特許第6919124号(P6919124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919124
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】棒状化粧料繰出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/20 20060101AFI20210805BHJP
【FI】
   A45D40/20 G
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-77559(P2017-77559)
(22)【出願日】2017年4月10日
(65)【公開番号】特開2018-175244(P2018-175244A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000223986
【氏名又は名称】フィグラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141210
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100100767
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 正彦
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 文裕
【審査官】 田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−204895(JP,A)
【文献】 特公昭56−010041(JP,B1)
【文献】 実公昭62−037529(JP,Y1)
【文献】 特開2014−108949(JP,A)
【文献】 特開昭63−139107(JP,A)
【文献】 特開2013−039239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00,40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ、該キャップを脱着自在に装着可能とする嵌合筒を内部に固持する軸筒からなる繰出容器本体、繰出容器本体に保持される芯筒、繰出容器本体と芯筒とで形成される空間内において、ネジ駒と噛合する押棒の先端に一体に形成された複数の爪からなるチャック部によって把持される棒状化粧料を保護筒内で出没自在に保持し、且つ一体となって軸筒の中心を貫く軸線(以下、「軸線」という。)の長手方向にスライド自在となる棒状化粧料保持ユニット、及び該棒状化粧料保持ユニットを、芯筒の後端部と保護筒の突縁との間で連結されるものであって軸線上の先端方向から、及びネジ駒の後端部と嵌合筒の内底部との間で連結されるものであって後端方向から付勢、保持してなるスプリングとから構成され、
該繰出容器本体と芯筒とは相互に回転可能となるように保持し、
該繰出容器本体と棒状化粧料保持ユニットをなすネジ駒とは、回転を規制され、軸線の長手方向にスライド自在となるように固持し、
該芯筒と、棒状化粧料保持ユニットをなす保護筒とは、回転を規制され、軸線の長手方向にスライド自在となるように固持し、
該空間内において棒状化粧料保持ユニットに対し、軸線の長手方向へのスライドによって、先端方向から芯筒の後端部と保護筒の突縁との間で連結され、又は後端方向からネジ駒の後端部と嵌合筒の内底部との間で連結されるスプリングのうち、いずれか一方が圧縮すると同時に他方が伸長するように付勢、保持してなる
ことを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【請求項2】
棒状化粧料保持ユニットをなし、保護筒内において押棒の先端に形成されるチャック部に把持される棒状化粧料に揮発性油分を配合する
ことを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項3】
キャップと、繰出容器本体との間に弾性を有するOリング等を装着する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載された棒状化粧料繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、アイブロー、アイライナー、リップライナー、口紅等の棒状化粧料(以下、「棒状化粧料」という。)を出没自在に収容する棒状化粧料繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、上記棒状化粧料を出没自在に収容する容器には、一端に棒状化粧材を把持する腔部を具え、その外面に雄ネジを設ける押棒と、該押棒の外面に設けられた雄ネジと係合するラセン溝を内面に切られたメネジ部材とからなる繰出機構によって、該押棒の一端に具えられる腔部に把持される棒状化粧料を容器本体内外へ出没自在としてなるものがある(特許文献1参照)。
【0003】
ところが、近年、使用性の向上のために、より柔軟な棒状化粧料の採用が進められており、上記棒状化粧料の容器では使用時における高い塗布圧力、携帯時の振動、並びに落下時の衝撃等の外部からの入力を緩衝できないため、棒状化粧料に対して湾曲、芯折れ、並びに芯抜け等の不具合が生じ易いものである。
【0004】
そのため、外部からの入力によって芯折れや芯抜けの不具合が生じないように、棒状物の外周面と芯筒内面とを密着する様に、充填部材内に押出部とともに溶解した棒状物を充填、固化させ、移動体の先端に設けた押出部を充填部材内を摺動させることによって、棒状物を突出させるものが提案されている(特許文献2参照)が、充填部材から棒状物を突出させるために一度前進させてしまうと、棒状物を後退させることはできないので、特に過剰に突出させてしまった場合には、棒状物が無駄になるという不具合が生じてしまうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−209822号公報
【特許文献2】特開2007−289420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、柔軟な棒状化粧料に対して、使用時における高い塗布圧力、携帯時の振動、並びに落下時の衝撃等の外部からの入力を緩衝して、湾曲、芯折れ、並びに芯抜け等の不具合を防止し、しかも該棒状化粧料の出没を円滑に行って無駄をなくすことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴として、
キャップ、該キャップを脱着自在に装着可能とする嵌合筒を内部に固持する軸筒からなる繰出容器本体、繰出容器本体に保持される芯筒、繰出容器本体と芯筒とで形成される空間内において、ネジ駒と噛合する押棒の先端に一体に形成された複数の爪からなるチャック部によって把持される棒状化粧料を保護筒内で出没自在に保持し、且つ一体となって軸筒の中心を貫く軸線(以下、「軸線」という。)の長手方向にスライド自在となる棒状化粧料保持ユニット、及び該棒状化粧料保持ユニットを、芯筒の後端部と保護筒の突縁との間で連結されるものであって軸線上の先端方向から、及びネジ駒の後端部と嵌合筒の内底部との間で連結されるものであって後端方向から付勢、保持してなるスプリングとから構成され、
該繰出容器本体と芯筒とは相互に回転可能となるように保持し、
該繰出容器本体と棒状化粧料保持ユニットをなすネジ駒とは、回転を規制され、軸線の長手方向にスライド自在となるように固持し、
該芯筒と、棒状化粧料保持ユニットをなす保護筒とは、回転を規制され、軸線の長手方向にスライド自在となるように固持し、
該空間内において棒状化粧料保持ユニットに対し、軸線の長手方向へのスライドによって、先端方向から芯筒の後端部と保護筒の突縁との間で連結され、又は後端方向からネジ駒の後端部と嵌合筒の内底部との間で連結されるスプリングのうち、いずれか一方が圧縮すると同時に他方が伸長するように付勢、保持してなるものである。
【0008】
そのため、棒状化粧料の塗布を行う場合には、芯筒を把持した上で繰出容器本体を回転させることによって、棒状化粧料保持ユニットをなすネジ駒は回転する。
そして、該ネジ駒が回転することによってネジ駒の内周面に形成される雌ネジ部と噛合する雄ネジ部を外周面に形成する押棒も回転するものである。
このとき、押棒は保護筒とは回転を規制され、軸線方向にスライド自在であるので、保護筒は把持された芯筒によって回転が規制され、さらに保護筒によって押棒のチャック部も回転が規制されているので、保護筒内で該押棒の先端に形成されたチャック部は軸線上の先端方向へ前進するものとなる。
その結果、保護筒内に保持される棒状化粧料は保護筒の先端の開口より突出するので、使用に供することができる。
【0009】
一方、棒状化粧料の塗布後は、芯筒を把持した上で繰出容器本体を反対方向へ回転させることによって、棒状化粧料保持ユニットをなすネジ駒も同方向に回転する。
そして、該ネジ駒が回転することによってネジ駒の内周面に形成される雌ネジ部と噛合する雄ネジ部を外周面に形成する押棒も同方向に回転するものである。
このとき、押棒は保護筒とは回転を規制され、軸線方向にスライド自在であるが、保護筒は把持された芯筒によって回転が規制され、さらに保護筒によって押棒のチャック部は回転が規制されているので、保護筒内で該押棒の先端に形成されたチャック部は軸線上の後端方向へ後退するものとなる。
その結果、保護筒内に保持される棒状化粧料は保護筒の先端の開口より没入するので、棒状化粧料繰出容器内に収容することができる。
【0010】
そして、棒状化粧料保持ユニットでは、保護筒と押棒とは、保護筒に対して、押棒の先端で棒状化粧料の一端を把持するチャック部は回転を規制され、軸線の長手方向にスライド自在となるように係合するとともに、ネジ駒と押棒とは、ネジ駒の内周面に形成される雌ネジ部と雄ネジ部の外周面に形成される雄ネジ部とを噛合させることによって一体となっている。
そのため、棒状化粧料繰出容器を落下させて衝撃が与えられた場合には、棒状化粧料保持ユニットは、芯筒及び繰出容器本体に対して軸線上の長手方向にスライド自在であるので、該棒状化粧料保持ユニットは一体となって落下方向に応じて芯筒と繰出容器本体とで形成される空間内を軸線の長手方向へスライドするとともに、芯筒の後端部と保護筒の突縁との間で連結される、又はネジ駒の後端部と嵌合筒の内底部との間で連結されるスプリングのうち、該棒状化粧料保持ユニットを軸線上のいずれか一方から付勢するスプリングを圧縮させると同時に、軸線上の他方から付勢するスプリングを伸長させるものとなる。
その結果、棒状化粧料繰出容器に与えられた衝撃は上記二つのスプリングの圧縮と伸長によって緩衝されて、保護筒内に保持される棒状化粧料の抜けや折れ等の不具合を防止することができる。
【0011】
第1の特徴を踏まえて、第2の特徴として、
棒状化粧料保持ユニットをなし、保護筒内において押棒の先端に形成されるチャック部に把持される棒状化粧料に揮発性油分を配合するものである。
【0012】
そのため、棒状化粧料保持ユニットをなす棒状化粧料が化粧料の付きや伸びを向上させ、容易に化粧料の塗布ができるように柔軟とされるものであっても、棒状化粧料を棒状化粧料繰出容器内外へ円滑に出没させることができるとともに、該棒状化粧料繰出容器に対する衝撃に対しても、棒状化粧料を有する棒状化粧料保持ユニットがスライドして衝撃を十分に緩衝し、棒状化粧料における抜けや折れなどの不具合をより確実に防止できるものである。
【0013】
第1の特徴乃至第2の特徴を踏まえて、第3の特徴として、
キャップと、繰出容器本体との間に弾性を有するOリング等を装着するものである。
【0014】
そのため、第1の特徴乃至第2の特徴による作用効果とともに、棒状化粧料に含有される揮発性油分が蒸発することによる劣化を確実に防止することができるものである。
【発明の効果】
【0015】
本願発明は、棒状化粧料繰出容器において、棒状化粧料の出没を可能として無駄をなくすとともに、高い塗布圧力、携帯時の振動、及び落下時の衝撃が与えられてしまっても、棒状化粧料を有する棒状化粧料保持ユニットが芯筒及び繰出容器本体のなす空間を軸線の長手方向に一体となってスライドするとともに、この棒状化粧料保持ユニットを軸線上の先端方向及び後端方向から付勢するスプリングの圧縮と伸長とによって緩衝されるので、棒状化粧料の芯抜けや芯折れ等などの不具合をも防止できる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器の全体縦断面図である。
図2図2(イ)は、図1のA−A横断面図、(ロ)は図1のA’−A’横断面図、及び(ハ)は、図1のA”−A”横断面図である。
図3図3は、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器において、図2(イ)の横断面図に示すA−O−A方向への組み合わせ縦断面図である。
図4図4は、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器において、図2(イ)の横断面図に示すA−O−A方向への組み合わせ縦断面図であって(イ)通常状態、(ロ)棒状化粧料保持ユニットが最も前進した状態、(ハ)棒状化粧料保持ユニットが最も後退した状態である。
図5図5は、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器を構成する軸筒の全体斜視図である。
図6図6は、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器を構成する芯筒の全体斜視図である。
図7図7は、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器を構成する嵌合筒の全体斜視図である。
図8図8は、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器を構成する棒状化粧料保持ユニットをなす保護筒の全体斜視図である。
図9図9は、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器を構成する棒状化粧料保持ユニットをなす押棒の全体斜視図である。
図10図10は、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器を構成する棒状化粧料保持ユニットをなすネジ駒の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
棒状化粧料において、高い塗布圧力、携帯時の振動、及び落下時の衝撃が与えられても、棒状化粧料を有する棒状化粧料保持ユニットが芯筒及び繰出容器本体内の空間を軸線の長手方向にスライドしてスプリングを圧縮及び伸長させることによって衝撃を緩衝するので、棒状化粧料における無駄の他、芯抜けや芯折れ等などの不具合を防止する。
【実施例】
【0018】
図面において示すのは、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器1であり、該棒状化粧料繰出容器1は、キャップ2、該キャップ2を脱着自在に装着可能とする嵌合筒5を内部に固持する軸筒4からなる繰出容器本体3、軸筒4の内部に固持される嵌合筒5を介して保持される芯筒6、嵌合筒5と芯筒6と形成される空間内において、ネジ駒7と噛合する押棒8の先端に一体に形成された複数の爪からなるチャック部8aによって把持される棒状化粧料10を保護筒9内で出没自在に保持し、且つ一体となって軸筒4の中心を貫く軸線の長手方向にスライド自在となる棒状化粧料保持ユニットD、及び該棒状化粧料保持ユニットDを先端及び後端方向から弾性を以て保持するスプリング11、12とから構成されるものである。
【0019】
まず、キャップ2は、開口部方向の内周面に係止凸部2aを周設し、該軸筒4に固持される嵌合筒5は、その開口部方向の外周面に係止凹部5aを周設するとともに、その内周面に嵌合筒5の軸線の長手方向にスライド溝5bを溝設するものである。
そのため、キャップ2と、軸筒4に固持された嵌合筒5とは、キャップ2の開口部方向の内周面に周設される係止凸部2aと嵌合筒5の外周面に周設される係止凹部5aとを嵌着させることで一体となり、棒状化粧料繰出容器1内の気密性が維持されるものとなる。
【0020】
そして、芯筒6は、その内周面に軸線の長手方向にスライド溝6aを溝設するものである。
【0021】
さらに、棒状化粧料保持ユニットDにおいて、保護筒9は、その外周面に軸線の長手方向にスライド突起9aを突設するとともに、その内周面に軸線の長手方向に案内溝9bを溝設するものである。
【0022】
そして、押棒8は、その外周面に雄ネジ部8bを形成するとともに、その先端に保護筒9内で棒状化粧料10を軸線方向にスライド自在とするように一端を把持するチャック部8aを一体に形成するものである。
【0023】
その上、該ネジ駒7は、その外周面に軸線の長手方向にスライド突起7aを突設するとともに、その内周面の前方に雌ネジ部7bを形成するものである。
【0024】
従って、棒状化粧料保持ユニットDをなすネジ駒7、押棒8、保護筒9、及び棒状化粧料10は、保護筒9と押棒8とは、保護筒9の内周面に軸線の長手方向に溝設する案内溝8bに対して、押棒8の先端で棒状化粧料10の一端を把持するチャック部8aを回転を規制され、軸線の長手方向にスライド自在となるように係合するとともに、ネジ駒7と押棒8とは、ネジ駒7の内周面に形成される雌ネジ部6bと押棒8の外周面に形成される雄ネジ部8bとを噛合させることによって一体となるものである。
【0025】
そして、該棒状化粧料保持ユニットDは、芯筒6の後端部5bと保護筒9の突縁9cとの間、及びネジ駒7の後端部7cと嵌合筒5の内底部5cとの間にスプリング11、12を連結して、棒状化粧料保持ユニットDを付勢、保持するものである。
【0026】
さらに、該棒状化粧料保持ユニットDをなすネジ駒7及び保護筒9は、芯筒6の内周面及び嵌合筒5の内周面に溝設するスライド溝6a、5bに対して、その外周面に突設するスライド突起7a、9aとが回転を規制され、軸線方向にスライド自在となるように係合するものである。
【0027】
以上のとおり、本願発明の実施例である棒状化粧料繰出容器1は構成されているので、棒状化粧料10の塗布にあたっては次のようになるものである。
まず芯筒6を把持した上で軸筒4を回転させることによって軸筒4と共に嵌合筒5も一体に回転するので、該嵌合筒5と一体となって回転する棒状化粧料保持ユニットDをなすネジ駒7も回転する。
そして、該ネジ駒7が回転することによってネジ駒7の内周面に形成される雌ネジ部7bと噛合する雄ネジ部8bを外周面に形成する押棒8も回転するものとなる。
このとき、押棒8のチャック部8aは保護筒9に回転を規制され、軸線方向にスライド自在ではあり、保護筒9は把持された芯筒6によって回転が規制され、さらに保護筒9によって押棒8のチャック部8aも回転は規制されるので、保護筒9の案内溝9b内で該押棒8の先端に形成されたチャック部8aは軸線先端方向へ前進するものとなる。
その結果、保護筒9内に保持される棒状化粧料10は保護筒9の先端の開口より突出するので、使用に供することができるものとなる。
【0028】
一方、使用後は、芯筒6を把持した上で軸筒4を反対方向へ回動させることによって嵌合筒5も一体に同方向に回転するので、該嵌合筒5と一体となって回転する棒状化粧料保持ユニットDをなすネジ駒7も同方向に回転する。
そして、該ネジ駒7が回転することによってネジ駒7の内周面に形成される雌ネジ部7bと噛合する雄ネジ部8bを外周面に形成する押棒8も同方向に回転するものとなる。
このとき、押棒8のチャック部8aは保護筒9と回転を規制され、軸線方向にスライド自在であり、保護筒9は把持された芯筒6によって回転が規制され、さらに保護筒9によって押棒8のチャック部8aは回転が規制されるので、保護筒9の案内溝8b内で該押棒8の先端に形成されたチャック部8aは軸線先端方向へ後退するものとなる。
その結果、保護筒9内に保持される棒状化粧料10は保護筒9の先端の開口より没入して、棒状化粧料繰出容器1内に収容することができるものとなる。
【0029】
また、上述のように保護筒9内に保持される棒状化粧料10を芯筒6から出没自在にできるので、無駄を確実に防止することもできるものである。
【0030】
さらに、上述のように、棒状化粧料保持ユニットDをなすネジ駒7、押棒8、保護筒9、及び棒状化粧料10は、保護筒9と押棒8とが保護筒9の内周面に軸線の長手方向に溝設する案内溝9bに対して、押棒8の先端で棒状化粧料10の一端を把持するチャック部8aを回転を規制し、軸線の長手方向にスライド自在となるように係合し、ネジ駒7と押棒8とがネジ駒7の内周面に形成される雌ネジ部7bと押棒8の外周面に形成される雄ネジ部8bとが噛合することで一体となっている。
【0031】
そこで、図4(イ)乃至(ハ)において示すように、通常状態の棒状化粧料繰出容器1[同図(イ)参照]に対して落下等による衝撃が与えられた場合において、例えば先端方向から落下させた場合[同図(ロ)参照]には、棒状化粧料保持ユニットDをなす保護筒9は芯筒6に対して軸線方向にスライド自在、及びネジ駒7は嵌合筒5に対して軸線方向にスライド自在であるので、該棒状化粧料保持ユニットDは一体となって芯筒6及び嵌合筒5による空間内を軸線先端方向へスライドするとともに、芯筒6の後端部6cと保護筒9の突縁9cとの間に付勢、保持されたスプリング11を圧縮させる一方で、ネジ駒7の後端部7cと嵌合筒5の内底部5cとの間に付勢、保持されたスプリング12を伸長させるものである。
その結果、棒状化粧料繰出容器1に対して与えられた衝撃は上記二つのスプリング11、12の圧縮と伸長により緩衝されるので、保護筒9内に保持される棒状化粧料10の芯抜け、芯折れ等の不具合を防止することができるものとなる。
【0032】
一方、棒状化粧料繰出容器1を後端方向から落下させた場合[同図(ハ)参照]には、棒状化粧料保持ユニットDをなす保護筒9は芯筒6に対して軸線方向にスライド自在、ネジ駒7は嵌合筒5に対して軸線方向にスライド自在であるので、該棒状化粧料保持ユニットDは一体となって芯筒6及び嵌合筒5による空間内を軸線後端方向へスライドするとともに、芯筒6の後端部6cと保護筒9の突縁9cとの間に付勢、保持されたスプリング11を伸長させる一方で、ネジ駒7の後端部7cと嵌合筒5の内底部5cとの間に付勢、保持されたスプリング12を圧縮させるものとなる。
その結果、棒状化粧料繰出容器1に対して与えられた衝撃は上記二つのスプリング11、12の伸長と圧縮により緩衝されるので、保護筒9内に保持される棒状化粧料10の芯抜け、芯折れ等の不具合を防止することができるものとなる。
【符号の説明】
【0033】
1 棒状化粧料繰出容器
2 キャップ
2a 係止凸部
3 繰出容器本体
4 軸筒
5 嵌合筒
5a 係止凹部
5b スライド溝
5c 内底部
6 芯筒
6a スライド溝
6b 後端部
7 ネジ駒
7a スライド突起
7b 雌ネジ部
7c 後端部
8 押棒
8a チャック部
8b 雄ネジ部
9 保護筒
9a スライド突起
9b 案内溝
9c 突縁
10 棒状化粧料
11 スプリング
12 スプリング
D 棒状化粧料保持ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10