特許第6918991号(P6918991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918991
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】起動信号管理
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20210729BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20210729BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20210729BHJP
【FI】
   H04W52/02
   H04B1/16 M
   H04W84/12
【請求項の数】31
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-571031(P2019-571031)
(86)(22)【出願日】2018年5月18日
(65)【公表番号】特表2020-526083(P2020-526083A)
(43)【公表日】2020年8月27日
(86)【国際出願番号】EP2018063058
(87)【国際公開番号】WO2019001845
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2020年2月19日
(31)【優先権主張番号】62/524,940
(32)【優先日】2017年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】ウィルヘルムソン, レイフ
(72)【発明者】
【氏名】マティソン, スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ロペス, ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】スンドマン, デニス
【審査官】 石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−179786(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0337973(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02464175(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
H04B 1/16
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信デバイスの起動受信機(WUR)による起動信号(WUS)の検出に応答して前記無線通信デバイスのメイン受信機を起動するために送信された前記WUSを使用するように設定された無線通信装置のための方法であって、前記方法が、
前記WURについての受信状態メトリックに基づいて、前記WURのWUS域幅を制御すること(120、320、420)
を含み、前記WUS帯域幅を制御することが、前記受信状態メトリックが第1の受信状態を示すときは第1のWUS帯域幅を選択することと、前記受信状態メトリックが第2の受信状態を示すときは第2のWUS帯域幅を選択することとを含み、前記第1のWUS帯域幅は前記第2のWUS帯域幅よりも広く、前記第1の受信状態が前記第2の受信状態よりも好ましくない、方法。
【請求項2】
前記無線通信装置が前記無線通信デバイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
極(たとえば、最大または最小)相関値を与えるために、前記WUSを含む受信された信号をWUS参照信号と相関させること(311)と、
前記極相関値に基づいて前記WURについての前記受信状態メトリックを決定すること(312)と
によって、前記WURについての前記受信状態メトリックを決定すること(110、310)をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記極相関値に基づいて前記WURについての前記受信状態メトリックを決定することは、
前記極相関値を受信状態しきい値(201、203)と比較することと、
前記極相関値が前記受信状態しきい値よりも高くないとき、前記受信状態メトリックが第1の受信状態値を有すると決定することと、
前記極相関値が前記受信状態しきい値よりも高とき、前記受信状態メトリックが第2の受信状態値を有すると決定することと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記WUSに関連する直前の帯域幅に基づいて、前記受信状態しきい値(201、203)を動的に適応させることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記極相関値を、前記受信状態しきい値よりも低いWUS検出しきい値(202、204)と比較すること(330)と、
前記極相関値が前記WUS検出しきい値よりも大きいとき、前記メイン受信機を起動すること(340)と
をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記WURが、検出の前の前記WUSのフィルタ処理のためのチャネル選択的フィルタを備え、前記受信状態メトリックに基づいて前記WUS域幅を制御すること(320)が、前記受信状態メトリックに基づいてチャネル選択的フィルタ帯域幅を制御すること(321)を含む、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記受信状態メトリックに基づいて前記WUS域幅を制御すること(320)が、記WUSを送信するよう設定されたアクセスポイントノードに、前記受信状態メトリックに基づく信号を送信すること(322)を含む、請求項2から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記受信状態メトリックに基づく前記信号がWUS帯域幅要求である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記無線通信装置が前記WUS帯域幅を制御するアクセスポイントノードである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記無線通信デバイスから、前記受信状態メトリックに基づく信号を受信すること(411)をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記受信状態メトリックに基づく前記信号がWUS帯域幅要求である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記WUS帯域幅要求を受信すること(411)が、前記WUSによってターゲットにされる2つまたはそれ以上のそれぞれの無線通信デバイスから、2つまたはそれ以上のそれぞれのWUS帯域幅要求を受信することを含み、前記WUS帯域幅を制御すること(420)が、前記WUS帯域幅要求の中の最も広い帯域幅を前記WUS帯域幅として選択すること(421)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
プログラム命令を備えるコンピュータプログラムを一時的コンピュータ可読媒体に記録したコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムは、データ処理ユニットにロード可能であり、前記コンピュータプログラムが前記データ処理ユニットによって動作させられたとき、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法の実行を引き起こすように設定された、コンピュータプログラム製品。
【請求項15】
無線通信デバイスの起動受信機(WUR)による起動信号(WUS)の検出に応答して前記無線通信デバイスのメイン受信機を起動するために送信された前記WUSを使用するように設定された無線通信装置のための構成であって、前記構成が、
前記WURの受信状態メトリックに基づく、前記WURのWUS域幅の制御を引き起こすように設定されたコントローラ(700、800、900)を備え、前記WUS帯域幅を制御することが、前記受信状態メトリックが第1の受信状態を示すときは第1のWUS帯域幅を選択することと、前記受信状態メトリックが第2の受信状態を示すときは第2のWUS帯域幅を選択することとを含み、前記第1のWUS帯域幅は前記第2のWUS帯域幅よりも広く、前記第1の受信状態が前記第2の受信状態よりも好ましくない、構成。
【請求項16】
前記無線通信装置が前記無線通信デバイスである、請求項15に記載の構成。
【請求項17】
前記コントローラが、
極(たとえば、最大または最小)相関値を与えるための、前記WUSを含む受信された信号とWUS参照信号との相関と、
前記極相関値に基づく前記WURについての前記受信状態メトリックの決定と
を引き起こすことによって、前記WURについての前記受信状態メトリックの決定を引き起こすようにさらに設定された、請求項16に記載の構成。
【請求項18】
前記コントローラは、
前記極相関値と受信状態しきい値との比較と、
前記極相関値が前記受信状態しきい値よりも高くないときの、第1の受信状態値を有するものとしての前記受信状態メトリックの決定と、
前記極相関値が前記受信状態しきい値よりも高ときの、第2の受信状態値を有するものとしての前記受信状態メトリックの決定と
を引き起こすことによって、前記極相関値に基づく、前記WURについての前記受信状態メトリックの決定を引き起こすように設定された、請求項17に記載の構成。
【請求項19】
前記コントローラが、前記WUSに関連する直前の帯域幅に基づく、前記受信状態しきい値(201、203)の動的適応を引き起こすようにさらに設定された、請求項18に記載の構成。
【請求項20】
前記コントローラは、
前記極相関値と、前記受信状態しきい値よりも低いWUS検出しきい値(202、204)との比較と、
前記極相関値が前記WUS検出しきい値よりも大きいときの、前記メイン受信機の起動と
を引き起こすようにさらに適応された、請求項18または19に記載の構成。
【請求項21】
前記WURが、検出の前の前記WUSのフィルタ処理のためのチャネル選択的フィルタを備え、前記コントローラが、前記受信状態メトリックに基づくチャネル選択的フィルタ帯域幅の制御を引き起こすことによって、前記受信状態メトリックに基づく、前記WUS域幅の制御を引き起こすように適応された、請求項16から20のいずれか一項に記載の構成。
【請求項22】
前記コントローラが、記WUSを送信するよう設定されたアクセスポイントノードへの、前記受信状態メトリックに基づく信号の送信を引き起こすことによって、前記受信状態メトリックに基づく、前記WUS域幅の制御を引き起こすように設定された、請求項16から21のいずれか一項に記載の構成。
【請求項23】
前記受信状態メトリックに基づく前記信号がWUS帯域幅要求である、請求項22に記載の構成。
【請求項24】
前記WURをさらに備える、請求項16から23のいずれか一項に記載の構成。
【請求項25】
前記メイン受信機をさらに備える、請求項16から24のいずれか一項に記載の構成。
【請求項26】
請求項16から25のいずれか一項に記載の構成を備える、無線通信デバイス。
【請求項27】
前記無線通信装置が前記WUS帯域幅を制御するよう設定されたアクセスポイントノードである、請求項15に記載の構成。
【請求項28】
前記コントローラが、前記無線通信デバイスからの前記受信状態メトリックに基づく信号の受信を引き起こすようにさらに適応された、請求項27に記載の構成。
【請求項29】
前記受信状態メトリックに基づく前記信号がWUS帯域幅要求である、請求項28に記載の構成。
【請求項30】
前記WUS帯域幅要求の受信が、前記WUSによってターゲットにされる2つまたはそれ以上のそれぞれの無線通信デバイスからの、2つまたはそれ以上のそれぞれのWUS帯域幅要求の受信を含み、前記コントローラが、前記WUS帯域幅としての、前記WUS帯域幅要求の中の最も広い帯域幅の選択を引き起こすことによって、前記WUS帯域幅の制御を引き起こすように適応された、請求項29に記載の構成。
【請求項31】
請求項27から30のいずれか一項に記載の構成を備える、アクセスポイントノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に無線通信の分野に関する。より詳細には、本開示は、無線通信デバイスのメイン受信機を起動するための起動信号に関する。
【背景技術】
【0002】
起動受信機(WUR:wake−up receiver、起動無線機と呼ばれることがある)は、無線通信受信機における電力消費の著しい低減を与える。WUR概念の一態様は、WURが、起動信号(WUS:wake−up signal)の存在を検出することが可能である必要があるにすぎず、WUS以外にデータまたは他の制御シグナリングの受信のために使用されないことがあるので、WURが非常に緩和された(relaxed)アーキテクチャに基づき得ることである。
【0003】
WUS(すなわち、WURに送られる信号)のための通常使用される変調は、オンオフキーイング(OOK:on−off keying)である。OOKはバイナリ変調であり、ここで、論理1が、信号を送ること(オン)によって表され、論理0が、信号を送らないこと(オフ)によって表され、またはその逆もある。
【0004】
IEEE802.11baと称する、米国電気電子技術者協会(IEEE)802.11タスクグループ(TG)における進行中のアクティビティは、メインIEEE802.11無線機に対するコンパニオン無線機として使用されるべきであるWURについて、メイン無線機がよりしばしば低電力モードにあり得ることを保証することによって、平均電力消費を著しく低減するための、物理(PHY)レイヤおよび媒体アクセス制御(MAC)レイヤの規格化を目的とする。
【0005】
WUSの生成の可能性は、逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用することであり、なぜなら、そのような機能ブロックが、多くの送信機、たとえば、たとえばIEEE802.11a/g/n/acをサポートするWi−Fi送信機においてすでに利用可能であるからである。OOKを使用するWUSの生成に対する1つの例示的な手法は、IFFTの周波数範囲の中心において13個のサブキャリアを使用すること、オンを表すために好適な信号でそれらのサブキャリアをポピュレートすること、およびオフを表すためにこれらのサブキャリア上でまったく何も送信しないことである。典例型的な例では、IFFTは、64点を有し、20MHzのサンプリングレートにおいて動作している。ただ通常の直交周波数分割多重(OFDM)に関しては、802.11a/g/n/acにおいて使用される正規OFDMシンボル持続時間と同じ持続時間およびフォーマットを有するために、IFFT動作の後にサイクリックプレフィックス(CP)が追加され得る(したがって、WUSの最初にレガシープリアンブルをプリペンドすることによってレガシー局をスプーフィングすることが可能であり得る)。このようにして、レガシー局は、WUSの送信を検出し、無線媒体へのアクセスを正しく延期することが可能になる。すなわち、レガシー局は、WUSの存在を検出することが可能になるが、レガシー局は、概して、WUSによって搬送される情報を復号することが可能でないであろう。
【0006】
上記で説明された手法は多くの魅力的な特徴を有するが、この手法は、比較的不十分な感度という欠点があり、WURの低電力実装形態では、WUSを、受信することを潜在的に困難にする。
【0007】
したがって、好ましくない受信状態の下でWUS受信を可能にし、また、電力効率的である手法が必要である。
【0008】
背景従来技術として、文書米国特許出願第2007/0264963(A1)号が挙げられ得る。文書米国特許出願第2007/0264963(A1)号は、RF起動のために広帯域信号を採用する方法およびシステムに関する。無線ネットワークのエネルギー消費を低減する方法が開示されている。その方法は、受信側ノードによってスリープモードに周期的に入ること、広帯域周波数範囲にわたって同時に信号をブロードキャストすること、スリープモードから起動すると、受信側ノードによって広帯域周波数範囲の第1の狭い部分のみをリッスンすること、受信側ノードがその後、ブロードキャストされた信号の信号強度があらかじめ規定された信号強度しきい値よりも小さい場合にスリープに戻るか、またはブロードキャストされた信号の信号強度があらかじめ規定された信号強度しきい値よりも大きい場合に追加の時間期間の間起動したままでいるかのいずれかであることを含む。そのアイデアは、広帯域信号の狭帯域部分をリッスンすることによって電力を低減することである。特に、受信機は、どの部分を使用すべきかを選択することができ、送信機は、どの部分を使用すべきかを知る必要がない。
【0009】
別の背景文書は米国特許出願第2012/0120859(A1)号である。米国特許出願第2012/0120859(A1)号は、超低電力WLANデバイスのための起動シグナリングのための技法に関する。開示される実施形態は、超低電力無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)デバイスのための起動シグナリングの方法を提供し、その方法は、そのデバイスに関連する受信機において低電力技法を使用して受信され得る起動信号を、WLANにおいて動作可能なアクセスポイントによって送信することを含む。そのアイデアは、WUSを送信するために802.11における予備トーンを使用することであるように思われる。
【発明の概要】
【0010】
本明細書で使用される「備える、含む(comprises)/備える、含む(comprising)」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を明示するものととられるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことを強調されるべきである。本明細書で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別段に明確に示すのでなければ、複数形をも含むものとする。
【0011】
いくつかの実施形態の目的は、本明細書で言及される欠点または他の欠点のうちの少なくともいくつかを解決または軽減するか、緩和するか、あるいはなくすことである。
【0012】
第1の態様によれば、これは、無線通信デバイスの起動受信機(WUR)による起動信号(WUS)の検出に応答して無線通信デバイスのメイン受信機を起動するために、たとえば、アクセスポイントによって送信されたWUSを使用するように設定された、無線通信装置のための方法によって達成される。
【0013】
本方法は、WURについての受信状態メトリックに基づいて、WUSに関連する帯域幅を制御することを含む。
【0014】
無線通信装置は、いくつかの実施形態によれば、無線通信デバイスであり得る。
【0015】
本方法は、いくつかの実施形態によれば、極(たとえば、最大または最小)相関値を与えるために、WUSを含む受信された信号をWUS参照信号と相関させることと、この相関の結果に基づいて、たとえば、極相関値を考慮することによって、WURについての受信状態メトリックを決定することとによって、WURについての受信状態メトリックを決定することをさらに含み得る。
【0016】
極相関値に基づいてWURについての受信状態メトリックを決定することは、いくつかの実施形態では、極相関値を受信状態しきい値と比較することと、極相関値が受信状態しきい値よりも高いとき、受信状態メトリックが第1の受信状態値を有すると決定することと、極相関値が受信状態しきい値よりも高くないとき、受信状態メトリックが第2の受信状態値を有すると決定することとを含み得る。
【0017】
本方法は、いくつかの実施形態によれば、WUSに関連する直前の帯域幅に基づいて、受信状態しきい値を動的に適応させることをさらに含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、極相関値を、受信状態しきい値よりも低いWUS検出しきい値と比較することと、極相関値がWUS検出しきい値よりも大きいとき、メイン受信機を起動することとをさらに含み得る。
【0019】
WURは、いくつかの実施形態によれば、検出の前のWUSのフィルタ処理のためのチャネル選択的フィルタを備え得る。次いで、受信状態メトリックに基づいてWUSに関連する帯域幅を制御することは、受信状態メトリックに基づいてチャネル選択的フィルタ帯域幅を制御することを含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、受信状態メトリックに基づいてWUSに関連する帯域幅を制御することは、WUS帯域幅を制御するためにアクセスポイントに、受信状態メトリックに基づく信号を送信することを含み得る。受信状態メトリックに基づく信号は、WUS帯域幅要求であり得る。
【0021】
無線通信装置は、いくつかの実施形態によれば、アクセスポイントであり得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、受信状態メトリックに基づいてWUSに関連する帯域幅を制御することは、受信状態メトリックに基づいてWUS帯域幅を制御することを含み得る。
【0023】
本方法は、いくつかの実施形態によれば、無線通信デバイスから、受信状態メトリックに基づく信号を受信することをさらに含み得る。受信状態メトリックに基づく信号は、WUS帯域幅要求であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、US帯域幅要求を受信することは、WUSによってターゲットにされる2つまたはそれ以上のそれぞれの無線通信デバイスから、2つまたはそれ以上のそれぞれのWUS帯域幅要求を受信することを含み得る。次いで、WUS帯域幅を制御することは、WUS帯域幅要求の中の最も広い帯域幅をWUS帯域幅として選択することを含み得る。
【0025】
第2の態様は、プログラム命令を備えるコンピュータプログラムをその上に有する、非一時的コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品である。コンピュータプログラムは、データ処理ユニットにロード可能であり、コンピュータプログラムがデータ処理ユニットによって動作させられたとき、第1の態様による方法の実行を引き起こすように設定される。
【0026】
第3の態様は、無線通信デバイスの起動受信機(WUR)による起動信号(WUS)の検出に応答して無線通信デバイスのメイン受信機を起動するために、たとえば、アクセスポイントによって送信されたWUSを使用するように設定された、無線通信装置のための構成である。
【0027】
本構成は、WURの受信状態メトリックに基づく、WUSに関連する帯域幅の制御を引き起こすように設定されたコントローラを備える。
【0028】
第4の態様は、第3の態様の構成を備える無線通信デバイスである。
【0029】
第5の態様は、第3の態様の構成を備えるアクセスポイントである。
【0030】
いくつかの実施形態では、上記の態様のいずれかが、さらに、他の態様のいずれかについて上記で説明されたような様々な特徴のいずれかと同等のまたはそれらの特徴のいずれかに対応する特徴を有し得る。
【0031】
いくつかの実施形態の利点は、WUS検出が好ましくない受信状態において可能にされ得ることである。
【0032】
この利点は、たとえば、比較的小さいWUS帯域幅が使用された場合に比較して増加された最大許容送信電力を可能にするために、比較的大きいWUS帯域幅を使用することによって達成され得る。最大許容送信電力が、典型的には、周波数ユニットごとに(たとえば、サブキャリアごとに、またはHzごとに)指定されるので、より大きい帯域幅が最大許容送信電力を増加させる。より高い送信電力が、WUSについての範囲を増加させ得、対応して、WUSを受信するWURにおいて、信号品質メトリック、たとえば、信号対干渉比(SIR)を増加させ得る。
【0033】
代替または追加として、この利点は、たとえば、WUSと実質的に同じ帯域幅を有するWURにおいてチャネル選択フィルタ(CSF:channel selection filter)帯域幅を使用することによって達成され得る。より大きいCSF帯域幅が、典型的には、フィルタ出力における雑音を増加させ、したがって、信号品質メトリックを低下させることになる。より小さいCSF帯域幅が、受信されたWUS電力のうちの一部を遮断し、したがって、信号品質メトリックを低下させることになる。
【0034】
いくつかの実施形態の別の利点は、WUS受信が低電力消費を伴って可能にされ得ることである。
【0035】
この利点は、たとえば、WURにおいて、比較的小さい(典型的にはWUSの帯域幅よりも小さいか、またはWUSと同じ帯域幅を有する)チャネル選択フィルタ(CSF)帯域幅を使用することによって達成され得る。CSFの小さい帯域幅を使用することは、典型的には、CSFの大きい帯域幅を使用することよりも電力効率的である。
【0036】
またいくつかの実施形態の利点は、好ましくない受信状態におけるWUS検出を可能にすることと、WURにおいて低電力消費を有することとの間のトレードオフが、受信状態に基づいてWUS帯域幅および/またはCSF帯域幅を動的に適応させることによって達成され得ることである。典型的には、ロバストなWUS検出を達成するために、好ましくない受信状態において(1つまたは複数の)比較的広い帯域幅が使用され得、WUR電力消費を低下させるために、好ましい受信状態において(1つまたは複数の)比較的狭い帯域幅が使用され得る。
【0037】
いくつかの実施形態は、必要な電力よりも多くの電力を使用せずに改善されたカバレッジを可能にする、起動受信機および/または送信機のフレキシブルな実装形態を提供する。代替または追加として、いくつかの実施形態は、範囲を犠牲にすることなしに低減された電力消費を可能にする、起動受信機および/または送信機のフレキシブルな実装形態を提供する。
【0038】
添付の図面を参照しながら、実施形態の以下の詳細な説明から、さらなる目的、特徴および利点が明らかになろう。図面は必ずしも一定の縮尺であるとは限らず、代わりに、例示的な実施形態を示すことに重きが置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】いくつかの実施形態による、例示的な方法ステップを示すフローチャートである。
図2】部分(a)および(b)は、いくつかの実施形態による、例示的な相関値としきい値とを示すプロットである。
図3】いくつかの実施形態による、例示的な方法ステップおよびシグナリングを示す、組み合わせられたフローチャートおよびシグナリング図である。
図4】いくつかの実施形態による、例示的な方法ステップおよびシグナリングを示す、組み合わせられたフローチャートおよびシグナリング図である。
図5】いくつかの実施形態による、WURを備える例示的な構成を示す概略ブロック図である。
図6】いくつかの実施形態による、例示的なWUR受信チェーンを示す概略図である。
図7】いくつかの実施形態による、例示的な構成を示す概略ブロック図である。
図8】いくつかの実施形態による、例示的な構成を示す概略ブロック図である。
図9】いくつかの実施形態による、例示的な構成を示す概略ブロック図である。
図10】いくつかの実施形態による、例示的なコンピュータ可読媒体を示す概略図である。
図11】部分(a)、(b)および(c)は、いくつかの実施形態による、例示的なパケット誤り率(PER)を信号対雑音比(SNR)の関数として示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
上記ですでに述べたように、本明細書で使用される「備える、含む(comprises)/備える、含む(comprising)」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を明示するものととられるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことを強調されるべきである。本明細書で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別段に明確に示すのでなければ、複数形をも含むものとする。
【0041】
本開示の実施形態が、添付の図面を参照しながら以下でより十分に説明および例示される。しかしながら、本明細書で開示されるソリューションは、多くの異なる形態で実現され得、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0042】
以下では、WURについての受信状態メトリックに基づいて、WUSに関連する帯域幅が制御される実施形態が説明される。まず第一に、いくつかの一般的な実施形態が説明される。その後、例示的な実施形態が、図面を参照しながら説明される。一実施形態(または実施形態のグループ)に関して説明される特徴が、好適な場合、概して他の実施形態にも適用可能であり得ることを理解されたい。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、無線通信デバイスのWURによるWUSの検出に応答して無線通信デバイスのメイン受信機を起動するために、たとえば、アクセスポイントによって送信されたWUSを使用するように設定された、無線通信装置のための方法が提供される。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、無線通信装置は、センサーまたは同様のあまり複雑でないデバイスであり得、別の無線通信装置(無線通信デバイスまたはアクセスポイント)は、センサーを起動するためにWUSを送信することができる。したがって、無線通信デバイスは、「アクセスポイントノード」として働くことができる。説明の残り全体にわたって、通常の意味でのアクセスポイントAPが、無線通信装置にWUSを送っているが、これは、限定的なものと解釈されるべきではなく、アクセスポイントノードとして働き、WUSを送信する任意のデバイスが、等しく適用可能である。
【0045】
本方法は、WURについての受信状態メトリックに基づいて、WUSに関連する帯域幅を制御することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、受信状態メトリックを決定することをさらに含み得る。
【0046】
受信状態メトリックは、任意の好適なメトリック、たとえば(限定はしないが)、受信信号強度メトリック(たとえば、RSSI(受信信号強度インジケータ))、パスロス、信号対雑音比(SNR)、または同様のもの(たとえば、信号対干渉比(SIR))であり得る。いくつかの実施形態では、受信状態メトリックは、本明細書でさらに後で詳述されるように、極(たとえば、最大または最小)相関値であり得る。
【0047】
WUSに関連する帯域幅の制御は、典型的には、第1の受信状態値に、その帯域幅が第1の帯域幅になることを引き起こさせ、第2の受信状態値に、その帯域幅が第2の帯域幅になることを引き起こさせることを含み得、第1の帯域幅は、第1の受信状態値が第2の受信状態値が示すものよりも好ましい受信状態を示すとき、第2の帯域幅よりも狭い。
【0048】
好ましい受信状態および好ましくない受信状態は、受信状態メトリックを介して規定され得る。たとえば、比較的高いSIR値が、比較的好ましい受信状態を示し得、比較的低いSIR値が、比較的好ましくない受信状態を示し得る。相関値が使用される場合、比較的高い最大相関値が、比較的好ましい受信状態を示し得、比較的低い最大相関値が、比較的好ましくない受信状態を示し得る。
【0049】
本方法を行う無線通信装置は、無線通信デバイス(WCD、たとえば、IEEE802.11による動作に適合する局(STA))であり得る。代替または追加として、本方法を行う無線通信装置は、アクセスポイント(AP、たとえば、IEEE802.11による動作に適合する)であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、WURについての受信状態メトリックの決定は、WCDによって実施される。たとえば、これは、最大相関値を与えるために、WUSを含む受信された信号をWUS参照信号と相関させることと、最大相関値に基づいてWURについての受信状態メトリックを決定することとによって達成され得る。
【0051】
最大相関値に基づいてWURについての受信状態メトリックを決定することは、たとえば、最大相関値を受信状態しきい値と比較することを含み得る。最大相関値が受信状態しきい値よりも高いとき、受信状態メトリックが第1の受信状態値を有すると決定され得る。最大相関値が受信状態しきい値よりも高くないとき、受信状態メトリックが第2の受信状態値を有すると決定され得る。
【0052】
ここで、第1の受信状態値は、第2の受信状態値が示すものよりも好ましい受信状態を示す。したがって、第2の受信状態値に関してよりも、第1の受信状態値に関してより狭い帯域幅が適用されるべきである。
【0053】
概して、ある帯域幅が各間隔について使用されるべきである受信状態メトリック値の2つまたはそれ以上の間隔に対応する、1つまたは複数の受信状態しきい値があり得る。
【0054】
また概して、(1つまたは複数の)受信状態しきい値は、静的または動的であり得る。典型的な例では、受信状態しきい値は、WURの現在適用されるチャネル選択フィルタ(CSF)帯域幅に関して動的に変動する。比較的広いCSF帯域幅が、比較的低い受信状態しきい値に関連し得、その逆も同様である。より一般的に言えば、受信状態しきい値は、WUSに関連する直前の帯域幅に基づいて動的に適応可能であり得る。
【0055】
WUSの検出は、最大相関値を、受信状態しきい値よりも低いWUS検出しきい値と比較することと、最大相関値がWUS検出しきい値よりも大きいとき、メイン受信機を起動することとを含み得る。
【0056】
他の実施形態によれば、次に高い最大相関値、すなわち、ローカル最大値も考慮される。たとえば、考慮に値するまた別のピークがあるように、同期ワードが考案され得る。別の可能性は、相関が、1つまたは複数の負のピーク、すなわち、考慮され得る最小相関値をも生じることになることを基本的に意味する相補シーケンス(complementary sequence)を有することである。言い換えれば、グローバル極値およびローカル極値が、相関のために考慮され得る。上記で説明された実施形態と同様に、1つまたは複数の受信状態しきい値が、さらなるまたは代替の極相関値を使用して決定されるべき受信状態メトリック値の2つまたはそれ以上の間隔に対応して、規定され得る。
【0057】
同様に、受信状態しきい値に関しては、WUS検出しきい値は、WUSに関連する直前の帯域幅に基づいて動的に適応可能であり得る。典型的な例では、WUS検出しきい値は、WURの現在適用されるチャネル選択フィルタ(CSF)帯域幅に関して動的に変動する。比較的広いCSF帯域幅が、比較的低い受信状態しきい値に関連し得、その逆も同様である。典型的には、WUS検出しきい値は、対応する受信状態しきい値よりも低い。
【0058】
典型的には、同じ相関プロセスおよび最大相関値は、WUS検出と、受信状態メトリックに基づく帯域幅の制御との両方のために使用される。
【0059】
すでに触れたように、受信状態メトリックに基づいて制御されるWUSに関連する帯域幅は、WUS帯域幅とWURのチャネル選択フィルタ(CSF)のフィルタ帯域幅とのいずれかまたは両方であり得る。CSFは、関連のあるWUR実装形態において、適用可能な場合、帯域通過フィルタまたは低域通過フィルタであり得る。
【0060】
CSF帯域幅が受信状態メトリックに基づいて制御されるとき、そのような制御は、たとえば、好ましくない受信状態においてWUS帯域幅に実質的に等しいCSF帯域幅を選択することと、好ましい受信状態においてWUS帯域幅よりも狭いCSF帯域幅を選択することとを含み得る。
【0061】
たとえば、CSFは、あるファクタだけWUS帯域幅よりも狭いことがある。そのようなファクタは、いくつかの実施形態では、1から8の間の数、たとえば、2または4または8であり得る。ファクタは、状態が好ましくなるほど、ファクタの値が大きくなるように、受信状態に応じて異なる値を有し得る。いくつかの実施形態では、ファクタは、シンボルレートに関係し得る。
【0062】
WUS帯域幅が受信状態メトリックに基づいて制御されるとき、そのような制御は、たとえば、好ましくない受信状態において比較的広いWUS帯域幅を選択することと、好ましい受信状態において比較的狭いWUS帯域幅を選択することとを含み得る。
【0063】
また、様々な組合せが可能である。たとえば、極めて好ましい受信状態において、狭いWUS帯域幅が、WUS帯域幅に実質的に等しいCSF帯域幅とともに使用され得、平均的な受信状態において、広いWUS帯域幅が、WUS帯域幅よりも狭いCSF帯域幅とともに使用され得、好ましくない受信状態において、広いWUS帯域幅が、WUS帯域幅に実質的に等しいCSF帯域幅とともに使用され得る。
【0064】
WUS帯域幅が、受信状態メトリックに基づいて制御されるとき、WCDは、アクセスポイントに、受信状態メトリックに基づく信号を送信し得る。信号は、受信状態メトリックを示し得る(たとえば、受信状態メトリックを備え得る)。代替的に、受信状態メトリックに基づく信号は、(たとえば、WCDの現在の受信状態に好適なWUS帯域幅を示す)WUS帯域幅要求であり得る。
【0065】
受信状態メトリックに基づく信号は、一定の時間間隔で、または何らかの関連のあるイベント(たとえば、受信状態メトリックの値の変化)が発生したとき、WUSの送信機、たとえば、アクセスポイントに送信され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、WUS帯域幅要求は、WCDの現在使用されているCSF帯域幅に関係し得る。たとえば、WUS帯域幅要求は、現在使用されているCSF帯域幅に実質的に等しいWUS帯域幅を示し得る。そのような実施形態では、WUS帯域幅要求は、WCDのCSF帯域幅が変更されたとき、アクセスポイントに送信され得る。
【0067】
概して、WUSは、単一のWURを対象とする(ユニキャスト)か、または複数のWURを対象とし得る(マルチキャストまたはブロードキャスト)。
【0068】
後者の場合、WUS帯域幅は、WUSによってターゲットにされるWURの数に基づいて決定され得る。典型的には、ターゲットにされるWURが多いほど、より広いWUS帯域幅に関係し得、その逆も同様である。したがって、ターゲットにされるWURの数は、受信状態メトリック値として参照され得、ここで、多数のターゲットにされるWURは、好ましくない受信状態に対応し、その逆も同様である。ターゲットにされるWURの数がメトリックとして使用され得る理由は、ターゲット(target)がすべてのWURに達することが可能であることであるので、最悪の状態をもつWURに受信状態が関係すると見なされ得ることである。
【0069】
たとえば、ターゲットにされるWURの数がWUR量しきい値を超えた場合、比較的広いWUS帯域幅が使用され得、ターゲットにされるWURの数がWUR量しきい値を超えない場合、比較的狭いWUS帯域幅が使用され得る。WUR量しきい値は、たとえば、狭帯域幅がユニキャストのために使用され、広帯域幅がマルチキャストおよびブロードキャストのために使用されるように、1にセットされ得る。
【0070】
いくつかのWUR量しきい値は、WUR量の間隔を規定するために使用され得、各間隔は、使用されるべき対応するWUS帯域幅に関連する。
【0071】
WUSが2つまたはそれ以上のWCDを対象とし、WUS帯域幅要求が、2つまたはそれ以上のWCDの各々によって受信されるとき、WUS帯域幅要求の中の最も広いWUS帯域幅がWUS帯域幅として選択され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、(単一のWURまたは複数のWURを対象とする)WUSは、周波数次元において他のWUSと多重化され得る。そのような実施形態では、WUS帯域幅は、WUSが多重化されるべきである場合に狭帯域幅が使用されるように、WUSが多重化されるべきであるか否かに関して制御され得る。したがって、送信のために多重化されるべき別個のWUSの数は、受信状態メトリック値として参照され得、ここで、多数の別個のWUSは、好ましい受信状態に対応し、その逆も同様である。
【0073】
一態様によれば、無線通信デバイス(WCD)のための方法および構成が提供される。WCDは、WUS帯域幅を有するWUSを使用するように設定され、WUSは、WCDのWURによるWUSの検出に応答してWCDのメイン受信機を起動するために、たとえば、アクセスポイントによって送信される。WURは、検出の前のWUSのフィルタ処理のためのチャネル選択的フィルタを備え、本方法は、WUS帯域幅よりも狭いチャネル選択的フィルタ帯域幅を使用することを含み、本構成は、WUS帯域幅よりも狭いチャネル選択的フィルタ帯域幅の使用を引き起こすように設定されたコントローラを備える。
【0074】
また、無線通信デバイスとアクセスポイントとのいずれかまたは両方のための構成が提供される。 本構成を備える装置は、無線通信デバイスのWURによるWUSの検出に応答して無線通信デバイスのメイン受信機を起動するために、アクセスポイントによって送信されたWUSを使用するように設定される。
【0075】
いくつかの実施形態では、本構成は、上記で説明されたように、本方法の実行を引き起こすように設定されたコントローラ(たとえば、制御回路要素)を備える。
【0076】
いくつかの実施形態では、本構成は、上記で説明されたように、WURの受信状態メトリックに基づいてWUSに関連する帯域幅を制御するように設定された帯域幅制御回路要素(たとえば、帯域幅コントローラまたは帯域幅制御モジュール)を(コントローラの代替または追加として)備える。
【0077】
いくつかの実施形態では、本構成は、上記で説明されたように、WURの受信状態メトリックを決定するように設定された決定回路要素(たとえば、決定器または決定モジュール)を(コントローラの代替または追加として)備える。
【0078】
図1は、いくつかの実施形態による、例示的な方法100を概略的に示す。本方法は、無線通信デバイスのWURによるWUSの検出に応答して無線通信デバイスのメイン受信機を起動するために、アクセスポイントによって送信されたWUSを使用するように設定された、無線通信装置(WCDまたはAP)のためのものであり得る。
【0079】
本方法は、随意のステップ110において開始し、ここで、WURについての受信状態メトリックが決定される。ステップ120において、本明細書で説明されるように、WURについての受信状態メトリックに基づいて、WUSに関連する帯域幅が制御される。
【0080】
図2は、最大相関値205、206を含む例示的な相関値(相関器出力、相関器メトリック)を示すプロットである。プロットは、例示的なWUS検出しきい値(検出しきい値)202、204と、例示的な受信状態しきい値(緩和された/厳しい(demanding)状態しきい値)201、203とをも示す。
【0081】
部分(a)は、広いCSFが使用される状況を例示し、部分(b)は、狭いCSFが使用される状況を例示する。上述のように、WUS検出しきい値202とWUS検出しきい値204とは、典型的には、異なるCSF帯域幅が2つの状況において使用されるので異なる。同じことが、受信状態しきい値201および203に当てはまる。
【0082】
部分(a)において、最大相関値205がWUS検出しきい値202を上回るとき、WUSは検出される。
【0083】
さらに、最大相関値205がまた、受信状態しきい値201を上回るとき、受信状態は好ましい(緩和された)と仮定され得る。CSFは、電力消費を低下させるために狭帯域幅に切り替えられ得、および/または狭いWUS帯域幅についての要求が送信され得る。
【0084】
しかしながら、最大相関値205がWUS検出しきい値202を上回るが、受信状態しきい値201を下回るとき、受信状態は好ましくない(厳しい)と仮定され得、CSFは、広帯域幅に基づき続け得る。
【0085】
部分(b)において、最大相関値206がWUS検出しきい値204を上回るとき、WUSは検出される。
【0086】
さらに、最大相関値206がまた、受信状態しきい値203を上回るとき、受信状態は好ましい(緩和された)と仮定され得、CSFは、電力消費を低レベルに保つために狭帯域幅に基づき続け得る。
【0087】
しかしながら、最大相関値206がWUS検出しきい値204を上回るが、受信状態しきい値203を下回るとき、受信状態は好ましくない(厳しい)と仮定され得る。CSFは広帯域幅に切り替えられ得、および/または広いWUS帯域幅についての要求が送信され得る。
【0088】
図3および図4は、図1に関して参照される無線通信装置がWCD(図3)およびAP(図4)であり、極値が最大相関値であるときの例示的な方法ステップおよびシグナリングを示す、組み合わせられたフローチャートおよびシグナリング図である。
【0089】
図3では、ステップ361において、AP350がWUS391を送信し、ステップ301において、WUSはWCD300によって受信される。
【0090】
ステップ310において、WCDは、最大相関値を与えるために、WUSを含む受信された信号をWUS参照信号と相関させること(サブステップ311によって示される)と、最大相関値に基づいてWURについての受信状態メトリックを決定すること(サブステップ312によって示される)とによって、WURについての受信状態メトリックを決定する。たとえば、サブステップ312は、最大相関値を受信状態しきい値と比較することと、最大相関値が受信状態しきい値よりも高いか否かに応じて(たとえば、図2に関して説明されるプロシージャと比較する)、受信状態メトリックが第1または第2の受信状態値を有すると決定することとを含み得る。
【0091】
ステップ320において、WCDは、受信状態メトリックに基づいてWUSに関連する帯域幅を制御する。WUSに関連する帯域幅は、WURのCSFの帯域幅であり得(サブステップ321によって示される)、および/またはWUS帯域幅であり得る。後者の場合、WCDは、サブステップ322によって示されるように、APにWUS帯域幅要求392を送信し得る。ステップ372において、WUS帯域幅要求はAPによって受信され、APは、受信された要求に基づいて今度のWUS送信のWUS帯域幅を制御し得る(ステップ373によって示される)。
【0092】
WCDはまた、最大相関値をWUS検出しきい値と比較し(ステップ330によって示される)、最大相関値がWUS検出しきい値よりも大きいとき、メイン受信機を起動し得る(ステップ340によって示される)。ステップ330および340が、ステップ310および320の後に実施されるように図3に示されているが、これらのステップは、適用可能な場合、任意の順序において、あるいは部分的にまたは全体的に並列に実施され得る。たとえば、ステップ330および340は、サブステップ311の後に、および(サブ)ステップ312および320の前に、または(サブ)ステップ312および320と並列に実施され得る。
【0093】
図4では、ステップ401において、WCD400がWUS帯域幅要求492を送信し、ステップ411において、WUS帯域幅要求はAP450によって受信される。代替または追加として、ステップ412によって示されるように、AP450は、送信されるべきWUSによってターゲットにされるWCDの数を決定し得る。また代替または追加として、ステップ413によって示されるように、AP450は、送信されるべきWUSが周波数領域において多重化されるべきであるかどうかを決定し得る。
【0094】
ステップ420において、APは、受信状態メトリックに基づいてWUSに関連する帯域幅を制御する。ステップ420に示されているように、WUSに関連する帯域幅はWUS帯域幅であり得る。ステップ420の決定の多数の変形形態が想定され得、数個の例が以下で与えられる。
【0095】
単一のWCDがWUSによってターゲットにされ、WUS要求がそのWCDから受信された場合、APは、要求されるWUS帯域幅を選択し得る。いくつかのWCDがWUSによってターゲットにされる場合、APは、異なるWCDについての異なる状態に適応するために最も広い可能なWUS帯域幅を選択し得る(サブステップ422によって示される)。いくつかのWCDがWUSによってターゲットにされ、WUS要求がWCDから受信された場合、APは、要求されるWUS帯域幅の中の最も広いWUS帯域幅を選択し得る(サブステップ421によって示される)。WUSが送信の前に多重化されるべきである場合、APは、多重化を可能にするために狭帯域幅を選択し得る(サブステップ423によって示される)。
【0096】
ステップ420におけるWUS帯域幅の制御の後に、ステップ461において、WUS491はそれに応じて送信され、ステップ402において、WCDによって受信される。
【0097】
図5は、WUR501とメイン受信機(MR)501とを備える例示的な構成500を概略的に示す。
【0098】
低電力モードでは、メイン受信機502はオフにされ(あるいはスリープモードまたは同様のものにセットされ)、スイッチ503は、図5に示されている位置にセットされる。WURがWUSを検出したとき、それは、(制御信号504によって示される)スイッチの位置の変化と、(制御信号505によって示される)メイン受信機の起動とを引き起こす。
【0099】
WURを使用する他の実装形態は、本明細書で提示されるコンテキストにおいて等しく適用可能であり得ること、および図5の構造は一例として提供されるにすぎないことを理解されたい。たとえば、スイッチ503は、同様の機能を提供する回路要素によって置き換えられ得るか、またはWURのための1つのアンテナとメイン受信機のための1つのアンテナとがあり得る(スイッチが不要になる)。
【0100】
図6は、いくつかの実施形態による、例示的なWUR受信チェーン600を概略的に示す。WUR受信チェーンは、低雑音増幅器(LNA:low noise amplifier)601と、LNAの出力を局部発振器(LO:local oscillator)信号603と混合するためのミキサ602とを備える。ミキサの出力は、さらなる増幅器604を通った後にチャネル選択フィルタ(CSF)605に与えられ、フィルタ処理された信号は包絡線検出器606に入力される。包絡線検出器の出力において、アナログデジタル変換器(ADC)607と相関器(CORR)608とが与えられる。
【0101】
図7図9は、本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、例示的な構成を示す概略ブロック図である。
【0102】
図7は、無線通信装置のためのコントローラ(CNTR、制御回路要素または制御モジュール)700を備える一般的な構成である。コントローラは、本明細書で説明される方法のいずれか、たとえば、図1図3および図4のいずれかの方法の実行を引き起こすように適応され得る。図7の構成は、受信状態メトリックを決定するための決定器(DET、決定回路要素または決定モジュール)701、および/または受信状態メトリックに基づいてWUSに関連する帯域幅を制御するための帯域幅コントローラ(BWC、帯域幅制御回路要素または帯域幅制御モジュール)702を備え得る。決定器および/または帯域幅コントローラは、コントローラ700中に備えられるか、またはさもなければ、コントローラ700に関連し得る。
【0103】
図8は、コントローラ(CNTR、制御回路要素または制御モジュール)800を備えるWCDのための構成である。コントローラは、WCDのための、本明細書で説明される方法のいずれか、たとえば、図1および図3のいずれかの方法の実行を引き起こすように適応され得る。図8の構成は、受信状態メトリックを決定するための決定器(DET、決定回路要素または決定モジュール)801、および/または受信状態メトリックに基づいてWUSに関連する帯域幅を制御するための帯域幅コントローラ(BWC、帯域幅制御回路要素または帯域幅制御モジュール)802を備え得る。決定器および/または帯域幅コントローラは、コントローラ800中に備えられるか、またはさもなければ、コントローラ800に関連し得る。本構成は、CSF815を有するWUR810をも備え得る。コントローラ800は、WUR810中に備えられるか、またはさもなければWUR810に関連し得る。本構成は、WUS帯域幅要求の送信のためのトランシーバ(TX/RX、送受信回路要素または送受信モジュール)812をも備え得る。トランシーバ812は、たとえば、メイン受信機であり得る。
【0104】
図9は、コントローラ(CNTR、制御回路要素または制御モジュール)900を備えるAPのための構成である。コントローラは、APのための、本明細書で説明される方法のいずれか、たとえば、図1および図4のいずれかの方法の実行を引き起こすように適応され得る。図9の構成は、受信状態メトリックを決定するための決定器(DET、決定回路要素または決定モジュール)901、および/または受信状態メトリックに基づいてWUSに関連する帯域幅を制御するための帯域幅コントローラ(BWC、帯域幅制御回路要素または帯域幅制御モジュール)902を備え得る。決定器および/または帯域幅コントローラは、コントローラ900中に備えられるか、またはさもなければ、コントローラ900に関連し得る。本構成は、WUSに送信リソース(その送信リソースはWUS帯域幅に基づく)を割り当てるためのスケジューラ(SCH、スケジューリング回路要素またはスケジューリングモジュール)913をも備え得る。本構成は、WUSの送信のためのトランシーバ(TX/RX、送受信回路要素または送受信モジュール)912をも備え得る。
【0105】
説明される実施形態およびそれらの等価物は、ソフトウェアまたはハードウェアあるいはそれらの組合せで実現され得る。実施形態は、汎用回路要素によって実施され得る。汎用回路要素の例は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理ユニット(CPU)、コプロセッサユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および他のプログラマブルハードウェアを含む。代替または追加として、実施形態は、特定用途向け集積回路(ASIC)などの特殊な回路要素によって実施され得る。汎用回路要素および/または特殊な回路要素は、たとえば、無線通信デバイスまたはアクセスポイントなど、装置に関連するか、または装置中に備えられ得る。
【0106】
実施形態は、本明細書で説明される実施形態のいずれかによる、構成、回路要素、および/または論理を備える(無線通信デバイスまたはアクセスポイントなどの)電子装置内に現れ得る。代替または追加として、(無線通信デバイスまたはアクセスポイントなどの)電子装置は、本明細書で説明される実施形態のいずれかによる方法を実施するように設定され得る。
【0107】
いくつかの実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリ、プラグインカード、組込みドライブ、または読取り専用メモリ(ROM)など、コンピュータ可読媒体を備える。図10は、コンパクトディスク(CD)ROM1000の形態の例示的なコンピュータ可読媒体を示す。コンピュータ可読媒体は、プログラム命令を備えるコンピュータプログラムをその上に記憶している。コンピュータプログラムは、たとえば、無線通信デバイスまたはアクセスポイント1010中に備えられ得る、データプロセッサ(PROC)1020にロード可能であり得る。データ処理ユニットにロードされたとき、コンピュータプログラムは、データ処理ユニットに関連するか、またはデータ処理ユニット中に備えられるメモリ(MEM)1030に記憶され得る。いくつかの実施形態によれば、コンピュータプログラムは、データ処理ユニットにロードされ、データ処理ユニットによって動作させられたとき、たとえば、図1図3および図4に示されている方法のいずれかによる、方法ステップの実行を引き起こし得る。
【0108】
したがって、WURにおける低電力消費を達成するために、比較的小さい帯域幅をもつ(また、可能な場合は低次の)チャネル選択的フィルタを使用することが望ましい。概して、同じまたは同様の減衰がWUSの信号帯域幅外で達成されるべきである場合、比較的狭い帯域幅をもつフィルタが、低次フィルタとして、比較的広い帯域幅をもつフィルタよりも容易に実現される。いくつかのシナリオでは、電力消費はフィルタの次数に比例し得る。したがって、WURの電力消費を低下させることは、比較的低次の実装形態の使用を可能にする比較的狭いフィルタ帯域幅を使用することによって達成され得る。たとえば、隣接チャネル干渉が(たとえば、10MHzの距離のところで)抑圧されるべきである場合、2MHzフィルタは、8MHzフィルタよりも低い次数を有するものとして実装され得る。しかしながら、同じ次数のフィルタが適用されることになり、これが、異なる帯域幅間での切替えを簡略化し得る場合も、より狭い帯域幅のフィルタを使用することは、電力消費観点から有利であり得る。
【0109】
一方、規制要件により、使用され得る最大送信電力は、しばしば、電力スペクトル密度(PSD:power spectrum density)によって制限される。この制限は、高い総送信電力が許容され得るが、信号の帯域幅が小さすぎる場合、高い総送信電力が使用され得ないことを意味する。
【0110】
低減された送信電力は、WUSの範囲が低減されることになることを意味するので、上記のことは、受信機電力消費と送信範囲との間のトレードオフを生じる。したがって、いくつかの実施形態は、WUSのフレキシブルなシグナリングおよび/または受信のための方法および装置を提供する。これは、次に、なお一層例示される。
【0111】
送信されるWUSの帯域幅は、要件がより難しいとき、すなわち、送信機からWURへのパスロスがより高いとき、より広い信号帯域幅が使用され得るように、範囲要件に基づいて適応され得る。代替または追加として、必要とされるか否かにかかわらず、より広い帯域幅がWUSのために使用され得、WURは、WURの電力消費を最小限に抑えるためにCSFにおいてどんな帯域幅を使用すべきかを自律的に判定することができる。後者は、WUSが2つまたはそれ以上のWURを対象とするとき、すなわち、WUSがマルチキャストまたはブロードキャストメッセージであるとき、特に好適である。
【0112】
もちろん、様々な実施形態を例示するために本明細書で使用される特定のパラメータをもつ特定のシステムは、限定するものとして意図されない。当業者には明らかなように、本明細書で提示される例は、潜在的にまったく異なるパラメータをもつ他のシステムに容易に採用される。
【0113】
考慮されるシステムがIEEE802.11に基づくと仮定し、使用されるチャネル帯域幅が20MHzであると仮定する。次に、WURのために使用される起動信号が4MHzであると仮定し、これを通常の802.11送信の送信と比較すると、起動信号のために使用され得る許容送信電力に関して有意なペナルティがあることがわかり得る。これは、S.ShellhammerおよびB.Tian、「Regulations and noise figure−Impact on SNR」、IEEE802.11−17/0365r0に詳細に記載されており、いくつかの重要なポイントがここでただ繰り返される。2.4GHz帯域の場合、欧州の規制は、10dBm/MHzの電力スペクトル密度限界に基づいて、4MHz WUSの最大送信電力を16dBmになるように制限しているが、同時に、通常のIEEE802.11送信は20dBmであり得る。5GHz帯域では、最大許容送信電力の対応する差は、欧州、米国、および中国では7dBになる。
【0114】
WURが極めて電力効率的であると仮定されることを考慮に入れると、(ShellhammerおよびTian、「Data Rates and Coding」、IEEE802.11−17/0670r0において)WURについての雑音指数(NF:noise figure)が、通常の受信機についてよりも約8dB高いと予想され得ることが論じられている。したがって、WURと通常のトランシーバとについてのリンクバジェットを考慮すると、2つのシステム間に15dBと同程度の差があり得る。
【0115】
いくつかの実施形態をより容易に理解するために、図6に示されているように、かなり一般的なWURアーキテクチャを考慮することが役立つ。受信された信号は、低雑音増幅器(LNA)601において増幅され、次いで、ミキサ602によって、無線周波数(たとえば、約2.4GHz)から、たとえば、中間周波数(IF)に、たとえば、10MHzにおいて、ダウンコンバートされる。次いで、IF信号は、604においてさらに増幅され、チャネル選択フィルタ(ここでは、IFを中心とする帯域通過フィルタ(BPF))を通してフィルタ処理され得る。標準的な受信機では、BPFの帯域幅は、隣接するチャネルにおける潜在的干渉信号がBPFによって減衰されるように、所望の信号の帯域幅にほぼ等しい。しかしながら、所望の信号の帯域幅とほぼ同じであるBPFの帯域幅を可能にするために、局部発振器(LO)によって生成された周波数が極めて正確であることが必要とされ、なぜなら、さもなければ、WUSのエネルギーの無視できない部分がフィルタで除去されることになり、WURの性能に悪影響を及ぼすという危険があるからである。本明細書で提示される実施形態は、BPFの帯域幅がWUSの帯域幅に一致されるかどうか、またははるかに大きい帯域幅のBPFが使用されるかどうかに関係なく、適用可能である。
【0116】
わかるように、いずれの場合も実質的な利得があるが、利得が減少するほど、BPFはより狭くされ得る。より広い信号を使用することは、より高い送信(TX)電力を使用することができるので、利得を与える。BPFが変更されない場合、利得は、TX電力の増加と同等である。より狭いフィルタがより狭い信号のために使用される場合、これは、検出器に入る雑音電力が低減されることになるので、狭い信号についての性能を改善する。しかしながら、本明細書の包絡線検出器をもつコンテキストにおいて、フィルタ帯域幅を低減することが、増加されたTX電力を十分に補償するとは限らないことがわかる。利得は、大きいTX帯域幅を使用する場合、減少されるが、依然として利得がある。
【0117】
図6のBPF605の後に、信号は、包絡線検出器606を使用して復調され、アナログデジタル変換器(ADC)607によってデジタルストリームに変換され、次いで、デジタル的に処理される。典型的には、デジタル処理は、たとえば、相関器608における受信された信号と知られている同期系列との相関による時間推定を伴う。
【0118】
図6に示されているアーキテクチャが、アナログ領域において大きく動作しており、たとえば、包絡線検出器がADCの前にあるが、代わりに、デジタル領域において受信機処理のより大きい部分を実施することが可能である。たとえば、追加のフィルタ処理および包絡線検出器は、いくつかの実施形態によれば、デジタル領域において実装され得る。
【0119】
BPFについての比較的狭い帯域幅を選択する1つの理由は、比較的狭い帯域幅を選択することが、典型的にWURについての重要なパラメータのうちの1つであるより低い電力消費を可能にし得ることである。WUSの比較的狭い帯域幅を選択する別の理由は、BPFが、狭い通過帯域を有し、結果として隣接するチャネルに対して大きい周波数距離を有することになるので、比較的狭い帯域幅が20MHzチャネルに容易に適合することができ、隣接する20MHzチャネルからの干渉からより容易に保護され得ることである。
【0120】
送信される信号の帯域幅を選択するときに、これは、典型的には、どんなデータレートがサポートされるべきであるかに基づく。データレートが高くなるほど、帯域幅は広くなる。WUSの場合、これは当てはまらない。WUSを生成するための魅力的な手段が、M.Parkら、「Low−power wake−up receiver(LP−WUR) for 802.11」、IEEE802.11−15/1307r1において提示された。これのようにオンオフキーイング(OOK)においてWUSのために使用されるべき魅力的な変調が、包絡線検出器に基づいて極めて単純な受信機を可能にする(図6と比較する)。Parkらにおいて、通常のIEEE802.11信号を送信するために使用されるのと同じ逆高速フーリエ変換(IFFT)ブロックを使用することによってOOK信号を生成することが提案された。その場合、オンは、何らかの信号によって13個のサブキャリアをポピュレートすることによって表されたが、オフは、何も送らないことによって表された。IFFTブロックは、64点FFTを使用しており、20MHzにおいてクロック制御され、これにより、送信される信号(オンの場合)は、サブキャリアスペーシング(sub−carrier spacing)が20MHz/64=312.5kHzであるので、約13×312.5kHz=4MHzの帯域幅を有することになる。
【0121】
WUSが、20MHzサンプリング周波数において64点FFTを使用して生成されるので、1つのOFDMシンボルの持続時間は3.2μsである。IEEE802.11では珍しくない、0.8μsのサイクリックプレフィックス(CP)が追加された場合、CPを含むOFDMシンボルの総持続時間は4μsであり、したがって、対応するシンボルレートは、(WUSについての250kb/sと等価な)250kシンボル/sになる。WUSが、代わりに52個のサブキャリア、すなわち、4倍多くのキャリアを使用して生成された場合、シンボルレートは、同じ、すなわち、(WUSについての250kb/sと等価な)250kシンボル/sのままである。
【0122】
WURの性能がどのくらいWUSの帯域幅に依存するかについての比較が行われ得る。図6中の受信機の動作プロシージャは、信号の帯域幅に実際に依存せず、唯一の(可能な)例外は、包絡線検出器の前のCSF605である。
【0123】
図11は、WUSの帯域幅の影響を評価するために実施されるいくつかのシミュレーションの得られたパケット誤り率(PER)を示す。WUSは、64点FFTを使用して生成され、上記で説明されたようにCPを追加する。マンチェスターコーディングが適用され、すなわち、論理0は、オフである1つのシンボルと、後続の、オンである1つのシンボルとを送信することによって表されるが、論理1は、オンである1つのシンボルと、後続の、オフである1つのシンボルとを送信することによって表される。マンチェスターコーディングの使用は、有効データレートを125kb/sまで低減した。これは、感度に関して性能を改善することになるが、しかしながら、マンチェスターコーディングを適用する主要な理由は、マンチェスターコーディングが信号の復調をかなり簡略化することである。詳細には、平易なOOKが採用される場合、受信された信号がオンに対応するのかオフに対応するのかを判定するために使用されるべきである判定しきい値は推定される必要がある。マンチェスターコーディングの場合、しきい値の必要がないが、代わりに、判定は、第1のシンボルを最後のシンボルと比較することと、第1のOOKシンボルが第2のOOKシンボルよりも少ないエネルギーを含んでいる場合に論理0に有利なように判定し、第1のOOKシンボルが第2のOOKシンボルよりも多いエネルギーを含んでいる場合に論理1に有利なように判定することとに基づく。
【0124】
BPFが使用されない(または極めて広いBPFが使用される)ときのシミュレートされた性能が、図11の部分(a)に示されている。SNRは、ミキサの後の、およびCSFの前の雑音の電力で除算される所望の信号の電力として規定される。わかるように、WURの性能は、この場合、基本的にWUSの帯域幅に依存しない。CSFをまったく有しない理由、または実際のWUSの帯域幅よりもはるかに大きい帯域幅をもつCSFを使用する理由は、それが、周波数生成回路要素(LO)の非常に緩和された実装形態を可能にすることである。
【0125】
必要とされるSNRが、WUSの帯域幅にかかわらず同じであるが、許容送信電力が、使用される帯域幅に比例するので、より大きい帯域幅が使用される場合に扱われ得るパスロスは、対応して増加されることになる。これを諒解するための単純な例として、リンクバジェット計算を考慮し、ここで、受け入れられ得る最大パスロス(PL)は(dB単位で)以下によって与えられ、
PL=PTX−RXsens[dB]
ここで、RXsensはWURの感度であり、PTXは送信電力である。次いで、RXsensは、以下のように計算され得る。
RXsens=kTB+NF+SNR=−101+15+(−3)=−89dBm
【0126】
ここで、kTBは、20MHzの帯域幅について計算される熱雑音フロアであり、NFは、15dBであると仮定される雑音指数であり(ShellhammerおよびTianに従うと、これは、通常のIEEE802.11受信機のためのものよりも8dB高くなるようにとられる妥当な値と仮定される)、−3dBは、図11、部分(a)から取得された、10%よりも小さいフレーム誤り率を取得するために必要とされるSNRである。
【0127】
次に、これをカバレッジに関係付けるために、たとえば5.5GHzにおける、パスロスは、距離dの関数として、以下のようにモデル化される。
PL=47+3.5log10d[dB]
【0128】
ここで、項47は、5.5GHzにおける1メートルについての自由空間パスロスに対応し、距離dはメートル単位である。ファクタ3.5が、しばしば使用されて、パスロスがどのくらい距離(d3.5)に依存するかをモデル化する。自由空間の場合、代わりに2.0が使用され得る。ShellhammerおよびTianから、最大送信電力がPSDによって5GHzにおいて10dBm/MHzに制限されることを取得する。
【0129】
それぞれ、13個のサブキャリアおよび52個のサブキャリアを使用する2つのWUS信号の場合、最大送信電力は、したがって、それぞれ、16dBmおよび22dBmになる。これは、それぞれ、16−(−89)=105dB、および22−(−89)=111dBの最大パスロスに対応する。これをカバレッジに変換すると、対応する範囲が45メートルおよび67メートルであることが容易に計算され、すなわち、WUSの帯域幅を増加させることによって、範囲は、ほぼ50%だけ増加された。同様の導出が、2.4GHz帯域などについて行われ得る。
【0130】
WUSの帯域幅に対応する帯域幅をもつCSFを実装することが有益であるとわかった場合、感度性能はやや改善されることになる。図11、部分(b)では、対応するシミュレートされた性能が示されているが、現在、CSFは、WUSの信号帯域幅と同じである帯域幅をもつ。わかるように、より小さい帯域幅をもつ信号についての性能は、ある程度まで改善される。詳細には、4MHz信号(13個のサブキャリア)は、現在、約−6dBの必要とされるSNRを有するが、16MHz信号(52個のサブキャリア)は、約−4dBの必要とされる感度を有し、より狭い信号についての2dB利得を暗示する。
【0131】
結論は、包絡線検出器への入力におけるSNRが大幅に改善され得るが、これが、対応して全体的性能を改善しないことである。これの理由は、包絡線検出器の一部である低域通過フィルタ(LPF)である。広帯域雑音が非線形包絡線検出器に入力されるが、LPFは、依然として、かなりの程度まで高周波成分を抑圧する。
【0132】
図11の部分(c)は、部分(b)の曲線を示すが、ここで、SNRは、相対感度に対する依存性を示すために正規化されている。すなわち、部分(c)において、(b)に示されている感度性能曲線は、最大許容送信電力を考慮に入れてスケーリングされている。詳細には、許容送信電力がPSD制限されると仮定すると、2倍の帯域幅をもつ信号が左に3dBシフトされる。例として部分(b)における曲線1111および1113をとると、受信機性能は、より広い信号(16MHzのWUS帯域幅に対応する1111)の場合よりも、より狭い信号(4MHzのWUS帯域幅に対応する1113)の場合、約2dB良好である。しかしながら、16MHz信号は4MHz信号よりも4倍広いので、16MHz信号は、6dBより高い電力において送信され、リンクバジェットに関して4dB(すなわち6−2dB)の利点をもたらすことができる。4dBのこの利得は、部分(b)における曲線1111を、部分(c)の場合6dB左側にシフトすることによって示されており、その結果、シフトされたバージョンが1121と示されている。
【0133】
図11を参照すると、WUS帯域幅に関してCSF帯域幅がどのように選択され得るかのさらなる例が与えられ得る。シミュレーションでは、WUSの帯域幅は、(13、26または52個のサブキャリアに対応する)4、8または16MHzであり得る。次いで、CSFの異なる帯域幅は、たとえば、4、8および16MHzになるように選択され得る。CSFの帯域幅がWUS帯域幅よりもかなり小さい例は、CSF帯域幅が4MHzであり、WUS帯域幅が16MHzであり、すなわち、上記で言及したファクタが4に等しくなるときであろう。
【0134】
導出はスーパーヘテロダイン受信機および帯域通過フィルタ(図6)に基づいていたが、原理は、低域通過フィルタをもつホモダイン(ゼロIF)受信機に等しく適用可能である。また、概念を実現するために、低域通過フィルタまたは複素帯域通過フィルタをもつ低IF受信機が使用され得る。
【0135】
例1:変動する受信機フィルタ帯域幅をもつWUR
受信機状態があまり厳しくないときにより狭いフィルタが使用され得るが、受信機状態がより厳しいときにより広いフィルタが使用され得るように、チャネル選択的フィルタの帯域幅が変動され得ることによって特徴づけられる、WUR受信機が開示される。たとえば、WURがカバレッジエリアのエッジに配置されたとき、厳しい状態が発生する。WURは、受信された信号と参照信号との相互相関から取得された相関メトリックによって、WURが厳しい状態にあるかどうかを決定することができる。図2、部分(a)において、例示が与えられ、ここで、相関メトリックは2つのしきい値とともに示される。この図では、WURは、広いCSFを使用する。第1のしきい値202は、WUS検出のために使用される。状態がそれほど厳しくないかどうかを決定するために、第2のしきい値よりも高い第2のしきい値201が使用され、CSFは、狭いCSFに切り替えられ得る。図2、部分(b)において、別の例示が与えられる。この場合、WURは、狭いCSFを使用している。相関メトリックが第3のしきい値204を超えるとき、WUSが検出される。しかしながら、相関メトリックが(第3のしきい値よりも大きい)第4のしきい値203を超えない場合、状態は厳しく、広いCSFへの切替えが示される。
【0136】
図2、部分(a)は、WURにおける緩和された状態の決定の例示である。この例では、WURは、広いCSFを利用する。相関メトリック205がWUS検出しきい値202を超えるので、WUSが検出される。その上、相関メトリック205がまた、緩和された状態しきい値201を超えるので、WURは、電力消費を減少させるために狭いCSFに切り替え得る。
【0137】
図2、部分(b)は、WURにおける厳しい状態の決定の例示である。この例では、WURは、狭いCSFを利用する。相関メトリック206がWUS検出しきい値204を超えるので、WUSが検出される。しかしながら、相関メトリック206が厳しい状態しきい値203を超えないので、WURは、良好な受信機性能を保証するために広いCSFに切り替えるべきである。
【0138】
例2:WUSの信号帯域幅の要求のためのシグナリング
WUS帯域幅についての要求をシグナリングするための方法が開示される。本方法は、WURを有するデバイスが、WUSを送信するデバイスに、少なくとも2つの可能な帯域幅の中から特定の帯域幅を使用することを送信デバイスに要求する要求を送り、ここで、要求された帯域幅は、すでに使用されたのと同じであり得るか、または帯域幅は、現在使用されている帯域幅よりも小さくなり得るか、または帯域幅は、現在使用されている帯域幅よりも大きくなり得ることによって特徴づけられる。
【0139】
例3:フィードバックに基づくWUSの信号帯域幅の決定
WUSに割り当てられるべき帯域幅は、WURを有する少なくとも1つのデバイスからのフィードバックに基づいて送信機によって決定される。決定は、例2で説明されたように単一のデバイスからのフィードバックに基づき得るか、または決定は、2つまたはそれ以上のデバイスからのフィードバックを考慮に入れることに基づき得る。たとえば、決定が、2つまたはそれ以上のデバイスからのフィードバックに基づく場合、判定は、フィードバックを与える異なるデバイスによって要求される帯域幅のうちの最大の帯域幅を使用することであり得る。
【0140】
例4:フィードバックなしのWUSの信号帯域幅の決定
特定のWUSのために使用されるべき帯域幅は、WUSの送信機によって自律的に、すなわち、WUSの潜在的受信機からのフィードバックなしに決定される。
【0141】
たとえば、帯域幅は、以下のように送信のタイプに基づいて決定され得る。送信が単一のWURのためのものである場合は、より小さい帯域幅が割り当てられ得るが、送信が2つまたはそれ以上のWURを対象とする(すなわち、送信がマルチキャストまたはブロードキャスト送信である)場合は、より大きい帯域幅がWUSに割り当てられ得る。これについての論拠は、単一のデバイスを対象とする送信が成功するかどうかが、ブロードキャスト送信がすべてのターゲットにされるWURによって正しく受信されるかどうかよりも容易に決定されることである。
【0142】
代替または追加として、2つまたはそれ以上のWUSが周波数において、すなわち、周波数分割多重化(FDM)を使用して多重化されるべきである場合、これは、(各)WUSについて、より狭い帯域幅が使用されることになる場合のみ可能であり得る。したがって、WUSの帯域幅は、WUSの送信が1つのWUSからなるかどうかに基づいて決定され得、WUSの送信が1つのWUSからなる場合、より大きい帯域幅が使用され得、または送信が2つまたはそれ以上のWUSからなるかどうかに基づいて決定され得、送信が2つまたはそれ以上のWUSからなる場合、より小さい帯域幅が使用され得る。
【0143】
さらなる例示:向上した性能のためのWUSの可変信号帯域幅。
この例示に関するさらなる詳細は、https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11−17−0662−00−00ba−simulated−wur−performance−in−frequency−selective−channels.pptxにおけるプレゼンテーション資料において見つけられ得る。
【0144】
ShellhammerおよびTianでは、制限がPSDによってセットされたとき、許容TX電力において約7dB、4MHz起動信号が悪化することになることがハイライトされる。電力消費観点から、より小さい帯域幅を有することが有益であるが、リンクバジェットの損失は巨大である。1つの提案は、起動信号が、(好ましくは最適な)感度−電力消費トレードオフを取得するために使用され得る好適な帯域幅を用いて送られることを可能にすることである。WURは、信号帯域幅に依存しないチャネル選択的フィルタの帯域幅を選択することができる。この手法は、データのコンカレント送信なしの、L.WilhelmssonおよびM.Lopez、「Concurrent transmission of data and a wake−up signal in 802.11ax」、IEEE802.11−17/0094r1において提示されたことの特殊な場合と見なされ得る。
【0145】
リンクバジェット考慮事項の要約:ShellhammerおよびTianでは、4MHz WUSが、(異なる帯域について異なる)規制要件による許容TX電力において4dBまたは7dB悪化することになることが強調される。また、雑音指数がWURについて8dB高いと仮定することが妥当であることが同意された。さらに、L.Wilhelmsson、「Simulated WUR performance in frequency selective channels」、IEEE802.11−17/0662r0において、20MHzチャネルと比較して4MHz信号についての周波数ダイバーシティの損失がたいてい数dBであり得ることが示された。
【0146】
動機づけ:比較的小さい帯域幅を補償するために、データレートは低減されなければならず、増加されたより長い起動パケットにつながり、ある程度まで、増加された複雑さ(より難しい同期および前方誤り訂正(FEC)復号)につながる。代わりに、必要なときに信号の帯域幅を増加させることが提案される。それは、範囲の対応する増加があるが、必要なときにのみ大きい帯域幅が使用されるので、電力消費のコストがないことを意味する。
【0147】
受信機処理のためのモデル:図6を参照されたい。包絡線検出器606は、(図示のような)整流器と低域通過フィルタとを備え得る。ADC607の出力は相関器608に入力され得、相関器の出力はADCの出力から減算され得る。次いで、結果は、相関器結果に基づいて4だけダウンサンプリングされ得る。ADCは、4×オーバーサンプリング相対WUSシンボルレートにおいて動作する。相関器(係数+/−1)は、DCバイアスをもつ信号上で動作している。マンチェスターコーディングが使用され、したがって、判定しきい値DCを推定する必要がない。
【0148】
信号帯域幅を変動させること:WUS帯域幅は、たとえば、4MHzと8MHzと16MHzとの間で変動され得る。WUSの電力は、WUSにより多くのサブキャリアを割り当てることによってブーストされる。最も小さいBWは、M.Parkら、「Low−power wake−up receiver(LP−WUR) for 802.11」、IEEE802.11−15/1307r1において最初に提案された13個のサブキャリアに対応する。
【0149】
信号帯域幅の関数としてのシミュレートされた感度:図11に関して説明されるようにセットアップされたシミュレーション。CSFのないAWGN(加法性白色ガウス雑音)チャネルの性能が、図11、部分(a)に示されている。チャネル選択的フィルタ(CSF)が使用されない場合、信号の帯域幅は、必要とされるSNRに関して問題であるべきでない。増加された許容TX電力により、リンクバジェットにおける対応する利得があることになる。CSFありのAWGNチャネルの性能が、図11、部分(b)および(c)に示されている。CSFを用いると、また、より小さい信号帯域幅が、対応して包絡線検出器入力におけるより少ない雑音を可能にすることになる。利得は、帯域幅の2倍増加について約1dBである。結果として、図11、部分(c)に見られるように、帯域幅におけるあらゆる2倍増加についてのリンクバジェットに関して2dB利得がある。
【0150】
有益な状態におけるフィルタの(雑音)帯域幅を増加させることは、包絡線検出器における低域通過フィルタ(LPF)によるものである。LPFの帯域幅は、信号帯域幅ではなく、データレートによって決定され、ここでは150kHzである。LPFは、依然として雑音電力の一部を除去するが、信号は、非線形成分を通過する。
【0151】
起動信号のFDM送信に対するWUR実装形態態様および関係:アナログフィルタの帯域幅を変更すること(すべての他のパラメータを同じに保つこと)は、成分をシフトイン/アウトすることによって容易に行われる。切替え時間に関係する問題はない。広帯域WUSが使用される場合、良好なチャネル状態をもつWURは、電力を節約するために、依然として、小さい帯域幅をもつCSFを使用し得る。マルチキャスト/ブロードキャストの場合、受信機は、WUSが大きい帯域幅を用いて送信される場合にどんなフィルタ帯域幅を使用すべきかを自律的に判定することができる。いくつかのWUSの送信は、FDMによって可能にされ得る(たとえば、3つの4MHz WUSが16MHzの周波数範囲にわたって配信される)。本明細書の手法は、潜在的に、変動する帯域幅を用いたWUS送信に対するFDM手法の一般化と見なされ得る。
【0152】
CSF実装例:
1)中心4MHzチャネルを使用するシングルユーザ送信の場合:2次バターワースフィルタが規定され得る。これは、位相雑音モデルが与えられ得るリング発振器の約40μWに付随する、フィルタについての40μWの電力バジェットを満たす。これは、約100〜200μW WURについての性能結果を報告するために使用され得る。
2)非中心4MHzチャネルを使用する送信の場合:5次フィルタが規定され得る。位相雑音モデルは再び使用され得るが、雑音プロファイルは、より高い電力消費LOから取得され得る。この組合せは、より高い電力消費という犠牲を払って高度マルチTX特徴を評価するために使用され得る。
【0153】
いくつかのさらなる例示的な実施形態
1.適応可能なフィルタ(BPF/CSF)をもつ起動受信機(WUR)を備える無線端末(STA)であって、
(電力消費を最小限に抑える目的で)STAにおける受信状態に関連するメトリックに応じてフィルタの帯域幅を適応させる
ように設定された、無線端末(STA)。
2.フィルタを、良好な受信状態において比較的より狭い帯域幅にセットし、受信不良状態において比較的より広い帯域幅にセットするように設定された、1に記載の無線端末。
3.メトリックが切替えしきい値を上回る場合、フィルタをより狭い帯域幅に切り替えるように設定され、メトリックが切替えしきい値を下回る場合、フィルタをより広い帯域幅に切り替えるように設定され、切替えしきい値が同じであるか、または異なり得る、1または2に記載の無線端末。
4.メトリックが、受信された信号と参照信号との相互相関から取得された相関メトリックである、1から3に記載の無線端末。
5.フィルタの現在の帯域幅に依存せずに起動信号(WUS)検出しきい値をセットするように設定された、1から4に記載の無線端末。(別様に言えば、より広いフィルタが、受信された信号のより良好な品質を与えると仮定する。その場合、おそらく、しきい値は同じであるが、WUSが検出されたと実際に宣言するために広帯域幅が必要とされ、ただし、しきい値は、したがって実際には変更されない。)
6.それぞれの検出しきい値が、それぞれの切替えしきい値よりも低い、5に記載の無線端末。
7.アクセスポイント(AP)に、起動信号の所望の帯域幅についての要求を送るように設定された、1から6に記載の無線端末。
8.起動信号の所望の帯域幅が、フィルタの帯域幅、好ましくはフィルタの帯域幅に対応する帯域幅に依存している(したがって、感度性能がやや改善されることになる)、7に記載の無線端末。
9.フィルタの帯域幅の変化において帯域幅要求を送るように設定された、7から8に記載の無線端末。
10.適応可能な帯域通過フィルタ(BPF/CSF)をもつ起動受信機(WUR)を備える無線端末(STA)であって、
受信された起動信号に応じて、WUSの帯域幅に対応するフィルタの帯域幅を適応させる(したがって、感度性能がやや改善されることになる)
ように設定された、無線端末(STA)。
11.1つまたは複数の無線端末に起動信号を送るように設定されたアクセスポイント(AP)であって、
起動信号の帯域幅を、アクセスポイントと無線端末との間のシグナリング状態に適応させる
ようにさらに設定された、アクセスポイント(AP)。
12.アクセスポイントと無線端末との間の比較的より高いパスロスにおいて、比較的より広い帯域幅および/または比較的より高い送信電力(密度)を使用し、アクセスポイントと無線端末との間の比較的より低いパスロスにおいて、比較的より狭い帯域幅および/または比較的より低い送信電力(密度)を使用するように設定された、11に記載のアクセスポイント。
13.1つまたは複数の無線端末からのフィードバックに基づいてシグナリング状態を決定するように設定された、11または12に記載のアクセスポイント。
14.無線端末によって要求される最も広い帯域幅を使用するように設定された、13に記載のアクセスポイント。
15.起動信号を受信することをターゲットにしている無線端末の数に基づいて、シグナリング状態を決定するように設定された、11から14に記載のアクセスポイント。
16.単一の無線端末が起動信号を受信することをターゲットにしている場合、比較的より狭い帯域幅を使用し、いくつかの無線端末が起動信号を受信することをターゲットにしている場合、比較的より広い帯域幅を使用するように設定された、15に記載のアクセスポイント。
17.1つまたは複数の無線端末に送信されるべき別個の起動信号の数に基づいて、シグナリング状態を決定するように設定された、11から16に記載のアクセスポイント。
18.単一の無線端末が起動信号を受信することをターゲットにしている場合、比較的より広い帯域幅を使用し、いくつかの無線端末が周波数分割多重化(FDM)を使用して送信される起動信号を受信することをターゲットにしている場合、比較的より狭い帯域幅を使用するように設定された、17に記載のアクセスポイント。
19.オンオフキーイング(OOK)を使用して、および何らかの信号によって13個のサブキャリアをポピュレートする比較的より狭い帯域幅について、および何らかの信号によって52個のサブキャリアをポピュレートする比較的より広い帯域幅について、WUSを生成するように設定された、11から18のいずれか1つに記載のアクセスポイント。
20.マンチェスターコーディングを適用するように設定された、19に記載のアクセスポイント。
【0154】
様々な実施形態への参照が本明細書で行われた。ただし、当業者は、特許請求の範囲内に依然として入るであろう、説明される実施形態への多数の変形形態を認識するであろう。たとえば、本明細書で説明される方法実施形態は、ある順序で実施されるステップを通して例示的な方法を開示する。しかしながら、特許請求の範囲から逸脱することなく、イベントのこれらのシーケンスが別の順序で行われ得ることを認識されたい。さらに、いくつかの方法ステップは、順次実施されるものとして説明されたが、それらの方法ステップは並列に実施され得る。
【0155】
同様の様式で、実施形態の説明において、特定のユニットへの機能ブロックの区分は決して限定的なものとして意図されないことに留意されたい。これに反して、これらの区分は例にすぎない。1つのユニットとして本明細書で説明される機能ブロックは、2つまたはそれ以上のユニットに分けられ得る。さらに、2つまたはそれ以上のユニットとして実装されるものとして本明細書で説明される機能ブロックは、より少数の(たとえば、単一の)ユニットにマージされ得る。
【0156】
したがって、説明される実施形態の詳細は、説明の目的のために提案された例にすぎず、特許請求の範囲内に入るすべての変形形態は、その範囲に包含されるものとすることを理解されたい。
図1
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