(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918458
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】帯鋸盤及び金属パイプを鋸で切るための方法
(51)【国際特許分類】
B23D 55/08 20060101AFI20210729BHJP
B23D 53/08 20060101ALI20210729BHJP
B23D 55/02 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
B23D55/08 J
B23D53/08
B23D55/02
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-181341(P2016-181341)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2017-56553(P2017-56553A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2019年7月9日
(31)【優先権主張番号】10 2015 115 820.5
(32)【優先日】2015年9月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592234090
【氏名又は名称】コイロ ベズィッツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー エーデーファウ−ディーンストライストゥングス コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】アルミン・シュトルツァー
(72)【発明者】
【氏名】ニコル・デシレー・クレッバー‐シュトルツァー
(72)【発明者】
【氏名】ゼンケ・フロリアン・クレッバー
【審査官】
中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−058382(JP,A)
【文献】
特開平09−038823(JP,A)
【文献】
特開平11−192475(JP,A)
【文献】
実開昭56−132047(JP,U)
【文献】
特開昭57−163018(JP,A)
【文献】
実開昭59−136227(JP,U)
【文献】
実開昭63−161619(JP,U)
【文献】
実開平06−053025(JP,U)
【文献】
特開平09−216222(JP,A)
【文献】
特開2005−138205(JP,A)
【文献】
特表2010−510891(JP,A)
【文献】
特開2011−051020(JP,A)
【文献】
特開2014−237216(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/183079(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 21/00−21/14
B23D 45/00−65/04
B23Q 11/00−13/00
B26D 1/25−1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋸で切られるべき金属パイプ(3)又は中空プロファイルを載置及び固定するための鋸台(2)を備えた定置式鋸盤下部ユニット(1)及び前記鋸盤下部ユニット(1)に対して相対可動する、片側縁にのみ一連の鋸歯(12)を具備した周回式帯鋸(5)を備えた鋸盤上部ユニット(4)を有する帯鋸盤によって金属パイプ又は中空プロファイルを鋸で切るための方法であって、
周回式帯鋸(5)は、前記鋸盤下部ユニット(1)に対して実施される前記鋸盤上部ユニット(4)の送り運動(13)によって、前記金属パイプ(3)又は中空プロファイルに食い込み、鋸の切り込みのために該金属パイプ(3)又は中空プロファイルを貫いてガイドされる方法において、
前記送り運動(13)は、基本的に、重力に反して実施されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記送り運動(13)は、前記鋸台(2)から出発して、基本的に上方に向かって実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記帯鋸(5)は、前記送り運動(13)が開始される前に、前記鋸台(2)に設けられた凹部内へとガイドされることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
鋸で切られるべき金属パイプ(3)又は中空プロファイルを載置及び固定するための鋸台(2)を備えた定置式鋸盤下部ユニット(1)と、前記鋸盤下部ユニット(1)に対して相対可動する、片側縁にのみ一連の鋸歯(12)を具備した周回式帯鋸(5)を備えた鋸盤上部ユニット(4)と、金属パイプ(3)又は中空プロファイルに前記帯鋸(5)の前記鋸歯(12)を食い込ませ、鋸の切り込みを行うために、前記鋸盤下部ユニット(1)に対して実施される前記鋸盤上部ユニット(4)の送り運動(13)を発生させる手段とを含んでなる、金属パイプ又は中空プロファイルを鋸で切るための帯鋸盤であって、
前記送り運動(13)を発生させる前記手段は、重力に抗すると同時に鋸の切り込み時に作用する切断力にも抗して前記鋸盤上部ユニット(4)をリフト又は傾倒させる駆動装置として形成されていることを特徴とする帯鋸盤。
【請求項5】
前記帯鋸(5)は、鋸の切り込みに際して前記鋸歯(12)が基本的に重力方向とは反対に上向きにされて、前記鋸盤上部ユニット(4)内においてガイドされることを特徴とする、請求項4に記載の帯鋸盤。
【請求項6】
前記鋸盤上部ユニット(4)は、前記帯鋸(5)を鋸の切り込み面内に向けてガイドする帯鋸ガイド(9)を備え、該帯鋸ガイド(9)は、基本的に上向きの前記鋸歯(12)を具備した前記帯鋸(5)をガイドするために、上方が開放されて形成されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の帯鋸盤。
【請求項7】
前記鋸台(2)は、前記送り運動(13)の開始前に前記帯鋸(5)をガイドするための凹部を有することを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の帯鋸盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯鋸盤によって金属パイプ又は中空プロファイルを鋸で切るための、請求項1のプリアンブルに記載の方法、及び、金属パイプ又は中空プロファイルを鋸で切るための、請求項4のプリアンブルに記載の帯鋸盤に関する。
【背景技術】
【0002】
当該方法に使用される上記のタイプの帯鋸盤は、鋸で切られるべき金属パイプ又は中空プロファイルを載置及び固定するための鋸台を備えた定置式鋸盤下部ユニットと、前記鋸盤下部ユニットに対して相対可動する、一連の鋸歯を具備した、いわばエンドレスの鋸で切る運動を実施すべく駆動される周回式帯鋸を備えた鋸盤上部ユニットと、を含んでいる。鋸盤下部ユニットに対して実施される鋸盤上部ユニットの送り運動により、帯鋸は、金属パイプ又は中空プロファイルに食い込むとともに、鋸の切り込みのために該ワークを貫いてガイドされる。
【0003】
冒頭に述べたタイプの帯鋸盤及び鋸で切るための方法は、従来、たとえば独国特許出願公開第3927275号明細書、独国特許出願公開第19828589号明細書、欧州特許出願公開第1029623号明細書又は独国特許出願公開第102013210573号明細書から知られている。これらの公知の帯鋸盤に共通していることは、鋸で切られるべきワークが鋸台に載置され、そこに固定され、次いで、鋸盤上部ユニットが旋回運動又は直線運動によって鋸盤下部ユニットに向かって可動され、こうして、駆動された帯鋸もワークに向かって可動されて、鋸歯がワークに食い込み、最終的に鋸の切り込みが遂行されるという点である。鋸歯が鋸台面に達すると、鋸の切り込みは完了し、ワークは完全に切り離される。
【0004】
鋸盤上部ユニットは、周回式帯鋸用の駆動装置及び帯鋸用のガイド手段、通例、二つ以上の回転輪を含み、鋸の切り込み時の高切断力のために、安定的かつ堅牢に形成されていなければならないゆえに、このタイプの帯鋸盤の鋸盤上部ユニットはかなりの重量を有している。したがって、送り運動を基本的に鋸盤上部ユニットの重力によって発生させ、制動対策によって同運動を制御するのが通例である。新たな鋸の切り込みに向けて帯鋸盤の態勢を整えるために、たとえば油圧式駆動装置によって鋸盤上部ユニットがリフトされる場合には、送り運動は油圧式駆動装置からの作動油の排出によって発生させることができ、その際、該運動は作動油の体積流量の絞りによって調節することが可能である。
【0005】
円筒形又は多角形断面を有する金属パイプ又は中空プロファイルを鋸で切る際には、鋸の切り込み時に発生する鋸屑の一部が金属パイプ又は中空プロファイルの内部に落ち込んで同所に溜り、場合により、鋸の切り込み中に同所に集積するという問題が生ずる。今や鋸の切り込みが進行して、金属パイプ内又は中空プロファイル内に落下した鋸屑が溜まった領域に帯鋸が食い込むと、通過する帯鋸の鋸歯によってこれらの鋸屑が連行されることがある。鋸歯が、金属パイプ又は中空プロファイルの内部空間を通過した後、再びそれらワークの壁面に食い込み進入する箇所では、こうして連行された鋸屑が問題を引き起こすことがある。というのもその場合、金属パイプ又は中空プロファイルの壁面へ再び食い込む時に鋸屑が鋸歯によって鋸の切り込み路に一緒に引き込まれるからである。これにより、金属パイプ又は中空プロファイルの切断面の品質は著しく悪化すると同時に、帯鋸の摩耗が高まることになる。鋸歯に超硬チップが付されていれば、かくて、超硬チップの欠損がもたらされることがある。
【0006】
こうした問題を解決しようとする従来の多様な試みの基本は、金属パイプ又は中空プロファイルの内部空間に落下した鋸屑を連続的又は周期的に取り除くことである。そのため、落ち込んできた鋸屑を外へ押し流すために、金属パイプ又は中空プロファイルに、たとえば液体、特に、油−水エマルジョンが流し込まれる。ただし、これには、自由に得られると同時に、特に、再び回収されなければならない、比較的大量の液体が必要である。しかしながら、帯鋸盤は通例、少なくとも後者のような処理向けには設計されていない。こうした処理と結び付いた高コストの浄化対策及び液体の準備供与は運転コストを著しく高めることになる。
【0007】
さらに別途の試みは、金属パイプ又は中空プロファイルの内部に落下した鋸屑を連続的又は周期的に圧縮空気によって吹き飛ばすことである。ただし、この方法も、吹き飛ばされた鋸屑が帯鋸盤のうちの浄化困難な領域に達したり又は鋸屑から保護されなければならない領域に達したりするために、短所を免れることはできない。加えてさらに、鋸で切られるべきワークの長さ次第で、鋸の切り込み箇所に圧縮空気を作用させることが困難となることがある。というのも、圧縮空気は金属パイプないし中空プロファイルの内部で作用しなければならないことから、時として、取扱い及びポジショニングが相応して困難な、比較的長い噴射ランスが必要となるからである。
【0008】
また、金属パイプ又は中空プロファイルの内部に落下した鋸屑を吸引する方法は、この場合にも、吸引口を金属パイプ又は中空プロファイルの内部で鋸の切り込み箇所に接近させなければならないために、上記と同様な短所を有している。加えてさらに、真空をつくり出すための当該装置と、吸引した鋸屑を捕集する装置が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第3927275号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19828589号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1029623号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102013210573号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の従来の技術から出発して、本発明の目的は、上記の問題を回避することのできる、冒頭に述べた金属パイプ又は中空プロファイルを鋸で切るための方法及び帯鋸盤を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、請求項1に記載の特徴を有する方法及び請求項4に記載の特徴を有する帯鋸盤によって解決される。本発明による方法の好ましい発展態様は請求項2及び3に記載したとおりである。本発明による帯鋸盤の有利な態様は請求項5から7に記載したとおりである。
【0012】
したがって、従来の技術において金属パイプ又は中空プロファイルを鋸で切る際に発生する問題は、本発明により、基本的に重力の方向とは反対の方向に実施される送り運動によって鋸で切られることにより取り除かれる。したがって、本発明による帯鋸盤は、重力に抗すると同時に鋸の切り込み時に作用する切断力に抗して鋸盤上部ユニットを持ち上げる駆動装置を具備して形成されている。一般に、こうした構成において、帯鋸は、鋸の切り込みに際して鋸歯が基本的に重力方向とは反対に上向きにされて、鋸盤上部ユニット内においてガイドされるため、送り運動は、鋸台から出発して、基本的に上方に向かって実施されることができる。
【0013】
本発明との関連において、「基本的に上方に向かってないし重力に反して」なる表現が意味するところは、鋸の切り込みに際して帯鋸は、相応する送り運動方向が上記のようにして実施されるために、それが金属パイプ又は中空プロファイルの内部空間への進入に際して、該内部空間のうち、落下した鋸屑が集積する領域を最初に通過するということである。かくて、この時点には、鋸屑はまだ存在していないか、又は僅かな最初の鋸屑が存在しているだけにすぎず、他方、鋸の切り込みがさらに進行するにつれて、この領域はもはや帯鋸の鋸歯によって通過されることはない。それゆえ、送り運動は必ずしもまっすぐ上方に向けられている必要はない。つまり、本発明の範囲にあっては、重力に抗して上方に向けられた送り運動の方向成分が存在するとともに、金属パイプ又は中空プロファイルの内部空間のうち、鋸屑が集積する領域が鋸の切り込み初期に直ちに通過されることが明白な特徴とされていれば十分なのである。
【0014】
したがって、本発明によれば、通例、金属パイプ又は中空プロファイルの下部領域が最初に鋸で切られ、その際、鋸の進行は基本的に下から上へ向かって実施される。鋸の切り込みの初期には、当然、金属パイプ又は中空プロファイルの内部には鋸屑はまだ存在していない。鋸の切り込みがさらに進行するにつれて発生する鋸屑は、その後、一部が金属パイプ又は中空プロファイルの内部空間に落下し、同所に集積する。しかしながら、帯鋸の送り運動が重力に反した方向に向けて実施されるために、鋸歯は、早くも鋸の切り込みの初期に、上方へ向かってこの領域から離れてゆく。つまり、帯鋸は、鋸屑の集積した領域から抜け出ることになる。したがって、これらの鋸屑は、鋸の切り込みがさらに進行すると、もはや支障とはならないために、鋸屑を押流し又は吹き飛ばすための高コストの対策は不要である。
【0015】
通例、金属パイプ又は中空プロファイルにおいて鋸屑がそれらの内部空間に集積する領域は、鋸台の近傍の、金属パイプないし中空プロファイルの最下点に位置している。したがって、本発明によれば、送り運動は、鋸台から出発して、基本的に上方に向かって実施される。かくて、それには、帯鋸は、送り運動の開始される前に、鋸台に設けられた凹部内へとガイドされるのが好適である。なぜなら、この場合、帯鋸は、鋸台のワーク載置面の下側から、金属パイプないし中空プロファイルに接近しなければならないからである。
【0016】
本発明による帯鋸盤の鋸盤上部ユニットは、好ましくは、それ自体公知のように、帯鋸を鋸の切り込み面内に向けてガイドする帯鋸ガイドを備えている。鋸の切り込みのための送り運動が基本的に重力に抗して実施される本発明によれば、該帯鋸ガイドは、上向きの鋸歯を具備した帯鋸をガイドするために、上方が開放して形成されていることが好適である。
【0017】
本発明による帯鋸盤の帯鋸が下方から金属パイプ又は中空プロファイルに接近することを可能にすべく、鋸台は、送り運動の開始前に帯鋸をガイドするための凹部を有していることが好ましい。
【0018】
以下に本発明を、添付図面を参照し、具体的な一実施形態を例示して説明する。各図は以下を示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】従来の技術による鋸プロセス時の、金属パイプの載置された鋸台の概略的な正面図である。
【
図3】本発明による鋸プロセス時の、
図2と同じ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に概略的に示した帯鋸盤は、鋸盤下部ユニット1と、その上に取り付けられた、鋸で切られるべき金属パイプ3用の鋸台2と、鋸盤下部ユニット1に向かって可動する鋸盤上部ユニット4とを含んでいる。鋸盤上部ユニット4において、帯鋸5が二つの回転輪6の周りをエンドレスに周回する。切断領域7において、帯鋸5は、ハウジング8の外側を走り、同所において、切断領域7の左右に配置された二つの帯鋸ガイド9によってガイドされる。これらの帯鋸ガイド9により、帯鋸5は、回転輪6の周りを周回する際の水平な姿勢から、切断領域7における垂直な姿勢に転向される。鋸盤上部ユニット4は、コラムガイド10に着座支保されて、鋸盤下部ユニット1に対して上下に可動する。
【0021】
図2は従来の鋸プロセス、したがって、従来の技術による金属パイプ3の鋸で切る方法を示している。この場合、運動方向11に向かって駆動されている帯鋸5は、上方から、鋸歯12が金属パイプ3に食い込むまで、金属パイプ3に向かって下降される。上方から下方に向かう送り運動13により、帯鋸5は、鋸台2を終端とする鋸の切り込み面で、金属パイプ3を切断する。
【0022】
鋸の切り込み中に、鋸屑14は、鋸歯12から下方に向かって落下する。
図2からわかるように、これらの鋸屑は一部が金属パイプ3の外側で鋸台2上に落下するが、一部は金属パイプ3の内部空間15内にも落下して、該金属パイプの下部領域に集積する。
【0023】
図2からわかるように、帯鋸5は鋸プロセスが進行するにつれて下方へ向かい、その際、最終的には、金属パイプ3の内部空間15のうち、鋸屑14が集積した領域に達する。この点で、帯鋸5の鋸歯12は、集積した鋸屑14を連れて、それを金属パイプ3の鋸の切り込み路内に引き込むために、同所において切断面の品質が悪化し、鋸歯12が損傷をこうむる危険、またそうでないにしても、少なくとも鋸歯の摩耗が増進するという問題が発生する。ところで、こうした事態の発生は、鋸屑14の押流し又は吹き飛ばしによるか、または鋸盤の停止時の人力による浄化によって防止することが可能である。
【0024】
図3は、
図2と同様の図解によって、本発明による方法と従来の技術との決定的な違いを示している。同図に示したように、送り運動13は反対向きであるために、該運動は下方から上方へ向かって実施される。これに応じて、帯鋸5も帯鋸ガイド9により鋸歯12が通例のように下を向くように転向されるのではなく、図示したように、鋸歯12が上を向き、鋸台2とは逆方向、つまり、重力の方向とは反対の方向を向くように転向される。
【0025】
本発明によれば、鋸の切り込みは下方から上方へ向かって実施されるために、帯鋸5の鋸歯12は、まず、下側から金属パイプ3の最下領域に食い込んで、鋸の切り込み中、該領域を鋸で切る。これによれば、まず、鋸屑14が金属パイプ3の内部空間に落下することはあり得ない。鋸の切り込みが進行して、帯鋸5が金属パイプ3の内部空間を通過するようになると直ちに、鋸歯12は送り運動13の方向において、金属パイプ3の内部空間15内に鋸屑14が集積し得る領域から上方に向かって抜け出ることになる。したがって、帯鋸5が、金属パイプ3に再び食い込む際に、鋸の切り込み路内に鋸屑14を引き込み連行することはあるが、せいぜいごく短時間にすぎない。
図3に示した状況においてすでに、こうした危険はもはやない。落下して金属パイプ3の内部に集積する鋸屑14は、鋸の切り込みがさらに進行すれば、もはや支障とはならず、したがって、コストをかけて除去される必要はない。
【0026】
ここで、本発明による送り運動方向は、特に、非円筒形の断面を有する金属パイプ又は中空プロファイルが鋸で切られる場合には、本発明の範囲を逸脱することなく、実施例に示した垂直方向とは相違することが可能である旨、再度付記しておくこととする。重要なのは、それぞれ金属パイプないし中空プロファイルの内部空間のうち、鋸の切り込みに際して落下する鋸屑が集積し得る領域が、基本的に、鋸の切り込みの初期に、したがって、最初の鋸屑が内部空間に落下する際に、早くも帯鋸の鋸歯によって通過されるという点のみである。