(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ノイズ判別部は、差分領域の面積が許容範囲外の場合には、縦寸法及び横寸法を比較することなく差分領域をノイズ成分と判別することを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
前記差分領域抽出部は、前記差分画像に膨張処理及び収縮処理を実施して、前記複数の差分領域の間隔が所定画素以内であれば、前記複数の差分領域を結合して1つの差分領域として抽出することを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品の搭載前画像と搭載後画像を撮像する際には、撮像時のブレ等によって部品以外の箇所でも少なからず、差分がある。部品のサイズが大きい場合は、その影響は少ないが、近年、部品のサイズは微小化の傾向にある。部品のサイズが小さい場合は、その影響は相対的に大きくなる。例えば、0608、0402(部品の横サイズ0.4mm、縦サイズ0.2mm)等の微細チップ部品については、差分画像の全体に対して部品による差分の割合が小さく、差分有無のしきい値も小さくなってしまう。このため、部品以外の差分でしきい値を超えてしまい、基板の載置面に部品が搭載されていないにも関わらず、部品が搭載されていると誤判定される可能性があった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、簡易な処理により、基板に対する部品の搭載有無を高精度に検査することができる検査装置、実装装置、検査方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検査装置は、基
板に対する部品の
搭載処理の前後を撮像した
第1、第2の画像(搭載前画像と搭載後画像)から
前記基板に対する前記部品の搭載有無を検査する検査装置であって、前記
第1、第2の画像から差分画像を生成する差分画像生成部と、前記差分画像から差分画素を内包する差分領域を抽出する差分領域抽出部と、前記差分領域の領域サイズと部品サイズからノイズ成分を判別するノイズ判別部と、前記ノイズ成分と判別された差分領域を前記差分画像から除去するノイズ除去部と、
前記差分画像に基づいて前記部品の
搭載有無を判定する判定部とを備え
、前記判定部は、第1の判定において、前記差分画像の評価値が上限閾値以上の場合に、前記差分領域抽出部、前記ノイズ判別部、及び、前記ノイズ除去部による処理結果にかかわらず、前記基板に対して前記部品が搭載されていると判定し、第1の判定において、前記差分画像の評価値が下限閾値以下の場合に、前記差分領域抽出部、前記ノイズ判別部、及び、前記ノイズ除去部による処理結果にかかわらず、前記基板に対して前記部品が搭載されていないと判定し、第1の判定において、前記差分画像の評価値が前記上限閾値より小さく且つ前記下限閾値より大きい場合に、前記差分領域抽出部、前記ノイズ判別部、及び、前記ノイズ除去部による処理結果に応じて前記ノイズ成分を除去した前記差分画像に基づいて前記部品の有無を再判定する第2の判定を行う、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様の検査方法は、基
板に対する部品の
搭載処理の前後を撮像した
第1、第2の画像(搭載前画像と搭載後画像)から
前記基板に対する前記部品の搭載有無を検査する検査方法であって、
差分画像生成部により、前記
第1、第2の画像から差分画像を生成するステップと、
差分領域抽出部により、前記差分画像から差分画素を内包する差分領域を抽出するステップと、
ノイズ判別部により、前記差分領域の領域サイズと部品サイズからノイズ成分を判別するステップと、
ノイズ除去部により、前記ノイズ成分と判別された差分領域を前記差分画像から除去するステップと、
前記差分画像に基づいて前記部品の
搭載有無を判定するステップとを有し
、前記判定するステップでは、第1の判定において、前記差分画像の評価値が上限閾値以上の場合に、前記差分領域抽出部、前記ノイズ判別部、及び、前記ノイズ除去部による処理結果にかかわらず、前記基板に対して前記部品が搭載されていると判定し、第1の判定において、前記差分画像の評価値が下限閾値以下の場合に、前記差分領域抽出部、前記ノイズ判別部、及び、前記ノイズ除去部による処理結果にかかわらず、前記基板に対して前記部品が搭載されていないと判定し、第1の判定において、前記差分画像の評価値が前記上限閾値より小さく且つ前記下限閾値より大きい場合に、前記差分領域抽出部、前記ノイズ判別部、及び、前記ノイズ除去部による処理結果に応じて前記ノイズ成分を除去した前記差分画像に基づいて前記部品の有無を再判定する第2の判定を行う、ことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、差分領域の領域サイズが部品サイズと比較されることで、差分画像に含まれる差分領域が部品による差分か部品以外のノイズ成分かが判別される。そして、差分画像からノイズ成分を除くことで、部品による差分領域だけが差分画像に残される。よって、部品以外のノイズ成分の影響を受けることなく、基板に対する部品の搭載有無を高精度に検査することができる。
【0009】
本発明の一態様の検査装置において、前記ノイズ判別部は、前記部品の縦寸法又は横寸法よりも差分領域の縦寸法又は横寸法が大きければノイズ成分と判別する。この構成によれば、部品と差分領域の縦寸法同士、横寸法同士を比較することで、差分領域が部品による差分か部品以外のノイズ成分かを判別することができる。
【0010】
本発明の一態様の検査装置において、前記ノイズ判別部は、差分領域の面積が許容範囲外の場合には、縦寸法及び横寸法を比較することなく差分領域をノイズ成分と判別する。この構成によれば、差分領域が極端に大きなものや極端に小さなものについては、差分領域をノイズ成分と見做すことで判別処理の負荷を軽減することができる。
【0011】
本発明の一態様の検査装置において、前記差分画像には複数の差分領域が含まれており、前記差分領域抽出部は、前記複数の差分領域の間隔が所定画素数内であれば同じ差分領域として抽出し、前記複数の差分領域の間隔が所定画素数よりも大きければ別々の差分領域として抽出する。この構成によれば、本来なら同じ部分が複数の差分領域に分かれて差分画像に現れる場合であっても、複数の差分領域を1つの差分領域として抽出することができる。よって、複数に分かれた差分領域を1つにまとめることで、差分領域が部品による差分であるのか、部品以外のノイズ成分であるのかを精度よく判別することができる。
【0012】
本発明の一態様の検査装置において、前記差分領域抽出部は、前記差分画像に膨張処理及び収縮処理を実施して、前記複数の差分領域の間隔が所定画素以内であれば、前記複数の差分領域を結合して1つの差分領域として抽出する。この構成によれば、簡易な処理によって、領域同士が近い複数の差分画像を1つの差分画像にまとめることができる。
【0013】
本発明の一態様の実装装置は、上記の検査装置と、前記搭載面に対して前記部品を搭載する実装ヘッドと、前記実装ヘッドによる
前記部品の
搭載処理の前後に
かかる前記第1、第2の画像を撮像する撮像装置とを備えたことを特徴とする。この構成によれば、
撮像装置によって実装ヘッドによる部品の
搭載処理の前後の実装面が撮像され、
第1、第2の画像(搭載前画像と搭載後画像)から実装ヘッドによる部品の搭載ミスを即座に検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、差分領域の領域サイズから、差分画像に含まれる差分領域が部品による差分か部品以外のノイズ成分かを判別することで、差分画像からノイズ成分を除いて基板に対する部品の搭載有無を高精度に検査することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本実施の形態の実装装置について説明する。
図1は、本実施の形態の実装装置全体を示す模式図である。
図2は、本実施の形態の実装ヘッド周辺を示す模式図である。
図3は、比較例の部品の差分画像の一例を示す図である。なお、本実施の形態の実装装置は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0017】
図1に示すように、実装装置1は、フィーダ20から供給された部品P(
図2参照)を、一対の実装ヘッド40によって基板Wの載置面に搭載するように構成されている。基板Wの表面には配線パターンや電極パッド等が設けられており、配線パターンや電極パッド等には後段のリフロー工程で部品Pの端子に接合するための半田ペーストが付着されている。なお、基板Wは部品Pが搭載可能なものであればよく、形状や種類は特に限定されない。また、部品PとしてICチップを例示して説明するが、基板Wに搭載される部品であれば、特に電子部品に限られない。
【0018】
実装装置1には、X軸方向に基板Wを搬送する基板搬送部10が配設されている。基板搬送部10は、基板Wを搬送する一対のコンベアベルト11と各コンベアベルト11に沿って基板Wの搬送をガイドする一対のガイドレール12とによって搬送路を形成している。コンベアベルト11は、X軸方向の一端側から部品搭載前の基板Wを実装ヘッド40の下方に搬入して位置決めし、部品搭載後の基板WをX軸方向の他端側に搬出している。一対のガイドレール12の上部は内向きに屈曲している(
図2参照)。昇降機構(不図示)により、この屈曲部分に向けて、基板Wと一対のコンベアベルト11が上昇して、基板Wが位置決めされる。
【0019】
フィーダ20にはテープリール21が着脱自在に装着され、テープリール21には多数の部品Pをパッケージングしたキャリアテープが巻回されている。フィーダ20は、装置内のスプロケットホイールの回転によって、実装ヘッド40にピックアップされる受け渡し位置に向けて順番に部品Pを繰り出している。実装ヘッド40の受け渡し位置では、キャリアテープから表面のカバーテープが剥離され、キャリアテープのポケット内の部品Pが外部に露出される。なお、本実施の形態では、フィーダとしてテープフィーダを例示したが、ボールフィーダ等の他のフィーダで構成されていてもよい。
【0020】
基台上には、一対の実装ヘッド40をX軸方向及びY軸方向に水平移動させる移動機構30が設けられている。移動機構30は、Y軸方向に延びる一対のY軸駆動部31と、X軸方向に延びる一対のX軸駆動部32とを有している。一対のY軸駆動部31は基台の四隅に立設した支持部(不図示)に支持されており、一対のX軸駆動部32は一対のY軸駆動部31にY軸方向に移動可能に設置されている。また、各X軸駆動部32上には実装ヘッド40がX軸方向に移動可能に設置され、X軸駆動部32とY軸駆動部31とによって実装ヘッド40が水平移動されてフィーダ20からピックアップした部品が基板Wの所望の位置に実装される。
【0021】
図2に示すように、実装ヘッド40は、X軸駆動部32(
図1参照)に支持されたヘッド本体41に複数のノズル42(本実施の形態では1つのみ図示)を設けて構成されている。各ノズル42は、ノズル駆動部43を介してヘッド本体41に支持されており、ノズル駆動部43によってZ軸方向に上下動すると共にノズル42をZ軸回りに回転する。各ノズル42は吸引源(不図示)に接続されており、吸引源からの吸引力によって部品Pを吸着保持する。ノズル42にはコイルバネが設けられており、コイルバネを収縮させながらノズル42に吸着された部品Pを基板Wに搭載している。
【0022】
ヘッド本体41には、基板Wからの高さを検出する高さセンサ(不図示)や、ノズル42で吸着した部品Pの形状を認識する認識部45が設けられている。高さセンサでは、基板Wからノズル42までの距離が検出され、検出結果に基づいてノズル42の上下方向の移動量が制御される。認識部45では、横一列に並んだ発光部46と受光部47とを水平方向で対向させ、発光部46からの光が部品で遮光された遮光幅の変化から部品形状が認識される。なお、認識部45は、発光部から受光部に向かって発光されたLED光の遮光幅から部品形状を認識してもよいし、発光部から受光部に向かって発光されたレーザ光の遮光幅から部品形状を認識してもよい。
【0023】
ヘッド本体41には、基板W上のBOCマークを真上から撮像する基板撮像部(不図示)と、ノズル42による部品Pの搭載動作を斜め上方から撮像する部品撮像部(撮像装置)48とが設けられている。基板撮像部では、BOCマークの撮像画像に基づいて基板Wの位置、反り等が認識され、これらの認識結果に基づいて基板Wに対する部品Pの搭載位置が補正される。部品撮像部48では、フィーダ20に対する部品Pの吸着前後が撮像される他、基板Wの載置面に対する部品Pの搭載前後が撮像される。これら撮像画像によって、ノズル42による部品Pの吸着有無、基板Wにおける部品Pの搭載有無が検査される。
【0024】
また、実装装置1には、装置各部を統括制御する制御装置50と、ノズル42による部品Pの吸着有無や基板Wに対する部品Pの搭載有無を検査する検査装置60とが設けられている。これらの装置の各部は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成されており、実装装置1の制御プログラムや、検査装置60に検査方法を実行させるための検査プログラム等、部品Pの搭載有無の判定閾値等の各種パラメータが記憶されている。
【0025】
このように構成された実装装置1では、実装ヘッド40をフィーダ20(
図1参照)まで移動させて、フィーダ20から供給された部品Pをノズル42でピックアップして、基板Wの所望の搭載面に部品Pを搭載している。このノズル42による部品Pの搭載動作では、基板Wに対する部品Pの搭載が失敗して、基板W上に部品Pが搭載されていない場合がある。このため、基板Wの搭載面に対する部品Pの搭載前後がモノクロ画像で撮像され、検査装置60によって部品Pの搭載前画像
(第1の画像)と搭載後画像
(第2の画像)から基板W上の部品Pの搭載有無が検査されている。
【0026】
部品Pの搭載有無を検査する際には、搭載前画像と搭載後画像から差分画像が生成され、差分画像内の輝度の評価値(二乗和)に基づいて部品Pの搭載有無が検査される。しかしながら、実装ヘッド40やノズル42を動かしながら、部品撮像部48で搭載前画像及び搭載後画像を撮像してタクトを上げているため、撮像時に部品撮像部48に僅かなブレが生じる。さらに、実装装置1は僅かに振動しているため、撮像時に基板搬送部10上の基板Wも僅かなブレが生じる。このため、部品Pが載せられていない状態であっても、搭載前画像と搭載後画像にズレが生じる場合がある。
【0027】
搭載前後の画像で輝度のコントラストが明確な箇所にズレが生じていると、差分画像の中で部品P以外の箇所の影響が大きくなる。このため、搭載後画像に部品Pが搭載されていないにも関わらず、差分(輝度の変化)が大きくなって部品Pが搭載されていると誤判定されるおそれがある。特に、小型の部品Pの場合には、輝度差を生じさせる端子の面積が小さく、部品Pによる差分よりもシルク等の部品以外のノイズ成分の影響が大きくなる。したがって、搭載後画像に部品Pが搭載されていないにも関わらず、差分が大きくなって部品Pが搭載されていると誤判定されるおそれがある。
【0028】
例えば、
図3に示すように、搭載動作前に撮像した搭載前画像だけでなく、搭載動作後に撮像した搭載後画像にも部品Pが表示されておらず、基板Wに対して部品Pの搭載ミスが生じている。しかしながら、部品Pの搭載ミスが生じた場合であっても、部品撮像部48や基板Wのブレによって差分画像に基板W上のシルク71がノイズ成分として残る。このノイズ成分を含む差分画像に基づいて部品Pの搭載有無が検査されるため、実際には部品Pの搭載ミスが生じているにも関わらず、ノイズ成分によって搭載後画像に部品Pが搭載されていると誤判定されるおそれがある。
【0029】
そこで、本実施の形態の検査装置60では、部品P以外のノイズ成分が部品サイズと明らかに異なるサイズで差分画像に残ることに着目し、差分画像に残った差分領域の領域サイズと部品サイズを比較してノイズ成分か否かを判別している。これにより、部品P以外のノイズ成分が差分領域75として差分画像に残る場合であっても、ノイズ成分を差分画像から除去することで、差分画像に対するノイズ成分の影響を無くして、基板Wに対する部品Pの搭載有無を高精度に検査することが可能になっている。
【0030】
以下、部品の搭載有無の検査処理について説明する。
図4は、本実施の形態の検査装置のブロック図である。
図5は、本実施の形態の検査処理の一例を示すフローチャートである。
図6は、本実施の形態の部品の搭載前画像及び搭載後画像の一例を示す図である。
図7は、本実施の形態の差分画像の一例を示す図である。
図8は、本実施の形態の判定処理の一例を示す図である。
図9は、本実施の形態の差分領域の抽出処理の一例を示す図である。
図10は、本実施の形態のノイズ成分の判別処理の一例を示す図である。
図11は、本実施の形態のノイズ成分の除去処理の一例を示す図である。
【0031】
図4を参照して、検査装置60の制御構成について簡単に説明する。検査装置60は、部品撮像部48に接続されており、部品撮像部48から基板Wの載置面に対する部品Pの搭載前画像及び搭載後画像を取得して部品Pの搭載有無を検査している。この場合、先ず搭載前画像と搭載後画像の差分画像からノイズ成分を除去せずに初期検査が実施される。次に、初期検査で部品Pの有無が判別できない場合に、差分画像からノイズ成分を除去して再検査が実施される。検査装置60には、マッチング部61、差分画像生成部62、差分領域抽出部63、ノイズ判別部64、ノイズ除去部65、算出部66、判定部67が設けられている。
【0032】
マッチング部61では、搭載前画像と搭載後画像の位置合わせのマッチング処理が実施される。差分画像生成部62では、搭載前画像と搭載後画像から差分画像の生成処理が実施される。差分領域抽出部63では、差分画像から差分画素を内包する差分領域の抽出処理が実施される。ノイズ判別部64では、差分領域の領域サイズと部品サイズからノイズ成分の判別処理が実施される。ノイズ除去部65では、ノイズ成分と判別された差分領域を差分画像から除去する除去処理が実施される。算出部66では、差分画像の各画素の差分二乗和の算出処理が実施される。
【0033】
判定部67では、初期検査時及び再検査時に、差分二乗和の算出結果と判定閾値とを比較することで部品の搭載有無の判定処理が実施される。判定閾値として上限閾値及び下限閾値が設定されており、算出結果が上限閾値以上の場合には基板Wに部品Pが搭載されていると判定され、算出結果が下限閾値以下の場合には基板Wに部品Pが搭載されていないと判定される。なお、上限閾値及び下限閾値は、統計データ等から実験的、経験的又は理論的に求められた値が使用される。また、
図4のブロック図には、検査装置60が簡略化して記載されているが、検査装置60が通常備える構成については備えているものとする。
【0034】
続いて、
図5から
図10を参照して、検査装置の検査処理の流れについて説明する。なお、
図5のフローチャートの説明では、
図4の各ブロックに付された符号を適宜使用して説明する。
図5に示すように、検査装置60には、部品撮像部48から搭載前画像及び搭載後画像が入力される(ステップS01)。搭載前画像は、部品Pの搭載前に部品撮像部48で斜め上方から基板Wを撮像したモノクロ画像である(
図6A参照)。搭載前画像には、基板Wに印刷されたシルク71や、シルク71の内側に電極パッド72が配設された載置面が映されている。
【0035】
搭載後画像は、部品Pの搭載後に部品撮像部48で斜め上方から基板Wを撮像したモノクロ画像である(
図6B参照)。搭載後画像には、基板Wの載置面73上に搭載された部品Pが映されている。また、部品Pの搭載ミスが生じた場合には、基板Wに部品Pが搭載されていないため、搭載後画像が搭載前画像と同じに見えるが、部品撮像部48や被写体のブレによって搭載後画像には僅かなズレが生じている(
図6C参照)。なお、モノクロ画像とは、無彩色又は有彩色の単色の濃淡で表された画像であり、グレースケール等を含むものである。
【0036】
次に、マッチング部61にてマッチング処理が実施される(ステップS02)。マッチング処理では、部品Pの搭載時に生じる基板Wの反りや撓みを考慮して、搭載前画像と搭載後画像が位置合わせされる。次に、差分画像生成部62にて差分画像の生成処理が実施される(ステップS03)。差分画像の生成処理ではマッチング後の搭載前画像と搭載後画像の特定領域69(
図6A及び
図6C参照)の輝度差分の絶対値を取って差分画像が生成される(
図7参照)。搭載後画像に部品Pが搭載れていない場合であっても、差分画像にはシルク71のブレが差分領域75として現れている。
【0037】
次に、算出部66にて差分画像に対して算出処理が実施される(ステップS04)。算出処理では、算出部66によって撮像画像の各画素の輝度の二乗の合計値が初期検査時の評価値Vとして算出される。次に、判定部67にて初期検査として差分画像に基づいて部品Pの有無を判定する判定処理が実施される。判定処理では、差分画像の評価値Vと上限閾値T
Hとが比較され、評価値Vが上限閾値T
H以上か否かが判定される(ステップS05)。評価値Vが上限閾値T
H以上の場合(ステップS05でYes)には、「部品有り」と判定される(
図8参照)。
【0038】
一方で、評価値Vが上限閾値T
Hよりも小さい場合には(ステップS05でNo)、評価値Vが下限閾値T
L以下か否かが判定される(ステップS06)。評価値Vが下限閾値T
L以下の場合(ステップS06でYes)には、「部品無し」と判定される(
図8参照)。次に、評価値Vが下限閾値T
Lよりも大きい場合(ステップS06でNo)には、評価値Vが上限閾値T
Hと下限閾値T
Lの中間領域であるとして部品Pの有無を判定することができない(
図8参照)。このため、部品P以外のノイズ成分の輝度が評価値Vに影響しないように、差分画像に対してノイズ成分の除去処理が実施される。
【0039】
この場合、既にノイズ成分が除去されているか否かが判定される(ステップS07)。ノイズ成分が除去されている場合には(ステップS07でYes)、エラーと判定される。ノイズ成分が除去されていない場合には(ステップS07でNo)、差分領域抽出部63にて差分画像に対して差分領域75の抽出処理が実施される(ステップS08)。差分領域75の抽出処理では、差分画像に対して二値化処理が実施されて、さらに二値化画像に対してラベリング処理が実施される。これにより、差分画像内で差分画素が求められ、差分画素が連結した領域が差分領域75として抽出される(
図9A参照)。
【0040】
このとき、差分画像に複数の差分領域75が含まれている場合には、複数の差分領域75の間隔が所定画素数内(2画素内)であれば同じ差分領域75として抽出され(
図9B参照)、複数の差分領域75の間隔が所定画素数よりも大きければ別々の差分領域75として抽出される(
図9B参照)。例えば、差分画像に対して膨張処理及び収縮処理が実施されて、複数の差分領域75の間隔が所定画素数内であれば複数の差分領域75が結合されて1つの差分領域75として抽出される。このようにして、差分画像から複数の差分画素を内包する塊毎に差分領域75が抽出される。
【0041】
次に、ノイズ判別部64にてノイズ成分の判別処理が実施される(ステップS09)。ノイズ成分の判別処理では、部品Pによる差分領域75が部品サイズよりも大きくなることがないため、差分領域75の領域サイズと部品サイズが比較されて、部品サイズよりも大きな差分領域75がノイズ成分と判別される。例えば、差分領域75の縦寸法及び横寸法が求められ、差分領域75と部品Pの縦寸法同士、横寸法同士がそれぞれ比較される。そして、部品Pの縦寸法W1よりも差分領域75の縦寸法W2が大きい、又は部品Pの横寸法L1よりも差分領域75の横寸法L2が大きければノイズ成分と判別される(
図10A参照)。
【0042】
このとき、差分領域75が複数に分かれていると、部品P以外の差分領域75の領域サイズが部品サイズ以下になる場合がある(
図10Bの2点鎖線参照)。しかしながら、領域同士が近い場合には1つの差分領域75として抽出されるため、差分領域75が部品Pによる差分であるのか、部品P以外のノイズ成分であるのかを精度よく判別できる(
図10Bの実線参照)。なお、部品サイズは、平面視における部品P全体のサイズでもよいし、部品Pのうち輝度差を生じさせる部分のサイズでもよい。輝度差を生じさせる部分としては、部品Pの端子やボディに印字されたマーク等でもよい。
【0043】
なお、差分領域75の大きさからノイズ成分であることが明らかなものについては、上記した判別処理を省くようにしてもよい。この場合、差分領域75の領域サイズと部品サイズを比較する前に、差分領域75の面積が許容範囲か否かを判別する。そして、差分領域75の面積が許容範囲外の場合には、縦寸法及び横寸法を比較することなく、差分領域75をノイズ成分と判別する。これにより、部品サイズに対して差分領域75が極端に大きなものや極端に小さなものについては、差分領域75をノイズ成分と見做して判別処理の負荷を軽減することができる。
【0044】
次に、ノイズ除去部65にてノイズ成分の除去処理が実施される(ステップS10)。ノイズ成分の除去処理では、ノイズ成分と判別された差分領域75が差分画像から除去される(
図11参照)。そして、ステップS04に戻って部品Pの有無の再検査が開始され、ノイズ成分を除去した差分画像に対して、上記と同様に算出処理及び判定処理が実施される(ステップS04からステップS07)。すなわち、ノイズ成分を除去した差分画像の各画素の輝度の二乗和によって評価値Vが算出され、評価値Vと上限閾値T
H及び下限閾値T
Lとが比較されて部品Pの有無が判定される。
【0045】
以上のように、本実施の形態の検査装置60では、差分領域75の領域サイズが部品サイズと比較されることで、差分画像に含まれる差分領域75が部品Pによる差分か部品P以外のノイズ成分かが判別される。そして、差分画像からノイズ成分を除くことで、部品Pによる差分領域だけが差分画像に残される。よって、部品P以外のノイズ成分の影響を受けることなく、基板Wに対する部品Pの搭載有無を高精度に検査することができる。
【0046】
なお、本実施の形態において、撮像装置としての部品撮像部が斜め上方から基板を撮像する構成にしたが、この構成に限定されない。撮像装置は搭載前画像と搭載後画像を比較可能に撮像できればよく、例えば、真上から基板を撮像してもよい。また上述した、ヘッド本体に設けた基板W上のBOCマークを真上から撮像する基板撮像部を用いて撮像してもよい。
【0047】
また、本実施の形態において、差分画像生成部が搭載前画像の特定領域と搭載後画像の特定領域から差分画像を生成する構成にしたが、この構成に限定されない。差分画像生成部は、搭載前画像と搭載後画像から差分画像を生成する構成であればよく、例えば、搭載前画像全体と搭載後画像全体から差分画像を生成してもよい。
【0048】
また、本実施の形態において、判定部は、差分画像の各画素の輝度の二乗和を評価値として、輝度の二乗和に基づいて部品の有無を判定する構成にしたが、この構成に限定されない。判定部は、差分画像に基づいて部品の有無を判定する構成であればよい。例えば、判定部は、差分画像の各画素の合計を評価値として判定処理に用いてもよいし、差分画像の各画素の輝度の三乗和を評価値として判定処理に用いてもよい。
【0049】
また、本実施の形態において、基板は、プリント基板に限定されず、治具基板上に載せられたフレキシブル基板であってもよい。
【0050】
また、本実施の形態において、検査装置は、初期検査後の再検査として、ノイズ成分を除去した差分画像に基づいて部品の搭載有無を判定する構成にしたが、この構成に限定されない。検査装置は、初期検査時にノイズ成分を除去した差分画像に基づいて部品の搭載有無を判定してもよい。すなわち、検査装置は、検査プログラムのリトライ処理を実施しなくてもよい。
【0051】
また、本実施の形態において、制御プログラム及び検査プログラムは記録媒体に記憶されてもよい。記録媒体は、特に限定されないが、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0052】
また、本実施の形態において、実装装置に検査装置が備えられる構成について説明したが、この構成に限定されない。検査装置は、実装装置とは別体の検査専用の装置でもよい。
【0053】
また、本発明の実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0054】
また、本発明の実施の形態は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0055】
また、本発明の実施の形態では、本発明を実装装置に適用した構成について説明したが、部品の搭載有無の検査が必要な他の装置に適用することが可能である。
【0056】
さらに、上記実施形態では、基板の搭載面に対する部品の搭載前後を撮像した部品の搭載前画像と搭載後画像から部品の搭載有無を検査する検査装置であって、搭載前画像と搭載後画像から差分画像を生成する差分画像生成部と、差分画像から差分画素を内包する差分領域を抽出する差分領域抽出部と、差分領域の領域サイズと部品サイズからノイズ成分を判別するノイズ判別部と、ノイズ成分と判別された差分領域を差分画像から除去するノイズ除去部と、ノイズ成分を除去した差分画像に基づいて部品の有無を判定する判定部とを備えたことを特徴とする。この構成によれば、差分領域の領域サイズが部品サイズと比較されることで、差分画像に含まれる差分領域が部品による差分か部品以外のノイズ成分かが判別される。そして、差分画像からノイズ成分を除くことで、部品による差分領域だけが差分画像に残される。よって、部品以外のノイズ成分の影響を受けることなく、基板に対する部品の搭載有無を高精度に検査することができる。