特許第6918498号(P6918498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918498
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】テープ貼付け方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20210729BHJP
【FI】
   B65H35/07 R
   B65H35/07 V
【請求項の数】4
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2017-3390(P2017-3390)
(22)【出願日】2017年1月12日
(65)【公開番号】特開2018-111574(P2018-111574A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】出川 修
【審査官】 松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−217319(JP,A)
【文献】 特開昭60−002570(JP,A)
【文献】 特開平02−028473(JP,A)
【文献】 特開昭53−055298(JP,A)
【文献】 特開平10−157893(JP,A)
【文献】 米国特許第04636276(US,A)
【文献】 特開2001−010761(JP,A)
【文献】 特開平09−100062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ供給部から繰り出し供給された粘着テープを貼付けローラに巻回案内させるテープ供給工程と、
前記貼付けローラに巻回案内されている前記粘着テープを、カッタを用いて前記貼付けローラの外周面上で切断するテープ切断工程と、
切断された前記粘着テープを前記貼付けローラでワークに押圧させて貼りつけるテープ貼付け工程と、
を備え
前記テープ切断工程において、前記カッタとの相対的な位置関係が維持されているローラ固定部材が前記貼付けローラの外周面に当接することにより、前記貼付けローラは回転を停止するとともに、前記カッタと前記粘着テープとは所定の位置関係に維持されるテープ貼付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ貼付け方法において、
前記粘着テープは、剥離紙と前記剥離紙に積層されたシート状の粘着材とを有する両面テープであり、
前記粘着テープから剥離される前記剥離紙をテープ回収部へ案内して回収するテープ回収工程を備え、
前記テープ切断工程において、少なくとも前記粘着材を切断するハーフカットにより前記粘着テープは前記貼付けローラの外周面上で切断され、
前記テープ貼付け工程において、前記粘着テープを前記貼付けローラでワークに押圧させて前記切断された前記粘着材は前記ワークに貼りつけられるテープ貼付け方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のテープ貼付け方法において、
前記テープ切断工程において前記粘着テープが切断される前記貼付けローラの外周面の位置と、
前記テープ貼付け工程において前記粘着テープを押圧させる前記貼付けローラの外周面の位置と、
前記テープ貼付け工程を終了させる際における前記貼付けローラの転動位置と、
に基づいて算出される切断実行位置へ前記貼付けローラが転動した際に前記テープ切断工程が実行されるテープ貼付け方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のテープ貼付け方法において、
前記テープ切断工程において、前記カッタは、前記粘着テープを切断する方向へスライド移動させることによって前記粘着テープを切断するテープ貼付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面テープなどの粘着テープを被貼付部材に精度良く貼付けるテープ貼付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両において、電源供給や信号送信に用いられるワイヤーハーネスをボディの天井部分の裏側に設置する場合がある。この場合、ウレタンやフェルトなどの柔軟な材料で構成されるルーフ材にワイヤーハーネスを固定することにより、ボディの天井部分とルーフ材との間にワイヤーハーネスが設置される。近年では車両のさらなる軽量化を目的として、クランプやクリップなどの固定具をルーフ材に設置してワイヤーハーネスを固定する従来の固定方法から、両面テープをルーフ材に貼付けてワイヤーハーネスを固定させる方法が試みられている。
【0003】
従来、ルーフ材など被貼付部材に対して両面テープを貼付ける治具としては、剥離紙付きの粘着両面テープを被貼付部材に押圧することによって当該両面テープを貼付ける、ハンドタイプの貼付治具が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
図20(a)は、従来のハンドタイプの貼付治具100について、構成の一例を示す正面図である。図20(b)は、一般的な両面テープ200の構成を示している。両面テープ200は図20(b)に示すように、非粘着性の剥離紙201と、粘着材203とが積層された構造を有している。
【0005】
貼付治具100は図20(a)に示すように、治具本体101と、テープ供給部103と、ガイドローラ105a〜105cと、貼付けローラ107と、テープ回収部109と、把手111と、ブレーキトリガ113とを備えている。テープ供給部103は治具本体101の一方の面に設けられており、回転軸部103aを備えている。ロール巻きされた両面テープ200は、回転軸部103aに装填される。ガイドローラ105aおよび105bは、テープ供給部103に装填されている両面テープ200を、貼付けローラ107へ巻回案内する。
【0006】
貼付けローラ107は治具本体101の外側に突出した位置に設けられており、案内された両面テープ200を剥離紙201の側からワーク(被貼付部材)に押圧させることにより、粘着材203をワークに貼付ける。粘着材203が貼付けられた後の剥離紙201は、ガイドローラ105cによってテープ回収部109へ案内される。テープ回収部109は回転軸部109aを備えている。回転軸部109aは、ガイドローラ105cによって案内された剥離紙201を巻き取って回収する。
【0007】
図20(c)は、貼付治具100の背面図である。治具本体101の他方の面にはギア115a〜115cが設けられている。ギア115aは回転軸部103aと同期的に回転する。ギア115bは回転軸部109aと同期的に回転する。ギア115cはギア115aおよびギア115bの各々と咬合するように構成される。すなわち、ギア115a〜115cの回転によって回転軸部103aおよび回転軸部109aが同期的に回転するので、テープ供給部103に装填される両面テープ200の繰り出しと、テープ回収部109における剥離紙201の回収とが同期的に行われる。
【0008】
貼付治具100を使用する場合、まずは両面テープ200を貼付治具100に装填させる必要がある。すなわち使用者は両面テープ200の減反ロールをテープ供給部103の回転軸部103aにはめ込むように装填させる。そして装填された両面テープ200の一部を減反ロールから引き出し、引き出した両面テープ200をガイドローラ105a、ガイドローラ105b、貼付けローラ107、ガイドローラ105c、回転軸部109aの順に手動で巻回案内させる。両面テープ200を各ローラに巻回案内させることによって両面テープ200の装填が完了する。
【0009】
両面テープ200を装填させた後、貼付けを開始する。すなわち使用者は把手111を握り、図22(a)に示すように、貼付けローラ107をワークWにおける貼付け開始位置Waに押し当てる。貼付けローラ107の押圧によって、両面テープ200の粘着材203が剥離紙201から剥離され、ワークWに貼付けられる。
【0010】
そして図22(b)に示すように、貼付けローラ107をワークWに押し当てた状態を維持しつつ、貼付けローラ107を貼付け開始位置Waから貼付け停止位置Wbまで転動させる。貼付けローラ107の転動によって、粘着材203が、貼付け開始位置Waから貼付け停止位置Wbまで貼付けられる。
【0011】
粘着材203の貼付けを停止する場合、使用者はブレーキトリガ113を引きながら、貼付けローラ107をワークWから離すようにスライドさせる。ブレーキトリガ113を引くことにより、ギア115a〜115cの回転は停止する。ギア115a〜115cの停止により、貼付けローラ107は転動する一方で両面テープ200の繰り出しが停止されるので、図22(c)に示すように、粘着材203は貼付け停止位置Wbにおいて破断される。このように、任意のタイミングでブレーキトリガ113を作動させることにより、剥離紙201を回収しつつ、粘着材203のみをワークWの所定の位置に貼付けることができる。
【特許文献1】特開2005−42522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来装置では次のような問題がある。
【0013】
すなわち、従来の貼付治具100は、両面テープ200の繰り出しを停止させた状態でいわば粘着材203を引きちぎるように破断させることによって両面テープ200の貼付けを終了させる。そのため、図23に示すように、貼付け停止位置Wbにおける粘着材203の破断面は、y方向(両面テープ200の幅方向)に不均一な形状となる。この状態で再度両面テープの貼付を行った場合、貼付け開始位置Waにおいても粘着材203の破断面が不均一となる。そのため、従来の装置では粘着材203を貼付ける範囲の精度を向上させることは困難である。
【0014】
車両の製造工程上、ワイヤーハーネスを両面テープで固定する工程も自動化されることが好ましい。そのため、特に柔軟性の高い素材からなるワークに対して両面テープを貼付ける工程を自動化する試みがなされている。しかしながら、手動の貼付け装置を自動化する場合、貼付け範囲の制御について、より高い精度が要求される。剥離紙203を引きちぎるように破断させるような従来の貼付装置では、貼付け範囲の精度を向上させて自動化を実現させることは困難である。
【0015】
両面テープの貼付け範囲の精度を高める方法としては、カッタなどを押し当てることによって、ワークに貼付けられた両面テープを切断する方法が考えられる。しかし、ワークに貼付けられた両面テープを切断する構成において、図21(a)および図21(b)に示すように、両面テープ200をカッタ刃Cが貫通してワークWを損傷させる問題が懸念される。
【0016】
ワークWの損傷を回避させるための構成として、繰り出される両面テープを幅方向に切断してから当該両面テープをワークに貼付ける方法が考えられる。しかしながらこのような構成では図21(c)および図21(d)に示すように、カッタを両面テープに接触させる際に、カッタを押し当てる方向Gなどに向かって両面テープの撓みや位置ズレが発生する事態が考えられる。この場合、カッタの刃が両面テープの粘着材を完全に切断できず、両面テープの切断エラーが発生する問題が懸念される。
【0017】
また、カッタで両面テープを切断する構成において、カッタの刃を両面テープに接触させる際に両面テープが繰り出し方向Lなどにずれる事態も考えられる。この場合、両面テープが実際に切断される位置は予め想定される切断位置からずれるので、両面テープの貼付け範囲の精度が低下する問題が懸念される。
【0018】
テープ貼付装置を自動化させる場合、テープの貼付け位置について高い精度が要求される。粘着材203の破断面が不均一となるような従来の構成や、両面テープの切断位置が想定される位置からずれるような構成では、要求される貼付け位置の精度を満たすことが困難である。
【0019】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、自動化が可能であり、両面テープなどの各種テープを貼付ける範囲の精度を向上できるテープ貼付け方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係るテープ貼付け方法は、テープ供給部から繰り出し供給された粘着テープを貼付けローラに巻回案内させるテープ供給工程と、前記貼付けローラに巻回案内されている前記粘着テープを、カッタを用いて前記貼付けローラの外周面上で切断するテープ切断工程と、切断された前記粘着テープを前記貼付けローラでワークに押圧させて貼りつけるテープ貼付け工程と、を備え、前記テープ切断工程において、前記カッタとの相対的な位置関係が維持されているローラ固定部材が前記貼付けローラの外周面に当接することにより、前記貼付けローラは回転を停止するとともに、前記カッタと前記粘着テープとは所定の位置関係に維持されることを特徴とする。
【0021】
(作用・効果)この構成によれば、テープ供給工程で貼付けローラに巻回案内されている粘着テープは、テープ切断工程においてカッタを用いて切断される。そのため、シート状の粘着材を引きちぎるように破断させる従来の構成と比べて、粘着テープが貼り付けられる範囲の境界線を均一な直線状とすることができる。従って、ワークに粘着テープが貼り付けられる範囲の精度を大きく向上できる。
【0022】
また、テープ切断工程において、粘着テープは貼付けローラの外周面上で切断される。すなわち粘着テープは貼付けローラに支持されている状態で切断されるので、カッタと粘着テープとが接触する際に、粘着テープの位置ズレが発生することを防止できる。その結果、粘着テープの切断位置が想定された位置からずれることによって、粘着テープの貼付け位置の精度が低下するという事態を好適に回避できる。
【0023】
さらに、テープ貼付け工程では、テープ切断工程において切断された粘着テープを貼付けローラでワークに押圧させて貼りつける。すなわちカッタで粘着テープの切断末端を形成させた後に当該切断末端をワークに押圧させて貼りつける。そのため、ワークに貼りつけられた粘着テープをカッタで切断する構成などにおいて発生する、カッタがワークを損傷させるという問題を確実に回避できる。
【0024】
また、上述した発明において、前記粘着テープは、剥離紙と前記剥離紙に積層されたシート状の粘着材とを有する両面テープであり、前記粘着テープから剥離される前記剥離紙をテープ回収部へ案内して回収するテープ回収工程を備え、前記テープ切断工程において、少なくとも前記粘着材を切断するハーフカットにより前記粘着テープは前記貼付けローラの外周面上で切断され、前記テープ貼付け工程において、前記粘着テープを前記貼付けローラでワークに押圧させて前記切断された前記粘着材は前記ワークに貼りつけられることが好ましい。
【0025】
(作用・効果)この構成によれば、両面テープである粘着テープを精度良く貼付けることができる。また、テープ供給部から繰り出される両面テープについて、粘着材はワークに貼付けられる一方、粘着テープから剥離される剥離紙はテープ回収工程で回収される。従って、精度良く両面テープを連続して貼付けるテープ貼付装置を実現できる。
【0026】
また、上述した発明において、前記粘着テープが切断される前記貼付けローラの外周面の位置と、前記テープ貼付け工程において前記粘着テープを押圧させる前記貼付けローラの外周面の位置と、前記テープ貼付け工程を終了させる際における前記貼付けローラの転動位置と、に基づいて算出される切断実行位置へ前記貼付けローラが転動した際に前記テープ切断工程が実行されることが好ましい。
【0027】
(作用・効果)この構成によれば、テープ貼付け工程を終了させる際における前記貼付けローラの転動位置と、貼付けローラの外周面における粘着テープを切断させる位置および粘着テープをワークに押圧させる位置とに基づいて、テープ切断工程を実行させる貼付けローラの転動位置が決定される。
【0028】
テープ貼付け工程を終了させる際における前記貼付けローラの転動位置と、貼付けローラの外周面における粘着テープを切断させる位置および粘着テープをワークに押圧させる位置とはいずれも粘着テープの貼付けを行う前に予め決定されているので、粘着テープの切断を実行するタイミングおよび貼付けローラの転動位置は容易かつ精密に決定できる。そのため、粘着テープの切断および貼付けを行うための各種制御プログラムを容易かつ正確に設定できるので、粘着テープの貼付け工程を自動化・無人化させるとともに、ワークに粘着テープが貼り付けられる範囲の精度を大きく向上させることができる。
【0029】
また、上述した発明において、前記テープ切断工程において、前記カッタとの相対的な位置関係が維持されているローラ固定部材が前記貼付けローラの外周面に当接することにより、前記貼付けローラは回転を停止するとともに、前記カッタと前記粘着テープとは所定の位置関係に維持されることが好ましい。
【0030】
(作用・効果)この構成によれば、カッタが粘着テープを切断する際にローラ固定部材は貼付けローラの外周面に当接して貼付けローラは回転を停止させる。そのため、粘着テープの切断時に貼付けローラが回転することによって粘着テープの切断位置がずれることを回避できるので、粘着テープの貼付け範囲の精度をより向上できる。そして、ローラ固定部材によってカッタと粘着テープとの距離は所定の距離に維持される。そのため、カッタと粘着テープとの距離が過度に離れたために粘着テープの切断不良が発生する問題や、カッタが粘着テープへ過度に接近する問題を好適に回避できる。
【0031】
また、上述した発明において、前記テープ切断工程において、前記カッタは、前記粘着テープを切断する方向へスライド移動させることによって前記粘着テープを切断することが好ましい。
【0032】
(作用・効果)この構成によれば、テープ切断工程において、前記カッタは、粘着テープを切断する方向へスライド移動させることによって粘着テープを切断する。当該スライド移動によって、単にカッタを粘着テープに接触させて粘着テープを切断させる構成と比べて、粘着テープの切断エラーを確実に回避できる。またカッタの刃先に付着した粘着テープの粘着材は、スライド移動によってカッタの移動方向と逆方向に流れる。そのため、粘着材の付着によるカッタの劣化をより低減できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のテープ貼付け方法によれば、両面テープなどの各種粘着テープを貼付ける工程の自動化を実現しつつ、ワークに対する粘着テープの貼付け範囲の精度を大幅に向上できるテープ貼付け方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施例に係るテープ貼付装置の基本構成を示す図である。
図2】実施例に係るカセット装着部の基本構成を示す図である。(a)はカセット装着部の正面図であり、(b)はカセット装着部の平面図である。
図3】実施例に係る貼付けカセットの基本構成を示す図である。(a)は貼付けカセットの正面図であり、(b)は貼付けカセットの背面図であり、(c)は貼付けカセットの右側面図である。
図4】実施例に係る貼付けカセットを収納する構成を示す図である。(a)はカセットホルダの右側面図であり、(b)は貼付けカセットをカセットホルダに収納する状態を示す右側面図であり、(c)はカセットホルダに収納された状態の貼付けカセットを示す右側面図である。
図5】実施例に係るテープ切断ユニットの基本構成を示す正面図である。(a)はテープ切断ユニットが待機位置にある状態を説明する正面図であり、(b)はテープ切断ユニットが切断位置に移動している状態を説明する正面図である。
図6】実施例に係るテープ切断ユニットの構成を説明する図である。(a)はテープ切断ユニットの構成の位置関係を示す斜視図であり、(b)は粘着材の切断前におけるカッタ刃の位置を説明する、図5(b)のB−B断面図であり、(c)は粘着材の切断後におけるカッタ刃の位置を説明する、図5(b)のB−B断面図である。
図7】実施例に係るテープ残量検知部の構成を説明する図である。(a)は両面テープの残量が多い状態を示す正面図であり、(b)は両面テープの残量が少ない状態を示す正面図である。
図8】実施例に係るテープ貼付装置の動作を説明するフローチャートである。
図9】ステップS1におけるテープ貼付装置の構成を説明する図である。
図10】ステップS1において、貼付けカセットをカセット装着部に装着させる工程を説明する図である。(a)はテープ固定部が装着用固定爪の下方となるようにカセット装着部を移動させた状態を示す図であり、(b)はカセット装着部を上方へ移動させて装着用固定爪をカセット固定部に係合させた状態を示す図であり、(c)はカセット装着部をさらに上方を移動させて貼付けカセットをカセットホルダから取り出す状態を示す図である。
図11】ステップS2において、貼付けロボットが貼付けカセットを装着した状態で、ワークに貼付けカセットを搬送する状態を示す図である。
図12】ステップS2におけるテープ貼付装置の動作を説明する図である。(a)はテープ貼付装置全体の動作を説明する図であり、(b)はワーク上における貼付けローラの動作を説明する正面図である。
図13】ステップS3におけるテープ貼付装置の動作を説明する図である。(a)はワーク上における貼付けローラの動作を説明する正面図であり、(b)はワーク上における貼付けローラの動作を説明する平面図である。
図14】ステップS4について、粘着材の切断前におけるテープ貼付装置の動作を説明する図である。(a)はワーク上における貼付けローラおよびテープ切断ユニットの動作を説明する平面図であり、(b)はワーク上における貼付けローラおよびテープ切断ユニットの動作を説明する正面図である。
図15】ステップS4におけるテープ貼付装置の構成を説明する図である。(a)は粘着材の切断時における、ワーク上における貼付けローラおよびテープ切断ユニットの動作を説明する平面図であり、(b)は粘着材の切断後における、ワーク上における貼付けローラおよびテープ切断ユニットの動作を説明する平面図である。
図16】ステップS4について、粘着材の切断後における両面テープの状態を説明する正面図である。
図17】ステップS5およびステップS6におけるテープ貼付装置の構成を説明する図である。(a)はステップS5において、ワーク上における貼付けローラの動作を説明する平面図であり、(b)はステップS6において、ワーク上における貼付けローラの動作を説明する正面図であり、(c)は実施例に係るテープ貼付装置を用いて貼付けられた粘着材の貼付け範囲を示す平面図である。
図18】ステップS7におけるテープ貼付装置の動作を説明する図である。
図19】ステップS7におけるテープ貼付装置の動作を説明する図である。
図20】従来例に係る両面テープの貼付治具の構成を説明する図である。(a)は貼付治具の正面図であり、(b)は両面テープの構成を示す断面図であり、(c)は貼付治具の背面図である。
図21】比較例に係る両面テープの貼付治具の問題点を説明する図である。(a)はワークに両面テープを貼りつけてから両面テープを切断する構成において、両面テープにカッタを突き刺す前の状態を示す図であり、(b)はワークに両面テープを貼りつけてから両面テープを切断する構成において、両面テープにカッタを突き刺した後の状態を示す図であり、(c)はワークに両面テープを切断してから両面テープを貼りつける構成において、両面テープにカッタを押し当てる前の状態を示す図であり、(d)はワークに両面テープを切断してから両面テープを貼りつける構成において、両面テープがカッタを押し当てる方向に変形する状態を示す図である。
図22】従来例に係る両面テープの貼付治具の動作を説明する図である。(a)は貼付けローラをワークに押圧する状態を示す図であり、(b)は貼付けローラをワーク上で転動させて粘着材をワークに貼付けていく状態を示す図であり、(c)は貼付けローラをスライド移動させて粘着材を破断させる状態を示す図である。
図23】従来例に係る貼付治具を用いて貼付けられた粘着材の貼付け範囲を示す平面図である。
図24】片面テープを貼付ける変形例において、テープが切断される範囲を説明する図である。(a)は変形例に係る片面テープの構成、および切れ込みが形成される範囲を説明する断面図であり、(b)は実施例に係る両面テープにおいて切れ込みが形成される範囲を説明する断面図であり、(c)は変形例に係る片面テープにおいて切れ込みが形成される範囲を説明する平面図であり、(d)は実施例に係る両面テープにおいて切れ込みが形成される範囲を説明する平面図である。
図25】片面テープを貼付ける変形例におけるテープ貼付装置の動作を説明する図である。(a)はステップS4における動作を説明する図であり、(b)はステップS5における動作を説明する図であり、(c)はステップS6における動作を説明する図である。
図26】変形例におけるテープ貼付装置の構成を説明する図である。(a)は実施例におけるガイドローラと両面テープとの位置関係を示す正面図であり、(b)は変形例におけるガイドローラと両面テープとの位置関係を示す正面図であり、(c)は鍔部をさらに備える変形例に係るガイドローラを示す正面図であり、(d)は鍔部をさらに備える変形例に係るガイドローラを示す側面図である。
図27】変形例におけるテープ貼付装置の構成を説明する図である。(a)は曲面等を有するワークの構成を示す図であり、(b)は弾性部材をさらに備えるロボットアームの構成を示す図であり、(c)は比較的高さの低いワーク上を転動する場合の構成を示す図であり、(d)は比較的高さの高いワーク上を転動する場合の構成を示す図である。
図28】変形例におけるテープ貼付装置の構成を説明する図である。(a)はテープ切断ユニットが待機位置に移動している状態おける装置の構成を示す図であり、(b)はテープ切断ユニットが切断位置に移動している状態における装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお、実施例に係るテープ貼付装置を用いて貼付けられる両面テープの構成は、図20(b)に示す従来の両面テープ200と同様であるものとする。
【0036】
<全体構成の説明>
図1は、実施例に係るテープ貼付装置1の基本構成を示す正面図である。テープ貼付装置1は図1に示すように、貼付けカセット31を収納するカセットホルダ3が装填されるカセット収納部5と、貼付けカセット31を装着および搬送する貼付けロボット6と、貼付けカセット31とによって構成されている。
【0037】
本実施例では3つのカセットホルダ3がカセット収納部5に設けられているものとする。3つのカセットホルダ3は符号3a〜3cを付して各々を区別し、カセットホルダ3a〜3cの各々に収納されている貼付けカセット31については符号31a〜31cを付して各々を区別するものとする。
【0038】
貼付けロボット6は、貼付けカセット31を装着および搬送するロボットアーム7と基部8とを備えている。ロボットアーム7は基部8に接続されており、基部8は図示しない第1駆動機構によって、鉛直軸周りに回動できるように構成されている。ロボットアーム7は関節部7a〜7cを備えており、図示しない第2駆動機構によって関節部7a〜7cは水平軸周りに回転駆動する。ロボットアーム7の先端部7dにはカセット装着部9が配備されている。
【0039】
図2(a)はカセット装着部9の構成を説明する正面図である。カセット装着部9は、本体ベース11と、カセット固定部13と、テープ切断ユニット15と、テープ残量検知部17とを備えている。本体ベース11はロボットアーム7の先端部7dに接続されている。
【0040】
本実施例において、先端部7dは関節部7aの駆動により、図1において符号RAで示す軌道に沿って水平軸周りに回転駆動可能であるとともに、符号RBで示す軌道に沿って鉛直軸周りに回転駆動可能となるように構成されているものとする。そのため、本体ベース11は基端部8および関節部7a〜7cの駆動により、自由に変位可能となるように構成されている。
【0041】
カセット固定部13は本体ベース11の略中央に設けられており、取り付け板19と、案内爪21とを備えている。取り付け板19は下方に向かって先細りとなるテーパ状となっており、本体ベース11の一方の面にネジなどを用いて取り付けられる。案内爪21は取り付け板19から前方へ突出するように構成されており、図2(b)に示すように、取り付け板19と案内爪21との間に間隙部23が形成されている。
【0042】
後述する貼付けカセット31の装着用固定爪45を間隙部23に挿入させ、カセット固定部13に係合させることにより、貼付けカセット31はカセット装着部9に装着される。装着された貼付けカセット31は、カセット固定部13によって、カセット装着部9における所定の位置に固定される。
【0043】
テープ残量検知部17は本体ベース11の側部に設けられており、後述するテープ供給部35に装填されている両面テープ200の残量を検知する。テープ残量検知部17の具体的な構成については後述する。
【0044】
また、テープ貼付装置1は図2などに示すように、制御部50を備えている。制御部50は一例として中央演算装置(CPU)を備えており、第1駆動機構、第2駆動機構、テープ切断ユニット15、テープ残量検知部17などの各構成を制御する。また収納センサが検知した信号は制御部50に送信され、制御部50は送信された信号に基づいて、カセットホルダ3a〜3cの各々に対する貼付けカセット31a〜31cの収納の有無に関する情報、およびロボットアーム7に装着されている貼付けカセット31に関する情報を取得する。
【0045】
制御部50には図示しない入力部が接続されており、操作者は入力部に貼付け開始位置や貼付け終了位置などの条件を入力できる。入力部の構成の一例としては、マウス入力式やキーボード入力式のコンソールなどが上げられる。制御部50は、入力された各種条件に従って各構成を自動制御することにより、貼付けカセットの装着・換装や貼付けローラの転動など、両面テープの貼付け工程に係る各種動作を自動で行うことができる。従って、制御部50による各種の自動制御によってテープ貼付装置1の自動化および無人化を実現している。
【0046】
<貼付けカセットの構成>
ここで、貼付けカセット31の構成について説明する。図3(a)は、貼付けカセット31の構成を説明する正面図である。貼付けカセット31は、カセット本体33と、テープ供給部35と、ガイドローラ37a〜37cと、貼付けローラ39と、テープ回収部41とを備えている。
【0047】
テープ供給部35はカセット本体33の一方の面に設けられており、回転軸部35aを備えている。ロール巻きされた両面テープ200は回転軸部35aに装填され、貼付けローラ39へと繰り出される。ガイドローラ37aおよび37bは、テープ供給部35に装填されている両面テープ200を、貼付けローラ39へ巻回案内する。また、ガイドローラ37aおよび37bによって両面テープ200のテンションが保たれている。
【0048】
貼付けローラ39は、貼付けカセット31の下部に設けられており、カセット本体33から下方へ突出するように構成される。貼付けローラ39は、ガイドローラによって案内された両面テープ200を、剥離紙201の側からワークWに押圧させることにより、粘着材203は剥離紙201から剥離されてワークWに貼付けられる。ガイドローラ37cは、粘着材203が剥離された剥離紙201(または粘着材203が残った両面テープ200)をテープ回収部41へ案内する。
【0049】
テープ回収部41は回転軸部41aを備えている。回転軸部41aは、ガイドローラ105cによって案内された剥離紙201(または両面テープ200)を巻き取って回収する。なお、回転軸部35aおよび回転軸部41aの各々の軸の回転を停止させる、図示しない回転停止機構が設けられることが好ましい。回転停止機構は制御部50の信号に従って、回転軸部35aおよび回転軸部41aを、回転軸の回転が不可能である回転停止状態に適宜制御できる。
【0050】
図3(b)および図3(c)に示すように、カセット本体33の他方の面(裏面)には装着用固定爪45と収納用固定爪46が設けられている。図3(b)は貼付けカセットの背面図であり、図3(c)は貼付けカセット31の右側面図である。なお説明の便宜上、図3(b)および図3(c)において、カセット本体33、装着用固定爪45および収納用固定爪46を除く構成は図示を省略している。
【0051】
装着用固定爪45および収納用固定爪46は、ネジなどによってカセット本体33に固定されている。また、装着用固定爪45は、カセット固定部13の取り付け板19の形状に対応した、下方に向けて先細りとなるテーパ状となっている。
【0052】
装着用固定爪45を、図2(b)に示す間隙部23へ差し込むことにより、貼付けカセット31はカセット装着部9に装着される。装着用固定爪45は取り付け板19と略同じ形状および大きさとなっているので、カセット固定部13の間隙部23に差し込まれた装着用固定爪45は位置がずれることを回避できる。従って、カセット固定部13を介してカセット装着部9に装着された貼付けカセット31は、カセット装着部9に対する相対的な位置が固定される。そのため、貼付けカセット31を新たに交換する際にテープ供給部35およびテープ回収部41の位置がずれることを回避できる。
【0053】
ここで、貼付けカセット31をカセットホルダ3に収納する構成を説明する。カセットホルダ3の各々は図4(a)に示すように、前面壁4aおよび収納センサ4bを備えている。
【0054】
前面壁4aは貼付けカセット31の収納用固定爪46と係合させて貼付けカセット31を固定させる。すなわち図4(b)および図4(c)に示すように、貼付けカセット31を下方に変位させ、収納用固定爪46を前面壁4aに係合させることにより、貼付けカセット31はカセットホルダ3に収納される。収納用固定爪46と前面壁4aとの係合により、カセットホルダ3に収納された貼付けカセット31は、その位置が固定される。
【0055】
貼付けカセット31がカセットホルダ3に収納されることによって、収納センサ4bは貼付けカセット31を検知する。一例として、収納センサは赤外線センサによって貼付けカセット31の存在を検知する。収納センサ4bは貼付けカセット31を検知することにより、カセットホルダ3に貼付けカセット31が収納されている旨の信号を制御部50へ送信する。
【0056】
貼付けカセット31の各々は、ロール巻きされた両面テープ200が回転軸部35aに予め装填されており、さらにガイドローラ37a〜37cによって、両面テープ200は回転軸部35aから貼付けローラ39の外周面を介して回転軸部41aへと巻回案内されるように予め構成されている。
【0057】
このように両面テープ200が予め装填・巻回案内されている貼付けカセット31を用いることにより、当該貼付けカセット31をカセットホルダ3に差し込むという単純な操作によって両面テープ200の貼付け操作を行う準備が完了する。すなわち、両面テープの貼付けを行う際に、両面テープの原反ロールを回転軸部に装填する操作や、両面テープの一部を引き出して貼付けローラおよびテープ回収部へ手動で巻回案内させる操作を行うなどの手間を省くことができる。
【0058】
また、ユニット化されている貼付けカセット31の各々は、製造時において既に両面テープ200の位置が画一的に所定の位置となるように構成されている。そのため、貼付けカセット31を用いて両面テープ200の貼付けを行うことにより、手動で装填および巻回案内の操作を行うことによる両面テープ200の位置ずれの発生を防止できる。
【0059】
また、貼付けカセット31には両面テープ200、貼付けローラ39、および回転軸部などの軽量かつ必要最小限の構成が設けられている。一方で、制御部50やテープ切断ユニット15や各種駆動機構など、重量の大きい装置はテープ貼付装置1において貼付けカセット31と別の構成として配設される。そのため貼付けカセット31をより軽量化できるので、アーム型のロボットによる貼付けカセット31の装着および取り扱いが可能となる。アーム型のロボットを用いて貼付けカセット31を取り扱うことにより、両面テープ200を貼りつける位置の精度を大きく向上できる。
【0060】
<テープ切断ユニットの構成>
次に図5および図6の各々を用いて、テープ切断ユニット15の構成を説明する。テープ切断ユニット15は、支軸47と、ユニット本体49と、ローラ固定部材51と、カッタユニット53とを備えている。支軸47はy方向の軸回りに回転可能となっており、
支軸47の回転によってテープ切断ユニット15は、貼付けローラ39から離反している待機位置(図5(a))と、貼付けローラ39に当接している切断位置(図5(b))とに変位する。また、支軸47の回転は制御部50によって制御される。
【0061】
ローラ固定部材51はユニット本体49の下部に設けられており、図5(b)に示す切断位置において、貼付けローラ39と当接する。ローラ固定部材51の内面の形状は、貼付けローラ39の外周面の形状と略同じとなるように構成されている。そのため、貼付けローラ39に当接するローラ固定部材51の面積をより広くできるので、テープ切断ユニット15が切断位置へ移動した場合、カッタユニット53と貼付けローラ39との距離を確実に所定の距離Hとすることができる。
【0062】
また、テープ切断ユニット15が切断位置へ移動した場合、ユニット本体49に接続固定されているローラ固定部材51を貼付けローラ39に押し当てるので、切断位置へ移動したテープ切断ユニット15の位置がずれることを回避できる。そのため、切断位置におけるテープ切断ユニット15の姿勢をより安定に維持することができる。さらに、ローラ固定部材51を貼付けローラ39に当接させることにより、貼付けローラ39の回転を停止させることができる。すなわち、粘着材203の切断時に貼付けローラ39が回転することによって粘着材203の切断位置がずれることを回避できるので、粘着材203の貼付け範囲の精度をより向上できる。
【0063】
図6(b)および図6(c)は、図5(b)におけるB−B断面図である。カッタユニット53は図6(a)に示すように、カッタホルダ53aとカッタ53bとを備えている。カッタ53bは一例としてレザー刃が用いられる。テープ切断ユニット15が切断位置に移動した場合、カッタ53bは両面テープ200の面に対して垂直となるように構成されている(図14(a)などを参照)。
【0064】
すなわち、両面テープ200が貼付けローラ39に繰り出される方向に対して、カッタ53bの面、およびカッタ53bの刃先53cの延びる方向は垂直であるので、両面テープ200はカッタ53bによって幅方向、すなわち繰り出し方向に垂直な方向(y方向)に切断される。なお、実施例ではカッタ53bの幅は両面テープ200の幅より広くなるように構成されており、刃先53cの延びる方向は両面テープ200の面と平行となっている。
【0065】
カッタホルダ53aは、制御部50が送信する信号に従い、ユニット本体49に沿ってy方向へスライド移動するように構成される。カッタホルダ53aのスライド移動に従って、カッタ53bおよびその刃先53cもy方向へ移動する。カッタ53bおよび刃先53cがy方向へスライド移動することにより、貼付けローラ39に案内されている両面テープ200はハーフカットされる。すなわち、カッタ53bによって、両面テープ200のうち少なくとも粘着材203の層の全体が切断される。
【0066】
テープ切断ユニット15が切断位置に移動した場合、カッタ53bの刃先53cは粘着層203の表面に対して垂直な方向から押し当てるように接触し、粘着層203を貫通する(図6(b))。そして粘着層203を貫通するカッタ53bをy方向にスライド移動させることによって粘着層203の切断エラーを確実に回避できる。
【0067】
また、実施例ではカッタ53bをy方向にスライド移動させることにより、カッタ53bの刃先53cに付着した粘着剤203はカッタ53bの移動方向と逆方向に流れていく。そのため、刃先53cにおいて粘着材203と接触する部分に粘着材203が残留して刃先53cが劣化することを回避できるので、刃先53cを洗浄・交換する頻度を低減できる。
【0068】
次に図7(a)および図7(b)を用いて、テープ残量検知部17の構成を説明する。テープ残量検知部17は、支軸55と、検知板57と、検知機構59とを備えている。支軸55はy方向の軸回りに回転可能に構成されており、検知板57と接続されている。検知板57は支軸55の回転に従ってz方向の軸回りに回転し、テープ供給部35に装填されているロール状の両面テープ200の外周面に当接する。支軸55の回転は制御部50によって制御される。
【0069】
検知機構59は一例としてポテンショメータやエンコーダで構成されており、両面テープ200の外周面に当接した検知板57と、水平方向(ここではx方向)との角度Fに基づいて、テープ供給部35に装填されている両面テープ200の残量を検知する。すなわち、両面テープ200の残量が多い場合(図7(a))と比べて、両面テープ200の残量が少ない場合は角度Fが小さくなる(図7(b))。
【0070】
そして角度Fが所定の値より小さくなることによって、貼付けカセット31を交換する必要があることを検知できる。この場合、検知機構59は制御部50へ信号を送信する。制御部50は検知機構59の信号に基づいて、貼付けロボット6を制御して貼付けカセット31の換装を行わせる。
【0071】
すなわち、制御部50が送信する信号に従って、ロボットは両面テープ200の残量が少なくなった貼付けカセット31をカセット固定部13から脱着させてカセットホルダ3に収納させる。そして、十分な量の両面テープ200が予め装填・巻回案内されている新たな貼付けカセット31をカセット固定部13に装着させる。貼付けカセット31の換装を行う工程の詳細については後述する。
【0072】
<動作の説明>
次に、実施例に係るテープ貼付装置1の動作について説明する。図8はテープ貼付装置の動作を説明するフローチャートである。なお、両面テープ200を貼付けるワークWは、保持テーブルRに水平姿勢で載置されているものとする。但し、ワークWおよび保持テーブルRはテープ貼付装置1の構成に応じて適宜傾斜させてもよい。
【0073】
ステップS1(貼付けカセットの装着)
まず、両面テープ200が装填されている、貼付けカセット31をロボットアーム7に装着させる。制御部50は第1駆動機構および第2駆動機構を適宜制御して、図9に示すように、ロボットアーム7の先端部7dに接続されているカセット装着部9をカセット供給部5へ移動させる。さらに制御部50は図10(a)に示すように、カセット装着部9に設けられているカセット固定部13を、カセットホルダ3に収納されている貼付けカセット31の裏面に近づける。
【0074】
そして当該貼付けカセット31について、カセット本体33の裏面に設けられている装着用固定爪45を、図2(b)に示すカセット固定部13の間隙部23へ差し込ませることにより、装着用固定爪45をカセット固定部13に係合させる。装着用固定爪45とカセット固定部13との係合によって、貼付けカセット31はカセット固定部13および本体ベース11を介してロボットアーム7に装着される(図10(b))。実施例では貼付けカセット31aを選択してロボットアーム7に装着させるものとする。
【0075】
そして図10(c)に示すように、ロボットアーム7は貼付けカセット31を装着した状態で上方へ貼付けカセット31を引き上げる。貼付けカセット31の引き上げによって収納用固定爪46と前面壁4aとの係合が解除され、貼付けカセット31はカセットホルダ3から取り出される。なお、貼付けカセット31がロボットアーム7に装着された時点において、テープ切断ユニット15は待機位置に移動している(図5(a))。また回転軸部35aおよび回転軸部41aは、いずれも回転停止機構によって回転停止状態となっている。
【0076】
ステップS2(貼付け開始位置へ移動)
貼付けカセット31がロボットアーム7に装着された後、貼付け開始位置への移動を行う。すなわち、操作者はワークWに対して両面テープ200の貼付けを行う範囲の位置(貼付け開始位置Waおよび貼付け終了位置Wb)の情報を入力部へ入力する。また、操作者は予め、両面テープの切断を行う位置(テープ切断位置Wc)の情報も入力部に入力する。制御部50は、入力部に入力された情報に基づいて、第1駆動機構および第2駆動機構の駆動を制御する。
【0077】
基部8が第1駆動機構の駆動に従って鉛直軸周りに回動することにより、ロボットアーム7に装着された貼付けカセット31は、貼付けロボット6によってカセット供給部5からワークWの上方へと搬送される。さらに関節部7a〜7cを適宜駆動させることにより、ロボットアーム7の先端部は適宜水平方向及び鉛直方向へ移動する。その結果、貼付けカセット31に設けられている貼付けローラ39は、貼付け開始位置Waの上方へと移動する。すなわち、貼付けローラ39は図12(a)において点線で示す位置から実線で示す位置へ移動する。
【0078】
そして図12(b)に示されるように、貼付けローラ39に巻回されている両面テープ200がワークWの貼付け開始位置Waに押しつけられ、粘着材203が貼付け開始位置Waに接触する。粘着材203を貼付け開始位置Waに接触させることにより、ステップS2の工程は完了する。
【0079】
ステップS3(両面テープの貼付け)
粘着材203を貼付け開始位置Waに接触させた後、両面テープ200の貼付けを行う。まず、制御部50は回転停止機構をオフの状態に制御することにより、回転軸部35aおよび回転軸部41aの回転停止状態を解除させる。回転停止状態が解除されることにより、回転軸部35aおよび回転軸部41aはいずれも回転可能となる。その結果、テープ供給部35による両面テープ200の繰り出しが可能となる。
【0080】
両面テープ200の繰り出しが可能となった後、制御部50は第1駆動機構および第2駆動機構を制御して本体ベース11をx方向に移動させる。本体ベース5の移動により、貼付けローラ39に巻回されている両面テープ200をワークWに押しつけた状態を維持しつつ、貼付けローラ39は貼付け開始位置Waから貼付け終了位置Wbへ向かって転動する(図13(a))。
【0081】
貼付けローラ39がワークWの上を符号Sで示す方向に転動することにより、図13(a)および図13(b)に示すように、両面テープ200はテープ供給部35から符号Pで示す方向へ繰り出される。両面テープ200の繰り出しと貼付けローラ39の転動に従って、粘着材203は剥離紙201から剥離されてワークWに圧着貼付けされる。
【0082】
粘着材203が剥離した後の剥離紙201は、ガイドローラ37cに案内されてテープ回収部41の回転軸部41aに巻き取られて回収される。このように、粘着材203をワークWに貼付けつつ、貼付けローラ39を貼付け開始位置Waからテープ切断位置Wcまで転動させる。
【0083】
ステップS4(両面テープの切断)
貼付けローラ39がテープ切断位置Wcへ転動することにより、両面テープ200の切断が開始される。両面テープ200の切断の開始により、制御部50はテープ切断ユニット15の支軸47をy方向の軸回りに回転させる。支軸47の回転によって、テープ切断ユニット15は、貼付けローラ39から離反している待機位置(図5(a))から、貼付けローラ39に当接している切断位置(図5(b))へ変位する。
【0084】
テープ切断ユニット15が切断位置へ変位することにより、ローラ固定部材51が貼付けローラ39の外周に当接する(図5(b)および図6(b))。ローラ固定部材51が当接することにより、カッタホルダ53aと貼付けローラ39との距離は、確実に所定の距離Hとなる。また、ローラ固定部材51が押圧することにより、貼付けローラ39の回転が停止する。
【0085】
テープ切断位置Wcと貼付け終了位置Wbとの距離Nは、貼付けローラ39の面上における両面テープ200の切断位置と、両面テープ200の切断によって形成されるテープ末端部分がワークに貼りつけられるまでに貼付けローラ39が転動する距離に基づいて算出される。実施例では制御部50によって距離Nの算出が行われる。距離Nの算出は制御部50とは別の算出手段で行ってもよい。
【0086】
実施例において、カッタ53bは貼付けローラ39の右側面において両面テープ200を切断するように構成されている。すなわち、当該切断によって切れ込みJがローラ39の右側面に形成される(図14(a))。そして切れ込みJが貼付けローラ39の下側に移動する際に、切れ込みJに相当する両面テープ200の末端部分がワークWに貼りつけられる。すなわち、切れ込みJが形成された後、切れ込みJの部分がワークWに貼りつけられるまでに貼付けローラ39は外周の長さの1/4に相当する距離を転動することが予め算出できる。
【0087】
従って、テープ切断位置Wcと貼付け終了位置Wbとの距離Nが、貼付けローラ39の外周の長さの1/4となるように、テープ切断位置Wcが予め設定される。なお、図14(a)は図5(b)と同様、切断位置におけるテープ切断ユニット15の構成を示しているが、説明の便宜上、図14(a)ではローラ固定部材51を省略して図示している。
【0088】
このように、貼付けローラ39の面上において両面テープ200を切断する位置と、貼付けローラ39の面上において両面テープの切断末端がワークに押圧される位置とに基づいて、テープ切断位置Wcと貼付け終了位置Wbとの位置関係を算出できる。このようにテープ切断位置Wcを算出することにより、貼付け終了位置において両面テープの切断末端が精度よくワークに貼付けられるように、適切なタイミングで両面テープを切断できる。
【0089】
また、カッタ53bは、貼付けローラ39の外周面に接している両面テープ200に接触して両面テープ200を切断する。カッタ53bとの接触位置において両面テープ200は貼付けローラ39に支持されているので、カッタ53bと両面テープ200とが接触する際に、両面テープ200の位置ズレが発生することを防止できる。その結果、両面テープ200の切断位置が想定された位置からずれることによって、両面テープ200の貼付け位置の精度が低下するという事態を好適に回避できる。
【0090】
図14(b)は図14(a)の平面図である。カッタユニット53と貼付けローラ39との距離が所定の値Hとなるように、ローラ固定部材51が貼付けローラ39の外周面に当接している。そのため、所定の距離Hに応じて、切断位置におけるカッタ53bと両面テープ200との距離が定められる。実施例では、カッタ53bと両面テープ200との距離は、カッタ53bが両面テープ200をハーフカットできる位置関係となるように構成されている。すなわち、カッタ53bは両面テープ200のうち、粘着材203を完全に切断する一方で、剥離紙201は完全に切断しないように構成されている。
【0091】
テープ切断ユニット15が待機位置から、図5(b)および図14(b)に示す切断位置へ移動することによって、カッタ部53bは貼付けローラ39に巻回されている両面テープ200に押し当てられ、刃先53cが貼付けローラ39の面上において粘着材203を切断する。
【0092】
テープ切断ユニット15が待機位置から、図5(b)および図14(b)に示す切断位置へ移動した後、カッタ53bを両面テープ200の幅方向へスライド移動させる。すなわち制御部50は図示しない第3駆動機構の駆動を制御することにより、カッタホルダ53aを両面テープ200の幅方向(y方向)へ奥側に移動させる。
【0093】
カッタホルダ53aに固定されているカッタ53bは、カッタホルダ53aの移動に従って、両面テープ200の切断方向であるy方向へスライド移動する。第3駆動機構は、本発明におけるカッタ移動手段に相当する。カッタ53bをテープ貼付装置1の奥側へスライド移動させることにより、刃先53cはさらに確実に粘着材203を切断する(図15(a))。
【0094】
そして、図14(b)に示す切断開始位置から、図15(b)に示す切断終了位置までカッタホルダ53aをy方向へ奥側にスライド移動させることにより、粘着材203はy方向に沿って完全に切断される。粘着材203が切断されることにより、貼付けローラ39の右側面において、両面テープ200に切れ込みJが形成される(図16)。両面テープ200の面に対して垂直なカッタ53bをy方向へスライド移動させて粘着材203を切断するので、切れ込みJはy方向に延びるように形成される。
【0095】
切れ込みJが形成された後、制御部50はカッタホルダ53aをy方向へ手前に移動させるとともに支軸47をy方向の軸回りに回転させ、テープ切断ユニット15を待機位置へ移動させる。切れ込みJが形成されることにより、ステップS4の工程は完了する。
【0096】
ステップS5(貼付け終了位置へ移動)
両面テープの切断が完了した後、制御部50はさらに第1駆動機構の駆動を制御して、貼付けローラ39をテープ切断位置Wcから貼付け終了位置Wbまで転動させる(図17(a))。このとき、切れ込みJは貼付けローラ39の外周面に沿って案内され、貼付けローラ39の右側から下側へと移動する。すなわち、貼付けローラ39が貼付け終了位置Wbへ転動することによって、切れ込みJがワークWに接触する。
【0097】
ステップS6(貼付けローラをワークから離反)
貼付けローラ39を貼付け終了位置へ転動させた後、貼付けローラをワークから離反させる。すなわち、制御部50は回転停止機構をオフの状態からオンの状態に制御する。その結果、回転軸部35bおよび回転軸部41aは回転停止状態となるので、両面テープ200の供給および回収、並びに貼付けローラ39の転動が停止される。
【0098】
回転軸部35bおよび回転軸部41aを回転停止状態に制御した後、制御部50は第2駆動機構を制御して、ロボットアーム7の先端部を上方に移動させる。ロボットアーム7の移動に従って、貼付けローラ39はワークWから離反して上方へ移動する(図17(b))。粘着材203は切れ込みJによって完全に切断されているので、粘着材203のうち、切れ込みJから繰り出し方向Pにおいて前方の部分(粘着材203A)は、剥離紙201から剥離されてワークWに貼付けられる。
【0099】
一方、切れ込みJから繰り出し方向Pにおいて後方の部分(粘着材203B)は、ワークWに貼付けられることなく、貼付けローラ39とともにワークWから離反する。その結果、両面テープ200の粘着材203は、予め定められた貼付け開始位置Waから貼付け終了位置Wbまで均等に貼付けられる(図17(c))。
【0100】
ステップS1からステップS6までの工程により、ワークWの所定の範囲すなわち貼付け開始位置Waから貼付け終了位置Wbまでの範囲に対して、両面テープ200が精度よく貼りつけられる。貼付けカセット31aに装填されている両面テープ200を別の貼付け位置に貼りつける場合、再度ステップS2に戻ってステップS2からステップS6までの工程を適宜繰り返す。
【0101】
このように、ステップS1からステップS6までの工程を実行することにより、ワークWにおける所定の範囲に対して、両面テープ200を貼り付けることができる。ステップS6の終了時において、切れ込みJの位置は貼付けローラ39の下側へ移動している。すなわち、粘着材203の末端203Jの位置は、ステップS1の開始時と同様に、貼付けローラ39の下側となっている。
【0102】
そのため、ステップS6の終了時においてワークWから離反させた状態の貼付けローラ39を、再度ワークWの上における適切な位置へ接触させることにより、当該接触させた位置を貼付け開始位置Waとして、粘着材203の貼り付けが開始される。従って、ステップS6の工程終了後、両面テープ200を繰り出しや貼付けローラ39の回転を行う必要がない。すなわち、ワークWから離反させた状態の貼付けローラ39を、そのままワークWに再度接触させることによって、当該接触させた位置を末端として粘着材203の貼付けを再び開始できる。その結果、ワークWに対して連続で両面テープを貼付ける貼付装置を、より単純な制御機構で実現できる。
【0103】
ステップS7(貼付けカセットの換装)
なお、ワークWに貼りつける両面テープ200を別の構成を有する両面テープ200に変更する場合、貼付けカセット31の換装を行う。換装が必要となる場合の一例として、テープ幅やテープの材質が異なる両面テープ200を新たにワークWに貼りつける場合や、テープ供給部35に装填されている両面テープ200の残量が一定以下となっている場合が挙げられる。なお本実施例において、ロボットアーム7に装着している貼付けカセット31aにおいて両面テープ200の装填量が低下し、貼付けカセット31aを貼付けカセット31bへ換装する場合を例に挙げて説明する。
【0104】
両面テープ200の貼付け動作を繰り返した結果、テープ供給部35の回転軸部35aに装填される両面テープ200が所定量以下となった場合、検知機構59は水平軸と検知板57との角度Fが所定値以下となる。検知機構59は、所定値以下となった角度Fを検知することにより、装填されている両面テープ200の量が不足している旨の信号を制御部50へ送信する。この場合、制御部50は検知機構59の信号に基づいて貼付けカセット31の換装を開始させる。
【0105】
ステップS7において、制御部50は第1駆動機構および第2駆動機構を制御することにより、ロボットアーム7に装着されている貼付けカセット31(貼付けカセット31a)をカセット供給部5に設けられているカセットホルダ3aの上方へ移動させる(図18)。そしてカセット装着部9を下方に移動させることによって、貼付けカセット31aをカセットホルダ3aに収納させる。
【0106】
さらにロボットアーム7を下方に移動させることにより、貼付けカセット31aの裏面に設けられている装着用固定爪45は、カセット固定部13の間隙部23から抜き出される。装着用固定爪45が間隙部23から抜き出されることにより、貼付けカセット31aはロボットアーム7から脱着される。
【0107】
貼付けカセット31aを脱着させた後、制御部50はロボットアーム7のカセット装着部9を、カセットホルダ3bに収納されている貼付けカセット31bの裏面へ近づける(図19)。そしてカセット固定部13を貼付けカセット31bに設けられている装着用固定爪45の下方へ移動させる。この状態でカセット装着部9を上方へ移動させることにより、装着用固定爪45はカセット固定部13の間隙部23に収納される(図10(a)〜(c)を参照)。
【0108】
装着用固定爪45を間隙部23に収納させることにより、貼付けカセット31bはロボットアーム7に装着される。ロボットアーム7に装着される貼付けカセットを貼付けカセット31aから貼付けカセット31bに変更させることにより、ステップS7の工程に係る貼付けカセットの換装が完了する。ステップS7の工程が完了した後はステップS2に戻り、貼付けカセット31bを用いて両面テープ200の貼付け動作を適宜行う。
【0109】
このように、実施例に係るテープ貼付装置では、貼付けカセット31ごと換装することにより、両面テープ200を容易かつ速やかに交換できる。交換された貼付けカセット31bには、十分な量の両面テープ200がテープ供給部35に予め装填されている。このように、両面テープ200の残量を検知して貼付けカセット31を自動的かつ速やかに換装させる構成により、両面テープ200の装填量不足による歩留まりの低下を好適に回避できる。
【0110】
また、テープ幅の異なる両面テープ200をワークWに貼りつける必要が新たに生じた場合であっても、再度貼付けカセットを換装することによって当該要求を速やかに満たすことができる。一例として、テープ幅の異なる両面テープ200が予め装填・巻回案内されている貼付けカセット31cをカセットホルダ3cに収納させておく。そしてテープ幅の異なる両面テープ200をワークWに貼りつける場合において、ロボットアーム7に装着させている貼付けカセット31を貼付けカセット31cに換装させる。
【0111】
このように、実施例ではより多様な条件に対応可能とする、自動化されたテープ貼付装置を実現できる。なお、テープ幅の異なる両面テープ200を連続して使用する場合に限ることはなく、構成材料の異なる両面テープ200を装填・巻回案内させた貼付けカセット31を用いることにより、粘着力など特性の異なる両面テープ200を連続して同じワークWに貼付けることが可能となる。
【0112】
<実施例の構成による効果>
従来の貼付治具100ではカッタ刃を用いることなく、貼付け終了位置へ貼付けローラを転動させた後、粘着材203を引きちぎるように破断させる。そのため、貼付け終了位置Wbにおける、粘着材203が貼付けられる領域の境界線は、不均一な線(蛇行した線)となる(図23)。その結果、両面テープ200の貼付け範囲の位置の精度を向上させることが困難であった。また、粘着材203を引きちぎるように破断させて両面テープ200の貼付を終了させた後、別のワークWに対して再度両面テープ200の貼付けを行う場合、
【0113】
また、両面テープ200の粘着材203として、ポリエチレンフタレート(PET)を例とする比較的硬い材料を用いた場合、貼付治具100をワークWから離反させるように引っ張ることによって粘着材203を破断させることは困難である。そのため、従来の貼付治具100では、両面テープ200の粘着材203として使用可能な材料が非常に限られるという問題も懸念される。
【0114】
一方、実施例に係るテープ貼付装置1はテープ切断ユニット15を備えており、カッタ53bを用いて両面テープ200の粘着材203を切断する。そのため、粘着材203は両面テープ200の幅方向(両面テープ200の繰り出し方向に垂直な方向)に沿って均一な直線状に貼付けられる(図17(b))。
【0115】
つまり、貼付け開始位置Waおよび貼付け終了位置Wbにおける、粘着材203が貼付けられる領域の境界線は、両面テープ200の幅方向(y方向)に平行な直線となる。従って、予め想定された範囲に対して両面テープ200を正確に貼付けることができるので、テープ貼付装置1による両面テープ200の貼付け範囲の位置の精度をより向上できる。また、粘着材203としてPETなどの硬い材料を用いた場合であっても鋭利なカッタ53bによって粘着材203を好適に切断できる。そのため、より多様な材料を両面テープ200の粘着材203として用いることができる。
【0116】
さらに、実施例に係るテープ貼付装置1は、ローラ固定部材51を備えている。テープ切断ユニット15が切断位置へ変位すると、ローラ固定部材51は貼付けローラ39の外周に当接してカッタホルダ53aと貼付けローラ39との間の距離を一定の値Hにするように構成される(図5(b)および図6(b))。ローラ固定部材51が貼付けローラ39の外周面に当接することにより、カッタ53bと貼付けローラ39との間の距離は確実に所定の距離となる。
【0117】
従って、貼付けローラ39に巻回案内されている両面テープ200に対して、切断位置にあるカッタ53bが過度に接近、または離れることがない。その結果、カッタ53bが両面テープ200の剥離紙201の層まで完全に切断することや、カッタ53bが粘着材203の層を不完全に切断して貼付け不良を起こすことを回避できる。このように、カッタ53bは剥離紙201および粘着材203からなる両面テープ200を確実にハーフカットできるので、粘着材203の層を完全に切断してワークWへ確実に貼付けられる。また、剥離紙201の層が切断されてテープ回収部41における回収不良が発生することを確実に回避できる。
【0118】
そして、支軸47を必要以上に回転駆動させた場合であってもローラ固定部材51が貼付けローラ39の外周に当接するので、カッタ53bが貼付けローラ39へ過度に接近することを回避できる。従って、制御部50による支軸47の回転角度の制御精度を無用に高める必要がないので、テープ切断ユニット15の位置制御機構を、より単純な構造とすることができる。
【0119】
なお、実施例では貼付けローラ39に巻回案内されている両面テープ200をハーフカットすることによって、貼付けローラ39に巻回されている両面テープ200に切れ込みJを形成させる。そして切れ込みJが形成された両面テープ200を貼付けローラ39に沿って繰り出させることによって、切れ込みJが形成された粘着材203をワークWに貼付ける。
【0120】
すなわち実施例の構成では、両面テープ200の粘着材203をワークWに貼付けてから切断する構成ではないので、カッタ刃53がワークWを損傷させる問題を確実に回避できる。また、カッタ53bが粘着材203を切断する際に粘着材203の一方の面は剥離紙201によって確実に保護されているので、切断の際に粘着材203へ埃等が付着することによって粘着材203の粘着力が低下することを確実に回避できる。また、一定の堅さを備える貼付けローラ39に支持されている状態の両面テープ200にカッタ53bを当てて切断するので、切断位置が予定の位置からずれることに起因する、両面テープ200の貼付け範囲の精度低下を回避できる。
【0121】
実施例に係るテープ貼付装置1は、両面テープ200が予め装填されている貼付けカセット31をロボットアーム7に装着させる構造となっている。そのため、両面テープ200の残量が少なくなった場合、残量が少なくなった貼付けカセット31を脱着させ、十分な量の両面テープ200が装填されている別の貼付けカセット31をロボットアーム7に装着させることによって、両面テープ200の貼付け工程を続行できる。
【0122】
貼付けカセット31は両面テープ200を装填するテープ供給部35と、両面テープ200をワークWに貼りつける貼付けローラ39と、テープ回収部41とを備えている。すなわちカセット化された貼付けカセット31は、両面テープ200を巻回案内させる必要最低限の構成を備えている。貼付けカセット31が備えるこれらの構成はいずれも軽量化が容易であり、また軽量化が困難な各種駆動装置や各種制御装置は貼付けカセット31とは別の構成としてテープ貼付装置に配設される。
【0123】
従って、貼付けカセット31をより軽量化・単純化できるので、アーム型のロボットなどを用いた貼付けカセット31の精密な取り扱いが可能となる。そのため、テープ貼付装置1の自動化および無人化をより容易に実現できるとともに、自動化した場合であっても両面テープ200の貼付け位置の精度を向上できる。
【0124】
実施例に係るテープ貼付装置では、両面テープ200を装填するテープ供給部35と、貼付けローラ39とテープ回収部41とをユニット化させた、貼付けカセット31を実現している。そのため、貼付けカセット31ごと換装することにより、両面テープ200を容易かつ速やかに交換できる。
【0125】
両面テープ200の貼付け動作を繰り返した結果、テープ供給部35に装填される両面テープ200が所定量以下となった場合、制御部50は検知機構59の信号に基づいてロボットアーム7の駆動を制御し、両面テープ200の装填量が低下している貼付けカセット31aを、新たな貼付けカセット31bへ自動的に交換させる。交換された貼付けカセット31bには、十分な量の両面テープ200がテープ供給部35に予め装填されている。
【0126】
このように、両面テープ200の残量を検知して、貼付けカセット31を自動的に換装させる構成により、両面テープ200の連続使用が可能となる。従って、両面テープ200の装填量不足による歩留まりの低下を好適に回避できる。また、ユニット化されている貼付けカセット31の各々において、両面テープ200は予め画一的に装填および巻回案内されている。すなわち、貼付けカセット31aおよび貼付けカセット31bにおける、両面テープ200と貼付けローラ39の相対的な位置関係はいずれも同一である。そのため、両面テープ200の交換によって両面テープ200と貼付けローラ39の相対的な位置が変化することに起因する、両面テープ200の貼付け位置がずれるという問題が発生することを好適に回避できる。
【0127】
実施例に係るテープ貼付装置1は、CPUなどからなる制御部50を備えており、ブレーキ駆動部15のオン/オフを介した両面テープ200の繰り出し制御や、テープ切断ユニット15による両面テープ200の切断の制御を自動で行う構成を有している。また上述したように、装填されている両面テープ200の残量を検知するテープ残量検知部17を備えるとともに、両面テープ200の残量が所定以下となった場合は自動的に貼付けカセット31を交換できるように構成されている。
【0128】
従って、テープ貼付装置1による両面テープ貼付工程を容易に自動化できるので、車両のワイヤーハーネス固定用の両面テープを貼付ける工程など、自動化・無人化の要求が高い工程に対して、自動化されたテープ貼付装置1を適用できる。その結果、テープ貼付装置1のテープ貼付効率を向上できるとともに、テープ貼付装置1の汎用性をより向上できる。
【0129】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0130】
(1)上述した実施例において、貼付けローラ39はy方向の軸回りに回転し、ワークWの上をx方向に転動する構成を例にとって説明したが、貼付けローラ39は、ワークWの上における転動方向を適宜変更できる構成であってもよい。変形例の一例として、貼付けカセット31を装着するロボットアーム7の先端部7dは、z方向の軸回りに適宜回転可能とする構成が挙げられる。
【0131】
このような変形例では制御部50の制御に従って、貼付けローラ39の回転軸はy方向に固定されることなく、z方向の軸回りに適宜回転する。このように、ステップS3において貼付けローラ39の転動方向を適宜変更させることにより、ワークWにおける両面テープ200の貼付け範囲を、S字状などの曲線を含む、より多様な形状とすることができる。従って、ワイヤーハーネスを直線状に延ばしてルーフ材に固定させる場合に限られず、ワイヤーハーネスをS字状などの曲線状に延ばして固定させる場合についても、両面テープ200でワイヤーハーネスを固定させる構成を適用できる。
【0132】
(2)上述した実施例および各変形例において、両面テープ200を切断する際にカッタ53bを両面テープ200の幅方向へスライド移動させる構成を省略してもよい。すなわちカッタ53bの刃先53cを両面テープ200に押し当てる動作のみによって粘着材203を切断する構成であってもよい。
【0133】
(3)上述した実施例および各変形例において、テープ残量検知部17は、装填されているロール状の両面テープ200の外周面に検知板57を当接させ、当該検知板57の角度に基づいてテープ供給部35における両面テープ200の残量を検知する構成であったがこれに限られない。両面テープ200の残量を検知する構成の他の例としては、ロール状の両面テープ200の途中にマーカを付設する構成が挙げられる。このような変形例では、当該マーカが付設された部分の両面テープ200が繰り出されることを検知機構59などが検知することによって、両面テープ200の残量が少ないことを検知する。また、両面テープ200の残量を検知する構成としては他の構成に適宜変更してもよい。
【0134】
(4)上述した実施例および各変形例において、テープ貼付装置1は両面テープ200をワークに貼付けるテープ貼付装置の構成に限ることはなく、片面テープをワークに貼付ける構成であってもよい。片面テープ300は図24(a)の各図に示すように、非粘着性の基材301の層と、粘着性を有する粘着材303の層とが積層された構造を有する。
【0135】
両面テープ200を貼付ける実施例の構成と、片面テープ300を貼付ける変形例(5)の構成とでは、各々のテープを切断する範囲が相違する。以下、図24の各図を用いてテープを切断する範囲を説明する。
【0136】
両面テープ200をワークに貼付ける場合、カッタ刃53bは少なくとも粘着材203の層を切断することによって両面テープ200を切断する(図14(a)、図24(b)上図)。すなわちカッタ刃53bによって入れられる切れ込みJは、粘着材203の層については完全に切断する一方で、剥離紙201の層については少なくとも一部を切断させずに残すことによって両面テープ200をハーフカットで切断する(図16図24(b)下図)。
【0137】
実施例の構成に対し、変形例(5)のように片面テープ300をワークに貼付ける場合、カッタ刃53bは、粘着材301の層のみならず基材303の層も切断することによって片面テープ300を切断する(図24(c))。このように、テープの断面について、両面テープ200が切断される範囲と片面テープ300が切断される範囲は相違する。
【0138】
さらに、テープの表面について、両面テープ200が切断される範囲と片面テープ300が切断される範囲も相違する。図24(c)および(d)は、各々のテープの表面においてカッタ刃53bが切断する範囲(切れ込みJが形成される範囲)を示している。
【0139】
実施例において、両面テープ200は図24(c)に示すように、幅方向について一端から他端に亘って切断され、切れ込みJが形成される。一方で片面テープ300をワークに貼付ける場合、片面テープ300は幅方向について両端部Eをわずかに残して切断される。すなわち、幅方向における両端部Eには切れ込みJが形成されないので、切れ込みJから繰り出し方向Pにおいて前方の部分(基材301Aおよび粘着材303A)と、切れ込みJから繰り出し方向Pにおいて後方の部分(基材301Bおよび粘着材303B)とは両端部Eを介して繋がっている。
【0140】
片面テープ300をワークWに貼付ける、変形例(5)に係る動作の各工程は、実施例に係る動作の各工程と同様である。すなわち、ステップS1〜S3において貼付け開始位置Waに片面テープ300を貼付ける。そしてステップS4において、貼付けローラ39に支持されている状態の片面テープ300は、切断位置に移動したテープ切断ユニット15によって、両端部Eを残して幅方向(y方向)に切断される(図25(a))。このとき、片面テープ300は両端部Eにおいて繋がっているので、切れ込みJによって片面テープ300が完全に断裂することがない。
【0141】
次に、ステップS5において貼付けローラ39をテープ切断位置Wcから貼付け終了位置Wbまで転動さることによって、切れ込みJが貼付けローラ39の下側へ移動する(図25(b))。最後にステップS6において、貼付け終了位置Wbまで転動した貼付けローラ39をワークWから離反させることによって、わずかに残っていた両端部Eが断裂される。
【0142】
両端部Eの断裂によって、基材301Bおよび粘着材303Bは、基材301Aおよび粘着材303Aから完全に分離され、貼付けローラ39とともにワークWから離反する(図25(c))。その結果、片面テープ300は、予め定められた貼付け開始位置Waから貼付け終了位置Wbまで均等に貼付けられる。このように、本発明に係るテープ貼付装置は、両面テープや片面テープなどの各種テープを、ワークWにおける所定の範囲に精度良く貼付けることができる。
【0143】
なお、両端部Eの断裂によって形成される、基材301Bおよび粘着材303Bの末端Xが貼付けローラ39から離れて垂れ下がることを防止すべく、貼付けローラ39に対して解離防止処理を行うことが好ましい。解離防止処理の一例としては、粘着処理や帯静電気処理などが挙げられる。貼付けローラ39に粘着処理を施している場合、末端Xは貼付けローラ39に粘着されるので、解離して垂れ下がることを防止できる。貼付けローラ39に帯静電気処理を施している場合、静電気によって末端Xは貼付けローラ39に吸着されるので、垂れ下がりを防止できる。
【0144】
さらに、帯静電気処理などにおいて、静電気の発生するタイミングおよび静電気の強さを適宜調節することにより、基材301Aおよび粘着材303Aは好適に貼付けローラ39から解離させてワークWに貼付けさせる一方、基材301Bおよび粘着材303Bの末端Xは貼付けローラ39とともに好適にワークWから離反させることができる。
【0145】
(5)上述した実施例等において、図3に示されるガイドローラ37bに対し、テフロン(登録商標)によるコーティングを例とする非粘着処理を施すことが好ましい。図26(a)は図3に示すガイドローラ37bの拡大図である。図26(a)に示すように、ガイドローラ37bはその外周面Paにおいて両面テープ200の粘着材203と接触することで、巻回案内されている両面テープ200のテンションを適切に維持している。そのため、外周面Paに対して予め非粘着処理を行うことにより、ガイドローラ37bに対する粘着材203の粘着に起因する、両面テープ200の貼付けエラーの発生をより確実に防止できる。
【0146】
なお、ガイドローラ37bに両面テープ200を巻回案内する構成は図26(a)に示すような構成に限ることはなく、図26(b)に示すように、外周面Paに対して剥離紙201が接触するように両面テープ200を巻回案内してもよい。この場合、非粘着性の剥離紙201がガイドローラ37bに接触するので、非粘着処理を行わなくとも、ワークWに対する両面テープ200の貼付けエラーが発生することをより確実に防止できる。
【0147】
さらに剥離紙201とガイドローラ37bとが接触する構成において、ガイドローラ37は図26(c)に示すように、さらに鍔部Pcを備えることが好ましい。鍔部Wcは図26(d)の右図に示すように、ガイドローラ37の幅方向における両端部に設けられており、外周面Paを有する円筒部とともに軸心Pbを共有している。鍔部Pcを備えることによって、非粘着性の剥離紙201を介してガイドローラ37bに接触している両面テープ200が、ガイドローラ37bの幅方向(y方向)などに位置ズレすることをより確実に防止する。
【0148】
(6)上述した実施例および各変形例において、より複雑なワークの形状に対応すべく、貼付けロボット6は弾性機構を備えてもよい。ルーフ材などのワークに対してテープを貼りつける場合、ワークWは平坦な構成とは限られず、図27(a)に示すように曲面等の複雑な形状を有する場合がある。ワークWが曲面を有する場合、ワークWにおいて高さが比較的低い領域Wfと、ワークWにおいて高さが比較的高い領域Whとの両方に対して迅速かつ精度良くテープを貼りつける必要がある。
【0149】
そこで(6)に係る変形例では図27(b)に示すように、貼付けロボット6は先端部7dに弾性機構56を備えている。弾性機構52は、カセット装着部9の本体ベース11と、ロボットアーム7の先端部7dとの各々に接続されている。弾性機構56は、貼付けローラ39の変位、特に高さ方向における変位を吸収する。弾性機構56として用いられる構成の例としては、スプリングなどの弾性体やエアーシリンダが挙げられる。
【0150】
図27(c)は、ワークW上における領域Wfを貼付けローラ39が転動している状態を示し、図27(d)は領域Wfと比べて高さが比較的高い領域Whを貼付けローラ39が転動している状態を示している。領域Wfの上を貼付けローラ39が転動する場合、貼付けローラ39の高さは比較的低いので弾性機構56は比較的縮んだ状態である。一方で領域Whの上を貼付けローラ39が転動する場合、貼付けローラ39の高さは比較的高い位置となる。このとき、貼付けローラ39の高低差Hsに応じて、弾性機構56は速やかに伸びた状態となる。
【0151】
このように、高低差Hsに応じて弾性機構56が伸縮することにより、ワークWの表面の高低差Hsに応じてロボットアーム7の位置を随時変位させなくとも、貼付けローラ39をワークWに対して常に密着させた状態で転動させることができる。従って、ワークWが曲面など複雑な形状であっても貼付けロボット6に複雑なティーチングの必要なく、ワークWの形状に対して正確に追従するように両面テープ200を均一に貼りつけることができる。
【0152】
なお、図26(b)では弾性機構56を先端部7dの上側に接続させているが、先端部7dの下側に接続させてもよい。この場合、弾性機構56として圧縮バネなどを用いることで、複雑な形状のワークに対して正確に追従してテープを貼付けることのできるテープ貼付装置1を実現できる。
【0153】
(7)上述した実施例および各変形例において、図28(a)および図28(b)に示すように、テープをより確実に切断させることを目的として、テープ切断ユニット15に弾性部材52を接続させる構成としてもよい。弾性部材52の一端は板状部材54を介して支軸47と接続されており、弾性部材52の他端は本体ベース11と接続されている。弾性部材52の構成としては一例としてスプリングなどが挙げられる。
【0154】
テープ切断ユニット15が待機位置にある場合、弾性部材52は比較的伸びた状態であり、弾性部材52と接続されている板状部材54の先端は比較的下方に位置している(図28(a))。そしてテープ切断ユニット15を待機位置から切断位置に移動させる場合、弾性部材52が縮むことによって板状部材54の先端は上方へ移動し、支軸47が回転する(図28(b))。弾性部材52の弾性力を調節することにより、テープ切断ユニット15が切断位置へ変位する際において、符号Kで示す方向に向けて発生する押圧力Kの大きさを調整できる。
【0155】
ローラ固定部材51によってカッタユニット53と貼付けローラ39との距離を一定の値Hに設定する構成を採用する場合、両面テープ200の粘着材203の厚みのバラツキによって、粘着材203を幅方向へ均一に切断できなくなる事態が考えられる。なお、一般的に用いられる構成材料の違いにより、粘着材203と比べて剥離紙201は切断に対する抵抗力が高いという知見が得られている。
【0156】
そこで、粘着材203と剥離紙201との切断抵抗力の差を考慮してカッタ53bの押圧力Kを調整することにより、粘着材203に対して比較的強い押圧力Kを作用させることができる。そのため、切断抵抗力の低い粘着材203の層を確実にカッタ53bで切断しつつ、切断抵抗力の高い剥離紙201の層においてカッタ53bの刃先53cを止めることができる。弾性部材52を備えることにより、ローラ固定部材51を備える構成であっても、より確実に両面テープ200のハーフカットを実現できる。
【符号の説明】
【0157】
1 … テープ貼付装置
3 … カセットホルダ
6 … 貼付けロボット
7 … ロボットアーム
9 … カセット装着部
13 … カセット固定部
15 … テープ切断ユニット
17 … テープ残量検知部
31 … 貼付けカセット
35 … テープ供給部
35a … 回転軸部
39 … 貼付けローラ
41 … テープ回収部
41a … 回転軸部
50 … 制御部
53 … カッタユニット
53a … カッタホルダ
53b … カッタ刃
200 … 両面テープ
201 … 剥離紙
203 … 粘着材
300 … 片面テープ
図1
図2
図3
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図5
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