(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側ゾーンに延在するバリア・リングをさらに含み、該バリア・リングが前記バリアの周囲にあり、該バリア・リングは、前記溶融物が通って流れるための第2通路を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
対応する参照符号(又は番号又は記号)は、図面のいくつかの観点において、対応するパーツ(又は部品又は部材)を示す。
【0011】
詳細な説明
図1を参照すると、結晶引上げシステムが概略的に示され、この結晶引上げシステムは、概して、符号100で示される。結晶引上げシステム100は、チョクラルスキー(Czochralski)法によって、インゴットを製造するために使用されてよい。
【0012】
図示する結晶引上げシステム100は、サセプタ(又は支持台又は加熱台(susceptor))102を含み、このサセプタ102は、坩堝(るつぼ)アセンブリ104の周囲にあり、坩堝アセンブリ104は、半導体またはソーラーの等級(又はグレード)の材料(例えば、シリコン)の溶融物(又はメルト)106を含む。溶融物106は、固体フィードストック材(又は固体(固形)フィードストック材料(solid feedstock material))111を加熱することによって形成されてよい。システム100が作動する間、種結晶112がプラー110によって溶融物106にまで降下し、次いで、溶融物106から、ゆっくり上昇する。種結晶112が、溶融物106から、ゆっくり上昇するとき、溶融物106からのシリコン原子が、それ自体、種結晶112と整列し、なおかつ種結晶112に結合して、インゴット108を形成する。また、図示するシステム100は、ヒート・シールド114を含み、これにより、溶融物106の放射熱からインゴット108をシールド(又は遮蔽)し、そして、インゴット108を固化させることができる。
【0013】
坩堝アセンブリ104は、第1坩堝116と、第2坩堝118とを含む。他の実施形態では、システム100は、第1坩堝116および第2坩堝118のいずれかに加えて、または第1坩堝116および第2坩堝118のいずれかの代わりに、1またはそれよりも多くの堰(せき)を含んでよい。適切な実施形態において、坩堝アセンブリ104は、任意の適切な材料から構成されてよく、この材料により、システム100を説明の通りに機能させることができる。例えば、いくつかの実施形態において、坩堝アセンブリ104は、石英から構成されてよい。
【0014】
第1坩堝116は、第1ベース(又は基部)120と、第1サイドウォール(又は側壁)122とを含む。第2坩堝118は、第2ベース(又は基部)124と、第2サイドウォール(又は側壁)126とを含む。図示する実施形態において、第1サイドウォール122は、第1ベース120の円周のまわりに延在する。第2サイドウォール126は、第2ベース124の円周のまわりに延在する。キャビティ132は、第1坩堝116の第1サイドウォール122の内面および第1ベース120の内面によって形成される。他の実施形態では、坩堝アセンブリ104は、任意の坩堝を含んでよく、それにより、システム100を説明の通りに作動させることができる。
【0015】
この実施形態において、第1坩堝116および第2坩堝118は、第1坩堝116のキャビティ132内において、第2坩堝118の配置が可能となるような寸法(又は大きさ又はサイズ)および形状(又はシェイプ)を有する。いくつかの実施形態において、第1坩堝116は、40、36、32、28または24インチの外側直径(又は外径)を有してよい。第2坩堝118は、36、32、28、24、22または20インチの外側直径(又は外径)を有してよい。別の実施形態において、第1坩堝116および第2坩堝118のそれぞれが、任意の適切な直径(径)を有してよく、それにより、システム100を説明の通りに作動させることができる。例えば、いくつかの実施形態において、第1坩堝116は、32インチの外側直径(又は外径)を有してよい。第2坩堝118は、22インチの外側直径(又は外径)を有してよい。
【0016】
第1坩堝116および第2坩堝118は、外側ゾーン134および内側ゾーン136を形成する。外側ゾーン134は、第1サイドウォール122の内側表面(又は内面)と、第2サイドウォール126の外側表面(又は外面)との間のキャビティ132において形成されている。内側ゾーン136は、第2坩堝118内に形成されている。第1坩堝116および第2坩堝118の寸法(又は大きさ又はサイズ)によって外側ゾーン134および内側ゾーン136の寸法(又は大きさ又はサイズ)が決定する。例えば、内側ゾーン136は、第2坩堝118の内側直径(又は内径)に等しい直径(又は径)を有する。いくつかの実施形態において、内側ゾーン136は、約19インチの直径(又は径)を有する。さらに、この実施形態では、内側ゾーン136は、バリア(又は障壁(barriers))やオブストラクション(又は障害(obstructions))が実質的に存在しない。結果として、いくつかの公知のシステムと比べて、インゴット108のための成長エリアは増加してよく、そして、この成長エリアから任意のバリア(例えば、サイドウォール126の内側表面(又は内面))までの距離を増加させてよい。さらに、より小さな成長ゾーンを有するシステムと比較して、内側ゾーン136は、より大きな自由表面積を溶融物106に提供し、そして、より良い酸素放出(又は酸素リリース又はオキシジェン・リリース)を可能にする。
【0017】
第2坩堝118は、第1バリアを形成し、この第1バリアによって、外側ゾーン134から内側ゾーン136に流れる溶融物106を制限する。坩堝(るつぼ)の通路138は、溶融物106が外側ゾーン134から内側ゾーン136へと移動(又は運動)するためのものであって、第2坩堝118のサイドウォール126を通して延在する(又は延びる又は伸びる)。溶融物106が動いて内側ゾーン136に移動(又は運動)する距離を増加させるために、坩堝の通路138は、第2ベース124に沿って位置付け(又は位置決め)されてよい。
図1において1つの通路138を示すが、適切な実施形態では、第2坩堝118が任意の適切な数の通路138を含んでよい。
【0018】
図示する実施形態では、外側ゾーン134において、バリア140が、第1サイドウォール122の内側表面(又は内面)と、第2サイドウォール126の外側表面(又は外面)との間に位置(又は配置)される。外側ゾーン134を通って内側ゾーン136に向かう溶融物106および固体フィードストック材111の移動(又は運動)をバリア140が制限する。従って、バリア140は、第2バリアを形成し、この第2バリアによって、外側ゾーン134から内側ゾーン136へと流れる溶融物106および固体フィードストック材111を制限する。バリア140は、部材(members)またはボディー(bodies)142(複数)と、この部材142(同士)の間に規定されるギャップ(又は間隙)144とを含む。作動中(又は操作中)、溶融物106は、ギャップ144を通って流れてよい。この実施形態において、部材142は、外側ゾーン134内でランダムに配置(又は配列)され、そして、ギャップ144は、溶融物106が通って流れるためのラビリンス(又は迷路又は複雑な通路(labyrinth))または回り道(又は迂回の道又は遠回りの道(circuitous path))を形成する。従って、バリア140は、溶融物106の移動(又は運動)を抑えてよく、なおかつ外側ゾーン134を通る固体フィードストック材111の移動(又は運動)を抑制(又は防止)してよい。他の実施形態において、部材142は、結晶引上げシステム100を説明の通りに作動させることができる任意の様式(又は方法)で配置されてよい。
【0019】
適切な実施形態において、部材142は、外側ゾーン134において、任意の場所に位置付け(又は位置決め)されてよい。この実施形態において、第1サイドウォール122の内側表面(又は内面)と、第2サイドウォール126の外側表面(又は外面)との間に溶融物106の表面に隣接して部材142が位置付け(又は位置決め)されている。また、この実施形態において、部材142は、内側ゾーン136内には位置(又は配置)されていない。システム100を組み立てる間において、部材142の正確なアライメント(又は整列)およびポジショニング(又は位置付け又は位置決め)は要求されなくてよい。なぜなら、部材142は、ランダムに配置(又は配列)されてよいからである。さらに、部材142の位置(又はポジション)は、システム100を操作する間においてシフト(又は移動)してよい。
【0020】
適切な実施形態において、部材142は、溶融物106の表面近くで浮いて(buoyant)、漂ってよい(又はフロート(float)してよい)。さらに、
図2に示すように、部材142は、スタック(又は積み重ね)されてよく、そうすることで、溶融物106の表面の上側(又は上方)および/または溶融物106の表面の下側(又は下方)にバリア140が延在する。適切な実施形態において、固体フィードストック材111の溶融物ラインまで、そして、この溶融物ラインを超えて、部材142が延在してよい。別の実施形態において、部材142は、システム100の任意の部分(又は部位又はポーション(portion))を占めてよく、それにより、システム100を説明の通りに作動させることができる。例えば、いくつかの実施形態において、部材142は、外側ゾーン134を満たしてよい。
【0021】
この実施形態において、部材142は自由に動く。換言すると、部材142は、互いに結合(又は接続)していないか、または坩堝アセンブリ104に結合(又は接続)していない。結果として、システム100を組み立てるコストが低減されてよい。さらに、システム100の信頼性(又は信頼度又は確実性(reliability))が増加する。なぜなら、システム100の作動中において失敗するかもしれない結合(又はボンド)が省略されるからである。別の実施形態において、少なくともいくつかの部材142が、第1坩堝116、第2坩堝118および/または他の部材142に結合(又は接続)していてよい。
【0022】
バリア140は、任意の部材142を含んでよく、それにより、バリア140を説明の通りに機能させることができる。部材142は、ネットワークを形成し、それにより、第1坩堝116および第2坩堝118から溶融物106に入る(又は落下する)固体フィードストック材111および坩堝の粒子が内側ゾーン136に向かって移動(又は運動)することを抑制(又は防止)する。
図2に示す通り、バリア140は、石英(又はクォーツ)から作製される部材142(複数)を含む。結果として、部材142は、溶融物106のコンタミネーション(又は汚染)を抑制(又は防止)してよい。さらに、いくつかの実施形態では、部材142は、バリア140の特徴(又は特性又はキャラクテリスティック)(例えば、溶出速度、ネットワークのインテグリティ(又は強度(integrity)))の正確な制御(又はコントロール)を提供するために、均一な形状(又はシェイプ)および寸法(又は大きさ又はサイズ)を有する。他の実施形態では、少なくともいくつかの部材142が、様々な形状および寸法を有してよい。例えば、適切な実施形態では、部材142は、不規則(又は不規則形状又はイレギュラー)で、固有の形状(又はユニークなシェイプ)を有してよい。他の実施形態では、部材142は、直方体形(又は立方体形(cuboid))、円錐形、円筒形、球形、プリズム形、ピラミッド形、および任意の他の適切な形状であってよい。
【0023】
部材142は、任意の適切な時間において、システム100に配置されてよい。例えば、部材142は、固体フィードストック材111が溶融する前に、システム100に配置されてよい。他の実施形態では、部材142は、固体フィードストック材111が溶融した後に添加してよい。
【0024】
システム100の作動中、バリア140の部材142は、溶融物106によって消費されてよく、バリア140の部材142を補充することが必要であってよい。従って、システム100の作動中、部材142は、連続的または断続的に添加されてよい。適切な実施形態において、部材142は、部材142が消費される速度にほぼ等しい速度でバリア140に添加されてよい。いくつかの実施形態において、システム100は、部材142を加えるために自動化された手段(例えば、フィーダー・システム(feeder system))を含んでよい。他の実施形態において、部材142をシステム100に手動で添加してよい。いくつかの実施形態において、バリア140は部材142を含んでよく、それにより、部材142は、補充する必要がない。さらなる実施形態において、バリア140は、システム100の作動中の任意の消費を計算に入れるために、追加の部材142(複数)を含んでよい。
【0025】
図1をさらに参照すると、結晶引上げシステム100は、ヒート・シールド114を含み、このヒート・シールド114は、坩堝アセンブリ104に隣接して延在するものである。ヒート・シールド114は、内側ゾーン136の一部および外側ゾーン134の全部を被覆し、それにより、固体フィードストック材111の添加の間、見通し(又は視線(line-of-sight))のポリシリコン・プロジェクタイル(polysilicon projectiles)が内側の溶融物の表面に到達することを抑制(又は防止)する。他の実施形態において、結晶引上げシステム100は、任意の適切なヒート・シールド114を含んでよく、それにより、結晶引上げシステム100を説明の通りに作動させることができる。
【0026】
固体フィードストック材111は、フィード・チューブ152を通して、フィーダー150から外側ゾーン134に配置または供給されてよい。フィード・チューブ152は、第1坩堝116に隣接して設けられていて(又は配置されていて)、第2坩堝118の外側の位置(又は場所又はロケーション)において、フィードストック材111を第1坩堝116に供給するためのものである。フィードストック材111は、その周囲(又はまわり)の溶融物(surrounding melt)106の温度よりもかなり低い温度を有してよい。従って、フィードストック材111は、溶融物106からの熱を吸収してよく、このとき、固体フィードストック材111の温度が増加し、そして、固体フィードストック材111が外側ゾーン134で液体化して外側の溶融物の部分(又は部位又はポーション)を形成する。固体フィードストック材111(「コールド・フィードストック(cold feedstock)」と呼ばれる場合もある)が溶融物106からエネルギーを吸収する場合、その周囲(又はまわり)の溶融物(surrounding melt)106の温度が、吸収されたエネルギーに比例して低下する。いくつかの実施形態において、溶融物106は、固体フィードストック材111の溶融物として、バリア140を通って移動(又は運動)してよい。結果として、バリア140によって、固体フィードストック材111を外側ゾーン内、より具体的にはバリア140の上側(又は上方)の外側ゾーン内で完全に溶融させることができ、内側ゾーン内の溶融物106の均一性を増加させる。
【0027】
固体フィードストック材111が溶融物106に添加されたとき、溶融物106の表面は撹乱されて(又はかき乱されて(disturbed))よい。バリア140および第2サイドウォール126は、溶融物106の撹乱(又はディスターバンス(disturbances))の内側方向への伝播(又は進行又はプロパゲーション(propagation))を抑制(又は防止)する。特に、固体フィードストック材111が外側ゾーンに送達されるとき、バリア140が固体フィードストック材111と接触してよい。結果として、固体フィードストック材111を溶融物106に添加することによる表面の撹乱(又は乱れ又はディスターバンス(disturbances))(例えば、スプラッシュ(又は跳ね(splashes)))をバリア140が制限してよい。さらに、バリア140は、固体フィードストック材111の移動(又は運動)を遅らせて、固体フィードストック材111が外側ゾーン内で完全に溶融することを促進する。
【0028】
坩堝アセンブリ104のまわりの適切な位置(又は場所又はポジション)に配置(又は配列)されたヒーター156および158によって熱が坩堝アセンブリ104に提供される。ヒーター156および158からの熱は、最初に、固体フィードストック材111を溶融し、次いで、溶融物106を液化した状態(又は液化状態又は液体の状態又は液体状態)で維持する。ヒーター156は、概して、その形状(又はシェイプ)が円筒形であり、坩堝アセンブリ104の側部(又はサイド)に熱を提供する。ヒーター158は、坩堝アセンブリ104の底部(又はボトム)に熱を提供する。いくつかの実施形態において、ヒーター158は、概して、その形状(又はシェイプ)が環状であってよい。別の実施形態において、システム100は、任意のヒーターを含んでよく、それにより、システム100を説明の通りに作動させることができる。
【0029】
適切な実施形態において、ヒーター156および158は、コントローラー154に結合(又は接続)された抵抗ヒーターであってよく、かかる抵抗ヒーターは、電流をこれらのヒーターに制御可能に印加して、その温度を変更するものである。コントローラー154によって、ヒーター156および158のそれぞれに印加される電流の量は、別々かつ独立に選択されてよく、それにより、溶融物106の熱的な特性(又は熱特性又はサーマル・キャラクテリスティック(thermal characteristics))を最適化してよい。
【0030】
上記で述べた通り、溶融物106の上側(又は上方)に位置されたプラー(puller)110の一部に種結晶112を取り付ける。プラー110は、溶融物106の表面に垂直な方向に種結晶112を移動(又は運動)させて、種結晶112を溶融物106に向けて降下または溶融物106内に降下させることができ、また、溶融物106から上昇または溶融物106から出して上昇させることができる。高品質のインゴット108を製造するために、種結晶112/インゴット108に隣接した領域は、実質的に一定の温度で維持されなければならず、溶融物106および固体フィードストック111の表面の崩壊(又は分裂又は混乱又はディスラプション(disruptions))は最小限にしなければならない。
【0031】
この実施形態において、バリア140および第2坩堝118は、外側ゾーン134から成長エリアへの溶融物106の移動(又は運動)を制限することによって、種結晶112/インゴット108に直接に隣接する領域において、表面の撹乱(又は乱れ又はディスターバンス(disturbances))、温度の変動、および固体粒子の数を制限する。成長エリアは、第2坩堝118の内側にあり、種結晶112/インゴット108に隣接する。
【0032】
図2に示す通り、バリア140および通路138は、曲がった経路(又は曲がったパス(tortuous path))を溶融物106に提供し、それにより、外側ゾーン134から内側ゾーン136に溶融物106を移動(又は運動)させる。特に、溶融物106が、外側ゾーン134を通して移動(又は運動)するとき、溶融物106は、バリア140内のギャップ144を通って移動(又は運動)する。さらに、溶融物106は、内側ゾーン136内に移動(又は運動)するために、第2坩堝118の通路138を通って移動(又は運動)しなければならない。結果として、バリア140および第2坩堝118は、外側ゾーン134における溶融物106が内側ゾーン136に向かう移動(又は運動)を制限する。さらに、溶融物106の外側ゾーン134から内側ゾーン136への移動(又は運動)は、いずれも、インゴット108を引く(又はプルする)溶融物106の上部(又は上面又はトップ)から間隔をあけて行われる。なぜなら、通路138が、坩堝アセンブリ104の底部(又はボトム)に沿って位置されるからである。従って、通路138の位置(又は場所又はポジション)は、表面の崩壊(又は分裂又は混乱又はディスラプション(disruptions))、温度の変動、および溶融物106の成長エリアへの固体粒子の通過をさらに制限する。
【0033】
外側ゾーン134と内側ゾーン136との間において、外側ゾーン134に及ぶ(又は渡る)溶融物106の制御(又はコントロール)された移動(又は運動)は、外側ゾーン134において、フィードストック材111をある温度まで加熱することができ、この温度は、フィードストック材111が外側ゾーン134を通過するとき、成長エリアの温度にほぼ等しい温度である。従って、固体粒子は、バリア140の上側(又は上方)で、外側ゾーン134において溶融され、成長エリアには入らない。さらに、システム100は、より大きな成長エリアを有してよく、より大きな単結晶(又はシングル・クリスタル(single crystal))のインゴットを製造してよい。なぜなら、溶融物106の移動(又は運動)は、外側ゾーン134において制御(又はコントロール)され、内側ゾーン136にはバリアが存在しないからである。
【0034】
図3は、結晶引上げシステム300の一部を示す概略図であり、この結晶引上げシステム300は、堰(せき)(又はダム(weir))302を含む。結晶引上げシステム300は、溶融物308を含むための坩堝306と、坩堝306を支持するサセプタ301とを含む。坩堝306は、ベース(又は基部)310と、キャビティ314を規定するサイドウォール(又は側壁)312とを含む。堰302は、坩堝306のキャビティ314に位置(又は配置)されていて、内側ゾーン316の周囲を囲む。さらに、堰302および坩堝306は、それらの間で外側ゾーン318を規定する。
【0035】
作動中、内側ゾーン316の成長エリアで種結晶を下げたり上げたりすることによって、結晶引上げシステム300により、溶融物308からインゴットが形成される。通路320は、堰302を通して規定されていて、溶融物308が外側ゾーン318から内側ゾーン316へと移動(又は運動)するためのものである。従って、堰302は、外側ゾーン318と内側ゾーン316との間での溶融物308の移動(又は運動)を制御(又はコントロール)する。
【0036】
システム300は、外側ゾーン318に位置付け(又は位置決め)されたバリア322をさらに含み、このバリア322は、外側ゾーン318を通る溶融物308の移動(又は運動)を制限するためのものである。この実施形態において、バリア322は、サイドウォール312の内側表面(又は内面)と、堰302の外側表面(又は外面)との間にスタック(又は積み重ね)された(stacked)部材324(複数)を含む。部材324は、外側ゾーン318において、層状に漠然と(又はゆるく又はバラバラに又はルーズに(loosely))配置(又は配列)されている。さらに、溶融物308の表面の近くで部材324が漂う(又はフロート(float)する)ように、部材324は浮いて(buoyant)いてよい。バリア322は、ギャップ326をさらに含み、このギャップ326は、部材324(同士)の間に規定されていて、溶融物308を外側ゾーン318から内側ゾーン316に流すためのものである。他の実施形態では、システム300は、任意の適切なバリア322を含んでよく、このバリア322は、外側ゾーン318の任意の場所に位置付け(又は位置決め)され、それにより、システム300を説明の通りに作動させることができる。
【0037】
図4は、結晶引上げシステム400の一部を示す概略図であり、この結晶引上げシステム400は、バリア・リング402を含む。また、結晶引上げシステム400は、サセプタ401と、第1坩堝406と、第2坩堝408とを含む。結晶引上げシステム400は、第1坩堝406および第2坩堝408に含まれる溶融物410からインゴットを形成するために使用されてよい。第2坩堝408は、第1坩堝406のキャビティに位置付け(又は位置決め)され、そうすることで、第1坩堝406および第2坩堝408が、それらの間で外側ゾーン404を形成するようになっている。バリア・リング402は、第2坩堝408のまわりで外側ゾーン404において(又は及んで)延在している。他の実施形態において、結晶引上げシステム400は、任意のバリア・リング402を含んでよく、それにより、結晶引上げシステム400を説明の通りに作動させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、バリア・リング402は、堰のまわりに延在してよく、堰に結合(又は接続)してもよい。
【0038】
溶融物410を加熱すると、溶融物410は、外側ゾーン404から、インゴットが形成される内側ゾーン412に向かって移動(又は運動)する。バリア・リング402は、第2坩堝408のベースに隣接して延在し、溶融物410が外側ゾーン404から内側ゾーン412に移動(又は運動)することを制限する。バリア・リング402および第2坩堝408は、それぞれの通路414、416を含み、通路414、416は、これらを通して、外側ゾーン404から内側ゾーン412へと溶融物410を流すためのものである。適切には、バリア・リング402の通路414は、第1坩堝406の通路416からオフセットされていて(又はズレていて)、そうすることで、溶融物410が、外側ゾーン404から内側ゾーン412へと回り道(又は迂回の道又は遠回り道(circuitous path))を通って流れる。この実施形態において、バリア・リング402の通路414および第2坩堝408の通路416は、溶融物410が進む距離を最小化するために、約180°だけオフセットされている(又はズレている)。他の実施形態では、バリア・リング402および第2坩堝408は、任意の適切な通路を含んでいてよく、それにより、システム400を説明の通りに作動させることができる。例えば、いくつかの実施形態において、通路414、416は、整列していてよい。さらなる実施形態において、通路414、416は、0°〜180°の範囲内で任意にオフセットされていてよい(又はズレずれていてよい)。
【0039】
この実施形態において、システム400は、外側ゾーン404においてバリア418を含み、それにより、溶融物410が外側ゾーン404を通って内側ゾーン412に向かって流れることを制限する。バリア418は、ギャップ422を形成するために配置(又は配列)された部材420(複数)を含む。図示する実施形態において、部材420は、溶融物410の表面の近くで漂っている(又はフロートしている(floating))。他の実施形態では、バリア418は、任意の部材420を含んでよく、それにより、バリア418を説明の通りに機能させることができる。いくつかの実施形態において、バリア418は、省略されてよい。
【0040】
適切な実施形態において、バリア418およびバリア・リング402は、任意の材料(又は原料又はマテリアル)から構成(又は形成)されてよく、それにより、システム400を説明の通りに作動させることができる。この実施形態において、バリア・リング402およびバリア418は、石英から構成(又は形成)される。
【0041】
図5は、システム400の構成を示し、システム400はバリア418を有し、このバリア418が、溶融物410の溶融物ラインまで延在している。特に、部材420は、層状にスタック(又は積み重ね)されていて、少なくとも1つの層が溶融物ラインまで延在している。結果として、固体フィードストック材は、溶融する前にバリア418と接触してよい。固体フィードストック材が溶融した後、溶融物410の少なくとも一部が、バリア418を通って流れて、バリア418によって減速する。
【0042】
適切な実施形態において、バリア418は、システム400の任意の場所に位置付け(又は位置決め)されてよく、それにより、システム400を説明の通りに作動させることができる。この実施形態において、バリア418およびバリア・リング402は、溶融物410の移動(又は運動)を制御(又はコントロール)するために、外側ゾーン404に位置付け(又は位置決め)される。結果として、内側ゾーン412は、バリアによって占められなくてよい。従って、内側ゾーン412は、増加した自由表面積(free surface area)を含み、それにより、溶融物410の酸素含量のより有効な減少(又は効率のよい減少)と、より大きな成長エリアとを可能にする。
【0043】
図6は、結晶引上げシステム500を示す概略図であり、この結晶引上げシステム500は、少なくとも1つのバリア・リング502を含む。また、結晶引上げシステム500は、第1坩堝504と、第2坩堝506とを含む。結晶引上げシステム500は、第1坩堝504および第2坩堝506に含まれる溶融物からインゴットを形成するために使用されてよい。第2坩堝506およびバリア・リング502が、第1坩堝504のキャビティにおいて位置付け(又は位置決め)されていて、そうすることで、第1坩堝504、第2坩堝506および外側バリア・リング502によって、それらの間で外側ゾーン510を形成するようになる。さらに、第1坩堝504、第2坩堝506およびバリア・リング502は、移行ゾーン(又はトランジション・ゾーン(transition zones))511を形成する。この実施形態において、結晶引上げシステム500は、3つのバリア・リング502を含み、これらは、3つの移行ゾーン511を形成する。具体的には、バリア・リング502は、外側バリア・リング502と、中間バリア・リング502と、内側バリア・リング502とを含み、これらによって、外側移行ゾーン511と、中間移行ゾーン511と、内側移行ゾーン511とが形成される。これらのバリア・リング502は、その直径(又は径)が小さくなる順番で互いに入れ子になっている。他の実施形態において、結晶引上げシステム500は、任意の数のバリア・リング502を含んでよく、それにより、任意の移行ゾーン511が形成され、それにより、結晶引上げシステム500を説明の通りに作動させることができる。
【0044】
溶融物を加熱するとき、溶融物は、外側ゾーン510から、移行ゾーン511を通って、インゴットが形成される内側ゾーン512に向かって移動(又は運動)する。バリア・リング502は、第2坩堝506のベースに隣接して延在し、それにより、溶融物が外側ゾーン510から内側ゾーン512に移動(又は運動)することを阻害する。バリア・リング502および第2坩堝506は、それぞれ通路514を含み、この通路514は、外側ゾーン510から、移行ゾーン511を通して、内側ゾーン512に溶融物を流すためのものである。適切には、バリア・リング502および第2坩堝506の通路514は、オフセットされていて(又はズレていて)、そうすることで、外側ゾーン510から内側ゾーン512への回り道(又は迂回の道又は遠回りの道(circuitous path))を通って、溶融物が流れるようになる。他の実施形態において、システム500は、任意の適切な通路を含んでよく、それにより、システム500を説明の通りに作動させることができる。
【0045】
この実施形態において、システム500は、部材518(複数)をさらに含み、かかる部材518は、外側ゾーン510および移行ゾーン511に設けられる(又は配置される)。この実施形態において、部材518は、外側バリア・リング502に隣接して位置付け(又は位置決め)され、外側バリア・リング502内にも位置付け(又は位置決め)されて外側移行ゾーン511に位置付け(又は位置決め)される。従って、システム500で使用される部材518の量を減少させてよい。なぜなら、部材518は、通路514に隣接するキャビティの部分(又はポーション)においてのみ位置付け(又は位置決め)されるからである。さらに、システム500の作動の間、部材518の消費を減少させる。他の実施形態において、システム500は、任意の部材518を含んでよく、これにより、システム500を説明の通りに作動させることができる。
【0046】
適切な実施形態において、部材518およびバリア・リング502は、任意の材料(又は原料およびマテリアル)から構成(又は形成)されてよく、これにより、システム500を説明の通りに作動させることができる。この実施形態において、バリア・リング502および部材518は、石英から構成(又は形成)され、それにより、溶融物のコンタミネーションが減少する。
【0047】
上記で説明した例に従うシステムおよび方法は、公知のシステムおよび方法と比較して、優れた結果を達成する。本開示のシステムおよび方法は、インゴットの成長エリアにおいて、固体粒子を減少させる。さらに、溶融物中および結晶中の酸素含量を減少させる。また、例示のシステムは、シリコン単結晶(single silicon crystal)のためにより大きな成長エリアを提供し、その一方で、システムのコストを最小化する(又は最小限にする)。結果として、当該システムによって形成されるシリコン単結晶の大きさ(又はサイズ)は、いくつかの公知のシステムと比較して増加してよい。
【0048】
また、上記で説明したシステムおよび方法はバリアを含み、このバリアによって、当該システムを組み立てて作動させるコストが低下してよい。さらに、当該システムは、より良好な信頼性(又は信頼度又は確実性(reliability))と、増加したサービス寿命(又はサービス・ライフ(service life))を有してよい。なぜなら、このようなバリアは、いくつかの公知のシステムと比較して、故障(又は失敗(failure))のリスクが減少するからである。
【0049】
本発明またはその実施形態(単数または複数)の要素(又は構成要素又はエレメント(element))を導入(又は紹介)するとき、冠詞の「a(1つの)」、「an(1つの)」、「the(前記又は上記又は該又は当該)」、「said(前記又は該又は当該)」は、1またはそれよりも多くのエレメントが存在することを意味することが意図される。用語「含む(comprising)」、「含む(又は含んで成る)(including)」および「有する(又は有して成る)(having)」は、包含することが意図され、記載されたエレメントの他に追加のエレメントが存在してもよいことを意味することが意図される。特定の向き(又は配向又はオリエンテーション)を示す用語(例えば、「上部(又はトップ)(top)」、「底部(又はボトム)(bottom)」、「側部(又はサイド)(side)」など)は、説明の便宜上で使用するものであり、記載されたアイテムの特定の向き(又は配向又はオリエンテーション)を要求するものではない。
【0050】
上記の構成(又は構造又は構造物)および方法において、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてよいことから、上記の説明に含まれて添付の図面(単数または複数)に示される全ての事項が例示として解釈されるべきであることが意図され、限定を意味しないことが意図される。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
溶融物からインゴットを形成するためのシステムであって、当該システムは、
前記溶融物を受容するためのキャビティを規定する第1坩堝と、
前記キャビティにおける第2坩堝であって、第2坩堝は、外側ゾーンを内側ゾーンと分離し、第2坩堝を通る通路を第2坩堝が含み、前記外側ゾーン内に位置する溶融物の前記内側ゾーンへの移動が可能となっており、前記内側ゾーンがインゴットのための成長エリアを規定する、第2坩堝と、
前記外側ゾーンを通る溶融物の移動を制限するための前記外側ゾーン内に位置されたバリアであって、溶融物フローのためのラビリンスを規定するために配置されている部材を含む、バリアと
を含む、システム。
(態様2)
前記キャビティに固体フィードストック材を送達するためのフィーダー・システムをさらに含み、前記固体フィードストック材の溶融物として、前記溶融物が前記バリアを通って移動するように、前記部材が、前記外側ゾーンに及ぶように、第1坩堝から第2坩堝まで実質的に延在している、態様1に記載のシステム。
(態様3)
前記固体フィードストック材が、溶融する前に、前記部材と接触するように、前記部材が浮いている、態様2に記載のシステム。
(態様4)
前記溶融物のコンタミネーションを抑制するために、前記部材が石英を含む、態様1に記載のシステム。
(態様5)
第1坩堝および第2坩堝が石英を含む、態様4に記載のシステム。
(態様6)
前記外側ゾーンに延在するバリア・リングをさらに含み、該バリア・リングが前記バリアの周囲にあり、該バリア・リングは、前記溶融物が通って流れるための第2通路を含む、態様1に記載のシステム。
(態様7)
前記バリア・リングが石英を含む、態様6に記載のシステム。
(態様8)
前記部材が、直方体形、円錐形、円筒形、球形、プリズム形およびピラミッド形の形状の少なくとも1つを有する、態様1に記載のシステム。
(態様9)
前記部材が不規則である、態様1に記載のシステム。
(態様10)
前記バリアが、溶融物ラインまで延在している、態様1に記載のシステム。
(態様11)
溶融物からインゴットを形成するためのシステムであって、当該システムは、
前記溶融物を受容するためのキャビティを規定する坩堝と、
前記坩堝に結合された堰であって、該堰の外側から該堰の内側への前記溶融物の移動を制限するために前記キャビティにおいて位置付けられていて、前記坩堝および前記堰が外側ゾーンおよび内側ゾーンを形成し、前記堰が通路を含み、前記外側ゾーン内に位置された溶融物の前記内側ゾーンへの移動が可能になっている、堰と、
前記外側ゾーン内において、前記外側ゾーンを通る前記溶融物の移動を制限するためのバリアであって、溶融物フローのためのギャップのラビリンスを規定するために配置されている部材を含む、バリアと
を含む、システム。
(態様12)
前記部材が石英を含む、態様11に記載のシステム。
(態様13)
前記部材が、前記外側ゾーン内で自由に移動する、態様11に記載のシステム。
(態様14)
前記外側ゾーンに及ぶように坩堝のサイドウォールから前記堰まで前記バリアが延在している、態様11に記載のシステム。
(態様15)
前記部材が、直方体形、円錐形、円筒形、球形、プリズム形およびピラミッド形の形状の少なくとも1つを有する、態様11に記載のシステム。
(態様16)
バリア・リングをさらに含み、該バリア・リングは前記堰の周囲に延在していて、該バリア・リングが石英を含む、態様11に記載のシステム。
(態様17)
前記バリア・リングが、前記堰および前記坩堝に結合されている、態様16に記載のシステム。
(態様18)
結晶引上げシステムにおいて溶融物から結晶インゴットを引上げるための方法であって、前記システムは、キャビティを規定する坩堝を含み、当該方法は、
前記キャビティ内に第1バリアを配置することであって、第1バリアの外側の位置から第1バリアの内側の位置への前記溶融物の移動を制限することと、
第1バリアと前記坩堝との間の前記キャビティ内に第2バリアを配置することであって、前記溶融物が通って流れるためのギャップのラビリンスを第2バリアが規定することと、
前記キャビティにフィードストック材を配置することと、
前記溶融物を形成するために第2バリアの上側で前記フィードストック材を溶融させることであって、前記溶融物が第2バリアの前記ギャップを通して移動することと
を含む、方法。
(態様19)
第1バリアと前記坩堝との間の前記キャビティ内に第2バリアを配置することには、前記キャビティ内に部材を配置することが含まれ、前記部材同士間のギャップのラビリンスを前記部材が規定する、態様18に記載の方法。
(態様20)
前記フィードストック材を溶融させつつ、前記部材を前記キャビティに配置させることをさらに含む、態様19に記載の方法。
(態様21)
第1バリアと前記坩堝との間の前記キャビティ内に前記部材を配置させることには、前記キャビティ内において第1バリアと前記坩堝との間に規定された外側ゾーンに及ぶように前記部材を配置させることが含まれる、態様19に記載の方法。
(態様22)
前記溶融物の溶融物ラインまで第2バリアが延在するように前記部材を配置させることをさらに含む、態様19に記載の方法。