特許第6918982号(P6918982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6918982プロモータ層を用いてアルカリ金属で被覆された基板を製造する方法、及び被覆された基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918982
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】プロモータ層を用いてアルカリ金属で被覆された基板を製造する方法、及び被覆された基板
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/1395 20100101AFI20210729BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20210729BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   H01M4/1395
   H01M4/66 A
   H01M4/04 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-563470(P2019-563470)
(86)(22)【出願日】2018年5月15日
(65)【公表番号】特表2020-520542(P2020-520542A)
(43)【公表日】2020年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2018062458
(87)【国際公開番号】WO2018210791
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2020年3月23日
(31)【優先権主張番号】102017208218.6
(32)【優先日】2017年5月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515230084
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツゥア フェアデルング デア アンゲヴァンドテン フォァシュング エー.ファウ.
(73)【特許権者】
【識別番号】516386144
【氏名又は名称】テヒニシュ ウニヴェルズィテート ドレスデン
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】カスケル シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】アルテウス ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】シューム ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ドレセル ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】シェーンヘル カイ
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0133662(US,A1)
【文献】 特開2004−259483(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/047657(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00−4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム層(1)で被覆された、銅又はニッケルから構成される基板(2)を製造する方法であって、
銅酸化物で作られたメディエータ層(3)が、銅で作られた基板(2)の表面に塗布されるか、あるいは、ニッケル酸化物で作られたメディエータ層(3)が、ニッケルで作られた基板(2)の表面に塗布され
前記メディエータ層(3)の表面が、液体リチウムに押しつけられ、前記メディエータ層(3)は少なくとも部分的な還元によって前記液体リチウムと反応し、続いて前記液体リチウムが、固相に変わり、コーティング(1)リチウムから形成される、方法。
【請求項2】
前記メディエータ層(3)が、前記リチウム層(1)のリチウムに接して反応して、媒介界面又は境界層を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メディエータ層(3)が、熱酸化、気相コーティング操作、湿式化学コーティング、及び/又は熱処理によって形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記リチウム層(1)のリチウムが、レーザ融解、加熱装置を用いた融解、ナイフコーティング、スロットダイを用いた塗布、噴射、展着、浸漬コーティング、溶射、及び/又はラミネーションによって前記メディエータ層(3)上に塗布されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記メディエータ層(3)が、0.1nmから1000nmまでの間の厚みで形成されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
リチウム層(1)およびメディエータ層(3)を有する基板(2)であって、
前記基板(2)が銅で構成されかつ前記メディエータ層(3)が銅酸化物で構成されるか、あるいは、前記基板(2)がニッケルで構成されかつ前記メディエータ層(3)がニッケル酸化物で構成され、
前記メディエータ層(3)と前記リチウム層(1)との間の媒介界面又は境界層は、少なくとも、前記メディエータ層(3)の構成材料の液体リチウムとの部分的な還元生成物を含む、基板(2)。
【請求項7】
アノードとして、請求項に記載の基板を有する電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディエータ層を用いてアルカリ金属で被覆された基板を製造する方法、メディエータ層、及び被覆された基板に関する。
【0002】
リチウムベース電池の技術は、多数あり、金属リチウムアノードが、例えばリチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、固体電池、又はリチウム空気電池の場合のように、エネルギー密度を高める鍵となる。箔の厚さが50μm未満で箔の幅が100mmを超える、必要とされるリチウム箔に現在使用されている押出成形及び圧延等の生産技術は、リチウムの機械的特性によって決まる限界に達しているため、指定された寸法の圧延製品を製造するために利用可能なプロセスがなく、これは、より大きなセルの形態の電池技術のスケールアップに対する障壁である。
【0003】
リチウムの低い機械的安定性にも関わらず薄い材料を得るために、薄いリチウム箔は、銅箔にラミネートされる;しかしながら、これは、求められる厚さを実現することができない。蒸着のプロセスによる銅箔上への金属リチウムの堆積は、例えば、国際公開2005/001157A2号に開示されている。この方法の欠点は、堆積が生じる速度が比較的遅く、銅箔だけでなく基板付近のシステムの構成要素もリチウムで被覆されるため、システムのメンテナンス、修理、及び洗浄にかなりの労力及びコストがかかることである。
【0004】
同様の欠点は、リチウムの電気化学的堆積に影響する。融解物からのリチウムの直接堆積もまた、金属融解物の高い表面超量によって銅箔又は同様の基板の濡れが悪いため、同様に容易に可能ではなく、このルートによっても、求められる厚さを得ることができない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、述べられた欠点を回避する方法を提案することであり、それは、大きな面積及び薄い厚さのアルカリ金属を堆積することを可能にする。
【0006】
この目的は、本発明によれば、請求項1に主張される方法と、請求項11及び12に主張される被覆された基板と、によって達成される。有利な実施形態及び展開は、従属請求項に記載されている。
【0007】
アルカリ金属で被覆された基板を製造する方法は、メディエータ層が、基板の表面に塗布されるステップを備える。メディエータ層は、少なくとも部分的な化学的還元によってアルカリ金属と反応する材料で作られている。メディエータ層の表面は、アルカリ金属に押しつけられ、続いてアルカリ金属は、固相に変わり、アルカリ金属でコーティングが形成される。
【0008】
メディエータ層は、メディエータ層の少なくとも部分的な化学的還元によって、アルカリ金属と化学的に反応し、及び/又は合金を形成し、アルカリ金属による基板の濡れが改善され、したがって比較的大きな面積でも被覆され、及び/又は、比較的厚い厚さを達成することができる。アルカリ金属は、塗布時又は押し付け時に、気体、液体、又は固体であってもよい。メディエータ層は、典型的には、気相又は液相から、又は固相として塗布される。アルカリ金属の塗布に続いて、アルカリ金属は、熱還元によって、固相又は固体凝集状態に変わってもよい。メディエータ層の表面は、好ましくは高温で、特に好ましくは塗布されるアルカリ金属の融解温度で、アルカリ金属と濡れる又は接触する。
【0009】
メディエータ層は、ケイ素、すず、アンチモン、アルミニウム、マグネシウム、ビスマス又は記載された化学元素の合金から形成されてもよく、又は記載された元素又は合金を含んでいてもよい。これらの元素又は合金は、好ましくはリチウム等のアルカリ金属と合金を形成する。
【0010】
メディエータ層は、例えば、酸化物材料の還元により、アルカリ金属と接しており、反応して媒介界面又は境界層を形成する材料から形成されてもよい。酸化物材料は、好ましくはケイ素、すず、鉛、アルミニウム、亜鉛、アンチモン、鉄、ニッケル、銅、コバルト、マンガン、チタン、クロム、バナジウム、及び/又はタングステンの酸化物から形成される。メディエータ層は、典型的には、アルカリ金属と反応して、金属酸化物の少なくとも部分的な還元によって媒介境界層を形成する。
【0011】
それは、メディエータ層が、化学反応として、アルカリ金属のインターカレーション(例えばグラファイトにおける)又はインサーション(例えばLiMeOにおける)、合金の形成、又は還元による物理的な変換(転換)を可能にする。還元による物理的な変換は、CuO+2Li→LiO+2Cu又はNiO+2Li→LiO+Niとして行われることが好ましい。
【0012】
メディエータ層は、典型的には、これらが液体リチウムによって容易に還元可能であるため、CuO又はNiOとして設計される。しかしながら、メディエータ層は、これらの材料がインターカレーションだけでなくインサーションを可能にするため、リチウム金属酸化物(LiCoO、LiNiO、LiFePO、LiMnO、LiMnNiO、LiNiCoMnO、LiNiCoAlO、LiTi12、又はこれらの誘導体等)又はグラファイト状のカーボンから形成されてもよい。
【0013】
メディエータ層は、熱酸化、気相コーティング操作、好ましくは、スパッタリング及び/又は化学蒸着(CVD)、湿式化学コーティング、及び/又は熱処理によって形成されてもよい。特に、ここでの銅箔又はニッケル箔の熱酸化は、メディエータ層の速くかつ効果的な形成を可能にする。
【0014】
アルカリ金属は、典型的には、レーザ融解、加熱装置を用いた融解、ナイフコーティング、スロットダイを用いた塗布、噴射、展着、浸漬コーティング、気相方法、溶射、及び/又はラミネーションによって塗布される。記載された方法は、アルカリ金属を溶解させ又は気体状態に変え、既定の寸法でメディエータ層の表面に塗布されることを可能にする。しかしながら、メディエータ層は、気相からのアルカリ金属の堆積の文脈で、物理的蒸着(PVD)において使用されてもよい。
【0015】
メディエータ層は、典型的には、続くアルカリ金属のための基板の十分な被覆を達成するために、0.1nmから1000nmまでの間、好ましくは1nmから500nmまでの間、特に好ましくは10nmから200nmまでの間の厚みで形成される。
【0016】
特にリチウムが薄い層が重要な電池の塗布に使用されるため、アルカリ金属は、好ましくは、リチウム又はナトリウムである。基板は、銅、ニッケル、炭素繊維、又はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、及び/又は、述べられた材料を含むポリマーから形成されてもよい。
【0017】
基板は、好ましくは又はニッケルで形成され、及び/又は、銅又はニッケルを含み、メディエータ層は、銅基板の場合、銅酸化物から形成され、ニッケル基板の場合、ニッケル酸化物から形成される。


【0018】
基板は、典型的には、非多孔質の固体である。基板は、好ましくは20μm未満の厚さ、特に好ましくは10μm未満の厚さを有する薄い平面箔である。
【0019】
熱酸化は、最大の速さ及び効率を備える十分に厚い酸化物層を生成するために、2分以下、好ましくは1.5分以下、特に好ましくは1分未満の期間にわたって行われてもよい。
【0020】
したがって、記載された方法によって製造された被覆された基板は、基板‐メディエータ層は‐アルカリ金属層の層配列を含む。アルカリ金属層の塗布の前に、基板は、アルカリ金属と化学的に反応する材料から形成されたメディエータ層を有する。そのため、被覆された基板は、既に記載された性質を有していてもよく、特に、記載された方法によって製造されてもよい。基板は、典型的には、電池セルにおいてアノードとして使用される。
【0021】
本発明の例示的な実施形態を図面に示し、図1から図10を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、加熱されたノズルによって塗布されるアルカリ金属の概略側面図を示す。
図2図2は、加熱されたリザーバによって塗布されるアルカリ金属の図1に対応する図を示す。
図3図3は、レーザ融解によって塗布されるアルカリ金属の図1に対応する図を示す。
図4図4は、ナイフコーティングによって塗布されるアルカリ金属の図1に対応する図を示す。
図5図5は、展着によって塗布されるアルカリ金属の図1に対応する図を示す。
図6図6は、浸漬によって塗布されるアルカリ金属の図1に対応する図を示す。
図7図7は、噴射によって塗布されるアルカリ金属の図1に対応する図を示す。
図8図8は、連続的ノズルによって塗布されるアルカリ金属の図1に対応する図を示す。
図9図9は、圧力ロールによって塗布されるアルカリ金属の図1に対応する図を示す。
図10図10は、グライドによって塗布されるアルカリ金属の図1に対応する図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、概略側面図に、アルカリ金属1としてリチウムで被覆された基板2を製造する方法を示す。基板2は、示された例示的な実施形態において、熱酸化によってメディエータ層3として銅酸化物層を備える銅箔である。したがって、メディエータ層3は、基板と直接すなわち即時に接触している。リチウムは、加熱されたノズル5を用いて融解される。リチウム箔は、電気的に加熱されたノズル5を通ってそのプロセスで融解する。基板2は、ノズル5の下の同一平面を通って運ばれ、メディエータ層3は、基板上に順々に配置される。次に、融解したリチウムは、ノズル5に面するメディエータ層3の表面に衝突し、それは、冷却されて固体凝集状態に戻り、メディエータ層3に直接接触する不浸透性リチウム層が形成される。
【0024】
図2に示すように、図1に対応する図では、好ましくは電気的に加熱されたリザーバ6もまた、溶解されたリチウムを収容し、リザーバ6のスロットダイによってメディエータ層3にリチウムを塗布してもよく、この停止ダイは、基板2に面している。この場合のリザーバ6は、漏斗の形状を有し、スロットダイを通る標的出口流れを可能にする。この図及び以下の図において繰り返される特徴には、同じ参照符号が付されている。
【0025】
図3に示される本発明のさらなる実施形態では、レーザ放射源4は、基板2又はメディエータ層3上において、電磁レーザ放射を箔状のリチウムの衝突点に向け、この時点で箔状のリチウムは溶解し、銅酸化物メディエータ層3によって基板2上に配置される。
【0026】
図4に再現されるさらなる実施形態では、基板2は、加熱され、リチウムは、アルカリ金属1として基板2上に融解して存在する。コーティングナイフ7を用いて、リチウムは、定められた厚さで削り取られてメディエータ層3に塗布され、前述のように塗布されるアルカリ金属1に面している。
【0027】
図5に示される例示的な実施形態では、冷たいリチウム箔は、温かい基板2上を通過する。この場合、基板2は、電気オーブンを通過し、そのプロセスにおいて加熱される。冷たいリチウム箔の基板2への展着は、基板2に塗布されたメディエータ層3上の衝突点においてリチウム箔の融解を引き起こし、融解したリチウム箔は、メディエータ層3を表面上濡らす。したがって、冷却後、不浸透性リチウムコーティングが再び存在する。
【0028】
次に、図6は、概略側面図において、融解されたリチウムを含む加熱されたタンク8を示す。メディエータ層3が塗布された基板2は、タンク8を通過する。タンク8から出ると、スクレーパ9で過剰の英知有無を書き落とし、両側における層の厚さが同一である基板2上にリチウムの層を確立することができる。
【0029】
図7は、メディエータ層3を備える基板2のコーティングが噴射コーティングによって達成される例示的な実施形態を示し、アルカリ金属は、噴射ノズル10から噴射ノズル10の下を通る基板上に堆積される。
【0030】
図8に再現された例示的な実施形態の場合、基板2は、両側からの基板2への固体リチウムの誘導によって、両側が被覆される。リチウムが基板2又は基板2の両側に配置されたメディエータ層3に衝突して融解する前に、基板2が加熱された連続したノズル11を通過するため、基板2は、不浸透性のリチウム層が形成されるように被覆されている。
【0031】
図9に示すさらなる例示的な実施形態では、基板2は、圧力ロール方法によって被覆され、加熱されたアプリケータロールの表面くぼみに液体リチウムを導入し、ロールとともに液体リチウムを基板2上に輸送することにより、それは、メディエータ層3に衝突し、堆積する。
【0032】
図10に示されるさらなる例示的な実施形態では、基板2は、リチウム融解浴上で基板を均一に誘導することによって被覆され、基板2は、リチウム表面とちょうど接触している。この表面接触描画では、それが呼ばれるように、層の厚さの調整は、基板2の移動速度を含む要因によって成される。コーティング幅は、リチウム融解浴の幅によって引き受けられ、その幅がリチウム融解浴よりも大きい場合、被覆されていないマージンが生成される。
【0033】
したがって、様々な実施形態で説明される方法は、薄い‐典型的には、厚さが0.1nmから1000nmまでの間であるリチオフィリック(lithiophilic)なメディエータ層3の塗布によって、様々な基板2上にリチウムの広範な堆積を可能にする。使用可能な基板材料の例には、銅箔、ニッケル箔、穴あき金属箔、炭素繊維、特に炭素繊維マット、カーボンナノチューブ製の不織ウェブ(CNT不織)、金属ワイヤ織布、又はポリイミドフィルム、ポリイミド繊維織布、又はポリイミド繊維レイドスクリム(laid polyimide fiber scrim)などの高分子基板2、を含む。
【0034】
メディエータ層3は、ケイ素、すず、アンチモン、アルミニウム、マグネシウム、ビスマス、又はCuSn等の述べられた化学元素の合金を材料として形成される。あるいは、メディエータ層3は、液体リチウムと接触し、反応して媒介界面を形成する材料製であってもよく、例えば、例えばアルミニウム酸化物等のリチウムと合金を形成する材料を形成する酸化物材料の還元によって反応する。これは、例えば、リチウムのインターカレーション又はインサーションを可能にする材料を通って実現されてもよい。これらは、特に、リチウムイオン電池において活物質として用いられる材料、例えば、LiCoO、LiNiO、LiFePO、LiMnO、LiMnNiO、LiNiCoMnO、LiNiCoAlO、LiTi12、又はグラファイト状のカーボンであってもよい。あるいは、しかしながら、液体リチウムと接触し、反応してインターカレーション又はインサーション又は他の化学反応を可能にする化合物を与える材料であってもよく、変換材料の例としては、インターカレーション又はインサーションがない代わりに、例えば金属酸化物が、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、硫黄又は硫化物に直接(可逆的に)変えられる。リチウムの代わりに、それは、融解から同質層の形成のためにナトリウムを利用することも同様に可能である。変換材料の反応例は、次の通りである:MeO+2Li→Me+Li
【0035】
一般的に言って、リチウム又はナトリウムによって少なくとも部分的に(完全にだけでなく)還元される酸化物メディエータ層3は、使用可能である。したがって、この酸化物メディエータ層は、金属酸化物を含み、以下の元素の酸化物又は酸化化合物が金属酸化物として適切である:マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、すず、アンチモン、鉛、ビスマス。
【0036】
アルカリ金属1の塗布に関し、メディエータ層3を形成するために使用可能な様々な可能な手順がある。例えば、厚さ12μmの銅箔は、予熱されたマッフル炉内(又は連続基板用の高温連続オーブン内)において300℃から500℃で表面酸化可能であり、メディエータ層3として機能する厚さが0.1nmから1000nmまでの薄い酸化物層を生成する。同様に、厚さが20μmのニッケル箔の酸化によって、ニッケル酸化物メディエータ層は、600℃で形成可能である。Cu2Oの形成は、X線解析(XRD)によって実証可能である。続いて、Ar環境で、固体リチウムを200℃に加熱された酸化された銅箔と接触させ、リチウムの融解させることが可能である。そして、図4に示すように、コーティングナイフ7を使用して、厚さが20μmから160μmのリチウム層を生成可能である。
【0037】
上述の例示的な実施形態の場合、方法のパラメータは、意図する用途に適合可能である。銅箔は、好ましくは300℃で1分間処理され、溶解したリチウムによって非常に効果的に濡れることが可能な厚さ約10nmのCuO層を形成する。400〜500℃では、処理時間は、1分間未満であるが、CuO等のあまり好ましくない酸化銅も形成される。
【0038】
この例示的な実施形態の変形例では、メディエータ層3は、基板2上の特定の領域にのみ生成される。これによって、これらの領域にのみ基板2上にリチウム層を作ることが可能である。それに応じて、パターン化されたリチウム層及び/又は、幾何学的形状の実現、又は電流コレクトタブ等のための被覆されていないマージン領域の生成が可能である。
【0039】
さらなる例示的な実施形態では、炭素繊維不織布(Freudenberg H14)をSnCl2又はSbCl3のエタノール溶液(0.15M)に30秒含侵させ、5分間乾燥し、予熱されたマッフル炉内において300℃5分間空気中で熱処理可能である。その後、酸素が存在しない状態で700℃60分間、還元が行われる。このようにして製造された基板2は、続いてリチウム融解物に浸漬される。
【0040】
他の例示的な実施形態では、銅織布(ワイヤ厚さが0.05mm、メッシュサイズ0.2mm)もまた、銅箔と同じ条件下で処理可能であり、リチウムで被覆されている、又はED箔と呼ばれる粗い銅箔を使用し、1桁以下のμm範囲の樹状銅構造を持ち、電着を行うと、熱酸化によって濡れ製のある状態に変わる。
【0041】
例えば、リチウムビーズは、銅箔の未処理表面上での濡れに不向きであるが、リチウムビーズは、上述のように処理された表面の場合、アルゴンで約200℃まで加熱すると、箔表面を濡らすことが可能である。したがって、リチウムイオン電池、リチウム空気電池、リチウム硫黄電池又は固体電池等の二次電池用電極、又はリチウムチオリム塩化物電離、リチウムマンガン酸化物電池、リチウム硫黄酸化物電池、リチウムカーボン一フッ化物電池、リチウム要素電池又はリチウム鉄硫化物電池等の一次電池用電極を製造することができる。
【0042】
例示的な実施形態でのみ開示されている様々な実施形態の特徴は、互いに組み合わせて個々で請求可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10