【実施例】
【0018】
図面において示すのは、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器1であり、該棒状化粧料繰出容器1は、キャップ2、該キャップ2を脱着自在に装着可能とする嵌合筒5を内部に固持する軸筒4からなる繰出容器本体3、軸筒4の内部に固持される嵌合筒5を介して保持される芯筒6、嵌合筒5と芯筒6と形成される空間内において、ネジ駒7と噛合する押棒8の先端に一体に形成された複数の爪からなるチャック部8aによって把持される棒状化粧料10を保護筒9内で出没自在に保持し、且つ一体となって軸筒4の中心を貫く軸線の長手方向にスライド自在となる棒状化粧料保持ユニットD、及び該棒状化粧料保持ユニットDを先端及び後端方向から弾性を以て保持するスプリング11、12とから構成されるものである。
【0019】
まず、キャップ2は、開口部方向の内周面に係止凸部2aを周設し、該軸筒4に固持される嵌合筒5は、その開口部方向の外周面に係止凹部5aを周設するとともに、その内周面に嵌合筒5の軸線の長手方向にスライド溝5bを溝設するものである。
そのため、キャップ2と、軸筒4に固持された嵌合筒5とは、キャップ2の開口部方向の内周面に周設される係止凸部2aと嵌合筒5の外周面に周設される係止凹部5aとを嵌着させることで一体となり、棒状化粧料繰出容器1内の気密性が維持されるものとなる。
【0020】
そして、芯筒6は、その内周面に軸線の長手方向にスライド溝6aを溝設するものである。
【0021】
さらに、棒状化粧料保持ユニットDにおいて、保護筒9は、その外周面に軸線の長手方向にスライド突起9aを突設するとともに、その内周面に軸線の長手方向に案内溝9bを溝設するものである。
【0022】
そして、押棒8は、その外周面に雄ネジ部8bを形成するとともに、その先端に保護筒9内で棒状化粧料10を軸線方向にスライド自在とするように一端を把持するチャック部8aを一体に形成するものである。
【0023】
その上、該ネジ駒7は、その外周面に軸線の長手方向にスライド突起7aを突設するとともに、その内周面の前方に雌ネジ部7bを形成するものである。
【0024】
従って、棒状化粧料保持ユニットDをなすネジ駒7、押棒8、保護筒9、及び棒状化粧料10は、保護筒9と押棒8とは、保護筒9の内周面に軸線の長手方向に溝設する案内溝8bに対して、押棒8の先端で棒状化粧料10の一端を把持するチャック部8aを回転を規制され、軸線の長手方向にスライド自在となるように係合するとともに、ネジ駒7と押棒8とは、ネジ駒7の内周面に形成される雌ネジ部6bと押棒8の外周面に形成される雄ネジ部8bとを噛合させることによって一体となるものである。
【0025】
そして、該棒状化粧料保持ユニットDは、芯筒6の後端部5bと保護筒9の突縁9cとの間、及びネジ駒7の後端部7cと嵌合筒5の内底部5cとの間にスプリング11
、12を連結して、棒状化粧料保持ユニットDを付勢、保持するものである。
【0026】
さらに、該棒状化粧料保持ユニットDをなすネジ駒7及び保護筒9は、芯筒6の内周面及び嵌合筒5の内周面に溝設するスライド溝6a、5bに対して、その外周面に突設するスライド突起7a、9aとが回転を規制され、軸線方向にスライド自在となるように係合するものである。
【0027】
以上のとおり、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器1は構成されているので、棒状化粧料10の塗布にあたっては次のようになるものである。
まず芯筒6を把持した上で軸筒4を回転させることによって軸筒4と共に嵌合筒5も一体に回転するので、該嵌合筒5と一体となって回転する棒状化粧料保持ユニットDをなすネジ駒7も回転する。
そして、該ネジ駒7が回転することによってネジ駒7の内周面に形成される雌ネジ部7bと噛合する雄ネジ部8bを外周面に形成する押棒8も回転するものとなる。
このとき、押棒8のチャック部8aは保護筒9に回転を規制され、軸線方向にスライド自在ではあり、保護筒9は把持された芯筒6によって回転が規制され、さらに保護筒9によって押棒8のチャック部8aも回転は規制されるので、保護筒9の案内溝9b内で該押棒8の先端に形成されたチャック部8aは軸線先端方向へ前進するものとなる。
その結果、保護筒9内に保持される棒状化粧料10は保護筒9の先端の開口より突出するので、使用に供することができるものとなる。
【0028】
一方、使用後は、芯筒6を把持した上で軸筒4を反対方向へ回動させることによって嵌合筒5も一体に同方向に回転するので、該嵌合筒5と一体となって回転する棒状化粧料保持ユニットDをなすネジ駒7も同方向に回転する。
そして、該ネジ駒7が回転することによってネジ駒7の内周面に形成される雌ネジ部7bと噛合する雄ネジ部8bを外周面に形成する押棒8も同方向に回転するものとなる。
このとき、押棒8のチャック部8aは保護筒9と回転を規制され、軸線方向にスライド自在であり、保護筒9は把持された芯筒6によって回転が規制され、さらに保護筒9によって押棒8のチャック部8aは回転が規制されるので、保護筒9の案内溝8b内で該押棒8の先端に形成されたチャック部8aは軸線先端方向へ後退するものとなる。
その結果、保護筒9内に保持される棒状化粧料10は保護筒9の先端の開口より没入して、棒状化粧料繰出容器1内に収容することができるものとなる。
【0029】
また、上述のように保護筒9内に保持される棒状化粧料10を芯筒6から出没自在にできるので、無駄を確実に防止することもできるものである。
【0030】
さらに、上述のように、棒状化粧料保持ユニットDをなすネジ駒7、押棒8、保護筒9、及び棒状化粧料10は、保護筒9と押棒8とが保護筒9の内周面に軸線の長手方向に溝設する案内溝9bに対して、押棒8の先端で棒状化粧料10の一端を把持するチャック部8aを回転を規制し、軸線の長手方向にスライド自在となるように係合し、ネジ駒7と押棒8とがネジ駒7の内周面に形成される雌ネジ部7bと押棒8の外周面に形成される雄ネジ部8bとが噛合することで一体となっている。
【0031】
そこで、
図4(イ)乃至(ハ)において示すように、通常状態の棒状化粧料繰出容器1[同図(イ)参照]に対して落下等による衝撃が与えられた場合において、例えば先端方向から落下させた場合[同図(ロ)参照]には、棒状化粧料保持ユニットDをなす保護筒9は芯筒6に対して軸線方向にスライド自在、及びネジ駒7は嵌合筒5に対して軸線方向にスライド自在であるので、該棒状化粧料保持ユニットDは一体となって芯筒6及び嵌合筒5による空間内を軸線先端方向へスライドするとともに、芯筒6の後端部6cと保護筒9の突縁9cとの間に付勢、保持されたスプリング11を圧縮させる一方で、ネジ駒7の後端部7cと嵌合筒5の内底部5cとの間に付勢、保持されたスプリング12を伸長させるものである。
その結果、棒状化粧料繰出容器1に対して与えられた衝撃は上記二つのスプリング11、12の圧縮と伸長により緩衝されるので、保護筒9内に保持される棒状化粧料10の芯抜け、芯折れ等の不具合を防止することができるものとなる。
【0032】
一方、棒状化粧料繰出容器1を後端方向から落下させた場合[同図(ハ)参照]には、棒状化粧料保持ユニットDをなす保護筒9は芯筒6に対して軸線方向にスライド自在、ネジ駒7は嵌合筒5に対して軸線方向にスライド自在であるので、該棒状化粧料保持ユニットDは一体となって芯筒6及び嵌合筒5による空間内を軸線後端方向へスライドするとともに、芯筒6の後端部6cと保護筒9の突縁9cとの間に付勢、保持されたスプリング11を伸長させる一方で、ネジ駒7の後端部7cと嵌合筒5の内底部5cとの間に付勢、保持されたスプリング12を圧縮させるものとなる。
その結果、棒状化粧料繰出容器1に対して与えられた衝撃は上記二つのスプリング11、12の伸長と圧縮により緩衝されるので、保護筒9内に保持される棒状化粧料10の芯抜け、芯折れ等の不具合を防止することができるものとなる。