(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918646
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】管継手、配管の接続方法、及び空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F16L 21/02 20060101AFI20210729BHJP
F16L 13/10 20060101ALI20210729BHJP
F16L 21/00 20060101ALI20210729BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
F16L21/02 A
F16L13/10
F16L21/00 C
F24F1/0007 361B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-165800(P2017-165800)
(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2019-44804(P2019-44804A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】393024717
【氏名又は名称】オーケー器材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 仁司
(72)【発明者】
【氏名】児山 直和
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−184583(JP,A)
【文献】
特開2012−219894(JP,A)
【文献】
特開2009−204047(JP,A)
【文献】
特開平07−217934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/02
F16L 13/10
F16L 21/00
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管(P)を挿入し、この配管(P)を接着剤により接続するように構成された受口(11)を有するとともに、前記受口(11)内に挿入される前記配管(P)の先端位置(PT)を前記受口(11)の外側から認識できるように透明又は半透明材料により形成された継手本体(10)と、
前記受口(11)内に挿入される前記配管(P)の先端面(PF)を弾性的に当接させるように、前記受口(11)の口底部を形成する底面(11C)に取り付けられた弾性部材(20)と、
前記受口(11)内に挿入される前記配管(P)の先端位置(PT)の基準を示すように前記継手本体(10)の外周側に設けられた指標(30,41)とを備え、
前記弾性部材(20)は、前記配管(P)の先端面(PF)と当接する当接面(21)を有し、
前記指標(30,41)は、前記継手本体(10)の外周側において、前記配管(P)と当接していない状態の前記弾性部材(20)の前記当接面(21)に対して前記受口(11)の前記底面(11C)側に設けられている
管継手(1,110)。
【請求項2】
前記指標(30)は、前記継手本体(10)と一体的に設けられている
請求項1に記載の管継手(1,110)。
【請求項3】
前記継手本体(10)は、複数の前記受口(11)と、前記複数の受口(11)との間を接続する胴部(12)とを有し、
前記継手本体(10)の外周側から前記胴部(12)の外表面(12A)、及び前記受口(11)の外表面(11A)の少なくとも一部を覆うように前記継手本体(10)に取り付けられた断熱用のカバー部材(40,60)をさらに備え、
前記指標(30,41)は、前記カバー部材(40,60)と一体的に設けられている
請求項1に記載の管継手(1,110)。
【請求項4】
前記指標(41)は、前記カバー部材(40)における前記受口(11)の外表面(11A)を覆う側の端面(40A)により構成されている
請求項3に記載の管継手(1,110)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の管継手(1,110)に挿入する配管(P)の接続方法であって、
前記受口(11)内に挿入される前記配管(P)の外表面(PS)、及び前記受口(11)の内周面(11B)の少なくとも一方に接着剤を塗布し、
前記受口(11)の外側から前記配管(P)の先端位置(PT)を確認しながら、前記指標(30,41)により示される前記先端位置(PT)の基準に基づいて前記配管(P)を前記受口(11)内に挿入して接続する
配管(P)の接続方法。
【請求項6】
ドレン配管(105)における管継手(110)として、請求項1〜4のいずれか一項に記載の管継手(110)が用いられている
空気調和システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を接続するための管継手、配管の接続方法、及び空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管継手の受口内に挿入する配管の挿入量を適切に設定するために、配管接合用標線記入治具(以下、「記入治具」という)を用いて配管の挿入量の基準となる標線を配管の外表面に記入し、その標線を確認しながら管継手の受口内に配管を挿入する配管の接続方法が知られている。この配管の接続方法では、記入治具を用いて記入された標線を参照することにより、配管が管継手に適切に接続される。なお、特許文献1は、従来の配管の接続方法の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−189089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記配管の接続方法では、管継手の受口内に挿入する配管毎に記入治具を用いて標線を記入する必要があるため、作業者の手間が増大する。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであって、管継手に対し配管を適切に、かつ、容易に接続することができる管継手、配管の接続方法、及び空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する管継手は、配管を挿入し、この配管を接着剤により接続するように構成された受口を有するとともに、前記受口内に挿入される前記配管の先端位置を前記受口の外側から認識できるように透明又は半透明材料により形成された継手本体と、前記受口内に挿入される前記配管の先端面を弾性的に当接させるように、前記受口の口底部を形成する底面に取り付けられた弾性部材と、前記受口内に挿入される前記配管の先端位置の基準を示すように前記継手本体の外周側に設けられた指標とを備える。
【0006】
このような構成によれば、配管の先端位置の基準を示す指標が継手本体の外周側に設けられているため、従来のように配管毎に標線を記入する必要がなく、作業者の手間が軽減される。また、継手本体の受口の外側から配管の先端位置を確認しながら、指標により示される先端位置の基準に基づいて配管を受口内に挿入できるため、管継手に対し配管を適切に接続することができる。このように、管継手に対し配管を適切に、かつ、容易に接続することができる。また、受口内に挿入される配管の先端面が弾性部材と当接することによって弾性部材が弾性的に撓むため、配管が市販の工具を用いて切断されることにより形成された配管の先端面に傾斜面が含まれる場合においても、配管の先端面と弾性部材との間に隙間が形成されにくくなる。このため、配管を流れる液体が配管の先端面と弾性部材との間に侵入しにくくなり、管継手の水密性が向上する。
【0007】
上記管継手において、前記弾性部材は、前記配管の先端面と当接する当接面を有し、前記指標は、前記継手本体の外周側において、前記配管と当接していない状態の前記弾性部材の前記当接面に対して前記受口の前記底面側に設けられている。
【0008】
このような構成によれば、受口内に挿入された配管の先端面を弾性部材に弾性的に当接させることによって配管の先端面と指標とが近づけられるため、受口内に挿入される配管の先端位置と指標との位置関係を受口の外側から容易に認識できる。
【0009】
上記管継手において、前記指標は、前記継手本体と一体的に設けられている。
ここで継手本体の一体的に設けられる指標とは、例えば継手本体の受口の外表面に突条部や凹溝部を設けたり、カラーのラインを描いたりするものであって、継手本体と一体的に作り込まれているものをいう。このような構成によれば、指標として別構成の部品を必要とせず、管継手の部品点数が削減される。
【0010】
上記管継手において、前記継手本体は、複数の前記受口と、前記複数の受口との間を接続する胴部とを有し、前記継手本体の外周側から前記胴部の外表面、及び前記受口の外表面の少なくとも一部を覆うように前記継手本体に取り付けられた断熱用のカバー部材をさらに備え、前記指標は、前記カバー部材と一体的に設けられている。
【0011】
このような構成によれば、断熱用のカバー部材を用いた管継手において、指標として継手本体及びカバー部材とは別構成の部品を必要としない。このため、管継手の部品点数が削減される。
【0012】
上記管継手において、前記指標は、前記カバー部材における前記受口の外表面を覆う側の端面により構成されている。
このような構成によれば、カバー部材の端面が指標として用いられるため、管継手の構成が簡素化される。
【0013】
上記課題を解決する配管の接続方法は、前記管継手に挿入する配管の接続方法であって、前記受口内に挿入される前記配管の外表面、及び前記受口の内周面の少なくとも一方に接着剤を塗布し、前記受口の外側から前記配管の先端位置を確認しながら、前記指標により示される前記先端位置の基準に基づいて前記配管を前記受口内に挿入して接続する。
【0014】
このような構成によれば、弾性部材の状態、及び受口に挿入された配管の先端位置を確認しながら配管を管継手に接続できるため、配管の接続に関する作業が従来よりも簡素化される。このため、上記配管の接続方法では、管継手に対し配管を適切に、かつ、容易に接続することができる。
【0015】
上記課題を解決する空気調和システムは、ドレン配管における管継手として、前記管継手が用いられている。
このような構成によれば、管継手に対しドレン配管を容易に、かつ、適切に接続することができるため、空気調和システムの施工性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
上記管継手、配管の接続方法、及び空気調和システムによれば、管継手に対し配管を適切に、かつ、容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る管継手及び配管が分離した状態を示す斜視図。
【
図3】同管継手の受口内に配管が挿入された状態を示す部分断面図。
【
図4】同管継手に対し配管が適切に接続された状態を示す部分断面図。
【
図6】同管継手に対し配管が適切に接続された状態を示す部分断面図。
【
図8】同管継手に対し配管が適切に接続された状態を示す部分断面図。
【
図9】第4実施形態に係る空気調和システムの構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の管継手について、
図1〜
図4を参照しつつ説明する。
図1に示される管継手1は、例えばドレン配管又は水道管等を構成する配管Pに用いられる。管継手1の種類は、ソケット、エルボ、及びチーズ等を含む。
図1に示される例では、管継手1の種類はソケットである。配管Pを構成する材料の一例は、塩化ビニル樹脂である。
【0019】
図1に示されるように、管継手1は、配管P同士を接続可能な継手本体10を備える。継手本体10は、配管Pを挿入し、この配管Pを接着剤(図示略)により接続するように構成された複数の受口11と、複数の受口11との間を接続する胴部12とを有する。継手本体10は、受口11の外表面11Aと胴部12の外表面12Aとが連続するように一体的に形成されている。複数の受口11は、同じ大きさの内径を有する2つの受口11を含む。受口11の内径は、受口11内に挿入される配管Pの外径を基準に設定されている。胴部12の内径は、各受口11内に挿入される配管Pの内径を基準に設定されている。接着剤の一例は、溶解性接着剤である。接着剤は、配管Pの外表面PS、及び受口11の内周面11Bの少なくとも一方に塗布される。例えば、配管Pの外表面PS及び配管Pの先端面PFに接着剤が塗布される。
【0020】
継手本体10は、受口11内に挿入される配管Pの先端位置PT(
図3参照)を受口11の外側から認識できるように透明又は半透明材料により形成されている。例えば、継手本体10を構成する受口11及び胴部12が共に透明又は半透明材料により形成されている。継手本体10を構成する材料の一例は、塩化ビニル樹脂である。なお、継手本体10のうちの受口11だけが透明又は半透明材料により形成されてもよい。
【0021】
図2に示されるように、管継手1は、各受口11内に設けられた弾性部材20、及び受口11内に挿入される配管Pの先端位置PTの基準を示す指標30をさらに備える。弾性部材20は、受口11内に挿入される配管Pの先端面PFを弾性的に当接させるように、受口11の口底部を形成する底面11Cに取り付けられている。弾性部材20は、配管Pの先端面PFと当接する当接面21を有する。受口11内に挿入された配管Pの先端面PFを弾性部材20の当接面21に当接させることによって、弾性部材20が圧縮するように弾性変形する。弾性部材20は、弾性変形可能な材料により形成されている。弾性部材20を構成する材料の一例は、断熱性能を有する発泡ポリエチレンである。弾性部材20の形状は、例えば受口11内に挿入される配管Pの挿入方向に沿う継手本体10の正面視において、受口11の底面11Cの形状に沿うドーナツ形状である(
図1参照)。弾性部材20の厚みは、例えば配管Pと当接していない状態において8〜10mmの範囲に含まれることが好ましい。
【0022】
指標30は、継手本体10の外周側に設けられている。指標30は、継手本体10と一体的に設けられている。指標30は、受口11の外表面11Aのうちの胴部12寄りの部分に設けられている。指標30は、受口11の外表面11Aから受口11の径方向外側に突出する突条部31を有する。突条部31は、受口11の外表面11Aにおいて、受口11の周方向に沿って延びるように形成されている。継手本体10の正面視における突条部31の形状は、例えば円環形状である。
【0023】
指標30は、継手本体10の外周側において、配管Pと当接していない状態の弾性部材20の当接面21に対して受口11の底面11C側に設けられている。継手本体10の軸心Cに沿う方向(以下、「軸心方向」という)において、配管Pと当接していない状態の弾性部材20の当接面21と指標30との距離は、指標30と受口11の底面11Cとの距離よりも短い。なお、指標30の位置関係は、例えば継手本体10の軸心方向における指標30の中心を基準に決められる。
【0024】
指標30により示される先端位置PTの基準は、管継手1に対し配管Pを適切に接続可能な配管Pの先端位置PTを示している。具体的には、指標30により示される先端位置PTの基準は、継手本体10の軸心方向において、指標30と受口11の底面11Cとの間の範囲(以下、「基準範囲」という)に配管Pの先端位置PTが位置すれば、管継手1に対し配管Pが適切に接続されることを示している。具体的な基準範囲は、例えば指標30の中心と弾性部材20が最も収縮した状態の当接面21との間の範囲である。配管Pの先端位置PTが基準範囲に位置するように配管Pが受口11内に挿入されることによって、管継手1に対し配管Pが適切に接続される。
【0025】
図3及び
図4を参照して、配管Pの接続方法の一例について説明する。
始めに、配管Pの外表面PS及び配管Pの先端面PFに接着剤が塗布される。次に、
図3に示されるように、受口11の開口11Dから受口11内に配管Pが挿入される。
図3は、配管Pの先端面PFが弾性部材20の当接面21と当接する位置まで配管Pが受口11内に挿入された状態を示している。この状態では、配管Pの先端位置PTは指標30に対して受口11の開口11D側に位置する。図中の二点鎖線は、配管Pの先端位置PTを示している。
【0026】
次に、
図4に示されるように、受口11の外側から配管Pの先端位置PTを確認しながら、指標30により示される先端位置PTの基準に基づいて受口11内に配管Pが挿入される。具体的には、配管Pの先端位置PTが基準範囲に位置するように、弾性部材20の当接面21との接触により弾性部材20を弾性変形させながら配管Pが受口11内に押し込まれる。これにより、管継手1に対し配管Pが適切に接続された状態が形成される。このように、弾性部材20の状態、及び受口11に挿入された配管Pの先端位置PTを確認しながら配管Pを管継手1に接続できるため、配管Pの接続に関する作業が従来よりも簡素化される。このため、上述の配管Pの接続方法では、管継手1に対し配管Pを適切に、かつ、容易に接続することができる。
【0027】
第1実施形態の管継手1は、以下の効果を奏する。
(1)配管Pの先端位置PTを示す指標30が継手本体10の外周側に設けられているため、従来のように配管P毎に標線を記入する必要がなく、作業者の手間が軽減される。また、受口11の外側から配管Pの先端位置を確認しながら、指標30により示される先端位置PTの基準に基づいて配管Pを受口11内に挿入できるため、管継手1に対し配管Pを適切に接続することができる。このように、管継手1に対し配管Pを適切、かつ、容易に接続することができる。
【0028】
(2)受口11内に挿入される配管Pの先端面PFが弾性部材20と当接することによって弾性部材20が撓むため、配管Pが鋏等の市販の工具を用いて切断されることにより形成された配管Pの先端面PFに傾斜面が含まれる場合においても、配管Pの先端面PFと弾性部材20との間に隙間が形成されにくくなる。このため、配管Pを流れる液体が配管Pの先端面PFと弾性部材20との間に侵入しにくくなり、管継手1の水密性が向上する。
【0029】
(3)指標30が継手本体10の外周側において、配管Pと当接していない状態の弾性部材20の当接面21に対して受口11の底面11C側に設けられているため、配管Pの先端面PFを弾性部材20に弾性的に当接させることによって配管Pの先端面PFと指標30とが近づけられる。このため、受口11内に挿入される配管Pの先端位置PTと指標30との位置関係を受口11の外側から容易に認識できる。
【0030】
(4)指標30が継手本体10と一体的に設けられているため、指標30として別構成の部品を必要とせず、管継手1の部品点数が削減される。
(5)配管Pと管継手1とを接続する接着剤が配管Pの外表面PSに加えて配管Pの先端面PFにも塗布されるため、管継手1の水密性が一層向上する。
【0031】
(第2実施形態)
図5及び
図6を参照して、第2実施形態の管継手1について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
図5及び
図6に示されるように、継手本体10は、胴部12の外表面12Aが受口11の外表面11Aに対して凹むように構成されている。管継手1は、継手本体10の外周側から胴部12の外表面12A、及び受口11の外表面11Aの少なくとも一部を覆うように継手本体10に取り付けられた断熱用のカバー部材40をさらに備える。カバー部材40は、胴部12の外表面12Aとの間に気密性の高い空気層50が形成されるように、胴部12の外表面12A及び受口11の外表面11Aの一部を覆っている。このため、カバー部材40が継手本体10に取り付けられることによって、継手本体10の断熱性能が向上する。
【0033】
第2実施形態の管継手1は、第1実施形態の指標30に代えて、カバー部材40における受口11の外表面11Aを覆う側の端面40Aにより構成される指標41を備える。このように構成される指標41は、カバー部材40と一体的に設けられた指標といえる。カバー部材40の端面40Aは、指標41として機能する。指標41の機能は、指標30の機能と同じである。指標41は、継手本体10の外周側において、配管Pと当接していない状態の弾性部材20の当接面21に対して受口11の底面11C側に設けられている。継手本体10の軸心方向において、配管Pと当接していない状態の弾性部材20の当接面21と指標41との距離は、指標41と受口11の底面11Cとの距離よりも短い。
【0034】
図6に示されるように、配管Pの外表面PS及び配管Pの先端面PFに接着剤が塗布され、受口11の外側から配管Pの先端位置PTを確認しながら、第1実施形態と同様に指標41により示される先端位置PTの基準に基づいて受口11内に配管Pが挿入される。これにより、管継手1に対し配管Pが適切に接続された状態が形成される。このように、第2実施形態の管継手1及び配管Pの接続方法では、管継手1に対し配管Pを適切に、かつ、容易に接続することができる。また、指標41がカバー部材40と一体的に設けられているため、指標41として別構成の部品を必要とせず、管継手1の部品点数が削減される。また、カバー部材40の端面40Aが指標41として用いられるため、管継手1の構成が簡素化される。
【0035】
(第3実施形態)
図7及び
図8を参照して、第3実施形態の管継手1について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0036】
図7及び
図8に示されるように、継手本体10は、胴部12の外表面12Aが受口11の外表面11Aに対して凹むように構成されている。管継手1は、継手本体10の外周側から胴部12の外表面12A、及び受口11の外表面11Aの少なくとも一部を覆うように継手本体10に取り付けられた断熱用のカバー部材60をさらに備える。カバー部材60は、胴部12の外表面12A及び受口11の外表面11Aとの間に気密性の高い空気層70が形成されるように、胴部12の外表面12A及び受口11の外表面11Aの一部を覆っている。このため、カバー部材60が継手本体10に取り付けられることによって、継手本体10の断熱性能が向上する。第3実施形態の指標30は、カバー部材60と一体的に設けられている。
【0037】
図8に示されるように、配管Pの外表面PS及び配管Pの先端面PFに接着剤が塗布され、受口11の外側から配管Pの先端位置PTを確認しながら、第1実施形態と同様に指標30により示される先端位置PTの基準に基づいて受口11内に配管Pが挿入される。これにより、管継手1に対し配管Pが適切に接続された状態が形成される。このように、第3実施形態の管継手1及び配管Pの接続方法では、管継手1に対し配管Pを適切に、かつ、容易に接続することができる。また、指標30がカバー部材60と一体的に設けられているため、指標30として別構成の部品を必要とせず、管継手1の部品点数が削減される。
【0038】
(第4実施形態)
図9を参照して、第4実施形態の空気調和システム100について説明する。
空気調和システム100は、例えばビルの屋上に設置された室外ユニット101、ビルの各階の天井裏に設置された複数の室内ユニット102、及び室外ユニット101と複数の室内ユニット102とを接続する配管システム103を備える。配管システム103は、室外ユニット101と複数の室内ユニット102との間で冷媒を流通させるための冷媒配管104、及び複数の室内ユニット102のドレン水を排水するためのドレン配管105を有する。冷媒配管104は、室外ユニット101から鳩小屋106を介して各階の各室内ユニット102に接続されている。ドレン配管105は、天井裏及び鳩小屋106に亘って延びている。ドレン配管105は、例えば管継手110によってドレン配管105同士が接続されている。
【0039】
ドレン配管105における管継手110として、第1実施形態〜第3実施形態のいずれかの管継手1と実質的に同じ構成を有する管継手が用いられる。具体的には、管継手110は、少なくとも継手本体10、弾性部材20、及び指標30,41を備える。管継手110としては、エルボ111及びチーズ112が適宜使用されている。管継手110に対するドレン配管105の接続方法は、第1実施形態〜第3実施形態の配管Pの接続方法と同じである。このような構成によれば、管継手110に対しドレン配管105を容易に、かつ、適切に接続することができるため、空気調和システム100の施工性が向上する。なお、管継手110が第2実施形態又は第3実施形態と実質的に同じ構成を有する例では、カバー部材40,60は、エルボ111及びチーズ112のそれぞれに対応した形状を有する。
【0040】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明の管継手、配管の接続方法、及び空気調和システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明の管継手、配管の接続方法、及び空気調和システムは、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0041】
・第1実施形態の指標30は、継手本体10と別体で設けられてもよい。例えば、指標30は、継手本体10とは別構成の部品で構成され、継手本体10に取り付けられる。また、第3実施形態の指標30においても、上記変形例の指標30と同様にカバー部材60と別体で設けられてもよい。
【0042】
・各実施形態の指標30は、突条部31に代えて、受口11の外表面11Aに対して受口11の径方向内側に凹んだ凹溝部(図示略)を有してもよい。凹溝部は、例えば受口11の外表面11Aにおいて、受口11の周方向に沿って延びるように形成される。
【0043】
・弾性部材20を構成する材料は、発泡ポリエチレンに代えて、塩化ビニルシート、EPDM(Ethylene Propylene Diene Methylene linkage)、又はEPT(Ethylene Propylene Terpolymer)等であってもよい。
【0044】
・継手本体10を構成する材料は、塩化ビニル樹脂に代えて、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、PP(Polypropylene)樹脂、PS(Polystyrene)樹脂、PC(Polycarbonate)樹脂、又はPE(Polyethylene)樹脂等の透明又は半透明材料であってもよい。
【0045】
・各実施形態の管継手1,110において、複数の受口11は、少なくとも1つが異なる内径を有する受口11を含んでいてもよい。例えば、複数の受口11は、互いに異なる内径を有する2つの受口11を含むものでもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,110 管継手
10 継手本体
11 受口
11A 外表面
11B 内周面
11C 底面
12 胴部
12A 外表面
20 弾性部材
21 当接面
30,41 指標
40,60 カバー部材
40A 端面
100 空気調和システム
105 ドレン配管
P 配管
PF 先端面
PS 外表面
PT 先端位置