(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記XY補正量は、前記複数の位置のうちの対応する位置のXY座標を前記位置決め装置に指示したときに前記カメラによって撮影される第3画像の中心に対する、前記第3画像中の前記対応する位置のX方向およびY方向の少なくとも一方のずれ量である、請求項1に記載の基板観察装置。
前記指令位置決定部は、前記基板の表面内のUV座標系における前記観察対象位置のUV座標を受けた場合、前記基板の表面の2点の各々のUV座標とXY座標とに基づいて決定されたUV座標からXY座標への変換式に従って、前記観察対象位置のUV座標をXY座標に変換し、変換後のXY座標を前記指令位置のXY座標として決定する、請求項1に記載の基板観察装置。
前記XY補正量は、前記複数の位置のうちの対応する位置のXY座標と前記観察光学系とを前記位置決め装置に指示したときに前記カメラによって撮影される画像の中心に対する、前記画像中の前記塗布材料が塗布された領域のX方向およびY方向の少なくとも一方のずれ量であり、
前記画像は、前記対応する位置のXY座標と前記塗布機構とを前記位置決め装置に指示してから前記塗布機構により前記塗布材料を塗布させた後に撮影される、請求項5に記載の塗布装置。
前記指令位置決定部は、前記基板の表面内のUV座標系における前記塗布対象位置のUV座標を受けた場合、前記基板の表面の2点の各々のUV座標とXY座標とに基づいて決定されたUV座標からXY座標への変換式に従って、前記塗布対象位置のUV座標をXY座標に変換し、変換後のXY座標を前記指令位置のXY座標として決定する、請求項5に記載の塗布装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。また、以下で説明する変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0025】
[実施の形態1]
(塗布装置全体の構成)
図1は、実施の形態1に従った液体塗布装置200の模式的な斜視図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態1である液体塗布装置200は、床面に配置された基台12と、X軸ステージ1と、Y軸ステージ2と、Z軸ステージ3と、塗布機構4と、観察光学系6と、観察光学系6に接続されたCCDカメラ7と、制御部11とを備えている。液体塗布装置200は、観察光学系6を介して基板の表面を観察する基板観察装置ともいえる。
【0026】
基台12の上面には、
図1中のY軸方向に移動可能に構成されたY軸ステージ2が設置されている。具体的には、Y軸ステージ2の下面にガイド部が設置されており、基台12の上面に設置されたガイドレールに沿って摺動可能に接続されている。また、Y軸ステージ2の下面には、ボールねじが接続されている。ボールねじをモータなどの駆動部材により動作させることにより、Y軸ステージ2はガイドレールに沿って(Y軸方向に)移動可能になっている。また、Y軸ステージ2の上面部は、被塗布物である基板5を搭載する搭載面となっており、XY平面である。基板5は矩形状である。
【0027】
基台12上には、X軸方向にY軸ステージ2のガイドレールを跨ぐように設置された門型の構造体が設けられている。この構造体上には、X軸方向に移動可能なX軸ステージ1が搭載されている。たとえばボールねじを用いてX軸方向に移動可能としている。
【0028】
X軸ステージ1の移動体には、Z軸ステージ3が搭載されており、このZ軸ステージ3に塗布機構4および観察光学系6が搭載される。塗布機構4および観察光学系6は、一体となって、Z軸ステージ3とともにX方向へ移動可能とされている。Z軸ステージ3は、これらの塗布機構4および観察光学系6をZ軸方向に移動可能に支持している。塗布機構4と観察光学系6との相対位置関係は、X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3の状態にかかわらず常に一定である。
【0029】
塗布機構4は、塗布ユニットに設けられた塗布針を用いて、XY平面であるY軸ステージ2の上面部に配置された基板5の被塗布面(上面側)に塗布材料を塗布するものである。観察光学系6は、XY平面に配置された基板5の表面をZ方向から観察するためのものである。CCDカメラ7は、観察光学系6を介して基板5の表面の一部の拡大画像を撮影するための部材であり、観察した画像(拡大画像)を電気信号に変換する。
【0030】
制御部11は、操作パネル8、モニタ9、制御用コンピュータ10を備え、X軸ステージ1、Y軸ステージ2、Z軸ステージ3、塗布機構4および観察光学系6を制御する。操作パネル8は、制御用コンピュータ10への指令を入力するために用いられる。モニタ9は、観察光学系6のCCDカメラ7で変換された画像データおよび、制御用コンピュータ10からの出力データを表示する。
【0031】
なお、X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3は、上記の構成に限定されず、観察光学系6および塗布機構4を基板5に対してXYZ方向に相対的に移動および位置決め可能な構成であればよい。たとえば、塗布機構4および観察光学系6を搭載したZ軸ステージ3をX軸ステージ1に搭載し、さらにX軸ステージ1をY軸ステージ2に搭載し、Z軸ステージ3をXY方向に移動可能とするガントリー方式と呼ばれる構成でもよい。
【0032】
(塗布機構の構成)
塗布ユニット20が設けられている塗布機構4について、
図2を参照して説明する。
図2は、
図1に示した塗布装置に用いられる塗布機構を示す模式図である。
図2(A)には正面図が示され、
図2(B)には側面図が示される。
【0033】
図2に示されるように、塗布機構4は、針移動機構19と、塗布ユニット20とを含む。針移動機構19は、先端23をテーパ状に先細りさせた1本の塗布針24を保持する。
図2(B)に示されるように、針移動機構19は、塗布針24を保持する塗布針ホルダ14と、サーボモータ15と、バネ16と、カム17と、カムフォロア18と、カム連結板25と、可動部26と、架台27と、リニアガイド28とを含む。
【0034】
サーボモータ15は、
図1に示したZ軸方向に沿う方向に回転軸が設けられる。サーボモータ15の回転軸15bにはカム17が接続される。カム17の上部表面には、カムフォロア18をガイドするスロープ状のカム面17aが形成される。そして、サーボモータ15の駆動により回転軸が回転すると、カム17は、カム面17aを上方に向けた状態で回転する。
【0035】
カム17とカムフォロア18との間には、バネ16の張力が作用して、可動部26およびカム連結板25を介してカムフォロア18をカム面17aに押圧している。このため、サーボモータ15の回転によりカム17が回転する際、バネ16の張力により、カムフォロア18は、カム面17aに押圧されて接触した状態が保たれる。
【0036】
カムフォロア18には、カム連結板25が接続されていて、かつカム連結板25の反対側の端部は可動部26に固定される。可動部26には、下端部に塗布針ホルダ14が装着され、塗布針ホルダ14の下側面から1本の塗布針24が下方に先端23を向けて保持される。サーボモータ15の駆動により、カム17が回転すると、カムフォロア18の上,下方向の移動に伴って、塗布針24は上,下方向に往復移動される。
【0037】
塗布ユニット20には、容器21が含まれる。容器21は、支持部29によって架台27に固定される。容器21には、パターンの描画を行なう際に用いる塗布材料が保持される。また、容器21の底面部には、貫通孔22が1つ形成される。
図2(A)に示されるように、容器21の底部に形成された貫通孔22は、塗布針24を貫通させて下方へ向けて先端23を突出させることができる大きさで、かつ、容器21に保持された塗布材料が垂れ落ちない大きさに設定される。
【0038】
針移動機構19によって上,下方向に往復移動される塗布針24は、貫通孔22から下向きに移動すると、先端23の表面に塗布材料を付着させた状態で、貫通孔22から被塗布物に向けて突出する。
【0039】
(塗布機構の動作)
図3は、
図2に示した塗布機構4の動作にともなう塗布針24の位置を説明するための模式的な断面図である。制御部11からの制御信号により、
図2に示す塗布機構4のサーボモータ15は、回転軸15bを回転させてカム17を回転させる。この結果、カム17のカム面17aは、Z軸方向の高さ位置が変化するため、カム面17aと接するカムフォロア18の高さ位置も変化する。
図2(A)に示されるように、カム面17aのうち、比較的上方の上側領域17bにカムフォロア18が近接する状態で塗布針24は上昇し、比較的下方の下側領域17cにカムフォロア18が近接する状態で塗布針24は下降する。これにより、サーボモータ15を駆動させると、カム17を介して塗布針24の先端23を上,下方向に往復移動させることができる。
【0040】
たとえば、カムフォロア18がカム17のカム面17aにおける上側領域17bに接している状態では、
図3(A)に示されるように、塗布針24は、その移動が可能な範囲の上端位置(サーボモータ15に最も近い位置)に移動している。このとき、塗布針24の先端23は、容器21内に保持されている塗布材料100内に浸されている。
【0041】
サーボモータ15の回転軸15bの回転により、さらにカム17が回転してカムフォロア18がカム面17aにおける下側領域17cに到達すると、塗布針24は、
図3(B)のように下端位置に移動する。これにより先端23は、容器21の底部に形成された貫通孔22を貫通して容器21の底面から下向きに突出する。
【0042】
なお、塗布機構4は、
図2および
図3に示す構造に限定されず、たとえば特開2009−122259号公報に記載されたように複数の塗布ユニットを含んでもよい(特開2009−122259号公報の
図2,6,7,13,16参照)。さらに、塗布機構4は、塗布針を用いて機構に限定されず、他の機構を用いてもよい。たとえば、塗布機構4は、ディスペンサまたはインクジェットなどの機構を用いてもよい。
【0043】
(制御用コンピュータの構成)
図4は、制御用コンピュータ10の内部構成の概略を示す機能ブロック図である。制御用コンピュータ10は、たとえばCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とによって構成される。なお、これらの部位は、内部バスを介して互いに接続される。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMなどに展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、制御用コンピュータ10の処理方法が記されたプログラムである。
図4に示されるように、制御用コンピュータ10は、画像取得部101と、ステージ制御部102と、指令位置決定部103と、補正マップ生成部104と、記憶部105と、補正部106とを含む。
【0044】
画像取得部101は、観察光学系6のCCDカメラ7によって撮影された画像を取得する。画像取得部101は、取得した画像をモニタ9に表示したり、補正マップ生成部104に出力したりする。
【0045】
ステージ制御部102は、X軸ステージ1とY軸ステージ2とZ軸ステージ3とを制御し、指示されたXYZ座標に従って観察光学系6のX方向、Y方向およびZ方向の位置決めを行なう。ここで、XYZ座標は、Y軸ステージ2の上面部をXY平面とし、当該上面部の法線方向をZ方向とする座標系によって示される。すなわち、X軸およびY軸は、Y軸ステージ2の上面部に固定される。そのため、XYZ座標によって、Y軸ステージ2の上面部に対する相対位置を指示することができる。基板5は、Y軸ステージ2の上面部の固定位置に配置される。したがって、XYZ座標によって、基板5に対する相対位置を指示することができるとも言える。
【0046】
ステージ制御部102は、指示されたXY座標に観察光学系6の光軸が位置し、指示されたZ座標に観察光学系6の所定位置(たとえばY軸ステージ2側の先端位置)が位置するように、X軸ステージ1とY軸ステージ2とZ軸ステージ3とを制御する。
【0047】
このように、ステージ制御部102は、X軸ステージ1とY軸ステージ2とZ軸ステージ3とともに、観察光学系6のX方向,Y方向およびZ方向の位置決めを行なうための位置決め装置30を構成する。
【0048】
指令位置決定部103は、基板5の表面の観察対象位置の指定を受け、観察光学系6の指令位置のXYZ座標を決定する。「指令位置」とは、X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3が設計通りに正確に組み付けられていることを前提として、基板5の表面の観察対象位置を観察するための理想的な観察光学系6の相対位置である。指令位置決定部103は、観察対象位置のXY座標を指令位置のXY座標とする。さらに、指令位置決定部103は、観察光学系6の焦点が基板5の表面に合うように、基板5の厚みに応じて予め定められたZ座標を指令位置のZ座標とする。
【0049】
指令位置決定部103は、ユーザが操作パネル8に入力した情報から観察対象位置のXY座標を取得してもよいし、制御用コンピュータ10に接続された記録媒体から観察対象位置のXY座標を取得してもよい。
【0050】
指令位置決定部103は、補正マップの作成処理のときに、決定した指令位置のXYZ座標を補正マップ生成部104に出力する。指令位置決定部103は、補正マップの作成処理以外のときに、決定した指令位置のXYZ座標を補正部106に出力する。指令位置決定部103は、ユーザが操作パネル8に入力した情報に基づいて、補正マップの作成処理を行なうか否かを判断する。もしくは、指令位置決定部103は、所定のタイミングのときに補正マップの作成処理を行なうと判断してもよい。
【0051】
補正マップ生成部104は、XY平面(Y軸ステージ2の上面部)内の複数の位置の各々とXYZ補正量とを対応付けた補正マップを生成し、生成した補正マップを記憶部105に格納する。
【0052】
観察光学系6とY軸ステージ2の上面部との相対位置は、X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3の、仕上り寸法誤差、組み付け誤差、ピッチング、ヨーイング等によって微妙に変化する。そのため、指令位置決定部103が決定した指令位置のXYZ座標に従って観察光学系6を位置決めしたとしても、CCDカメラ7によって撮影された画像の中心から観察対象位置がずれたり、画像のコントラストが低くなることがある。このような問題を抑制するために、補正マップ生成部104により補正マップが生成される。
【0053】
記憶部105は、補正マップ生成部104によって生成された補正マップを記憶する。記憶部105は、たとえば不揮発性メモリである。
【0054】
図5は、記憶部105が記憶する補正マップの一例を示す図である。
図5に示す補正マップには、XY平面のうち基板5が配置される領域をM×N個の複数の区域に分割したときの、当該複数の区域の各々に対応するXYZ補正量が示される。複数の区域の各々は、(i,j)によって特定される。iは、0,1,2,・・・,M−1のいずれかを取り得る。jは、0,1,2,・・・,N−1のいずれかを取り得る。区域のX方向のピッチLxは、矩形状の基板5のX方向の長さをWとするとき、Lx=W/Mとなる。区域のY方向のピッチLyは、基板のY方向の長さをHとするとき、Ly=H/Nとなる。
図5において、ΔxはX補正量を示し、ΔyはY補正量を示し、ΔzはZ補正量を示す。また、
図5に示す補正マップには、区域ごとに、当該区域にXYZ補正量が設定されているか否かを示すフラグを含む。
【0055】
図4に戻って、補正部106は、観察対象位置に対応するXYZ補正量を補正マップから参照する。補正部106は、参照したXYZ補正量に基づいて指令位置のXYZ座標を補正し、補正後のXYZ座標をステージ制御部102に指示する。
【0056】
補正後のXY座標をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像を第1画像とする。指令位置のXY座標をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像を第2画像とする。このとき、補正マップに示されるXY補正量は、第1画像の中心と第1画像中の観察対象位置との距離が、第2画像の中心と第2画像中の観察対象位置との距離よりも短くなるように設定される。
【0057】
さらに、補正マップに示されるZ補正量は、補正後のZ座標をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像(第4画像)のコントラストが、指令位置のZ座標をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像(第5画像)のコントラストよりも高くなるように設定される。
【0058】
(観察光学系の位置決め方法)
図6を参照して、制御用コンピュータ10における観察光学系6の位置決め方法の流れについて説明する。
図6は、制御用コンピュータ10における観察光学系6の位置決め方法の流れを示すフローチャートである。
【0059】
まずステップS100において、制御用コンピュータ10は、補正マップを生成する。次にステップS200において、制御用コンピュータは、補正マップを用いて、基板5の表面の観察対象位置に応じた観察光学系6のX方向、Y方向およびZ方向の位置決めを行なう。これにより、ユーザは、CCDカメラ7によって撮影された画像によって、基板5の表面を観察することができる。以下、補正マップの生成処理(ステップS100)および観察光学系6の位置決め処理(ステップS200)の詳細について説明する。
【0060】
(補正マップの生成処理(ステップS100))
図7を参照して、補正マップの生成処理の流れについて説明する。
図7は、補正マップの生成処理の流れを示すフローチャートである。補正マップの生成処理を開始するとき、記憶部105が記憶する補正マップの各区域のXYZ補正量およびフラグが全て0に初期化される。
【0061】
まずステップS11において、基板5がY軸ステージ2の上面部の固定位置に配置される。
図8は、基板5の一例を示す図である。
図8に示されるように、基板5には、複数の円状パターン50が形成されている。矩形状の基板5は、上面側から見たときに、左下角がXY平面の原点に位置し、下端がX軸上に位置し、左端がY軸上に位置するように、Y軸ステージ2の固定位置に配置される。
【0062】
複数の円状パターン50は、等間隔に形成される。CCDカメラ7によって撮影される画像(拡大画像)内に2つ以上の円状パターン50が含まれないように、複数の円状パターン50の間隔が設定されている。
【0063】
ステップS12において、指令位置決定部103は、基板5の表面の複数の観察対象位置の指定を受け、当該複数の観察対象位置の各々に応じた観察光学系6の指令位置のXYZ座標を決定する。ここでは、基板5に形成された複数の円状パターン50(
図8参照)の各々の中心が観察対象位置として設定され、指令位置決定部103は、複数の円状パターン50の各々の中心座標を示す座標ファイルを取得する。座標ファイルは、基板5の左下角を原点とし、基板5の下端をU軸とし、基板5の左端をV軸とするUV座標系における、複数の円状パターン50の各々の中心の座標を示す。指令位置決定部103は、たとえば制御用コンピュータ10に接続された記録媒体から座標ファイルを取得すればよい。上述したように、基板5は、左下角がXY平面の原点に位置し、下端がX軸上に位置し、左端がY軸上に位置するように配置される。そのため、UV座標系はXY座標系と一致する。したがって、円状パターン50の中心のUV座標は、観察対象位置のXY座標となる。指令位置決定部103は、観察対象位置のXY座標を指令位置のXY座標として決定するとともに、基板5の厚みに応じて予め定められたZ座標を指令位置のZ座標として決定する。
【0064】
ステップS13において、補正マップ生成部104は、指令位置決定部103が決定した1つの指令位置を選択する。選択した指令位置のXYZ座標を(gx,gy,gz)とする。
【0065】
ステップS14において、補正マップ生成部104は、選択した指令位置の座標(gx,gy,gz)をステージ制御部102に指示する。これにより、ステージ制御部102は、X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3を制御して、座標(gx,gy,gz)に従って観察光学系6を位置決めする。
【0066】
ステップS15において、補正マップ生成部104は、指令位置のZ座標gzを含む複数のZ座標をステージ制御部102に順次指示し、Z軸ステージ3を上下移動させる。補正マップ生成部104は、複数のZ座標の各々に対して、Z軸ステージ3が移動した後にCCDカメラ7によって撮影された画像を画像取得部101から受ける。
【0067】
ステップS16において、補正マップ生成部104は、画像取得部101から受けた複数の画像の各々のコントラスト値Cを算出する。そして、補正マップ生成部104は、最も大きいコントラスト値Cに対応する画像を撮影したときの観察光学系6のZ座標と、指令位置のZ座標gzとのずれ量Δzを、Z補正量として算出する。
【0068】
たとえば、補正マップ生成部104は、以下の式(1)および式(2)に従って、微分値dx(p,q)、dy(p,q)を各画素について求める。そして、補正マップ生成部104は、以下の式(3)に従って、コントラスト値Cを算出する。ここで、pは画素の横方向の位置を示し、qは画素の縦方向の位置を示し、f(p,q)は画素(p,q)における輝度値を示し、Pは画像における横方向の画素数を示し、Qは画像における縦方向の画素数を示す。s,tは、微分値dx(p,q)、dy(p,q)を算出するための参照画素との距離を示し、適宜設定される定数である。画素(p+s,q)は、画素(p,q)から+sだけ横方向にずれた参照画素であり、画素(p−s,q)は、画素(p,q)から−sだけ横方向にずれた参照画素である。画素(p,q+t)は、画素(p,q)から+tだけ縦方向にずれた参照画素であり、画素(p,q−t)は、画素(p,q)から−tだけ縦方向にずれた参照画素である。
dx(p,q)=|2f(p,q)−f(p−s,q)−f(p+s,q)| 式(1)
dy(p,q)=|2f(p,q)−f(p,q−t)−f(p,q+t)| 式(2)
【0070】
なお、式(1)および式(2)では、画素(p,q)に対して横方向および縦方向にずれた参照画素に基づいて微分値dx(p,q)、dy(p,q)がそれぞれ算出されるが、画素(p,q)に対して斜め方向にずれた参照画素に基づいて微分値が算出されてもよい。
【0071】
ステップS17において、補正マップ生成部104は、コントラスト値Cが最大となる画像(拡大画像)中の円状パターン50の位置に基づいて、X補正量ΔxとY補正量Δyとを算出する。
【0072】
図9は、コントラスト値Cが最大となる画像の一例を示す図である。補正マップ生成部104は、画像の中から円状パターン50の中心R1を検出し、画像の中心Gに対する円状パターン50の中心R1のX方向のずれ量ΔxとY方向のずれ量Δyとを算出する。補正マップ生成部104は、算出したずれ量Δx,ΔyをそれぞれX補正量、Y補正量として決定する。
【0073】
補正マップ生成部104による円状パターン50の中心R1の検出方法としては、公知の画像処理による検出法を用いることができる。たとえば、パターンマッチング法を用いて中心R1を検出してもよいし、画像を二値化し、その重心を中心R1として検出してもよい。
【0074】
ステップS18において、補正マップ生成部104は、ステップS16およびステップS17で算出した補正量Δx,Δy,Δzに基づいて、記憶部105が記憶する補正マップを更新する。
【0075】
図5に示す補正マップの場合、補正マップ生成部104は、ステップS13で選択した指令位置に対応する区域(i,j)を特定する。具体的には、区域のX方向のピッチLx(=W/M)を用いて、補正マップ生成部104は、指令位置のX座標gxをLxで除算した商の値(整数値)をiとする。区域のY方向のピッチLy(=H/N)を用いて、補正マップ生成部104は、指令位置のY座標gyをLyで除算した商の値(整数値)をjとする。これにより、補正マップ生成部104は、指令位置に対応する区域(i,j)を特定する。補正マップ生成部104は、特定した区域(i,j)に対応する補正量を、ステップS16およびステップS17で算出した補正量Δx,Δy,Δzに更新する。このとき、補正マップ生成部104は、区域(i,j)に対応するフラグを、補正量を更新したことを示す「1」に変更する。
【0076】
ステップS19において、補正マップ生成部104は、ステップS12で決定された指令位置のうち未選択の指令位置があるか確認する。未選択の指令位置がある場合、処理はステップS13に戻される。未選択の指令位置がない場合、処理は終了する。
【0077】
(観察光学系6の位置決め処理(ステップS200))
図10を参照して、観察光学系6の位置決め処理の流れについて説明する。
図10は、観察光学系6の位置決め処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
ますステップS21において、基板5がY軸ステージ2の上面部の固定位置に配置される。このとき、基板5は、上面側から見たときに、左下角がXY平面の原点に位置し、下端がX軸上に位置し、左端がY軸上に位置するように、Y軸ステージ2の配置される。
【0079】
ステップS22において、指令位置決定部103は、基板5の表面の観察対象位置の指定を受け、観察対象位置に応じて観察光学系6の指令位置のXYZ座標を決定する。観察対象位置とは、たとえば基板5において配線が欠落した位置などである。指令位置決定部103は、観察対象位置のXY座標を指令位置のXY座標として決定するとともに、基板5の厚みに応じて予め定められたZ座標を指令位置のZ座標として決定する。指令位置のXYZ座標を(gx,gy,gz)とする。
【0080】
ステップS23において、補正部106は、観察対象位置(XY座標(gx、gy))に対応する補正量Δx,Δy,Δzを、記憶部105が記憶する補正マップから参照する。補正部106は、参照した補正量Δx,Δy,Δzに従って、指令位置のXYZ座標(gx,gy,gz)を補正し、補正後のXYZ座標(gx+Δx,gy+Δy,gz+Δz)を生成する。
【0081】
ステップS24において、補正部106は、補正後のXYZ座標(gx+Δx,gy+Δy,gz+Δz)をステージ制御部102に指示する。これにより、ステージ制御部102は、X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3を制御して、指示された補正後のXYZ座標(gx+Δx,gy+Δy,gz+Δz)に従って観察光学系6を位置決めする。ステップS24により、位置決め処理は終了する。
【0082】
図11は、ステップS24の後にCCDカメラ7によって撮影された画像の一例を示す。
図11には、観察対象位置として、基板5の円状パターン50の中心が設定されたときの画像が示される。
図11に示される画像における、中心Gと円状パターン50の中心R1との距離は、
図9に示される画像における、中心Gと円状パターン50の中心R1との距離よりも短い。
図11に示される画像は、補正後のXY座標(gx+Δx,gy+Δy)をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像(第1画像)に対応する。一方、
図9に示される画像は、指令位置のXY座標(gx,gy)をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像(第2画像)に対応する。このように、X補正量ΔxおよびY補正量Δyは、第1画像の中心と第1画像中の観察対象位置との距離が、第2画像の中心と第2画像中の観察対象位置との距離よりも短くなるように設定される。
【0083】
さらに、
図11に示される画像のコントラストは、指令位置のZ座標gzをステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像(第5画像)のコントラストよりも高い。
図11に示される画像は、補正後のZ座標gz+Δzをステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像(第4画像)に対応する。このように、Z補正量Δzは、第4画像のコントラストが第5画像のコントラストより高くなるように設定される。
【0084】
(変形例)
上記の説明では、補正マップの生成処理と観察光学系6の位置決め処理とを別のタイミングで行なうものとした。しかしながら、制御用コンピュータ10は、補正マップの生成処理と観察光学系6の位置決め処理とを並行して行なってもよい。
【0085】
図12は、補正マップの生成処理と観察光学系6の位置決め処理とを並行して行なうときの処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
まずステップS31において、複数の円状パターン50が形成された基板5がY軸ステージ2の上面部の固定位置に配置される。
【0087】
ステップS32において、指令位置決定部103は、基板5の表面の観察対象位置の指定を受け、観察対象位置に応じて観察光学系の指令位置のXYZ座標を決定する。指令位置のXYZ座標を(gx,gy,gz)とする。
【0088】
ステップS33において、指令位置決定部103は、補正マップの複数の区域の中から、指令位置のXY座標に対応する区域を特定し、特定した区域のフラグが「0」か否かを確認する。フラグが「0」である場合(ステップS33でYES)、ステップS34において補正マップの生成処理が実行される。ステップS34の処理は、
図7に示すステップS14〜S18の処理と同じである。
【0089】
フラグが「1」である場合(ステップS33でNO)、または、ステップS34の後、ステップS35,S36が行なわれる。ステップS35,S36は、それぞれ
図10に示すステップS13,S14と同じである。
【0090】
これにより、観察光学系6の位置決め処理の際に、補正マップにおいてフラグ「0」の区域の補正量を更新することができる。
【0091】
(利点)
以上のように、実施の形態1に係る液体塗布装置(基板観察装置)200は、観察光学系6と、CCDカメラ7と、ステージ制御部102と、指令位置決定部103と、記憶部105と、補正部106とを備える。ステージ制御部102は、指示されたXY座標に従って、観察光学系6のX方向およびY方向の位置決めを行なう位置決め装置30を構成する。指令位置決定部103は、基板5の表面上の観察対象位置のXY座標を観察光学系6の指令位置のXY座標として決定する。記憶部105は、XY平面内の複数の位置の各々に対応するXY補正量を記憶する。補正部106は、観察対象位置に対応するXY補正量を記憶部105から参照し、参照したXY補正量を用いて指令位置のXY座標を補正し、補正後のXY座標をステージ制御部102に指示する。補正後のXY座標をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像を第1画像とし、指令位置のXY座標をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像を第2画像とする。このとき、XY補正量は、第1画像の中心と第1画像中の観察対象位置との距離が、第2画像の中心と第2画像中の観察対象位置との距離よりも短くなるように設定される。
【0092】
上記の構成により、基板5の表面の観察対象位置を指定して、CCDカメラ7によって撮影された画像により基板5の表面を観察したとき、観察対象位置が画像の中心付近に存在する。このように、液体塗布装置200は、観察対象位置を観察する際に、観察光学系6を精度良く位置決めすることができる。
【0093】
X補正量ΔxおよびY補正量Δyは、補正マップの生成処理において指定された円状パターン50の中心のXY座標をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像(
図9参照)(第3画像)に基づいて設定される。すなわち、X補正量Δxは、当該画像の中心Gに対する、当該画像中の円状パターン50の中心R1のX座標のずれ量である。同様に、Y補正量Δyは、当該画像の中心Gに対する、当該画像中の円状パターン50の中心R1のY座標のずれ量である。これにより、観察光学系6の位置決め処理(S200)の後にCCDカメラ7によって撮影された画像(
図11参照)において、画像の中心付近に観察対象位置を確認することができる。
【0094】
さらに、ステージ制御部102は、指示されたZ座標に従って、観察光学系6のZ方向の位置決めを行なう。指令位置決定部103は、基板5の厚みに応じて予め定めれたZ座標を指令位置のZ座標として決定する。記憶部105は、XY平面内の複数の位置の各々に対応するZ補正量を記憶する。補正部106は、観察対象位置に対応するZ補正量を記憶部105から参照し、参照したZ補正量に基づいて指令位置のZ座標を補正し、補正後のZ座標を補正後のXY座標とともにステージ制御部102に指示する。
図7のステップS16の処理のため、Z補正量は、補正後のZ座標をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像(第4画像)のコントラストが、指令位置のZ座標をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像(第5画像)のコントラストよりも高くなるように設定される。
【0095】
上記の構成により、基板5の表面の観察対象位置を指定したときに、CCDカメラ7によって撮影された画像のコントラストが高くなる。その結果、基板5の表面を観察しやすくなる。
【0096】
また、本実施の形態1に係る液体塗布装置200における観察光学系6の位置決め方法は、第1〜第3工程を備える。第1工程(ステップS11〜S19)は、XY平面内の複数の位置の各々とXY補正量とを対応付けた補正マップを生成する工程である。第2工程(ステップS22)は、基板5の表面上の観察対象位置のXY座標を観察光学系6の指令位置のXY座標として決定する工程である、第3工程(ステップS23、S24)は、観察対象位置に対応するXY補正量を補正マップから参照し、参照したXY補正量に基づいて指令位置のXY座標を補正し、補正後のXY座標をステージ制御部102に指示する工程である。第1工程では、複数の位置(円状パターン50の中心)の各々について、ステップS17が行なわれる。すなわち、円状パターン50の中心のXY座標をステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像を取得し、取得した画像の中心に対する、画像中の円状パターン50の中心R1のX方向のずれ量ΔxをX補正量として算出する。同様に、画像の中心に対する、画像中の円状パターン50の中心R1のY方向のずれ量ΔyをY補正量として算出する。
【0097】
上記の構成によっても、液体塗布装置200は、観察対象位置を観察する際に、観察光学系6を精度良く位置決めすることができる。
【0098】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る液体塗布装置は、実施の形態1に係る液体塗布装置200の変形例である。上記の実施の形態1では、補正マップを用いて補正されたXYZ座標に基づいて観察光学系6の位置決めを行なった。これに対して、実施の形態2では、補正マップを用いて補正されたXYZ座標に基づいて塗布機構4の位置決めを行なう。
【0099】
(制御用コンピュータの構成)
図13は、実施の形態2に係る制御用コンピュータ10aの構成を示す機能ブロック図である。実施の形態2に係る液体塗布装置は、実施の形態1に係る液体塗布装置200と比較して、制御用コンピュータ10の代わりに
図11に示す制御用コンピュータ10aを備える点でのみ相違する。
図13に示されるように、制御用コンピュータ10aは、画像取得部101と、ステージ制御部102aと、指令位置決定部103aと、補正マップ生成部104aと、記憶部105と、補正部106aと、塗布機構制御部107とを備える。画像取得部101および記憶部105については、実施の形態1と同様の機能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0100】
ステージ制御部102aは、X軸ステージ1とY軸ステージ2とを制御し、指示されたXY座標に従って、観察光学系6および塗布機構4のうち指示された一方のX方向およびY方向を位置決めする。具体的には、ステージ制御部102aは、観察光学系6が指示された場合、指示されたXY座標に観察光学系6の光軸が位置するように、X軸ステージ1とY軸ステージ2とを制御する。ステージ制御部102aは、塗布機構4が指示された場合、指示されたXY座標に塗布機構4の塗布針24の軸が位置するように、X軸ステージ1とY軸ステージ2とを制御する。さらに、ステージ制御部102aは、Z軸ステージ3を制御し、指示されたZ座標に従って観察光学系6および塗布機構4のZ方向を位置決めする。
【0101】
上述したように、観察光学系6と塗布機構4とは、一体となってZ軸ステージ3に搭載される。そのため、塗布機構4と観察光学系6との相対位置関係は、X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3の状態にかかわらず常に一定である。塗布機構4の塗布針24の軸は、観察光学系6の光軸からX方向にΔux、Y方向にΔuyだけずれている。そのため、XY座標(gx,gy)と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示した場合の基板5に対する観察光学系6および塗布機構4の相対位置は、XY座標(gx+Δux,gy+Δuy)と観察光学系6とをステージ制御部102aに指示した場合の基板5に対する観察光学系6および塗布機構4の相対位置と同じである。
【0102】
さらに、塗布機構4が基板5に対して塗布材料を塗布可能な位置にあるとき、観察光学系6の焦点が基板5に合うように、塗布機構4と観察光学系6とのZ方向の相対位置関係が設定されている。
【0103】
ステージ制御部102aは、塗布機構4が指示された場合に限り、指示されたXYZ座標に従ってX軸ステージ1とY軸ステージ2とZ軸ステージ3とを制御した後に、塗布機構制御部107に塗布指示を出力する。
【0104】
このように、ステージ制御部102aは、X軸ステージ1とY軸ステージ2とZ軸ステージ3とともに、観察光学系6または塗布機構4のX方向,Y方向およびZ方向の位置決めを行なうための位置決め装置30aを構成する。
【0105】
指令位置決定部103aは、基板5の表面の塗布対象位置に応じた塗布機構4の指令位置のXYZ座標を決定する。実施の形態2における「指令位置」とは、基板5の表面の塗布対象位置に塗布材料を塗布するための理想的な塗布機構4の相対位置である。指令位置決定部103aは、塗布対象位置のXY座標を指令位置のXY座標とし、基板5の厚みに応じて予め定められたZ座標を指令位置のZ座標とする。
【0106】
指令位置決定部103aは、補正マップの作成処理のときに、操作パネル8に入力された情報から塗布対象位置のXY座標を取得してもよいし、制御用コンピュータ10aに接続された記録媒体から塗布対象位置のXY座標を取得してもよい。指令位置決定部103aは、補正マップの作成処理以外のときに、観察光学系6を介して画像取得部101が取得した画像上で確認された欠陥部分の位置のXY座標を、塗布対象位置のXY座標として取得する。
【0107】
指令位置決定部103aは、実施の形態1の指令位置決定部103と同様に、補正マップの作成処理のときに、決定した指令位置のXYZ座標を補正マップ生成部104aに出力する。指令位置決定部103aは、補正マップの作成処理以外のときに、決定した指令位置のXYZ座標を補正部106aに出力する。
【0108】
補正マップ生成部104aは、XY平面内の複数の位置の各々と補正量とを対応付けた補正マップを生成し、生成した補正マップを記憶部105に格納する。
【0109】
上述したように、観察光学系6を介して基板5の表面を観察することで欠陥部分の位置を確認した後、当該位置を塗布対象位置として指定して塗布機構4を位置決めしているにもかかわらず、塗布対象位置からずれて塗布座標が塗布されることがある。これは、観察光学系6の光軸と塗布機構4の塗布針24の軸とが離れていることと、X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3の、仕上り寸法誤差、組み付け誤差、ピッチング、ヨーイング等の影響とに起因する。このような問題を抑制するために、補正マップ生成部104aにより補正マップが生成される。
【0110】
補正部106aは、補正マップに従って、指令位置決定部103aから受けた指令位置のXYZ座標を補正し、補正後のXYZ座標と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示する。
【0111】
指令位置のXY座標と観察光学系6とをステージ制御部102aに指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像の中心にある基板5の表面の位置を基準位置とする。さらに、補正後のXY座標と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示した後に塗布機構4により基板5の表面に塗布材料を塗布したときの基板5の表面における塗布位置と基準位置との距離を距離Aとする。指令位置のXY座標と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示した後に塗布機構4により基板5の表面に塗布材料を塗布したときの基板5の表面における塗布位置と基準位置との距離を距離Bとする。このとき、補正マップに示されるXY補正量は、距離Aが距離Bよりも短くなるように設定される。
【0112】
さらに、補正マップに示されるZ補正量は、補正後のZ座標をステージ制御部102aに指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像のコントラストが、指令位置のZ座標をステージ制御部102aに指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像のコントラストよりも高くなるように設定される。
【0113】
塗布機構制御部107は、ステージ制御部102aから塗布指示を受けたとき、塗布針24を下降させるように塗布機構4を制御し、基板5の表面上に塗布材料を塗布させる。
【0114】
(塗布機構の位置決め方法)
図14を参照して、制御用コンピュータ10aにおける塗布機構4の位置決め方法の流れについて説明する。
図14は、制御用コンピュータ10aにおける塗布機構4の位置決め方法の流れを示すフローチャートである。
【0115】
まずステップS400において、制御用コンピュータ10aは、補正マップを生成する。次にステップS600において、制御用コンピュータ10aは、補正マップを用いて、基板5の表面の塗布対象位置に応じた塗布機構4のX方向、Y方向およびZ方向の位置決めを行なう。これにより、塗布機構4は、指定された塗布対象位置に精度良く塗布材料を塗布することができる。以下、補正マップの生成処理(ステップS400)および塗布機構4の位置決め処理(ステップS600)の詳細について説明する。
【0116】
(補正マップの生成処理(ステップS400))
図15を参照して、補正マップの生成処理の流れについて説明する。
図15は、実施の形態2における補正マップの生成処理の流れを示すフローチャートである。補正マップの生成処理を開始するとき、記憶部105が記憶する補正マップの各区域の補正量およびフラグが全て0に初期化される。
【0117】
まずステップS41において、基板5がY軸ステージ2の上面部の固定位置に配置される。基板5は、上面側から見たときに、左下角がXY平面の原点に位置し、下端がX軸上に位置し、左端がY軸上に位置するように、Y軸ステージ2の配置される。
【0118】
ステップS42において、指令位置決定部103aは、基板5の表面の複数の塗布対象位置の指定を受け、当該複数の塗布対象位置の各々に応じた塗布機構4の指令位置のXYZ座標を決定する。指令位置決定部103aは、たとえば制御用コンピュータ10aに接続された記録媒体から、複数の塗布対象位置の各々の座標を示す座標ファイルを取得する。指令位置決定部103aは、塗布対象位置のXY座標を指令位置のXY座標として決定するとともに、基板5の厚みに応じて予め定められたZ座標を指令位置のZ座標として決定する。
【0119】
ステップS43において、補正マップ生成部104aは、指令位置決定部103aが決定した1つの指令位置を選択する。選択した指令位置のXYZ座標を(gx,gy,gz)とする。
【0120】
ステップS44において、補正マップ生成部104aは、選択した指令位置のXYZ座標(gx,gy,gz)と観察光学系6とをステージ制御部102aに指示する。これにより、観察光学系6は、指令位置に位置決めされる。なお、観察光学系6は、塗布機構4からX方向にΔux、Y方向にΔuyだけずれている。そのため、XYZ座標(gx,gy,gz)と観察光学系6とをステージ制御部102aに指示したときの観察光学系6および塗布機構4の位置は、XYZ座標(gx−Δux,gy−Δuy)と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示したときの観察光学系6および塗布機構4の位置と同じである。
【0121】
ステップS45において、補正マップ生成部104aは、指令位置のZ座標gzを含む複数のZ座標をステージ制御部102aに順次指示し、Z軸ステージ3を上下移動させる。補正マップ生成部104aは、複数のZ座標の各々に対して、Z軸ステージ3が移動した後にCCDカメラ7によって撮影された画像を画像取得部101から受ける。
【0122】
ステップS46において、補正マップ生成部104aは、画像取得部101から受けた複数の画像の各々のコントラスト値Cを算出する。そして、補正マップ生成部104aは、最も大きいコントラスト値Cに対応する画像を撮影したときの観察光学系6のZ座標と、指令位置のZ座標gzとのずれ量Δzを、Z補正量として算出する。補正マップ生成部104aは、実施の形態1で説明した方法を用いてコントラスト値Cを算出すればよい。
【0123】
ステップS47において、補正マップ生成部104aは、選択した指令位置のXYZ座標(gx,gy,gz)と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示する。これにより、塗布機構4は、指令位置に位置決めされる。なお、XYZ座標(gx,gy,gz)と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示したときの観察光学系6および塗布機構4の位置は、XYZ座標(gx+Δux,gy+Δuy)と観察光学系6とをステージ制御部102aに指示したときの観察光学系6および塗布機構4の位置と同じである。その後ステップS48において、塗布機構制御部107は、塗布機構4を制御して、基板5の表面に塗布材料を塗布させる。
【0124】
ステップS49において、補正マップ生成部104aは、指令位置のXYZ座標(gx,gy,gz)と観察光学系6とをステージ制御部102aに指示する。これにより、観察光学系6は、再度指令位置に位置決めされる。
【0125】
ステップS50において、補正マップ生成部104aは、画像取得部101がCCDカメラ7から取得した画像に基づいて、X補正量ΔxとY補正量Δyとを算出する。
図16は、ステップS50で取得された画像の一例を示す図である。
図16に示されるように、画像の中には塗布領域51が含まれる。ステップS50において、補正マップ生成部104aは、画像の中から塗布領域51の中心R2を検出し、画像の中心Gに対する塗布領域51の中心R2のX方向のずれ量ΔxとY方向のずれ量Δyとを算出する。補正マップ生成部104aは、算出したずれ量Δx,ΔyをそれぞれX補正量、Y補正量として決定する。
【0126】
補正マップ生成部104aによる塗布領域51の中心R2の検出方法としては、公知の画像処理による検出法を用いることができる。たとえば、パターンマッチング法を用いて中心R2を検出してもよいし、画像を二値化し、その重心を中心R2として検出してもよい。
【0127】
ステップS51において、補正マップ生成部104aは、ステップS46およびステップS50で算出した補正量Δx,Δy,Δzに基づいて、記憶部105が記憶する補正マップを更新する。補正マップ生成部104aは、実施の形態1の補正マップ生成部104と同様の方法により補正マップを更新すればよい。
【0128】
ステップS52において、補正マップ生成部104aは、ステップS42で決定された指令位置のうち未選択の指令位置があるか確認する。未選択の指令位置がある場合、処理はステップS43に戻される。未選択の指令位置がない場合、処理は終了する。
【0129】
(塗布機構4の位置決め処理(ステップS600))
図17を参照して、塗布機構4の位置決め処理の流れについて説明する。
図17は、塗布機構4の位置決め処理の流れを示すフローチャートである。
【0130】
ますステップS61において、基板5がY軸ステージ2の上面部の固定位置に配置される。このとき、基板5は、上面側から見たときに、左下角がXY平面の原点に位置し、下端がX軸上に位置し、左端がY軸上に位置するように、Y軸ステージ2の配置される。
【0131】
ステップS62において、指令位置決定部103aは、基板5の表面の塗布対象位置の指定を受け、塗布対象位置に応じて塗布機構4の指令位置のXYZ座標を決定する。塗布対象位置とは、たとえば基板5において配線が欠落した位置などである。
【0132】
ユーザは、基板5の表面の観察対象位置のXY座標と観察光学系6とをステージ制御部102aに指示して観察光学系6を移動させ、CCDカメラ7によって撮影された画像を観察しながら、基板5の表面に形成された配線パターンの欠陥部分を探索する。ユーザは、画像上の欠陥部分の位置を基板の表面の塗布対象位置として指定する。指令位置決定部103aは、ステージ制御部102aに指示されたXY座標と画像上の指定された位置とから、塗布対象位置のXY座標を算出し、算出したXY座標を指令位置のXY座標として決定する。さらに、指令位置決定部103aは、基板5の厚みに応じて予め定められたZ座標を指令位置のZ座標とする。指令位置のXYZ座標を(gx,gy,gz)とする。
【0133】
ステップS63において、補正部106aは、塗布対象位置に対応する補正量Δx,Δy,Δzを、記憶部105が記憶する補正マップから参照する。補正部106aは、参照した補正量Δx,Δy,Δzに従って、指令位置のXYZ座標(gx,gy,gz)を補正し、補正後のXYZ座標(gx+Δx,gy+Δy,gz+Δz)を生成する。
【0134】
ステップS64において、補正部106aは、補正後のXYZ座標(gx+Δx,gy+Δy,gz+Δz)と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示する。これにより、ステージ制御部102aは、X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3を制御して、指示された補正後のXYZ座標(gx+Δx,gy+Δy,gz+Δz)に従って塗布機構4を位置決めする。
【0135】
ステップS65において、塗布機構制御部107は、塗布機構4を制御して、基板5の表面に塗布材料を塗布させる。これにより、位置決め処理は終了する。
【0136】
図18は、ステップS65の後に、指令位置のXYZ座標と観察光学系6とをステージ制御部102に指示してから画像取得部101によって取得された画像の一例を示す。
図18に示される画像における、中心G(基準位置)と塗布領域51の中心R2との距離は、
図16に示される画像における、中心Gと塗布領域51の中心R2との距離よりも短い。
図18に示される画像における塗布領域51は、補正後のXY座標(gx+Δx,gy+Δy)と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示した後に塗布された領域である。一方、
図16に示される画像における塗布領域51は、指令位置のXY座標と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示した後に塗布された領域である。このように、X補正量ΔxおよびY補正量Δyは、補正後のXY座標と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示した後に塗布機構4により基板5の表面に塗布材料を塗布したときの塗布位置と画像の中心Gとの距離が、指令位置のXY座標と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示した後に塗布機構4により基板5の表面に塗布材料を塗布したときの塗布位置と画像の中心Gとの距離よりも短くなるように設定される。
【0137】
さらに、
図18に示される画像のコントラストは、指令位置のZ座標をステージ制御部102aに指示したときに撮影される画像のコントラストよりも高い。
図18に示される画像は、補正後のZ座標gz+Δzと観察光学系6とをステージ制御部102に指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像に対応する。このように、Z補正量Δzは、補正後のZ座標と観察光学系6とをステージ制御部102に指示したときに撮影される画像のコントラストが、指令位置のZ座標と観察光学系6とをステージ制御部102に指示したときに撮影される画像のコントラストよりも高くなるように設定される。
【0138】
(変形例)
上記の説明では、補正マップの生成処理と塗布機構4の位置決め処理とを別のタイミングで行なうものとした。しかしながら、制御用コンピュータ10aは、補正マップの生成処理と塗布機構4の位置決め処理とを並行して行なってもよい。
【0139】
図19は、補正マップの生成処理と塗布機構4の位置決め処理とを並行して行なうときの処理の流れを示すフローチャートである。
【0140】
まずステップS71において、基板5がY軸ステージ2の上面部の固定位置に配置される。基板5は、左下角がXY平面の原点に位置し、下辺がX軸上に位置し、左辺がY軸上に位置するように、Y軸ステージ2の配置される。
【0141】
ステップS72において、指令位置決定部103aは、基板5の表面の塗布対象位置の指定を受け、塗布対象位置に応じて塗布機構4の指令位置のXYZ座標を決定する。
【0142】
ステップS73において、指令位置決定部103aは、補正マップの複数の区域の中から、塗布対象位置のXY座標に対応する区域を特定し、特定した区域のフラグが「0」か否かを確認する。フラグが「0」である場合(ステップS73でYES)、ステップS74において補正マップの生成処理が実行される。ステップS74の更新処理は、
図15に示すステップS44〜S51の処理と同じである。
【0143】
フラグが「1」である場合(ステップS73でNO)、ステップS75〜S77が行なわれる。ステップS75〜S77は、それぞれ
図17に示すステップS63〜S65と同じである。
【0144】
これにより、塗布機構4の位置決め処理の際に、補正マップにおいてフラグ「0」の区域の補正量を更新することができる。
【0145】
(利点)
以上のように、実施の形態2に係る液体塗布装置は、観察光学系6と、CCDカメラ7と、塗布機構4と、ステージ制御部102aと、指令位置決定部103aと、記憶部105と、補正部106aとを備える。ステージ制御部102aは、指示されたXY座標に従って、塗布機構4のX方向およびY方向の位置決めを行なう位置決め装置30を構成する。指令位置決定部103aは、基板5の表面上の塗布対象位置のXY座標を塗布機構4の指令位置のXY座標として決定する。記憶部105は、XY平面内の複数の位置の各々に対応するXY補正量を記憶する。補正部106aは、指令位置のXY座標に対応するXY補正量を記憶部105から参照し、参照したXY補正量を用いて指令位置のXY座標を補正し、補正後のXY座標をステージ制御部102aに指示する。指令位置のXY座標と観察光学系6とをステージ制御部102aに指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像の中心にある基板5の表面の位置を基準位置とする。さらに、補正後のXY座標と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示した後に塗布機構4により基板5の表面に塗布材料を塗布したときの基板5の表面における塗布位置と基準位置との距離を距離Aとする。指令位置のXY座標と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示した後に塗布機構4により基板5の表面に塗布材料を塗布したときの基板5の表面における塗布位置と基準位置との距離を距離Bとする。このとき、補正マップに示されるXY補正量は、距離Aが距離Bよりも短くなるように設定される。
【0146】
上記の構成により、観察光学系6を介して撮影された画像上で塗布対象位置を指定したとしても、指定された塗布対象位置に、塗布機構4を精度良く位置決めすることができる。
【0147】
X補正量ΔxおよびY補正量Δyは、補正マップの生成処理において指定された塗布対象位置のXY座標と観察光学系6とをステージ制御部102aに指示したときにCCDカメラ7によって撮影される画像(
図16参照)に基づいて設定される。当該画像は、塗布対象位置のXY座標と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示してから塗布機構4により塗布材料を基板5に塗布させた後に撮影される。X補正量Δxは、当該画像の中心Gに対する塗布領域51の中心R2のX座標のずれ量である。同様に、Y補正量Δyは、当該画像の中心Gに対する塗布領域51の中心R2のY座標のずれ量である。これにより、観察光学系6を介して撮影された画像において塗布対象位置を指定したとき、当該塗布対象位置付近に塗布材料を塗布することができる。
【0148】
さらに、ステージ制御部102aは、指示されたZ座標に従って、観察光学系6および塗布機構4のZ方向の位置決めを行なう。指令位置決定部103aは、基板5の厚みに応じて予め定めれたZ座標を指令位置のZ座標として決定する。記憶部105は、XY平面内の複数の位置の各々に対応するZ補正量を記憶する。補正部106aは、塗布対象位置に対応するZ補正量を記憶部105から参照し、参照したZ補正量に基づいて指令位置のZ座標を補正し、補正後のZ座標をステージ制御部102に指示する。
図15のステップS46の処理のため、Z補正量は、補正後のZ座標をステージ制御部102に指示したときに撮影される画像のコントラストが、指令位置のZ座標をステージ制御部102に指示したときに撮影される画像のコントラストよりも高くなるように設定される。
【0149】
上記の構成により、基板5の表面の観察対象位置を指定したときに、CCDカメラ7によって撮影された画像のコントラストが高くなる。その結果、基板5の表面を観察しやすくなる。
【0150】
また、本実施の形態2に係る液体塗布装置における塗布機構4の位置決め方法は、第1〜第3工程を備える。第1工程(ステップS41〜S52)は、XY平面内の複数の位置の各々とXY補正量とを対応付けた補正マップを生成する工程である。第2工程(ステップS62)は、基板5の表面の塗布対象位置のXY座標を観察光学系6の指令位置のXY座標として決定する工程である、第3工程(ステップS63、S64)は、塗布対象位置に対応するXY補正量を補正マップから参照し、参照したXY補正量に基づいて指令位置のXY座標を補正し、補正後のXY座標をステージ制御部102に指示する工程である。第1工程では、XY平面内の複数の位置(塗布対象位置)の各々について、以下の第4工程と第5工程とが行なわれる。第4工程は、塗布対象位置のXY座標と塗布機構4とをステージ制御部102aに指示した後に塗布機構4により基板5の表面に塗布材料を塗布する工程である。第5工程は、第4工程の後、塗布対象位置のXY座標と観察光学系6とをステージ制御部102aに指示してからCCDカメラ7によって撮影される画像を取得し、当該画像の中心に対する、画像中の塗布領域51の中心R2のX方向のずれ量ΔxをX補正量として算出する。同様に、画像の中心に対する、画像中の塗布領域51の中心R2のY方向のずれ量ΔyをY補正量として算出する。
【0151】
上記の構成によっても、液体塗布装置は、観察光学系6を介して撮影された画像において塗布対象位置が指定されたときに、当該塗布対象位置に塗布材料を塗布することができるように、塗布機構4を精度良く位置決めすることができる。
【0152】
[実施の形態1,2の変形例]
上記の説明では、補正マップ生成部104,104aは、X補正量、Y補正量およびZ補正量を算出し、算出した補正量を記憶部105に格納した。しかしながら、補正マップ生成部104,104aは、X補正量およびY補正量の少なくとも一方を算出し、算出した補正量を記憶部105に格納してもよい。もしくは、補正マップ生成部104,104aは、X補正量およびY補正量の一方とZ補正量とを算出し、算出した補正量を記憶部105に格納してもよい。これにより、補正マップ生成部104,104aおよび補正部106,106aの演算量を削減し、位置決め処理を高速化することができる。
【0153】
上記の説明では、補正マップの区域のX方向のピッチLxおよびY方向のピッチLyをそれぞれ一定値とした。しかしながら、ピッチLx,Lyは一定値でなくてもよい。たとえば、基板5の表面のうち高い位置決め精度を必要とする範囲が予めわかっている場合には、当該範囲に属する区域のピッチを他の区域のピッチよりも小さくしてもよい。これにより、当該範囲内を観察対象位置とする場合に観察光学系6の位置決め精度を高めることができる。
【0154】
X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3の機械的な位置関係は、温度等の影響により、経時変化することがある。そのため、補正マップは、以下のようにして定期的に更新されてもよい。
【0155】
記憶部105は、補正マップの区域ごとに、XYZ補正量が算出された最新算出時刻TSを記憶する。補正マップ生成部104,104aは、XYZ補正量を算出したときに、当該XYZ補正量に対応する区域の最新算出時刻TSを更新する。
【0156】
補正マップ生成部104は、補正部106がXYZ補正量を参照するたびに、その参照時刻TCと当該XYZ補正量に対応する区域の最新算出時刻TSとの差TC−TSが所定時間を超えているか確認する。TC−TSが所定時間を超えている場合、補正マップ生成部104は、XYZ補正量が参照された区域を更新対象区域として特定する。補正マップ生成部104は、更新対象区域について、上記のステップS14〜S18の処理を行なうことにより新たなXYZ補正量を算出し、XYZ補正量を更新する。同様にして、補正マップ生成部104aは、更新対象区域について、上記のステップS44〜S51の処理を行なうことにより新たなXYZ補正量を算出し、XYZ補正量を更新する。これにより、X軸ステージ1、Y軸ステージ2およびZ軸ステージ3の機械的な位置関係が経時変化しても、当該経時変化に応じて補正マップも定期的に更新される。
【0157】
上記の説明では、基板5は、上面側から見たときに、左下角がXY平面の原点に位置し、下端がX軸上に位置し、左端がY軸上に位置するように、Y軸ステージ2の固定位置に配置されるものとした。これにより、UV座標系がXY座標系に一致するため、指令位置決定部103,103aは、観察対象位置または塗布対象位置のUV座標をそのまま指令位置のXY座標として決定した。
【0158】
これに対し、基板5がY軸ステージ2の固定位置からわずかにずれて配置される場合、指令位置決定部103,103aは、以下のようにして指令位置のXY座標を決定すればよい。
【0159】
指令位置決定部103,103aは、XY座標(0,0)をステージ制御部102,102aに指示してから画像取得部101により取得された画像の中から、基板5の左下角の位置のXY座標(x1,y1)を検出する。基板5の左下角の検出には、パターンマッチング法や画像を二値化して重心を求める方法など、画像処理による検出法を用いることができる。指令位置決定部103,103aは、画像の中に基板5の左下角を検出できない場合、画像の中に基板5の左下角が検出されるまで、ステージ制御部102,102aに指示するXY座標を適宜変更する。
【0160】
次に、指令位置決定部103,103aは、XY座標(W,H)をステージ制御部102,102aに指示してから画像取得部101により取得された画像の中から、基板5の右上角の位置のXY座標(x2,y2)を検出する。基板5の右上角の検出には、パターンマッチング法や画像を二値化して重心を求める方法など、画像処理による検出法を用いることができる。指令位置決定部103,103aは、画像の中に基板5の右上角を検出できない場合、画像の中に基板5の右上角が検出されるまで、ステージ制御部102,102aに指示するXY座標を適宜変更する。
【0161】
基板5の左下角のUV座標は(0,0)である。基板5の右上角のUV座標は(W,H)である。Wは、矩形状の基板5の横方向の長さであり、Hは、基板5の縦方向の長さである。
【0162】
基板5の左下角のUV座標(0,0)およびXY座標(x1,y1)と、基板5の右上角のUV座標(W,H)およびXY座標(x2,y2)とを以下の式(4)、式(5)に代入し、cosθ、sinθ、x0、y0を求める。
u=cosθ×x+sinθ×y+x0・・・式(4)
v=sinθ×x−conθ×y+y0・・・式(5)
上記の式(4)、式(5)は、xy座標系からuv座標系への座標変換を示しており、θはxy座標系に対するuv座標系の回転角度、(x0,y0)はxy座標系に対するuv座標系の並進を示す。
【0163】
ここで、cosθ=c1、sinθ=c2とおくと、式(4)および式(5)を、以下のように書き換えることができる。
x=c1×u+c2×v+x0・・・式(6)
y=c2×u−c1×v+y0・・・式(7)
最初に、基板5の左下角のUV座標(0,0)とXY座標(x1,y1)を式(6)と式(7)に代入し、
x1=c1×0+c2×0+x0
y1=c2×0−c1×0+y0
x0=x1、y0=y1
を得る。
【0164】
次に、基板5の右上角のUV座標(W,H)とXY座標(x2,y2)を代入し、以下の連立方程式を得る。
x2=c1×W+c2×H+x1
y2=c2×W−c1×H+y1
以上を解くことにより、
c2={H×(x2−x1)+W×(y2−y1)}/(W
2+H
2)
c1=(c2×W+y1−y2)/H
を得ることができる。
【0165】
これら2つの係数c1、c2とUV座標(u,v)とを式(6)と式(7)に代入すれば、回転と並進を補正したXY座標(x,y)に変換することができる。
【0166】
指令位置決定部103は、観察対象位置のUV座標を受けた場合、上記の変換式に従って、観察対象位置のUV座標をXY座標に変換し、変換後のXY座標を指令位置のXY座標として決定する。同様に、指令位置決定部103aは、塗布対象位置のUV座標を受けた場合、上記の変換式に従って、塗布対象位置のUV座標をXY座標に変換し、変換後のXY座標を指令位置のXY座標として決定する。
【0167】
なお、ここでは、基板5の左下角および右上角を用いて変換式を求めたが、必ずしもこれらを用いる必要はなく、基板5の4つの角の内の2つを用いればよい。もしくは、変換式を求めるために用意された、基板5上の2つのマーク(通常アライメントマークと呼ばれる)または基板5上に形成された2つのパターンを用いて、変換式を求めてもよい。このとき、2つのマークまたは2つのパターンのUV座標は、予め計測されている。
【0168】
このように、基板5の傾きや位置ズレに応じて、UV座標をXY座標に変換することにより、基板5を厳密に位置合わせしてY軸ステージ2の固定位置にセットする必要がなくなり、作業を効率化することができる。
【0169】
上記の説明では、補正部106は、観察対象位置に対応する区域(i,j)を特定し、特定した区域(i,j)のXYZ補正量を用いて指令位置のXYZ座標を補正した。しかしながら、補正部106は、観察対象位置に近い4つの区域を特定し、特定した4つの区域のXYZ補正量を補間演算することにより得られたXYZ補正量を用いて指令位置のXYZ座標を補正してもよい。補正部106aについても同様に、補間演算により得られたXYZ補正量を用いて指令位置のXYZ座標を補正してもよい。
【0170】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。