂直面に対して対称である構成を有する熱伝導性素子を含むことにより、キャリア構造内でこの垂直面に対して非対称に生成された熱流束をベースへと対称に分散させることを特徴とする。
【0017】
それゆえ、近くに配置された熱源が機器のキャリア構造に非対称に発散される熱出力を生成したとき、熱流束は熱伝導性素子によってしか結晶に伝わらない。2つの結晶の真ん中のセルの対称面内に配置されたこの素子により、キャリア構造においては非対称の熱流束が、ポッケルスセルの2つの結晶の各々において対称に分散され、それによって結晶間に熱勾配が形成されなくなる。したがって、いかなる熱流束がセル内に発散されても、補償が保持される。この解決策はコンパクトであり(体積を増やす必要がない)、発散させるべき熱流束に依存しない。
【0018】
この熱伝導性素子は例えば垂直のストリップである。
【0019】
それはまた、
−キャリア構造と接触させることが意図された、中心に穴の開いた水平フレームと、
−その上にベースが取り付けられる水平板であって、フレームに接続される水平板と、
−それを接続する、2つの結晶間の中央を通る垂直面内に配置されたアームと、
からなってもよい。
【0020】
他の実施形態によれば、熱伝導性素子は、その縁部に設置されて2つの結晶間の中央を通る垂直面に対して垂直なヒートパイプを備える水平プラテンである。
【0021】
本発明の他の主題は、前述のようなポッケルスセルを含むレーザキャビティを含むQスイッチレーザ又は、レーザと、レーザの射出口の直後の前述のようなポッケルスセルと、波長を変化させることのできる装置と、を含む波長スイッチである。
【0022】
本発明のその他の特徴と利点は、非限定的な例として提供され、下記のような添付の図面に関する以下の詳細な説明を読めば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】すでに説明した、外部熱源により不利な影響を受けている、先行技術によるポッケルスセルを概略的に示す。
図2】外部熱源にさらされている、本発明によるアサーマルポッケルスセルを概略的に示す。
図3a】本発明によるアサーマルポッケルスセルの熱伝導性素子の例を概略的に示し、図3aはその斜視図を示す。
図3b】本発明によるアサーマルポッケルスセルの熱伝導性素子の例を概略的に示し、図3bは熱伝導性素子のみの斜視図を示す。
図4】本発明によるアサーマルポッケルスセルの熱伝導性素子の他の例を、セル全体の斜視図により概略的に示す。
図5】伝導性素子のある場合とない場合の、熱流束密座(x軸)がセル間のT°の差(y軸)に与える影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
すべての図面において、同じ要素は同じ参照番号で示されている。
【0025】
以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「側」、「水平」、及び「垂直」という用語は、説明されている図面の向きに関して使用されている。セル又は熱伝導性素子を他の向きで位置付けることができるかぎり、方向を示す用語は例として示され、限定的ではない。
【0026】
熱勾配の生成を回避するためにポッケルスセルの熱出力の伝達を阻止するのではなく、本発明は、この出力がセルの2つの結晶に伝達されるようにすることにより、結晶を通じて実現される温度補償が損なわれるのを阻止するように機能する。
【0027】
図2、3a、3b、及び4に関して説明する本発明によるポッケルスセルは、2つの同様の平行六面体電気光学結晶10a、10bを含み、これらは2つの結晶に共通の水平な金属ベース12上に、照射方向Yへの温度補償を実現するように配向されている。これらは、ベース上に相互から離間されて順に配置されている。各々が、相互に反対の2つの表面上に電極を備える。共通のベース12はまた、2つの結晶のための共通電極の役割も果たす。各結晶10a、10bに接着剤で結合された金属板11a、11bは第二の電極を形成し、それによって電圧を印加して、セルの透過率を変化させることができる。結晶10aの他方の電極11aの表面は、他方の結晶10bの他方の電極11bの表面に対して照射方向Yの周囲で90°旋回される。ベース12は、キャリア構造13に固定される。
【0028】
キャリア構造13の付近に配置された外部熱源200は熱出力を生成し、これはセルのキャリア構造内に、垂直面160に対して非対称に発散する。この熱源はまた、キャリア構造とも接触することもある。
【0029】
以下において、熱源200は図2の例で示されているようにキャリア構造内で非対称である熱流束150を生成する熱源であると考えるが、この説明は低温流束を生成する低温源にも同様にあてはまる。
【0030】
本発明によれば、キャリア構造13内にある熱流束150は、ベース12とキャリア構造13との間及びそれらと接触して配置された熱伝導性素子によってのみ結晶10a、10bに伝えられる。この素子は、2つの結晶10a、10b間の、それらの間の中央を通る垂直対称面(したがって、XZ)160に対して対称である構成を有する。したがって、非対称の熱流束はベース12に、及びしたがって2つの結晶10a、10bの各々内で対象に分散され、それによって温度勾配が結晶間に形成されるのを阻止する。それゆえ、それによってキャリア構造内にある温度勾配を2つの結晶間で対称にすることにより、温度補償を保持することができる。したがって、補償はいかなる熱流束がセル内に発散しても保持される。
【0031】
この解決策は小型であり(体積を増やす必要がない)、発散される熱流束に依存しない。
【0032】
図2は、ストリップ15の形態をとり、対称の2つの結晶間の垂直面160内に配置され、ベースの(Xに沿った)幅と等しい長さにわたって延びる熱伝導性素子を利用する好ましい実施形態を示す。これは、硬さを保ちながら伝導をよりよく伝えるために、Yに沿って薄い。この実施形態によれば、ベース12及びキャリア構造13は、ストリップと同じ高さの箇所を除き、(特に)空気で満たされたギャップにより分離される。
【0033】
垂直ストリップ15及びベース12は、単体の部品を形成してもよい。垂直ストリップ15及びキャリア構造13は、単体の部品を形成してもよい。最後に、図2に示されるように、垂直ストリップ15、ベース12、及びキャリア構造13が単体の部品を形成してもよい。ベース及びキャリア構造の一部は、ストリップと同じ高さの面160に対して対称に除去され、それによってストリップを介した熱の伝導が促進され、ベースとキャリア構造との間の空気で満たされたギャップを介した伝導が減少する。
【0034】
この解決策は、想定される(宇宙)環境でも、小型化が容易であるかもしれないため、有利である。
【0035】
伝熱解析により、図1に示されるような標準的なポッケルスセル内に誘導される温度勾配を、図2に示されるようなアサーマルポッケルスセルについて同じ条件で計算されたものと比較することができた。これらの計算は、図5に示されており、典型的な交換の場合(面積75mmにわたる熱流束80mW/mm)のポッケルスセルの温度特性をシミュレートする。これらのシミュレーションでは、自然対流、放射、及び伝導が考慮に入れられる。ポッケルスセル内の結晶間の温度勾配は、先行技術を表す場合では3.5℃、本発明によるアサーマル構成では0.6℃であることがわかるであろう。差は、問題の外部熱流束が増大すると大きくなる。ここで考慮される典型的な条件下では、アサーマルポッケルスセルの温度勾配は、先行技術のポッケルスセルのほぼ6分の1である。
【0036】
外部熱源の熱出力をポッケルスセルの垂直対称面に水平に伝えることのできる、本発明によるアサーマルポッケルスセルの第二の例が製作されてもよい。図3a及び3bに示される熱伝導性素子は、水平(XY)で、好ましくは穴の開いた、所定の(Zに沿った)垂直方向の厚さの、キャリア構造(図3a及び3bでは図示せず)と接触するように意図されるフレーム151からなる。穴の開いた中央に、好ましくは熱に関する理由から穴の開いていない水平板152があり、前記板の垂直方向の厚さはフレーム151の垂直方向の厚さより薄く、ベース12が前記板の上に取り付けられる。前記板はフレーム151に、2つの結晶間の中央を通る垂直面160内に配置された、穴の開いた、又は穴の開いていない1つ(又は2つ)のアーム153によって結合される。アーム153の(Zに沿った)垂直方向の厚さは、例えばフレーム151のそれと等しいが、それより薄くてもよく、図2のストリップ15の例のように、その(Yに沿った)幅は板152のそれよりはるかに狭く、それによって伝導はその通路を通るように集中する。その他の構成も想定可能である。例えば、Zに沿ったアーム153の寸法は、板がフレーム151より高くなるというものである。
【0037】
図4に示される熱伝導性素子が水平プラテン155であり、それが、プラテンの縁部に設置され、2つの結晶間の中央を通る垂直面160に対して垂直なヒートパイプ156を備え、セル内の熱の発散を対称にする本発明によるアサーマルセルの第三の例が製作されてもよい。このプラテン155は、図の例に示されているように長方形であってもよいが、これは必須ではなく、より一般的には、それは結晶間を通る垂直面160に対して対称である形状を有する。それは、キャリア構造(図4では図示せず)と接触することが意図される。
【0038】
以上の説明の中では、キャリア構造は図2及び4に示されるように「横」方向のみから作用する熱源にさらされると考えられているが、勿論、それは複数の横方向から、及び/又はキャリア構造13の下から作用してもよい。
【0039】
標的とされる用途は、Qスイッチレーザ発振器(ポッケルスセルでスイッチングされる)の製造である。同様の用途は、ポッケルスセルを使って既存の光パルスをレーザ増幅器に入射させ、又はそこから射出させることである。Qスイッチングに関しては、電圧を印加することによってレーザビームの偏向を変化させる能力が利用される。これら2つの用途では、ポッケルスセルが偏向器に関連付けられて、レーザビームの透過の制御が可能となる。
【0040】
ポッケルスセルはまた、レーザ光の偏向に敏感な他の何れの素子に関連付けてもよい。例えば、セルを偏向器に関連付ける代わりに、それがハーモニックジェネレータに関連付けられると(新たな波長又は新たなビーム色を偏光の変化に基づいて生成できる)、透過変調装置ではなく、波長スイッチを製作することが可能である。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5