(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、第1の実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0009】
図6において、11は電気掃除機を示す。この電気掃除機11としては、例えば使用者が直接把持して使用する、いわゆるハンディ型の電気掃除機を例に挙げて説明する。
【0010】
そして、電気掃除機11は、掃除機本体12を備えている。また、この電気掃除機11は、図示しないが、電源部を備えている。さらに、この電気掃除機11は、電動送風機14を備えている。また、この電気掃除機11は、図示しないが、制御部を備えている。さらに、この電気掃除機11は、電源スイッチである設定手段(設定部)としての設定ボタン16を備えている。また、この電気掃除機11は、使用者が把持するハンドル17を備えていてもよい。さらに、この電気掃除機11は、集塵部18を備えている。なお、以下、電気掃除機11の使用状態を基準として、上下方向(矢印U,D方向)、前後方向(矢印FR,RR方向)、左右方向(矢印L,R方向)を説明する。
【0011】
掃除機本体12は、例えば電源部、電動送風機14、制御部などを収容している。この掃除機本体12は、本実施形態において例えば前後方向に沿って長手状に形成されている。
【0012】
電源部は、本実施形態において、例えば電池が用いられる。この電池は、例えば交換可能な一次電池や、充電により繰り返し使用可能な二次電池が用いられる。なお、電池に代えて、例えば商用交流電源などの外部電源に接続される電源コードを備えるコードリール装置を用いることもできる。
【0013】
電動送風機14は、電源部からの給電により動作し、この動作により集塵部18に塵埃を吸い込む負圧を発生させるものである。この電動送風機14は、電源部に応じて交流のものや直流のものを用いることができる。本実施形態において、この電動送風機14は、例えばブラシレスモータファンが用いられる。
【0014】
制御部は、電源部からの給電により生成される電源により動作し、電動送風機14などの動作を制御するものである。この制御部には、例えばマイコンが用いられる。
【0015】
設定ボタン16は、電動送風機14の動作のオンオフ、あるいは、電動送風機14の吸引力の強弱(動作モード)などを制御部に設定するものである。
【0016】
ハンドル17は、本実施形態では掃除機本体12に配置されている。このハンドル17は、例えば前後方向に沿って長手状に形成されている。すなわち、このハンドル17は、本実施形態において、掃除機本体12の長手方向に沿って配置されている。このハンドル17は、使用者が把持可能な太さであり、把持可能な長さを有するように形成されている。なお、このハンドル17は、必須の構成ではない。
【0017】
集塵部18は、電動送風機14の動作により吸い込んだ塵埃を空気から分離捕集するものである。この集塵部18は、掃除機本体12に対して着脱可能としてもよい。本実施形態において、この集塵部18は、掃除機本体12の前端部に配置されているが、例えば掃除機本体12に内蔵されてもよい。この集塵部18は、大別して、
図5に示すように、集塵部本体21と、カバー22とを備えている。また、この集塵部18は、フィルタ部23を備えている。そして、集塵部本体21には、
図1ないし
図5に示すように、吸込筒25が備えられている。また、集塵部本体21には、外壁26が備えられている。さらに、集塵部本体21には、底面部27が備えられている。また、集塵部本体21には、分離室28が備えられている。さらに、集塵部本体21には、還流室29が備えられている。また、集塵部本体21には、導入部30が備えられている。さらに、集塵部本体21には、分離カバー31が備えられている。また、集塵部本体21には、排出口32が備えられている。さらに、集塵部本体21には、通風口33が備えられている。したがって、集塵部18は、吸込筒25を備えている。また、集塵部18は、外壁26を備えている。さらに、集塵部18は、底面部27を備えている。また、集塵部18は、分離室28を備えている。さらに、集塵部18は、還流室29を備えている。また、集塵部18は、導入部30を備えている。さらに、集塵部18は、分離カバー31を備えている。また、集塵部18は、排出口32を備えている。さらに、集塵部18は、通風口33を備えている。一方、カバー22は、集塵部本体21を覆って配置される。このため、集塵部本体21とカバー22との間に、収容部である収容室35が形成される。また、カバー22には、収容室35とは別個に、吸込部36が形成されている。したがって、集塵部18は、収容室35を備えている。また、集塵部18は、吸込部36を備えている。
【0018】
集塵部本体21は、含塵空気から塵埃の一部、すなわち比較的大きな塵埃である粗塵を分離する機能を備えている。この集塵部本体21により分離された粗塵は、排出口32から収容室35へと排出されて収容室35に溜められるようになっている。また、本実施形態の集塵部本体21では、導入部30と、分離室28および還流室29と、収容室35とが区分けされている。
【0019】
吸込筒25は、集塵部本体21における含塵空気の旋回の中心となるものである。この吸込筒25は、筒状、本実施形態では円筒状(略円筒状も含む)に形成されている。この吸込筒25は、上下方向に沿って軸方向を有して配置されている。この吸込筒25は、分離室28および還流室29の中央(略中央も含む)に配置されている。また、この吸込筒25は、連通孔である開口41を有している。さらに、この吸込筒25は、周回阻止部42を有している。
【0020】
開口41は、吸込筒25の外側面(外周面)に形成されている。この開口41は、複数形成されている。本実施形態において、各開口41は、上下方向に長いスリット状に形成されている。また、これら開口41は、吸込筒25の周方向に等間隔(略等間隔も含む)に離れて配置されている。これら開口41は、吸込筒25の周方向全体に亘って配置されている。これら開口41は、電動送風機14の吸込側と連通している。本実施形態において、これら開口41は、吸込筒25の内部からフィルタ部23の上流側へと連通する風路部44と連通している。したがって、これら開口41は、電動送風機14の吸込側に対して、フィルタ部23を介して連通している。このため、これら開口41を介して、電動送風機14による負圧が吸込筒25の内側(中心軸C側)から外側(分離室28および還流室29)に作用するように構成されている。また、これら開口41は、周回阻止部42にも形成されていてもよい。この周回阻止部42において、開口41は等間隔(略等間隔も含む)に離れて配置されている。
【0021】
周回阻止部42は、分離室28での含塵空気の還流室29への直接の周回を阻止するものである。すなわち、この周回阻止部42は、分離室28と還流室29とを分断するものである。この周回阻止部42は、壁状に形成された周回阻止壁である。この周回阻止部42は、吸込筒25の一部が排出口32の一縁部である右縁部に向かって延びて形成されている。この周回阻止部42は、吸込筒25の前部に位置している。本実施形態において、この周回阻止部42は、前後方向に沿って延びている。また、この周回阻止部42は、吸込筒25の中心軸Cに対して、導入部30の下流端側とは反対側に位置している。すなわち、この周回阻止部42は、分離室28の下流端側に位置している。また、この周回阻止部42の排出口32側の端部(前端部)は、分離カバー31よりも外側に延びている。
【0022】
風路部44は、分離室28および還流室29と電動送風機14の吸込側とを連通するものである。この風路部44は、例えば吸込筒25の内側から、分離室28および還流室29の下部を経由して分離室28の後部に亘って集塵部本体21に形成されている。
【0023】
外壁26は、吸込筒25を囲んで位置し、この吸込筒25との間で分離室28を形成するものである。この外壁26は、吸込筒25に対して後方、すなわち導入部30とは反対側に離れて位置している。また、この外壁26は、円筒面状に形成されている。本実施形態において、この外壁26は、略半円筒状に形成されている。また、この外壁26は、吸込筒25に対して同軸状(略同軸状も含む)に形成されている。さらに、この外壁26は、吸込筒25に対して一側方(左方)から他側方(右方)に亘って位置している。さらに、この外壁26は、導入部30の下流端(後端)に対して一部が対向して位置している。また、この外壁26の上端部は、吸込筒25の上端部25aに対して下方に位置している。
【0024】
底面部27は、分離室28の底部を構成するものである。すなわち、この底面部27は、排出口32の下縁部を構成するものである。この底面部27は、吸込筒25の下端部よりも下方に位置し、この吸込筒25の周囲を囲んで配置されている。したがって、この底面部27は、円弧に沿って曲がった形状に形成されている。本実施形態において、この底面部27は、例えばC字状に形成されている。また、この底面部27は、外壁26と隣接して形成されている。すなわち、この底面部27の外縁の位置から外壁26が立ち上げられて形成されている。また、この底面部27は、導入部30の底面と連続している。さらに、この底面部27は、導入部30側、すなわち分離室28の上流側から排出口32側、すなわち分離室28の下流側に向かって、徐々に上方へと傾斜している。
【0025】
分離室28は、電動送風機14の吸込側と連通し、含塵空気から粗塵を分離するものである。本実施形態の分離室28は、例えば直径が5〜10cm程度の小型のものである。この分離室28は、円弧に沿って曲がった形状に形成されている。本実施形態において、この分離室28は、例えばC字状に形成されている。すなわち、この分離室28は、含塵空気の導入方向に対して折り返すように形成されている。この分離室28は、吸込筒25と外壁26および分離カバー31とにより側部が区画され、底面部27および導入部30により下部が区画され、分離カバー31により上部が区画されている。そして、この分離室28は、底面部27が上流側から下流側に向かって徐々に上方へと傾斜していることにより、上流側から下流側に向かって風路断面積が徐々に狭くなるように構成されている。
【0026】
還流室29は、収容室35と分離室28の上流側とを連通するものである。換言すれば、この還流室29は、分離室28から排出口32を介して収容室35へと通過した含塵空気をこの収容室35から分離室28へと還流させるものである。この還流室29は、分離室28に隣接して吸込筒25と分離カバー31との間に形成されている。したがって、この還流室29と分離室28とにより、内室45が構成されている。すなわち、集塵部18は、内室45を備えている。この内室45は、平面視で略円形状であり、分離カバー31と吸込筒25との間に形成されている。したがって、内室45は、分離室28と還流室29とを備えている。また、この還流室29は、吸込筒25と分離カバー31の他側部である右側部とにより側部が区画され、導入部30により下部が区画され、分離カバー31により上部が区画されている。この還流室29は、分離室28に対して、この分離室28の上流側の位置に連通している。
【0027】
導入部30は、分離室28に含塵空気を導入するものである。この導入部30は、分離室28に対して前方に位置している。また、この導入部30は、集塵部本体21に対してカバー22を取り付けた状態で吸込部36と気密に接続される。この導入部30は、分離室28の接線方向に沿って延出する管状(ダクト状)に形成されている。この導入部30は、天井面を構成する上面部としての天井部である導入天井部30aを有している。そして、この導入部30は、吸込口46と導入口47とを備えている。
【0028】
導入天井部30aは、分離室28の天井部よりも低い位置に配置されている。この導入天井部30aは、導入部30の上流側である前側が還流室29の前方に突出しているとともに、導入部30の下流側である後側が分離室28まで延びている。この導入天井部30aは、還流室29から分離室28までの間、含塵空気の上側を覆うように配置される。換言すれば、この導入天井部30aは、還流室29の下部を形成するようになっている。また、この導入天井部30aは、還流室29の位置で、分離カバー31により上方が覆われている。すなわち、分離カバー31の内部にて吸込筒25の排出口32とは反対側である他側部すなわち右側部の導入天井部30aの先端(後端)よりも基端側(前側)の部分が還流室29となっている。
【0029】
吸込口46は、導入部30の上流端をなし、含塵空気が吸い込まれるものである。この吸込口46は、カバー22を集塵部本体21に取り付けた状態で吸込部36に対して気密に接続される。
【0030】
導入口47は、導入部30の下流端をなし、分離室28へと含塵空気を導入するものである。すなわち、この導入口47が分離室28の上流端をなしている。したがって、内室45において、導入口47から排出口32に亘る部分が分離室28として区画され、その他の部分が還流室29として区画されている。
【0031】
そして、これら吸込筒25、外壁26、底面部27、および、導入部30は、例えば一体に形成されていてもよい。本実施形態では、これら吸込筒25、外壁26、底面部27、および、導入部30が一体となって本体部48を構成している。
【0032】
分離カバー31は、吸込筒25の周囲の少なくとも一部を覆い分離室28および還流室29の天井部および側面部、および、排出口32を区画するものである。この分離カバー31は、例えば合成樹脂製である。また、この分離カバー31は、有蓋円筒状に形成されている。すなわち、この分離カバー31は、天面部31aを備えている。また、この分離カバー31は、円筒面状の側面部31bを備えている。さらに、この分離カバー31は、排出口32の一部を構成する切欠部31cを備えている。また、この分離カバー31は、本体部48に対して別体に形成されていてもよい。本実施形態において、この分離カバー31は、本体部48に対して回動可能に軸支されていてもよい。すなわち、この分離カバー31は、被取付部である被軸支部31dを備えていてもよい。
【0033】
天面部31aは、分離室28および還流室29の天井部を構成するものである。この天面部31aは、円形板状に形成されている。この天面部31aは、吸込筒25の上端部25aと近接して、例えば1mm以下の間隙を有して、好ましくは接触して位置している。したがって、分離室28および還流室29は、底面部27から吸込筒25の上端部25aまでの高さにより上下方向の大きさが規定される。
【0034】
側面部31bは、円筒面状に形成され、外壁26とともに分離室28の外周側面部を構成し、外壁26の前方すなわち導入天井部30aの上方にて還流室29の外周側面部を構成するものである。この側面部31bは、外壁26の上部に連続することで、この外壁26と面一(略面一も含む)の円筒面を形成するようになっている。この側面部31bは、天面部31aの外周縁と連続して形成されている。
【0035】
切欠部31cは、分離カバー31の天面部31aから側面部31bに亘る位置を切り欠いて形成されている。この切欠部31cは、排出口32の上縁部および両縁部を形成する。この切欠部31cは、例えば分離カバー31の軸方向に対して平行(略平行も含む)で周回阻止部42に沿う仮想面とそれに対して交差する仮想面とにより、分離カバー31の前側一側(左前部)を略L字状に切り欠いて形成されている。この切欠部31cは、例えば分離カバー31の左側に形成されている。
【0036】
被軸支部31dは、本体部48に対して分離カバー31を取り付ける部分である。本実施形態において、この被軸支部31dは、例えば分離カバー31を前後方向に回動させるようにするものである。この被軸支部31dは、例えば側面部31bに突設され、軸支部49に軸支されている。この軸支部49は、本体部48の任意の位置に形成できるが、例えば本実施形態では導入部30の上部(導入天井部30a)に形成されている。
【0037】
排出口32は、分離室28で分離された塵埃の一部である粗塵を収容室35へと排出するものである。すなわち、この排出口32は、分離室28と収容室35との境界となっているものである。この排出口32は、周回阻止部42と外壁26および分離カバー31の切欠部31cと底面部27とによって区画されている。
【0038】
通風口33は、収容室35と、この収容室35よりも上流側(含塵空気の気流の上流側)とを連通するものである。本実施形態において、通風口33は、収容室35から、この収容室35よりも含塵空気の気流の上流側に位置する分離室28の上流側へと還流室29を介して空気を還流させるものである。通風口33は、本実施形態では例えば分離カバー31に開口されている。より具体的に、通風口33は、分離カバー31の天面部31aに開口されている。また、通風口33は、本実施形態において、微細な孔として形成され、複数開口されている。例えば、各通風口33は、丸孔状に形成されている。各通風口33の大きさは、例えば粗塵が通過できず、粉ごみ程度の細塵(微細塵)が通過できる大きさに設定されている。換言すれば、これら通風口33の大きさは、遠心分離された粗塵が還流室29へと逆流しない程度の大きさ、例えば直径2mm程度の大きさに形成されている。これら通風口33は、互いに等間隔(略等間隔も含む)に離間されている。そして、通風口33は、収容室35と還流室29とを連通している。したがって、通風口33は、吸込筒25に対して排出口32とは反対側の側部に配置されている。例えば、通風口33は、天面部31aの周方向に沿う列をなして配置され、この列が天面部31aの径方向に複数形成されている。
【0039】
図5に示すカバー22は、掃除機本体12の前端部に対して着脱可能となっている。このカバー22は、集塵部本体21を覆っている。すなわち、このカバー22は、導入部30および分離カバー31の外側を覆っている。また、このカバー22には、
図6に示すように、凹部51が形成されている。この凹部51は、カバー22を掃除機本体12(集塵部本体21)から取り外す際に使用者がカバー22を両側から摘むために形成されている。すなわち、この凹部51は、例えばカバー22の両側部(一方のみ図示)に形成されている。
【0040】
図1に示す収容室35は、排出口32から排出された塵埃である粗塵を収容するものである。この収容室35は、カバー22と分離室28(分離カバー31)との間に区画される空間部である。したがって、この収容室35内には、導入部30および分離カバー31が位置している。この収容室35は、カバー22の端部(後端部)を廃棄開口として形成される。すなわち、この収容室35に収容された粗塵は、カバー22を集塵部本体21から取り外すことで開口したカバー22の端部から外部へと廃棄可能となっている。
【0041】
吸込部36は、含塵空気を集塵部18(導入部30)へと吸い込む本体吸込口である。この吸込部36は、集塵部18の前端部に位置している。この吸込部36には、図示しない延長管や吸込口体などの風路体が接続されてもよい。
【0042】
フィルタ部23は、分離室28で分離されなかった含塵空気中の塵埃、すなわち比較的小さい塵埃である細塵を捕集するものである。このフィルタ部23は、集塵部18にて分離室28および還流室29よりも下流側に位置している。このフィルタ部23は、本実施形態において、風路部44(
図5)の下流端に着脱可能となっている。また、このフィルタ部23は、本実施形態において、シール部材54を備えている。このシール部材54は、風路部44(
図5)に対してフィルタ部23の周縁部をシールするとともに、カバー22の内面に圧接されて隙間を閉塞するように構成されている。すなわち、このシール部材54は、収容室35を密閉する機能を有する。なお、このフィルタ部23は、例えば吸込筒25の開口41など、風路部44(
図5)の任意の位置に配置できる。
【0043】
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
【0044】
まず、電気掃除機11による掃除動作の概略を説明する。電気掃除機11は、電源部から給電可能な状態で設定ボタン16を操作することで制御部が電動送風機14を動作させる。この電動送風機14の動作により生じた負圧によって、塵埃が空気とともに集塵部18に吸い込まれる。そこで、使用者は、ハンドル17を把持して電気掃除機11を所望の位置に持ち運び、床面などの被掃除面の塵埃を集塵部18に吸い込ませる。そして、集塵部18に吸い込まれた塵埃は集塵部本体21により分離されて収容室35に捕集されるとともにフィルタ部23により捕集される。塵埃が分離された空気は、さらに電動送風機14に吸い込まれてこの電動送風機14などを冷却した後、排出される。
【0045】
より詳細に、電動送風機14の動作により生じた負圧は、フィルタ部23、風路部44、分離室28、導入部30、吸込部36と作用する。このため、吸込部36から塵埃が空気とともに吸い込まれる。この吸込部36から吸い込まれた含塵空気は、導入部30の吸込口46から分離室28へと、この分離室28の接線方向に沿って導入口47から導入される。
【0046】
そして、分離室28内において、含塵空気は、基本的に外壁26および分離カバー31の側面部31bの内面に沿って吸込筒25の周囲を折り返すように旋回して流れつつ、一部は各開口41へと吸い込まれ(
図1、
図3中の矢印A1)、残りの他部は排出口32から収容室35へと通過した後、通風口33から還流室29へと還流し(
図1、
図3中の矢印A2)、この還流室29と連通する分離室28で再度合流する。このため、含塵空気中の、比較的重量が大きい粗塵が分離室28を旋回する際の遠心力によって空気流から分離されるとともに、排出口32に到達した粗塵は、収容室35から通風口33へと還流する含塵空気により収容室35へと引き込まれ、排出口32付近に溜まることなく収容室35に分離捕集される(
図2、
図4中の矢印A3)。このとき、含塵空気は、分離室28の底面部27の傾斜によって絞られることで、流速を維持したまま流れるので、粗塵は速度を低下させることなく排出口32から収容室35へと投入される。また、分離室28の含塵空気は、周回阻止部42により吸込筒25の周囲を1周以上周回することなく収容室35へと流入するように規制されることで、粗塵が吸込筒25の周囲を何度も周回することなく、直ちに収容室35へと投入され、吸込筒25の周囲に貼り付きにくく、開口41を閉塞させにくい。
【0047】
このように、粗塵は、基本的に導入口47から排出口32側に向かって流れることで、吸込筒25の導入口47から排出口32側の位置、すなわち本実施形態では吸込筒25の後側から左側の位置を通ることとなる。そのため、吸込筒25の後側から左側にかけて分離室28に位置する(一の)開口41aと比較すると、粗塵が基本的に通らない、導入口47に対して排出口32側とは反対側である吸込筒25の右側の還流室29に位置する(他の)開口41b(導入天井部30aに臨む開口41b)のほうが、より一層粗塵が貼り付きにくくなっている。そこで、仮に開口41aが塵埃の付着によって目詰まりしてきた場合でも、開口41bには依然として目詰まりが生じにくくなっていることから、これら開口41bから含塵空気をより多く吸い込むようになることで、さらに吸引を持続させることができる。
【0048】
そして、開口41に吸い込まれた空気中に含まれる、分離室28で分離されなかった細塵は、この空気が風路部44を通過する際にフィルタ部23により捕集されることで、略すべての塵埃が分離捕集される。
【0049】
この塵埃が分離捕集された空気は、電動送風機14へと吸い込まれ、電動送風機14などの発熱する部材を冷却した後、掃除機本体12の外部へと排出される。
【0050】
掃除が終了すると、設定ボタン16を操作することで制御部が電動送風機14を停止させる。集塵部18の収容室35やフィルタ部23に捕集された塵埃は、集塵部18を掃除機本体12から取り外し、カバー22やフィルタ部23を取り外すことにより、必要に応じて廃棄できる。
【0051】
上述したように、上記第1の実施形態によれば、通風口33により、収容室35とこの収容室35よりも上流側の還流室29とが連通されるので、分離室28から収容室35を介して還流室29へと含塵空気が還流する。このため、収容室35から通風口33を介して還流する気流によって分離室28から排出口32へと移動した塵埃が収容室35内へと効果的に排出されるので、吸込筒25の開口41に塵埃が付着しにくく、収容室35に分離された塵埃を下流側に流すことなく吸引力を持続できる。
【0052】
また、通風口33が、吸込筒25の開口41に近接した位置、例えば吸込筒25に対して排出口32とは反対側の側部、すなわち含塵空気の気流の上流側寄りに空気を還流させるので、風速を確保でき、分離室28で分離された塵埃を収容室35へとより効率よく引き込むことができる。
【0053】
次に、第2の実施形態を、
図7を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の通風口33が、導入部30に形成されているものである。すなわち、通風口33が、収容室35と、この収容室35よりも上流側の導入部30とを連通しているものである。
【0055】
通風口33は、導入部30の分離カバー31よりも外方(前方)の位置に複数形成されている。例えば、通風口33は、導入部30の上部、および、排出口32側である一側部すなわち左側部にそれぞれ複数ずつ形成されている。このため、これら通風口33は、収容室35を内室45の外部と連通するようになっている。また、これら通風口33は、導入部30に対して、吸込口46よりも下流側、かつ、導入口47よりも上流側の位置と連通するように形成されている。なお、本実施形態において、還流室29は必須の構成ではない。
【0056】
そして、電動送風機14の動作により生じた負圧は、フィルタ部23、風路部44、分離室28、導入部30、吸込部36と作用する。このため、吸込部36から塵埃が空気とともに吸い込まれる。この吸込部36から吸い込まれた含塵空気は、導入部30の吸込口46から分離室28へと、この分離室28の接線方向に沿って導入口47から導入される。この分離室28内において、含塵空気は、基本的に外壁26および分離カバー31の側面部31bの内面に沿って吸込筒25の周囲を折り返すように旋回して流れつつ、一部は各開口41へと吸い込まれ、残りの他部は排出口32から収容室35へと通過した後、通風口33から導入部30へと還流し、この導入部30から分離室28へと再導入される。このため、含塵空気中の、比較的重量が大きい粗塵が分離室28を旋回する際の遠心力によって空気流から分離されるとともに、排出口32に到達した粗塵は、収容室35から通風口33へと還流する含塵空気により収容室35へと引き込まれ、排出口32付近に溜まることなく収容室35に分離捕集される。
【0057】
このように、通風口33により、収容室35とこの収容室35よりも上流側の導入部30とが連通されるので、分離室28から収容室35を介して導入部30へと含塵空気が還流する。このため、分離室28から排出口32へと移動した塵埃が収容室35から通風口33を介して還流する気流によって収容室35内へと効果的に排出されるので、吸込筒25の開口41に塵埃が付着しにくく、収容室35に分離された塵埃を下流側に流すことなく吸引力を持続できる。
【0058】
また、通風口33が、分離室28に対して離れた位置、具体的に内室45の外部の位置に空気を還流させるので、この還流によって分離室28の気流を乱しにくく、分離室28での分離性能を低下させにくい。
【0059】
なお、上記各実施形態において、電気掃除機11としては、使用者が引っ張って床面上を走行させながら掃除をする、キャニスタ型、掃除機本体12の下部に吸込口体を直接接続するアップライト型、あるいは、自律走行(自走)するロボット型など、各種の電気掃除機11に対応して用いることができる。
【0060】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、分離室28で分離され排出口32から排出された塵埃を収容する収容室35と、この収容室35よりも上流側とを通風口33によって連通することで、分離室28から収容室35を介してこの収容室35の上流側へと含塵空気が還流する。このため、分離室28から排出口32へと移動した塵埃が収容室35から通風口33を介して還流する気流によって収容室35内へと効果的に排出されるので、吸込筒25の開口41に塵埃が付着しにくく、収容室35に分離された塵埃を下流側に流すことなく吸引力を持続できる。
【0061】
この結果、例えば収容室35から含塵空気をその下流側に流す場合のように、収容室35からその下流側へと塵埃を捕集するためのフィルタなどをフィルタ部23とは別個に備える必要がなく、構成を簡略化できるとともにフィルタに付着した塵埃の除去などのメンテナンスが不要でメンテナンス性を向上でき、かつ、フィルタの目詰まりに起因する吸引力の持続性の低下が生じない。
【0062】
また、通風口33を微細な孔としたことにより、収容室35からこの収容室35の上流側へと通風口33を介して粗塵が還流することを防止できるとともに、微細な塵埃であれば、通風口33を通過できるので、この通風口33が微細な塵埃によって閉塞されにくく、この通風口33の目詰まりに起因する収容室35から収容室35の上流側への空気の還流を抑制した構成を安価に形成できる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。