(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918897
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】エレベータ満員検知システム
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20210729BHJP
B66B 1/16 20060101ALI20210729BHJP
B66B 13/14 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
B66B3/00 L
B66B1/16 L
B66B3/00 F
B66B3/00 G
B66B13/14 N
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-202742(P2019-202742)
(22)【出願日】2019年10月18日
(65)【公開番号】特開2021-66600(P2021-66600A)
(43)【公開日】2021年4月30日
【審査請求日】2019年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100211502
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】西澤 恭平
【審査官】
今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−222353(JP,A)
【文献】
特開2013−018589(JP,A)
【文献】
特開2018−144914(JP,A)
【文献】
特開2019−131395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00− 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかごの荷重を検知する荷重検知手段と、
前記乗りかご内のドア周辺の所定領域の画像情報を取得する撮像手段と、
前記乗りかご内へ音声を出力する音声出力手段と、
前記荷重検知手段により検知された荷重に基づき、前記乗りかごの最大積載重量に対する荷重比率が、第一の範囲内か否かを判定する荷重判定手段と、
前記画像情報より前記乗りかご内の前記所定領域において乗客の動きの有無を判定する動き判定手段と、
前記撮像手段で取得した前記画像情報に基づき、前記所定領域における乗客または物の占有度合により、前記所定領域が混雑しているか否か判定する混雑判定手段と、
前記混雑判定手段により混雑していると判定され、かつ、前記荷重判定手段により前記荷重比率が前記第一の範囲内であると判定された場合、前記音声出力手段は、乗客にドア周辺を空けるようにアナウンスし、その後、前記動き判定手段より乗客に動きが無いと判定された場合、満員であると判定し、前記動き判定手段より乗客に動きがあると判定された場合、満員ではないと判定する満員判定手段と、
を備えることを特徴とするエレベータ満員検知システム。
【請求項2】
前記動き判定手段は、乗客の位置もしくは向きの変化をみることで動きの有無を判定することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項3】
前記動き判定手段により乗客の動きがあると判定された場合、前記混雑判定手段により前記所定領域が混雑しているか否かの判定を行い、混雑していると判定されれば、前記音声出力手段は、乗客にかご出入口周辺を空けるように再度のアナウンスを行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項4】
エレベータの戸開時間を制御するエレベータ制御手段をさらに有し、
前記再度のアナウンスの後、前記動き判定手段により乗客の動きがあると判定された場合、前記エレベータ制御手段は、戸開の延長を行うことを特徴とする請求項3に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項5】
前記乗りかご内に視認可能なアプローチを行う手段とをさらに有し、
前記音声出力手段によるアナウンスの出力とともに、前記視認可能なアプローチを行う手段は、前記所定領域に関する情報として映像や光を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項6】
エレベータの乗りかごの荷重を検知する荷重検知手段と、
前記乗りかご内のドア周辺の所定領域の画像情報を取得する撮像手段と、
前記乗りかご内へ音声を出力する音声出力手段と、
前記所定領域の前記画像情報を表示する映像出力手段と、前記所定領域の周囲もしくは略全面を視認可能に発光する光源出力手段の少なくともいずれか一方を用いて前記乗りかご内に視認可能なアプローチを行う手段と、
前記荷重検知手段により検知された荷重に基づき、前記乗りかごの最大積載重量に対する荷重比率が、第一の範囲内か否かを判定する荷重判定手段と、
前記撮像手段で取得した前記画像情報に基づき、前記所定領域における乗客または物の占有度合により、前記所定領域が混雑しているか否か判定する混雑判定手段と、
前記混雑判定手段により混雑していると判定され、かつ、前記荷重判定手段により前記荷重比率が前記第一の範囲内であると判定された場合、満員であると判定し、前記混雑判定手段で混雑していると判定され、かつ、前記荷重判定手段により前記荷重比率が前記第一の範囲より少ないと判定された場合、満員ではないと判定する満員判定手段と、
を備え、
前記混雑判定手段により満員ではないと判定された場合、前記音声出力手段によるアナウンスの出力とともに、前記視認可能なアプローチを行う手段は、前記所定領域に関する情報として映像や光を出力することを特徴とするエレベータ満員検知システム。
【請求項7】
前記視認可能なアプローチを行う手段は、前記所定領域の前記画像情報を表示する映像出力手段であり、
前記映像出力手段は、前記所定領域の前記画像情報を出力することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項8】
前記視認可能なアプローチを行う手段は、前記所定領域の周囲に線状に発光する光源出力手段であり、
前記光源出力手段は、乗客に対して視認可能に発光することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項9】
前記視認可能なアプローチを行う手段は、前記所定領域の略全面を発光する光源出力手段であり、
前記光源出力手段は、乗客に対して視認可能に発光することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項10】
前記乗りかご内で利用者が行先階を指定するかご内操作部と、
乗場にて利用者が前記乗りかごを呼ぶための指示をする乗場操作部と、
エレベータの戸開時間を制御するとともに、前記かご内操作部と前記乗場操作部のそれぞれの操作に基づき、次停止階を選択するエレベータ制御手段と、
をさらに有し、
前記満員判定手段により満員であると判定された場合、前記エレベータ制御手段は、前記乗場操作部により前記乗りかごが呼ばれたとしても、前記かご内操作部での操作のない階床を次停止階として選択しない満員運転制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項11】
前記所定領域は、かごドアの間口寸法を一辺とし、前記乗りかごの奥行寸法の略二分の一を他の一辺とする矩形領域であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項12】
前記所定領域は、かごドアの間口寸法を一辺とし、かごドアの開閉方向に垂直な方向へ、かごドアから略400mm延ばした直線を他の一辺とする矩形領域であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項13】
前記混雑判定手段は、前記撮像手段により取得した前記画像情報に基づき、前記所定領域内にいる乗客の人数を検知し、前記所定領域に乗車可能な人数に対する、前記検知した人数の比率を前記占有度合とすることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項14】
前記混雑判定手段は、前記撮像手段により取得した前記画像情報に基づき、前記所定領域内に映る乗客の画像領域を検知し、前記所定領域に占める前記検知した乗客の画像領域の比率を前記占有度合とすることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のエレベータ満員検知システム。
【請求項15】
前記第一の範囲は、第一の閾値から第二の閾値までの範囲であって、
前記第一の閾値は80%とし、前記第二の閾値は50%とすることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のエレベータ満員検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ満員検知システ
ムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、乗客の乗り過ぎによる運転や過重積載を防止するための対策を実施している。例えば、戸開時、乗場からかご内へ乗り込む人数が多く、かご内の荷重が積載重量を超過した場合には、警報器や音声アナウンスにより、かご内の乗客に降車を促し、過重積載での運転が行われないようにしている。
【0003】
また、エレベータかご内の乗客が積載重量の一定の割合(一例として80%)を超えると、乗場呼び登録に応答せず、通過をしている。しかし、その一定の割合を、満員判定の閾値とした場合、その閾値未満であっても、乗場で待っている利用者はかご内が混雑していると感じ、かごに乗り込まないことがあった。この場合、乗り込む人がいないのにも関わらず、乗場呼びのある各階床にかごは停止することとなり、また、乗り込まなかった利用者は次のエレベータを待つため運行効率が悪かった。
【0004】
このような従来技術に対し、エレベータかご内における荷重の満員と判定する閾値を設置場所や時間帯によって可変とする制御装置や運行方法が提案されている。
【0005】
また、荷重だけでなく、光電検出器や画像検出器などのセンサを用いた情報に基づき、空間の混雑度検知を行い、制御を行うことを可能としたエレベータ装置が提案されている。通常、荷重が積載重量の80%を超えると満員として判定するが、それ未満であっても画像認識等により乗車空間を考慮して満員と判定することもある。例えば、特許文献1では、画像認識により、かごの中の空間的な混雑度、つまり乗客の位置等を含む情報による混雑度を判定し、エレベータの運行を制御することを可能としている。また、かご内全体だけでなく、ドア近傍の所定領域の混雑の情報に基づく制御も可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−222353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術では、空間と荷重の双方の混雑情報に基づき、いずれか一方が混雑している場合、あるいは、いずれも混雑している場合、満員検知を行っている。かご内全体の空間の混雑度に基づく場合には、荷重が閾値未満であったとしても適切な満員判定が可能だが、ドア近傍の所定領域の混雑度に基づく場合には、ドア近傍の一部箇所だけが混雑していて、かご内後方に空いている空間があっても満員と判定してしまう課題がある。
【0008】
ここで、かご内部への乗車の仕方は利用者の心理的理由から以下の二つが考えられる。かごに乗り込んだ際、ドアから離れた後方または壁際から詰めて乗る方法と、余裕をもってかご出入口周辺に乗る方法である。混雑すると他の乗客との距離を十分とることが難しく、心理的な負担ともなる。そのため、空間的な余裕をもって乗り込む乗客が多い。
【0009】
また、かご内の空間に余裕がある状況であっても、目的階で急いで降りたい場合、かご出入口周辺に立つことがある。この場合、かご内のドア近傍に設定された所定領域を検知範囲として混雑度の検出を行うと、満員として判定され満員制御が行われることがある。過重積載重量未満かつ心理的にも負荷のかからない範囲をそれぞれの利用者が確保できる状況であって、さらに乗客が乗り込むことが可能であるにもかかわらず、満員通過をするため、運行効率が下がる。
【0010】
以上のことから、本発明では、かご内の荷重とかご内のドア周辺の所定領域の混雑度とに基づき、満員判定するとともに、運行効率の低下を有効に抑制することを可能とするエレベータ満員検知システ
ムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態のエレベータ満員検知システムは、エレベータ
の乗りかごの荷重を検知する荷重検知手段と、
前記乗りかご内のドア周辺の所定領域の画像情報を取得する撮像手段と、
前記乗りかご内へ音声を出力する音声出力手段と、前記荷重検知手段により検知された荷重に基づき、前記
乗りかごの最大積載重量に対する荷重比率が、第一の範囲内か
否かを判定する荷重判定手段と、
前記画像情報より前記乗りかご内の前記所定領域において乗客の動きの有無を判定する動き判定手段と、前記撮像手段で取得した前記画像情報に基づき、前記所定領域における乗客または物の占有度合により、前記所定領域が混雑しているか否か判定する混雑判定手段と、
前記混雑判定手段により混雑していると判定され、かつ、前記荷重判定手段により前記荷重比率が前記第一の範囲内であると判定された場合、前記音声出力手段は、乗客にドア周辺を空けるようにアナウンスし、その後、前記動き判定手段より乗客に動きが無いと判定された場合、満員であると判定し、前記動き判定手段より乗客に動きがあると判定された場合、満員ではないと判定する満員判定手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図2は、乗りかご内を上部から見た平面図で、計測領域を示す図である。
【
図3】
図3は、第一実施形態における制御装置の機能を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第一実施形態における制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第二実施形態における制御装置の機能を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第二実施形態における制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、映像出力装置を設けた乗りかごの構成を示す図である。
【
図8】
図8は、乗りかご内の計測領域の周囲に設けられた光源装置を示す図である。
【
図9】
図9は、乗りかご内の計測領域内に設けられた光源装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
< 第一実施形態>
以下、本発
明のエレベータ満員検知システ
ムについて、図面を参照しながら説明する。本実施形態は、かご内の荷重とかご内のドア周辺の所定領域の混雑度とに基づき、満員判定を行うとともに、運行効率の低下を有効に抑制する。
【0014】
図1は、第一実施形態に係るエレベータの具体的な構成を示している。
図1において、1はエレベータの乗りかご、2はかごドア、3はかご内操作盤、4は荷重検知装置、5は撮像装置、6は幕板、7は音声出力装置、8は制御装置である。
【0015】
かご内操作盤3は、乗りかご1内に設けられ、行先階登録ボタンを有している。乗客がこのかご内操作盤3を操作することにより行先階を登録する(以下、この操作を「かご呼び登録」と称す)。また、乗場には図示せぬ乗場操作盤を備えている。乗場操作盤は、利用者がこの操作盤を操作することによりかごを呼ぶことができる(以下、この操作を「乗場呼び登録」と称す)。かご内操作盤3及び乗場操作盤は、かご呼び登録及び乗場呼び登録の情報を制御装置8に伝える。
【0016】
荷重検知装置4は、乗りかご1に設けられ、乗りかご1にかかる荷重をかご本体の重さを含めて検知する。本実施形態では
図1のように乗りかご1の底部に備えているが、それ以外にも昇降路上部かつ乗りかご1を吊るしているロープに繋げて配置してもよい。荷重検知装置4は、取得した荷重の情報を制御装置8に伝える。
【0017】
乗りかご1の出入口上部に撮像装置5が設置されている。具体的には、撮像装置5は、乗りかご1の出入口上部を覆う幕板6の中もしくは天井面に、レンズ部分を直下方向、もしくは、乗りかご内部向きに所定の角度だけ傾けて設置される。撮像装置5は、例えば車載カメラ等の小型の監視用カメラであり、広角レンズもしくは魚眼レンズを有し、1秒間に数コマ(例えば30コマ/秒)の画像を連続的に撮影可能である。撮像装置5は、かごドア2周辺の所定領域を撮影する。ただし、所定領域を含む範囲を撮影できる方法であれば、撮影は、乗りかご上部に位置するかご内監視用カメラ等によるものとしてもよい。
【0018】
音声出力装置7は、撮像装置5と同様にかご内に設置され、スピーカーを介したアナウンスによって乗りかご1内に音声を出力する。音声出力装置7は、乗りかご1上部やかごドア2近傍の柱に配置してもよい。
【0019】
制御装置8は、かご呼び登録及び乗場呼び登録に基づいてエレベータの乗りかご1の運転制御を行う。さらに、乗りかご1内の荷重の情報と画像情報を受け取り、満員か否かを判定し、その結果に基づき運転制御を行う。
図1において制御装置8は、乗りかご1の上部に設けられているが、昇降路または機械室に設置してもよい。
【0020】
制御装置8内では、まず撮像装置5より受け取った画像情報から乗りかご1内全体における乗客の位置、乗りかご1内のドア周辺の所定領域に占める乗客の占有度合を求め、混雑度の判定を行う。
【0021】
占有度合とは、乗りかご1においてどれだけの部分を乗客や物が占有しているかの割合である。例えば、占有度合は、所定領域内に入り得る人数に対する実際に所定領域内にいる人数の割合、あるいは、画像上において所定領域の面積に占める乗客の面積
の割合である。所定領域の占有度合の算出を人数により行う場合、エレベータかごの定員数より、乗りかご1の全床面積に対する所定領域の面積比に基づき、所定領域内に入り得る利用者の数を求める。
【0022】
そして予め人の頭と思われる画像パターンを学習しておき、撮像装置5により得られた画像情報において、人の頭と思われる画像パターンを認識した後、その画像パターンの数を数えることで人数把握を行う。そして所定領域内で入り得る人数に対する、カウントされた画像パターンの数の割合を算出することにより占有度合を求める。
【0023】
また、占有度合の算出を面積により行う場合、得られた画像情報において、人や物が映っている画像領域と映っていない画像領域とに基づき、利用者及び荷物の乗りかご1内に占める割合を算出し、占有度合を求める。ここでの占有面積の算出は、利用者が乗り込む以前の誰も乗っていないかご内の画像と乗客や荷物が存在するときのかご内の画像との比較による差分検出の手法を用いても良い。
【0024】
制御装置8は、荷重検知装置4と撮像装置5より受け取ったそれぞれの情報を組み合わせて、満員か否かを判定し、その結果に基づき運転制御を行う。
【0025】
制御装置8は、満員であると判定した場合、エレベータかごは満員運転制御で運行する。ここでの満員運転制御とは、次停止階をかご呼び登録のある階床とし、かご呼び登録が無くかつ乗場呼び登録がされている場合、乗場呼び登録のある階床を通過する運転制御である。満員ではないと判定した場合、通常運転制御で運行する。通常運転制御とは、次停止階はかご呼び登録もしくは乗場呼び登録の一方もしくは双方がされている階床とし、呼び登録のある各階床に停止する運転制御である。
【0026】
図2は、乗りかご1内を上方から見た平面図である。8はドア周辺の混雑状況を把握するために設けられた計測領域で、この領域に占める乗客や物の占有度合を検出する領域である。かごドア2周辺の一部の箇所に占める乗客や物の占有度合を算出するため、かご内全体の占有度合を算出する場合と比較し、処理時間を抑えることが可能である。
【0027】
例えば、計測領域9は、かごドア2が開口したときの間口寸法を一辺とし、かごドア2からかごの奥行寸法の略二分の一の長さを他の一辺とする矩形の範囲とする。また、同様にかごドア2が開口したときの間口寸法を一辺とし、奥行を人一人分のパーソナルスペースとして、かごドア2の開閉方向と垂直な方向へ、かごドア2から略400mm延ばした直線を他の一辺とする矩形の範囲としてもよい。
【0028】
図3は、
図1における制御装置8の機能を示す図である。制御装置8は、荷重判定部81、情報抽出部82、混雑判定部83、第一の満員判定部84、制御部85からなる。荷重検知装置4と撮像装置5から取得した荷重と画像の各情報は、それぞれ荷重判定部81、情報抽出部82に送られる。
【0029】
荷重判定部81では、荷重検知装置4で検知した乗りかご1の荷重に基づいて、最大積載重量に対する実際の荷重の比率が第一の範囲、第二の範囲、第三の範囲のいずれに属するか判定する。
【0030】
第一の範囲は、第二の閾値以上かつ第一の閾値未満とし、第二の範囲は、第一の閾値以上とし、第三の範囲は、第二の閾値未満とする。ここで、第一の閾値は最大積載重量の80%とし、第二の閾値は50%とした場合、第一の範囲は50%以上80%未満、第二の範囲は80%以上、第三の範囲は50%未満となる。なお、これらの閾値については、エレベータの管理者が任意の値に設定することが可能である。
【0031】
情報抽出部82では、画像情報に基づき、乗りかご1内の計測領域9における乗客の人数や物の位置等の情報を抽出する。ここでは、予め頭の形等の画像パターンを認識しておき、画像情報において対象となる画像パターンを数えることで乗客の人数のカウントを行う。
【0032】
混雑判定部83では、計測領域9における乗客の占有度合の算出を行う。ここでは、エレベータかごの定員数より求められた計測領域9内に入り得る利用者数に対する、情報抽出部82により抽出された計測領域9内の人数の割合を求める。この割合を、本実施形態では占有率と称し、占有率が第三の閾値以上であった場合、混雑していると判定する。この第三の閾値は、エレベータの管理者が任意の値に設定することが可能である。本実施形態では、第三の閾値を80%とし、これを超えている場合には、計測領域9に乗客が集中しているとみなし、混雑していると判定する。また、計測領域9における乗客の占有度合の算出については、人数比だけでなく、面積比により算出することも可能である。
【0033】
第一の満員判定部84では、荷重判定部81と混雑判定部83より受け取った双方の情報を組み合わせて、満員か否かの判定を行う。例えば、荷重比率が80%以上のときは、混雑判定がいずれの結果でも、満員であると判定とする。荷重比率が50%以上80%未満のときは、混雑判定部83にて混雑していると判定された場合は満員であると判定とし、混雑していないと判定された場合は満員ではないと判定する。荷重比率が0%以上50%未満のときは、混雑判定がいずれの結果でも、満員ではないと判定する。
【0034】
制御部85は、第一の満員判定部84による満員か否かの判定に基づき運転制御を行う。ここで満員であると判断された場合は、満員運転制御を行い、そうでない場合は通常運転制御を行う。また、制御部85は、音声出力装置7に対して、計測領域9にいる乗客に対して詰み込みを促進するアナウンスなどを指示する。
【0035】
図4は、
図3における制御装置8の動作を示すフローチャートであり、乗りかご1の荷重と計測領域9の混雑度に基づく運転方法の流れを示している。
【0036】
停止階床において利用者の乗降等が行われるが、かご内の荷重が最大積載重量の制限を超えていると(ステップS101:Yes)、エレベータは運行できないため、警報やアナウンスが出力され(ステップS102)、乗客に降車を促す。安全に運行できる荷重となり(ステップS101:No)、かごドア2が戸閉すると(ステップS103)、荷重検知装置4はかご本体の重さを含む荷重を検知する(ステップS104)。ステップS104の荷重検知と並行して、かご内上部に設けられた撮像装置5により、かごドア2の周辺の計測領域9の画像情報を取得する(ステップS105)。
【0037】
次に、ステップS104で検知した荷重に基づき、最大積載重量に対するかご内の荷重の比率が第一の閾値(ここでは便宜上80%とする)以上か未満か判断する(ステップS106)。荷重比率が第一の閾値以上であると判断された場合(ステップS106:Yes)、エレベータかごは安全に運行するため、満員運転制御を行う(ステップS114)。かご呼びが無く、かつ乗場呼びがある階床は満員通過をすることとなる。
【0038】
一方、かご内荷重が80%未満であった場合(ステップS106:No)、ステップS105で取得したかごドア2の周辺の計測領域9の画像において、情報抽出部82より、乗客の人数や荷物の位置等のかご内の情報を抽出する(ステップS107)。そして占有度合として、計測領域9内に入り得る利用者数に対する実際に計測領域9にいる乗客数の割合、つまり占有率を算出する(ステップS108)。その算出した占有率が80%以上か否かで計測領域9が混んでいるか否か判定を行う(ステップS109)。
【0039】
占有率が80%以上で計測領域9が混雑していると判定された場合(ステップS109:Yes)、かご内における荷重比率が、第二の閾値(ここでは便宜上50%とする)以上かつ80%未満であるか、もしくは50%未満か判定する段階に進む(ステップS110)。ここで、荷重比率が50%以上かつ80%未満である場合(ステップS110:Yes)、かごは満員であるとみなし、満員運転制御を行う(ステップS114)。かご呼びが無く、かつ乗場呼びがある階床は満員通過をする。
【0040】
荷重比率が第二の閾値50%未満である場合(ステップS110:No)、かご内の計測領域9は混雑しているが、荷重は余裕があると判断できる。仮に、かご内の乗客や物の位置をさらにかご内奥へと移動させることができれば、かご内には乗客が乗り込める余裕ができる可能性がある。そこで、次に、次停止階でかご呼びが無く乗場呼びがあるかどうかを判定する(ステップS111)。次停止階でかご呼びが無くかつ乗場呼びがある場合(ステップS111:Yes)、着床前にかご内の乗客に移動を促すアナウンスを行う(ステップS112)。例えば、「かごの奥へお詰めください」というかご出入口周辺スペースの確保を促すアナウンスを行う。その後、通常運転制御を行い(ステップS113)、次停止階に着床する。また、ステップS111において、次停止階にかご呼びがある場合(ステップS111:No)には、アナウンスはせずに、通常運転制御を行う。
【0041】
以上に述べたように、本発明のエレベータ満員検知システ
ムによれば、かご内のドア周辺の計測領域9が混雑していたとしても、積載荷重に余裕があれば、乗客へ移動を促すアナウンスをすることにより、利用者が乗り込む空間を確保し、エレベータの運行効率を向上させることができる。
【0042】
<第二実施形態>
前述した第一実施形態では、最大積載重量に対する荷重の比率が50%以上80%未満の状況であって、かつ、かご内のドア周辺の計測領域9が混雑していれば、満員運転制御がされる。一方、第二実施形態では、荷重とドア周辺の計測領域9の混雑度に加え、さらに乗客の動きを検知して、満員判定をするものである。
【0043】
図5は、
図3に示した荷重検知装置4、撮像装置5、音声出力装置7、及び制御装置8内の荷重判定部81、情報抽出部82、混雑判定部83、制御部85に加え、第二実施形態における動き判定部86、第二の満員判定部87をさらに有した図である。
【0044】
ここで情報抽出部82では、第一実施形態の動作に加えて、乗客の向きを判定する。乗りかご1内の乗客の頭や顔、もしくは肩などの特徴点を抽出して利用者の向きを判定する。例えば、顔認識の技術により、顔が横向きであるか後ろ向きであるか等の判定が可能である。
【0045】
動き判定部86では、情報抽出部82の情報である、乗客の位置や向きの変化を見ることで、動きの有無を判定する。例えば、計測領域9内の画像を所定の単位で格子状に分割し、これらのブロック単位で輝度値の差異を比較することで、取得した画像情報の頭や足の位置や向きの変化を抽出する。ここでは、利用者がかご内に乗り込んだ状態において、所定時間間隔を持ついくつかの画像を比較する中で、動きが生じる以前の画像と動きが生じた後の画像との差分を検出する、いわゆる動体検出の技術を用いるとしてもよい。
【0046】
第二の満員判定部87では、荷重判定部81、混雑判定部83に加え、動き判定部86より受け取った情報を組み合わせて、満員か否かの判定を行う。例えば、第一実施形態と同様、第二の満員判定部87は、荷重比率が80%以上のときは、混雑判定がいずれの結果でも、満員であると判定し、荷重比率が0%以上50%未満のときは、混雑判定がいずれの結果でも、満員ではないと判定する。また、第二の満員判定部87は、荷重比率が50%以上80%未満のときは、混雑判定部83において混雑していないと判定された場合は満員であるとは判定しないが、混雑判定部83において混雑していると判定された場合は、さらに動き判定部86の判定結果を考慮する。第二の満員判定部87は、動き判定部86にて乗客の動きが無いと判定された場合は満員であると判定し、乗客の動きがあると判定された場合は、満員ではないと判定する。
【0047】
図6は、
図5に示した制御装置8の動作を示すフローチャートである。ここで、荷重比率が50%以上80%未満である場合の乗客の動きを考慮した運転方法の流れについて詳細を説明する。ここで、
図6におけるステップS101からステップS108までの処理は
図4と同一のため、説明は省略する。計測領域9の占有率が80%未満であれば(ステップS201:No)、通常運転制御を行う(ステップS215)。占有率が80%以上であれば(ステップS201:Yes)、かご内全体の荷重比率が50%以上80%未満かを判断するステップS202に進む。ここで50%未満であれば(ステップS202:No)、通常運転制御を行う(ステップS215)。
【0048】
一方、50%以上80%未満であれば(ステップS202:Yes)、次停止階でかご呼びが無く乗場呼びがあるか判断する段階(ステップS203)に進む。ここで、次停止階においてかご呼びがあり乗場呼びが無い場合、もしくはかご呼びがありかつ乗場呼びがある場合のいずれかであれば(ステップS203:No)、通常運転制御で運行する(ステップS215)。
【0049】
次停止階でかご呼びが無くかつ乗場呼びがある場合(ステップS203:Yes)、エレベータが着床する前に、音声出力装置7から、かご内の乗客に「混雑してきました、かごの奥へお詰めください」等のかご出入口周辺スペースの確保を促すアナウンスを行う(ステップS204)。音声出力装置7からのアナウンス後、かごドア2周辺の計測領域9にいる乗客等の動きを検知し(ステップS205)、乗客の動きの有無を判定する(ステップS206)。
【0050】
仮に奥へ詰めるもしくは壁際による等の移動する意思が少しでもある場合には、背面側を振り返る等周りの様子を確認するような挙動が現れるはずである。ここでは画像認識により、頭の動きを検知することができ、アナウンスの前後で乗客の位置や動きの変化を検出することが可能である。ここで特に動きが無い場合(ステップS206:No)は、物等が空間の多くを占めていて周りの乗客が動けないもしくは動く意思が無いとみなし、乗場呼びのある階床に止まってもそれ以上に乗客が乗り込むことができないと判断されるため、制御部85は満員運転制御を行う(ステップS216)。
【0051】
乗りかご1の背面側を振り返る等の何かしらの乗客の動きがあった場合(ステップS206:Yes)、乗客には移動の意思があると判断し、乗場呼びのある次階床へ着床する(ステップS207)。
【0052】
そして、かごドア2の戸開開始時、撮像装置5から取得した画像からかごドア2周辺の計測領域9における混雑度を検知し(ステップS208)、計測領域9が混雑しているかどうか判定するステップへと移行する(ステップS209)。ここで計測領域9に占める乗客や物の占める占有率が80%未満であれば(ステップS209:No)、乗場にいる利用者が実際に乗り込めると判断し、通常運転制御を行う(ステップS215)。
【0053】
占有率が80%以上で、かごドア2周辺の計測領域9の混雑が解消されていない場合(ステップS209:Yes)は、再度、戸開中に音声出力装置7より乗客に対し詰み込みを促進するアナウンスを行う(ステップS210)。次に戸開中の乗客等の動きを検知し(ステップS211)、乗客の動きの有無を判定する(ステップS212)。
【0054】
動きが無ければ(ステップS212:No)、それ以上乗客の乗り込みが不可能であると判断し、通常の戸開時間が経過すると戸閉し(ステップS214)、それ以降の運転は満員運転制御に切り替える(ステップS216)。これは、荷重には余裕があるものの占有面積が広く、更なる利用者の乗り込みが困難であることが想定され、次にかご呼びが無くかつ乗場呼びがある階床に着床することは効率的ではないと判断することによる。
【0055】
ステップS211において乗客の動きがあると検知された場合(ステップS212:Yes)、着床中の戸開時間を延長し(ステップS213)、乗場呼び登録のあった階床から乗客が乗り込む時間的な猶予を設け、その後、通常運転制御を行う(ステップS215)。
【0056】
なお、ステップS204およびS210の詰め込みおよび移動促進のアプローチ方法としては、音声アナウンスだけでなく、幕板6もしくはかご内操作盤3近傍に設置されるモニターへの計測領域9の画像の映写や、かご内床面に配置されている計測領域9を示す光源の利用も可能としている。
【0057】
図7は、
図1にあるかご内操作盤3、荷重検知装置4、撮像装置5、幕板6、音声出力装置7、制御装置8に加え、映像出力装置10をさらに備えた図である。
【0058】
映像出力装置10は、撮像装置5から取得した映像を映し出し、乗りかご1内であれば視認できるように一般利用者の視点よりも高い位置(例えば、幕板6やかご内操作盤3のディスプレイ)に設置される。出力される映像は撮像装置5により撮影された計測領域9の画像で、乗客に移動を促す音声出力装置7からのアナウンスのタイミングと合わせてリアルタイムの映像を出力する。
【0059】
図8および
図9は、
図2と同様に、乗りかご1内を上方から見た平面図であり、床面に設けられた計測領域9を示す光源装置11を示す図である。
図8では計測領域9の周囲を囲う形で、また、
図9では計測領域9内を全面発光させる形で光源装置11を設ける方法を提案している。
【0060】
光源装置11は、音声出力装置7によるアナウンスと合わせたタイミングで発光する。光源が点灯または点滅することで計測領域9を乗客に知らせ、移動を促す効果がある。
【0061】
以上に述べた作用により、全体としては混雑していないのにも関わらず、かごドア2周辺に乗客や物が集まっている場合、乗客への詰み込み促進をアナウンスすることにより、かご出入口周辺の人をばらけさせる効果がある。従って、乗降のしやすさが向上し、運行効率の向上も見込める。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、そのほかの様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1…エレベータの乗りかご、2…かごドア、3…かご内操作盤、4…荷重検知装置、5…撮像装置(カメラ)、6…幕板、7…音声出力装置、8…制御装置、9…計測領域、10…映像出力装置(モニター)、11…光源装置