【実施例】
【0046】
以下に実施例1〜7、比較例1〜4のスティック状口紅をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0047】
[油性固形組成物の製造]
表1に示した成分、含有量の処方の外層部の油性固形組成物と、表2に示した成分、含有量の処方の内層部の油性固形組成物を以下の方法で製造した。
【0048】
【表1】
【0049】
得られた外層部の油性固形組成物1は透明であり、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)社製DSC6200)を用い、測定温度10〜150℃、昇温速度5℃/minで測定した結果、溶解温度は140℃であった。
【0050】
【表2】
【0051】
得られた内層部の油性固形組成物1は赤色で不透明であり、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)社製DSC6200)を用い、測定温度10〜150℃、昇温速度5℃/minで測定した結果、溶解温度は100℃であった。
【0052】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(10)を、140℃にて均一に溶解する。
B.Aに(11)〜(12)を加え、均一に混合した。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(8)を、100℃にて均一に溶解する。
B.Aに(9)〜(10)を加え、均一に混合した。
【0053】
*1:アミノ酸系油ゲル化剤GP−1(味の素社製)
*2:アミノ酸系油ゲル化剤EB−21(味の素社製)
*3:IS−1009P(阪本薬品工業社製)
*4:リソノール24SP(高級アルコール工業社製)
*5:AEROSIL R976S(日本アエロジル社製)
*6:EPSワックス(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*7:CIREBELLE 109L(CIREBELLE社製)
*8:PLANDOOL−S(日本精化社製)
【0054】
[スティック状油性固形化粧料の製造]
表1と表2の組成物を組み合わせて、以下の方法で表3に示す実施例1〜7、比較例1〜4得た。直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティック状油性固形化粧料を得た。
【0055】
実施例1〜7、比較例1〜4のスティック状口紅について、下記評価方法により評価し、その評価結果を表3に示した。
【0056】
【表3】
【0057】
(評価方法)
イ.滑らかな使用感
専門パネル10名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。
【0058】
(評価項目)
実施例1〜7、比較例1〜4に関して、塗布時に外層部と内層部が均一で滑らかに伸び広がるかどうかを評価した。
【0059】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0060】
ロ.境界面の明瞭さ
(評価項目)
実施例1〜7、比較例1〜4に関して、外層部と内層部に明瞭な境界があるかどうかを下記判定基準により判定した。
【0061】
判定基準
(判定):(評価)
◎ :境界面が明瞭である
○ :境界面の半分以上が明瞭である
× :境界面が不明瞭である
【0062】
ハ.外層部の透明性
(評価項目)
実施例1〜7、比較例1〜4に関して、12.5×12.5×45mmガラスセルにサンプルを溶融充填したものを、1.5ポイント太さの黒線を書いた白い紙の上に置き、厚さ12.5mmの上から黒線が見えるかどうかを下記判定基準により判定した。
【0063】
判定基準
(判定):(評価)
◎ :黒線が明瞭に見え、透明である
○ :黒線が見え、やや透明である
△ :黒線が見えない部分があり、やや不透明である
× :黒線が完全に見えず、不透明である
【0064】
表3の結果より明かなように、実施例1〜7の口紅は、滑らかな使用感に優れ、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、外層部の透明性が高い、審美性に優れる口紅であった。一方、成分(A)、(B)を含有しない比較例1〜4は、透明な網目状のゲル構造を取らず、外観の透明性に劣り、外層部と内層部の溶解温度が近く、内層部を充填する際に外層部が一部溶け出してしまい、境界面が不明瞭となり、さらにはべたつきが大きいため、滑らかな使用感にも劣り、満足のいくものが得られなかった。
【0065】
実施例8:スティックチーク
外層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド*1 6
(2)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド*2 4
(3)リンゴ酸ジイソステアリル 30
(4)ミネラルオイル 20
(5)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(6)デシルテトラデカノール 20
(7)ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 10
(8)フェノキシエタノール 0.2
(9)赤色202 0.03
(10)黄色4 0.01
内層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ポリエチレン*9 10
(2)リンゴ酸ジイソステアリル 50
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)ポリブテン*10 20
(5)フェノキシエタノール 0.1
(6)赤色201 0.1
(7)酸化チタン 0.1
(8)ラズベリーエキス 0.1
(9)香料 0.2
*9:PERFORMALENE500(ニューフェーズテクノロジー社製)
*10:日石ポリブテン1900F(JX日鉱日石エネルギー社製)
【0066】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(7)を、140℃にて均一に溶解する。
B.Aに成分(8)〜(10)を加え、均一に混合する。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(4)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(5)〜(9)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティック状油性固形化粧料を得た。
【0067】
得られたスティックチークは、外層部が橙色に着色されているが内層部を透過して見ることができる程度に透明であり、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0068】
実施例9:リップクリーム
外層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド*1 5
(2)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド*2 4
(3)リンゴ酸ジイソステアリル 40
(4)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(5)デシルテトラデカノール 20
(6)オクチル酸ポリグリセリル−10 20
(7)ポリシリコーン−15*11 3
(8)メチルフェニルポリシロキサン*12 5
(9)ジメチルポリシロキサン(20CS)*13 0.1
(10)香料 0.1
内層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)マイクロクリスタリンワックス*14 15
(2)ワセリン 30
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)パラメトキシケイヒ酸エチルヘキシル 20
(5)ポリエチレン*9 5
(6)赤色202 0.2
(7)黄色4 0.1
(8)酢酸DL−α−トコフェロール 0.5
(9)香料 0.1
*11:PARSOL SLX(DSM NUTRITIONAL PRODUCTS社製)
*12:KF−56(信越化学工業社製)
*13:25℃の粘度
*14:LUVAX2191(日本精蝋社製)
【0069】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(9)を、140℃にて均一に溶解する。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(5)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(6)〜(9)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティック状リップクリームを得た。
【0070】
得られたリップクリームは、外層部の透明性が高く、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0071】
実施例10:スティックコンシーラー
外層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド*1 7
(2)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド*2 4
(3)デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10 30
(4)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(5)オクチルドデカノール 30
(6)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 4
(7)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1
(8)ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 0.3
(9)フェノキシエタノール 0.2
内層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ポリエチレン*9 10
(2)(エチレン/プロピレン)コポリマー 10
(3)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(4)ポリブテン*10 20
(5)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 4
(6)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1
(7)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)
クロスポリマー*15 1
(8)酸化鉄 0.9
(9)ベンガラ 0.5
(10)酸化チタン 5
(11)赤色226 0.1
(12)香料 0.1
*15:KSP−100(信越化学工業社製)
【0072】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(9)を、140℃にて均一に溶解する。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(6)を、100℃にて均一に溶解する。
B.Aに(7)〜(12)を加え、均一に混合した。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティックコンシーラーを得た。
【0073】
得られたスティックコンシーラーは、外層部の透明性が高く、内層部が肌色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0074】
実施例11:スティックアイカラー
外層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド*1 5
(2)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド*2 4
(3)ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 20
(4)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(5)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル*16 5
(6)デシルテトラデカノール 10
(7)ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル 5
(8)ミネラルオイル 30
(9)ジメチコン 0.1
(10)ポリエチレンテレフタレート
・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末*17 3
内層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ポリエチレン*9 10
(2)リンゴ酸ジイソステアリル 10
(3)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル*16 残量
(4)酸化鉄・酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)*18 10
(5)ポリメチルシルセスキオキサン*19 10
(6)赤色202 3
(7)酸化チタン 1
(8)酸化チタン・酸化鉄被覆マイカ*20 30
(9)ジメチルポリシロキサン(20CS) 4
*16:MYRITOL GTEH(BASF社製)
*17:オーロラフレークレッド0.01(魚八魚鱗箔社製)
*18:メタシャインMC1080TY(日本板硝子社製)
*19:トスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・ジャパン社製)
*20:COLORONA MICA BLACK(メルク社製)
【0075】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(9)を、140℃にて均一に溶解する。
B.Aに(10)を加え、均一に混合した。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(3)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(4)〜(9)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティックアイカラーを得た。
【0076】
得られたスティックアイカラーは、外層部の透明性が高く、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。
【0077】
実施例12:スティック状グロス
外層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ジブチルラウロイルグルタミド*1 4
(2)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド*2 4
(3)デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10 20
(4)トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
(5)デシルテトラデカノール 10
(6)ミネラルオイル 30
(7)酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)*18 3
(8)酸化チタン被覆合成金雲母*21 2.3
内層部の油性固形組成物
成 分 (%)
(1)ポリエチレン*9 10
(2)リンゴ酸ジイソステアリル 10
(3)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル*16 残量
(4)酸化鉄・酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)*18 10
(5)ポリメチルシルセスキオキサン*19 10
(6)赤色202 3
(7)黄4 1
(8)酸化チタン 1
(9)酸化チタン・酸化鉄被覆マイカ*22 30
(10)ジメチルポリシロキサン(25℃、20CS) 4
*21:HELIOS R100S(トピー工業社製)
*22:TIMICA RADIANT GOLD222G(BASF社製)
【0078】
(製造方法)
外層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(6)を、140℃にて均一に溶解する。
B.Aに(7)〜(8)を加え、均一に混合した。
内層部の油性固形組成物
A.成分(1)〜(3)を、90℃にて均一に溶解する。
B.Aに(4)〜(10)を加え、均一に混合する。
直径1.2cm×高さ4cmの空隙がある棒状の型に底面積0.6cm
2×高さ4cmの内層型を固定し、外層部の油性固形組成物を140℃℃以上の温度で溶解して空隙部分に型の高さまで充填する。外層部の油性固形組成物が固化した後、内層型を外し、100℃以上の温度で溶解した内層部の油性固形組成物を充填し、室温まで冷却して固化する。型から容器に装填して、透明な外層部と着色した内層部を有するスティック状グロスを得た。
【0079】
得られたスティック状グロスは、外層部の透明性が高く、内層部が赤色の不透明なものであった。また、内層部と外層部の境界面が明瞭であり、滑らかな使用感と審美性に優れたものであった。