(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918981
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】風力発電装置用ロータブレード
(51)【国際特許分類】
F03D 80/40 20160101AFI20210729BHJP
F03D 1/06 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
F03D80/40
F03D1/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-563442(P2019-563442)
(86)(22)【出願日】2018年5月18日
(65)【公表番号】特表2020-520431(P2020-520431A)
(43)【公表日】2020年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2018063033
(87)【国際公開番号】WO2018211055
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2020年1月9日
(31)【優先権主張番号】102017110797.5
(32)【優先日】2017年5月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ゴーデナウ、ディートヘルム
(72)【発明者】
【氏名】クレプス、スヴェン
【審査官】
田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0056074(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0040654(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102010051293(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/40
F03D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置用ロータブレードであって、
ロータブレード根元領域(200a)と、ロータブレード先端領域(200b)と、圧力側部(200c)と、吸引側部(200d)と、前縁部(201)と、後縁部(202)と、
前記圧力側部(200c)と前記吸引側部(200d)の間でロータブレード(200)の長手方向(L)に沿って延在する少なくとも1つの第1バー部材及び少なくとも1つの第2バー部材(210、211、212)と、
少なくとも1つの第1バー部材及び少なくとも1つの第2バー部材(210、211、212)の一端部と前記ロータブレード先端領域(200b)の間に設けられており、前記ロータブレード根元領域(200a)から少なくとも1つの第1バー部材又は少なくとも1つの第2バー部材(210、211、212)に沿って流れる加熱された空気を方向転換するように構成されている方向転換ユニット(250)と、
少なくとも1つの第1バー部材及び少なくとも1つの第2バー部材のうち1つのバー部材(212)において少なくとも1つのスクープ部(270)とを備え、前記少なくとも1つのスクープ部(270)は、第1バー部材(211)と第2バー部材(212)の間の領域内に負圧を生成するように構成されており、
更に境界層吸引ユニット(280)を備え、前記境界層吸引ユニット(280)は、空気流の乱流の境界層を吸引するために、第1バー部材(211)及び第2バー部材(212)のロータブレード先端部側の端部に接続し、
前記境界層吸引ユニット(280)は、複数の切欠部(281)を有すること、
を特徴とする風力発電装置用ロータブレード。
【請求項2】
前記スクープ部(270)は、第1バー部材(211)と第2バー部材(212)の間の領域内に突出し、第1バー部材(211)と第2バー部材(212)の間の領域内に負圧を生成するために用いられる、
請求項1に記載の風力発電装置用ロータブレード。
【請求項3】
前記境界層吸引ユニット(280)の第1端部(282)は、第1バー部材(211)に接続し、第2端部(283)は、第2バー部材(212)の一端部に接続する、
請求項1又は2に記載の風力発電装置用ロータブレード。
【請求項4】
前記ロータブレード先端領域(200b)は、少なくとも部分的に中空のロータブレード先端部(240)を有し、
前記方向転換ユニット(250)は、前記ロータブレード先端領域(200b)を実質的に閉鎖し、
第1通気路が、前記方向転換ユニット(250)の一端部(252)と、前記ロータブレード先端領域(200b)に設けられたロータブレードノーズキャップ(260)との間に設けられており、第2通気路が、前記方向転換ユニット(250)の一端部(251)と後縁部(202)の間に設けられている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の風力発電装置用ロータブレード。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の風力発電装置用ロータブレードを少なくとも1つ備えた、風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置用ロータブレード、並びに対応のロータブレードを備えた風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置のロータブレードは、保護されずに全ての気象条件にさらされているので、所定の温度ではロータブレードの凍結が生じることがある。このことを防止するために、ロータブレード加熱装置を使用することができる。この際、加熱装置をロータブレードにおいて外部に設けることができるか、又は加熱された空気をロータブレードの内部に提供することができる。
【0003】
下記特許文献1は、ロータブレード根元領域とロータブレード先端領域を備えた風力発電装置用ロータブレードを示している。また少なくとも1つのバー部材が、ロータブレードの長手方向に沿って設けられている。このバー部材には、方向転換時の空気の乱流を減少させるために、バー部材丸縁部の形式の方向転換ユニットを設けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO 2017/021350 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ロータブレードの改善された加熱を可能にする風力発電装置用ロータブレードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、請求項1に記載の風力発電装置用ロータブレードにより解決される。
本発明の一視点において、
風力発電装置用ロータブレードは、
ロータブレード根元領域と、ロータブレード先端領域と、圧力側部と、吸引側部と、前縁部と、後縁部と、
前記圧力側部と前記吸引側部の間でロータブレードの長手方向に沿って延在する少なくとも1つのバー部材と、
少なくとも1つのバー部材の一端部と前記ロータブレード先端領域の間に設けられており、前記ロータブレード根元領域から少なくとも1つのバー部材に沿って流れる加熱された空気を方向転換するように構成されている方向転換ユニットと、
少なくとも1つのバー部材のうち1つのバー部材において少なくとも1つのスクープ部とを備える。
風力発電装置用ロータブレードは、更に境界層吸引ユニットを備え、前記境界層吸引ユニットは、空気流の乱流の境界層又は隙間を吸引するために、第1バー部材及び第2バー部材のロータブレード先端部側の端部に接続する。
より詳しくは、前記一視点において、
風力発電装置用ロータブレードであって、
ロータブレード根元領域と、ロータブレード先端領域と、圧力側部と、吸引側部と、前縁部と、後縁部と、
前記圧力側部と前記吸引側部の間でロータブレードの長手方向に沿って延在する少なくとも1つの第1バー部材及び少なくとも1つの第2バー部材と、
少なくとも1つの第1バー部材及び少なくとも1つの第2バー部材の一端部と前記ロータブレード先端領域の間に設けられており、前記ロータブレード根元領域から少なくとも1つの第1バー部材又は少なくとも1つの第2バー部材に沿って流れる加熱された空気を方向転換するように構成されている方向転換ユニットと、
少なくとも1つの第1バー部材及び少なくとも1つの第2バー部材のうち1つのバー部材において少なくとも1つのスクープ部とを備え、前記少なくとも1つのスクープ部は、第1バー部材と第2バー部材の間の領域内に負圧を生成するように構成されており、
更に境界層吸引ユニットを備え、前記境界層吸引ユニットは、空気流の乱流の境界層を吸引するために、第1バー部材及び第2バー部材のロータブレード先端部側の端部に接続し、
前記境界層吸引ユニットは、複数の切欠部を有すること、を特徴とする。
本発明においては、以下の形態が可能である。
(形態1)
風力発電装置用ロータブレードであって、
ロータブレード根元領域と、ロータブレード先端領域と、圧力側部と、吸引側部と、前縁部と、後縁部と、
前記圧力側部と前記吸引側部の間でロータブレードの長手方向に沿って延在する少なくとも1つのバー部材と、
少なくとも1つのバー部材の一端部と前記ロータブレード先端領域の間に設けられており、前記ロータブレード根元領域から少なくとも1つのバー部材に沿って流れる加熱された空気を方向転換するように構成されている方向転換ユニットと、
少なくとも1つのバー部材のうち1つのバー部材において少なくとも1つのスクープ部とを備えること。
(形態2)
少なくとも第1バー部材と第2バー部材が設けられており、前記スクープ部は、第1バー部材と第2バー部材の間の領域内に突出し、第1バー部材と第2バー部材の間の領域内に負圧を生成するために用いられること、が好ましい。
(形態3)
更に境界層吸引ユニットを備え、前記境界層吸引ユニットは、空気流の乱流の境界層又は隙間を吸引するために、第1バー部材及び第2バー部材のロータブレード先端部側の端部に接続すること、が好ましい。
(形態4)
前記境界層吸引ユニットは、複数の切欠部を有すること、が好ましい。
(形態5)
前記境界層吸引ユニットの第1端部は、第1バー部材に接続し、第2端部は、第2バー部材の一端部に接続すること、が好ましい。
(形態6)
前記ロータブレード先端領域は、少なくとも部分的に中空のロータブレード先端部を有し、
前記方向転換ユニットは、前記ロータブレード先端領域を実質的に閉鎖し、
第1通気路が、前記方向転換ユニットの一端部とノーズキャップの間に設けられており、第2通気路が、前記方向転換ユニットの一端部と後縁部の間に設けられていること、が好ましい。
(形態7)
形態1〜6のいずれか1つに記載の風力発電装置用ロータブレードを少なくとも1つ備えた、風力発電装置。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明により、ロータブレード根元領域と、ロータブレード先端領域と、圧力側部(正圧側部)と、吸引側部(負圧側部)と、前縁部と、後縁部と、圧力側部と吸引側部の間でロータブレードの長手方向に沿った少なくとも1つのバー部材(ウェブないしフランジ状部材)とを備えた風力発電装置用ロータブレードが提供される。更に少なくとも1つのバー部材の一端部とロータブレード先端領域の間には、方向転換ユニットが設けられている。少なくとも1つのスクープ部(空気取入部)がバー部材に設けられており、この際、スクープ部は、第1バー部材と第2バー部材の間の領域内に突出している。
【0008】
本発明の一局面により、ロータブレードは、第1バー部材及び第2バー部材のロータブレード先端部側の端部に接続する境界層吸引ユニットを有する。境界層吸引ユニットは、空気流の(乱流の)境界層を吸引するために用いられる。
【0009】
本発明の更なる一局面により、境界層吸引ユニットは、複数の切欠部を有する。
【0010】
本発明の更なる一局面により、境界層吸引ユニットの第1端部は、第1バー部材に接続し、境界層吸引ユニットの第2端部は、第2バー部材の一端部に接続する。
【0011】
本発明の一局面により、ロータブレード先端領域は、少なくとも部分的に中空のロータブレード先端部を有する。方向転換ユニットは、ロータブレード先端領域を実質的に閉鎖し、この際、第1通気路が、方向転換ユニットの一端部とノーズキャップの間に設けられており、第2通気路が、方向転換ユニットの一端部と後縁部の間に設けられている。
【0012】
更に本発明は、上述の風力発電装置用ロータブレードを少なくとも1つ備えた風力発電装置に関する。
【0013】
本発明の一局面により、ロータブレードを加熱するために温かい空気ないし加熱された空気をロータブレード根元領域に導入ないし流入させることができる。本発明の一局面により、加熱された空気は、好ましくは、前縁部と1つのバー部材の間の領域内に導入され、前縁部と前記バー部材に沿ってロータブレード根元領域からロータブレード先端領域に流れる。この際、この空気流の一部分は、バー部材に設けられているスクープ部(Hutze)を通って少なくとも部分的にそらされ、ないし空気流の一部分は、スクープ部により両方のバー部材の間の領域内に方向転換され、ロータブレード根元領域の方向に流れる。それに代わり、加熱された空気は、後縁部と他のバー部材の間の領域内を流れ、ロータブレード根元領域からロータブレード先端領域に流れることもできる。
【0014】
それにより、ロータブレード根元領域と、ロータブレード先端領域と、圧力側部と、吸引側部と、ロータブレードの長手方向に沿って延在する少なくとも1つのバー部材とを備えた風力発電装置用ロータブレードが提供される。従来のロータブレードにおいてロータブレード先端部は、典型的には確かに中空に構成されているが、充填材を用いて発泡形成されている。従ってロータブレード先端部の効果的な加熱が妨げられる。このことは、特にロータブレード先端部の領域に着氷をもたらし、ロータブレード先端部が高速であるために危険な氷投下(落下)をもたらす可能性がある。そこでロータブレード先端領域において(加熱して)適合された方向転換部を有する加熱可能なブレード先端部が提供される。更に任意選択的にバー部材隔壁を設けることができる。更なる改善のために、方向転換領域内の流れを最適化するバイパススクープ部を設けることができ、その方向転換領域内では、境界層流がバー部材端部において吸引され、従って流れ剥離(失速)と乱流を減少させることができる。
【0015】
本発明の一局面により、方向転換ユニットは、例えばフォームウェッジ(発泡楔形部材)の形式でロータブレード先端部の領域に設けられる。この際、この方向転換ユニットは、後縁部も加熱された空気で加熱できるようにするために、前縁部における空気流を方向転換するために用いられる。フォームウェッジは、ロータブレード先端部を加熱するために、空気流の一部分がフォームウェッジを通り過ぎてロータブレード先端部に流入し、そこから再び流出できるように設けられることが可能である。本発明によるロータブレードを用いることにより、(加熱空気の)主流は、組み込まれた方向転換部によりブレードフランジの方向に案内され、それに対して副流は、ノーズキャップ領域において方向転換部に沿ってロータブレード先端部に送り込まれることが可能である。
【0016】
本発明の一局面により、ロータブレード先端部の排水を保証できるようにするために、ロータブレード先端部に複数の穿孔を設けることができる。任意選択的に、排水の詰まりを防止できるようにするために、ロータブレード先端部の空気入口部の手前に格子部材(グリッド)を設けることができる。
【0017】
本発明の一局面により、バイパスを可能にするために、バー部材のうち1つのバー部材の領域にスクープ部(空気取入部)を設けることができる。このことは、先端部側のねじれ流路内に負圧をもたらすことができる。
【0018】
本発明により、ブレード加熱装置の体積流を増加させることができる。本発明によるロータブレードを用いることにより、各流速で空気流を最適に方向転換させ、圧力損失を減少させることが可能である。本発明によるロータブレードを用いることにより、方向転換領域内の流れ剥離(失速)と乱流を減少させることができる。ロータブレードないしロータブレード先端部は、氷投下(落下)を減少させるために、除氷されることが可能である。
【0019】
本発明によるロータブレードを用いることにより、ロータブレードを加熱する空気流は、避雷装置を不利に妨げることなく、複雑でない簡単な方式で改善される。スクープ部により、第1バー部材と第2バー部材の間の領域内に負圧が生成される。従ってスクープ部は、流れ支援のために用いられる。
【0020】
それに加え又はそれに代わり、横断面の変化ができるだけ僅かな方向転換要素を設けることができ、それにより方向転換ユニットを取り付けた後の流路は、横断面の変化が僅かである。
【0021】
本発明により、ロータブレードの長手方向に沿って少なくとも1つ、好ましくは2つのバー部材を有する風力発電装置用ロータブレードが提供される。ロータブレードを加熱するために、バー部材に沿って空気流を提供することができる。空気流は、ロータブレード根元領域でスタートし、好ましくは加熱された空気は、第1バー部材及び/又は第2バー部材に沿って流れてゆき、そしてロータブレード先端領域内で方向転換されなくてはならない。空気流を改善するために、少なくとも1つのスクープ部がバー部材のうち1つのバー部材に設けられ、この際、バー部材には所定の穴がスクープ部の箇所に設けられており、それによりスクープ部を用い、好ましくは第1バー部材と第2バー部材の間の領域内に負圧を生成させることができる。空気流を更に改善するためには、任意選択的に、例えば、第1バー部材及び第2バー部材の自由端部において境界層吸引プレートの形式の境界層吸引ユニットを設けることができる。バー部材に設けられたスクープ部が第1バー部材と第2バー部材の間の領域内に負圧を発生させることができるので、境界層吸引ユニットとスクープ部の間には相乗効果があり、それにより境界層吸引ユニットを用いた境界層吸引が改善される。
【0022】
任意選択的に、中空のロータブレード先端部を設けることができ、該ロータブレード先端部の手前に方向転換ユニットが設けられており、該方向転換ユニットは、該方向転換ユニットとロータブレードのシェルの間において第1空気路と第2空気路を自由にし、それにより中空のロータブレード先端部を加熱することができ、ないし中空のロータブレード先端部に暖かい空気を通流させることができる。
【0023】
本発明の一局面により、少なくとも1つのスクープ部は、第1バー部材において第1バー部材と第2バー部材の間に設けられている。スクープ部の領域には、バー部材において所定の穴がある必要があり、それは、この穴とスクープ部を通って空気を第1バー部材と第2バー部材の間の領域内に流入可能とするためである。スクープ部は、一方では、第1バー部材(ないし第2バー部材)とロータブレードの前縁部の間の領域内の空気流を、第1バー部材と第2バー部材の間の領域内に方向転換する機能を有し、この際、この流れは、次いでロータブレード根元部の方向に更に流れる。更にスクープ部は、境界層吸引ユニットと共に、境界層吸引ユニットの領域内の特に乱流の境界層を吸引する機能を有する。境界層吸引ユニットと共にスクープ部は、ジェットポンプのように作用し、第1バー部材と第2バー部材の間の領域内に負圧が発生することをもたらす。
【0024】
本発明の代替的な一局面により、スクープ部は、空気が第2バー部材と端縁部の間の領域内でロータブレード根元領域からロータブレード先端領域に流れる場合には、第2バー部材に配設されていることも可能である。
【0025】
それに代わり、スクープ部は、空気流が前縁部に沿っても後縁部に沿ってもロータブレード根元領域からロータブレード先端領域に案内される場合には、第1バー部材にも第2バー部材にも設けられていることが可能である。
【0026】
本発明の一局面により、境界層吸引プレートにおけるスリット(縦長の切欠部)は、≦5mmの幅を有する。
【0027】
本発明の更なる形態は、下位請求項の対象である。
【0028】
以下、図面に関連し、本発明の利点と実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による一風力発電装置の概要図を示す図である。
【
図2】
図1の風力発電装置の一ロータブレードの部分ごとの概要図を示す図である。
【
図3】本発明によるロータブレードのロータブレード先端領域の概要図を示す図である。
【
図4】本発明によるロータブレードの一部分の概要図を示す図である。
【
図5】本発明によるロータブレードの更に別の一部分の概要説明図を示す図である。
【
図6】本発明によるロータブレードのロータブレード先端部側の領域の概要図を示す図である。
【実施例】
【0030】
図1は、本発明による一風力発電装置の概要図を示している。風力発電装置100は、タワー102と、タワー102上にナセル104を有する。ナセル104には、3つのロータブレード200と1つのスピナ110を備えた空気力学的ロータ106が設けられている。空気力学的ロータ106は、風力発電装置100の運転時には風により回転運動され、それにより空気力学的ロータ106と直接的に又は間接的に結合されている発電機のロータないし回転子も回転させる。電気的な発電機は、ナセル104内に配設されており、電気エネルギーを発生させる。ロータブレード200のピッチ角は、それぞれのロータブレード200のロータブレード根元部におけるピッチモータにより変更されることが可能である。
【0031】
図2は、
図1の風力発電装置の一ロータブレードの部分ごとの概要図を示している。ロータブレード200は、ロータブレード根元領域200aと、ロータブレード先端領域200bと、ロータブレード先端部240と、前縁部201と、後縁部202と、圧力側部(正圧側部)200cと、吸引側部(負圧側部)200dとを有する。ロータブレード200の長手方向Lに沿ってロータブレード200の内部には、少なくとも1つのバー部材(ウェブないしフランジ状部材)210が延在している。例えば2つのバー部材211、212を設けることができ、これらは、先ずは平行に延在し、ロータブレード先端部240の領域において互いに狭まって構成されていることが可能である。この際、第1バー部材211の長さは、第2バー部材212の長さよりも短くすることができる。ロータブレード先端部240は、別個の部材として構成され、ロータブレード200の残部(本体部)に固定されることが可能である。
【0032】
加熱された空気は、バー部材211、212に沿ってロータブレード先端部240の方向に案内され、次いで方向転換されることが可能である。任意選択的にロータブレード先端部240は、少なくとも部分的に中空に構成されていることが可能であり、それにより加熱された空気の一部分は、ロータブレード先端部240を除氷するために、ロータブレード先端部240を通って流れることができる。
【0033】
本発明の一局面により、加熱された空気は、空気が加熱ユニット300を用いて加熱されることによりロータブレード根元領域200aにおいて発生されることが可能であるか、又は加熱された空気は、ロータブレード根元領域200aにおいてロータブレード200に供給される。
【0034】
図3は、本発明によるロータブレードのロータブレード先端領域の概要図を示している。ロータブレード根元領域200aから空気流(例えば加熱ユニット300により加熱された空気)は、前縁部
201に沿ってロータブレード先端領域200bに流れ、そこで、例えばフォームウェッジ(発泡楔形部材)として構成することのできる方向転換ユニット250に当たる。ロータブレード先端領域200bには、ロータブレードノーズキャップ260を設けることができる。方向転換ユニット250は、第1縁端部251と第2縁端部252を有する。第2縁端部252とロータブレードノーズキャップ260の間には、自由空間253を設けることができ、それにより空気流の一部分は、この自由空間253を通ってロータブレード先端部240内に流入することできる。ロータブレード先端部240は、少なくとも部分的に中空空間241を有することができ、それにより空気流は、中空空間241内に流入し、中空空間241から再び流出することができる。また方向転換ユニット250の第1縁端部251と、後縁部
202の間には、更なる通過部254が設けられており、それにより空気は、そこを通って流れることができる。この際、空気流の大部分は、方向転換ユニット250により方向転換され、それにより空気は、第1バー部材211と後縁部の間を流れて再びロータブレード根元領域200aに戻ることができる。
【0035】
図4は、本発明によるロータブレードの一部分の概要図を示している。空気流を更に改善するために、第2バー部材212にスクープ部(空気取入部)270を設けることができる。この際、スクープ部270は、第1バー部材211と第2バー部材212の間の領域内まで達している。
【0036】
本発明の一局面により、方向転換ユニット250を設けることなく、第2バー部材212にスクープ部を備えたロータブレードを提供することができる。またロータブレードは、中空のブレード先端部をもたなくてはならないわけではない。
【0037】
ロータブレード先端部の領域における空気流の方向転換を更に改善するために、境界層吸引ユニット280を設けることができ、境界層吸引ユニット280は、第1バー部材211及び第2バー部材212の端部の領域に設けられていることが可能である。
【0038】
図5は、本発明によるロータブレードの更に別の一部分の概要図を示している。境界層吸引ユニット280は、境界層吸引プレートとして構成されていることが可能であり、第1端部282と第2端部283を有することができる。第2端部283は、第2バー部材212の一端部と結合され、それに対して第1端部282は、第1バー部材211の一端部と結合されている。境界層吸引ユニット280は、更に複数の縦長の切欠部281が設けられている。
【0039】
図6は、本発明によるロータブレードのロータブレード先端部側の領域の一概要図を示している。
図6では、特に、ロータブレード先端部240、フォームウェッジ250、スクープ部270、並びに例えば境界層吸引プレートの形式の境界層吸引ユニット280が示されてる。
【0040】
スクープ部270は、第2バー部材212の領域に又は該領域内に設けられており、バイパススクープ部として用いられる。このスクープ部270により方向転換領域内の流れを最適化することができ、方向転換領域内では、境界層流がバー部材端部において吸引され、流れ剥離(失速)と乱流が減少される。方向転換領域内の流れを更に改善するために、方向転換領域内に縦長の切欠部を有する境界層吸引ユニット280が設けられている。
【0041】
方向転換ユニット250は、フォームウェッジとして実現されていることが可能であり、空気流の方向転換部として用いられる。方向転換ユニット250は、ロータブレード先端部240の領域に設けられている。この際、方向転換ユニット250は、バー部材延長部として作用することができ、ブレード先端部への改善された空気案内を保証することができる。この際、方向転換ユニット250に当たる主流は、適切に対応して方向転換されることが可能であり、それにより主流は、例えば第1バー部材211と第2バー部材212の間、ないし第1バー部材211と後縁部の間を通って再びロータブレード根元部に戻るように流れることができる。一つの部分流は、両方のバー部材の間を流れてロータブレード根元部に戻り、流れの一部分は、第1バー部材211と後縁部の間を流れてロータブレード根元部に戻る。
【符号の説明】
【0042】
100 風力発電装置
102 タワー
104 ナセル
106 空気力学的ロータ
110 スピナ
200 ロータブレード
200a ロータブレード根元領域
200b ロータブレード先端領域
200c 圧力側部(正圧側部)
200d 吸引側部(負圧側部)
201 前縁部
202 後縁部
210 バー部材
211 第1バー部材
212 第2バー部材
240 ロータブレード先端部
241 中空空間
250 方向転換ユニット(例えばフォームウェッジ)
251 方向転換ユニットの第1縁端部
252 方向転換ユニットの第2縁端部
253 自由空間
254 通過部
260 ロータブレードノーズキャップ
270 スクープ部(シャベル空気取入部)
280 境界層吸引ユニット
281 切欠部
282 境界層吸引ユニットの第1端部
283 境界層吸引ユニットの第2端部
300 加熱ユニット
L ロータブレードの長手方向