【0016】
本発明のコーヒー飲料中のショ糖含有量は、上述の通り、2.1〜4.5質量%であるが、嗜好性の観点からは、2.3質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましく、2.7質量%以上がさらに好ましい。ショ糖を配合することにより、乳固形分含有コーヒー飲料に甘味が付与され、味の厚みが増す。ショ糖含有量が4.5質量%以下の場合には、甘味、厚みが少ないことに伴って、乳固形分含有コーヒー飲料の光照射による香味の劣化という課題がより顕著となる。本発明の効果をより顕著に享受できる観点から、ショ糖含有量は4.3質量%以下が好ましく、4.1質量%以下がより好ましく、3.9質量%以下がさらに好ましい。ショ糖の含有量は、例えば後述する実施例に記載するように、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定することが出来る。
(その他の甘味成分)
ブドウ糖は、加温殺菌や高温状態の保存によってpH低下による風味の変化を引き起こすことがあるから、本発明のコーヒー飲料は、嗜好性の観点からブドウ糖の配合量が少ないことが好ましい。具体的には0.50質量%以下が好ましく、0.30質量%以下がより好ましく、0.10質量%以下がさらに好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましく、0.02質量%以下がさらに好ましい。また、ブドウ糖を配合しないことが最も好ましい。ブドウ糖の含有量は、例えば後述する実施例に記載するように、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定することが出来る。
コーヒー飲料に甘味を付与する手段として、糖類以外には、アセスルファムKやステビア抽出物などの高甘味度甘味料が挙げられる。これら高甘味度甘味料は、特有の苦みや雑味を有し、配合するとコーヒー飲料の味わいを損ねることがあるため、本発明のコーヒー飲料は、嗜好性の観点から、高甘味度甘味料の配合量が少ないことが好ましい。高甘味度甘味料の配合量は、0.01質量%以下が好ましく、0.008質量%以下がさらに好ましく、0.005質量%以下がさらに好ましい。また、高甘味度甘味料を配合しないことが最も好ましい。例えば、アセスルファムKの配合量は、0.01質量%以下が好ましく、0.008質量%以下がより好ましく、0.005質量%以下がさらに好ましい。また、アセスルファムKを配合しないことが最も好ましい。アセスルファムKの含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することが出来る。ステビア抽出物の配合量は、0.001質量%以下が好ましく、0.0008質量%以下がより好ましく、0.0005質量%以下がさらに好ましく、0.0001質量%以下がさらに好ましく、0.00005質量%以下がさらに好ましい。また、ステビア抽出物を配合しないことが最も好ましい。
【実施例】
【0026】
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。また、飲料中のショ糖及びブドウ糖濃度は、以下の方法で測定できる。
(ショ糖及びブドウ糖濃度の測定)
飲料中のショ糖濃度及びブドウ糖濃度は、HPLC糖分析装置(LC-20AD株式会社 島津製作所社製)を以下の条件で操作し、検量線法により定量することで測定することができる。
・カラム:Inertsil NH2,φ3mm×150mm[ジーエルサイエンス株式会社]
・カラム温度:室温
・移動相:アセトニトリル:水=8:2
・流量:0.7ml/min
・注入量:5μL
・検出:示差屈折計 RID-10A[株式会社 島津製作所]
【0027】
実験1:コーヒー飲料の製造と評価
コーヒー濃縮エキス(Brix51%)を使用し、水、ショ糖、生クリーム、脱脂粉乳、及び重曹を添加して表1に示されるショ糖含有量、乳固形分、及び無脂乳固形分/乳脂肪分の質量比を有するコーヒー飲料を調製した。得られたコーヒー飲料を65℃に昇温し、高圧ホモジナイザーにて20MPaの圧力で均質化後、加熱殺菌処理(120〜125℃、5〜15分)し、透明PETボトル容器に充填して、乳固形分を含有する透明容器詰めコーヒー飲料とした(サンプル1−1〜1−4)。また、缶に充填したサンプルも製造し、対照飲料とした。殺菌後の飲料のpH(20℃)は6.7〜7.0であった。また、コーヒー固形分は0.6質量%であった。
【0028】
得られた透明容器詰め飲料を光照射(35,000ルクス、25℃、48時間)し、その香味を評価した。評価は、光照射しなかった缶入り飲料を基準とし、光照射による香味劣化の強弱を、基準と比較した相対評価として3段階評価(〇:光照射していない基準と同等であり香味劣化がない、△:基準に比べるとやや香味劣化があるが許容できる範囲である、×:基準に比べると強い香味劣化があり飲料製品として許容できない)で行った。なお、評価は専門パネル5名が光照射による香味劣化の強弱について各自で評価した後、パネル全員で協議して決定した。
【0029】
結果を表1に示す。無脂乳固形分/乳脂肪分の質量比が3.5であり、乳固形分を2.0質量%以上の濃度で含有するコーヒー飲料は、光照射による強い劣化香味、具体的には、後味に残るチーズ様の香味が知覚された。
【0030】
【表1】
【0031】
実験2:コーヒー飲料の製造と評価
コーヒー濃縮エキス(Brix51%)を使用し、水、ショ糖、生クリーム、脱脂粉乳、重曹を添加して表2に示されるショ糖含有量、乳固形分、及び無脂乳固形分/乳脂肪分の質量比を有するコーヒー飲料を調製した。得られたコーヒー飲料を65℃に昇温し、高圧ホモジナイザーにて20MPaの圧力で均質化後、加熱殺菌処理(120〜125℃、5〜15分)し、透明PETボトル容器に充填して、乳固形分含有透明容器詰めコーヒー飲料とした(サンプル2−1〜2−4)。殺菌後の飲料のpH(20℃)は6.4〜6.5であった。また、コーヒー固形分は0.6質量%であった。
【0032】
得られた透明容器詰め飲料2−1〜2−4を光照射(35,000ルクス、25℃、48時間)した。また、サンプル2−1については透明PETボトルに充填した後に光照射を行わないものも用意した。2−1〜2−4の光照射ありと、2−1の光照射なしを用い、それぞれの香味を専門パネル4名が評価した。先ず、事前にパネルがサンプル2−1の光照射なしとありの2種類のサンプルを飲用し、光照射による劣化香味(後味に残るチーズ様の香味)についてディスカッションをし、共通認識を持つようにした。その後、各サンプルについて、以下の評価基準に基づいて各パネルが評価し、その平均点を採用した。
【0033】
<評価基準>
4:サンプル2−1の光照射なしと同等であり、劣化香味を感じない
3:サンプル2−1の光照射なしに比べるとかすかに劣化香味が感じられるが、劣化香味の程度は弱い
2:サンプル2−1の光照射なしと比べて明らかに劣化香味があるが、サンプル2−1の光照射ありと比べると劣化香味は弱い
1:サンプル2−1の光照射ありと同等かそれ以上の劣化香味を感じる。
【0034】
評価結果を表2に示す。コーヒー飲料に含まれる乳固形分を3.0質量%に固定した場合、無脂乳固形分/乳脂肪分が3.0以下であると、無脂乳固形分/乳脂肪分が3.5である場合に比べて、光照射による劣化香味が抑制された。サンプル2−4については、劣化香味は抑制されていたが、脂肪特有のもたつきを感じ、飲みづらいという評価をしたパネルがいたことから、無脂乳固形分/乳脂肪分の下限値は1.4程度が好ましいことが示唆された。
【0035】
【表2】
【0036】
実験3:コーヒー飲料の製造と評価
実験2と同様の手順、条件で、表3の通りとなるようにコーヒー飲料を調製し、光照射をした透明PET容器詰めサンプル3−1〜3−3を作成した。サンプル3−1については透明PET容器に充填した後に光照射を行わないものも用意した。透明PET容器詰めコーヒー飲料のpH(20℃)は6.4〜6.5、コーヒー固形分は0.6質量%であった。サンプル3−1の光照射なしとありの2種類のサンプルを評価基準として用いた以外は実験2と同様にして光照射による劣化香味の評価を行った。
【0037】
<評価基準>
4:サンプル3−1の光照射なしと同等であり、劣化香味を感じない
3:サンプル3−1の光照射なしに比べるとかすかに劣化香味が感じられるが、劣化香味の程度は弱い
2:サンプル3−1の光照射なしと比べて明らかに劣化香味があるが、サンプル3−1の光照射ありと比べると劣化香味は弱い
1:サンプル3−1の光照射ありと同等かそれ以上の劣化香味を感じる。
【0038】
評価結果を表3に示す。コーヒー飲料に含まれる乳固形分を2.0質量%に固定した場合も、実験2の乳固形分を3.0質量%に固定した場合と同様に、無脂乳固形分/乳脂肪分が3.0以下のときに、無脂乳固形分/乳脂肪分が3.5である場合に比べて、光照射による劣化香味が抑制された。
【0039】
【表3】
【0040】
実験4:コーヒー飲料の製造と評価
実験2と同様の手順、条件で、表4の通りとなるようにコーヒー飲料を調製し、光照射をした透明PET容器詰めサンプル4−1〜4−3を作成した。サンプル4−1については透明PET容器に充填した後に光照射を行わないものも用意した。透明PET容器詰めコーヒー飲料のpH(20℃)は6.4〜6.5、コーヒー固形分は0.6質量%であった。サンプル4−1の光照射なしとありの2種類のサンプルを評価基準として用いた以外は実験2と同様にして光照射による劣化香味の評価を行った。
【0041】
<評価基準>
4:サンプル4−1の光照射なしと同等であり、劣化香味を感じない
3:サンプル4−1の光照射なしに比べるとかすかに劣化香味が感じられるが、劣化香味の程度は弱い
2:サンプル4−1の光照射なしと比べて明らかに劣化香味があるが、サンプル4−1の光照射ありと比べると劣化香味は弱い
1:サンプル4−1の光照射ありと同等かそれ以上の劣化香味を感じる。
【0042】
評価結果を表4に示す。コーヒー飲料に含まれる乳固形分を2.5質量%に固定した場合も、実験2の乳固形分を3.0質量%に固定した場合や実験3の乳固形分を2.0質量%に固定した場合と同様に、無脂乳固形分/乳脂肪分が3.0以下のときに、無脂乳固形分/乳脂肪分が3.5である場合に比べて、光照射による劣化香味が抑制された。
【0043】
【表4】
【0044】
実験5:コーヒー飲料の製造と評価
コーヒー抽出液、水、ショ糖、牛乳を含む乳原料、pH調整剤、及び乳化剤等を用い、表5に記載のショ糖含有量、乳固形分、無脂乳固形分/乳脂肪分の比、及びコーヒー固形分を有する透明PETボトル容器詰め乳固形分含有コーヒー飲料サンプルを製造した。サンプル5−1と5−2について、ブドウ糖の含有量を上記方法で測定したところ、0.02質量%以下であった。サンプル5−1と5−2のそれぞれについて、光照射(35,000ルクス、25℃、48時間)なしとありのサンプルを用意した。専門パネル4名にて、サンプル5−1の光照射なしとありの劣化香味を評価した。同様に、サンプル5−2の光照射なしとありの劣化香味も評価した。サンプル5−1の光照射なしとありの劣化香味の差と、サンプル5−2の光照射なしとありの劣化香味の差を各専門パネルがそれぞれ比べたところ、4名ともサンプル5−2の方が、劣化香味の差が小さいという評価となった。
【0045】
【表5】