(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919148
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】3次元プリンタにより作られる部品を自動でクリーニングするシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/40 20170101AFI20210805BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20210805BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20210805BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20210805BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20210805BHJP
【FI】
B29C64/40
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-19435(P2017-19435)
(22)【出願日】2017年2月6日
(65)【公開番号】特開2017-144723(P2017-144723A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2020年2月6日
(31)【優先権主張番号】15/047,206
(32)【優先日】2016年2月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】リン・シー・フーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ロン・イー・ダフォート
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ジェイ・ハウ
【審査官】
山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/141032(WO,A1)
【文献】
特開2002−205339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元プリンタにより作られる部品から支持材料を取り除く方法であって、
(a)連結式アームのセンサを用いて、前記連結式アームの端に対応する位置データを生成することと、前記連結式アームの前記センサにより生成される前記位置データを参照して、制御装置を用いて、容器内の部品上の少なくとも3つの位置を特定することと、前記制御装置を用いて、前記少なくとも3つの特定された位置と、前記部品を作るために3次元プリンタにより用いられた前記部品に関する構造データと、を関連付けるステップと、
(b)前記制御装置を用いて、流体吹き付けノズルから支持材料のある前記部品の領域に向けて流体を吹き付けるステップであって、前記容器内の前記部品に対応するデータに関連付けられた後の部品に関する前記構造データを参照して行われるステップと、
(c)前記制御装置を用いて、前記流体吹き付けノズルから流体を吹き付け続けて、前記部品の他の領域から支持材料を取り除くステップであって、前記部品に関する構造データを参照して行われるステップと、
(d)光学センサを用いて、前記部品のデジタル画像データを生成するステップと、
(e)前記制御装置を用いて、前記光学センサにより生成された前記デジタル画像データを参照して、前記支持材料が残る前記部品の領域を特定するステップと、
(f)前記支持材料がすべて除去されるまで、ステップ(b)、(c)、(d)および(e)を繰り返すステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記流体吹き付けノズルから前記流体を吹き付けるステップ(b)には、
前記制御装置を用いて、前記流体吹き付けノズルに動作可能に接続する加圧流体の供給源を操作して、前記支持材料がある前記部品の前記領域の、前記支持材料に前記加圧流体を吹き付けること、がさらに含まれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加圧流体の供給源を操作するステップには、
前記制御装置を用いて、前記加圧流体の供給源に動作可能に接続するバルブを操作して、前記加圧流体が、流体吹き付けノズルを通り、前記支持材料がある前記容器内の前記部品の前記領域に向かって流れるようにすること、がさらに含まれる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
3次元プリンタにより作られる部品から支持材料を取り除くシステムであって、
容器であって、前記容器内の部品を固定する装置を有する容器と、
加圧流体の供給源に圧搾空気で接続する流体吹き付けノズルと、
前記部品を固定する前記装置および前記流体吹き付けノズルに動作可能に接続する複数のアクチュエータと、
連結式アームであって、前記容器内の3次元空間内の前記連結式アームの端の位置に対応する位置データを生成するセンサを有する連結式アームと、
前記部品のデジタル画像データを生成するよう構成される光学センサと、
前記複数のアクチュエータ、前記連結式アームのセンサ、前記光学センサおよび前記加圧流体の供給源に動作可能に接続する制御装置であって、前記連結式アームのセンサにより生成される前記位置データを参照して、前記容器内の前記部品上の少なくとも3つの位置を特定し、前記少なくとも3つの特定された位置と、3次元プリンタにより、前記部品を作るために使用された前記部品に関する構造データと、を関連付け、前記容器内の部品の外形に関するデータに関連付けされた後の前記部品に関する構造データを参照して、前記複数のアクチュエータのうちのいくつかの前記アクチュエータを操作して、前記流体吹き付けノズル、前記部品を固定する前記装置、またはその両方を移動させて、前記支持材料がある前記部品の領域と向かい合って前記流体吹き付けノズルを配置し、前記加圧流体の供給源を操作して、前記流体吹き付けノズルを通して、前記部品上の前記支持材料に加圧流体を吹き付け、前記部品に関する構造データを参照して、前記アクチュエータの操作を続けて、前記部品の他の領域に対向して、前記流体吹き付けノズルを配置し、前記加圧流体の供給源を操作して、前記部品の他の領域から前記支持材料を取り除き、前記光学センサを用いて、前記部品のデジタル画像データを生成し、前記光学センサにより生成された前記デジタル画像データを参照して、前記支持材料が残る前記部品の領域を特定し、
前記支持材料がすべて除去されるまで、前記流体吹き付けノズルの配置、前記支持材料への前記加圧流体の吹き付け、前記部品の他の領域からの前記支持材料の取り除き、前記デジタル画像データの生成、および前記支持材料が残る前記部品の領域の特定を繰り返すよう構成される制御装置と、を含むシステム。
【請求項5】
前記加圧流体の供給源に動作可能に接続するバルブをさらに含み、
前記制御装置が、前記バルブを操作して、前記流体吹き付けノズルを通り前記支持材料がある前記容器内の前記部品の前記領域に向けて加圧流体が流れるようにするようさらに構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御装置が、
所定の時間が経過した後、前記バルブを操作して、前記流体吹き付けノズルを通る流れを止めるようさらに構成される、請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される装置および方法は、3次元プリンタに関し、より具体的には、そのようなプリンタにより作られる物体のクリーニングに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル3次元製造(デジタル積層造形としても知られている)とは、ほとんど全ての形状の3次元の固体物体をデジタルモデルから作成する処理のことである。3次元印刷とは、異なる形状の材料の積層が基材上で形成される付加処理のことである。接着材料を吐出し、指向性エナルギーを付与して材料を押し出し、材料を吐出し、粉体層を定着させ、シートを積層し、あるいは、液体フォトポリマー材料を硬化放射光に晒すことにより、これらの層を形成することができる。その上に層が形成される基材は、このプラットフォームに動作可能に接続するアクチュエータが動作することにより、3次元方向に移動するプラットフォーム上に支持される、すなわち、材料付着装置は、その付着装置の動作を制御して物体を形成する層を作成するよう1つ以上のアクチュエータに動作可能に接続する。3次元印刷は、切断や穴あけなどの切削処理により加工物から材料を取り除くことに依存する従来の物体形成技術とは異なる。
【0003】
3次元部品の積層造形には、通常、少なくとも2種類の材料を吐出する工程が含まれる。一方の材料は、通常、造形材料と呼ばれ、その部品の構造体を形成するために用いられる材料である。もう一方の材料は、通常、支持材料と呼ばれ、その部品が完成し、完全に硬化するまで、造形材料の極端に薄い層(16−30μm)を支持する材料である。製造処理中、支持材料と造形材料は両方共、部品を形成する各層内に、同時に、あるいは、連続して、吐出され得る。部品が完成した後、支持材料は、その部品から取り除かれる。従来の除去処理は支持材料の特性に基づく。例えば、相変化支持材料は、オーブンまたは高温の液体漕の中に部品を入れることにより取り除くことができ、これらのオーブンまたは液体層では、空気や液体の温度がその支持材料の溶解温度を超えて、支持材料が溶けて部品から流れ出る。可溶性支持材料は、化学層漕内で溶け得る、あるいは、加圧流体を直接当てることにより取り除かれ得る。
【0004】
加圧流体を用いる手動の部品のクリーニングは、
図4に示されるシステム100で実行することができる。このシステムは、蝶番式の蓋108およびグローブ付き入口112を有するタンク104を含む。このタンク104は、流体116の加圧源に空気圧で接続しその接続の先はタンクの内側の手持ち式のワンドまたはノズルが取り付けられる。オペレータは物体または複数の物体をタンク104の中に入れ、蓋108を閉め、入口112のグローブに自分の手を入れ部品とワンドを握る。このワンドには、通常、引き金が設けられており、この引き金でバルブを操作して、オペレータに保持される部品に向かって選択的に加圧流体を吹き付けることができる。オペレータは、部品から支持材料が取り除かれたと判断すると、タンクの入口のグローブから手を抜いて蓋を開け、その中から部品を取り出し、より詳しく検査する。支持材料がまだ残っている場合、部品または複数の部品をタンク内に戻し、もう一度クリーニングを行う。支持材料が十分に取り除かれている場合、部品を梱包または品質検査の工程に送る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このシステムおよび操作方法では、流体の噴射によりオペレータがタンク104内の部品を見るための視界が遮られるため複数のサイクルで行わなければならない。このように視界が遮られるため、多数の部品の凹部や割れ目に流体を吹き付けることが困難となる。したがって、部品が完全にクリーニングされるまで、洗浄器から部品を取り出し、部品に支持材料が残っているかを目で確認し、もう一度タンク内に戻して、さらにクリーニングするという作業をオペレータは繰り返さなければならない。一回の工程でより完全に部品をクリーニングすることが可能な、3次元対象システムにより作られる部品のためのクリーニングシステムが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
クリーニング処理を自動化し、より完全に支持材料を取り除くことが可能な、3次元プリンタにより作られる部品をクリ―ニングする方法を開示する。この方法には、容器内の部品に対応する制御データと、3次元プリンタにより部品を作るために使用された、部品に関する構造データと、を関連付けるステップと、制御装置を用いて、流体吹き付けノズルから支持材料の部品の領域に向けて、制御流体を吹き付けるステップであって、容器内の部品に対応するデータに関連付けられた後の部品に関する構造データを参照して行われるステップと、制御装置を用いて、流体吹き付けノズルから流体を吹き付け続けて、部品の他の領域から支持材料を取り除くステップであって、部品に関する構造データを参照して行われるステップと、が含まれる。
【0007】
クリーニング処理を自動化し、より完全に支持材料を取り除くことが可能な、3次元プリンタにより作られる部品をクリーニングするシステムを開示する。このシステムは、容器内の部品を固定する装置を有する容器と、流体の加圧源に圧搾空気で接続する流体吹き付けノズルと、部品を固定する装置および流体吹き付けノズルに動作可能に接続する複数のアクチュエータと、複数のアクチュエータおよび流体の加圧源に動作可能に接続する制御装置と、を含む。この制御装置は、容器内に固定される部品の外形のデータと、3次元プリンタにより、部品を作るために使用された、部品に関する構造データと、を関連付け、容器内の部品の外形に関するデータに関連付けられた後の部品に関する構造データを参照して、複数のアクチュエータのうちのいくつかのアクチュエータを操作して、流体吹き付けノズル、部品を固定する装置、または、その両方を移動させて、支持材料のある部品の領域と向かい合って流体吹き付けノズルを配置し、加圧流体の供給源を操作して、流体吹き付けノズルを通して、部品上の支持材料に加圧流体を吹き付け、部品の構造データを参照して、アクチュエータの操作を続けて、流体吹き付けノズルを部品の他の領域に対向して配置し、加圧流体の供給源を操作して、部品の他の領域から支持材料を取り除くよう構成される。
【0008】
以下の記載の中で、添付図面に関連付けて、上記の方法および装置の様態、およびその他の特徴を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、3次元プリンタにより作られる部品を自動的にクリーニングするシステムを示す図である。
【
図2】
図2は、3次元プリンタにより作られる部品をクリーニングする
図1のシステムを操作する方法を示す図である。
【
図3】
図3は、3次元プリンタにより作られる部品をクリーニングする
図1のシステムを操作する別の方法を示す図である。
【
図4】
図4は、3次元プリンタにより作られる部品を手動でクリーニングする従来のシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で開示される方法およびクリーニングシステムに関する環境および方法ならびにクリーニングシステムに関する詳細に関する一般的な理解を得てもらうために図面を参照する。これらの図面では、同様の参照符号は、同様の要素を指す。
【0011】
図1には、3次元プリンタにより作られる部品を自動でクリーニングするシステムが示されている。このシステム10は、容器14(図面内の断面図で示される)、および流体の加圧源22に圧搾空気で接続する流体吹き付けノズル18を含む。この容器14は、蝶番20で容器に接続する蓋16を含む。後で説明するが、このシステムは、連結式アーム26を含み得、このアームの各関節には、センサ30が配置される。この連結式アームは、容器に隣接して配置され、蓋16が開いたときに、アームの端が容器の内部容積内で操作されるようになっている。これらのセンサ30は、連結式アームに関連する基準点24に位置する3つの直交軸に関する位置データを生成するよう構成される。基準点24は連結式アーム26の基部で示されているが、アームの別の位置に基準点を設けてもよい。クランプ28、またはその他の固定装置を容器内に配置して、流体吹き付けノズル18により吹き付けられる加圧流体の流れにさらされる部品32を容器内に固定する。流体吹き付けノズル18は、1つ以上のアクチュエータ34に動作可能に接続し、これにより、ノズル18は容器14の容積内で3次元的に移動可能となる。また、容器14内には光学センサ38も配置され、この光学センサがレール36内、あるいは、レール上に取り付けられ、アクチュエータ34のうちの1つに動作可能に接続し、これにより、光学センサ38は、容器内を移動し、部品32のデジタル画像データを生成することができる。さらに、または、あるいは、クランプ28もレールまたはその他の支持システムに取り付けられ得、アクチュエータ34のうちの1つに動作可能に接続し、これにより、部品の向きを操作し、容器14の容積内で移動させることができる。
【0012】
制御装置40は、アクチュエータ34のうちの1つ、連結式アーム26のセンサ30、光学センサ38、および流体の加圧源22に動作可能に接続する。ある実施形態では、この制御装置40は、バルブ44に動作可能に接続し、このバルブは、流体の加圧源22と流体吹き付けノズル18を接続させる導管内に配置される。このバルブ44を開くことにより、流体吹き付けノズル18から供給源22の加圧流体を選択的に噴射することができる。この制御装置40は、アクチュエータ34を操作して、流体吹き付けノズル18を容器14の容積内の様々な位置に移動させるようさらに構成される。この制御装置40は、メモリを含み、あるいは、メモリに動作可能に接続し、このメモリには、3次元プリンタにより部品を作るために使用されたデータが格納される。この制御装置40は、プログラム命令と電子構成要素で構成され、これらの電子構成要素が、連結式アーム26のセンサ30から受け取った位置データを用いて、容器14の容積内の連結式アーム26の端の位置を特定する。オペレータは、ユーザインターフェース42を用いて、連結式アーム26の端を部品上の特定の位置に配置し、部品32上の位置を制御装置40に特定させる。部品上の少なくとも3つの位置に関する位置データを受信すると、制御装置40は、これらの位置をメモリ48内に格納されている対応する構造データに関連付けことができる。その後、制御装置40は、容器の容積内のクランプ28で固定された部品32上で支持材料がある位置を特定することができる。あるいは、または、さらに、この制御装置40は、光学センサ38により生成されるデジタルデータを受信し、部品を作るために使われた構造データとデジタルデータを比較して、造形材料と支持材料とに対応する部品32の方向と部品の領域とを判定することができる。この光学センサ38は、デジタルカメラまたは3次元のスキャナでよい。本明細書で使用される、「部品の位置の構造データへの関連付け」とは、部品を作るために使われる構造データと部品上の特定の外面を特定するデータとを比較して、容器14内の部品の方向と位置を判定することを意味する。次いで、制御装置40は、1つ以上のアクチュエータ34を制御して、流体吹き付けノズルまたは部品、あるいはその両方を移動させて、支持材料のある領域のうちの1つにそれぞれ対向して流体吹き付けノズルを配置し、流体の加圧源22を操作して、それらの領域ごとの支持材料に加圧流体を吹き付ける。この加圧流体により、流体と支持材料との力学的な相互作用を通して、支持材料が取り除かれ。実施形態によっては、加圧流体を加熱し、それにより、加熱流体と接触させて、支持材料を柔らかくしたり、溶かしたりして、支持材料を取り除き易くすることができる。さらに、または、あるいは、いくつかの実施形態では、加圧流体は、支持材料と化学的に相互作用して、部品から支持材料をより素早く取り除くことが可能な溶剤、またはその他の化学溶液でよい。
【0013】
図2には、システム10を動作させる方法200が示されている流体吹き付け。この説明では、方法によりタスクまたは機能が実行されるという記載は、制御装置すなわち汎用プロセッサが、制御装置すなわちプロセッサに動作可能に接続する非一時的なコンピュータ可読記憶装置に格納されるプログラム命令を実行して、データを操作、あるいは、プリンタ内の1つ以上の構成要素を操作して、タスクまたは機能を実行することを示唆する。上記に記載される制御装置40は、そのような制御装置すなわちプロセッサでよい。あるいは、制御装置は1つ以上のプロセッサ、関連する回路、および構成要素で実装され得、これらは、それぞれ本明細書に記載される1つ以上のタスクまたは機能を実行するよう構成される。
【0014】
方法200を実行するとき、容器14内の部品上の外形に対応するデータと、3次元プリンタにより部品を作るために使用された、部品上の外形に関する構造データと、を関連付ける(ブロック204)。前に記載した通り、連結式アームのセンサにより生成される位置データを参照して、容器内の部品上の少なくとも3つの位置を特定し、少なくとも3つの特定された位置と部品に関する構造データとを関連付けることにより、この関連付けが実行され得る。あるいは、制御装置は、光学センサ38により生成されるクランプ28に保持された部品32のデジタル画像データと、部品を形成するために用いられる構造データと、を関連付けることもできる。構造データにより支持材料があると示される部品の領域に向かい合わせて流体吹き付けノズル18を配置することにより、この処理は進む(ブロック208)。すなわち、構造データと容器内の部品とを関連付けすることにより、制御装置は、流体吹き付けノズルを容器の容積内で移動させて、支持材料のある領域に対向して配置させることができる。流体吹き付けノズルを支持材料がある領域に対向して配置すると、流体吹き付けノズルに動作可能に接続する加圧流体の供給源を操作して、支持材料がある部品の領域の支持材料に加圧流体を吹き付ける(ブロック212)。制御装置40が供給源22を操作して、部品の特定の領域に向けて流体を吹き付ける時間は、部品32を作るために使われた構造データにより示される支持材料の量に対応する。加圧流体の供給源22を操作して、バルブ44を選択的に開閉することにより、ノズル18から加圧流体を吹き付けることが可能となる。さらに、流体の脈動流を生成して、支持材料に対する流体の力学的作用を向上させるよう流体供給源22を構成することができる。構造データを参照して、支持材料を取り除くための他の領域を特定し(ブロック216)、次いで、流体吹き付けノズルをそれらの領域に配置し、加圧流体の供給源を操作して、部品の他の領域から支持材料を取り除くことにより(ブロック208およびブロック212)、この処理は続けられる。支持材料有する全ての領域が、加圧流体の供給給源からの加圧流体でクリーニングされると、確認処理が行われる。
【0015】
確認処理は、処理200の中で、支持材料除去処理中にノズル18が配置される領域に対向して光学センサ38を配置させることにより実行される(ブロック220)。各領域が撮像された後(ブロック224)、制御装置40がこれらの画像データを用いて、支持材料が残る部品の領域を特定する(ブロック228)。全ての領域が特定された後(ブロック228)、支持材料の残る領域に対向してノズル18が配置される新しいクリーニングサイクルを制御装置40が関連付け(ブロック208)、加圧流体の供給源を操作して(ブロック212)、領域内で残る支持材料に追加の加圧流体を吹き付ける。この追加の支持材料への処理は、支持材料の残る全ての領域が吹き付けられるまで続けられる(ブロック216)。次いで、この確認処理が繰り返されて(ブロック220〜ブロック228)、依然として追加の加圧流体の吹付が必要な領域があるかどうかを確認する。必要な領域がある場合、支持材料除去処理が繰り返され(ブロック208〜ブロック216)、支持材料がある全ての部品の領域から支持材料が比較的空になるまで、確認処理が繰り返され(ブロック220〜ブロック228)。
【0016】
図3に示される別の処理では、確認処理と支持材料除去処理が統合されている。図示される通り、加圧流体を領域に吹きかけた後(ブロック212)、光学センサ38を処理領域に対向して配置し、処理領域のデジタル画像データがセンサにより生成される(ブロック218)。この画像データを用いて、支持材料が残っているかどうかを特定し(ブロック244)、 残っている場合(ブロック248)、その領域に向けて追加の加圧流体を再度吹き付ける(ブロック212)。この繰り返しループは、その領域から支持材料が十分に取り除かれるまで続く(ブロック244)。次いで、この処理では、処理するための追加の領域を確認し(ブロック216)、処理するための追加の領域が残っている場合、ノズル18、部品32、または、その両方を移動させて、これらの領域の1つに向かい合わせてノズルを配置し(ブロック208)、これらの領域に加圧流体を吹き付ける(ブロック212)。次いで、画像センサでこれらの領域が撮像されて(ブロック218)、追加の処理が必要かどうかを特定する(ブロック244)。全ての領域が十分にクリーニングされると(ブロック216)、この処理は終了し、容器から部品が取り出される(ブロック254)。