(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、天候によっては、太陽電池による発電量が少なく、余剰電力が十分に得られず、蓄電装置の充電量が不十分となる場合がある。この場合、蓄電装置の充電量による不足分は、系統電力から買い取る(買電する)必要があり、経済性が悪化するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、経済性を向上可能な電力制御システムおよび電力制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の電力制御システムは、
太陽光発電装置および蓄電装置を備えた建物への電力供給を制御する電力制御システムであって、
前記建物への外部供給電力の時間帯毎の電力価格を記憶する電力価格記憶部と、
前記太陽光発電装置の発電量を気象情報に基づいて予測するとともに、過去の履歴データから消費電力量を予測し、両者の差分から余剰電力量を予測する予測部と、
前記蓄電装置の充電および放電を制御し、かつ、前記発電量が前記消費電力量を上回った実際の余剰電力量を充電するとともに、前記外部供給電力からの充電を前記電力価格が最も低い時間帯に実行する充放電制御部と、
を備え、
前記充放電制御部は、前記予測した前記余剰電力量を充電することにより予め設定した充電量となるように、前記余剰電力量が生じる前の前記最も前記電力価格が低い時間帯における充電量を設定することを特徴とする電力制御システムとした。
【0007】
なお、前記充放電制御部は、前記余剰電力量の予測値を大きく見積もった値に基づいて、前記最も電力価格が低い時間帯の充電量を設定するのが好ましい。
また、前記充放電制御部は、前記最も電力価格が低い時間帯の充電量に、前記最も電力価格が低い時間帯の終了後から前記余剰電力が発生するまでの間の消費電力量の合計値を加算するのが好ましい。
【0008】
また、前記目的を達成するために、本発明の電力制御方法は、
太陽光発電装置および蓄電装置を備えた建物への電力供給を制御する電力制御方法であって、
前記太陽光発電装置の発電量を気象情報に基づいて予測するとともに、過去の履歴データから消費電力量を予測し、両者の差分から余剰電力量を予測するステップと、
前記予測した電力量と前記蓄電装置の充電可能容量との差分に基づいて、前記予測した前記余剰電力量を充電することにより予め設定した充電量となるように、前記余剰電力が生じる前の最も電力価格が低い時間帯の充電量を設定するステップと、
を備えることを特徴とする電力制御方法とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電力制御システムは、予測した翌日の余剰電力量に基づいて、電力価格が最も低い時間帯における外部電力からの充電量を設定する。このため、翌日の余剰電力量の予測に基づくことなく電力価格が最も低い時間帯に外部電力からの充電量を設定するものと比較して、翌日の、余剰電力の充電後の充電量不足を抑制できる。したがって、高額時間帯における買電力量を軽減可能であり、経済性を向上可能である。
【0010】
また、余剰電力量の予測値を大きく見積もって充電量を設定するものでは、予測値を大きく見積もらないものと比較して、実際に発生する余剰電力量が予測値を上回ることが生じにくい。したがって、余剰電力を確実に充電でき、余剰電力を無駄にし難く経済性に優れる。
最も電力価格が低い時間帯の充電量に、最も電力価格が低い時間帯の終了後から余剰電力が発生するまでの間の消費電力量の合計値を加算するものでは、最も電力価格が低い時間帯の終了後から余剰電力が発生するまでの間の消費電力量を、蓄電装置の放電により賄うことができる。よって、外部供給電力からの買電量を、さらに軽減可能となり、より経済性を向上可能である。
【0011】
また、本発明の電力制御方法にあっても、予測した翌日の余剰電力量に基づいて、電力価格が最も低い時間帯における外部電力からの充電量を設定する。このため、翌日の余剰電力量の予測に基づくことなく電力価格が最も低い時間帯に外部電力からの充電量を設定するものと比較して、翌日の、余剰電力の充電後の充電量不足を抑制できる。したがって、高額時間帯における買電力量を軽減可能であり、経済性を向上可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
まず、
図1を参照しながら実施の形態1の電力制御システムの全体構成について説明する。この電力制御システムは、制御される建物としての住宅H1,・・・,HXは、電力会社の発電所や地域毎に設置されたコジェネレーション設備などの系統電力から電力の供給を受けるための電力網としての系統電力網に接続されている。なお、以下の説明において、住宅H1,・・・,HXのうちの特定のものを指さない場合は、単に住宅Hと表記する。
【0014】
また、各住宅Hは、太陽光発電装置としての太陽電池パネル1と、電力を一時的に蓄えておく蓄電装置としての蓄電池2とを備えている。さらに、これらの住宅Hは、それぞれインターネットなどの外部の通信網Nに接続されている。そして、同じく通信網Nに接続された外部の管理サーバ5との間で、計測値や演算処理結果などのデータの送受信や制御信号の送受信などが行われる。
【0015】
図2は、実施の形態1の電力制御システムを示すブロック図である。この電力制御システムは、住宅Hのそれぞれに配置される構成と、サーバ側としての管理サーバ5に配置される構成とを有する。
【0016】
まず、処理対象となる住宅H側の構成について説明する。
住宅Hは、太陽電池パネル1と、蓄電池2と、計測装置3と、表示モニタ4とを主に備える。
【0017】
太陽電池パネル1は、太陽光を、太陽電池を利用することによって、電力に変換して発電を行う装置である。
この太陽電池パネル1は、太陽光を受けることができる時間帯のみ電力を供給することが可能な装置である。また、太陽電池パネル1によって発電された直流電力は、通常、図示を省略したパワーコンディショナによって交流電力に変換されて使用される。なお、この住宅Hに設置された太陽電池パネル1の発電量の容量などの仕様については、管理サーバ5側の後述する邸情報データベース51に記憶されている。
【0018】
一方、蓄電池2も、太陽電池パネル1と同様に、図示省略のパワーコンディショナに接続されて、充放電の制御がなされる。例えば、蓄電池2には、外部の系統電力網から供給される深夜電力などの電力価格が安い電力(外部供給電力)を充電する。この蓄電池2の蓄電電力の容量や定格出力などの仕様も、管理サーバ5側の後述する邸情報データベース51に記憶されている。
【0019】
また、住宅Hには、分電盤を通して外部供給電力が供給され、それを消費する様々な負荷が設置されている。この様々な負荷としては、例えば、エアコンディショナーなどの空調装置、給湯装置、照明スタンドやシーリングライトなどの照明装置、冷蔵庫やテレビなどの家電装置などがある。
【0020】
さらに、負荷には、図示を省略した電気自動車やプラグインハイブリッド車が含まれる。この電気自動車やプラグインハイブリッド車は、走行のための充電を行う場合は、負荷となり、住宅Hの負荷のために放電させる場合は、蓄電池2と同様に、蓄電装置となる。
【0021】
計測装置3は、住宅Hに設置された太陽電池パネル1の時間毎の実際の発電電力を計測するとともに、住宅Hに設置された負荷によって消費された時間毎の消費電力を計測する。
この計測装置3による計測は、秒単位、分単位、時間単位などの任意の間隔で時間毎に行うことができる。そして、計測装置3によって計測された計測値のデータは、管理サーバ5側の後述する消費電力履歴データベース52に記憶される。
【0022】
表示モニタ4には、計測装置3で計測された計測値や、管理サーバ5側の後述する充放電制御部63による運転状態などを表示させる。この表示モニタ4には、専用の端末モニタを用いてもよいし、パーソナルコンピュータなどの汎用機器の画面などを用いてもよい。
【0023】
次に、各住宅Hと通信網N(
図1参照)を介して接続される管理サーバ5側の構成について説明する。
管理サーバ5側は、通信手段としての通信部71と、各種制御を行う制御部6と、記憶手段としての邸情報データベース51、消費電力履歴データベース52、電力価格データベース53、気象データベース54、運転パターンデータベース55を備える。
【0024】
通信部71は、住宅Hから送信されてくる各種設備の仕様、計測値、処理要求などを、管理サーバ5の制御部6に送る。さらに、通信部71は、各種データベース51,52,53,54,55に記憶されたデータ、制御部6で行われた演算処理結果、更新プログラムなどを住宅Hに向けて送る機能を有している。
【0025】
邸情報データベース51には、各住宅Hの邸コード(識別番号)、その邸コードに関連付けられた住所、建築年、断熱性能、間取り、電気配線、使用部材、太陽電池パネル1の仕様(発電容量)、蓄電池2の仕様(蓄電容量、定格出力)などの情報が記憶されている。また、邸情報データベース51には、住宅Hごとの実際の時間帯毎の発電量が、気象データ(日射量)に関連付けて記憶されている。例えば、住宅H毎に太陽電池パネル1の設置条件が異なることから、同じ地域で同じ日射量であっても、発電電力量に違いが生じるため、住宅ごとにそのデータを記憶する。
【0026】
消費電力履歴データベース52には、各住宅Hで計測された消費電力量の計測データが、通信部71を介して受信されて記憶される。この消費電力量の履歴は、時間毎に記憶されるとともに、曜日など暦に関連付けして記憶される。なお、消費電力履歴データベース52では、気温などの気象条件に影響を受け易い空調装置などの空調負荷および給湯装置などの給湯負荷の消費電力と、気温などの気象条件に影響を受け難いその他の負荷の消費電力とを負荷別にカテゴリー分けして記憶してもよい。
【0027】
電力価格データベース53には、外部の系統電力網を供給する電力会社などが設定する一日の時間によって変化する電力価格(住人側から見て買電価格)に関する情報が記憶されている。
【0028】
図3はこの実施の形態における料金体系を示す。この料金体系は、7時以降10時の前までの朝の中価格帯、10時以降17時の前までの昼間の高価格帯、17時以降23時の前までの晩の中価格帯、23時以降翌日の7時の前までの夜間の低価格帯という3種類の電力価格帯が設定されている。したがって、夜間の低価格帯が電力価格が最も低い時間帯であり、この時間帯に含まれる時間を最安単価時とする。
【0029】
そこで、電力価格データベース53には、電力価格が切り替わる時刻と、各時間帯の電力価格が記憶されている。また、電力価格データベース53には、太陽電池パネル1で発電した電力を電力会社などが買い取る買取価格(住人側から見て売電価格)も記憶されていてもよい。
【0030】
図2に戻り、気象データベース54には、気象庁や気象予報会社などの図示省略のサーバから通信網Nを介して受信した各住宅Hが立地する全国各地の気温や日射量などの翌日の気象予報データが記憶されている。さらに、気象データベース54には、時々刻々の実際の気象データ、気温、湿度、日照量などの気象データも記憶するようにしてもよい。
【0031】
運転パターン記憶手段としての運転パターンデータベース55には、各住宅Hに設置された空調負荷である空調装置や給湯負荷である給湯装置の様々な運転パターンが、気象データに対応付けて記憶されている。
【0032】
制御部6は、蓄電池2の充電および放電を制御するもので、消費電力予測部61と、発電電力予測部62と、充放電制御部63と蓄電池充電可能容量演算部64を備える。
【0033】
消費電力予測部61は、単位時間(本実施の形態1では1時間を単位時間とする)毎の消費電力量を予測する。例えば、前日に翌日の住宅Hの時間毎の消費電力量を予測する。この消費電力予測部61は、過去の履歴の消費電力データを参照し(ステップ101A)、この過去の消費電力データに基づいて翌日の時間別の消費電力量予測値を求める(ステップ102A)。
【0034】
なお、時間別の消費電力量予測値を求めるにあたっては、例えば、予測対象日(翌日など)と同様の季節における時間毎の消費電力量の平均値を平日と休日とについて求め、予測対象日が平日か休日かに応じ消費電力量を予測値として用いることができる。あるいは、消費電力量と気温、日射量などの気象データと関連付けしておき、気象予報データに類似した気象データに対応する過去の運転パターンデータをさらに参照するようにしてもよい。
【0035】
図5、
図6は、消費電力量の一例を示しており、この消費電力量は、住人が不在となる昼間の値が低く、住人が在宅する晩に特に高い値となる例を示す。また、この例では、夜間は、安価な電力を用いて、給湯装置の蓄熱や、後述する蓄電池2への充電を行うため、消費電力量が高くなる。なお、過去の消費電力量がこのようなパターンであれば、要否電力量予測値も、同様のパターンで予測することになる。
【0036】
発電電力予測部62は、太陽電池パネル1の時間毎の発電量を予測する。例えば、前日に翌日の住宅Hの時間毎の発電量を予測する。
この太陽電池パネル1の時間毎の発電量の予測は、予測対象日(翌日など)気象データベース54に記憶された翌日の気象予報データ(特に日射量)を参照し(ステップ101C)、かつ、気象予報データに相関する過去の気象データ(日射量)に関連付けられた発電量履歴を参照し(ステップ101B)、時間毎の発電量予測値を求める(ステップ102B)。なお、発電量予測値は、例えば、
図5、
図6に示すように、日照時間帯においてプラスの値となり、夜間は0となる。
【0037】
さらに、発電電力予測部62では、予測値よりも実際の余剰電力が多い場合を考慮して、予測余剰電力量を多めに見積もるために、発電量予測値を多めに設定する。具体的には、ステップ102Bで求めた発電量予測値に、予め設定した安全係数x(例えば、1.2>x>1程度の値)を乗じて最終発電量予測値を求める(ステップ103B)。
【0038】
そして、充放電制御部63では、消費電力量予測値および最終発電量予測値と、蓄電池2の充電可能容量とに基づいて、蓄電池2の充放電の制御を行う。具体的には、充放電制御部63では、まず、時間別の予測余剰電力量を演算する(ステップ104)。この予測余剰電力量は、消費電力量予測値から最終発電量予測値を差し引いて求める。
【0039】
また、蓄電池充電可能容量演算部64において、蓄電池における充電可能容量を演算する(ステップ105)。この充電可能容量は、夜間の低価格帯の時間帯に入った時点において充電可能な容量であって、満充電量(100%)から残容量を差し引いた値である。
【0040】
さらに、充放電制御部63では、予測余剰電力用合計値と蓄電池充電可能容量とに基づいて、最安単価時充電を行うか否かの判断および、最安単価時充電量を求める。なお、最安単価時充電量は、本実施の形態では、低価格帯である夜間における充電量である。
【0041】
具体的には、まず、予測余剰電力量合計値が蓄電池充電可能容量よりも大きいか否か判定する(ステップ106)。ここで、予測余剰電力量合計値は、時間別の予測余剰電力量の合計値である。また、予測余剰電力量は、
図5に示すように、発電量(予測値)が消費電力量(予測値)を上回った電力量である。
【0042】
そして、予測余剰電力量合計値が蓄電池充電可能容量を上回る場合には、最安単価時充電を行わず、最安単価時充電量=0とする(ステップ107)。すなわち、余剰電力により蓄電池2の最大充電可能容量(満充電量=100%)まで充電可能と予測した場合には、最安単価時である夜間の充電は行わない。
【0043】
なお、予測余剰電力量合計値が蓄電池充電可能容量を上回る場合、上記の夜間の充電を行わないのに加え、例えば、蓄電池2に予測余剰電録量合計値を充電するための容量が不足している場合、さらに夜間に放電を行い、充電量を減らし空き容量を増加させてもよい。このようにすることで、夜間の買電量も減らすことが可能である。
【0044】
一方、予測余剰電力量合計値が蓄電池充電可能容量を下回る場合には、蓄電池充電可能量から予測余剰電力量合計値を差し引いた値を最安単価時充電量とする(ステップ108)。そして、ステップ107,108で得られた最安単価時充電量を、最も電気料金が安価な夜間の充電量である最安単価時充電量として設定する(ステップ109)。
【0045】
次に、実施の形態1の作用を説明する。
ここで、まず、消費電力量の予測および発電量の予測を行うことなく、単に、余剰電力が生じた際に、これを充電するものを比較例として説明する。
【0046】
図8は、上記比較例の一動作例を示すタイムチャートであって、(a)は電力量の推移を示し、(b)は蓄電池残量を示す。このタイムチャートの動作例は、10時〜17時の間の昼間の発電量が消費電力量を上回った余剰電力が発生した場合を示す。この場合、この余剰電力を蓄電池に充電する。そして、この蓄電池に充電された電力は、充電後の時間帯である17時以降(晩)に消費電力量を賄って放電される。
【0047】
しかしながら、この比較例では、日照条件が悪い日など、余剰電力が不足すると、その充電量も少なくなり、晩の消費電力量を十分に賄うことができない。そして、このような場合は、晩の中価格帯の電力を買電して消費することになり、経済性に劣る。
【0048】
次に、本実施の形態1の作用を、余剰電力量が相対的に多く生じる場合(日射量が多い場合)と、余剰電力量が相対的に少ない場合(日射量が少ない場合)と、場合分けして説明する。
【0049】
図5は、発電量が消費電力量を上回り、かつ、余剰電力量合計値が蓄電池充電可能容量を十分に上回る場合のタイムチャートを示し、(a)は電力量の推移を示し、(b)は蓄電池残量を示す。
【0050】
このような気象条件に基づく発電量および消費電力量が予測される場合、夜間において、蓄電池2の充電量に、昼間の余剰電力により充電する分を、空き容量として確保する。具体的には、予測余剰電力量合計値と蓄電池充電可能容量との比較に基づき(ステップ106)、最安値価格帯の充電(夜間の充電)を行わない(ステップ107)か、あるいは、蓄電池充電可能容量から予測余剰電力量合計値を差し引いた最安単価時充電量で充電を行う(ステップ108)。
【0051】
一方、
図6は、昼間の発電量が消費電力量に対して僅かしか上回らない場合を示すタイムチャートである。この場合、予め、その前日の最安単価時である夜間に、僅かな余剰充電量予測値分の空き容量を残して充電を行う(ステップ108の処理に基づく)。
【0052】
図7は、
図5(a)の消費電力量と発電電力量との関係、および、
図5(b)の消費電力量と蓄電池充電量(残容量)との関係を棒グラフで示したものである。この例では、予測余剰電力量合計値(最終予測余剰電力量)が蓄電池2の満充電量(100%)の45%と予測する。したがって、最安値価格帯充電量は、予測余剰電力量合計値(45%)を充電した際に蓄電池充電量(残容量)が100%となるように設定する。この
図7の例では、予測余剰電力量合計値で45%の充電が賄えるため、夜間の蓄電池充電量(残容量)として45%の空きを確保するよう充電する。すなわち、この時点で、蓄電池2の残量に応じ、残量が55%となるよう充電量を制御する。例えば、蓄電池2の残量が0%であれば、充電可能容量は100%であり、この100%から予測余剰電力量合計値(45%)を差し引いた55%を最安値価格帯充電量とする。一方、このときに、蓄電池2が残容量を有していれば、充電可能容量が残容量分だけ減ることになり、要は、充電後の残量が55%となるよう充電する。よって、蓄電池2の残容量が55%を越えている場合は、充電を行わない。
【0053】
このように、本実施の形態では、昼間の発電量と消費電力量とを予測し、これに応じて、最安値価格帯充電量を設定するため、
図8に示す比較例のように、中価格帯である晩に充電量が不足して、買電を行うことを抑制し、経済性に優れる。
【0054】
(実施の形態1の効果)
以下に、本実施の形態1の電力制御システムの効果を列挙する。
1)実施の形態の電力制御システムは、
太陽電池パネル1(太陽光発電装置)および蓄電池2(蓄電装置)を備えた住宅H(建物)への電力供給を制御する電力制御システムであって、
住宅Hへの外部供給電力の時間帯毎の電力価格を記憶する電力価格データベース53(電力価格記憶部)と、
太陽電池パネル1の発電量を気象情報に基づいて予測するとともに、過去の履歴データから消費電力量を予測し、両者の差分から余剰電力量を予測する制御部6(予測部)と、
蓄電池2の充電および放電を制御し、かつ、発電量が消費電力量を上回った実際の余剰電力を充電するとともに、外部供給電力からの充電を電力価格が最も低い時間帯に実行する充放電制御部63と、
を備え、
充放電制御部63は、予測した余剰電力量(予測余剰電力量合計値)を充電することにより予め設定した充電量(100%)となるように、余剰電力が生じる前の最も電力価格が低い時間帯における充電量である最安単価時充電量を設定(ステップ107,108)することを特徴とする。
したがって、外部供給電力による充電は、電力価格が最も安価な夜間に行いながらも、余剰電力は、確実に充電することができる。よって、電力価格が最も安価な時間帯以外の時間帯に、蓄電池2の充電量が不足して買電することを抑制でき、経済性に優れる。
【0055】
2)実施の形態1の電力制御システムは、
充放電制御部63は、余剰電力の予測値を大きく見積もった値に基づいて、最安単価時充電量を設定することを特徴とする。具体的には、発電量予測値に安全係数xを乗じて最終発電量予測値を演算し、この最終発電量予測値から予測余剰電力量を演算することで、予測余剰電力量を、最初の発電量予測値により求めた値よりも大きな値に設定する。
したがって、実際の余剰電力量が、余剰電力量の予測値を越えにくく、充電可能容量が不足して充電できない発電量が生じるのを抑制し、確実に発電した電力を充電することができる。よって、余剰電力を無駄にし難く経済性に優れる。
【0056】
3)実施の形態1の電力制御システムは、
太陽電池パネル1(太陽光発電装置)および蓄電池2(蓄電装置)を備えた住宅Hへの電力供給を制御する電力制御方法であって、
太陽電池パネル1の発電量を気象情報に基づいて予測する(ステップ101B、101C、102B、103B)とともに、過去の履歴データから消費電力量を予測し(ステップ101A、102A)、両者の差分から余剰電力量を予測するステップ(104)と、
予測した余剰電力量と蓄電池2の充電可能容量との差分に基づいて、予測した余剰電力量を充電することにより予め設定した充電量となるように、余剰電力が生じる前の最も電力価格が低い時間帯の充電量である最安単価時充電量を設定するステップ(ステップ105〜108)と、を備えることを特徴とする。
したがって、最も電力価格が低い時間帯以外の時間帯における買電力量を軽減可能であり、経済性を向上可能である。
【0057】
(他の実施の形態)
次に、本開示の他の実施の形態について説明する。
なお、他の実施の形態の説明において、他の実施の形態と共通する構成には当該実施の形態と同じ符号を付して説明を省略し、当該実施の形態との相違点のみ説明する。
【0058】
(実施の形態2)
実施の形態2の電力制御システムは、実施の形態1の変形例である。
図9は実施の形態2の電力制御システムにおいて夜間(最安価格帯)の充電量を設定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
このフローチャートに示すように、実施の形態2では、ステップ107およびステップ108と、ステップ109との間に、ステップ201、202の処理を追加した。
ステップ201では、最安単価時間帯の終了後(本実施の形態では朝の7:00)から予測される余剰電力発生の前(
図5に示すタイムチャートでは、10:00)までの消費電力量予測値の合計値を求める。
【0060】
続くステップ202では、ステップ107,108で求めた最安単価時充電量(ステップ107では、最安単価時充電量=0)に、ステップ201で求めた消費電力量予測値の合計値を加算して、最終的な最安単価時充電量を求める。
【0061】
そこで、ステップ109では、最終的な最安単価充電量を、夜間充電量として設定する。
【0062】
次に、実施の形態2の作用を説明する。
実施の形態2では、例えば、
図5に示すように、消費電力量および蓄電残量が推移する場合、最安単価時間帯の終了後(朝の7:00)から余剰電力発生の前(10:00の前)までの消費電力量予測値の合計値を演算する。
【0063】
図10は、この
図5の消費電力量推移および蓄電残量の推移を棒グラフにより表維持したものであり、最安単価時間帯の終了後(朝の7:00)から余剰電力発生の前(10:00)までの消費電力量予測値の合計値は、蓄電池2の容量の30%に相当する。
【0064】
この場合、夜間の充電後の、蓄電池2の残量(55%)に、この30%を加算して、蓄電池2の残容量が85%となるまで充電する。
【0065】
したがって、この夜間(最安単価時間帯)の充電後の消費電力である朝の消費電力量を、蓄電池2の放電により賄う。また、その後、太陽電池パネル1の発電により生じた余剰電力(45%)を、蓄電池2に充電し、この充電の終了時点では、蓄電池2における昼間の残容量を100%とする。よって、さらに、買電量が減って経済性に優れる。
【0066】
2-1)実施の形態2の電力制御システムは、
充放電制御部63は、最も電力価格が低い時間帯の充電量(最安単価時充電量)に、最も電力価格が低い時間帯(夜間)終了後から余剰電力が発生する(昼)前までの間の消費電力量の合計値を加算することを特徴とする。
最も電力価格が低い(夜間)時間帯の終了後から余剰電力が発生するまでの間の消費電力量である朝の消費電力量を、蓄電池2の放電により賄うことができる。よって、外部供給電力からの買電量を、さらに軽減可能となり、より経済性を向上可能である。
【0067】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0068】
例えば、実施の形態では、一日の中で3種類の電力価格が存在する料金体系に適用した例を説明したが、料金体系はこれに限定されるものではない。すなわち電力価格の切り替わり時刻は例示であって、電力価格が変化する時刻や価格が異なる時間帯の数は、電力会社などの系統電力を供給する会社の経営方針やその時の政策などによって変化する。
また、実施の形態では、各時間帯を設定する単位を、1時間とした例を示したが、これに限定されず、1時間以上、あるいは、30分、15分それ以下の時間を単位としてもよい。
【0069】
また、実施の形態では、管理サーバにおいて発明を実施する例を示したが、各建物のコントローラにおいて実施してもよい。
また、放電時間および充電時間の長さは、蓄電装置の単位時間当たりの充放電性能により規定されるものであり、その長さは、実施の形態で示した長さに限定されるものではない。なお、蓄電装置としては、実施の形態で示した蓄電池以外にも、キャパシタなど他のものを用いることが可能である。
【0070】
また、実施の形態では、余剰電力量を充電することによる予め設定した充電量として満充電(100%)とするものを示したが、これに限定されず、100%に満たない充電量としてもよい。この場合、例えば、晩の時間帯における消費電力量を越える範囲で設定してもよい。
【0071】
また、実施の形態では、余剰電力の予測値を大きく見積もるのにあたり、発電量予測値に安全係数xを乗じて最終発電量予測値を演算した例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、発電量予測値に所定の安全値を加算してもよい。また、予測余剰電力量に安全係数を乗じたり、所定の安全値を加算したりしてもよい。さらに、消費電力量予測値を低く見積もる係数(1未満)を乗じたり、所定の安全値を差し引いたりすることで、予測余剰電力量を大きく見積もるようにしてもよい。