(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918132
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】ヒートシンクとしての無指向性音響デフレクタ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/34 20060101AFI20210729BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20210729BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
H04R1/34 310
H04R1/28 310E
H05K7/20 B
【請求項の数】25
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-553373(P2019-553373)
(86)(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公表番号】特表2020-513175(P2020-513175A)
(43)【公表日】2020年4月30日
(86)【国際出願番号】US2018025477
(87)【国際公開番号】WO2018183898
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年11月7日
(31)【優先権主張番号】15/475,542
(32)【優先日】2017年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エル・カッツ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・アンドリュー・リアル
(72)【発明者】
【氏名】カール・エドワード・ジェイコブソン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・カール・プレッチャー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・イー・ピー・シュート
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジョン・ブリーン
(72)【発明者】
【氏名】カイル・ブライアン・マックニコラス
【審査官】
大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特表平06−502048(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/123428(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/34
H04R 1/28
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に円錐形の外側表面と、前記外側表面と反対側の内側表面と、を有する音響反射体を備え、
前記内側表面は、第1の電子部品に結合されるように構成されている領域を画定し、その結果、熱が前記第1の電子部品から前記音響反射体の前記外側表面に伝達され、
前記音響反射体が、50W/m−k以上の熱伝導率を有する材料で形成される、無指向性音響デフレクタ。
【請求項2】
前記音響反射体に取り付けられて共に音響空洞を形成するプレートを更に備え、前記プレートが不規則な表面を有する、請求項1に記載の無指向性音響デフレクタ。
【請求項3】
前記プレートが、共に音響シールを形成するように前記音響反射体に取り付けられる、請求項2に記載の無指向性音響デフレクタ。
【請求項4】
前記不規則な表面が、第2の電子部品を収容するように配置されている、請求項2に記載の無指向性音響デフレクタ。
【請求項5】
前記不規則な表面が、前記音響空洞内に延在する前記プレートの第1の側面に沿った特徴部を含む、請求項2に記載の無指向性音響デフレクタ。
【請求項6】
前記特徴部が、前記音響空洞の反対側の前記プレートの第2の側面に沿って第2の電子部品の配置に適応するように配置されている隆起を含む、請求項5に記載の無指向性音響デフレクタ。
【請求項7】
前記実質的に円錐形の外側表面が、音響ドライバの音響放射面に隣接して配置されるように構成されており、前記音響反射体が、前記音響ドライバの運動軸を中心とするように構成されている上面を含む切頭円錐形状を有し、前記音響反射体が、前記音響空洞内に延在する前記上面に開口部を有し、前記音響ドライバから音響エネルギーが前記音響空洞内に入ることを可能にする、請求項2に記載の無指向性音響デフレクタ。
【請求項8】
前記音響反射体の前記内側表面が、前記第1の電子部品に接触するための前記領域を含む突起を画定する、請求項1に記載の無指向性音響デフレクタ。
【請求項9】
音響エンクロージャと、
前記音響エンクロージャに連結された音響ドライバと、
前記音響ドライバに電力を供給するための回路であって、前記回路が第1の電子部品を含む、回路と、
前記音響ドライバの音響放射面に隣接して配置されるように構成された実質的に円錐形の外側表面と、前記外側表面の反対側の内側表面とを有する音響反射体を含む、無指向性音響デフレクタと、を備え、
前記内側表面は、前記第1の電子部品に結合されるように構成されている領域を画定し、その結果、熱が前記第1の電子部品から前記音響反射体の前記外側表面に伝達され、
前記音響反射体が、50W/m−k以上の熱伝導率を有する材料で形成される、スピーカシステム。
【請求項10】
前記無指向性音響デフレクタに結合されて、間にコンパートメントを形成するように構成された基部を更に備える、請求項9に記載のスピーカシステム。
【請求項11】
前記音響反射体が、前記基部を前記無指向性音響デフレクタに取り付けるための1つ又は装着ポストを画定する、請求項10に記載のスピーカシステム。
【請求項12】
前記回路が、前記コンパートメント内に配置されている、請求項10に記載のスピーカシステム。
【請求項13】
前記回路に電力を供給するために前記コンパートメント内に配置された電池パックを更に備える、請求項10に記載のスピーカシステム。
【請求項14】
前記基部が、前記無指向性音響デフレクタとの水密シールを形成する、請求項10に記載のスピーカシステム。
【請求項15】
前記無指向性音響デフレクタが、第1のテーパを有する周縁部を含み、前記基部が、前記第1のテーパと嵌合して音響シールを形成するように構成されている第2のテーパを有する周縁部を含む、請求項14に記載のスピーカシステム。
【請求項16】
前記領域が、熱界面材料を介して前記第1の電子部品に結合される、請求項9に記載のスピーカシステム。
【請求項17】
前記熱界面材料が、少なくとも1W/m−Kの熱伝導率を有する、請求項16に記載のスピーカシステム。
【請求項18】
前記熱界面材料が、前記第1の電子部品と前記音響反射体との間で約25%〜約75%圧縮される、請求項16に記載のスピーカシステム。
【請求項19】
前記音響ドライバが、強制対流冷却に寄与する前記無指向性音響デフレクタの前記外側表面に沿って交互気流を提供する、請求項9に記載のスピーカシステム。
【請求項20】
前記音響エンクロージャが、前記音響ドライバによって提供される音響エネルギーによって駆動されるように構成された1対のパッシブラジエータを含み、その結果、前記パッシブラジエータは、前記音響エンクロージャの振動を最小限にするために、互いに音響的に位相をなして、かつ互いに機械的に位相を異にして駆動される、請求項9に記載のスピーカシステム。
【請求項21】
前記音響反射体に取り付けられて共に音響空洞を形成するプレートを更に備え、前記プレートが不規則な表面を有する、請求項9に記載のスピーカシステム。
【請求項22】
前記プレートが、共に音響シールを形成するように前記音響反射体に取り付けられる、請求項21に記載のスピーカシステム。
【請求項23】
前記不規則な表面が、前記音響空洞の反対側の前記プレートの第2の側面に沿って第2の電子部品の配置に適応するように構成されている、請求項21に記載のスピーカシステム。
【請求項24】
前記実質的に円錐形の外側表面が、音響ドライバの音響放射面に隣接して配置されるように構成されており、前記音響反射体が、前記音響ドライバの運動軸を中心とするように構成されている上面を含む切頭円錐形状を有し、前記音響反射体が、前記音響空洞内に延
在する前記上面に開口部を有し、前記音響ドライバから音響エネルギーが前記音響空洞内に入ることを可能にする、請求項9に記載のスピーカシステム。
【請求項25】
前記音響反射体が、前記音響反射体を前記音響ドライバに結合するための脚部を含み、その結果、前記実質的に円錐形の外側表面が、前記音響ドライバの音響放射面に隣接して配置されている、請求項9に記載のスピーカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放熱電子部品のためのヒートシンクとしても機能する音響デフレクタに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
下記のすべての例及び特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0003】
一態様では、無指向性音響デフレクタは、実質的に円錐形の外側表面と、外側表面と反対側の内側表面とを有する音響反射体を含む。内側表面は、第1の電子部品に結合されるように構成されている領域を画定し、その結果、熱が第1の電子部品から音響反射体の外側表面に伝達される。
【0004】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0005】
いくつかの実装形態では、音響反射体は、50W/m−K以上(例えば、96W/m−K)の熱伝導率を有する材料で形成される。
【0006】
特定の実装形態では、この無指向性音響デフレクタは、音響反射体に取り付けられてそれと共に音響空洞を形成するプレートを含む。プレートは、不規則な表面を有する。
【0007】
いくつかの例では、プレートは音響シールを形成するように音響反射体に取り付けられる。
【0008】
特定の例では、不規則な表面は、第2の電子部品を収容するように配置されている。
【0009】
いくつかの場合において、不規則な表面は、音響空洞内に延在するプレートの第1の側面に沿った特徴部を含む。
【0010】
特定の場合において、この特徴部は、音響空洞の反対側のプレートの第2の側面に沿って第2の電子部品の配置に適応するように配置されている隆起を含む。
【0011】
いくつかの実装形態では、実質的に円錐形の外側表面は、音響ドライバの音響放射面に隣接して配置されるように構成されており、音響反射体は、音響ドライバの運動軸を中心とするように構成されている上面を含む切頭円錐形状を有する。音響反射体は、音響空洞内に延在する上面に開口部を有し、音響ドライバからの音響エネルギーが音響空洞内に入ることを可能にする。
【0012】
特定の実装形態では、音響反射体の内側表面は、第1の電子部品に接触するための領域を含む突起を画定する。
【0013】
別の態様では、スピーカシステムは音響エンクロージャと、音響エンクロージャに連結された音響ドライバと、音響ドライバに電力を供給するための回路と、無指向性音響デフレクタと、を含む。この無指向性音響デフレクタは、音響ドライバの音響放射面に隣接して配置されるように構成されている実質的に円錐形の外側表面と、外側表面の反対側の内側表面とを有する音響反射体を含む。内側表面は、回路の第1の電子部品に結合されるように構成されている領域を画定し、その結果、熱が第1の電子部品から音響反射体の外側表面に伝達される。
【0014】
実装形態は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0015】
いくつかの実装形態では、スピーカシステムは、無指向性音響デフレクタに結合されてそれらの間にコンパートメントを形成するように構成されている基部を含む。
【0016】
特定の実装形態では、音響反射体は、基部を無指向性音響デフレクタに取り付けるための1つ以上の装着ポストを画定する。
【0017】
いくつかの例では、回路は、コンパートメント内に配置されている。
【0018】
特定の例では、スピーカシステムは、回路に電力を供給するためにコンパートメント内に配置された電池パックを含む。
【0019】
場合によっては、基部は、無指向性音響デフレクタとの水密シールを形成する。
【0020】
特定の場合において、無指向性音響デフレクタは、第1のテーパを有する周縁部を含み、基部は、第1のテーパと嵌合して音響シールを形成するように構成されている第2のテーパを有する周縁部を含む。
【0021】
いくつかの実装形態では、領域は、熱界面材料を介して第1の電子部品に結合される。
【0022】
特定の実装形態では、熱界面材料は、少なくとも1W/m−K(例えば、約3W/m−K)の熱伝導率を有する。
【0023】
いくつかの例では、熱界面材料は、第1の電子部品と音響反射体との間で約25%〜約75%圧縮される。
【0024】
特定の例では、音響ドライバは、強制対流冷却に寄与する無指向性音響デフレクタの外側表面に沿って交互気流を提供する。
【0025】
いくつかの場合では、音響エンクロージャは、音響ドライバによって提供される音響エネルギーによって駆動されるように構成された1対のパッシブラジエータを含み、その結果、パッシブラジエータは、音響エンクロージャの振動を最小限にするために、互いに音響的に位相をなして、かつ互いに機械的に位相を異にして駆動される。
【0026】
特定の場合において、音響反射体は、実質的に円錐形の外側表面が音響ドライバの音響放射面に隣接して配置されるように、音響反射体を音響ドライバに結合するための脚部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】
図1Aのスピーカシステムからの音響アセンブリの斜視図である。
【
図3】
図2の音響アセンブリからのデフレクタサブアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
無指向性スピーカシステムには、複数の利益が知られている。これらの利益としては、スピーカシステムが部屋内の壁などの境界の近くに配置されたときの、反射に起因した、より空間的な音像が挙げられる。別の利点は、最適な高周波カバレッジを達成するためにスピーカシステムを特定の方向に配向する必要がないことである。この第2の利点は、スピーカシステム及び/又は聴取者が移動し得るモバイルスピーカシステムにとって非常に望ましい。
【0029】
本開示は、このような無指向性スピーカシステムの受動音響部品(例えば、音響デフレクタ)がまた、スピーカシステム内にパッケージ化された発熱電子部品から熱を奪うためのヒートシンクとして別の目的を果たすこともできるという認識に基づいている。音響ドライバの通常動作によって生成される交互(a/c)気流を使用して、受動音響部品の強制対流冷却を提供することができ、それにより、発熱電子部品からの熱伝達を更に向上させることができる。
【0030】
以下に記載される例では、音響デフレクタは、電子機器及び電池パッケージ(例えば、リチウムイオン電池)を収容する密閉された容積の上壁を形成する。電子機器は、電池パッケージのためのオーディオ増幅器及び充電制御回路などの、発熱部品を含むことができる。この熱発生は、密閉された容積において望ましくない熱条件をもたらし得る。リチウムイオン電池は、特に、限定された動作範囲に供されるため、熱は、その中の熱条件を改善するために、容積から効率的に伝達される必要がある。
【0031】
音響デフレクタを熱伝導性材料から作製し、音響デフレクタを発熱部品(複数可)と接触させて配置することにより、エンクロージャ容積からの熱の伝導が改善される。加えて、デフレクタは、音響デフレクタの冷却効果に寄与する交互気流の供給源として作用する音響ドライバに隣接して存在する。
【0032】
図1A及び
図1Bは、音響アセンブリ104と、ハウジング102の上端を密閉して物理的ユーザインターフェース108を提供する上部キャップ106とを収容する、実質的に円筒形のスリーブの形態の外側ハウジング102を含むスピーカシステム100の斜視図及び断面図をそれぞれ示す図である。ハウジング102は、音響アセンブリ104からの音響エネルギーがそこを通過することを可能にする複数の穿孔を含む。
【0033】
図1B及び
図2を参照すると、音響アセンブリ104は、音響サブアセンブリ110及びデフレクタサブアセンブリ112から構成されている。音響サブアセンブリ110は、垂直音響エンクロージャ116に固定された単一のダウンワードファイアリング音響ドライバ114を含む。1対のパッシブラジエータ118は、エンクロージャ116の対向する側壁上に配置されている。パッシブラジエータ118は、音源(図示せず)からの音声信号によって駆動されるように構成されており、その結果、パッシブラジエータ118は、エンクロージャ116の振動を最小限にするために、互いに音響的に位相をなして、かつ互いに機械的に位相を異にして駆動される。
【0034】
音響ドライバ114の上方の領域内及びエンクロージャ116の内側の容積は、パッシブラジエータ118によって「密閉」して、音響チャンバを画定する。パッシブラジエータ118のダイアフラムは、音響ドライバ114の動作によって生じる音響チャンバ内の圧力変化によって駆動される。
【0035】
デフレクタサブアセンブリ112は、無指向性音響デフレクタ120と、底部キャップ(a/k/a基部122)とを含み、これらは共に結合されて、電子機器を収容するコンパートメント124を形成し、スピーカシステム100に電力を供給する。電子機器は、電池パッケージ128と、電池パッケージ128に装着された複数の電子部品を含むプリント回路基板130とを含む。電子部品130は、とりわけ、増幅器チップ及び電池充電器チップを含む。しかしながら、電池パッケージ128は、比較的低い温度限界を有してもよい。例えば、場合によっては、電池パッケージ128は、充電中に摂氏約52度、充電されていないとき摂氏約70度の温度限界を有する。以下で論じられるように、コンパートメント124からの熱伝達を支援して、電池パッケージ128のより好適な熱条件を提供するために、音響デフレクタ120は、高熱伝導率材料から形成され得る。
【0036】
無指向性音響デフレクタ120は、エンクロージャ116が取り付けられる4つの垂直脚部132(a/k/a「取付支柱」)を有する。音響ドライバ114によって生成された音響エネルギーは下向きに伝搬し、音響デフレクタ120の音響反射体134によって公称水平方向に偏向される。
【0037】
4つの実質的に矩形の開口部136が存在する。各開口部136は、エンクロージャ116、音響デフレクタ120、及び1対の垂直脚部132によって画定される。これら4つの開口部136は、水平方向に伝播する音響エネルギーを通す音響開口である。所与の方向における音響エネルギーの伝播は、例えば、回折による伝播音響エネルギーの拡散を含むことを理解されたい。
【0038】
図示した音響デフレクタ120は、音響ドライバ114の運動軸に対して中心(すなわち同軸)になるように構成されている、公称切頭円錐形状を有する。他の例では、円錐の基部と頂点との間の円錐状の外側表面の傾き(a/k/a「円錐軸」)は一定ではない。例えば、外側表面は、放物線状プロファイル又は旋回の切頭双曲面によって記述されるプロファイルなどの非線形の傾斜プロファイルを有してもよい。特に、音響デフレクタ120の本体は、金属などの熱伝導性材料(例えば、少なくとも50W/m−Kの熱伝導率を有する材料)で作製される。場合によっては、本体は、96W/m−Kの熱伝導率を有する鋳造アルミニウムA380で形成される。
【0039】
図3を参照すると、本体134の内側表面は、熱が電子部品(複数可)から音響反射体134の外側表面に伝達されるように、放熱電子部品(例えば、増幅器チップ及び/又は電池充電器チップ)のうちの1つ以上を直接的又は間接的に接触させるための1つ以上の突出部200(1つを図示)を画定する。図示した実装形態では、突出部200は、熱界面材料(例えば、熱伝導性パッド204)を介して第1の電子部品202に結合される。場合によっては、熱伝導性パッド204は、圧縮性熱伝導性材料で形成される。圧縮性材料の使用は、空隙を排除するのに役立つ寸法公差に適応するのに役立つ。いくつかの場合では、熱界面材料は、第1の電子部品202と音響反射体134との間で約25%〜約75%圧縮される。好ましくは、熱伝導性パッド204は、少なくとも約1W/m−K、好ましくは少なくとも約3W/m−Kの熱伝導率を有する。好適な熱パッドは、Parker Chomerics(Woburn,MA)から、商品名THERM−A−GAP(商標)Thermally Conductive Gap Filler Padsで入手可能である。
【0040】
熱は、電子部品(複数可)(例えば、第1の電子部品202)から音響反射体134の外面まで伝導される。音響ドライバ114の通常動作は、音響反射体134の対流冷却に寄与する外側表面に沿った交互(a/c)気流を提供する。この対流及び伝導熱伝達により、電池パッケージ128に好適な熱条件を提供するために、コンパートメント124から十分な熱が除去される。
【0041】
更に
図3を参照すると、プレート206は、音響反射体134に(例えば、ねじ山形成ねじを介して)取り付けられて、それと共に音響空洞208を形成する。気密シールを確実にするのを助けるために、プレート206と音響反射体134との間の境界面にガスケット材料を提供することができる。
【0042】
開口部210は、音響反射体134の上面に設けられている。開口部210は音響空洞208内に延在し、それによって音響ドライバ114(
図1B)から音響空洞208へと音響エネルギーが通過することを可能にする。音響吸収材料212は、開口部内に配置されている。この音響吸収材料212は、最も低い円対称共振モードのピーク付近及びピークに存在する音響エネルギーを減衰させる。いくつかの実装形態では、開口部210の直径は、音響ドライバ114(
図1B)から伝播する音響エネルギーの得られた減衰が、音響スペクトルの平滑化の望ましいレベルを達成しながら許容可能なレベルに制限されるように選択される。
【0043】
特に、プレート206は、プリント回路基板130上の1つ以上の比較的高い部品(例えば、コンデンサ216)の配置に適応するように配置されている隆起214を含む。隆起214はまた、音響空洞208内に不規則な表面を提供する。この不規則な表面は、特定の音響定在波を破断するのに更に役立つことができる。
【0044】
いくつかの実装形態では、基部122は、2材成形されたプラスチック部品であり、ポリカーボネート(PC)/ABSから成形される内側ボウル218と、熱可塑性ポリウレタン(TPU)で形成された外層220とを含む。基部122は、電池パッケージ128及びプリント回路基板130の主支持体を提供する。その点で、プリント回路基板130は、電子サブアセンブリを形成するために(例えば、ねじを用いて)電池パッケージ128に固定される。次に、その電子サブアセンブリは、基部122に(例えば、ねじで)固定される。次いで、基部122は、音響反射体134内に形成されたボス222にねじ山形成ねじによって固定される。基部122は、音響反射体134上の嵌合テーパ状縁部226と係合して水密シールを形成するテーパ状周縁部224を含む。基部122上のTPU外層220は、音響デフレクタ120との非常に緊密なシールを提供するのに役立つ。このシールは、電子機器を水分から保護するのに役立つが、コンパートメント124内に閉じ込められた熱も維持し、その結果、導電性音響デフレクタ120は、熱冷却設計への機器部品となる。
【0045】
電子機器126は、音響ドライバ114(
図1B)及びユーザインターフェース108(
図1A)に配線を介して電気的に接続することができ、これは音響反射体134及び/又は音響エンクロージャ116内の1つ以上の開口を通過し得る。グロメットを、配線と開口との間にシールを提供するために使用することができる。
【0046】
複数の実装形態を説明してきた。それにもかかわらず、本明細書に記載される本発明の概念の範囲から逸脱することなく追加の改変を行うことができ、したがって、他の実装形態も以下の特許請求の範囲内にあることが理解される。
【符号の説明】
【0047】
100 スピーカシステム
102 外側ハウジング
104 音響アセンブリ
106 上部キャップ
108 物理的ユーザインターフェース
110 音響サブアセンブリ
112 デフレクタサブアセンブリ
114 ダウンワードファイアリング音響ドライバ
116 垂直音響エンクロージャ
118 パッシブラジエータ
120 無指向性音響デフレクタ(導電性音響デフレクタ)
122 基部
124 コンパートメント
126 電子機器
128 電池パッケージ
130 電子部品(プリント回路基板)
132 垂直脚部
134 音響反射体
136 開口部
200 突出部
202 第1の電子部品
204 熱伝導性パッド
206 プレート
208 音響空洞
210 開口部
212 音響吸収材料
214 隆起
216 コンデンサ
218 内側ボウル
220 TPU外層
222 ボス
224 テーパ状周縁部
226 嵌合テーパ状縁部