(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程(I)において、添加する前記ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量が、前記ゴム粉との質量比で0.25〜20%である請求項1に記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法。
前記工程(I)において、添加する前記ゴムラテックス溶液中の固形分(ゴム)濃度が、0.2〜5質量%である請求項1または2に記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来から、廃タイヤなどのゴム製品廃材は再利用されており、例えばセメント工場などで燃料として再利用されているが、近年、環境問題を配慮し、廃タイヤなどを粉砕し、ゴム片またはゴム粉としてそのまま使用する、マテリアルリサイクルが推奨されている。しかしながら、廃タイヤなどを微粉砕化したゴム粉を新ゴムに混合した場合、ゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムの物性の悪化、例えば引裂き強度などの悪化が問題となっていた。
【0003】
ところで、従来からゴム業界においては、カーボンブラックなどの充填材を含有するゴム組成物を製造する際の加工性や充填材の分散性を向上させるために、ゴムウエットマスターバッチを用いることが知られている。これは、充填材と分散溶媒とを予め一定の割合で混合し、機械的な力で充填材を分散溶媒中に分散させた充填材含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合し、その後、酸などの凝固剤を加えて凝固させたものを回収して乾燥するものである。ゴムウエットマスターバッチを用いる場合、充填材とゴムとを固相で混合して得られるゴムドライマスターバッチを用いる場合に比べて、充填材の分散性に優れ、引裂き強度などのゴム物性に優れるゴム組成物が得られる。
【0004】
ゴム粉をゴムウエットマスターバッチに配合する技術は存在する。例えば下記特許文献1では、充填材と粉ゴムを予め水中に分散させたスラリー溶液と、ゴムラテックスとを混合する技術が報告されている。また、下記特許文献2では、天然ゴムラテックスと、カーボンブラックを予め水中に分散させたスラリー溶液とを混合する工程を少なくとも含む天然ゴムウエットマスターバッチの製造方法において、粉ゴム1〜40重量部を乾燥までの製造工程中に混合する技術が報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者の鋭意検討の結果、上述した特許文献に記載の製造方法で得られたゴムウエットマスターバッチでは、やはりゴム粉を配合する際のデメリットである、加硫ゴムのゴム物性の悪化、特には引裂き強度などの悪化を抑制することが困難であることが判明した。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴム粉が均一に分散したゴムウエットマスターバッチであって、引裂き強度に優れた加硫ゴムの原料となるゴムウエットマスターバッチの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明に係るゴムウエットマスターバッチの製造方法は、少なくともゴム粉、充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料とするゴムウエットマスターバッチの製造方法であって、前記ゴム粉を前記分散溶媒中に分散させる際に、前記ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着した前記ゴム粉を含有するゴム粉溶液を製造する工程(I)と、前記ゴム粉溶液に充填材を添加し、混合してゴム粉含有スラリー溶液を製造する工程(II)と、前記ゴム粉含有スラリー溶液と、残りの前記ゴムラテックス溶液とを混合した後、凝固・乾燥する工程(III)とを含むことを特徴とする。
【0009】
上記製造方法によれば、ゴム粉を分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着したゴム粉を含有するゴム粉溶液を製造する(工程(I))。これにより、ゴム粉の表面の一部あるいは全部に、極薄いラテックス相が生成し、工程(III)において残りのゴムラテックス溶液と混合する際、ゴム粉の再凝集を防止することができる。その結果、ゴム粉が均一に分散し、経時的にも分散安定性に優れたゴム粉を含有するゴムウエットマスターバッチを製造することができる。その結果、本発明ではゴム粉を配合することに起因した加硫ゴム物性の悪化を抑制し、引裂き強度に優れた加硫ゴムの原料となるゴムウエットマスターバッチを製造することができる。
【0010】
上記ゴムウエットマスターバッチの製造方法では、前記工程(I)において、添加する前記ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量が、前記ゴム粉との質量比で0.25〜20%であることが好ましく、前記工程(I)において、添加する前記ゴムラテックス溶液中の固形分(ゴム)濃度が、0.2〜5質量%であることが好ましい。これらの構成を備えることにより、ゴム粉の分散性が特に優れ、最終的に得られる加硫ゴムの引裂き強度が特に向上する。
【0011】
さらに本発明は、ゴムウエットマスターバッチを少なくとも含むゴム組成物の製造方法であって、前記ゴムウエットマスターバッチが、前記いずれかの製造方法により製造されることを特徴とするゴム組成物の製造方法に関する。かかる製造方法によれば、ゴム粉の分散性に優れたゴム組成物を製造することができるため、最終的に得られる加硫ゴムの引裂き強度を特に向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るゴムウエットマスターバッチの製造方法は、ゴム粉を分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着したゴム粉を含有するスラリー溶液を製造後(工程(I))、ゴム粉溶液に充填材を添加・混合し(工程(II))、次いでゴム粉含有スラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液とを混合した後、凝固・乾燥する(工程(III))。
【0013】
本発明において、ゴム粉は少なくとも一部が加硫されたものを好適に使用可能であり、特に環境問題を考慮した場合、使用済みタイヤを原料として得られた再生ゴムを粉末化したものが好ましい。得られる加硫ゴムの引張強度および引裂き強度とタイヤ部材の加工性とを考慮した場合、ゴム粉の粒径はASTM D5644−01に準拠したMeshで100Mesh以下が好ましく、200Mesh以下がより好ましい。
【0014】
本発明において、充填材とは、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなど、ゴム工業において通常使用される無機充填材を意味する。上記無機充填材の中でも、本発明においてはカーボンブラックを特に好適に使用することができる。
【0015】
カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックの他、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックは、通常のゴム工業において、そのハンドリング性を考慮して造粒された、造粒カーボンブラックであってもよく、未造粒カーボンブラックであってもよい。
【0016】
分散溶媒としては、特に水を使用することが好ましいが、例えば有機溶媒を含有する水であってもよい。
【0017】
ゴムラテックス溶液としては、天然ゴムラテックス溶液および合成ゴムラテックス溶液を使用することができる。
【0018】
天然ゴムラテックス溶液は、植物の代謝作用による天然の生産物であり、特に分散溶媒が水である、天然ゴム/水系のものが好ましい。本発明において使用する天然ゴムラテックス中の天然ゴムの数平均分子量は、200万以上であることが好ましく、250万以上であることがより好ましい。合成ゴムラテックス溶液としては、例えばスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムを乳化重合により製造したものがある。
【0019】
以下に、本発明に係るゴムウエットマスターバッチの製造方法について説明する。特に、本実施形態では、充填材としてカーボンブラック、ゴムラテックス溶液として、天然ゴムラテックス溶液を使用した例について説明する。また天然ゴムラテックスについては濃縮ラテックスやフィールドラテックスといわれる新鮮ラテックスなど区別なく使用できる。
【0020】
かかる製造方法は、ゴム粉を分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着したゴム粉を含有するゴム粉溶液を製造する工程(I)と、ゴム粉溶液に充填材を添加し、混合してゴム粉含有スラリー溶液を製造する工程(II)と、ゴム粉含有スラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液とを混合した後、凝固・乾燥する工程(III)とを含む。
【0021】
(1)工程(I)
工程(I)では、ゴム粉を分散溶媒中に分散させる際に、天然ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、天然ゴムラテックス粒子が付着したゴム粉を含有するゴム粉溶液を製造する。天然ゴムラテックス溶液は、あらかじめ分散溶媒と混合した後、ゴム粉を添加し、分散させても良い。また、分散溶媒中にゴム粉を添加し、次いで所定の添加速度で、天然ゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中でゴム粉を分散させても良く、あるいは分散溶媒中にゴム粉を添加し、次いで何回かに分けて一定量の天然ゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中でゴム粉を分散させても良い。天然ゴムラテックス溶液が存在する状態で、分散溶媒中にゴム粉を分散させることにより、天然ゴムラテックス粒子が付着したゴム粉を含有するゴム粉溶液を製造することができる。工程(I)における天然ゴムラテックス溶液の添加量としては、使用する天然ゴムラテックス溶液の全量(工程(I)および工程(II)で添加する全量)に対して、0.075〜12質量%が例示される。
【0022】
工程(I)では、添加する天然ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量が、ゴム粉との質量比で0.25〜15%であることが好ましく、0.5〜6%であることが好ましい。また、添加する天然ゴムラテックス溶液中の固形分(ゴム)濃度が、0.2〜5質量%であることが好ましく、0.25〜1.5質量%であることがより好ましい。これらの場合、天然ゴムラテックス粒子をゴム粉に確実に付着させつつ、ゴム粉の分散度合いを高めたゴムウエットマスターバッチを製造することができる。
【0023】
工程(I)において、天然ゴムラテックス溶液存在下でゴム粉および分散溶媒を混合する方法としては、高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を使用してカーボンブラックを分散させる方法が挙げられる。
【0024】
上記「高せん断ミキサー」とは、ローターとステーターとを備えるミキサーであって、高速回転が可能なローターと、固定されたステーターと、の間に精密なクリアランスを設けた状態でローターが回転することにより、高せん断作用が働くミキサーを意味する。このような高せん断作用を生み出すためには、ローターとステーターとのクリアランスを0.8mm以下とし、ローターの周速を5m/s以上とすることが好ましい。このような高せん断ミキサーは、市販品を使用することができ、例えばSILVERSON社製「ハイシアーミキサー」が挙げられる。
【0025】
本発明においては、天然ゴムラテックス溶液存在下でゴム粉および分散溶媒を混合し、天然ゴムラテックス粒子が付着したゴム粉を含有するゴム粉溶液を製造する際、ゴム粉の分散性向上のために界面活性剤を添加しても良い。界面活性剤としては、ゴム業界において公知の界面活性剤を使用することができ、例えば非イオン性界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤などが挙げられる。また、界面活性剤に代えて、あるいは界面活性剤に加えて、エタノールなどのアルコールを使用しても良い。ただし、界面活性剤を使用した場合、最終的な加硫ゴムのゴム物性が低下することが懸念されるため、界面活性剤の配合量は、天然ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量100質量部に対して、2質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、実質的に界面活性剤を使用しないことが好ましい。
【0026】
(2)工程(II)
工程(II)では、ゴム粉溶液に充填材を添加し、混合してゴム粉含有スラリー溶液を製造する。なお、カーボンブラックはゴム粉溶液にそのまま添加してもよく、あるいは予め分散溶媒中に分散させ、スラリー状態のものをゴム粉溶液に添加してもよい。さらには、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させる際に、天然ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を製造し、これをゴム粉溶液に添加してもよい。
【0027】
(3)工程(III)
工程(III)では、ゴム粉含有スラリー溶液と、残りの天然ゴムラテックス溶液とを混合する。ゴム粉含有スラリー溶液と、残りの天然ゴムラテックス溶液とを液相で混合する方法は特に限定されるものではなく、ゴム粉含有スラリー溶液および残りの天然ゴムラテックス溶液とを高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を使用して混合する方法が挙げられる。必要に応じて、混合の際に分散機などの混合系全体を加温してもよい。
【0028】
残りの天然ゴムラテックス溶液は、後工程での乾燥時間・労力を考慮した場合、工程(I)で添加した天然ゴムラテックス溶液よりも固形分(ゴム)濃度が高いことが好ましく、具体的には固形分(ゴム)濃度が10〜60質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。
【0029】
さらに工程(III)では、ゴム粉含有スラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液とを混合した後、凝固・乾燥する。凝固・乾燥方法としては、ゴム粉含有スラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液との混合溶液に凝固剤を添加し、凝固後に乾燥させる凝固乾燥方法であってもよく、凝固させることなく乾燥させる乾固方法であってもよい。
【0030】
凝固乾燥方法で使用する凝固剤としては、ゴムラテックス溶液の凝固用として通常使用されるギ酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を使用することができる。
【0031】
ゴム粉含有スラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液とを混合した後の混合溶液の乾燥方法としては、オーブン、真空乾燥機、エアードライヤーなどの各種乾燥装置を使用することができる。
【0032】
本発明においては、ゴム粉含有スラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液との混合溶液中に、凝集剤を含有させた後、得られた凝集体を回収し、乾燥させてもよい。凝集剤としては、ゴムラテックス溶液の凝集剤として公知のものを限定なく使用でき、具体的には例えば、カチオン性凝集剤が挙げられる。
【0033】
工程(III)後に得られるゴムウエットマスターバッチは、ゴム100質量部に対してゴム粉を1〜40質量部含有することが好ましい。この場合、ゴム粉が均一に分際し、引裂き強度に優れた加硫ゴムの原料となり得る。
【0034】
また、工程(III)後に得られるゴムウエットマスターバッチは、ゴム100質量部に対して充填材を70質量部以下含有することが好ましい。この場合、充填材の分散度合いと、加硫ゴムとしたときの発熱性および耐久性とを、バランス良く向上したゴムウエットマスターバッチを製造することができる。
【0035】
工程(III)後に得られるゴムウエットマスターバッチにおいて、必要に応じて硫黄系加硫剤、加硫促進剤、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫促進助剤、加硫遅延剤、有機過酸化物、老化防止剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などの通常ゴム工業で使用される配合剤を配合することにより、本発明に係るゴム組成物を製造することができる。
【0036】
硫黄系加硫剤としての硫黄は通常のゴム用硫黄であればよく、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを用いることができる。本発明に係るタイヤゴム用ゴム組成物における硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.3〜6.0質量部であることが好ましい。硫黄の含有量が0.3質量部未満であると、加硫ゴムの架橋密度が不足してゴム強度などが低下し、6.0質量部を超えると、特に耐熱性および耐久性の両方が悪化する。加硫ゴムのゴム強度を良好に確保し、耐熱性と耐久性をより向上するためには、硫黄の含有量がゴム成分100質量部に対して1.0〜4.5質量部であることがより好ましく、1.4〜2.8質量部であることがさらに好ましい。
【0037】
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して1.0〜5.0質量部であることがより好ましく、1.5〜4.0質量部であることがさらに好ましい。
【0038】
老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.3〜3.0質量部であることがより好ましく、0.5〜2.0質量部であることがさらに好ましい。
【0039】
本発明に係るゴム組成物は、ゴムウエットマスターバッチに加えて、必要に応じて、硫黄系加硫剤、加硫促進剤、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫促進助剤、加硫遅延剤、有機過酸化物、老化防止剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などを、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの通常のゴム工業において使用される混練機を用いて混練りすることにより得られる。
【0040】
また、上記各成分の配合方法は特に限定されず、硫黄系加硫剤、および加硫促進剤などの加硫系成分以外の配合成分を予め混練してマスターバッチとし、残りの成分を添加してさらに混練する方法、各成分を任意の順序で添加し混練する方法、全成分を同時に添加して混練する方法などのいずれでもよい。
【実施例】
【0041】
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説明する。使用原料および使用装置は以下のとおりである。
【0042】
(使用原料)
a)ゴム成分
NR;「RSS#3」(Tg=−60℃)
b)充填材(カーボンブラック(CB));東海カーボン社製「シーストKH」(N2SA 93m
2/g, DBP 119(cm
3/100g)
c)亜鉛華;三井金属鉱業社製「亜鉛華1号」
d)老化防止剤;大内新興化学工業社製「ノクラック6C」(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6PPD)
e)ステアリン酸;花王社製「ルナックS20」
f)ゴム粉
ゴム粉1(PD140);Lehigh社製「PolyDyne140」(ASTM D5644−01準拠、120Mesh(125μm);<1(% Retained)、140Mesh(105μm);<10(% Retained)、Minus 200Mesh(75μm);>30(% Retained))
ゴム粉2(PD200);Lehigh社製「PolyDyne200」(ASTM D5644−01準拠、170Mesh(88μm);<1(% Retained)、200Mesh(74μm);<10(% Retained))
g)硫黄;鶴見化学工業社製「粉末硫黄」
h)加硫促進剤;住友化学社製「ソクシールCZ」
【0043】
(評価)
評価は、各ゴム組成物を所定の金型を使用して、150℃で30分間加熱、加硫して得られたゴムについて行った。
【0044】
(加硫ゴムの引張特性)
JISK6251に準じて引張試験(ダンベル3号形、雰囲気温度23℃)を実施した。評価は、 比較例1を100とした指数で示した。値が大きいほど引張強さ、引張伸びが優れることを示す。
【0045】
(加硫ゴムの引裂き強度)
JISK6252に準拠して測定し、評価は比較例1を100とした指数で示した。値が大きいほど引裂き強度が優れることを示す。
【0046】
実施例1
0.5質量%に調整した希薄ラテックス水溶液(固形分(ゴム)量で1.3質量部)にゴム粉1を20質量部添加し、これにPRIMIX社製ロボミックスを使用してゴム粉を分散させることにより(該ロボミックスの条件:9000rpm、30分)、天然ゴムラテックス粒子が付着したゴム粉溶液を製造した(工程(I))。
【0047】
次に、工程(I)で製造された天然ゴムラテックス粒子が付着したゴム粉1を含有するゴム粉溶液に、カーボンブラックを50質量部添加し、混合してゴム粉含有スラリー溶液を製造した。さらに残りの天然ゴムラテックス溶液(固形分(ゴム)濃度25質量%となるように水を添加して調整されたもの)を、工程(I)で使用した天然ゴムラテックス溶液と合わせて、固形分(ゴム)量で100質量部となるように添加し、次いでSANYO社製家庭用ミキサーSM−L56型を使用して混合した(ミキサー条件11300rpm、30分)(工程(II))。
【0048】
次いで、凝固剤として蟻酸10質量%水溶液をpH4になるまで添加し、凝固物をスエヒロEPM社製スクリュープレスV−01型で水分率1.5%以下まで乾燥することにより、天然ゴムウエットマスターバッチ(WMB2)を製造した(工程(III))。
【0049】
得られた天然ゴムウエットマスターバッチ(WMB2)に表1に記載の各種添加剤を配合してゴム組成物とし、その加硫ゴムの物性を測定した。結果を表1に示す。
【0050】
実施例2
使用するゴム粉を表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にゴムウエットマスターバッチ(WMB3)、ゴム組成物および加硫ゴムを製造した。
【0051】
比較例1〜3
比較例1においては、天然ゴムおよび各種配合剤をドライ条件で混練することにより、ゴム組成物を製造した。比較例2,3においても、天然ゴム、ゴム粉および各種配合剤をドライ条件で混練することにより、ゴム組成物を製造した。
【0052】
比較例4
表1に記載のゴムウエットマスターバッチ(WMB1)に対し、ドライ条件でゴム粉を混練することにより、ゴム組成物を製造した。
【0053】
比較例5
工程(I)を、分散溶媒中でゴム粉とカーボンブラックとを混合する工程とし、工程(II)を省略し、工程(III)を天然ゴムラテックス溶液を添加・混合する工程としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、ゴムウエットマスターバッチ(WMB2)、ゴム組成物および加硫ゴムを製造した。
【0054】
比較例6
工程(I)を、分散溶媒中でカーボンブラックを分散する工程とし、工程(II)を省略し、工程(III)をゴム粉および天然ゴムラテックス溶液を添加・混合する工程としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、ゴムウエットマスターバッチ(WMB2)、ゴム組成物および加硫ゴムを製造した。
【0055】
【表1】