(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の吐水装置においては、確認投光を行うことで外乱ノイズによる誤検出を抑制できるが、反射式センサを有する吐水装置を連立して設置した場合、複数の反射式センサの投光タイミングが一致すると一方の反射式センサの投光が他方の反射式センサに入り込み誤検出してしまう恐れがある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、反射式センサを複数有する吐水装置を設けた場合であっても、誤検出を抑制することができる吐水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、対象物の有無に基づいて液体を吐水する吐水装置であって、液体を吐水口に導く流路と、流路に設けられ、前記流路を開閉する開閉弁と、吐水口から吐水される液体を受けるボウルと、第一投光素子から第一所定投光量で投光し、その反射光を第一受光素子で受光し受光レベルとして出力する第一反射式センサと、第二投光素子から第二所定投光量で投光し、その反射光を第二受光素子で受光し受光レベルとして出力する第二反射式センサと、受光レベルにより対象物の有無を判断し開閉弁を制御する制御部と、を備え、第一反射式センサおよび第二反射式センサは、第一反射式センサおよび第二反射式センサの投光方向がボウルと交差するよう配置され、制御部は、第一投光素子および第二投光素子から定期的に投光する通常投光モードと、通常投光モードにおいて受光レベルが所定の閾値を超えたと判断すると、第一所定時間経過後に第一投光素子から再度投光し、第一所定時間とは異なる第二所定時間経過後に第二投光素子から再度投光する確認投光モードと、確認投光モードにおいて受光レベルが所定の閾値を超えた場合に対象物があると判断するように構成されることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、通常投光モードにおいて受光レベルが所定の閾値を超えたと判断すると、第一所定時間経過後に第一投光素子から再度投光し、第一所定時間とは異なる第二所定時間経過後に第二投光素子から投光を行う確認投光モードを実行することで、消費電力が増加することや使い勝手を低下させることなく、誤検出してしまうことを抑制できる。さらに詳しく説明すると、第一反射式センサと第二反射式センサを有する吐水装置において、確認投光モードの投光を開始する時間を変えずに、通常投光モードの投光間隔を変更することも考えられるが、通常投光モードの投光間隔を短くすると、投光回数が増加することにより、消費電力が高くなってしまう。また、通常投光モードの投光間隔を長くすると、投光回数が少なくなり、対象物を検出できるまでの時間が長くなるため、使い勝手が低下するが、確認投光モードの投光を開始させる時間を変えることで、消費電力が増加することや使い勝手を低下させることを防止しつつ誤検出を抑制できる。
こうすることで、通常投光モードにおいて複数の反射式センサの投光タイミングが一致して一方の反射式センサの投光が他方の反射式センサに入り込んだとしても、確認投光モードでの投光間隔が異なるため、確認投光中には他方の反射式センサの投光が入り込むことがない。そのため、誤検出をすることを抑制できる。
【0008】
本発明において、好ましくは、制御部は、第一反射式センサに基づいて動作を制御する第一制御部と、第二反射式センサに基づいて動作を制御する第二制御部とを有することを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明においては、既に設置されている吐水装置に加えて、さらに吐水装置を設置する場合に、第一反射式センサと第二反射式センサとの動作タイミングを制御するために統一の制御部が必要となり、施工性が低下するが、確認投光モードの投光の開始タイミングが異なる第一反射式センサを制御する第一制御部と、第二反射式センサを制御する第二制御部を設けることで、それぞれの反射式センサを制御部に接続する必要がなく、施工性を低下させることなく誤検出を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反射式センサを複数有する吐水装置を設けた場合であっても、誤検出を抑制することができる吐水装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符合を付して、重複する説明は省略する。なお、以下に示す実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
本発明の実施形態に係る吐水装置について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態である吐水装置1の外観を示す図である。
図1に示すように、吐水装置1は、水を自動で吐止水する自動水栓2と、石けん液を自動で吐止水する水石けん供給栓3と、自動水栓2と水石けん供給栓3から吐水される水や水石けん液を受けるボウル4と、自動水栓2および水石けん供給栓3の動作を制御する制御部100とを有する。
【0014】
制御部100は、自動水栓2の動作を制御する第一制御部110と、水石けん供給栓120の動作を制御する第二制御部120とを有し、第一制御部110および第二制御部120は、ボウル4の下方に設けられる。
【0015】
次に
図2を参照して吐水装置1の概略構成を説明する。
図2(a)は、本発明の実施形態である自動水栓2の概略構成図である。
図2(b)は、本発明の実施形態である水石けん供給栓3の概略構成図である。
図2(a)に示すように、自動水栓2は、給水源Wからの水を吐水口2aに導く流路5aと、流路5aに設けられ、流路5aを開閉する電磁弁6と、電磁弁6の動作を制御する第一制御部110と、対象物を検知するための第一反射式センサ10とを有する。
【0016】
第一反射式センサ10は、例えば赤外線等を投光する第一投光素子11と、第一投光素子11から投光された光の反射光を受光する第一受光素子12を有している。
【0017】
第一制御部110は、第一受光素子12からの受光レベルによって対象物の有無を判断する判定部113と、投光実行手段である通常投光実行手段111と確認投光実行手段112と確認投光条件設定手段114とを有している。第一反射式センサ10と第一制御部110とは、電気信号を伝送する配線によって接続されている。
【0018】
第一投光素子11は、通常投光実行手段111および確認投光実行手段112からの信号に基づいて第一所定投光量の光を投光する。なお、通常投光実行手段111および確認投光実行手段112からの信号は配線をとおして第一発光素子11に伝送される。第一投光素子11から投光された光は、例えばボウル4や使用者の手などによって反射され、この反射光を第一受光素子12が受光する。第一受光素子12は、受光した反射光を受光レベルという電気信号として配線を通して第一制御部110に出力する。
【0019】
第一制御部110が第一受光素子12から受け取った受光レベルは判定部113に伝送される。そして、判定部113は、第一受光素子12から受け取った受光レベルに基づいて対象物の有無を判断する。その結果対象物が「有り」と判断されると、判定部113は電磁弁6を開駆動して吐水動作を行う。一方、対象物が「無し」と判断されると、判定部113は電磁弁6を閉駆動して止水動作を行う。
【0020】
また、第一制御部110が第一受光素子12から受け取った受光レベルは、判定部113から確認投光条件設定手段114に伝送される。確認投光条件設定手段114は、確認投光を行う条件を設定し、設定した条件を確認投光実行手段112に伝送する。確認投光実行手段112は、確認投光条件設定手段114が設定した条件で第一投光素子11を動作させる。
【0021】
次に、
図2(b)を参照して、水石けん供給栓3の概略構成を説明する。
図2(b)に示すように、水石けん供給栓3は、石けん源Sからの石けん液を吐水口2bに導く流路5bと、流路5bに設けられ、流路5bを開閉するとともに吐水口2bに石けん液を供給するポンプ7と、ポンプ7の動作を制御する第二制御部120と、対象物を検知するための第二反射式センサ20とを有する。
【0022】
第二反射式センサ20は、例えば赤外線等を投光する第二投光素子21と、第二投光素子21から投光された光の反射光を受光する第二受光素子22を有している。
【0023】
第二制御部120は、第二受光素子22からの受光レベルによって対象物の有無を判断する判定部123と、投光実行手段である通常投光実行手段121と確認投光実行手段122と確認投光条件設定手段124とを有している。第二反射式センサ20と第二制御部120とは、電気信号を伝送する配線によって接続されている。
【0024】
第二投光素子21は、通常投光実行手段121および確認投光実行手段122からの信号に基づいて第二所定投光量の光を投光する。なお、通常投光実行手段121および確認投光実行手段122からの信号は配線を通して第二発光素子21に伝送される。第二投光素子21から投光された光は、例えばボウル4や使用者の手などによって反射され、この反射光を第二受光素子22が受光する。第二受光素子22は、受光した反射光を受光レベルという電気信号として配線を通して第二制御部120に出力する。
【0025】
第二制御部120が第二受光素子22から受け取った受光レベルは判定部123に伝送される。そして、判定部123は、第二受光素子22から受け取った受光レベルに基づいて対象物の有無を判断する。その結果対象物が「有り」と判断されると、判定部123はポンプ7の駆動を開始して吐水動作を行う。一方、対象物が「無し」と判断されると、判定部123はポンプ7の駆動を停止して止水動作を行う。
【0026】
また、第二制御部120が第二受光素子22から受け取った受光レベルは、判定部123から確認投光条件設定手段124に伝送される。確認投光条件設定手段124は、確認投光を行う条件を設定し、設定した条件を確認投光実行手段122に伝送する。確認投光実行手段122は、確認投光条件設定手段124が設定した条件で第二投光素子21を動作させる。
【0027】
次に
図3を参照して、自動水栓2および水石けん供給栓3とボウル4の位置関係について説明する。
図3は、本発明の実施形態である自動水栓2および水石けん供給栓3とボウル4の側面図である。自動水栓2および水石けん供給栓3とボウル4の位置関係は、それぞれ同様の位置関係となっている。
図3に示すように、自動水栓2および水石けん供給栓3は、被取付壁Lに取付けられる。第一反射式センサ10は自動水栓2の内部に設けられ、吐水口2aの前方側に配置される。また、第二反射式センサ20は水石けん供給栓3の内部に設けられ、吐水口2bの前方側に配置される。第一反射式センサ10および第二反射式センサ20の第一投光素子11および第二投光素子21は、第一投光素子11および第二投光素子21の投光方向がボウル4と交差するように自動水栓2および水石けん供給栓3に設けられている。
【0028】
次に、
図4を参照して、自動水栓2および水石けん供給栓3の動作タイミングについて説明する。
図4は、本発明の実施形態である吐水装置1の動作タイミングチャートである。
図4に示すように、第一制御部110は、第一反射式センサ10の第一投光素子11を一定時間t1の間隔で投光を行う。また、第二制御部120は、第二反射式センサ20の第二投光素子21を一定時間t1の間隔で投光を行う。このように第一制御部110および第二制御部120は、一定時間t1の間隔で投光を行う通常投光モードを有している。第一制御部110および第二制御部120は、通常投光モードで対象物が無い(非感知)と判断すると、電磁弁6およびポンプ7を動作させない。図示しないが、電磁弁6が開状態またはポンプ7が動作中にて、対象物が無いと判断すると、電磁弁6を閉動作し、ポンプ7は動作を停止する。
【0029】
次に、第一制御部110は、通常投光モードにおいて受光レベルが所定の閾値を超えて対象物有りと判定部113が判定すると確認投光モードを実行する。通常投光モードにおいて受光レベルが閾値を超えて対象物有りと判定すると判定部113は、確認投光条件設定手段114に受光レベルを伝送する。確認投光条件設定手段114は、対象物有りと判定した第一所定時間t2経過後に再度投光、すなわち確認投光するように確認投光実行手段112に信号を伝送する。その後確認投光実行手段112は、確認投光条件設定手段114の信号に基づいて第一投光素子11を投光させる。確認投光の1回目においても対象物有りと判断すると確認投光の2回目を実行する。確認投光の2回目でも対象物有りと判断すると判定部113は、電磁弁6を開動作し、吐水を開始させる。
【0030】
また、第二制御部120は、通常投光モードにおいて受光レベルが所定の閾値を超えて対象物有りと判定部123が判定すると確認投光モードを実行する。通常投光モードにおいて受光レベルが閾値を超えて対象物有りと判定すると判定部123は、確認投光条件設定手段124に受光レベルを伝送する。確認投光条件設定手段124は、対象物有りと判定した第二所定時間t3経過後に再度投光、すなわち確認投光するように確認投光実行手段122に信号を伝送する。その後確認投光実行手段122は、確認投光条件設定手段124の信号に基づいて第二投光素子21を投光させる。確認投光の1回目においても対象物有りと判断すると確認投光の2回目を実行する。確認投光の2回目でも対象物有りと判断すると判定部123は、ポンプ7の動作を開始し、石けん液の吐水を開始させる。
【0031】
次に、
図5を参照して、吐水装置1の制御フローについて説明する。
図5は、本発明の実施形態である吐水装置1の制御フローチャートである。
図5に示すフローチャートは、自動水栓2を制御する第一制御部110および水石けん供給栓3を制御する第二制御部120の制御フローチャートであり、第一制御部110と第二制御部120をあわせて制御部100として説明する。
【0032】
制御部100は、自動水栓2および水石けん供給栓3に電源が投入されると制御をスタートさせる(ステップS100)。その後制御部100は、通常投光モードを実行する(ステップS101)。その後、制御部100は、第一反射式センサ10および第二反射式センサ20の受光レベルが閾値よりも大きいか否かを判断する(ステップS102)。ステップS102にて制御部100が受光レベルが閾値よりも小さいと判断すると、判定部113,123にて非感知と判断する(ステップS103)。その後、制御部100は、吐水中であるか否かを判断する(ステップS104)。ステップS104にて吐水中であると判断すると吐水を終了させ(ステップS105)、エンド(ステップS116)となり、ステップS104にて吐水中でないと判断するとエンド(ステップS116)となる。
【0033】
ステップS102に戻り、制御部100は、ステップS102にて受光レベルが閾値よりも大きいと判断すると、判断部113,123が感知中であるか否かを判断する(ステップS106)。ステップS106にて判断部113,123が感知中であると判断すると、エンド(ステップS116)となる。ステップS106にて判断部113,123が感知中でないと判断すると、カウンタNをゼロに設定する(ステップS107)。その後制御部100は、第一反射式センサ10であれば、第一所定時間t2、第二反射式センサ20であれば第二所定時間t3待機する(ステップS108)。制御部100は、第一所定時間t2もしくは第二所定時間t3待機すると、再度、第一投光素子11または第二投光素子21を投光させる確認投光を実行する(ステップS109)。その後、制御部100は、確認投光の結果の受光レベルが閾値よりも大きいか否かを判断する(ステップS110)。ステップS110にて受光レベルが閾値よりも小さいと判断すると、ステップS103〜ステップS105を行い、エンド(ステップS116)となる。
【0034】
ステップS110にて受光レベルが閾値よりも大きいと判断すると、カウンタNに1を加算する(ステップS111)。その後、カウンタNが2であるか否かを判断する(ステップS112)。ステップS112にてカウンタNが2でない場合は、カウンタNが2となるようステップS108からステップS111を繰り返し実行する。
【0035】
ステップS112にてカウンタNが2であると判断すると、判定部113,123にて感知と判断する(ステップS113)。その後制御部100は、吐水中であるか否かを判断する(ステップS114)。ステップS114にて吐水中でないと判断すると、吐水を開始させ(ステップS115)、エンド(ステップS116)となり、ステップS114にて、吐水中と判断するとエンド(ステップS116)となる。
【0036】
上述したように、通常投光モードにおいて受光レベルが所定の閾値を超えたと判断すると、第一所定時間t2経過後に第一投光素子11から再度投光し、第一所定時間t2とは異なる第二所定時間t3経過後に第二投光素子21から投光を行う確認投光モードを実行することで、消費電力が増加することや使い勝手を低下させることなく、誤検出してしまうことを抑制できる。さらに詳しく説明すると、第一反射式センサ10と第二反射式センサ20を有する吐水装置1において、確認投光モードの投光を開始する時間を変えずに、通常投光モードの投光間隔を変更することも考えられるが、通常投光モードの投光間隔を短くすると、投光回数が増加することにより、消費電力が高くなってしまう。また、通常投光モードの投光間隔を長くすると、投光回数が少なくなり、対象物を検出できるまでの時間が長くなるため、使い勝手が低下するが、確認投光モードの投光を開始させる時間を変えることで、消費電力が増加することや使い勝手を低下させることを防止しつつ誤検出を抑制できる。
こうすることで、通常投光モードにおいて複数の反射式センサの投光タイミングが一致して一方の反射式センサの投光が他方の反射式センサに入り込んだとしても、確認投光モードでの投光間隔が異なる。よって、確認投光中には他方の反射式センサの投光が入り込むことがないため、誤検出をすることを抑制できる。
【0037】
また、既に設置されている吐水装置1に加えて、さらに吐水装置1を設置する場合に、第一反射式センサ10と第二反射式センサ20との動作タイミングを制御するために統一の制御部100が必要となり、施工性が低下するが、確認投光モードの投光の開始タイミングが異なる第一反射式センサ10を制御する第一制御部110と、第二反射式センサ20を制御する第二制御部120を設けることで、それぞれの反射式センサを制御部に接続する必要がなく、施工性を低下させることなく誤検出を抑制できる。
【0038】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。