特許第6918273号(P6918273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6918273
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】塗料組成物及び複層塗膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/10 20060101AFI20210729BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20210729BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20210729BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20210729BHJP
   C09D 5/16 20060101ALI20210729BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20210729BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20210729BHJP
【FI】
   C09D201/10
   C09D133/00
   B05D1/36 Z
   B05D7/24 303A
   B05D7/24 302Y
   B05D7/24 303B
   B05D7/24 302Z
   B05D7/24 302P
   B05D7/24 302T
   B05D7/24 303E
   C09D5/16
   C09D7/62
   C09D7/63
【請求項の数】11
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2021-517727(P2021-517727)
(86)(22)【出願日】2020年11月19日
(86)【国際出願番号】JP2020043267
【審査請求日】2021年3月29日
(31)【優先権主張番号】特願2019-236663(P2019-236663)
(32)【優先日】2019年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】森 健二
(72)【発明者】
【氏名】東 達也
(72)【発明者】
【氏名】日高 貴弘
【審査官】 青鹿 喜芳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−144009(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/056911(WO,A1)
【文献】 特開平11−241047(JP,A)
【文献】 特開2018−58944(JP,A)
【文献】 国際公開第2020/203063(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)、硬化剤(B)及びアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体を含有する塗料組成物であって、前記アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体が、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)と、重合性不飽和モノマー混合物(c2)との反応物である、アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体であり、かつ前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)が、その成分の少なくとも一部として、下記式(I)
【化1】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Zは下記式(II)を含む構造を示し、Xは水素原子又は(メタ)アクリロイル基、アルキル基、水酸基、アミノ基、(脂環式)エポキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ビニル基、イソシアネート基、アリール基から選ばれる基を示す。)
【化2】
(式中、mは2〜160の数を示し、Rは互いに同一でも異なっていても良いフェニル基又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
で示されるポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)を含む、塗料組成物。
【請求項2】
前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)が、水酸基含有重合性不飽和モノマーを含有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)の数平均分子量が、100〜13000の範囲内である、請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)中の前記アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)の割合が、前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)の総量に対して、5〜60質量%の範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)から製造されるアクリル樹脂の水酸基価が100〜200mgKOH/gの範囲内である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項6】
前記重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)と、前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)の質量比が、(c1):(c2)=20/80〜90/10の範囲内である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項7】
前記アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体が、オルト酢酸トリメチルを含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項8】
前記硬化剤(B)が、ポリイソシアネート化合物(B1)を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項9】
前記水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)が、水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項10】
前記水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)が、ポリジメチルシロキサン構造を有さない、請求項1〜9のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項11】
被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより、複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装することを含む、複層塗膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物及び複層塗膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体、トラック、オートバイ、バス、自動車部品、鉄道車両、産業機器、建物、構造物等の被塗物に塗装される塗料には、耐擦り傷性等の塗膜性能に優れ、かつ塗膜の透明性等の塗膜外観に優れることが求められている。さらに近年では、被塗物に対する油性インキ等による落書きを容易に除去できるといった汚染除去性が求められている。
【0003】
例えば特許文献1には、有機微粒子が有機溶媒に分散された艶消し剤(A)と、主鎖又は側鎖にオルガノシロキサン鎖を有する共重合体(B)と、フッ素樹脂(C)を含有する塗料用組成物が、艶を抑えた塗膜外観が得られ、また、ラッカーや油性インキなどによる汚染除去性に優れていることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、水酸基含有樹脂(A)、硬化剤(B)、及びアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体を含有する塗料組成物であって、アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体が、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)と重合性不飽和モノマー(c2)との、(c1):(c2)=20:80〜90:10の質量比での反応物である、アクリル樹脂被覆シリカ粒子分散体であり、かつ該重合性不飽和モノマー(c2)がその成分の少なくとも一部として、シロキサン結合を有する特定の重合性不飽和モノマー(c2−1)を含み、さらにシリカ粒子を被覆する樹脂の分子量が400〜6000である塗料組成物が、貯蔵安定性に優れ、得られる塗膜の耐擦り傷性に優れることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−127424号公報
【特許文献2】再公表2017−56911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の塗料用組成物では、高い光沢を有する塗膜を形成することができず、さらに得られる塗膜の耐擦り傷性及び透明性が十分でない場合があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の塗料用組成物では、得られる塗膜の汚染除去性が不十分であった。また得られる塗膜の耐擦り傷性及び透明性が十分でない場合があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、汚染除去性、耐擦り傷性及び透明性に優れた塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)、硬化剤(B)及び特定のアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体を含有する塗料組成物によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は下記<1>〜<11>の態様を含む、塗料組成物及び複層塗膜形成方法に関するものである。
<1>水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)、硬化剤(B)及びアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体を含有する塗料組成物であって、前記アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体が、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)と、重合性不飽和モノマー混合物(c2)との反応物である、アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体であり、かつ前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)が、その成分の少なくとも一部として、下記式(I)
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Zは下記式(II)を含む構造を示し、Xは水素原子又は(メタ)アクリロイル基、アルキル基、水酸基、アミノ基、(脂環式)エポキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ビニル基、イソシアネート基、アリール基から選ばれる基を示す。)
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、mは2〜160の数を示し、Rは互いに同一でも異なっていても良いフェニル基又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
で示されるポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)を含む、塗料組成物。
<2>前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)が、水酸基含有重合性不飽和モノマーを含有する、<1>に記載の塗料組成物。
<3>前記ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)の数平均分子量が、100〜13000の範囲内である、<1>又は<2>に記載の塗料組成物。
<4>前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)中の前記アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)の割合が、前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)の総量に対して、5〜60質量%の範囲内である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の塗料組成物。
<5>前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)から製造されるアクリル樹脂の水酸基価が120〜200mgKOH/gの範囲内である、<2>〜<4>のいずれか1つに記載の塗料組成物。
<6>前記重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)と、前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)の質量比が、(c1):(c2)=20/80〜90/10の範囲内である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の塗料組成物。
<7>前記アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体が、オルト酢酸トリメチルを含有する、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の塗料組成物。
<8>前記硬化剤(B)が、ポリイソシアネート化合物(B1)を含む、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の塗料組成物。
<9>前記水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)が、水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)を含む、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の塗料組成物。
<10>前記水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)が、ポリジメチルシロキサン構造を有さない、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の塗料組成物。
<11>被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより、複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として<1>〜<10>のいずれか1つに記載の塗料組成物を塗装することを含む、複層塗膜形成方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の塗料組成物によれば、汚染除去性、耐擦り傷性及び透明性に優れた塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の塗料組成物(「本塗料」と略称する場合がある)は、水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)、硬化剤(B)及びアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体を含有する塗料組成物であって、前記アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体が、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)と、重合性不飽和モノマー混合物(c2)との反応物である、アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体であり、かつ前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)が、その成分の少なくとも一部として、ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)を含む、塗料組成物である。以下、各成分について詳細に説明する。
【0017】
水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)
水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)としては、水酸基とアルコキシシリル基を有していれば特に限定されず、熱硬化性樹脂として公知のものを使用することができる。例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂等が挙げられるが、塗膜の耐候性や耐擦り傷性等の点から、水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)が好ましい。
【0018】
水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)
上記水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)は、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a11)、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(a12)及び共重合可能なその他の重合性不飽和モノマー(a13)を、共重合せしめることによって製造することができる。
【0019】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a11)は、1分子中に水酸基と重合性不飽和基とをそれぞれ1個以上有する化合物である。
【0020】
なお、本明細書において、重合性不飽和基とは、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
【0021】
また、上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a11)に基づく水酸基は、得られる水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)の架橋性官能基として機能することができる。
【0022】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a11)としては、具体的には、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数2〜10の2価アルコールとのモノエステル化物が好適であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリレート、4−メチロールシクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。カプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、「プラクセルFM」(商品名、ダイセル化学社製)等が挙げられ、4−メチロールシクロヘキシルアクリレートの市販品としては、例えば、「CHDMMA」(商品名、日本化成社製)等が挙げられる。
【0023】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル又はメタクリロイル」を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
【0024】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a11)としては、形成される塗膜の耐擦り傷性等の観点から、特に炭素原子数2〜20の水酸基含有炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチロールシクロヘキシルアクリレート等を使用することが好ましい。
【0025】
前記アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(a12)は、1分子中にアルコキシシリル基と重合性不飽和基とをそれぞれ1個以上有する化合物である。
【0026】
上記アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(a12)としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。これらのうち好ましいアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーとして、ビニルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0027】
前記共重合可能なその他の重合性不飽和モノマー(a13)は、上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a11)及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(a12)以外の、1分子中に1個以上の重合性不飽和基を有する化合物であり、その具体例を以下の(1)〜(11)に列挙する。
(1)芳香族系重合性不飽和モノマー:例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
(2)分岐構造を有する炭素原子数8以上の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー:例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品としては、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業(株)製)等が挙げられる。
(3)炭素原子数3〜20の脂環式炭化水素基含有重合性不飽和モノマー:例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、3−テトラシクロドデシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数10〜20の有橋脂環式炭化水素基含有重合性不飽和モノマー;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー。
(4)(メタ)アクリル酸の炭素数1〜7の直鎖状又は分岐状アルキルエステル:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等。
(5)(メタ)アクリル酸の炭素数8〜22の直鎖状アルキルエステル:例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等。
(6)エポキシ基含有重合性不飽和モノマー:例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等。
(7)窒素含有重合性不飽和モノマー:例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等。
(8)その他のビニル化合物:例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルエーテル、バーサティック酸ビニルエステルである「ベオバ9」、「ベオバ10」(商品名、Hexion社製)等。
(9)不飽和基含有ニトリル化合物:例えば、(メタ)アクリロニトリル等。
(10)酸性官能基含有重合性不飽和モノマー:例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等のカルボキシル基含有不飽和モノマー;ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有不飽和モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系不飽和モノマー。
(11)ポリジメチルシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー:例えば、市販品として、「サイラプレーンFM−0721」、「サイラプレーンFM−0711」、「サイラプレーンFM−0725」(以上、JNC社製、商品名)、「X−22−174ASX」、「X−22−174BX」、「KF−2012」、「X−22−2426」、「X−22−2404」、「X−22−2475」(以上、信越化学工業社製、商品名)等を挙げることができる。
【0028】
上記その他の共重合可能な重合性不飽和モノマー(a13)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
前記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a11)、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(a12)及び共重合可能なその他の重合性不飽和モノマー(a13)からなる重合性不飽和モノマー混合物を共重合して、水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)を得ることができる。
【0030】
水酸基含有重合性不飽和モノマー(a11)の使用割合は、得られる塗膜の汚染除去性、耐擦り傷性及び耐水性等の点から、水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)を構成する共重合モノマー成分の全質量に基づいて、15〜55質量%、好ましくは20〜50質量%であることが適当である。
【0031】
アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(a12)の使用割合は、得られる塗膜の汚染除去性、耐擦り傷性及び透明性等の点から、水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)を構成する共重合モノマー成分の全質量に基づいて、5〜60質量%、好ましくは20〜50質量%であることが適当である。
【0032】
また、その他の重合性不飽和モノマー(a13)としては、得られる塗膜の汚染除去性及び耐擦り傷性等の観点から、前記ポリジメチルシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(11)の使用量が少量であるか又は使用しないことが好ましく、使用しないことがより好ましい。具体的にはその使用割合は、水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)を構成する共重合モノマー成分の全質量に基づいて、0〜5質量%、好ましくは0〜1質量%、より好ましくは0であることが適当である。
【0033】
その他の重合性不飽和モノマー(a13)のうち、カルボキシル基含有不飽和モノマー、スルホン酸基含有不飽和モノマー、酸性リン酸エステル系不飽和モノマー等の酸性官能基含有重合性不飽和モノマーは、得られた水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)がポリイソシアネート化合物と架橋反応する時の内部触媒として作用することができるものであり、その使用量は樹脂を構成するモノマー混合物全量に基づいて、0〜5質量%程度の範囲内が好ましく、0〜3質量%程度の範囲内がより好ましい。
【0034】
上記モノマー混合物を共重合して水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)を得るための共重合方法は、特に限定されるものではなく、公知の共重合方法を用いることができる。特に、有機溶剤中にて、重合開始剤の存在下で重合を行なう溶液重合法を用いるのが好ましい。
【0035】
上記溶液重合法に際して使用される有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、高沸点芳香族系炭化水素等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系有機溶剤;プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、エトキシエチルプロピオネート等を挙げることができる。高沸点芳香族系炭化水素の市販品としては、例えば、「スワゾール1000」(商品名、コスモ石油(株)製、高沸点石油系溶剤)を挙げることができる。
【0036】
これらの有機溶剤は、1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。特に、有機溶剤としては、水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A−1)が高い水酸基価を有する場合、樹脂の溶解性の点から、高沸点のエステル系溶剤、ケトン系溶剤を使用することが好ましい。また、更に、高沸点の芳香族系溶剤を高沸点のエステル系溶剤、ケトン系溶剤と組合せて使用することもできる。
【0037】
水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)の共重合に際して使用できる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、2,2−ジ(t−アミルパーオキシ)ブタン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等の公知のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
【0038】
水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)は、1種の共重合体からなっていてもよいが、2種以上の共重合体からなっていてもよい。
【0039】
水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)の水酸基価は、汚染除去性、耐擦傷性及び耐水性等の観点から、120〜200mgKOH/g、特に130〜200mgKOH/g、さらに特に140〜200mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。
【0040】
水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)の重量平均分子量は、汚染除去性、耐擦傷性及び透明性等の観点から、5,000〜30,000、特に5,000〜20,000、さらに特に6,000〜15,000の範囲内であることが好ましい。
【0041】
なお、本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1mL/分、検出器;RIの条件で行った。
【0042】
水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)のガラス転移温度は、汚染除去性、耐擦傷性及び平滑性等の点から、−30℃〜50℃、特に−10℃〜40℃の範囲内であることが好ましい。
【0043】
なお、本発明において、ガラス転移温度Tgは、下記式により算出される値である。
【0044】
1/Tg(K)=W1/T1+W2/T2+・・・Wn/Tn
Tg(℃)=Tg(K)−273
式中、W1、W2、・・・Wnは各モノマーの質量分率であり、T1、T2・・・Tnは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tg(K)である。
なお、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK Fourth Edition,J.Brandrup,E.h.Immergut,E.A.Grulke編(1999年)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるようにして合成し、そのガラス転移温度をセイコー電子工業DSC220U(示差走査型熱量計)により測定した値である。測定は試料50mgを専用のサンプル皿に所定量秤取し、130℃で3時間乾燥させた後、不活性気体中で、−50℃から10℃/分のスピードで150℃まで昇温し、得られた熱量変化カーブの変曲点の温度を読み取ることにより行った。
【0045】
硬化剤(B)
硬化剤(B)としては、ポリイソシアネート化合物(B1)、アミノ樹脂等を用いることができる。なかでも、該硬化剤(B)は、得られる塗膜の汚染除去性、耐擦傷性、耐候性及び付着性等の観点から、ポリイソシアネート化合物(B1)を含むことが好ましい。
【0046】
ポリイソシアネート化合物(B1)
ポリイソシアネート化合物(B1)は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。
【0047】
該ポリイソシアネート化合物(B1)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、該ポリイソシアネートの誘導体等を挙げることができる。
【0048】
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(慣用名:リジンジイソシアネート)等の脂肪族ジイソシアネート;2,6−ジイソシアナトヘキサン酸2−イソシアナトエチル、1,6−ジイソシアナト−3−イソシアナトメチルヘキサン、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン等の脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0049】
上記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4−メチル−1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート(慣用名:水添TDI)、2−メチル−1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−若しくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)若しくはその混合物、メチレンビス(4,1−シクロヘキサンジイル)ジイソシアネート(慣用名:水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等の脂環族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0050】
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンビス(4,1−フェニレン)ジイソシアネート(慣用名:MDI)、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン等の芳香脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0051】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(慣用名:2,4−TDI)もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(慣用名:2,6−TDI)もしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン等の芳香族トリイソシアネート;4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の芳香族テトライソシアネート等を挙げることができる。
【0052】
また、上記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記ポリイソシアネートのダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDI等を挙げることができる。
【0053】
上記ポリイソシアネート及びその誘導体は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上併用してもよい。
【0054】
前記ポリイソシアネート化合物(B1)としては、前記ポリイソシアネート化合物の有するイソシアネート基がブロック化されたブロック化ポリイソシアネート化合物を用いても良い。ブロック化剤としては、例えば、フェノール化合物;ラクタム化合物;アルコール化合物;オキシム化合物;メルカプタン化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等の活性メチレン化合物等を好適に使用することができる。ブロック化は、ブロック化していないポリイソシアネート化合物とブロック化剤とを混合することによって容易に行うことができる。これらのポリイソシアネート化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、ブロック化していないポリイソシアネート化合物とブロック化ポリイソシアネート化合物とを併用することもできる。
【0055】
上記ポリイソシアネート化合物(B1)の塗料組成物中の含有量は、得られる塗膜の汚染除去性、耐擦傷性及び硬化性等の観点から、ポリイソシアネート化合物(B1)中のイソシアネート基と、本発明の塗料組成物中の水酸基含有樹脂の水酸基との当量比(NCO/OH)が、通常0.5〜2.0、特に0.6〜1.2の範囲内であることが好ましい。
【0056】
また、上記ポリイソシアネート化合物(B1)の塗料組成物中の含有量は、得られる塗膜の汚染除去性、耐擦傷性及び硬化性等の観点から、塗料組成物中の樹脂固形分質量を基準として、ポリイソシアネート化合物(B1)の固形分含有量が、0.1〜50質量%の範囲内であることが好ましく、5〜45質量%の範囲内であることがより好ましく、10〜40質量%の範囲内であることが更に好ましい。
【0057】
前記アミノ樹脂としては、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分メチロール化アミノ樹脂又は完全メチロール化アミノ樹脂を使用することができる。アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が挙げられる。アルデヒド成分としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0058】
また、上記メチロール化アミノ樹脂のメチロール基を、適当なアルコールによって、部分的に又は完全にエーテル化したものも使用することができる。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
【0059】
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂(B2)が好ましい。メラミン樹脂(B2)としては、例えば、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基を上記アルコールで部分的に又は完全にエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂を使用することができる。
【0060】
上記アルキルエーテル化メラミン樹脂としては、例えば、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂;部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂;部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂等を好適に使用することができる。
【0061】
メラミン樹脂(B2)としては市販品を使用できる。市販品の商品名としては、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル238」、「サイメル251」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、オルネクスジャパン社製)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28−60」(以上、三井化学社製)等が挙げられる。
【0062】
以上に述べたメラミン樹脂(B2)は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0063】
硬化剤(B)の配合割合は、塗膜が硬化し充分な性能を有するように適宜配合すればよいが、得られる塗膜の硬化性等の観点から、本発明の塗料組成物中の水酸基含有樹脂/硬化剤(B)の比率が質量比で90/10〜50/50の範囲内であることが好ましく、80/20〜60/40の範囲内であることがより好ましい。
【0064】
アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体
アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体は、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)と重合性不飽和モノマー混合物(c2)との反応物である、アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体であって、かつ該重合性不飽和モノマー混合物(c2)が、その成分の少なくとも一部として、後述するポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)を含むものである。
【0065】
重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)
重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)は、例えばシリカ粒子(c11)、有機溶剤(c12)、並びに重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)を混合加熱することによって得ることができる。
【0066】
シリカ粒子(c11)
シリカ粒子(c11)は、後述する重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)との反応により共有結合を形成することによって、重合性不飽和基による表面修飾を行うことが可能なシリカ粒子であれば、何れでも使用することができる。このようなシリカ粒子(c11)としては、乾式シリカ、湿式シリカ、シリカゲル、カルシウムイオン交換シリカ微粒子、コロイダルシリカ等を挙げることができるが、特に、水酸基及び/又はアルコキシ基を粒子表面に有し、分散媒に分散されたシリカ微粒子であるコロイダルシリカが好ましい。
【0067】
上記分散媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール等の多価アルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール誘導体;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤等が挙げられる。上記分散媒としては、炭素数3以下の低級アルコール系溶剤、低級多価アルコール誘導体が好ましい。重合性不飽和基含有シリカ粒子(c1)の製造における溶剤除去工程で除去しやすいからである。
【0068】
コロイダルシリカとしては、例えば、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、PGM−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL(いずれも日産化学工業社製)等が挙げられる。
【0069】
シリカ粒子(c11)の平均一次粒子径は、5〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。平均一次粒子径が5nm未満であると、本分散体を他の有機材料と混合して使用した場合に、機械特性等の改良効果が小さくなる場合がある。平均一次粒子径が100nmを超えると、透明性が損なわれる場合がある。
【0070】
本明細書において、「平均一次粒子径」は、体積基準粒度分布のメジアン径(d50)を意味し、体積基準の粒度分布は、レーザー回折/散乱法によって測定される。本発明において、本分散体の体積基準の粒度分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「マイクロトラックNT3300」(商品名、日機装社製)を使用して測定した。その際、サンプル濃度は装置に設定された所定の透過率の範囲となるように調整した。
【0071】
有機溶剤(c12)
有機溶剤(c12)は、親水性有機溶剤であることが好ましく、該親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系有機溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のグリコールエーテル系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系有機溶剤等が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0072】
なかでも、塗料組成物の貯蔵性及び得られる塗膜の耐擦り傷性等の観点からアルコール系有機溶剤及び/又はグリコールエーテル系有機溶剤が好ましい。なかでも、貯蔵性及び耐擦り傷性等の観点から、沸点が64〜132℃、特に沸点が82〜118℃のアルコール系有機溶剤及び沸点が120〜208℃、特に沸点が120〜192℃のグリコールエーテル系有機溶剤が好ましい。なかでも、塗料組成物の貯蔵性及び得られる塗膜の耐擦り傷性等の観点から、炭素数2〜8、特に3〜5のアルコール系有機溶剤及び炭素数3〜5、さらに特に3〜4のグリコールエーテル系有機溶剤が好ましい。
【0073】
重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)
重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)は、例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、各種シランカップリング剤の有する加水分解性シリル基以外の官能基と不飽和化合物の不飽和基以外の官能基との反応により得られる重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー等を挙げることができる。
【0074】
前記重合性不飽和基含有シリカ粒子(c1)は、上記シリカ粒子(c11)、有機溶剤(c12)、並びに重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)を加熱混合することによって得られる。
【0075】
より詳細には、分散媒に分散したシリカ粒子(c11)と、有機溶剤(c12)と、重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)とを混合し、この混合物から、有機溶剤(c12)及びシリカ粒子(c11)の分散媒(重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)が加水分解されて生じた低級アルコールを含む。)を常圧又は減圧下で共沸留出させ、分散媒を上記有機溶剤(c12)に置換しながら、又は置換した後に、加熱下で脱水縮合反応させることにより製造することができる。
【0076】
反応中の分散液の不揮発分濃度は約5〜約50質量%の範囲が好ましい。不揮発分濃度が約5質量%未満、すなわち溶媒が約95質量%を超えると、シリカ粒子(c11)と重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)との反応時間が長くなり製造効率が低下する場合がある。一方、不揮発分濃度が約50質量%を超えると、生成物がゲル化する恐れがある。
【0077】
これらの製造方法により、シリカ粒子(c11)表面のケイ素原子と、重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)のケイ素原子とが酸素原子を介して結合し、シロキサン結合が形成されることにより、シリカ粒子(c11)と重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)とが化学的に結合した、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)分散液を得ることができる。
【0078】
重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)を得る際の重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)の配合割合は、シリカ粒子(c11)100質量部に対して、好ましくは約0.2質量部〜約95質量部であり、より好ましくは約0.5質量部〜約50質量部、さらに好ましくは約1.0質量部〜約20質量部である。重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)の割合が約0.2質量部未満であると、生成する重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)が、分散媒中で安定性に劣る場合がある。重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)の割合が約95質量部よりも多いと、シリカ粒子(c11)との反応において重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)が未反応のまま残存する場合がある。
【0079】
また、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)を得る場合において、必要に応じて、炭素数1以上のアルキル基を有するアルコキシシランを、重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有するモノマー(c13)とともにシリカ粒子(c11)と反応させても良い。炭素数1以上のアルキル基を有するアルコキシシランを反応させることで、得られる塗膜の耐水性が向上する場合がある。かかる炭素数1以上のアルキル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン等が挙げられ、これら例示した化合物中のメトキシ基をエトキシ基に置換した化合物(例えばメチルトリエトキシシラン等)も挙げられる。
【0080】
重合性不飽和モノマー混合物(c2)
重合性不飽和モノマー混合物(c2)はその成分の少なくとも一部として、下記ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)を含む。
【0081】
ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)
ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)は、下記式(I)
【0082】
【化3】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Zは下記式(II)を含む構造を示し、Xは水素原子又は(メタ)アクリロイル基、アルキル基、水酸基、アミノ基、(脂環式)エポキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ビニル基、イソシアネート基、アリール基から選ばれる基を示す。)
【0083】
【化4】
【0084】
(式中、mは2〜160の数を示し、Rは互いに同一でも異なっていても良いフェニル基又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
で示される重合性不飽和モノマーである。
【0085】
上記式(I)において、Xは水素原子又は(メタ)アクリロイル基、アルキル基、水酸基、アミノ基、(脂環式)エポキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ビニル基、イソシアネート基、アリール基から選ばれる基を示すが、好ましくは(メタ)アクリロイル基、アルキル基から選ばれる基であり、さらに好ましくは(メタ)アクリロイル基、炭素数1〜10のアルキル基から選ばれる基である。
【0086】
上記式(II)において、mは2〜160範囲内の整数を示すが、好ましくは5〜65の範囲内、さらに好ましく5〜45の範囲内の整数である。
【0087】
また上記式(II)において、R2は互いに同一でも異なっていても良いフェニル基又は炭素数1〜6のアルキル基を示すが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
【0088】
さらにまた上記式(II)において、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を示すが、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり、さらに好ましくはメチレン基である。
【0089】
上記ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)の数平均分子量は、得られる塗膜の透明性等の観点から、13000以下であることが好ましく、2600以下であることが更に好ましく、得られる塗膜の汚染除去性及び耐擦り傷性等の観点から、100以上であることが好ましく、400以上であることが更に好ましい。
【0090】
上記ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)としては、市販品を使用することができる。市販品の商品名としては、例えば、「サイラプレーンFM−0721」、「サイラプレーンFM−0711」、「サイラプレーンFM−0725」(以上、JNC社製、商品名)、「X−22−174ASX」、「X−22−174BX」、「KF−2012」、「X−22−2426」、「X−22−2404」、「X−22−2475」(以上、信越化学工業社製、商品名)等を挙げることができる。
【0091】
前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)中の上記ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)の割合は、耐擦り傷性及び汚染除去性等の観点から、0.1〜20質量%の範囲内であることが好ましく、0.2〜10質量%の範囲内であることが更に好ましく、0.3〜5質量%の範囲内であることが最も好ましい。
【0092】
アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)
アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)は、1分子中にアルコキシシリル基と重合性不飽和基とをそれぞれ1個以上有する化合物である。
【0093】
前記アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーとしては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。これらのうち好ましいアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーとして、ビニルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0094】
前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)中の上記アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)の割合は、耐擦り傷性等の観点から、5〜60質量%の範囲内であることが好ましく、15〜55質量%の範囲内であることが更に好ましく、20〜50質量%の範囲内であることが最も好ましい。
【0095】
前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)は、上記ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)及びアルコキシシリル基を含む重合性不飽和モノマー(c22)以外に、共重合可能なその他の重合性不飽和モノマー(c23)を含むことができる。
【0096】
その他の重合性不飽和モノマー(c23)
その他の重合性不飽和モノマー(c23)は、1分子中に1個以上の重合性不飽和基を有する化合物であり、前記ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)以外の重合性不飽和モノマーである。その具体例を以下に列挙する。
(1)水酸基含有重合性不飽和モノマー:水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基と重合性不飽和基とをそれぞれ1個以上有する化合物である。該水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、前記水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)の説明欄に記載した水酸基含有重合性不飽和モノマーを挙げることができる。
(2)脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー:脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーとしてはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、3−テトラシクロドデシルメタアクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、等を挙げることができる。
(3)酸基含有重合性不飽和モノマー:1分子中に1個以上の酸基と1個の不飽和結合とを有する化合物で、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等の如きカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等の如きスルホン酸基含有重合性不飽和モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系重合性不飽和モノマー等。
(4)(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20の1価アルコールとのモノエステル化物:例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート,tert−ブチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート(商品名、大阪有機化学工業社製)、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等。
(5)芳香族系重合性不飽和モノマー:例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
(6)グリシジル基含有重合性不飽和モノマー:1分子中にグリシジル基と不飽和結合とをそれぞれ1個有する化合物で、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等。
(7)窒素含有重合性不飽和モノマー:例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等。
(8)その他のビニル化合物:例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、バーサティック酸ビニルエステルである「ベオバ9」、「ベオバ10」(商品名、HEXION社製)等。
(9)不飽和結合含有ニトリル系化合物:例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
【0097】
上記その他の重合性不飽和モノマー(c23)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
また、上記その他の重合性不飽和モノマー(c23)は、形成される塗膜の汚染除去性及び耐擦り傷性等の観点から、少なくともその一部として、前記水酸基含有重合性不飽和モノマー(1)を含有することが好ましい。なかでも、上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(1)としては、形成される塗膜の汚染除去性及び耐擦り傷性等の観点から、炭素原子数2〜20の炭化水素基を有する水酸基含有重合性不飽和モノマーが好ましく、なかでも炭素原子数2〜8の炭化水素基を有する水酸基含有重合性不飽和モノマーが好ましく、さらに炭素原子数2〜4の炭化水素基を有する水酸基含有重合性不飽和モノマーが好ましく、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチロールシクロヘキシルアクリレート等を使用することが好ましい。
【0099】
上記その他の重合性不飽和モノマー(c23)が上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(1)を含有する場合、該水酸基含有重合性不飽和モノマー(1)の含有割合は、形成される塗膜の汚染除去性及び耐擦り傷性等の観点から、前記重合性不飽和モノマー混合物(c2)の合計質量を基準として、15〜55質量%の範囲内であることが好ましく、20〜50質量%の範囲内であることが更に好ましい。
【0100】
アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体の製造方法
アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体は、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)と、重合性不飽和モノマー混合物(c2)とを、溶媒の存在下で重合反応させることにより得ることができる。該重合方法としては特に限定されるものではなく、それ自体既知の重合方法を用いることができるが、なかでも、有機溶剤中にて、適宜、触媒、重合開始剤等の存在下で重合を行う溶液重合法を好適に使用することができる。
【0101】
上記溶液重合法において使用される有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、「スワゾール1000」、「スワゾール1500」(商品名、丸善石油化学社製、高沸点石油系溶剤)等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶媒;トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、メチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール系溶媒;n−ブチルエーテル、ジオキサン、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン又は水等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体の安定性等の観点から芳香族化合物、アルコール系溶剤及びエステル系溶剤が好ましく、アルコール系溶剤及びエステル系溶剤が特に好ましい。
【0102】
上記重合に際して使用できる重合開始剤としては特に限定されるものではなく、例えばベンゾイルパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシピバレート、1,1’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2’−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルヒドロキシパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、過酸化水素等の過酸化物系重合開始剤;1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−ジ(2−ヒドロキシエチル)アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(tert−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)等のアゾ系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸系開始剤;過酸化物と還元剤とからなるレドックス型開始剤等といったそれ自体既知のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
【0103】
上記ラジカル重合開始剤の使用量は、重合性不飽和モノマー混合物(c2)100質量部に対して好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。上記ラジカル重合開始剤が0.1質量部未満であると、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)と反応しない未反応の重合性不飽和モノマー混合物(c2)の割合が多くなる場合がある。上記ラジカル重合開始剤が20質量部よりも多いと、アクリル樹脂被覆シリカ粒子同士の重合によって粒子の凝集が起こる場合がある。また、アクリル樹脂被覆シリカ粒子には、未反応の重合性不飽和モノマー混合物(c2)、又は、重合性不飽和モノマー混合物(c2)同士では反応した重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)とは反応しなかったポリマーが含まれていても構わない。
【0104】
上記重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)分散液と重合性不飽和モノマー混合物(c2)との混合割合は、形成される塗膜の汚染除去性及び耐擦り傷性等の観点から、固形分質量比で(c1)/(c2)=20/80〜90/10の範囲内であることが好ましく、なかでも30/70〜80/20の範囲内であることが特に好ましく、さらに40/60〜60/40の範囲内であることが最も好ましい。重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)及び重合性不飽和モノマー混合物(c2)の反応を溶媒中で行なう場合、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)及び重合性不飽和モノマー混合物(c2)の合計質量濃度は、約10質量%〜約90質量%、特に約20質量%〜約70質量%の範囲であることが好ましい。上記合計質量濃度が約10質量%未満であると、反応時間が長くなり製造効率が低下する場合がある。上記合計質量濃度が約90質量%よりも高いと、反応系の粘度が高くなり撹拌が困難になる場合がある。
【0105】
前記反応は、酸素による重合反応阻害を抑制し、反応率を向上させる観点から反応容器内の気相を不活性ガスにより置換して撹拌しながら行うことが好ましい。反応温度と反応時間は、重合性不飽和モノマー混合物(c2)の種類等により適宜選択することができるが、反応温度は約0℃〜約250℃の範囲内であるのが好ましく、反応時間は1〜72時間の範囲内であるのが好ましい。反応は、通常、常圧下で行うことができるが、加圧又は減圧下でも行うことができる。
【0106】
上記反応における、重合性不飽和モノマー混合物(c2)の重合率は、約90%以上であることが好ましく、約95%以上であることがより好ましい。重合性不飽和モノマー混合物(c2)の重合率が約90%未満では耐擦り傷性等の塗膜性能に劣る場合があり、また、得られるアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体の使用時に未反応の重合性不飽和モノマー混合物(c2)に起因する臭気が問題になる場合がある。未反応の重合性不飽和モノマー混合物(c2)の量は、反応時間を延長して減少させることができる。未反応の重合性不飽和モノマー混合物(c2)が少量の場合には、ラジカル重合開始剤を添加して重合反応をさらに行うことにより減少させることができる。
【0107】
塗料の貯蔵安定性及び得られる塗膜の耐擦り傷性等の観点から、シリカ粒子を被覆する樹脂の分子量は400〜6000の範囲内であることが好ましく、なかでも1000〜5500の範囲内であることが好ましく、さらに3000〜5000の範囲内であることが好ましい。
【0108】
また、上記製造方法によって得られたアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体において、シリカ粒子を被覆している樹脂の水酸基価は、形成される塗膜の耐擦り傷性等の観点から、100〜200mgKOH/gの範囲内、特に120〜200mgKOH/gの範囲内、さらに特に140〜200mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。
【0109】
また、上記製造方法によって得られたアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体において、シリカ粒子を被覆している樹脂のガラス転移温度Tgは、形成される塗膜の耐擦り傷性等の観点から、−30〜50℃の範囲内であることが好ましく、−20〜40℃の範囲内であることがさらに好ましい。
【0110】
本塗料におけるアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体の含有量は、水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計固形分100質量部を基準として0.1〜25質量部、特に0.5〜25質量部、さらに特に1〜20質量部の範囲内であることが好適である。
【0111】
また、本塗料における水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)、硬化剤(B)及びアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体の含有量は、得られる塗膜の汚染除去性、耐擦り傷性及び透明性等の観点から、本塗料の合計樹脂固形分100質量部を基準として、以下の範囲内であることが好適である。
水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A):20〜80質量部、好ましくは30〜75質量部、より好ましくは40〜70質量部、
硬化剤(B):10〜60質量部、好ましくは15〜55質量部、より好ましくは20〜50質量部、
アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C):0.5〜30質量部、好ましくは1〜25質量部、より好ましくは3〜20質量部。
【0112】
本発明において、前記水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)、硬化剤(B)及びアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体を含有する塗料組成物が、汚染除去性、耐擦り傷性及び透明性に優れた塗膜を形成することができる理由としては、該アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)がポリシロキサン構造を有するため塗膜表層に偏析し、さらに該アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)中のアルコキシシリル基が上記水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)中のアルコキシシリル基と架橋反応し、さらに、該水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)中のアルコキシシリル基が他の水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)中のアルコキシシリル基と架橋反応し、さらに該水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)中の水酸基が、上記硬化剤(B)と架橋反応することにより、上記水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)及び硬化剤(B)からなる緻密な架橋構造の中に硬質なアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)が強固に結合された層が塗膜表層に形成されるため、汚染除去性及び耐擦り傷性に優れた塗膜が形成されることが推察される。
【0113】
さらに、上記水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)がアルコキシシリル基を有し、かつ上記アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)がアルコキシシリル基及びポリシロキサン構造を有することにより、該水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)及びアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)の親和性が比較的高いため、透明性に優れた塗膜が形成されることが推察される。
【0114】
その他の成分
本塗料は、さらに、硬化触媒、顔料、紫外線吸収剤(例えばベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等)、光安定剤(例えば、ヒンダードピペリジン類等)、脱水剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤等を、それぞれ単独でもしくは2種以上組合せて含有させることができる。
【0115】
前記硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛等の有機金属触媒、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸及びアミン化合物との塩、モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、モノ(2−エチルヘキシル)リン酸、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸等のアルキルリン酸エステル及びアミン化合物との塩、第三級アミン等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
【0116】
本塗料が硬化触媒を含有する場合、硬化触媒の配合量は、本塗料中の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.05〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜5質量部の範囲内であることがより好ましく、0.2〜3質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
【0117】
本塗料が紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の配合量は、本塗料中の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.2〜5質量部の範囲内であることがより好ましく、0.3〜2質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
【0118】
本塗料が光安定剤を含有する場合、光安定剤の配合量は、本塗料中の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.2〜5質量部の範囲内であることがより好ましく、0.3〜2質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
【0119】
前記脱水剤としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ジルコニウムノルマルブチレート、エチルシリケート、ビニルトリメトキシシラン等の金属アルコキシド類;オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリイソプルピル、ジメトキシプロパンなどの有機アルコキシ化合物類;「アディティブTI」(住化バイエルウレタン社製、商品名)等の単官能イソシアネート類;等を挙げることができ、これらは単独で又は2種もしくはそれ以上組み合わせて使用することができる。
【0120】
上記脱水剤は、前記アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体を製造する際にも、使用することができる。
【0121】
本塗料が脱水剤を含有する場合、脱水剤の配合量は、本塗料中の合計樹脂固形分100質量部を基準として、0.01〜15質量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0122】
本塗料は、一液型塗料であってもよいし、二液型塗料等の多液型塗料であってもよい。本塗料において、硬化剤としてブロック化されていないポリイソシアネート化合物を使用する場合には、貯蔵安定性等の観点から、水酸基含有樹脂を含む主剤及び硬化剤を含有する二液型塗料とし、使用直前に両者を混合して使用することが好適である。
【0123】
本塗料の形態は、特に限定されるものではないが、有機溶液型もしくは非水分散液型が好ましい。
【0124】
上記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらは、粘度の調整、塗布性の調整等の目的に応じて適宜組合せて使用することができる。
【0125】
本塗料の固形分は特に限定されるものではない。例えば、硬化塗膜の平滑性及び乾燥時間の短縮化の点で、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が15〜60秒の範囲となるように、上記有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
【0126】
本明細書において固形分とは、揮発成分を除いた残存物を意味するものであり、残存物は常温で固形状であっても液状であっても差し支えない。固形分質量は、乾燥させた時の残存物質量の乾燥前質量に対する割合を固形分率とし、固形分率を乾燥前の試料質量に乗じることで算出することができる。
【0127】
塗装方法
本塗料を適用される被塗物としては、特に限定されるものではない。例えば、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック素材等を挙げることができる。またこれらにより形成された自動車車体、トラック、オートバイ、バス、自動車部品、鉄道車両、二輪車、産業機器、建物、構造物等を挙げることができる。また、被塗物としては、上記金属基材や車体の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物としては、上記金属基材や車体等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜が形成されたものであってもよく、該下塗り塗膜及び中塗り塗膜が形成されたものであってもよく、下塗り塗膜、中塗り塗膜及びベースコート塗膜が形成されたものであってもよく、下塗り塗膜、中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜が形成されたものであってもよい。
【0128】
本塗料の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等の塗装方法が挙げられ、これらの方法によりウエット塗膜を形成することができる。これらの塗装方法では、必要に応じて、静電印加してもよい。これらのうちでは、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装又は回転霧化塗装が特に好ましい。
【0129】
本塗料の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10〜100μm程度となる量とするのが好ましい。
【0130】
被塗物に本塗料を塗装してなるウエット塗膜の硬化は、常温で行ってもよく、加熱することによって行っても良い。なかでも、汚染除去性及び耐擦り傷性及び生産効率等の観点から加熱することにより硬化されることが好ましい。
【0131】
硬化を常温で行う場合には、7日間以上静置することが好ましく、10日間以上静置することが特に好ましく、14日間以上静置することが最も好ましい。
【0132】
硬化を加熱することにより行う場合、公知の加熱手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を使用することができる。加熱温度は、50〜180℃、特には60〜150℃の範囲内にあるのが好ましい。加熱時間は、特に制限されるものではないが、10〜60分間、特には15〜30分間の範囲内であるのが好ましい。
【0133】
本塗料は、耐擦り傷性及び塗膜外観のいずれにも優れる硬化塗膜を得ることができることから、上塗りトップクリヤコート塗料組成物として好適に用いることができる。本塗料は、自動車用塗料として特に好適に用いることができる。
【0134】
複層塗膜形成方法
本塗料が上塗りトップクリヤコート塗料として塗装される複層塗膜形成方法としては、被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として本発明の塗料組成物を塗装することを含む複層塗膜形成方法を挙げることができる。
【0135】
具体的には、例えば、電着塗装及び/又は中塗り塗装が施された被塗物上に、溶剤型又は水性のベースコート塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、必要に応じてベースコート塗料中の溶媒の揮散を促進させるために、例えば、40〜90℃で3〜30分間程度のプレヒートを行い、この未硬化のベースコート塗膜上にクリヤコート塗料として本塗料の塗装を行った後、ベースコートとクリヤコートを一緒に硬化させる、2コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法;電着塗装が施された被塗物上に、溶剤型又は水性の中塗り塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、必要に応じて中塗り塗料中の溶媒の揮散を促進させるために、例えば、40〜90℃で3〜30分間程度のプレヒートを行い、この未硬化の中塗り塗膜上に、溶剤型又は水性のベースコート塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、必要に応じてベースコート塗料中の溶媒の揮散を促進させるために、例えば、40〜90℃で3〜30分間程度のプレヒートを行い、この未硬化のベースコート塗膜上にクリヤコート塗料として本塗料の塗装を行った後、中塗り塗料、ベースコート及びクリヤコートを一緒に硬化させる、3コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法を挙げることができる。
【0136】
上記で用いられる中塗り塗料としては、従来から公知の通常の熱硬化型中塗り塗料を使用することができ、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂系等の基体樹脂に、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物等の硬化剤を、基体樹脂が含有する反応性官能基との反応性を考慮して、適宜組合せてなる塗料を使用することができる。上記基体樹脂が含有する反応性官能基は水酸基であることが好ましい。
【0137】
また、中塗り塗料としては、例えば、水性塗料、有機溶剤系塗料、粉体塗料を用いることができる。なかでも、環境負荷低減及び塗膜の仕上り外観等の観点から水性塗料が好ましい。
【0138】
また、上記で用いられるベースコート塗料としては、従来から公知の通常の熱硬化型ベースコート塗料を使用することができ、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂系等の基体樹脂にアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物等の硬化剤を基体樹脂が含有する反応性官能基と適宜組合せて使用し、さらに着色顔料や光輝性顔料等を配合してなる塗料を使用することができる。
【0139】
また、ベースコート塗料としては、例えば、水性塗料、有機溶剤系塗料、粉体塗料を用いることができる。なかでも、環境負荷低減及び塗膜の仕上り外観等の観点から水性塗料が好ましい。
【0140】
また、本塗料は、ベースコート塗料及び第1クリヤコート塗料を順次塗装して加熱硬化させた後、第1クリヤコート塗膜上にトップクリヤコート塗料を塗装して加熱硬化させることを含む3コート2ベーク方式において、トップクリヤコート塗料として、好適に使用することができる。また、本塗料は、着色ベースコート塗料、光輝性顔料含有ベースコート塗料及びトップクリヤコート塗料を順次塗装することを含む3コート1ベーク方式において、トップクリヤコート塗料として、好適に使用することができる。
【0141】
複層塗膜形成方法において、クリヤコートを2層以上塗装する場合、最上層以外のクリヤコート塗料としては、従来から公知の通常の熱硬化型クリヤコート塗料を使用することができる。
【実施例】
【0142】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されるものではない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づくものである。
【0143】
水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、「スワゾール1000」(商品名、コスモ石油(株)製、芳香族系有機溶剤)30部及びn-ブタノール10部を仕込んだ。反応容器に窒素ガスを吹き込みながら125℃で仕込み液を攪拌し、この中にγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン30部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート35部、スチレン20部、イソブチルメタクリレート15部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(重合開始剤)3部からなるモノマー混合物を4時間かけて均一速度で滴下した。次いで、125℃で30分間熟成させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5部及び「スワゾール1000」5.0部からなる溶液を1時間かけて均一速度で滴下した。その後、125℃で1時間熟成させた後冷却し、さらに酢酸イソブチルを6部加えて希釈し、固形分濃度65質量%の水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1−1)溶液を得た。得られた水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1−1)のアルコキシシリル基含有量は1.2mmol/g、水酸基価は151mgKOH/g、重量平均分子量は7,000、ガラス転移温度16.6℃であった。
【0144】
製造例2
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、「スワゾール1000」(商品名、コスモ石油(株)製、芳香族系有機溶剤)30部及びn-ブタノール10部を仕込んだ。反応容器に窒素ガスを吹き込みながら125℃で仕込み液を攪拌し、この中に「X−22−174ASX」(商品名、信越シリコーン社製、式(I)のR1基:メチル基、式(I)のX基:アルキル基、式(II)のR2基:メチル基)1部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン30部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート35部、スチレン20部、イソブチルメタクリレート14部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(重合開始剤)3部からなるモノマー混合物を4時間かけて均一速度で滴下した。次いで、125℃で30分間熟成させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5部及び「スワゾール1000」5.0部からなる溶液を1時間かけて均一速度で滴下した。その後、125℃で1時間熟成させた後冷却し、さらに酢酸イソブチルを6部加えて希釈し、固形分濃度65質量%の水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1−2)溶液を得た。得られた水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1−2)のアルコキシシリル基含有量は1.2mmol/g、水酸基価は151mgKOH/g、重量平均分子量は7,000であった。また、該水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A1−2)はポリジメチルシロキサン構造を有する。
【0145】
水酸基含有アクリル樹脂の製造
製造例3
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、「スワゾール1000」(商品名、コスモ石油(株)製、芳香族系有機溶剤)30部及びn-ブタノール10部を仕込んだ。反応容器に窒素ガスを吹き込みながら125℃で仕込み液を攪拌し、この中に2−ヒドロキシプロピルアクリレート35部、スチレン20部、イソブチルメタクリレート45部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(重合開始剤)3部からなるモノマー混合物を4時間かけて均一速度で滴下した。その後、125℃で30分間熟成させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5部及び「スワゾール1000」5.0部からなる溶液を1時間かけて均一速度で滴下した。次いで、125℃で1時間熟成させた後冷却し、さらに酢酸イソブチルを6部加えて希釈し、固形分濃度65質量%の水酸基含有アクリル樹脂(Ac−1)溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂(Ac−1)の水酸基価は151mgKOH/g、重量平均分子量は7,000、ガラス転移温度36.4℃であった。
【0146】
重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)の製造
還流冷却器、温度計及び攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、「PGM−ST」(商品名、日産化学工業社製、シリカ平均一次粒子径;15nm、シリカ濃度;30質量%、分散媒;プロピレングリコールモノメチルエーテル)333部(固形分100部)及び脱イオン水10部を入れた後、「KBM−503」(商品名、信越化学工業社製、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)10部を添加し、80℃で2時間攪拌しながら脱水縮合反応を行い、その後、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム0.03部を加えて更に1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、プロピレングリコールモノメチルエーテル30部を添加し、次いで減圧状態で揮発成分を留出させて、表面が修飾されたシリカ粒子の固形分40%の重合性不飽和基含有シリカ粒子(c1)分散液を得た。
【0147】
アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体の製造
製造例4
還流冷却器、温度計、攪拌機及び窒素ガス導入口を取り付けたセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル104.5部及びオルト酢酸トリメチル8.5部を仕込み、窒素ガス通気下で100℃まで昇温した。100℃に達した後、上記重合性不飽和基含有シリカ粒子(c1)分散液 375部(固形分150部)と「X−22−174ASX」(商品名、信越シリコーン社製、式(I)のR1基:メチル基、式(I)のX基:アルキル基、式(II)のR2基:メチル基)1部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン30部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート35部、スチレン20部、イソブチルメタクリレート14部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(重合開始剤)3部及びオルト酢酸トリメチル23.5部からなるモノマー混合物を、2時間かけて滴下した。次いで、100℃で1時間熟成させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(重合開始剤)1部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル19.5部の混合溶液を投入し、更に2時間熟成させた。不揮発分から求めた重合率は99%であった。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加え、減圧状態で共沸留出することにより溶剤を置換し、実測された不揮発分が40%であるアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C−1)分散体を得た。
【0148】
製造例5〜26
表1〜表4に示す配合とする以外は製造例4と同様にして、アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C−2)〜(C−23)を得た。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】
【表3】
【0152】
【表4】
【0153】
なお、表中の(c21)成分については以下の通りである。
【0154】
「X−22−174BX」:商品名、信越シリコーン社製、式(I)のR1基:メチル基、式(I)のX基:アルキル基、式(II)のR2基:メチル基、式(II)のR3基:アルキレン基、
「KF−2012」:商品名、信越シリコーン社製、式(I)のR1基:メチル基、式(I)のX基:アルキル基、式(II)のR2基:メチル基、式(II)のR3基:アルキレン基、
「X−22−2404」:商品名、信越シリコーン社製、式(I)のR1基:メチル基、式(I)のX基:アルキル基、式(II)のR2基:メチル基、式(II)のR3基:アルキレン基、
「X−22−164AS」:商品名、信越シリコーン社製、式(I)のR1基:メチル基、式(I)のX基:メタクリル基、式(II)のR2基:メチル基、式(II)のR3基:アルキレン基、
「X−22−164B」:商品名、信越シリコーン社製、式(I)のR1基:メチル基、式(I)のX基:メタクリル基、式(II)のR2基:メチル基、式(II)のR3基:アルキレン基。
【0155】
塗料組成物の製造
実施例1
製造例4で得たアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C−1)分散体25部(固形分10部)、製造例1で得た水酸基及びアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂(A−1)92.3部(固形分60部)、「スミジュール N3300」(商品名、住化コベストロウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物、固形分含有率100%)30部(固形分30部)、「NACURE 4167」(商品名、KING INDUSTRIES社製、アルキルリン酸のトリエチルアミン塩、硬化触媒、有効成分25%)4部(固形分1部)、「BYK−300」(商品名、ビックケミー社製、表面調整剤、有効成分52%)0.2部(固形分0.1部)、「TINUVIN 400」(商品名、BASF社製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、有効成分100%)1部(固形分1部)及び「HOSTAVIN 3058」(商品名、CLARIANT社製、ヒンダードアミン系光安定剤、アシル化ヒンダードアミン、有効成分100%)1部(固形分1部)を配合し、塗料固形分が40%になるように酢酸ブチルで希釈攪拌して、塗料組成物 No.1を得た。
【0156】
実施例2〜26、比較例1〜4
表5〜表9に示す配合とする以外は実施例1と同様にして、塗料組成物 No.2〜30を得た。
【0157】
なお、表中の硬化剤(B)については以下の通りである。
「デスモジュール Z4470BA」:商品名、住化コベストロウレタン社製、イソホロンジイソシアネートの三量体、固形分含有率70%、
「サイメル251」:商品名、オルネクスジャパン社製、メラミン樹脂。
【0158】
汚染除去性試験用試験板の作製
上記各塗料組成物No.1〜30の粘度を、酢酸ブチルを添加してフォードカップNo.4を用いて20℃で25秒の粘度に調整し、それぞれについて以下の様にして試験板を作製した。
【0159】
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、「エレクロンGT−10」(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上に「アミラックTP−65−2」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。該塗膜上に水性ベースコート「WBC713T」(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン樹脂系自動車上塗りベースコート塗料、白塗色)を乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で10分間プレヒートを行った後、140℃で30分間加熱硬化させた。その後、該硬化したベースコート塗膜上に上記実施例及び比較例にて製造・粘度調整した各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置してから、80℃で20分間加熱し硬化させることにより試験板を得た。得られたそれぞれの試験板を常温で7日間静置してから下記塗膜性能試験を行なった。試験結果を表5〜表9に示す。
【0160】
汚染除去性
上記で得られた各試験板に、アルコール系マーカー「マッキー極細 MO−120−MC−R」(商品名、ゼブラ社製、赤色アルコール系マーカー)で10mm×10mmの正方形を描き汚染した。その後、6日間静置してから、「スコッチ・ブライト シトラスフォームクリーナー」(商品名、3M社製、落書き除去剤)をむらのないようにふきつけ、乾いたキムワイプ(商品名)を用いて、汚染部分をふき取り、1日静置したのち、上記部分を観察し、以下の基準で評価した。A、B及びCが合格レベルである。
A:クリーナーで簡単に除去でき、色残りが全くない、
B:クリーナーで何度かふき取ることで、色残りがほとんどない、
C:クリーナーで何度かふき取ることで、わずかに色残りが認められる、
D:クリーナーではふき取ることができず、色残りが認められる、
E:色残りが認められ、塗膜がクリーナーにより溶解する。
【0161】
耐擦り傷性及び透明性試験用試験板の作製
上記各塗料組成物No.1〜30の粘度を、酢酸ブチルを添加してフォードカップNo.4を用いて20℃で25秒の粘度に調整し、それぞれについて以下の様にして試験板を作製した。
【0162】
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロン「GT−10」(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上に「アミラックTP−65−2」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。該塗膜上に水性ベースコート「WBC713T」(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン樹脂系自動車上塗りベースコート塗料、黒塗色)を乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で10分間プレヒートを行った後、140℃で30分間加熱硬化させた。その後、該硬化したベースコート塗膜上に上記実施例及び比較例にて製造・粘度調整した各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置してから、80℃で20分間加熱し硬化させることにより試験板を得た。得られたそれぞれの試験板を常温で7日間静置してから下記塗膜性能試験を行なった。
【0163】
耐擦り傷性
上記で得られた各試験板について学振型摩擦試験機(SDL ATLAS社、Crock Meter M238BB CM−5)を用いて10往復させる。その際に使用する研磨剤は「ウェット・オア・ドライ・ポリッシングシート 281Q 粒度9μm」(商品名、3M社製、研磨剤)である。試験後、塗膜表面をエアスプレーした後に試験前後の20°光沢を光沢計(Byk−Gardner社製、装置名:Micro Tri Gross)を用いて測定し、下式より光沢保持率を算出した。A、B及びCが合格レベルである。
試験後の光沢/初期光沢×100
A:85%以上、
B:80以上85%未満、
C:65以上80%未満、
D:50以上65%未満、
E:50%未満。
【0164】
透明性
上記で得られた各試験版について「CM−512m3」(商品名、コニカミノルタ社製、多角度分光測色計)によって測定されるL値に基づいて透明性を評価した。本試験においてL値は、受光角(塗面に対して垂直方向を0°としたもの)に対して、25°(ハイライト方向)、45°、75°(シェード方向)の3角度からそれぞれ標準の光D65を照射した場合の各L値を合計した値である。L値が小さいほど、下層のベースコート塗膜の黒色が鮮明に見えることを示し、形成されたクリヤコート塗膜の透明性が高いことを示す。A、B及びCが合格レベルである。
A:L値の合計が1.5未満、
B:L値の合計が1.5以上2.0未満、
C:L値の合計が2.0以上2.5未満、
D:L値の合計が2.5以上3.5未満、
E:L値の合計が3.5以上。
【0165】
【表5】
【0166】
【表6】
【0167】
【表7】
【0168】
【表8】
【0169】
【表9】
【0170】
低温硬化型ベースコート塗料を使用した試験用被塗物の作製
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロン「GT−10」(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上に「アミラックTP−65−2」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。該塗膜上に水性ベースコート「アスカレックス200H」(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン・ブロック化イソシアネート樹脂系自動車上塗りベースコート塗料、白塗色)を乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で3分間プレヒートを行った後、80℃で30分間加熱硬化させ、試験用被塗物(L1)を得た。
【0171】
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロン「GT−10」(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上に「アミラックTP−65−2」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。該塗膜上に水性ベースコート「アスカレックス200H」(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン・ブロック化イソシアネート樹脂系自動車上塗りベースコート塗料、黒塗色)を乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で3分間プレヒートを行った後、80℃で30分間加熱硬化させ、試験用被塗物(L2)を得た。
【0172】
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロン「GT−10」(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上に「アミラックTP−65−2」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。該塗膜上に水性ベースコート「アスカレックス200H」(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン・ブロック化イソシアネート樹脂系自動車上塗りベースコート塗料、白塗色)を乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で3分間プレヒートを行うことで未硬化のベースコート塗膜を形成し、試験用被塗物(L3)を得た。
【0173】
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロン「GT−10」(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上に「アミラックTP−65−2」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。該塗膜上に水性ベースコート「アスカレックス200H」(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン・ブロック化イソシアネート樹脂系自動車上塗りベースコート塗料、黒塗色)を乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で3分間プレヒートを行うことで未硬化のベースコート塗膜を形成し、試験用被塗物(L4)を得た。
【0174】
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロン「GT−10」(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上に「WP−522H」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル樹脂系水性中塗り塗料)を膜厚30μmとなるようにエアスプレー塗装し、未硬化の中塗り塗膜を形成した。該塗膜上に水性ベースコート「アスカレックス200H」(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン・ブロック化イソシアネート樹脂系自動車上塗りベースコート塗料、白塗色)を乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で3分間プレヒートを行うことで未硬化のベースコート塗膜を形成し、試験用被塗物(L5)を得た。
【0175】
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロン「GT−10」(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上に「WP−522H」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル樹脂系水性中塗り塗料)を膜厚30μmとなるようにエアスプレー塗装し、未硬化の中塗り塗膜を形成した。該塗膜上に水性ベースコート「アスカレックス200H」(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン・ブロック化イソシアネート樹脂系自動車上塗りベースコート塗料、黒塗色)を乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で3分間プレヒートを行うことで未硬化のベースコート塗膜を形成し、試験用被塗物(L6)を得た。
【0176】
低温硬化型ベースコート塗料を使用した試験板の作製
実施例27
前記塗料組成物No.1の粘度を、酢酸ブチルを添加してフォードカップNo.4を用いて20℃で25秒の粘度に調整した。次いで、上記試験用被塗物(L1)、(L2)、(L3)、(L4)、(L5)及び(L6)上に、上記粘度調整を行った塗料組成物No.1を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置してから、80℃で20分間加熱し硬化させ、その後、23℃で7日間静置して、試験用塗装板(L1−1)、(L2−1)、(L3−1)、(L4−1)、(L5−1)及び(L6−1)を得た。
【0177】
実施例28〜52、比較例5〜8
実施例27において、塗料組成物の種類を下記表10〜表14に示す通りとする以外は、実施例27と同様にして試験用塗装板(L1−2)〜(L1−30)、(L2−2)〜(L2−30)、(L3−2)〜(L3−30)、(L4−2)〜(L4−30)、(L5−2)〜(L5−30)及び(L6−2)〜(L6−30)を得た。
【0178】
塗膜性能試験
上記で得られた試験板のうち、試験板(L1−1)〜(L1−30)、(L3−1)〜(L3−30)及び(L5−1)〜(L5−30)を使用して、前記汚染除去性の評価試験を行った。また、得られた試験板(L2−1)〜(L2−30)、(L4−1)〜(L4−30)及び(L6−1)〜(L6−30)を使用して、前記耐擦り傷性及び透明性の評価試験を行った。評価結果を表10〜表14に示す。
【0179】
【表10】
【0180】
【表11】
【0181】
【表12】
【0182】
【表13】
【0183】
【表14】
【要約】
汚染除去性、耐擦り傷性及び透明性に優れた塗膜を形成することができる塗料組成物を提供する。水酸基及びアルコキシシリル基を有する樹脂(A)、硬化剤(B)及びアクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体を含有する塗料組成物であって、該アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体が、重合性不飽和基を有するシリカ粒子(c1)と、重合性不飽和モノマー混合物(c2)との反応物である、アクリル樹脂被覆シリカ粒子(C)分散体であり、かつ該重合性不飽和モノマー混合物(c2)が、その成分の少なくとも一部として、ポリシロキサン構造を有する重合性不飽和モノマー(c21)及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(c22)を含む、塗料組成物が提供される。