(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る画像処理装置及びプログラムについて、図面を参照しながら説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における画像形成システム100を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、画像形成システム100は、ユーザ端末1及び画像形成装置101を備える。ユーザ端末1と画像形成装置101とは、インターフェース部50,150を介して無線又は有線により接続される。
【0014】
ユーザ端末1は、制御部10と、記憶部20と、入力部30と、表示部40と、インターフェース部50と、を備え、これらが例えばバスラインを介して接続されている。ユーザ端末1は、例えば、デスクトップパソコンなどの設置型端末であるか、或いは、スマートフォン、タブレット端末などの携帯型端末である。
【0015】
制御部10は、ページ画像生成部11と、行方向判定部12と、領域属性判定部13と、ページ画像詰め込み部14と、を有する。
【0016】
制御部10は、ユーザ端末1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit)を有し、このプロセッサが所定のプログラムを読み出して実行することにより、ページ画像生成部11、行方向判定部12、領域属性判定部13、及びページ画像詰め込み部14として機能する。これにより、ユーザ端末1が画像処理装置として機能する。
【0017】
なお、ページ画像生成部11、行方向判定部12、領域属性判定部13、ページ画像詰め込み部14のうち少なくとも1つが制御部10とは分離したユニットとして配置されていてもよい。また、予め印刷データに基づき生成された後述する
図2に示すページ画像Pが、ユーザ端末1のインターフェース部50を介して他の装置から取得される場合には、ページ画像生成部11は省略可能である。
【0018】
ページ画像生成部11は、印刷データに基づき1ページ以上のページ画像を生成する。ページ画像の生成は、公知の任意の手法により行うことができる。
図2に一例として示すページ画像Pは、2行に亘る文字列である「A」〜「Z」の文字C1、4本の縦線(例えば、罫線,枠線)F1及び5本の横線(例えば、罫線,枠線)F2で区切られる表Fと、を含む。また、ページ画像Pは、表F内に位置する、「1.ABC」の文字C2、「2.DEF」の文字C3、「a」の文字C4、「b」の文字C5、「c」の文字C6、「○」の記号M1,M4、「△」の記号M2,M6、「×」の記号M3、及び「◎」の記号M5を含む。なお、ページ画像Pは、後述する画像形成装置101の印刷部160によって、被印刷媒体の印刷面の全体に印刷されるか、或いは、被印刷媒体の印刷面のうち周縁の外枠(余白)を除いた領域に印刷される。
【0019】
行方向判定部12は、ページ画像P内の文字列(例えば文字C1の2行の文字列)の方向である行方向を判定する。なお、行方向(
図2では左右方向)に直交する方向が文字列(
図2では上下方向)である。行方向判定部12は、ページ画像P内の文字が連なる方向を行方向と判定してもよいが、印刷データに基づき行方向の判定を行ってもよい。
【0020】
領域属性判定部13は、ページ画像P内の行方向と平行な複数のラインデータごとに、余白領域L1を含む複数の領域属性の中からいずれの領域属性であるかを判定する。ラインデータは、例えば、行方向と平行なピクセルの集合であるラインデータである。余白領域L1は、印刷対象部分(例えば印刷ドット)を有さない領域である。
【0021】
複数の領域属性は、連続領域L2及び非連続領域L3を更に含むとよい。連続領域L2は、列方向に隣接するラインデータ(例えば、1つ上である直前のラインデータ)との差分が所定値以下である印刷対象部分を有する領域である。また、非連続領域L3は、隣接するラインデータとの差分が所定値を超える印刷対象部分を有する領域である。なお、領域属性として、余白領域L1を除く領域、すなわち連続領域L2及び非連続領域L3を区別せずにまとめて印字領域としてもよい。
【0022】
列方向に隣接するラインデータとの差分の所定値は、例えば、2つのラインデータの行方向における位置が同一のピクセルが印刷対象部分又は非印刷対象部分で一致しない割合であり、一例としては10%である。なお、領域属性判定部13は、ページ画像Pがカラー画像であれば、印刷対象部分の一致を、印刷対象部分のRGBやCMYKの値まで一致するかで判定してもよい。また、領域属性判定部13は、ページ画像Pが例えばグレースケール画像であれば、印刷対象部分の一致を、印刷対象部分の色調まで一致するかで判定してもよい。このように、領域属性判定部13は、隣接する2つのラインデータの印刷対象部分の差分を任意の手法により決定することができる。
【0023】
図2の例では、ページ画像Pの文字C1の上方の余白に位置する複数のラインデータ、文字C1の2行の文字列間の余白に位置する複数のラインデータ、文字C1の下方で且つ表Fの上方の余白に位置する複数のラインデータ、及び表Fの下方の余白に位置する複数のラインデータは、印刷対象部分を有さないため、余白領域L1となる。
【0024】
また、縦線F1のみを有する複数のラインデータは、列方向に隣接するラインデータとの差分が所定値以下である印刷対象部分を有する領域であるため、連続領域L2となる。
【0025】
また、2行の文字列である文字C1のうち1行目及び2行目に位置する複数のラインデータ、横線F2の最上部に位置するラインデータ、文字C4と記号M1と記号M2とのうち少なくとも一方に位置する複数のラインデータ、文字C5と記号M3と記号M4とのうち少なくとも一方に位置する複数のラインデータ、及び文字C6と記号M5と記号M6とのうち少なくとも一方に位置する複数のラインデータは、大部分が、列方向に隣接するラインデータとの差分が所定値を超える印刷対象部分を有する領域であるため、非連続領域L3となる。なお、上記の大部分を除く一部は、連続領域L2(又は、ページ画像の内容によっては余白領域L1)となり得る。
【0026】
ページ画像詰め込み部14は、領域属性判定部13が判定した複数のラインデータごとの領域属性L1,L2,L3に対応する割合で、列方向にページ画像Pを縮小する。この領域属性L1,L2,L3に対応する縮小量は、例えば、余白領域L1が連続領域L2及び非連続領域L3よりも大きく、連続領域L2が非連続領域L3よりも大きくなるようにするとよい。
【0027】
また、ページ画像Pの縮小は、例えば、同一属性の複数のラインデータが連続して並んでいる場合に、その連続しているラインデータの数を一定間隔で間引くとよい。一例としては、余白領域L1の複数のラインデータが連続して並んでいる場合にはラインデータの数を50%間引き、連続領域L2の複数のラインデータが連続して並んでいる場合には、ラインデータの数を20%間引き、非連続領域L3の複数のラインデータが連続して並んでいる場合には、ラインデータの数を10%で間引く。
【0028】
ここで、単純にラインデータを間引くと、特に非連続領域L3で画質の劣化を招き得るため、ページ画像詰め込み部14は、互いに隣接する2つのラインデータを、行方向の位置が一致する部分で少なくとも一方が印刷対象部分であれば印刷対象部分とするようにOR演算を行い、ラインデータの数を間引くとよい。また、ページ画像詰め込み部14は、OR演算に限らず、任意の画像補間法を用いてラインデータを間引くことによりページ画像Pの縮小を行うとよい。
【0029】
ページ画像詰め込み部14は、ページ画像Pを縮小した後、次ページに相当するページ画像がある場合には、そのページ画像も上述のページ画像Pと同様に縮小し、一部又は全部をページ画像Pに詰め込む。この際、次ページのページ画像のうち、ページ画像Pの表Fや文字C1などに相当する部分は、列方向の一部のみが分割されてページ画像Pに詰め込まれない設定が可能であってもよい。
【0030】
記憶部20は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read only memory)、制御部10が各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)、ハーディディスク装置などである。
【0031】
入力部30は、例えばキーボード装置やマウス装置であり、ユーザによる各種の操作情報の入力を受け付ける。
【0032】
表示部40は、ユーザに入力操作のための表示画面などを表示する。
【0033】
インターフェース部50は、画像形成装置101などの他の装置との間での各種情報の授受を行う。
【0034】
画像形成装置101は、制御部110と、記憶部120と、入力部130と、表示部140と、インターフェース部150と、印刷部160と、を備える。
【0035】
制御部110は、画像形成装置101全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU)を有する。
【0036】
記憶部120、入力部130、表示部140、及びインターフェース部150は、ユーザ端末1の記憶部20、入力部30、表示部40、及びインターフェース部50と例えば同様にすることができる。
【0037】
印刷部160は、上述のページ画像詰め込み部14によってページ画像Pから縮小されたページ画像の印刷を、被印刷媒体に対し行う。また、ページ画像詰め込み部14によるページ画像Pの詰め込みが行われない設定がされている場合には、ページ画像Pの印刷を行う。なお、印刷部160の印刷方式は特に制限されない。
【0038】
画像形成装置101は、被印刷媒体を搬送する搬送部や、被印刷媒体を画像形成装置101内に供給する供給部(例えば給紙部)や、画像形成装置101から排出される被印刷媒体が載置される排出部(例えば排紙部)などを更に備えるとよい。
【0039】
図3は、第1実施形態におけるページ画像Pの詰め込みを説明するためのフローチャートである。
【0040】
図3に示す各処理(ステップS1〜S7)は、制御部10の制御によって行われる。なお、上述の説明と重複する事項については適宜説明を省略する。
【0041】
まず、ページ画像生成部11は、例えば
図2に示すページ画像Pを含む1ページ以上のページ画像を生成する(ステップS1)。
【0042】
次に、制御部10は、例えば入力部30におけるユーザの操作により詰め込み設定が行われているかを判定する(ステップS2)。この詰め込み設定が行われていなければ(ステップS2:NO)、制御部10は、画像形成装置101の印刷部160に対し、ページ画像Pの印刷指示の信号を送る(ステップS7)。
【0043】
詰め込み設定が行われている場合(ステップS2:YES)、ページ画像生成部11は、行方向を判定する(ステップS3)。
【0044】
また、領域属性判定部13は、複数のラインデータごとに、余白領域L1、連続領域L2、及び非連続領域L3の中からいずれの領域属性であるかを判定する(ステップS4)。
【0045】
また、ページ画像詰め込み部14は、領域属性判定部13が判定した複数のラインデータごとの領域属性L1,L2,L3に対応する割合で、列方向にページ画像Pを縮小する(ステップS5)。
【0046】
一例ではあるが、
図2及び
図4(a)に示すページ画像Pは、余白領域L1の複数のラインデータを列方向に50%縮小することで、
図4(b)に示すように列方向に縮小量R1で縮小される。さらに、連続領域L2の複数のラインデータを列方向に20%縮小することで
図4(c)に示すように縮小量R2で縮小され、非連続領域L3の複数のラインデータを列方向に10%縮小することで
図4(d)に示すように縮小量R3で縮小される。この結果、
図4(d)に示すページ画像は、
図2及び
図4(a)に示すページ画像Pから、縮小量R1+R2+R3で縮小される。
【0047】
ステップS4及びS5の処理は、ページ画像Pが複数ページである場合に全ページの処理が行われるまで繰り返される(ステップS6)。なお、ページ画像詰め込み部14は、上記の縮小量R1+R2+R3に相当するスペースに、次ページに相当するページ画像の一部又は全部を詰め込むことで、ページ画像のページ数を削減することができる。
【0048】
その後、制御部10は、画像形成装置101の印刷部160に対し、画像形成装置101(印刷部160)に対し、縮小された1ページ以上のページ画像の印刷指示の信号を送る(ステップS7)。なお、制御部10は、縮小された複数ページのページ画像の割付印刷を行う信号を画像形成装置101に対し送るようにしてもよい。
【0049】
以上説明した第1実施形態では、画像処理装置として機能するユーザ端末1は、印刷データに基づき生成されるページ画像P内の文字列の方向である行方向を判定する行方向判定部12と、ページ画像P内の行方向と平行な複数のラインデータごとに、余白領域L1を含む複数の領域属性L1〜L3の中からいずれの領域属性であるかを判定する領域属性判定部13と、この領域属性判定部13が判定した複数のラインデータごとの領域属性L1〜L3に対応する割合で、行方向に直交する列方向にページ画像Pを縮小するページ画像詰め込み部14と、を備える。これにより、複数行の文字列間での余白などの余白を列方向に詰めこむことができるため、ページ画像のページ数を削減することができる。また、割付印刷を行う場合のように、ページ画像の全体が行方向及び列方向に縮小されて印刷が行われる場合と比較して、印刷された文字などが識別しづらくなるのを防ぐこともできる。更には、ページ画像のページ数を削減することができることによって、印刷枚数を削減することができるため、ユーザのコスト削減を図ることや、資源消費を抑えることで環境負荷を軽減することも可能となる。
【0050】
また、本第1実施形態では、複数の領域属性は、列方向に隣接するラインデータとの差分が所定値以下である印刷対象部分を有する連続領域L2と、隣接するラインデータとの差分が所定値を超える印刷対象部分を有する非連続領域L3と、を更に含み、ページ画像詰め込み部14は、連続領域L2の縮小量を非連続領域L3の縮小量よりも大きくする。そのため、非連続領域L3と比較して縮小によって文字などの識別が困難になりにくい連続領域L2を、非連続領域L3よりも縮小することにより、ページ画像のページ数をより一層削減することができる。
【0051】
<第2実施形態>
本第2実施形態では、画像処理装置として機能するのがユーザ端末1ではなく画像形成装置201である点で上述の第1実施形態と相違し、その他の事項は同様にすることができるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
図5は、第2実施形態における画像形成装置201を示すブロック図である。
図5に示すように、画像形成装置201は、制御部210と、記憶部220と、入力部230と、表示部240と、インターフェース部250と、印刷部260と、を備える。
【0053】
制御部210は、画像形成装置201全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU)を有し、このプロセッサが所定のプログラムを読み出して実行することにより、ページ画像生成部211、行方向判定部212、領域属性判定部213、及びページ画像詰め込み部214として機能する。これにより、画像形成装置201が画像処理装置として機能する。
【0054】
ページ画像生成部211、行方向判定部212、領域属性判定部213、及びページ画像詰め込み部214は、上述の
図1に示すユーザ端末1のページ画像生成部11、行方向判定部12、領域属性判定部13、及びページ画像詰め込み部14と同様にすることができる。
【0055】
また、記憶部220、入力部230、表示部240、インターフェース部250、及び印刷部260は、上述の
図1に示す画像形成装置101の記憶部120、入力部130、表示部140、インターフェース部150、及び印刷部160と同様にすることができる。
【0056】
なお、印刷データ又はこの印刷データにより生成される
図2に示すページ画像Pは、例えば
図1に示すユーザ端末1から画像形成装置201によって取得されるとよい。
【0057】
本第2実施形態においても、上述の第1実施形態と同様に、ページ画像のページ数を削減することができる。
【0058】
なお、本発明は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0059】
[付記1]
印刷データに基づき生成されるページ画像内の文字列の方向である行方向を判定する行方向判定部と、
前記ページ画像内の前記行方向と平行な複数のラインデータごとに、余白領域を含む複数の領域属性の中からいずれの領域属性であるかを判定する領域属性判定部と、
前記領域属性判定部が判定した前記複数のラインデータごとの前記領域属性に対応する割合で、前記行方向に直交する列方向に前記ページ画像を縮小するページ画像詰め込み部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【0060】
[付記2]
前記複数の領域属性は、前記列方向に隣接する前記ラインデータとの差分が所定値以下である印刷対象部分を有する連続領域と、前記隣接するラインデータとの差分が所定値を超える前記印刷対象部分を有する非連続領域と、を更に含み、
前記ページ画像詰め込み部は、前記連続領域の縮小量を前記非連続領域の縮小量よりも大きくする、
ことを特徴とする付記1記載の画像処理装置。
【0061】
[付記3]
印刷データに基づき生成されるページ画像内の文字列の方向である行方向を判定する機能と、
前記ページ画像内の前記行方向と平行な複数のラインデータごとに、余白領域を含む複数の領域属性の中からいずれの領域属性であるかを判定する機能と、
前記複数のラインデータごとの前記領域属性に対応する割合で、前記行方向に直交する列方向に前記ページ画像を縮小する機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするプログラム。