(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係る照明装置10の構成を示す図である。
図1は、照明装置10の模式的な断面図であるが、ハッチングを省略している。照明装置10は、筐体11に収容された光源12、整形部材13、波長変換体15及びアンテナアレイ14を含む。本実施例においては、光源12は、半導体レーザなどのレーザ光源である場合について説明する。しかし、光源12は、発光ダイオードなど、他の発光素子を含んでいてもよい。
【0012】
光源12は、一次光L1を生成する。整形部材13は、一次光L1の強度分布を調節して二次光L2を生成する。波長変換体14は、受光面S1から二次光L2を受光し、二次光L2の一部に波長変換を行って三次光L3を生成する。また、波長変換体14は出射面S2を有し、出射面S2から三次光L3を出射する。アンテナアレイ15は、波長変換体14の出射面S2上に形成され、周期的に配置された複数の微細な光学アンテナを含む。
【0013】
本実施例においては、筐体11には、光源12を固定する開口と、波長変換体14を固定する開口とが設けられている。整形部材13は、光源12の光出射部と波長変換体14の受光面S1との間に配置されている。なお、図示していないが、光源12は、集光レンズ又はコリメートレンズを有していてもよい。
【0014】
図2は、光源12及び整形部材13の構成を模式的に示す図である。
図2を用いて、光源12及び整形手段13について説明する。本実施例においては、光源12は、
図2に示すように、ガウシアン型の強度分布を有する一次光L1を生成する。光源12は、例えば、一次光L1として、440nm〜460nmの波長帯域(青色)のレーザ光を生成し、当該レーザ光を整形部材13に向けて出射する。
【0015】
整形部材13は、一次光L1を整形し、トップハット型の強度分布を有する二次光L2を生成する。すなわち、整形部材13は、ガウシアン型の強度分布を有する光の成分を、トップハット型の強度分布を有する光の成分に変換する。例えば、整形部材13からの二次光L2は、強度分布が均一化されたレーザ光である。整形部材13は、例えば、マイクロレンズアレイ(フライアイレンズ)、非球面レンズ、回折光学素子(DOE)、ロッドレンズ及び導光ファイバ等のビームホモジナイザ光学部材のいずれか又はこれらを組み合わせ光学系からなる。
【0016】
例えば、ビームホモジナイザ光学部材は、ガウシアン型の強度分布をトップハット型の強度分布に変換するだけでなく、二次光L2の放射角、配光、照射形状を制御することもできる。また、整形部材13は、ビームホモジナイザ光学部材と凹レンズ、凸レンズ、非球面レンズ等の光学部材とを組み合わせることによっても、トップハット型の強度分布を有し、所望の放射角、配光、照射形状に整形された二次光L2を生成することができる。
【0017】
図3(a)及び(b)は、それぞれ波長変換体14及びアンテナアレイ15の模式的な断面図及び上面図である。
図3(b)は、波長変換体14の出射面S2を模式的に示す平面図であり、
図3(a)は、
図3(b)のV−V線に沿った断面図である。
図3(a)及び(b)を用いて波長変換体14及びアンテナアレイ15について説明する。
【0018】
波長変換体14は、蛍光体を含む板状の蛍光体プレート14Aと、蛍光体プレート14Aの側面上に形成された光反射膜14Bとを有する。本実施例においては、蛍光体プレート14Aの主面の一方は、波長変換体14における二次光L2の受光面S1として機能する。また、蛍光体プレート14Aの他方の主面は、波長変換体14における三次光L3の出射面S2として機能する。なお、アンテナアレイ15は、蛍光体プレート14Aの当該他方の主面上に形成されている。
【0019】
波長変換体14(本実施例においては蛍光体プレート14A)は、受光面S1から二次光L2を受光し、二次光L2の波長を変換して波長変換光L31を生成する。波長変換体14は、波長変換体14を透過した二次光L2である透過光L32と、波長変換光L31とを含む三次光L3を生成し、出射面S2から三次光L3を出射する。本実施例においては、三次光L3は、照明装置10のから外部に出力される照明光である。
【0020】
例えば、蛍光体プレート14Aは、セリウムを発光中心としたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG:Ce)蛍光体の透明な単相蛍光体セラミックプレートから構成されている。また、蛍光体プレート14Aは、YAG:Ce蛍光体粉末を透明バインダ中に分散させて固めたものであってもよい。
【0021】
例えば、波長変換体14は、波長変換光L31として、550nm付近にピークを有し460nm〜750nmの波長帯域(黄色)の光を生成する。従って、本実施例においては、波長変換体14の出射面S2からは、三次光L3として、黄色光(波長変換光L31)及び青色光(透過光L32)が混色された白色光が出力される。
【0022】
また、光反射膜14Bは、蛍光体プレート14A内の波長変換光L31及び透過光L32を出射面S2に向けて反射させる。従って、波長変換体14からの光取り出し効率が向上する。光反射膜14Bは、例えば、蛍光体プレート14Aの側面上に設けられた金属膜、光学多層膜及び白色樹脂膜などからなる。
【0023】
なお、波長変換体14は、光反射膜14Bを有していなくてもよい。また、波長変換体14は、受光面S1上に形成され反射防止(AR)膜やダイクロイックミラー(図示せず)を有していてもよい。反射防止膜を設けることによって、波長変換体14への二次光L2の入射効率の向上を図り、光取り出し量を向上させることができる。また、ダイクロイックミラーを設けることによって、受光面S1に向かう波長変換光L31を出射面S2に向けて反射させることができ、出射面S2からの光取り出し量を向上させることができる。
【0024】
次に、アンテナアレイ15について説明する。本実施例においては、アンテナアレイ15は、波長変換体14の出射面S2上に形成され、波長変換体14内における透過光L32(二次光L2)の光学波長よりも大きな周期(アンテナ周期)Pで配置された複数の光学アンテナ(以下、単にアンテナと称する)15Aを有する。本実施例においては、複数のアンテナ15Aは、波長変換体14内における波長変換光L31の光学波長程度の周期P(例えば350nm)で周期的に配置されている。
【0025】
これら複数のアンテナ15Aの各々は、本実施例においては、柱状又は錐状の金属突起である。また、本実施例においては、アンテナ15Aの各々は、円柱形状を有し、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Pt(プラチナ)、Pd(パラジウム)、Al(アルミニウム)及びNi(ニッケル)等の可視光領域にプラズマ周波数を有する材料、並びにこれらを含む合金又は積層体からなる。
【0026】
また、本実施例においては、アンテナ15Aの各々は互いに同程度のアンテナ高さH及びアンテナ幅(直径)Wを有する。なお、アンテナ15Aが柱状又は錐状の形状を有する場合、アンテナ幅Wとはアンテナ15Aの最大幅をいう。また、本実施例においては、これら複数のアンテナ15Aは、波長変換体14の出射面S2上において正方格子状に配列されている。
【0027】
なお、本実施例においては、アンテナ幅Wは200±50nmである。また、YAG:Ce蛍光体は約1.82の屈折率を有し、二次光L2の波長は450nmである。従って、本実施例においては、アンテナ周期Pは、250nm以上である。ここで、アンテナアレイ15は、そのアンテナ周期Pに対応する光学波長近傍の光に対して最も高い発光増強効果を示し、長波長側よりも短波長側に向かって増強効果がなだらかに減少する。なお、YAG:Ce蛍光体は550nm付近にピーク波長を有する。従って、より多くの波長変換光L31を照明光として取り出すにはアンテナ周期Pは300nm〜420nm程度とするのが好ましい。特に、本実施例のように正方格子状に配列したアンテナアレイ15においては、アンテナ周期Pを400nm(光学長で730nm)程度としたときに最も高い発光増強を観測した。
【0028】
次にアンテナアレイ15の作用について説明する。アンテナアレイ15の各アンテナ15Aに波長変換光L31が照射されると、アンテナ15Aの表面での局在表面プラズモン共鳴が生ずる。また、アンテナ15Aが配置される周期Pを波長変換光L31の光学波長程度とすることで、波長変換光L31が回折を起こし、隣接する個々のアンテナ15Aの局在表面プラズモン共鳴が誘発される。これによって、アンテナ15Aの近傍の電場強度が増大される。
【0029】
この電場増強の結果、波長変換光L21は、増幅され、また、狭角な配光分布(低エタンデュ)となってアンテナアレイ15から出射される。すなわち、アンテナアレイ15は、波長変換体14内の波長変換光L31を増強し、また、波長変換光L31の出射方向を絞ると同時に波長変換光L31の光取り出し効率を向上させる機能を有する。
【0030】
一方、アンテナ15Aは、波長変換体14内における透過光L32(二次光L2)の光学波長よりも大きな周期Pで配置されている。これによって、透過光L32に対しては、アンテナアレイ15の上記した作用(アンテナ作用)は生じない。すなわち、透過光L32は、アンテナアレイ15をほぼ透過(素通り)し、整形部材13で調整された配光特性及び照射形状が照明光でも維持される。
【0031】
換言すれば、アンテナアレイ15は、波長変換光L31(例えば黄色光)の強度及び指向性を調節する機能を有する。一方、アンテナアレイ15は、波長変換体14で波長変換されなかった二次光L2(例えば青色光)をほぼ透過させる。
【0032】
図4は、波長変換光L31及び透過光L32(二次光L2)の配光、すなわち出射角度に対する強度(光度)を模式的に示す図である。
図4は、アンテナアレイ15の中心から波長変換体14の出射面S2の法線方向(正面方向)を0°とし、出射面S2に平行な方向を90°としたときの波長変換光L31及び透過光L32の強度分布を示す図である。なお、
図4においては、説明及び比較のため、波長変換光L31及び透過光L32の出射角度に対する強度(光度)はそれぞれ当該正面方向の強度を1として規格化している。
【0033】
図4に示すように、波長変換光L31は、約60°以下の範囲内で高い強度を示し、当該角度範囲に光束が集中している。すなわち、多くの光が出射面S2に垂直な方向に近い方向に進んでいることを示している。また、波長変換光L31の強度は、アンテナアレイ15を設けない場合に比べて大幅に向上していた。これは、上記したアンテナアレイ15のアンテナ作用(発光増強及び狭角出射に伴う光取り出し効率の向上)によるものであると考えられる。
【0034】
一方、
図4に示すように、透過光L32は、整形部材13によって生成された二次光L2とほぼ同様の配光特性を維持している。これは、アンテナアレイ15が二次光L2に対して局在表面プラズモン共鳴を生じない構成であること、及び波長変換体14が透明な蛍光体プレートによって構成されていることによると考えられる。また、波長変換光L31及び透過光L32は互いに類似した配光特性を有することがわかる。従って、三次光L3は、いずれの放射方向においても波長変換光L31及び透過光L32が同程度の強度比で混合されているといえる。
【0035】
このように、本実施例においては、照明装置10は、光源12からのガウシアン型の強度分布を波長変換体14の受光面S1で均一化してトップハット型の二次光L2を生成する整形部材13と、波長変換体14からの波長変換光L32の光取り出し効率を向上し、且つ狭角の配光特性を追加するアンテナアレイ15とを有する。これによって、局所的に二次光L2が波長変換体14に集中することなく照射され、波長変換効率が向上する。また、透過光L32と波長変換光L31とが互いに類似した配光特性を得ることができ、照明光の色ムラが低減される。
【0036】
なお、本実施例においては、アンテナアレイ15が正方格子状に配置された複数のアンテナ15Aからなる場合について説明したが、アンテナ15Aの配列形態はこれに限定されない。例えば、アンテナアレイ15の各アンテナ15Aは、六角格子状に配置されていてもよい。
【0037】
図5(a)は、実施例1の変形例に係る照明装置10Aのアンテナアレイ16の構成を模式的に示す図である。
図5(a)は、照明装置10Aにおける波長変換体14の出射面S2を模式的に示す平面図である。照明装置10Aは、アンテナアレイ16の構成を除いては、照明装置10と同様の構成を有する。照明装置10Aは、波長変換体14の出射面S2上に形成されたアンテナアレイ16を有する。
【0038】
本変形例においては、アンテナアレイ16は、六角格子状(三角格子状)に配置されたことを除いては、アンテナアレイ15の複数のアンテナ15Aと同様の構成を有する複数のアンテナ16Aを有する。本変形例のように、アンテナアレイ16の各アンテナ16Aは、六角格子状に配列されていてもよい。
【0039】
図5(b)は、照明装置10Aから出射された波長変換光L31及び透過光L32の配光、すなわち出射角度に対する強度(光度)を模式的に示す図である。
図5(b)に示すように、六角格子状に複数のアンテナ16Aを、350nmのアンテナ周期Pで配置した場合でも、アンテナアレイ15と同様に、波長変換光L31に対してアンテナ作用を示し、透過光L32の配光と類似の狭角配光を得ることできる。なお、
図5(b)においても、
図4と同様に、波長変換光L31及び透過光L32の出射角度に対する強度(光度)はそれぞれ正面方向の強度を1として規格化している。
【0040】
なお、本実施例及びその変形例においては、例えばアンテナアレイ15は、各アンテナ15Aが波長変換光L31の波長変換体14内での光学波長程度の周期Pで配置されている場合について説明した。しかし、アンテナアレイ15は、複数のアンテナ15Aが波長変換体14内における二次光L2の光学波長よりも大きな周期Pで配置されていればよい。すなわち、アンテナアレイ15は、波長変換光L31にアンテナ作用を示し、二次光L2をほぼ透過させる周期Pで配置されていればよい。
【0041】
また、本実施例においては、光源12がレーザ光源からなる場合について説明した。しかし、光源12はレーザ光源からなる場合に限定されない。例えば光源12は発光ダイオードからなっていてもよい。また、光源12は、半導体レーザ及び発光ダイオードの組み合わせからなっていてもよい。
【0042】
なお、三次光L3として高い指向性を有する波長変換光L31及び透過光L32を得ることを考慮すると、光源12がレーザ光源からなることが好ましい。また、光源12としてレーザ光源を用いた場合でも整形部材13によって受光面S2における二次光L2の強度分布がトップハット型に調整されているため、波長変換体14の一部へのレーザ光の集中的な照射が抑制される。従って、波長変換体14の一部領域で発生し得る温度消光がなくなり、波長変換効率の低下及びレーザ光の外部へ直接放射される危険性がなくなる。
【0043】
本実施例及びその変形例においては、照明装置10(又は10A)は、ガウシアン型の強度分布を有する一次光L1を生成する光源12と、一次光L2を整形し、トップハット型の強度分布を有する二次光L2を生成する整形部材13と、を有する。
【0044】
また、照明装置10(又は10A)は、受光面S1から二次光L2を受光し、二次光L2(透過光L32)と二次光L2の波長が変換された波長変換光L31とを含む三次光L3を生成し、出射面S2から三次光L3を出射する波長変換体14と、波長変換体14の出射面S2上に形成され、波長変換体14内における二次光L2の光学波長よりも大きな周期Pで配置された複数のアンテナ15Aを有するアンテナアレイ15と、を有する。
【0045】
従って、波長変換体14の波長変換効率と光取り出し効率を上げると同時に、透過光L32と波長変換光L31の配光をそれぞれ整形部材13とアンテナアレイ15で独立して狭角配光に調節することで、狭角配光かつ色ムラのない照明光(混合光)を放射可能な照明装置10を提供することができる。
【実施例2】
【0046】
図6(a)及び(b)は、それぞれ実施例2に係る照明装置20の模式的な断面図及び上面図である。
図6(a)は、
図6(b)のW−W線に沿った断面図である。
図6(a)及び(b)を用いて、照明装置20の構成について説明する。照明装置20は、アンテナアレイ21の構成を除いては、照明装置10と同様の構成を有する。アンテナアレイ21は、互いに異なるアンテナ占有率を有する第1及び第2の副アレイ22及び23を有する。
【0047】
具体的には、波長変換体14の受光面S1は、二次光L2に照射される被照射領域S11と、被照射領域S11の周辺に設けられた周辺領域S12とを有する。また、波長変換体14の出射面S2は、受光面S1の被照射領域S11に対応する第1の出射領域S21と、周辺領域S12に対応する第2の出射領域S22とを有する。
【0048】
本実施例においては、被照射領域S11は、受光面S1における二次光L2の光軸AX上の領域を含む円形状の領域であり、第1の出射領域S21は、被照射領域S11に対向する出射面S2の領域である。また、周辺領域S12は、被照射領域S11の外周部に設けられた受光面S1の領域であり、第2の出射領域S22は、周辺領域S12に対向する出射面S2の領域である。
【0049】
また、本実施例においては、アンテナアレイ21は、出射面S2の第1の出射領域S21上に配置された複数のアンテナ22Aからなる第1の副アレイ22と、第2の出射領域S22上に配置され、第1の副アレイ22よりも単位面積当たりのアンテナ占有率が大きな複数のアンテナ23Aからなる第2の副アレイ23と、を有する。なお、少なくともアンテナ22Aは、波長変換体14内における二次光L2の光学波長よりも大きな周期で配置されている。
【0050】
例えば、本実施例においては、第1の副アレイ22の各アンテナ22Aは、第2の副アレイ23の各アンテナ23Aよりもアンテナの周期Pが大きい。また、第1の副アレイ22は、アンテナ22Aが設けられた領域とアンテナ22Aが設けられていない領域とが千鳥状に配置された構造を有する。なお、アンテナ23Aは、アンテナ22Aよりもアンテナ幅W(
図3(b)参照)が大きくなるように形成されていてもよい。
【0051】
図7は、実施例2の変形例に係る照明装置20Aのアンテナアレイ21Aの構成を模式的に示す図である。照明装置20Aは、アンテナアレイ21Aの構成を除いては、照明装置20と同様の構成を有する。なお、
図7は、照明装置20Aにおける波長変換体13の出射面S2を模式的に示す平面図である。
【0052】
本変形例においては、アンテナアレイ21Aは、第1の副アレイ24の構成を除いては、アンテナアレイ21と同様の構成を有する。アンテナアレイ21Aは、第1の出射領域S21上に設けられた複数のアンテナ24Aからなる第1の副アレイ24と、第2の副アレイ23とを有する。また、本変形例においては、第1の副アレイ24は、アンテナ24Aが設けられた領域とアンテナ24Aが設けられていない領域とが同心円状に配置された構造を有する。
【0053】
本実施例及びその変形例においては、波長変換体14の第1の出射領域S21、すなわち二次光L2の光軸AX上の領域を含む出射面S2上の領域のアンテナ占有率を他の領域よりも小さくしている。これによって、透過光L32、すなわち波長変換体14を透過する二次光L2が第1の出射領域S21を多く透過する構成となる。
【0054】
具体的には、例えば、アンテナアレイ21を構成するアンテナ22A又は23Aは、二次光L2の一部を吸収もしくは後方に散乱する場合がある。従って、二次光L2が比較的多く透過する領域である第1の出射領域S21のアンテナ23Aの専有面積を小さくしておくことで、二次光L2のアンテナアレイ21による吸収もしくは散乱を抑制することができる。従って、透過光L32の光取り出し効率の向上を図ることができる。
【0055】
なお、波長変換光L31は、波長変換体14内を拡散する。従って、第1の出射領域S21から放出されなかった波長変換光L31は、第2の副アレイ23を介して外部へ放出される。
【0056】
また、二次光L2の透過効率および配光特性の維持を考慮すると、波長変換体14(蛍光体プレート14A)は透明な部材から構成されていることが好ましい。
【0057】
上記したように、本実施例及びその変形例においては、波長変換体14の出射面S2は、受光面S1における二次光L2の被照射領域S11に対応する第1の出射領域S21と、周辺領域S12に対応する第2の出射領域S22とを有する。また、アンテナアレイ21又は21Aは、出射面S2の第1の出射領域S21上に配置された複数のアンテナ22A又は24Aからなる第1の副アレイ22又は24と、第2の出射領域S22上に配置され、第1の副アレイ22又は24Aよりも単位面積当たりのアンテナ占有率が大きな複数のアンテナ23Aからなる第2の副アレイ23と、を有する。従って、波長変換体14上の二次光L2が通過するアンテナアレイ21の領域の透過光L31の光取り出し効率が局所的に向上した高効率な照明装置20又は20Aを提供することができる。
【実施例3】
【0058】
図8(a)及び(b)は、それぞれ実施例3に係る照明装置30の波長変換体31の模式的な断面図及び平面図である。
図8(b)は、照明装置30の波長変換体31の受光面S1を模式的に示す平面図である。また、
図8(a)は、
図8(b)のX1−X1線に沿った断面図である。照明装置30は、波長変換体31の構成を除いては、照明装置10と同様の構成を有する。また、波長変換体31は、蛍光体プレート31Aの構成を除いては、波長変換体14と同様の構成を有する。
【0059】
なお、二次光L2は、整形部材13から、出射点SPを焦点として放射状に出射されるように構成されている。こうすることで、二次光L2が出射点SPを出射部とする点光源から出射されているとみなすことができる。また、二次光L2の出射点SPは、例えば適当なホモジナイザ部材と非球面レンズを組み合わせることで構成された整形部材13を用いることで整形部材13と波長変換体31の受光面S1との間に形成される。
【0060】
本実施例においては、波長変換体31は、受光面S1上に二次光L2の被照射領域S11とその周辺領域S12とを有する。また、波長変換体31は、受光面S1の被照射領域S11内において二次光L2の光軸AXに対して回転対称に設けられた凹部RCを有する。本実施例においては、蛍光体プレート31Aが受光面S1を構成し、凹部RCは蛍光体プレート31Aの主面に形成されている。
【0061】
本実施例においては、凹部RCは、二次光L2の光軸AX上の領域を取り囲むように円環状に設けられている。なお、凹部RCの形成領域は、出射点SP及び波長変換体31から出射される透過光L32の出射角度が15°〜30°の範囲内の領域に対応する。
【0062】
本実施例においては、実施例1に係る照明装置10、すなわちアンテナ15Aを正方格子状に配置した場合における三次光L3の色ムラをさらに均一化させる構成を有する。具体的には、
図4に示すように、照明装置10からの三次光L3は、出射角度が15°〜30°の範囲内において、波長変換光L31の方が透過光L32(二次光L2)よりもわずかに大きな強度比を有する。すなわち、三次光L3の出射角度が15°〜30°の範囲内において周辺よりも色温度の低い混色光となる。波長変換体31の凹部RCは、このわずかな強度比の差を低減する、すなわち波長変換光L31及び透過光L32の配光を更に類似した形状に整形する機能を有する。
【0063】
具体的には、波長変換体31の凹部RCは、出射角度が15°〜30°の範囲内の波長変換光L31に対応する二次光L2の波長変換体31内での光路を短くする。従って、当該角度範囲において波長変換光L31に変換される二次光L2が減り、該角度範囲における透過光L32の成分が増える。これによって、全角度範囲に亘って波長変換光L31と透過光L32との強度比を高精度で均一化することができる。
【0064】
このように、本実施例においては、照明装置30のアンテナアレイ15は、正方格子状に配置された複数のアンテナ15Aからなる。また、波長変換体31は、受光面S1の被照射領域S11内において二次光L2の光軸AXに対して回転対称に設けられた凹部RCを有する。従って、色ムラを抑制し、高い指向性及び光取り出し効率を得ることが可能な照明装置30を提供することができる。
【0065】
図9(a)及び(b)は、それぞれ実施例3の変形例に係る照明装置30Aの波長変換体32の模式的な断面図及び平面図である。
図9(b)は、照明装置30Aの波長変換体32の受光面S1を模式的に示す平面図である。また、
図9(a)は、
図9(b)のX2−X2線に沿った断面図である。照明装置30Aは、波長変換体32の構成を除いては、照明装置10Aと同様の構成を有する。また、波長変換体32は、蛍光体プレート32Aの構成を除いては、波長変換体14と同様の構成を有する。
【0066】
本変形例においては、波長変換体32は、受光面S1上に二次光L2の被照射領域S11とその周辺領域S12とを有する。また、波長変換体32は、受光面S1の被照射領域S11内において二次光L2の光軸AXに対して回転対称に設けられた凸部PJを有する。本変形例においては、蛍光体プレート32Aが受光面S1を構成し、凸部PJは蛍光体プレート32Aの主面に形成されている。
【0067】
本変形例においては、凸部PJは、二次光L2の光軸AX上の領域を取り囲むように円環状に設けられている。なお、凸部PJの形成領域は、波長変換体32から出射される波長変換光L31の出射角度が15°〜30°の範囲内の領域に対応する。
【0068】
本変形例においては、実施例1の変形例に係る照明装置10A、すなわちアンテナ16Aを六角格子状に配置した場合における三次光L3の色ムラをさらに均一化させる構成を有する。具体的には、
図5(b)に示すように、照明装置10Aからの三次光L3は、出射角度が15°〜30°の範囲内において、波長変換光L31の方が透過光L32(二次光L2)よりもわずかに小さな強度比を有する。波長変換体32の凸部PJは、このわずかな強度比の差を低減する、すなわち波長変換光L31及び透過光L32の配光を更に類似した形状に整形する機能を有する。
【0069】
本変形例においては、波長変換体32の凸部PJは、出射角度が15°〜30°の範囲内の波長変換光L31に対応する二次光L2の波長変換体32内での光路を長くする。従って、本変形例においては、当該角度範囲において波長変換光L31に変換される二次光L2が増え、該角度範囲における透過光L32の成分が減る。これによって、全角度範囲に亘って波長変換光L31と透過光L32との強度比を高精度で均一化することができる。
【0070】
このように、本変形例においては、照明装置30Aのアンテナアレイ16は、六角格子状に配置された複数のアンテナ16Aからなる。また、波長変換体32は、受光面S1の被照射領域S11内において二次光L2の光軸AXに対して回転対称に設けられた凸部PJを有する。従って、色ムラを抑制し、高い指向性及び光取り出し効率を得ることが可能な照明装置30Aを提供することができる。
【実施例4】
【0071】
図10(a)は、実施例4に係る照明装置40のアンテナアレイ41の構成を模式的に示す図である。照明装置40は、アンテナアレイ41の構成を除いては、照明装置10又は20と同様の構成を有する。
図10(a)は、照明装置40における波長変換体14の出射面S2を模式的に示す平面図である。
【0072】
本実施例においては、例えば照明装置20(例えば
図6(a))と同様に、波長変換体14の受光面S1は、二次光L2に照射される被照射領域S11と、被照射領域S11の周辺に設けられた周辺領域S12とを有する。また、波長変換体14の出射面S2は、被照射領域S11に対応する第1の出射領域S21と、周辺領域S12に対応する第2の出射領域S22とを有する。
【0073】
また、本実施例においては、第1の出射領域S21は、二次光L2の光軸AX上の領域を含む中心領域R1と、中心領域R1を囲む環状領域R2とを有する。なお、本実施例においては、第1の出射領域S21は、環状領域R2を内側環状領域とし、内側環状領域R2を取り囲む外側環状領域R3を有する。
【0074】
なお、本実施例においては、中心領域R1は、波長変換光L31の出射角度が0°〜15°の範囲内の領域に対応する。内側環状領域R2は、波長変換光L31の出射角度が15°〜30°の範囲内の領域に対応する。また、外側環状領域R3は、波長変換光L31の出射角度が30°〜60°の範囲内の領域に対応する。
【0075】
また、アンテナアレイ41は、第1の出射領域S21のうちの中心領域R1内において正方格子状に配置された複数のアンテナ42Aからなる第1の副アレイ42と、中心領域R1を囲む環状領域(内側環状領域)R2内において正方格子状に配置され、第1の副アレイ42よりも単位面積当たりのアンテナ占有率が小さな複数のアンテナ43Aからなる第2の副アレイ43と、を有する。
【0076】
具体的には、本実施例においては、実施例3と同様に、アンテナの配置形態に基づいた三次光L3の高精度な色ムラ解消を目的としている。本実施例においては、アンテナの密度(占有率)によって透過光L32の出射角度に応じた強度調節を行う。
【0077】
アンテナアレイ41は、第1及び第2の副アレイ42及び43とも、正方格子状に配置されたアンテナ42A及び43Aを有する。従って、
図4に示すように、出射角度が15°〜30°の範囲内において波長変換光L31は透過光L32(二次光L2)よりもわずかに強度比が大きい。
【0078】
従って、当該角度範囲に対応する出射面S2の領域である環状領域R2においてアンテナ43Aの占有率を比較的小さくすることで、アンテナ43Aに散乱又は吸収される透過光L32をわずかに小さくすることができる。従って、色ムラを抑制し、高い指向性及び光取り出し効率を得ることが可能な照明装置40を提供することができる。
【0079】
なお、本実施例においては、第1の副アレイ42は、中心領域R1のみならず、外側環状領域R3に形成されている。また、第2の副アレイ43は、内側環状領域R2のみならず、第2の出射領域S2上に形成されている。これによって、全角度範囲に亘って波長変換光L31と透過光L32との強度比を高精度で均一化することができる。
【0080】
図10(b)は、実施例4の変形例に係る照明装置40Aのアンテナアレイ44の構成を模式的に示す図である。照明装置40Aは、アンテナアレイ44の構成を除いては、照明装置10A又は20と同様の構成を有する。
図10(b)は、照明装置40Aにおける波長変換体14の出射面S2を模式的に示す平面図である。
【0081】
本変形例においては、照明装置40と同様に、波長変換体14の受光面S1は、二次光L2に照射される被照射領域S11と、被照射領域S11の周辺に設けられた周辺領域S12とを有する。また、波長変換体14の出射面S2は、被照射領域S11に対応する第1の出射領域S21と、周辺領域S12に対応する第2の出射領域S22とを有する。
【0082】
また、第1の出射領域S21は、二次光L2の光軸AX上の領域を含む中心領域R1と、中心領域R1を囲む環状領域R2とを有する。また、第1の出射領域S21は、環状領域R2を内側環状領域とし、内側環状領域R2を取り囲む外側環状領域R3を有する。
【0083】
本変形例においては、アンテナアレイ44は、第1の出射領域S21のうちの中心領域R1内において六角格子状に配置された複数のアンテナ45Aからなる第1の副アレイ45と、中心領域R1を囲む環状領域(内側環状領域)R2内において六角格子状に配置され、第1の副アレイ45よりも単位面積当たりのアンテナ占有率が大きな複数のアンテナ46Aからなる第2の副アレイ46と、を有する。
【0084】
アンテナアレイ44は、第1及び第2の副アレイ45及び46とも、六角格子状に配置されたアンテナ45A及び46Aを有する。従って、
図5(b)に示すように、出射角度が15°〜30°の範囲内において波長変換光L31は透過光L32(二次光L2)よりもわずかに強度が小さい。
【0085】
従って、本変形例においては、当該角度範囲に対応する出射面S2の領域である環状領域R2においてアンテナ46Aの占有率を比較的大きくすることで、アンテナ46Aに吸収又は散乱される二次光L2をわずかに多くすることができる。従って、色ムラを抑制し、高い指向性及び光取り出し効率を得ることが可能な照明装置40Aを提供することができる。
【0086】
なお、本実施例においては、第1の副アレイ42は、中心領域R1のみならず、出射面S2の環状領域R2以外の領域、すなわち環状領域R3及び第2の出射領域S22上に形成されている。従って、出射面S2の全体で高精度に均一化された強度の三次光L3を得ることができる。
【0087】
このように、本実施例及びその変形例においては、照明装置40及び40Aは、出射面S2の第1の出射領域S21を複数の領域に区別し、当該複数の領域毎にアンテナ占有率を調節する構成を有する。従って、色ムラを抑制し、高い指向性及び光取り出し効率を得ることが可能となる。