【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 2017年春夏新商品発表会 開催日 平成29年1月12日 開催場所 コンラッド東京(東京都港区東新橋1−9−1) 〔刊行物等〕 展示会名 2017年春夏新商品発表会 開催日 平成29年1月13日 開催場所 インターコンチネンタルホテル大阪(大阪府大阪市北区大深町3番60号) 〔刊行物等〕 販売場所 アスクル株式会社(神奈川県横浜市鶴見区生麦2−4−6) 販売日 平成29年2月22日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器の口部側に取り付けられ、注出口が設けられているノズルを有するキャップ本体と、このキャップ本体にヒンジを介して開閉自在に取り付けられる上蓋と、を備え、上蓋に、この上蓋を閉じた際にノズルの注出口に突入されて密封する突起状部が設けられているキャップであって、
前記上蓋が反転されておらず、キャップ本体のノズルに、上蓋の突起状部の一部が突入されている位置を非反転開放基準位置とし、
前記ヒンジにより、上蓋が所定の開放回動範囲にある場合に非反転開放基準位置に向けて移動するよう付勢され、
前記ヒンジにより、前記非反転開放基準位置よりも上蓋を閉じているが完全には閉じられていない閉鎖位置近傍の回動範囲では、上蓋を前記非反転開放基準位置に向けて開けられるよう付勢する構成とされていることを特徴とするキャップ。
上蓋を閉じた状態では、突起状部の基部がノズルの先端部の内周に接する一方、突起状部の先端部側外周とノズルの基部の内周との間に隙間を有するように、突起状部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のキャップ。
キャップ本体の外周面をなす胴部と、このキャップ本体の胴部に当接する上蓋の外周面部とに、上下位置が異なる箇所同士を繋げる段差部がそれぞれ形成され、上蓋が閉じられた状態で段差部同士が合わされることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のキャップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成のキャップ100では、上蓋104がキャップ本体101にヒンジ103を介して接続されているが、上蓋104を閉める際に、その閉め方によっては、上蓋104が正規の位置からずれて、注出口102aから突起状部105がはみ出した状態で閉動作が行われることがある。この場合には、注出口102aから突起状部105がはみ出して不完全な密閉状態で上蓋104が閉じられたり、上蓋104が正常に閉まらなかったりして、容器が倒れた際などに、内容物が外部に洩れ出すおそれがある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、上蓋を閉じた際に、密閉が不完全な状態で上蓋が閉じられたり、上蓋が正常に閉まらなかったりすることを最小限に抑えることができるキャップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、容器の口部側に取り付けられ、注出口が設けられているノズルを有するキャップ本体と、このキャップ本体にヒンジを介して開閉自在に取り付けられる上蓋と、を備え、上蓋に、この上蓋を閉じた際にノズルの注出口に突入されて密封する突起状部が設けられているキャップであって、
前記上蓋が反転されておらず、キャップ本体のノズルに、上蓋の突起状部の一部が突入されている位置を非反転開放基準位置とし、前記ヒンジにより、上蓋が所定の開放回動範囲にある場合に非反転開放基準位置に向けて移動するよう付勢され、
前記ヒンジにより、前記非反転開放基準位置よりも上蓋を閉じているが完全には閉じられていない閉鎖位置近傍の回動範囲では、上蓋を前記非反転開放基準位置に向けて開けられるよう付勢する構成とされていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、上蓋を反転するなどして上蓋を開けた状態で容器を使用した後に、上蓋を前記所定の開放回動範囲まで移動させると、ヒンジの付勢力によって、上蓋が反転されておらず、キャップ本体のノズルに、上蓋の突起状部の一部が突入されている非反転開放基準位置まで移動される(閉じられる)ので、上蓋の閉鎖時に上蓋の突起状部がキャップ本体のノズルに突入し易くなる。したがって、上蓋の閉鎖時に突起状部がキャップ本体のノズルに突入することで、突起状部の先端がキャップ本体のノズル先端にぶつかったり、外れたりすることが防止されるとともに、上蓋の閉鎖時に正規な姿勢で閉まるように案内され、この結果、ノズルに突起状部が正常に突入して、良好な密閉状態で上蓋を閉じることができる。
さらに、万一、上蓋がキャップ本体に対して正常ではない状態で閉められようとした場合や、完全には閉められていない場合に、上蓋から手を離すと前記付勢力により上蓋が開けられるため、上蓋が良好に閉められていないことを容易に認識することができる。
【0009】
また、本発明のキャップは、上蓋を閉じた状態で突起状部の先端部がノズルの基部まで突入するよう突起状部が形成されていることを特徴とする。この構成によれば、蓋を閉じた状態で突起状部の先端部がノズルの基部まで突入しているので、上蓋を閉じる際にノズルに溜まっていた内容物が容器内に落とされるとともに、上蓋を閉じた状態では容器内の内容物がノズルの内部に入り込むことが防止される。この結果、上蓋を開ける際などに、開ける際の反動などで、内容物がノズルから飛び出すことを防止することができる。つまり、突起状部が短くて、閉鎖時でもノズルの基部まで達しないような構造であると、上蓋を開けていない状態でノズル内に内容物が溜まり易くなり、このように、ノズル内に内容物が溜まっていると、開ける際の反動などで、内容物がノズルから飛び出すことがあるが、このような不具合を防止することができる。
【0010】
なお、上蓋を閉じた状態では、突起状部の基部がノズルの先端部の内周に接する一方、突起状部の先端部側外周とノズルの基部の内周との間に隙間を有するように、突起状部が形成されていることが好ましい。
【0011】
上蓋はキャップ本体にヒンジを介して取り付けられているので、上蓋を閉じる際に、上蓋が正規位置から若干ずれた姿勢で閉じられることがあり、この場合には、突起状部の先端部がノズルに干渉して閉めることができなくなったり、突起状部とノズルの内周との摩擦が大きくて、上蓋を閉めるのに大きな抵抗を生じたりすることがある。これに対して、上記のように、突起状部の先端部側外周とノズルの基部の内周との間に隙間を有するように、突起状部を形成することにより、上蓋を閉じる際に、上蓋が正規位置から若干ずれた姿勢で閉じられた場合でも、突起状部の先端部がノズルに入り易くなって、突起状部の先端部とノズルとが干渉して閉めることができなくなることを最小限に抑えることができる。また、上蓋を閉じる際に、突起状部の先端部がノズルの内周に接触することを最小限に抑えることができるので、上蓋を閉じる際の摩擦を少なめに抑えることができる。
【0013】
また、本発明のキャップは、上蓋を閉じた状態でノズルの先端部またはその近傍に内側から当接する内側当接部が上蓋の突起状部の基部に形成され、上蓋を閉じた状態でノズルの先端部またはその近傍に外側から当接する外側突部が上蓋に形成され、上蓋を閉じた状態では、ノズルの先端部またはその近傍箇所が、上蓋の突起状部の基部と上蓋の外側突部とにより挟まれていることを特徴とする。
【0014】
ノズルが本体キャップに設けられているキャップでは、当該キャップを装着した容器を誤って落下させた場合などに、その衝撃でノズルの先端部などが径方向に広がって、上蓋の突起状部から離反し、注出口から内容物が洩れ出ることがあった。これに対して、上記のように、上蓋を閉じた状態でノズルの先端部またはその近傍に外側から当接する外側突部を上蓋に形成し、上蓋を閉じた状態では、ノズルの先端部またはその近傍箇所が、上蓋の突起状部の基部と上蓋の外側突部とにより内周側と外周側とから挟むことで、容器を誤って落下させた場合などでも、その衝撃でノズルの先端部などが広がることが外側突部により阻止され、これにより、注出口から内容物が洩れ出ることを防止することができる。
【0015】
また、本発明のキャップは、キャップ本体に組み付けられる中栓が設けられ、中栓に、容器の口部に内側から嵌り込む内筒部が設けられ、キャップ本体に、中栓の内筒部に内周側から接する内接部位と、中栓の筒状部に外周側から接する外接部位と、が設けられ、キャップ本体の内接部位と外接部位とにより中栓の内筒部
が挟まれていることを特徴とする。
【0016】
ノズルが本体キャップに設けられ、キャップ本体に中栓が組み付けられているキャップでは、当該キャップを装着した容器を誤って落下させた場合などに、その衝撃で中栓の内筒部の先端部などが径方向に広がって、キャップ本体の内接部位から離反し、中栓の内筒部とキャップ本体の内接部位との間に発生した隙間から内容物が洩れ出ることがあった。これに対して、上記のように、キャップ本体に、中栓の内筒部に外周側から接する外接部位を設け、キャップ本体の内接部位と外接部位とにより中栓の内筒部を挟むことで、容器を誤って落下させた場合などでも、その衝撃で中栓の内筒部が広がることが外接部位により阻止され、これにより、内容物が洩れ出ることを防止することができる。
【0017】
また、本発明のキャップは、キャップ本体の外周面をなす胴部と、このキャップ本体の胴部に当接する上蓋の外周面部とに、上下位置が異なる箇所同士を繋げる段差部がそれぞれ形成され、上蓋が閉じられた状態で段差部同士が合わされることを特徴とする。この構成により、上蓋を閉めて段差部同士をはめ合わせた際に、これらの段差部がガイドとなって、キャップ本体と上蓋との周方向に対する相対位置を良好に合わせることができ、本体キャップに対して上蓋をより良好な状態で合わせる(閉める)ことができる。
【0018】
また、本発明のキャップは、キャップ本体に組み付けられる中栓が設けられ、中栓に対してキャップ本体が周方向にねじ込まれて取り付けられることを特徴とする。
【0019】
この構成により、キャップ本体および上蓋を周方向に回転させながら中栓に装着する際に、周方向の力が段差部で受けられるため、キャップのヒンジやノズルに周方向の力がかかって損傷したり変形したりすることを防止できる。つまり、上蓋とキャップ本体とが互いに水平面のみで接している場合には、キャップを容器に装着するために周方向に回転する際に、周方向への回転力を受ける部分が殆どないため、回転力がキャップのヒンジやノズルに作用して、ヒンジが損傷したりノズルが変形したりするおそれがあるが、上記のように、キャップ本体の外周面部と、この外周面部に嵌合する上蓋の外周面部とに、上下位置が異なる箇所同士を繋げる段差部をそれぞれ形成することにより、このような不具合が発生することを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のキャップによれば、ヒンジにより、上蓋が所定の開放回動範囲にある場合に非反転開放基準位置に向けて移動するよう付勢され、前記非反転開放基準位置は、上蓋が反転されておらず、キャップ本体のノズルに、上蓋の突起状部の一部が突入されている位置であることにより、上蓋の閉鎖時に上蓋の突起状部がキャップ本体のノズルに突入し易くなって、突起状部の先端がキャップ本体のノズル先端にぶつかったり、外れたりすることが防止されるとともに、上蓋の閉鎖時に正規な姿勢で閉まるように案内され、この結果、ノズルに突起状部が正常に突入して、良好な密閉状態で上蓋を閉じることができる。これにより、容器を誤って倒してしまった場合でも、内容物が容器から外部に洩れ出すことを防止できて信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態のキャップを、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、キャップにおける後述する上蓋を開ける側を手前側、以下に述べるヒンジが設けられている側を後側と称する。
【0023】
図1〜
図6において、1は、内部に内容物(内容液)が収容されている容器2に取付けられるキャップである。この実施の形態では、キャップ1は、容器2の口部3を覆うように取り付けられる(組み付けられる)中栓4と、この中栓4の上部を覆うように取り付けられるキャップ本体5と、このキャップ本体5にヒンジ6を介して開閉自在に取り付けられる上蓋7と、を備えている。なお、この実施の形態では、キャップ本体5と上蓋7とが、変形自在なヒンジ部6を介して合成樹脂などにより一体形成されているとともに接続されているが、これに限るものではない。
【0024】
中栓4は、その下部が容器2の口部3に外側から嵌り込む円筒状の外筒部11と、外筒部11の内周に隙間を有する状態で設けられてその下部が容器2の口部3に内側から嵌り込む円筒状の内筒部12と、外筒部11および内筒部12の高さ方向略中央箇所で径方向に延びて外筒部11と内筒部12とを繋ぐ接続部13などを有する。そして、外筒部11の下部と内筒部12の下部との間の空間に、容器2の口部3が挿入されて中栓4が装着される(取り付けられる)。また、中栓4における外筒部11の上部側外周面には、キャップ本体5に設けられているねじ部21と上下方向に噛み合うねじ部15が形成されている。
【0025】
なお、この実施の形態では外筒部11の外周部下縁に外周側に突出する鍔状部(スカート部)14が形成されているとともに、一部(周方向の所定角度領域)14bが内周側部分と外周側部分とに分離されて分離され、外周側部分の一部に薄肉の弱化部14aが形成されており、容器2の廃棄時などに弱化部14aから鍔状部14を切断して引っ張ることによりキャップ1を容器2から取り外し易く(分離し易く)なるよう図られている。
【0026】
キャップ本体5は、中栓4の外筒部11(詳しくは、外筒部11の鍔状部14よりも上方の箇所)を外周側から覆うように組み付けられる胴部(外周面部)22と、この胴部22の内周に形成されて中栓4のねじ部15と上下に噛み合うねじ部21と、胴部22の上端部から内周側(径方向内側)に延びる上壁部23と、上壁部23の内周縁から上方内側に段付き状に延びる段部24と、段部24の内周縁から中心側に円板状に延びる天面部25と、この天面部25から上方に延びて内部に上下に貫通する注出用通路27aが形成されているとともに先端部に注出口26が形成されているノズル(注出筒)27と、天面部25の外周部から下方に延びて中栓4の内筒部12の上部内周面に内側から嵌り込む(接する)内筒下延部28と、天面部25の外周部から上方に延びる内筒上延部29と、上蓋7の外周側面部下縁に内側から密接可能な突片部30などを有している。そして、これらが一体成形されている。
【0027】
ここで、
図7に拡大して示すように、中栓4の内筒部12の上端部12aは、キャップ本体5の内筒下延部28により内周側から密接されているとともに、段部24の内周面24aおよび下面部により、外周側および上方からも密接されている。すなわち、中栓4の内筒部12の上端部12aは、キャップ本体5の内筒下延部28により内周側から密接する内接部位Aと、段部24の立ち上がり部(上壁部23の内周面でもある)24aにより外周側から密接する外接部位Bとが接触されて、内周側と外周側とから挟まれている。また、中栓4の内筒部12の上端面(上端部12aの上端面)と、段部24の下面部とは何れも平坦面(水平面)形状とされ、上下に接触部Cで密接できるよう図られている。なお、この実施の形態では、中栓4の外筒部11の上端部11aもキャップ本体5の上壁部23に下方から当接されている。
【0028】
上蓋7は、
図1〜
図7などに示すように、上蓋7を閉じた際にノズル27に突入されて注出口26を閉鎖する突起状部45と、上蓋7を閉じた際にキャップ本体5の胴部22の外周部上縁22aにその下縁41aが当接するとともにキャップ本体5の突片部30が内側から密接される外周面部41と、この外周面部41の上端縁になだらかにつながる天面部42と、外周面部41の手前側下部に設けられた開操作用鍔部43と、上蓋7を閉じた際にその下端部がキャップ本体5の段部24の上面に当接するとともにキャップ本体5の内筒上延部29が内側から接する中筒部44などを有している。そして、これらが一体成形されている。
【0029】
ここで、
図1、
図8に示すように、上蓋7を閉じた際にノズル27に突入される突起状部45は、上蓋7を閉じた状態で突起状部45の先端部45aがノズル27の基部まで突入するよう形成されている。また、突起状部45は、上蓋7を閉じた状態で、突起状部45の基部45bがノズル27の先端部の内周に密接する一方、突起状部45の先端部45a側の外周とノズル27の基部の内周との間に隙間を有する(すなわち離反している)ように形成されている。この実施の形態では、突起状部45の基部45bが太径とされてノズル27の先端部の内周に内側当接部D(
図8参照)で当接(密接)し、突起状部45の先端部45aが細径とされてノズル27の基部の内周と離反している。
【0030】
さらに、上蓋7には、上蓋7を閉じた状態でノズル27の先端部(またはその近傍)に外側から当接する外側突部46が形成されている。この実施の形態では、ノズル27の先端部が外周側に湾曲しながら広がるように形成されている。また、外側突部46の先端内周部には湾曲面46aが形成され、上蓋7を閉じた状態で、ノズル27の先端部が外側突部46の湾曲面46aで案内されながら、良好に接触するよう構成されている。
【0031】
また、キャップ本体5の外周面をなす胴部22と、このキャップ本体5の胴部22に当接する上蓋7の外周面部41とは、上下位置が異なる状態で形成されている(この実施の形態では、前側領域が奥側領域より低く形成されている)とともに、これらのキャップ本体5の胴部22と上蓋7の外周面部41とに、上下位置が異なる箇所同士を繋げる段差部22b、41bがそれぞれ形成されて、上蓋7が閉じられた状態で互いに合わされるように構成されている。
【0032】
すなわち、この実施の形態では、キャップ本体5の胴部22における上端辺と上蓋7の外周面部41の下端辺とは、段差部22b、41bより手前側の領域では低い位置で水平線に沿った形状とされる一方、段差部22b、41bより奥側の領域では高い位置で水平線に沿った形状とされ、これらが段差部22b、41bで接続されている。また、段差部22b、41bが、手前側ほど低くなる傾斜面と、この傾斜面の下端部とこれに続く手前側領域の水平線部分とを湾曲させながら滑らかに接続してなるとともに、傾斜面の上端部とこれに続く奥側領域の水平線部分とを湾曲させながら滑らかに接続した形状とされている。
【0033】
また、キャップ本体5と上蓋7とをつなぐヒンジ6は、中間部に広幅の接続薄肉部51aが形成されているヒンジ片51と、キャップ本体5との結合部と上蓋7の結合部分とを略帯状に接続して、伸びる寸法が小さくなるように付勢する支持腕部52とから構成されている。また、この実施の形態では、支持腕部52は左右一対設けられているが、これに限るものではない。
【0034】
ここで、ヒンジ6は、上蓋7がほぼ反転した状態(反転開放状態とも称す)で開けられている場合に、外力を加えていない状態では、
図9に示す姿勢(反転開放基準位置F)になるように形成されている。したがって、外力を加えていない状態で、
図9における回動範囲E内に上蓋7がある場合には、ヒンジ6によって反転開放基準位置Fとなるように付勢され(すなわち、上蓋7が回動範囲E1内にある場合には閉方向に付勢され、回動範囲E2内にある場合には開方向に付勢される)、この結果、上蓋7がほぼ反転した状態で手を離すと、上蓋7は反転開放基準位置Fに移動(位置)される。
【0035】
また、上蓋7が少し開けられて、ほぼキャップ本体5の上方に位置する場合(すなわち、非反転状態で開けられた非反転開放状態)で、上蓋7に開閉する外力が加えていない状態では、
図10に示すように、キャップ本体5のノズル27に、上蓋7の突起状部45の一部(この実施の形態では、突起状部45の先端部45a)が突入されている非反転開放基準位置Gになるようにヒンジ6で付勢されるように当該キャップ1が形成されている。つまり、外力を加えていない状態で、
図10における開放回動範囲H内に上蓋7がある場合には、ヒンジ6によって非反転開放基準位置Gとなるように付勢され(すなわち、上蓋7が回動範囲H1内にある場合には閉方向に付勢され、回動範囲H2内にある場合には開方向に付勢される)、この結果、上蓋7が反転していないが開けられている状態で手を離すと、上蓋7がキャップ本体5に対して非反転開放基準位置Gに移動(位置)される。
【0036】
なお、ヒンジ6により、非反転開放基準位置Gよりも上蓋7を閉じているが完全には閉じられていない閉鎖位置近傍の回動範囲H2では、上蓋7を前記非反転開放基準位置に向けて開けられるよう付勢する構成とされている。ただし、これに限るものではなく、前記非反転開放基準位置よりも上蓋7を閉じているが完全には閉じられていない閉鎖位置近傍の回動範囲(閉鎖位置近傍回動範囲H2)では、上蓋7がどちらにも回動されない(その位置が維持される)ように構成してもよい。
【0037】
上記構成によれば、容器2を使用する場合には、上蓋7を反転するまで開けることで、手を離しても
図9に示すような反転開放基準位置Fに上蓋7が移動(位置)されるので、この状態で容器2を倒しながら押し込むなどすることで、内容物を良好に適量注出することができる。
【0038】
また、このように、上蓋7を反転するなどして上蓋7を開けた状態で容器2を使用した後に、上蓋を開放回動範囲Hまで移動させると、ヒンジ6の付勢力によって、
図10に示すような、キャップ本体5のノズル27に上蓋7の突起状部45の一部(この実施の形態では先端部)が突入されている非反転開放基準位置Gまで移動される(閉じられる)ので、上蓋7の閉鎖時に上蓋7の突起状部45がキャップ本体5のノズル27に突入し易くなる。したがって、上蓋7の閉鎖時に突起状部45がキャップ本体5のノズル27に突入することで、突起状部45の先端がキャップ本体5のノズル27の先端にぶつかったり、外れたりすることが防止されるとともに、上蓋7の閉鎖時に正規な姿勢で閉まるように案内され、この結果、ノズル27に突起状部45が正常に突入して、良好な密閉状態で上蓋7を閉じることができる。これにより、容器2を誤って倒してしまった場合でも、内容物が容器2から外部に洩れ出すことを防止できて信頼性を向上させることができる。
【0039】
また、上記構成では、
図1に示すように、上蓋7を閉じた状態で突起状部45の先端部45aがノズル27の基部まで突入するよう突起状部45が形成されているので、上蓋7を閉じる際にノズル27の注出用通路27aに内容物が溜まっていた場合でも、この内容物が突起状部45により容器2内に落とされる(戻される)とともに、上蓋7を閉じた状態では容器2内の内容物がノズル27の内部に入り込むことが防止される。この結果、上蓋7を開ける際などに、開ける際の反動などで、内容物がノズル27から飛び出すことを防止することができる。つまり、突起状部45が短くて、閉鎖時でもノズル27の基部まで達しないような構造であると、上蓋7を開けていない状態でノズル27内に内容物が溜まり易くなり、このように、ノズル27内に内容物が溜まっていると、開ける際の反動などで、内容物がノズル27から飛び出すことがあるが、上記構成によれば、このような不具合を防止することができる。
【0040】
また、上記構成によれば、上蓋7を閉じた状態では、突起状部45の基部45bがノズル27の先端部の内周に接する一方、突起状部45の先端部側外周とノズル27の基部の内周との間に隙間を有するように、突起状部45が形成されている。これにより、上蓋7を閉じた際には、ノズル27から内容物が洩れ出すことを良好に防止できながら、上蓋7を閉じる際に、上蓋7が正規位置から若干ずれた姿勢で閉じられた場合でも、突起状部45の先端部45aがノズル27の先端部の注出口26に突入し易くなり、ひいては良好に上蓋7を閉じることができる。
【0041】
つまり、上蓋7はキャップ本体5にヒンジ6を介して取り付けられており、閉じる際には、上蓋7はヒンジ6(詳しくは、ヒンジ6におけるヒンジ片51の接続薄肉部51a)を中心として円弧状の軌跡を通るが、これに対して、ノズル27や突起状部45は、直線状に延びる形状である。また、上蓋7を閉じる際に、上蓋7が正規位置から若干ずれた姿勢で閉じられることがある。このようなことから、閉じた状態でノズル27の基部に突起状部45の先端部45aが接触するように構成されていると、突起状部45の先端部がノズル27に干渉して閉めることができなくなったり、突起状部45とノズル27の内周との摩擦が大きくて、上蓋7を閉めるのに大きな抵抗を生じたりすることがある。
【0042】
これに対して、上記のように、突起状部45の先端部側外周とノズル7の基部の内周との間に隙間を有するように、突起状部45を形成することにより、上蓋7を閉じる際に、上蓋7が正規位置から若干ずれた姿勢で閉じられた場合でも、突起状部45の先端部45aがノズルに入り易くなって、突起状部45の先端部45aとノズル27とが干渉して閉めることができなくなることを最小限に抑えることができる。また、上蓋7を閉じる際に、突起状部45の先端部45aがノズル27の内周に接触することを最小限に抑えることができるので、上蓋7を閉じる際の摩擦を少なめに抑えることができ、使い勝手が良好となる。
【0043】
また、ヒンジ6により、非反転開放基準位置Gよりも上蓋を閉じているが完全には閉じられていない閉鎖位置近傍の回動範囲H2では、上蓋7を非反転開放基準位置Gに向けて開けられるよう付勢する構成とすることにより、万一、上蓋7がキャップ本体5に対して正常ではない状態で閉められようとした場合や、完全には閉められていない場合に、上蓋7から手を離すとヒンジ6の付勢力により上蓋7が開けられるため、上蓋7が良好に閉められていないことを容易に認識することができ、信頼性が向上する。
【0044】
また、上記構成によれば、上蓋7を閉じた状態でノズル7の先端部またはその近傍に外側から当接する外側突部46が上蓋7に形成され、上蓋7を閉じた状態では、ノズル27の先端部が、上蓋7の突起状部45の基部と上蓋7の外側突部46とにより挟まれている。これにより、容器2を誤って落下させた場合などでも、注出口26から内容物が洩れ出ることを防止することができる。
【0045】
つまり、突起状部45が形成されていない従来のキャップでは、当該キャップを装着した容器を誤って落下させた場合などに、その衝撃でノズルの先端部などが径方向に広がって、上蓋の突起状部から離反し、注出口から内容物が洩れ出ることがあった。これに対して、上記の構成を採用することで、容器2を誤って落下させた場合などでも、その衝撃でノズル27の先端部などが広がることが外側突部46により阻止され、これにより、注出口26から内容物が洩れ出ることを防止することができる。なお、外側突部46が、上蓋7を閉じた状態でノズル7の先端部の近傍に外側から当接するように構成してもよい。
【0046】
また、従来のキャップでは、中栓の内筒部の上端を外側から位置規制するものがなかったため、このキャップを装着した容器を誤って落下させた場合などに、その衝撃で中栓の内筒部の先端部などが径方向に広がって、キャップ本体の内接部位から離反し、中栓の内筒部とキャップ本体の内接部位との間に発生した隙間から内容物が洩れ出ることがあった。
【0047】
これに対して、上記構成によれば、
図7などに示すように、中栓4の内筒部12の上端部12aは、キャップ本体5の内筒下延部28により内周側から密接されているとともに、中栓4の内筒部12に外周側から接する外接部位B(この実施の形態では段部24の外接部位B)を設け、キャップ本体5の内接部位Aと外接部位Bとにより中栓4の内筒部12を挟むことで、容器2を誤って落下させた場合などでも、その衝撃で中栓4の内筒部12が広がることが外接部位Bにより阻止され、これにより、内容物が洩れ出ることを防止することができる。これによっても、キャップ1としての信頼性を向上させることができる。
【0048】
さらにこの実施の形態では、
図7に示すように、中栓4の内筒部12の上端面(上端部12aの上端面)と、段部24の下面部とは何れも平坦面(水平面)形状とされているため、広い面積の接触部Cで上下に良好に密接でき、この結果、内容物が洩れ出ることを一層良好に防止することができる。これによっても、キャップ1としての信頼性を向上させることができる。
【0049】
また、上記構成によれば、キャップ本体5の外周面をなす胴部22と、このキャップ本体5の胴部22に当接する上蓋7の外周面部41とに、上下位置が異なる箇所同士を繋げる段差部22b、41bがそれぞれ形成されているので、上蓋7を閉めて段差部22b、41b同士をはめ込んだ際に、これらの段差部22b、41bがガイドとなって、キャップ本体5と上蓋7との周方向に対する相対位置(この実施の形態では、奥行方向の相対位置)を良好に合わせることができ、本体キャップ5に対して上蓋7をより良好な状態で合わせる(閉める)ことができる。
【0050】
また、本実施の形態では段差部22b、41bとして傾斜面部分を有するため、より滑らかに段差部22b、41b同士が合わされ易くなり、本体キャップ5に対して上蓋7を一層良好な状態で合わせる(閉める)ことができる。
【0051】
また、本実施の形態のキャップ1は、容器2の口部3とキャップ本体5との間に組み付けられる中栓4が設けられ、中栓4に対してキャップ本体5および上蓋6が周方向にねじ込まれて取り付けられる構成である。
【0052】
この場合に、上蓋7とキャップ本体5とが互いに水平面のみで接している場合には、キャップ1を容器2に装着するために周方向に回転する際に、周方向への回転力を受ける部分が殆どないため、キャップ1のヒンジ6やノズル27に作用して、ヒンジ6が損傷したりノズル27が変形したりするおそれがある。
【0053】
しかしながら、本実施の形態では、キャップ本体5の外周面をなす胴部22と、このキャップ本体5の胴部22に当接する上蓋7の外周面部41とに、上下位置が異なる箇所同士を繋げる段差部22b、41bがそれぞれ形成されているので、キャップ本体5(および上蓋7)を周方向に回転させながら中栓4に装着する際に、周方向の力が段差部22b、41bで受けられるため、キャップ1のヒンジ6やノズル27に周方向の力がかかって損傷したり変形したりすることを防止できる。
【0054】
なお、上記実施の形態では、キャップ本体5に中栓4が組み付けられる場合を述べたが、これに限るものではなく、中栓4を省いて、容器2の口部3にキャップ本体5を直接はめ込む構成を採用してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、キャップ本体5とヒンジ6と上蓋7とが一体形成されている場合を述べ、この場合には、部品点数を最小限に抑えることができる利点がある。しかし、これに限るものではなくて、例えば、キャップ本体5とヒンジ6と上蓋7とがそれぞれ別個に形成されていてもよく、ヒンジ6により、上蓋が所定の開放回動範囲にある場合に非反転開放基準位置に向けて移動するよう付勢され、前記非反転開放基準位置は、上蓋が反転されておらず、キャップ本体のノズルに、上蓋の突起状部の一部が突入されている位置である構成とすればよい。