特許第6918551号(P6918551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918551
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】情報端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20210729BHJP
   H04N 1/41 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   H04N1/387
   H04N1/41
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-74913(P2017-74913)
(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公開番号】特開2018-182402(P2018-182402A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】浜山 真吾
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−148273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/38− 1/393
H04N 1/41− 1/419
G06T 3/00− 3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像および折り情報を取得する情報取得手段と、
前記原稿画像が符号化された符号化画像を用紙の画像印刷領域上端から印刷した場合に、前記符号化画像が、前記折り情報に基づいて設定された用紙の折り目に跨るか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により用紙の折り目に跨ると判定された場合、前記折り情報に基づいて、折り目を含む所定の領域である折り領域を算出する領域算出手段と、
前記原稿画像と同一ページに前記領域算出手段により算出された折り領域以外の画像印刷領域内に符号化された前記原稿画像を前記折り領域を跨ぐように復元可能に分割したときに印刷可能となる圧縮率の中で最も低い圧縮率を設定する圧縮率設定手段と、
前記圧縮率設定手段により設定された圧縮率で、前記折り領域に重ならないように前記原稿画像を分割して圧縮する圧縮手段と、
前記圧縮手段により圧縮された原稿画像を符号化する符号化手段と、
を備えた情報端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化原稿のページ数を増加させることなく、かつ生産性を低下しないように、折り目に符号化画像が重ならない符号化原稿を生成する情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスでは、複数のコンピュータと印刷装置とをネットワークを介して接続し、複数のコンピュータ間で印刷装置を共有することが多くなっている。
【0003】
しかしながら、セキュリティの観点などで、あえて例えばコンピュータなどのような情報端末装置と印刷装置とをネットワークで接続することなく、コンピュータと印刷装置とを異なる部屋に設置し、運用する場合もある。
【0004】
このようなコンピュータと印刷装置とが異なる部屋に設置されている場合、コンピュータに接続された少量印刷用の画像形成装置で原稿画像を印刷し、ユーザが、印刷された原稿画像を大量印刷可能な印刷装置が設置された部屋まで持ち込み、原稿画像をコピーすることにより、大量の印刷物を得ることができる。
【0005】
しかしながら、原稿画像が、例えば学校の試験問題とその解答といった機密性の高い原稿画像の場合、原稿画像の印刷物が誰でも判読可能な状態で、ユーザが印刷装置の設置された部屋まで原稿画像の印刷物を持ち込みコピーすると、紛失の恐れがありセキュリティ上問題があった。
【0006】
そこで、原稿画像の内容が漏洩しないように、原稿画像の全てを符号化することにより第三者が見ただけでは判読不可となるようにした上で、印刷装置が設置された場所に持ち運ぶことが好ましい。例えば、符号化処理された画像データに基づいて印刷可能である少量印刷用の符号化画像の印刷可能な画像形成装置をコンピュータに接続し、コンピュータで生成した符号化された画像データに基づいて、画像形成装置が符号化された画像を用紙に印刷することにより符号化原稿を得る。そして、ユーザが印刷された符号化原稿を、コンピュータとは異なる部屋に設置された、符号化原稿の読み取りおよび複合が可能である大量印刷用の印刷装置に読み取らせ、読み取らせた符号化原稿を復号することにより大量の復号された印刷物を得る。
【0007】
ここで、符号化画像の印刷可能な画像形成装置で印刷された符号化原稿を別の部屋へ持ち運ぶ際、持ち運びやすいように2つ折りや3つ折りにすることがある。このように符号化原稿が折られると、複合する印刷装置は、折り目部分の符号化画像を読み取り難く、復号が困難となる場合があった。
【0008】
そこで、特許文献1には、ネットワークを通じて、折り目に文字等が来ない設定の指示を含むクライアントPCからの印刷ジョブを受け付け、受け付けた印刷ジョブに係わる印刷対象文書の画像を紙折り装置により折られる折り目に重ならないように配置して印刷データを形成し、紙折り装置を備えた印刷装置に形成した印刷データの印刷を指示するプリントサーバに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−235072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術では、印刷対象文書の画像を紙折り装置により折られる折り目に重ならないように配置して印刷データを形成するので、符号化した画像に対して何ら考慮されていない。また、特許文献1の技術では、折り目に重ならないように配置するので、画像によっては、印刷範囲からはみ出し、ページ数が増加してしまうことがあった。
【0011】
ここで、原稿画像を符号化する場合、符号化対象の原稿画像の印字率やカラー/モノクロによって符号化された符号化画像のデータ量が大きく異なる。
【0012】
そこで、原稿画像をそのまま符号化するとデータ量が大きくなりすぎる場合、原稿画像を圧縮処理してデータ量を小さくした上で、符号化することが考えられる。このとき、圧縮率を高く設定しすぎると、圧縮処理に時間を要してしまい生産性が低下してしまうという問題があった。その一方、圧縮率が低すぎるとデータ量が多く、画像によっては、印刷範囲からはみ出し、ページ数が増加してしまうことがあった。
【0013】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、符号化原稿のページ数を増加させることなく、かつ生産性を低下しないように、折り目に符号化画像が重ならない符号化原稿を生成する情報端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第1の特徴は、
原稿画像および折り情報を取得する情報取得手段と、
前記原稿画像が符号化された符号化画像を用紙の画像印刷領域上端から印刷した場合に、前記符号化画像が、前記折り情報に基づいて設定された用紙の折り目に跨るか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により用紙の折り目に跨ると判定された場合、前記折り情報に基づいて、折り目を含む所定の領域である折り領域を算出する領域算出手段と、
前記原稿画像と同一ページに前記領域算出手段により算出された折り領域以外の画像印刷領域内に符号化された前記原稿画像が印刷可能となる圧縮率の中で最も低い圧縮率を設定する圧縮率設定手段と、
前記圧縮率設定手段により設定された圧縮率で、前記折り領域に重ならないように前記原稿画像を分割して圧縮する圧縮手段と、
前記圧縮手段により圧縮された原稿画像を符号化する符号化手段と、
を備えたことにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る印刷装置の第1の特徴によれば、圧縮率設定手段が、原稿画像と同一ページに領域算出手段により算出された折り領域以外の画像印刷領域内に符号化された原稿画像が印刷可能となる圧縮率の中で最も低い圧縮率を設定する。
【0016】
そのため、折り目部分に符号化画像が印刷されないように設定された画像印刷領域内に収まることにより折り目部分の画像が印刷されていないので、符号化画像が印刷された符号化原稿を読み取り復号する際、データの欠損などの影響により誤って復号することなく適切に復号することができる。また、符号化画像を原稿画像と同一ページ内に収めることができるので、無駄に印刷枚数が増加されることを防止することができる。さらに、符号化画像を原稿画像と同一ページ内に収めることができる範囲内で圧縮するので、無駄に高圧縮化することがなく短時間で圧縮することができるので、生産性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の本実施形態1に係る情報端末装置を有する印刷システムの概略構成を示す説明図である。
図2】本発明の本実施形態1に係る情報端末装置のCPUの動作を模式的に説明した図である。
図3】本発明の本実施形態1に係る情報端末装置の処理内容を示したフローチャートである。
図4】本発明の本実施形態1に係る情報端末装置により生成された符号化原稿を復号する孔版印刷装置の処理内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0019】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0020】
<実施形態1>
以下に添付図面を参照して、本発明に係る情報端末を有する印刷システムの実施形態1を詳細に説明する。図1は、本発明の本実施形態1に係る情報端末装置を有する印刷システムの概略構成を示す説明図である。
【0021】
(印刷システムの全体構成)
図1に示すように、本実施形態の印刷システムは、情報端末装置1と、インクジェット印刷装置5と、孔版印刷装置9とを備えている。情報端末装置1と、インクジェット印刷装置5とはデータ生成室に設置されており、孔版印刷装置9は、データ生成室とは物理的に離れた印刷室に設置されている。各部屋内では、各機器が接続されているが、部屋を跨いで接続はされていない。すなわち、情報端末装置1と、インクジェット印刷装置5とはプリンタケーブルなどによりデータ転送可能に接続されているが、情報端末装置1と孔版印刷装置9とはプリンタケーブルやネットワークケーブルなどで物理的および電気的に接続されていない。
【0022】
このような構成において、原稿画像の内容が漏洩しないように、ユーザは、データ生成室に設置された情報端末装置1に、原稿画像の全てが符号化された符号化画像データを生成させ、この符号化画像データに基づいて、孔版印刷装置9が符号化された画像を用紙に印刷することにより符号化原稿を得る。ユーザは、符号化原稿を印刷室に設置された孔版印刷装置9に読み取らせ、読み取らせた符号化原稿を復号することにより復号された印刷物を得ることができる。
【0023】
情報端末装置1は、PC(パーソナルコンピュータ)等の汎用コンピュータによって構成されるものである。この情報端末装置1は、制御プログラムに基づいて各種の処理を実行するCPU16を備えている。また、CPU16には、ワーキングエリアとして機能するRAM18や、データを格納するROM17等が接続されているとともに、各種インターフェイスを介して種々のデバイスと接続されている。具体的にはCPU16は、各種インターフェイスを介して、キーボードやマウス等から構成される入力部19や、液晶ディスプレイ等から構成される出力部20、大容量の記憶装置などの外部記憶装置21、ディスク記録媒体50に記録されたデータを読み取るとともにディスク記録媒体50に所定のデータを書き込むディスクドライブ22などが接続されている。
【0024】
外部記憶装置21には、文書、画像等の印刷画像を含む原稿画像を生成するためのアプリケーションプログラムの格納領域、インクジェット印刷装置5のプリンタドライバプログラムの格納領域、その他各種アプリケーションプログラムの格納領域が確保されている。また、この外部記憶装置21には、アプリケーションプログラムを用いて生成された原稿画像や、この原稿画像を符号化して得た符号化画像や、印刷設定情報を格納するデータベース領域についても確保されている。ここで、印刷設定情報とは、印刷モードや、符号化画像のサイズ、解像度、印刷用紙のサイズ及び印刷方向など、通常印刷に必要な情報である。
【0025】
CPU16は、プロセッサやメモリその他の周辺装置によって構成される演算装置であり、入力部19から入力される起動要求に従って外部記憶装置21のアプリケーションプログラムを起動させる。また、CPU16は、入力部19からのパラメータ入力等により指示された画像を示す原稿画像を、起動されたアプリケーションプログラム上において生成する。生成された原稿画像は出力部20において表示出力され、また、入力部19から保存要求が入力された場合には、外部記憶装置21のデータベース領域に記憶される。
【0026】
外部記憶装置21のデータベース領域に記憶された原稿画像は、アプリケーションプログラムの起動中に入力部19からの読み出し要求が入力された場合に、外部記憶装置21から読み出される。読み出された原稿画像に基づいて、出力部20に表示出力することができ、また、アプリケーションプログラム上において加工して新たな原稿画像に生成し直すこともできる。
【0027】
そして、CPU16は、原稿アプリケーションプログラム等で生成した原稿画像の符号化印刷要求が入力された場合に、プリンタドライバプログラムをCPU16上で実行させることでCPU上にプリンタドライバ11を仮想的に構築する。ここで、符号化印刷要求とは、用紙に符号化された画像を印刷させる印刷モードであり、印刷したい原稿画像に基づいて符号化された符号化原稿のページ数を増加させることなく、かつ生産性を低下しないように、折り目に符号化画像が重ならない印刷を実行するモードのことである。
【0028】
プリンタドライバ11は、情報端末装置1に接続されたインクジェット印刷装置5を制御するために、情報端末装置1上で実行されるデータ変換プログラムである。このプリンタドライバ11は、ユーザにより、符号化印刷を要求する操作が行われた場合、情報取得部101、判定部102、領域算出部103、圧縮率設定部104、圧縮部105、符号化部106として機能することにより、原稿アプリケーション等が生成した印刷画像を有する原稿画像を取得し、原稿画像を符号化して符号化画像を生成する。このプリンタドライバ11の具体的な機能については後述する。
【0029】
インクジェット印刷装置5は、多数のノズルが形成されたインクヘッドを複数備え、供給される用紙に対して、それぞれのインクヘッドから黒又はカラーインクを吐出して用紙上に複数の画像を互いに重なり合うように形成させて用紙に画像を印刷するインクジェット方式のカラープリンタである。
【0030】
また、インクジェット印刷装置5は、情報端末装置1により生成された符号化画像に基づいて用紙に印刷することにより、ユーザが見ただけでは内容が判別できない符号化原稿を生成することができる。
【0031】
孔版印刷装置9は、製版されたマスタを回転するドラムに巻き付けた後、用紙をこのドラムに給紙し、ドラムを回転しながら供給された用紙をプレスロールによりドラムに圧接することにより印刷を行う孔版タイプの印刷装置である。
【0032】
この孔版印刷装置9には、符号化画像が印刷された符号化原稿を読み取り、符号化原稿データを出力するスキャナ部98と、孔版印刷装置9で実行される処理機能に対する操作情報を表示し、印刷動作に関する命令を含むユーザ操作を受け付ける操作パネル97と、スキャナ部98から出力された符号化原稿データが復号された原稿画像に基づいて用紙(片面又は両面)に印刷画像を印刷(記録)するプリンタ部96と、情報機器全体の制御を行う制御ユニット90とを備える。プリンタ部96における印刷画像の印刷に使用する用紙は、不図示の給紙部からプリンタ部96又は外部装置を介して不図示の排紙部に搬送される。
【0033】
孔版印刷装置9の制御ユニット90は、スキャナ部98により読み取られた符号化原稿データを復号して原稿画像を生成し、指定された条件で、原稿画像の用紙への印刷をプリンタ部96において実行する。
【0034】
また、制御ユニット90には、操作画面とこれを覆うタッチパネルとで構成された操作パネル97が接続されている。この操作パネル97は、孔版印刷装置9の上部に配置されている。この操作パネル97は、スキャナ部98にセットした原稿を複写印刷する場合の印刷枚数といった設定条件を、ユーザが入力する入力操作部等として利用できる。なお、操作パネル97は、操作するユーザを認証するためのユーザ認証情報(ID及びパスワード)を入力させるための画面を表示させ、ユーザ認証情報を受け付ける認証受付部としても利用できる。
【0035】
プリンタ部96に印刷動作を行わせる孔版印刷装置9の制御ユニット90は、CPU95を備える。このCPU95は、CPUやDSP(Digital Signal ProceSSor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算処理装置である。CPU95は、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、画像データに関する処理や、各部の動作制御、ユーザ操作に対する種々の処理を行う。また、CPU95は、ROM91に格納されているプログラム及び設定情報に基づいて、操作パネル97から入力設定される内容に応じたスキャナ部98やプリンタ部96の動作を制御する。
【0036】
また、制御ユニット90は、スキャナ部98により符号化画像が印刷された符号化原稿が読み取られ、符号化原稿データが出力されると、この符号化原稿データを復号し、復号した圧縮原稿データを復元して圧縮原稿画像を得る。そして、制御ユニット90は、圧縮原稿画像を復元し、この復元して得た原稿画像に基づいて、用紙に対して印刷を行うことで原稿画像が印刷された印刷物を得る。
【0037】
なお、制御ユニット90にはRAM92が設けられており、RAM92には、スキャナ部98により読み取られた符号化原稿データや、復号された原稿画像が、プリンタ部96に出力されるまでの間、一時的に記憶される。
【0038】
さらに、制御ユニット90には外部記憶装置93が設けられており、この外部記憶装置93はCPU95に接続されている。外部記憶装置93には、上述したRAM92から転送された原稿画像や設定情報を記憶する複数の領域が設けられている。
【0039】
図2は、本発明の本実施形態1に係る情報端末装置のCPU16の動作を模式的に説明した図である。
【0040】
CPU16は、プリンタドライバ11の機能として、情報取得部101、判定部102、領域算出部103、圧縮率設定部104、圧縮部105、符号化部106を備える。
【0041】
情報取得部101は、起動されたアプリケーションプログラム上において生成された原稿画像と、ユーザにより設定された折り情報とを取得する。ここで、折り情報は、ユーザが、2つ折りや3つ折りなどインクジェット印刷装置5により印刷された符号化原稿をどのように折り曲げることが想定できるかという使用対応を想定して予め設定されている。
【0042】
判定部102は、原稿画像が符号化された符号化画像P2を用紙の画像印刷領域上端から印刷した場合に、原稿画像が符号化された符号化画像P2が、折り情報に基づいて設定された用紙の折り目に跨るか否かを判定する。図2に示した例では、符号化画像P2を印刷する領域として画像印刷領域Q1が予め設定されている。そして、ここでは、折り情報として、「2つ折り」が設定されているので、符号化画像P2の上下方向の中央線が折り目位置Q2となる。この例では、判定部102は、符号化画像P2を用紙の画像印刷領域Q1上端から印刷した場合に、符号化画像P2の下端が折り目位置Q2を超えているので、符号化画像P2が折り目位置Q2に跨ると判定する。
【0043】
なお、判定部102による判定を行うに際し、実際に符号化することにより符号化画像P2が折り目に跨るか否かを判定してもよいし、予め原稿画像のデータ量と符号化画像のデータ量との関係式を記憶しておき、この関係式に基づいて符号化画像のデータ量を求めてもよい。この場合、原稿画像を符号化した符号化原稿を用紙の印刷領域上端から印刷した場合における用紙の折り目に到達するデータ量をデータ量閾値とし、関係式から算出した符号化画像のデータ量がデータ量閾値を超えたときに、原稿画像が符号化された符号化画像P2が、用紙の折り目に跨ると判定してもよい。
【0044】
領域算出部103は、判定部102により用紙の折り目に跨ると判定された場合、折り情報に基づいて、折り目を含む所定の領域である折り領域を算出する。図2に示した例では、折り目位置Q2の上下方向に所定の領域である折り領域Q3(斜線で示した領域)を算出する。
【0045】
圧縮率設定部104は、原稿画像と同一ページに領域算出部103により算出された折り領域以外の印刷可能領域内に符号化された原稿画像が印刷可能となる圧縮率の中で最も低い圧縮率を設定する。上述したように、符号化原稿が折られると、孔版印刷装置9は、折り目部分の符号化画像を読み取り難く復号が困難となる場合がある。また、圧縮率を上げれば上げるほど符号化画像を印刷する領域としては狭くなるが、圧縮処理自体に相当の時間を要する。その一方、圧縮率を下げれば下げるほど圧縮処理自体は短時間ですむものの、符号化画像を印刷する領域が広がり、1ページに収まりきらずに次ページに跨る可能性がある。
【0046】
そこで、圧縮率設定部104は、折り目部分に符号化画像が印刷されないように、画像印刷領域Q1から折り領域Q3を省き、画像印刷領域Q1を2つの画像印刷領域Q11,Q12に分割する。そして、圧縮率設定部104は、符号化画像P2を分割したときの符号化画像P21,P22が、それぞれ画像印刷領域Q11,Q12の領域内に収まるような原稿画像の圧縮率の中で最も低い圧縮率を設定する。
【0047】
これにより、符号化画像P21,P22が折り目部分に符号化画像が印刷されないように設定された画像印刷領域Q11,Q12内に収まることで符号化画像P2が1ページ内に収まり、かつ圧縮処理を短時間にする圧縮率を算出することができる。
【0048】
圧縮部105は、圧縮率設定部104により設定された圧縮率で、折り領域Q3に重ならないように原稿画像を分割して圧縮する。
【0049】
符号化部106は、圧縮部105により圧縮された原稿画像を符号化して符号化画像P3を得る。
【0050】
そして、CPU16は、プリンタドライバ11として機能して、インクジェット印刷装置5に、符号化画像P3に基づいて用紙に印刷させることにより、符号化原稿P4を作成する。これにより、符号化原稿P4のページ数を増加させることなく、かつ生産性を低下しないように、折り目に符号化画像が重ならない符号化原稿P4を生成することができる。
【0051】
インクジェット印刷装置5により符号化原稿P4が印刷されると、ユーザは、印刷された符号化原稿P4を印刷室に持ち運び、印刷室に設置されている孔版印刷装置9に符号化原稿P4をセットし符号化印刷を指示すると、孔版印刷装置9のスキャナ部98が符号化原稿P4から符号化画像を読み取る。そして、孔版印刷装置9が、読み取った符号化原稿データを復号して、原稿画像を生成し、この生成された原稿画像に基づいて印刷を実行する。これにより、符号化原稿から適切に復号された印刷物P5を得ることができる。
【0052】
(情報端末装置1の作用)
次に、本発明の本実施形態1に係る情報端末装置1の作用について説明する。
【0053】
図3は、本発明の本実施形態1に係る情報端末装置1の処理内容を示したフローチャートである。
【0054】
図3に示すように、原稿画像の符号化印刷要求が入力された場合に(ステップS101;YES)、CPU16は、情報取得部101として機能して、ユーザにより設定された折り情報とを取得すると共に(ステップS103)、起動されたアプリケーションプログラム上において生成された原稿画像を取得する(ステップS105)。
【0055】
次に、判定部102は、取得した原稿画像のヘッダーから原稿画像のデータ量を抽出し、外部記憶装置21に記憶された原稿画像のデータ量と符号化画像のデータ量との関係式に基づいて符号化画像のデータ量を算出する(ステップS107)。
【0056】
判定部102は、算出した符号化画像のデータ量が予め設定したデータ量閾値を超えたか否かを判定する(ステップS109)。算出した符号化画像のデータ量が予め設定したデータ量閾値を超えた場合、原稿画像が符号化された符号化画像が、用紙の折り目に跨ると推測できる。
【0057】
算出した符号化画像のデータ量が予め設定したデータ量閾値以下と判定した場合(ステップS109;NO)、圧縮部105は、所定の圧縮率で圧縮する(ステップS111)。
【0058】
一方、算出した符号化画像のデータ量が予め設定したデータ量閾値を超えたと判定した場合(ステップS109;YES)、領域算出部103は、折り情報に基づいて、折り目を含む所定の領域である折り領域を算出する(ステップS113)。
【0059】
そして、圧縮率設定部104は、原稿画像と同一ページに領域算出部103により算出された折り領域以外の印刷可能領域内に符号化された原稿画像が印刷可能となる圧縮率の中で最も低い圧縮率を設定する(ステップS115)。
【0060】
次に、圧縮部105が、圧縮率設定部104により設定された圧縮率で、折り領域に重ならないように原稿画像を分割して圧縮する(ステップS117)。
【0061】
そして、符号化部106が、圧縮部105により圧縮された原稿画像を符号化して符号化画像を得る(ステップS119)。このとき、符号化部106は、原稿画像を分割したことを示す分割フラグと、原稿画像が何ページ目かを示すページ番号と、同ページ番号内で何番目であるかを示す分割ページ番号とをヘッダー情報として、符号化したデータに付与して、符号化画像を生成する。
【0062】
以上のように、本発明の本実施形態1に係る情報端末装置1によれば、判定部102により、原稿画像が符号化された符号化画像が、用紙の折り目に跨ると判定された場合、領域算出部103が、折り情報に基づいて、折り目を含む所定の領域である折り領域を算出し、圧縮率設定部104が、原稿画像と同一ページに領域算出部103により算出された折り領域以外の画像印刷領域内に符号化された原稿画像が印刷可能となる圧縮率の中で最も低い圧縮率を設定し、圧縮部105が、圧縮率設定部104により設定された圧縮率で、折り領域に重ならないように原稿画像を分割して圧縮し、符号化部106が、圧縮部105により圧縮された原稿画像を符号化して符号化画像P3を得る。
【0063】
そのため、折り目部分に符号化画像が印刷されないように設定された画像印刷領域内に収まることができるので、孔版印刷装置9が符号化画像が印刷された符号化原稿を読み取り復号する際、データの欠損などの影響で誤って復号することなく適切に復号することができる。また、符号化画像を1ページ内に収めることができるので、無駄に印刷枚数が増加されることを防止することができる。さらに、符号化画像を1ページ内に収めることができる範囲内で圧縮するので、無駄に高圧縮化することがなく短時間で圧縮することができるので、生産性の低下を防止することができる。
【0064】
次に、本発明の本実施形態1に係る情報端末装置1により生成された符号化原稿を復号する孔版印刷装置9の作用について説明する。
【0065】
図4は、本発明の本実施形態1に係る情報端末装置1により生成された符号化原稿を復号する孔版印刷装置9の処理内容を示したフローチャートである。
【0066】
図4に示すように、インクジェット印刷装置5により符号化原稿P4が印刷され、ユーザが、印刷された符号化原稿P4を印刷室に持ち運び、印刷室に設置されている孔版印刷装置9に符号化原稿P4をセットし符号化印刷を指示すると(ステップS201;YES)、孔版印刷装置9のスキャナ部98が符号化原稿P4から符号化画像を読み取る(ステップS203)。
【0067】
そして、孔版印刷装置9のCPU95が、読み取った符号化原稿データを復号し(ステップS205)、圧縮を復元する(ステップS207)。このとき、符号化原稿データのヘッダー情報に付与されている原稿画像を分割したことを示す分割フラグがオンとなっている場合、CPU95は、原稿画像が何ページ目かを示すページ番号と、同ページ番号内で何番目であるかを示す分割ページ番号とに基づいて、分割されている原稿画像を元の順序で復元し、分割前の原稿画像を生成する。
【0068】
次に、CPU95は、この生成された原稿画像に基づいて印刷を実行する(ステップS209)。これにより、符号化原稿から適切に復号された印刷物P5を得ることができる。
【0069】
(変形例)
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
【0070】
例えば、上述した実施形態では、印刷装置として孔版印刷装置9を用いた場合を例に説明したが、例えば、インクジェット記録装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 情報端末装置
5 インクジェット印刷装置
9 孔版印刷装置
11 プリンタドライバ
19 入力部
20 出力部
21 外部記憶装置
22 ディスクドライブ
50 ディスク記録媒体
90 制御ユニット
93 外部記憶装置
96 プリンタ部
97 操作パネル
98 スキャナ部
101 情報取得部
102 判定部
103 領域算出部
104 圧縮率設定部
105 圧縮部
106 符号化部
図1
図2
図3
図4