特許第6918489号(P6918489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918489
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】スティック状油性固形化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20210729BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20210729BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20210729BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20210729BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   A61K8/02
   A61K8/44
   A61K8/37
   A61K8/86
   A61Q1/06
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-254297(P2016-254297)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2017-119698(P2017-119698A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2019年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2015-257634(P2015-257634)
(32)【優先日】2015年12月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】金森 絵美
(72)【発明者】
【氏名】成 恵美
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−213677(JP,A)
【文献】 特開2015−124181(JP,A)
【文献】 特開2015−193607(JP,A)
【文献】 特表2014−510136(JP,A)
【文献】 再公表特許第2005/039516(JP,A1)
【文献】 Rouge C,ID 3575805,Mintel GNPD[online],2015年10月,[検索日2020.07.29],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】 Luminous Intense Lip Colour,ID 3537929,Mintel GNPD[online],2015年10月,[検索日2020.07.29],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】 Rouge Glow,ID 3592521,Mintel GNPD[online],2015年11月,[検索日2020.07.29],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
Mintel GNPD
CAPLUS/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接する透明な外層部と着色した内層部を有し、外層部に少なくとも成分(A)ジブチルラウロイルグルタミド、成分(B)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドと、成分(C)グリセリンの重合度が6〜12であり、脂肪酸が炭素数8〜22の分岐脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有
前記外層部における前記成分(A)の含有量が0.1〜30質量%、前記成分(B)の含有量が0.1〜20質量%、前記成分(C)の含有量が5〜50質量%である、スティック状油性固形化粧料。
【請求項2】
前記成分(C)の前記グリセリンの前記重合度が6〜10である、請求項1に記載のスティック状油性固形化粧料。
【請求項3】
外層部における前記成分(A)と前記成分(B)の含有質量比がA:B=10:1〜1:2である請求項1又は2に記載のスティック状油性固形化粧料。
【請求項4】
前記スティック状油性固形化粧料が口紅である請求項1〜3のいずれか1項に記載のスティック状油性固形化粧料。
【請求項5】
さらに、外層部に成分(D)として炭素数20〜26の分岐状高級アルコールを含有する請求項1〜のいずれか1項に記載のスティック状油性固形化粧料。
【請求項6】
前記外層部の溶解温度が120℃以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載のスティック状油性固形化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接する透明な外層部と着色した内層部を有する審美性が高く、滑らかな使用感に優れるスティック状油性固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油性固形化粧料は、口唇化粧料、目元化粧料、香料組成物等の化粧料として広く用いられている。化粧料としては、様々な色調や質感を付与する目的で用いられ、ツヤや透明感、着色のよさ等の化粧効果、二次付着しにくい等の機能性に加え、化粧を行うことの楽しさに繋がる化粧料自体の外観の美しさも求められている。このような外観の美しさを特徴とする、化粧料の技術も多く提案されている。例えば、上面にすり鉢状の凹部を有する透明な化粧料層を形成し、その上に異なる色に着色された化粧料を積層し、グラデーション模様を有する多色化粧品が提案されており(特許文献1)、略柱状の内芯部の横周辺面全体を外層部で覆ってスティック状とした多重構造を有するスティック状口唇化粧料が検討・実施されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−261949号公報
【特許文献2】特開2008−105951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の多色化粧品は上下方向に積層されている為、異なる色の化粧料を同時に使用するためには多層形状を崩さなければならない。また、特許文献2の技術においては、硬度の異なる内層部と外層部を用いて多重構造スティック化粧料を得ているが、外層部が透明なものは検討されていなかった。
【0005】
本発明の課題は、透明な外層部と着色した内層部を有することで審美性を高めたスティック状油性固形化粧料であり、外層部の透明性が高く、透明な外層部と着色した内層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感に優れるスティック状油性固形化粧料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った結果、互いに接する透明な外層部と着色した内層部を有するスティック状油性固形化粧料であり、外層部にジブチルラウロイルグルタミドと、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドを含有し、さらに、グリセリンの重合度が6〜12であり、脂肪酸が炭素数8〜22の分岐脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することで、本願効果が顕著に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、互いに接する透明な外層部と着色した内層部を有し、外層部に少なくとも(A)ジブチルラウロイルグルタミド、(B)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドと、成分(C)としてグリセリンの重合度が6〜12であり、脂肪酸が炭素数8〜22の分岐脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するスティック状油性固形化粧料を提供するものである。
【0008】
さらに、外層部における前記成分(A)と前記成分(B)の含有質量比がA:B=10:1〜1:2であるスティック状油性固形化粧料を提供するものである。
【0009】
さらに、前記スティック状油性固形化粧料が口紅であるスティック状油性固形化粧料を提供するものである。
【0010】
さらに、外層部に成分(D)として炭素数20〜26の分岐状高級アルコールを含有するスティック状油性固形化粧料を提供するものである
【発明の効果】
【0011】
本発明のスティック状油性固形化粧料は、外層部の透明性が高く、さらに、透明な外層部と着色した内層部を有することで内層部の着色がより際立つため、審美性が高く、透明な外層部と着色した内層部の境界面が明瞭で、しかも滑らかな使用感に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明品を側面から撮影した写真である。
図2】本発明品を上部から撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のスティック状油性固形化粧料は内層部の油性固形組成物と外層部の油性固形組成物を組み合わせてなるものである。内層部と外層部は互いに接し、スティックの長軸方向に連続した内層部を外層部が覆うように成型されていれば、内層部が外層部に完全に覆われていなくても良い。また、内層部の形状は特に限定されず、例えば、短軸方向の横断面が円形、四角形、星形等でも良い。
【0014】
本発明における外層部の油性固形組成物に関する説明を以下に示す。本発明の外層部には成分(A)及び成分(B)を必須に含有する油性固形組成物である。
【0015】
本発明に用いられる成分(A)のジブチルラウロイルグルタミドは、分子中にアミド結合を有し、下記式(1)で表され、(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数4の炭化水素基を示し、Rは、炭素数12の炭化水素基を示し、nは1又は2を示す)油剤を固化するものである。市販品としては、アミノ酸系油ゲル化剤GP−1(味の素社製、融点150〜161℃)等が挙げられる。
【0016】
本発明に用いられる成分(A)の外層部における含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜30質量%(以下%と略す)、より好ましくは1〜15%含有させることができる。この範囲であると、内層部が外から透けて見える透明性と油剤を固化する成形性の点からより好ましい。
【0017】
本発明に用いられる成分(B)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドは、分子中にアミド結合を有し、下記式(1)で表され、(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数4の炭化水素基を示し、Rは、炭素数8の炭化水素基を示し、nは1又は2を示す)油剤を固化するものである。市販品としては、アミノ酸系油ゲル化剤EB−21(味の素社製、融点183〜196℃)等が挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】
本発明に用いられる成分(B)の外層部における含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜20%、より好ましくは0.5〜10%含有させることができる。この範囲であると、外層部の高い透明性および成形性の観点からより好ましい。
【0020】
本発明の外層部における成分(A)と成分(B)の含有質量比A:Bは10:1〜1:2が好ましく、より好ましくは、5:1〜1:1であると、外層の高い透明性の観点から好適である。
【0021】
本発明に用いられる成分(C)グリセリンの重合度が6〜12であり、脂肪酸が炭素数8〜22の分岐脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有すると、滑らかな使用感が良好な外層部の油性固形組成物を得ることができる。本発明に用いられる成分(C)はグリセリンの重合度が6〜12であり、脂肪酸が炭素数8〜22の分岐脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルであり、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず使用することができ、エステル置換度は65%以上が好ましい。具体的には、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカエチルヘキサン酸ポリグリセリル−10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10、ジステアリン酸ポリグリセリル−10、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6等が挙げられる。市販品としては、IS−1005P、IS−1009P、CR−1001(阪本薬品工業社製)、NIKKOL Decaglyn 10−ISV(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いられる成分(C)の外層部における含有量は、特に限定されないが、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜30%含有させることができる。この範囲であると、滑らかな使用感の観点から好ましい。
【0023】
本発明の外層部には、さらに、成分(D)として、炭素数20〜26の分岐状高級アルコールを含有すると、滑らかな使用感がより良好な外層部の油性固形組成物を得ることができる。本発明の(A)、(B)と(D)を組み合わせることで混合物の溶解温度を下げることができるという知見を得ており、製造時の操作性を向上させることに利用できる。本発明に用いられる成分(D)は炭素数20〜26の分岐状高級アルコールであり、通常化粧料に用いられるものであれば、特に制限されず使用することができ、25℃で液状のものが好ましい。具体的には、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール等が好適に用いられる。市販品としては、リソノール20SP、リソノール24SP(高級アルコール工業社製)、エヌジェコール200A、エヌジェコール240A(新日本理化社製)等が挙げられる。
【0024】
本発明に用いられる成分(D)の外層部における含有量は、特に限定されないが、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%含有させることができる。この範囲であると、滑らかな使用感の観点からより好ましい。
【0025】
本発明の外層部は前記成分(A)〜(D)の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、油性成分、粉体、界面活性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、色素、香料等の通常公知の成分を含有することができる。
【0026】
油性成分としては動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、2−エチルヘキサン酸セチル、乳酸イソステアリル、乳酸オクチルドデシル、乳酸オレイル、乳酸ステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、ポリオキシ変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0027】
粉体としては、化粧料に一般に使用される粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等の合成樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色1号、青色404号、黄色401号、黄色4号、黄色5号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができ、必要に応じて、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等を用いて、公知の方法により表面処理を施したり、さらに複合化したものを用いても良い。また、粉体の含有量としては、透明性の観点から、1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下である。
【0028】
界面活性剤としては、化粧料に一般に用いられている界面活性剤であれば、特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
【0029】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1、2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0030】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられ、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0031】
本発明における透明とは、12.5×12.5×45mmガラスセルにサンプルを溶融充填したものを、1.5ポイント太さの黒線を書いた白い紙の上に置き、厚さ12.5mmの上から黒線が見えるものを指す。本発明の外層部は、ガラスセルの上から黒線が見えるものであった。
【0032】
本発明における内層部の油性固形組成物に関する説明を以下に示す。
【0033】
本発明の内層部は着色剤を必須成分とし、不透明であるとより好ましい。着色剤としては着色顔料や染料等が挙げられ、一般に化粧料に用いられるものであれば特に制限はなく、その形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わずいずれのものも使用することができる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色1号、青色404号、黄色401号、黄色4号、黄色5号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができる。必要に応じて、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等を用いて、公知の方法により表面処理を施したり、さらに複合化したものを用いても良い。着色剤の内層部における含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜50%、より好ましくは1〜45%含有させることができる。この範囲であると透明な外層部と着色した内層部の境界面が明瞭であり、審美性が高くなる観点から好ましい。
なお、内層部に染料を含有させると、外層部に色が滲んでしまい境界面の明瞭さが損なわれる観点から、内層部には黒色401号、褐色201号、紫色401号、青色2号、青色203号、青色205号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、黄色202号(1)、黄色202号(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色402号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号(1)、赤色105号(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号(1)、赤色231号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の染料は0.1%未満含有することが好ましい。
【0034】
本発明において、着色した内層部は、特に限定されないが油剤を固形化剤で固めたものを用いることができる。固形化剤としては、ワックスやゲル化剤を含み、通常化粧料で用いられるものであれば特に限定されず用いることができる。具体的には、固体パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、フィッシャートロプシュワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、モクロウ、ゲイロウ、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタンワックス、オゾケライトワックス、ライスワックス、シリコーンワックス等のワックス類、蔗糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸、ビスジオクタデシルアミド(ダイマージリノール酸/エチレンジアミン)コポリマー等が挙げられ、これらの一種または二種以上を用いることができる。
【0035】
本発明の内層部は、着色剤、固形化剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、油性成分、粉体、界面活性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、色素、香料等の通常公知の成分を含有することができる。
【0036】
油性成分としては動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、2−エチルヘキサン酸セチル、乳酸イソステアリル、乳酸オクチルドデシル、乳酸オレイル、乳酸ステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、ポリオキシ変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0037】
前記着色剤以外の粉体としては、化粧料に一般に使用される粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、有機粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等の合成樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体等が挙げられ、これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができ、必要に応じて、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等を用いて、公知の方法により表面処理を施したり、さらに複合化したものを用いても良い。
【0038】
界面活性剤としては、化粧料に一般に用いられている界面活性剤であれば、特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
【0039】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1、2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0040】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられ、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0041】
本発明における溶解温度は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)社製DSC6200)を用い、測定温度10〜150℃、昇温速度5℃/minで測定して得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを溶解温度とする。
【0042】
内層部の溶解温度が外層部の溶解温度より10℃以上低いと、外層部の後に内層部を充填する際に外層部が溶け出さないため、境界面が明瞭になる点で好ましい。
【0043】
本発明のスティック状油性固形化粧料は、30℃で固形スティック状のものを指す。水等の水性成分を含有する場合は、水性成分が油性成分中に分散しているものであり、水等の水性成分は化粧料中に1%以下、さらには0.5%以下であることが好ましい。剤型としては、特に限定されないが、例えば、口紅、リップクリーム、頬紅、アイカラー、コンシーラー、ファンデーション、美白スティック等が挙げられ、より好ましい用途はメーキャップ化粧料である。
【0044】
本発明のスティック状油性固形化粧料の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば次のようにして得ることができる。
油剤、固形化剤、及び必要に応じて有機色素や顔料、パール光沢剤、防腐剤、紫外線吸収剤、香料を加熱、混練した内層部の油性固形組成物、外層部の油性固形組成物をそれぞれ準備する。スティック型に内層部用の型(以下、内層型と称す)を固定し、140℃で加熱溶解した外層部をスティック型に充填する。室温(0〜30℃)まで冷却した後、内層型を外し、空隙部分に冷却した外層部の上方より、90℃で加熱溶解した内層部を充填し、内層部を冷却する。
【0045】
本発明のスティック状油性固形化粧料は、好ましくは直径が8〜30mmであり、より好ましくは11〜20mmであると、使用性が良い。また、内層部は、好ましくは直径が3〜20mmであり、より好ましくは5〜10mmであると、審美性に優れる。本発明のスティック状油性固形化粧料は、その大きさや形状にもよって異なるが、内層部の断面積が、スティック状油性固形化粧料の断面面積中の10〜50%が好ましく、さらには20〜40%であると、審美性および使用性において好ましい。
【実施例】
【0046】
以下に実施例1〜7、比較例1〜4のスティック状口紅をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0047】
[油性固形組成物の製造]
表1に示した成分、含有量の処方の外層部の油性固形組成物と、表2に示した成分、含有量の処方の内層部の油性固形組成物を以下の方法で製造した。
【0048】
【表1】
【0049】
得られた外層部の油性固形組成物1は透明であり、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)社製DSC6200)を用い、測定温度10〜150℃、昇温速度5℃/minで測定した結果、溶解温度は140℃であった。
【0050】
【表2】
【0051】
得られた内層部の油性固形組成物1は赤色で不透明であり、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)社製DSC6200)を用い、測定温度10〜150℃、昇温速度5℃/minで測定した結果、溶解温度は100℃であった。
【0052】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(10)を、140℃にて均一に溶解する。
B.Aに(11)〜(12)を加え、均一に混合した。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(8)を、100℃にて均一に溶解する。
B.Aに(9)〜(10)を加え、均一に混合した。
【0053】
*1:アミノ酸系油ゲル化剤GP−1(味の素社製)
*2:アミノ酸系油ゲル化剤EB−21(味の素社製)
*3:IS−1009P(阪本薬品工業社製)
*4:リソノール24SP(高級アルコール工業社製)
*5:AEROSIL R976S(日本アエロジル社製)
*6:EPSワックス(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*7:CIREBELLE 109L(CIREBELLE社製)
*8:PLANDOOL−S(日本精化社製)
【0054】
[スティック状油性固形化粧料の製造]
表1と表2の組成物を組み合わせて、以下の方法で表3に示す実施例1〜7、比較例1〜4得た。直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティック状油性固形化粧料を得た。
【0055】
実施例1〜7、比較例1〜4のスティック状口紅について、下記評価方法により評価し、その評価結果を表3に示した。
【0056】
【表3】
【0057】
(評価方法)
イ.滑らかな使用感
専門パネル10名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。
【0058】
(評価項目)
実施例1〜7、比較例1〜4に関して、塗布時に外層部と内層部が均一で滑らかに伸び広がるかどうかを評価した。
【0059】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0060】
ロ.境界面の明瞭さ
(評価項目)
実施例1〜7、比較例1〜4に関して、外層部と内層部に明瞭な境界があるかどうかを下記判定基準により判定した。
【0061】
判定基準
(判定):(評価)
◎ :境界面が明瞭である
○ :境界面の半分以上が明瞭である
× :境界面が不明瞭である
【0062】
ハ.外層部の透明性
(評価項目)
実施例1〜7、比較例1〜4に関して、12.5×12.5×45mmガラスセルにサンプルを溶融充填したものを、1.5ポイント太さの黒線を書いた白い紙の上に置き、厚さ12.5mmの上から黒線が見えるかどうかを下記判定基準により判定した。
【0063】
判定基準
(判定):(評価)
◎ :黒線が明瞭に見え、透明である
○ :黒線が見え、やや透明である
△ :黒線が見えない部分があり、やや不透明である
× :黒線が完全に見えず、不透明である
【0064】
表3の結果より明かなように、実施例1〜7の口紅は、滑らかな使用感に優れ、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、外層部の透明性が高い、審美性に優れる口紅であった。一方、成分(A)、(B)を含有しない比較例1〜4は、透明な網目状のゲル構造を取らず、外観の透明性に劣り、外層部と内層部の溶解温度が近く、内層部を充填する際に外層部が一部溶け出してしまい、境界面が不明瞭となり、さらにはべたつきが大きいため、滑らかな使用感にも劣り、満足のいくものが得られなかった。
【0065】
実施例8:スティックチーク
外層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド*1 6
(2)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド*2 4
(3)リンゴ酸ジイソステアリル 30
(4)ミネラルオイル 20
(5)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(6)デシルテトラデカノール 20
(7)ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 10
(8)フェノキシエタノール 0.2
(9)赤色202 0.03
(10)黄色4 0.01

内層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ポリエチレン*9 10
(2)リンゴ酸ジイソステアリル 50
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)ポリブテン*10 20
(5)フェノキシエタノール 0.1
(6)赤色201 0.1
(7)酸化チタン 0.1
(8)ラズベリーエキス 0.1
(9)香料 0.2
*9:PERFORMALENE500(ニューフェーズテクノロジー社製)
*10:日石ポリブテン1900F(JX日鉱日石エネルギー社製)
【0066】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(7)を、140℃にて均一に溶解する。
B.Aに成分(8)〜(10)を加え、均一に混合する。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(4)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(5)〜(9)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティック状油性固形化粧料を得た。
【0067】
得られたスティックチークは、外層部が橙色に着色されているが内層部を透過して見ることができる程度に透明であり、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0068】
実施例9:リップクリーム
外層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド*1 5
(2)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド*2 4
(3)リンゴ酸ジイソステアリル 40
(4)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(5)デシルテトラデカノール 20
(6)オクチル酸ポリグリセリル−10 20
(7)ポリシリコーン−15*11 3
(8)メチルフェニルポリシロキサン*12 5
(9)ジメチルポリシロキサン(20CS)*13 0.1
(10)香料 0.1

内層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)マイクロクリスタリンワックス*14 15
(2)ワセリン 30
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)パラメトキシケイヒ酸エチルヘキシル 20
(5)ポリエチレン*9 5
(6)赤色202 0.2
(7)黄色4 0.1
(8)酢酸DL−α−トコフェロール 0.5
(9)香料 0.1
*11:PARSOL SLX(DSM NUTRITIONAL PRODUCTS社製)
*12:KF−56(信越化学工業社製)
*13:25℃の粘度
*14:LUVAX2191(日本精蝋社製)
【0069】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(9)を、140℃にて均一に溶解する。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(5)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(6)〜(9)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティック状リップクリームを得た。
【0070】
得られたリップクリームは、外層部の透明性が高く、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0071】
実施例10:スティックコンシーラー
外層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド*1 7
(2)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド*2 4
(3)デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10 30
(4)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(5)オクチルドデカノール 30
(6)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 4
(7)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1
(8)ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 0.3
(9)フェノキシエタノール 0.2

内層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ポリエチレン*9 10
(2)(エチレン/プロピレン)コポリマー 10
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)ポリブテン*10 20
(5)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 4
(6)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1
(7)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)
クロスポリマー*15 1
(8)酸化鉄 0.9
(9)ベンガラ 0.5
(10)酸化チタン 5
(11)赤色226 0.1
(12)香料 0.1
*15:KSP−100(信越化学工業社製)
【0072】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(9)を、140℃にて均一に溶解する。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(6)を、100℃にて均一に溶解する。
B.Aに(7)〜(12)を加え、均一に混合した。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティックコンシーラーを得た。
【0073】
得られたスティックコンシーラーは、外層部の透明性が高く、内層部が肌色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0074】
実施例11:スティックアイカラー
外層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド*1 5
(2)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド*2 4
(3)ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 20
(4)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(5)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル*16 5
(6)デシルテトラデカノール 10
(7)ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル 5
(8)ミネラルオイル 30
(9)ジメチコン 0.1
(10)ポリエチレンテレフタレート
・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末*17 3

内層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ポリエチレン*9 10
(2)リンゴ酸ジイソステアリル 10
(3)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル*16 残量
(4)酸化鉄・酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)*18 10
(5)ポリメチルシルセスキオキサン*19 10
(6)赤色202 3
(7)酸化チタン 1
(8)酸化チタン・酸化鉄被覆マイカ*20 30
(9)ジメチルポリシロキサン(20CS) 4
*16:MYRITOL GTEH(BASF社製)
*17:オーロラフレークレッド0.01(魚八魚鱗箔社製)
*18:メタシャインMC1080TY(日本板硝子社製)
*19:トスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・ジャパン社製)
*20:COLORONA MICA BLACK(メルク社製)
【0075】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(9)を、140℃にて均一に溶解する。
B.Aに(10)を加え、均一に混合した。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(3)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(4)〜(9)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティックアイカラーを得た。
【0076】
得られたスティックアイカラーは、外層部の透明性が高く、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0077】
実施例12:スティック状グロス
外層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド*1 4
(2)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド*2 4
(3)デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10 20
(4)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(5)デシルテトラデカノール 10
(6)ミネラルオイル 30
(7)酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)*18 3
(8)酸化チタン被覆合成金雲母*21 2.3

内層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ポリエチレン*9 10
(2)リンゴ酸ジイソステアリル 10
(3)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル*16 残量
(4)酸化鉄・酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)*18 10
(5)ポリメチルシルセスキオキサン*19 10
(6)赤色202 3
(7)黄4 1
(8)酸化チタン 1
(9)酸化チタン・酸化鉄被覆マイカ*22 30
(10)ジメチルポリシロキサン(25℃、20CS) 4
*21:HELIOS R100S(トピー工業社製)
*22:TIMICA RADIANT GOLD222G(BASF社製)
【0078】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(6)を、140℃にて均一に溶解する。
B.Aに(7)〜(8)を加え、均一に混合した。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(3)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(4)〜(10)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティック状グロスを得た。
【0079】
得られたスティック状グロスは、外層部の透明性が高く、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。

図1
図2