(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、プリンター1(印刷装置)の構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、プリンター1は、スイッチング電源回路10(印刷装置用の電源回路)と、DCDCコンバータ回路11と、印刷制御回路12とを備える。
【0015】
スイッチング電源回路10は、商用交流電源2にケーブル3を介して接続される。スイッチング電源回路10は、例えば、100ボルトの交流電圧が入力され、整流、平滑、及び、電圧変換し、42ボルトの直流電圧を負荷に出力する。スイッチング電源回路10は、商用交流電源2に接続するケーブル3に対し、着脱可能に構成される。スイッチング電源回路10の詳細については、後に説明する。なお、本実施形態において負荷とは、少なくとも、DCDCコンバータ回路11、印刷制御回路、ロジック回路13、及び、印刷部14のいずれか、または、これらをまとめた総称のことを示す。
【0016】
DCDCコンバータ回路11は、入力された電圧を降圧し、降圧した電力を後述するロジック回路13に供給する。例えば、DCDCコンバータ回路11は、42ボルトを3.3ボルトや、5ボルト等の42ボルトより低い電圧に降圧し、降圧した電力をロジック回路13に供給する。
【0017】
印刷制御回路12は、スイッチング電源回路10から入力された電力に基づいて、印刷部14に対する電力の供給を制御する回路である。例えば、印刷制御回路12は、42ボルトの電力が入力され、入力された電力に基づいて、印刷部14の各部に対する電力の供給を制御する。
【0018】
図1に示すように、プリンター1は、ロジック回路13と、印刷部14と、入力部15とを備える。
【0019】
ロジック回路13は、SOC131(制御回路)(外部)と、メモリー132と、を備える。
【0020】
SOC131は、プリンター1の各部を制御する集積回路である。SOC131は、図示しない演算実行部としてCPU等を備える。SOC131には、ROM(不図示)が接続し、このROMはCPUによって実行可能な制御プログラム、及び、制御プログラムに係るデータを不揮発的に記憶する。SOC131はROMが記憶する制御プログラムを実行することによって、印刷部14による印刷の動作を制御するとともに、プリンター1の各部を制御する。
【0021】
メモリー132は、EEPROMやフラッシュメモリー等の半導体記憶素子、或いは、ハードディスク等の記憶媒体を備え、各種データを書き換え可能に不揮発的に記憶する。
【0022】
印刷部14は、搬送モーター141と、キャリッジ移動モーター142と、カッター駆動モーター143と、ヘッド駆動回路144とを備える。
【0023】
搬送モーター141は、搬送ローラー141aを回転させるモーターであり、搬送ローラー141aと接続する。搬送ローラー141aは、印刷媒体を搬送方向に搬送させるローラーである。SOC131は、搬送モーター141に駆動信号を出力し、搬送モーター141を駆動する。搬送モーター141の駆動に応じて、搬送ローラー141aが回転し、搬送ローラー141aの回転に応じて、印刷媒体は、搬送方向に搬送される。
【0024】
キャリッジ移動モーター142は、キャリッジ142aを印刷媒体の搬送方向と交差する走査方向へ移動させるモーターであり、キャリッジ142aと接続する。キャリッジ142aは、印刷媒体の搬送方向と交差する走査方向に延びたキャリッジ軸(不図示)に支持され、キャリッジ軸(不図示)に沿って、走査方向に印刷ヘッド144aを走査する。SOC131は、キャリッジ移動モーター142に駆動信号を出力し、キャリッジ移動モーター142を駆動する。キャリッジ移動モーター142の駆動に応じて、キャリッジ142aに搭載された印刷ヘッド144aは、走査方向へ移動する。
【0025】
カッター駆動モーター143は、可動刃143aを移動させるモーターであり、可動刃143aと接続する。SOC131は、カッター駆動モーター143に駆動信号を出力し、カッター駆動モーター143を駆動する。カッター駆動モーター143の駆動に応じて、可動刃143aが移動し、印刷媒体は、切断される。
【0026】
ヘッド駆動回路144は、印刷ヘッド144aと接続する。印刷ヘッド144aは、インクジェットヘッドであり、複数色(例えば、CYMKの4色)のノズル列を備える。印刷ヘッド144aは、図示しないインクカートリッジからインクの供給を受けて、各ノズル列に設けられたノズルからインクを吐出して印刷媒体の印刷面にドットを形成して文字や画像等を印刷する。ヘッド駆動回路144は、SOC131の制御で、印刷ヘッド144aのノズルに対応して設けられたアクチュエーターを駆動し、ノズルからインクを吐出させる。ノズルからのインクの吐出に応じて、印刷媒体の印刷面には、ドットが形成される。
【0027】
入力部15は、プリンター1に設けられた操作スイッチや、タッチパネル等の入力手段(不図示)を備え、ユーザーの入力手段に対する操作を検出し、SOC131に出力する。SOC131は、入力部15からの入力に基づいて、入力手段に対する操作に対応する処理を実行する。
【0028】
本実施形態では、プリンター1の動作モードは、通常モードと、待機モードと、オフモードとの3通りである。
【0029】
通常モードとは、プリンター1の各部への電力の供給を維持し、プリンター1が印刷等の動作を実行可能な動作モードを示す。
【0030】
待機モードとは、ユーザーからの印刷開始の指示を待つ動作モードを示す。待機モードでは、例えば、印刷部14が備える搬送モーター141等の各種モーターへの電力の供給が停止される。プリンター1は、ユーザーの操作スイッチ(不図示)に対する操作に基づいて待機モードへの移行の指示を入力部15が検出した場合や、通常モードにおいて印刷等の動作を実行しない期間が所定の期間経過した場合等に、通常モードから待機モードへ移行する。待機モードは、通常モードより消費電力を抑えたモードである。
【0031】
オフモードとは、待機モードより更に消費電力を抑えたモードである。オフモードでは、プリンター1の構成部分のうち消費電力の大きい構成部分への電力の供給が停止され、プリンター1の消費電力が、より抑えられた状態となる。例えば、オフモードにおいて、SOC131を構成するRAM、及び、RAMと、メモリー132は、停止する。プリンター1は、ユーザーの操作スイッチ(不図示)に対する操作に基づいてオフモードへの移行の指示を入力部15が検出した場合に、通常モード、又は、待機モードからオフモードへ移行する。
【0032】
このようにプリンター1の動作モードは、プリンター1の消費電力が異なる。そのため、スイッチング電源回路10は、少なくとも、通常モードと、待機モード、及び、オフモードとで負荷側に出力する出力電圧を異ならせている。例えば、スイッチング電源回路10は、プリンター1の動作モードが通常モードの場合、42ボルトの出力電圧を負荷側に出力し、プリンター1の動作モードがオフモードの場合、1.5ボルト〜3ボルトの出力電圧を負荷側に出力する。なお、負荷側とは、スイッチング電源回路10が電力を出力する側を示し、DCDCコンバータ回路11や、印刷制御回路12、ロジック回路13、印刷部14等が配置される側のことである。
【0033】
そこで、従来、プリンター1は、通常モードと、待機モード、及び、オフモードとで負荷側に出力する出力電圧を異ならせるスイッチング電源回路10aを備える。
【0034】
図2は、従来のスイッチング電源回路10aの構成を示す図である。
【0035】
図2に示すように、スイッチング電源回路10aは、1次側回路5Aaと、2次側回路5Baとを有する。スイッチング電源回路10aは、1次側回路5Aaに商用交流電源2が接続され、2次側回路5Baに負荷6が接続される。スイッチング電源回路10aは、商用交流電源2から1次側回路5Aaに入力される入力電圧Vinを、出力電圧Voutに変換し、出力電圧Voutを負荷6に出力する。
【0036】
1次側回路5Aaは、商用交流電源2に接続される整流回路S1aと、電解コンデンサーC1aと、トランスTRaの1次巻線L1aと、スイッチング回路K1aとを有する。1次側回路5Aaでは、交流電圧である入力電圧Vinが、整流回路S1a、及び、電解コンデンサーC1aによって整流、及び、平滑化される。さらに、1次側回路5Aaは、スイッチング回路K1aのスイッチング動作によって、1次巻線L1aに印加される電圧が制御されるスイッチング方式の回路として構成される。
【0037】
スイッチング回路K1aは、制御IC(Integrated Circuit)51aと、トランジスターQ1aとを備える。本実施形態では、トランジスターQ1aにFETを用いる。制御IC51aは、後述するフォトカプラーPcaの出力に応じて、トランジスターQ1aのゲートに入力する電圧を変化させる。具体的には、制御IC51aは、トランジスターQ1aのゲートにパルス電圧を出力し、トランジスターQ1aをオンオフさせる。これにより、トランジスターQ1aは、オンオフの動作であるスイッチング動作を行う。制御IC51aは、フォトカプラーPcaの出力に応じてパルス幅を制御することにより、トランジスターQ1aのオンオフの期間を制御する。制御IC51aは、後述するフィードバック電圧が印加されるFB端子と、トランジスターQ1aのゲートにパルス電圧を出力するOUT端子と、出力電流の検出結果を示す検出電圧が印加されるCS端子を備える。なお、スイッチング回路K1aがスイッチング動作を実行することは、1次側回路5Aaがスイッチング動作を実行することに相当する。
【0038】
2次側回路5Baは、トランスTRaの2次側の巻線である2次巻線L2aと、整流素子S2aと、電解コンデンサーC2aとを含む。1次側回路5Aaの1次巻線L1aに電圧が印加されると、2次巻線L2aに1次巻線L1aの巻線数と2次巻線L2aの巻線数との比に応じた電圧が誘起される。2次巻線L2aに誘起された電圧は、整流素子S2a、及び、電解コンデンサーC2aによって、整流、及び、平滑化され、負荷6に出力される。
【0039】
スイッチング電源回路10aでは、スイッチング回路K1aのスイッチング動作によって、1次巻線L1aに印加される電圧が変化すると、2次巻線L2aに誘起される電圧が変化し、2次側回路5Baの出力電圧Voutが変化する。
【0040】
2次側回路5Baは、出力端子OUTaと出力端子GNDaとの間に、抵抗R1a、及び、抵抗R2aを備える。抵抗R1aと抵抗R2aとは、直列に接続する。抵抗R1aは、一端が出力端子OUTaと接続し、他端がノードP1aにおいて抵抗R2aの一端と接続する。抵抗R2aは、一端がノードP1aにおいて抵抗R1aと接続し、他端が出力端子GNDaと接続する。
【0041】
ノードP1aには、シャントレギュレーターSRaが接続する。シャントレギュレーターSRaは、内部に、2.5ボルト等の所定の基準電圧を生成する基準電圧回路を備える。シャントレギュレーターSRaは、例えばICで構成され、2次巻線L2aの両端の電圧が抵抗R1aと抵抗R2aとにより分圧されたノードP1aにおける電圧(以下、「P1a電圧」と表現する)と、内部の基準電圧回路が生成した基準電圧とを比較する。ここでのP1a電圧は、出力電圧Voutを抵抗R1aと抵抗R2aとにより分圧した電圧である。シャントレギュレーターSRaは、カソードがノードP2aにおいて抵抗R3の一端と接続し、アノードが出力端子GNDaと接続する。
【0042】
ノードP2aには、抵抗R3a(供給抵抗)の一端が接続する。抵抗R3aは、シャントレギュレーターSRaに一定の電流を供給するための抵抗であり、一端がノードP2aにおいてシャントレギュレーターSRaのカソードと接続し、他端が出力端子OUTaに接続する。
【0043】
一般に、シャントレギュレーターSRaは、動作(基準電圧の生成や、比較等)の精度を担保するため、所定の電流値以上の電流値(例えば、1mA)の電流の供給を受けることが必要である。抵抗R3の抵抗値は、シャントレギュレーターSRaの動作の精度を担保するために十分な電流値(例えば、1mA)の電流をシャントレギュレーターSRaに供給可能な抵抗値である。
【0044】
シャントレギュレーターSRaのカソードと、出力端子OUTaとの間には、フォトカプラーPca(フィードバック回路)の発光ダイオードDpaが接続される。
【0045】
2次側回路5Ba側の出力電圧Voutが上昇し、P1a電圧が基準電圧を上回る場合、シャントレギュレーターSRaは、カノードからアノードの方向に電流を流す。これにより、シャントレギュレーターSRaは、フォトカプラーPcaを構成する発行ダイオードDpaに電流を流す。そして、発行ダイオードDpaに電流が流れると、発光ダイオードDpaは、発光する。発光ダイオードDpaから発光された光は、発光ダイオードDpaとともにフォトカプラーPcを構成するフォトトランジスターQpaによって受光される。そして、フォトトランジスターQpaが、発行ダイオードDpaから発行された光を受光すると、フォトトランジスターQpaのコレクターとエミッターとの間には、フィードバック電流が流れる。フォトトランジスターQpaにフィードバック電流が流れると、制御IC51aのFB端子には、フィードバック電流に基づくフィードバック電圧が印加される。制御IC51aは、FB端子に印加されるフィードバック電圧に基づいて、1次巻線L1aに印加される電圧が減少するように、トランジスターQ1aに出力するパルスを制御し、出力電圧Voutを降下させる。
【0046】
一方、出力電圧Voutが降下し、P1a電圧が基準電圧を下回る場合、シャントレギュレーターSRaは、フォトカプラーPcaに電流を流さない。このため、フォトトランジスターQpaのコレクター、エミッター間には、フィードバック電流が流れない。これにより、制御IC51aは、1次巻線L1aに印加される電圧が増加するようトランジスターQ1aを制御し、出力電圧Voutを上昇させる。
【0047】
なお、フォトカプラーPcaがフィードバック電圧をFB端子に印加すること、及び、フィードバック電圧をFB端子に印加しないことは、P1a電圧とシャントレギュレーターSRaの基準電圧との比較結果を1次側回路5Aaにフィードバックすることに相当する。
【0048】
このように、シャントレギュレーターSRaは、P1a電圧が基準電圧を上回る場合に、出力電圧Voutを降下させ、P1a電圧が基準電圧を下回る場合に出力電圧Voutを上昇させる。つまり、シャントレギュレーターSRaは、P1a電圧と基準電圧とが等しくなるよう出力電圧Voutを制御することで、出力電圧Voutが一定の電圧となるよう制御する定電圧制御を実行する。
【0049】
前述した通り、制御IC51aは、CS端子を備える。CS端子には、抵抗R4aが接続する。抵抗R4aには、出力電流に対し、1次巻線L1aの巻線数と2次巻線L2aの巻線数との比に応じた電流が流れる。抵抗R4aは、当該電流を電圧に変換し、CS端子には、当該電圧が、出力電流の検出結果を示す検出電圧として印加される。制御IC51aは、CS端子に印加される検出電圧と、FB端子に印加されるフィードバック電圧とを比較し、比較結果に基づいてトランジスターQ1aをオンにする期間を設定する。
【0050】
ノードP2aには、制御信号回路K2aが接続する。制御信号回路K2aは、抵抗R5を有する。抵抗R5aは、一端がノードP2aに接続し、他端が制御端子STに接続する。制御端子STは、SOC131、または、入力部15が制御する端子である。SOC131、または、入力部15は、制御端子STに、所定の電圧レベルであるPSC信号(制御信号)を入力する。制御信号回路K2aは、SOC131から制御端子STを介して入力されたPSC信号を、フォトカプラーPcaに出力することで、2次側回路5Baの出力電圧Voutを制御する。
【0051】
例えば、SOC131、または、入力部15が、「Low」レベルのPSC信号を制御端子STに入力した場合、制御信号回路K2aは、当該PSC信号をフォトカプラーPcaに出力する。フォトカプラーPcaは、「Low」レベルのPSC信号が入力されると、発行ダイオードDpaに電流が流れる。これにより、フォトカプラーPcaを構成する発光ダイオードDpaは、発光する。そして、上述したように、フォトトランジスターQpaが、発行ダイオードDpaから発行された光を受光することで、フォトトランジスターQpaのコレクターとエミッターとの間には、フィードバック電流が流れる。そして、FB端子にフィードバック電圧が印加され、制御IC51aは、FB端子に印加されるフィードバック電圧に基づいて、1次巻線L1aに印加される電圧が減少するように、トランジスターQ1aに出力するパルスを制御し、出力電圧Voutを降下させる。
【0052】
プリンター1の動作モードが、待機モード、又は、オフモードである場合、SOC131は、「Low」レベルのPSC信号を、制御信号回路K2aに入力する。これにより、SOC131は、上述したように2次側回路5Baの出力電圧Voutが降下するため、出力電圧Voutを低電圧にすることができる。本実施形態では、低電圧とは、通常モードにおけるスイッチング電源回路10の出力電圧Voutより低い電圧であり、より詳細には、待機モード、又は、オフモードにおいてスイッチング電源回路10が出力する出力電圧Voutのことである。
【0053】
ここで、PSC信号により、2次側回路5Baの出力電圧Voutが低電圧である場合、出力電圧VoutがPSC信号により制御されているため、シャントレギュレーターSRaによる出力電圧Voutの制御は、不要である。したがって、PSC信号により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、シャントレギュレーターSRaに抵抗R3aを介して動作用の電流を供給することは、シャントレギュレーターSRaに無駄に電流を供給することになる。また、抵抗R3aを介して、シャントレギュレーターSRaに電流を供給するため、PSC信号により2次側回路5Baの出力電圧Voutが低電圧である場合、抵抗R3aでは、無駄な電力が消費されることになる。また、前述した通り、ノードP2aでは、抵抗R3aと抵抗R5aとが接続する。そのため、PSC信号により2次側回路5Baの出力電圧Voutが低電圧である場合、抵抗R3aを介してシャントレギュレーターSRaに電流を供給すると、抵抗R5aに当該電流が流入し、抵抗R5aでも、無駄な電力が消費されることになる。
【0054】
そこで、本実施形態のスイッチング電源回路10は、以下の構成を具備する。
【0055】
図3は、本実施形態のスイッチング電源回路10の構成を示す図である。
【0056】
図3に示すように、スイッチング電源回路10は、1次側回路5Aと、2次側回路5Bとを有する。スイッチング電源回路10は、1次側回路5Aに商用交流電源2が接続され、2次側回路5Bに負荷6が接続される。スイッチング電源回路10は、商用交流電源2から1次側回路5Aに入力される入力電圧Vinを、出力電圧Voutに変換し、出力電圧Voutを負荷6に出力する。
【0057】
1次側回路5Aは、商用交流電源2に接続される整流回路S1と、電解コンデンサーC1と、トランスTRaの1次巻線L1と、スイッチング回路K1とを有する。整流回路S1は、
図2の整流回路S1aに対応する。また、電解コンデンサーC1は、
図2の電解コンデンサーC1aに対応する。また、トランスTRは、
図2のトランスTRaに対応する。また、スイッチング回路K1は、
図2のスイッチング回路K1aに対応する。
【0058】
スイッチング回路K1は、
図2の制御IC51aに対応する制御IC51と、
図2のトランジスターQ1aに対応するトランジスターQ1とを備える。本実施形態では、トランジスターQ1にFETを用いる。制御IC51は、トランジスターQ1のゲートにパルス電圧を出力し、トランジスターQ1をオンオフさせる。これにより、トランジスターQ1は、スイッチング動作を行う。制御IC51は、
図2のフォトカプラーPcaに対応するフォトカプラーPcの出力に応じてパルス幅を制御することにより、トランジスターQ1のオンオフの期間を制御する。制御IC51は、フィードバック電圧が印加されるFB端子と、トランジスターQ1のゲートにパルス電圧を出力するOUT端子と、出力電流の検出結果を示す検出電圧が印加されるCS端子を備える。なお、スイッチング回路K1がスイッチング動作を実行することは、1次側回路5Aがスイッチング動作を実行することに相当する。
【0059】
2次側回路5Bは、トランスTRの2次側の巻線である2次巻線L2と、整流素子S2と、電解コンデンサーC2とを含む。2次巻線L2は、
図2の2次巻線L2aに対応し、整流素子S2は、
図2の整流素子S2aに対応し、電解コンデンサーC2は、
図2の電解コンデンサーC2aに対応する。1次側回路5Aの1次巻線L1に電圧が印加されると、2次巻線L2に1次巻線L1の巻線数と2次巻線L2の巻線数との比に応じた電圧が誘起される。2次巻線L2に誘起された電圧は、整流素子S2、及び、電解コンデンサーC2によって、整流、及び、平滑化され、負荷6に出力される。
【0060】
スイッチング電源回路10では、
図2のスイッチング電源回路10aと同様、スイッチング回路K1のスイッチング動作によって、1次巻線L1に印加される電圧が変化すると、2次巻線L2に誘起される電圧が変化し、2次側回路5Bの出力電圧Voutが変化する。
【0061】
2次側回路5Bは、出力端子OUTと出力端子GNDとの間に、抵抗R1、及び、抵抗R2を備える。出力端子OUTは、
図2の出力端子OUTaに対応し、出力端子GNDは、
図2の出力端子GNDaに対応し、抵抗R1は、
図2の抵抗R1aに対応し、抵抗R2は、
図2の抵抗R2aに対応する。抵抗R1と抵抗R2とは、直列に接続する。抵抗R1は、一端が出力端子OUTと接続し、他端がノードP1において抵抗R2の一端と接続する。抵抗R2は、一端がノードP1において抵抗R1と接続し、他端が出力端子GNDと接続する。
【0062】
ノードP1には、
図2のシャントレギュレーターSRaに対応するシャントレギュレーターSRが接続する。シャントレギュレーターSRは、所定の基準電圧を生成する基準電圧回路を備える。シャントレギュレーターSRは、例えばICで構成され、2次巻線L2の両端の電圧が抵抗R1と抵抗R2とにより分圧されたノードP1における電圧(以下、P1電圧と表現する)と、内部の基準電圧回路が生成した基準電圧とを比較する。ここでのP1電圧は、出力電圧Voutを抵抗R1と抵抗R2とを分圧した電圧である。シャントレギュレーターSRは、カソードがノードP2と接続し、アノードが出力端子GNDと接続する。
【0063】
ノードP2には、
図2の抵抗R3aに対応する抵抗R3(供給抵抗)の一端が接続する。抵抗R3は、シャントレギュレーターSRに一定の電流を供給するための抵抗であり、一端がノードP2を介してシャントレギュレーターSRのカソードに接続する。
【0064】
シャントレギュレーターSRのカソードと、出力端子OUTとの間には、フォトカプラーPc(フィードバック回路)の発光ダイオードDpが接続される。発行ダイオードDpは、
図2の発行ダイオードDpaに対応する。
【0065】
2次側回路5B側の出力電圧Voutが上昇し、分圧電圧が基準電圧を上回る場合、シャントレギュレーターSRは、カノードからアノードの方向に電流を流す。これにより、シャントレギュレーターSRは、フォトカプラーPcの発行ダイオードDpに電流を流す。これにより、フォトカプラーPcを構成する発光ダイオードDpは、発光する。発光ダイオードDpから発光された光は、発光ダイオードDpとともにフォトカプラーPcを構成するフォトトランジスターQpによって受光される。なお、フォトトランジスターQpは、
図2のフォトトランジスターQpaに対応する。そして、フォトトランジスターQpが、発行ダイオードDpから発行された光を受光すると、フォトトランジスターQpのコレクターとエミッターとの間にフィードバック電流が流れる。フォトトランジスターQpにフィードバック電流が流れると、制御IC51のFB端子には、フィードバック電流に基づくフィードバック電圧が印加される。制御IC51は、FB端子に印加されるフィードバック電圧に基づいて、1次巻線L1に印加される電圧が減少するように、トランジスターQ1に出力するパルスを制御し、出力電圧Voutを降下させる。
【0066】
一方、出力電圧Voutが降下し、分圧電圧が基準電圧を下回る場合、シャントレギュレーターSRは、フォトカプラーPcに電流を流さない。このため、フォトトランジスターQpのコレクター、エミッター間にフィードバック電流が流れない。これにより、制御IC51は、1次巻線L1に印加される電圧が増加するようトランジスターQ1を制御し、出力電圧Voutを上昇させる。
【0067】
なお、フォトカプラーPcがフィードバック電圧をFB端子に印加すること、及び、フィードバック電圧をFB端子に印加しないことは、P1電圧とシャントレギュレーターSRの基準電圧との比較結果を1次側回路5Aにフィードバックすることに相当する。
【0068】
このように、シャントレギュレーターSRは、
図2のシャントレギュレーターSRaと同様に、定電圧制御を実行する。
【0069】
前述した通り、制御IC51は、CS端子を備える。CS端子には、
図2の抵抗R4aに対応する抵抗R4が接続する。抵抗R4には、出力電流に対し、1次巻線L1の巻線数と2次巻線L2の巻線数との比に応じた電流が流れる。抵抗R4は、当該電流を電圧に変換し、CS端子には、当該電圧が、出力電流の検出結果を示す検出電圧として印加される。制御IC51は、CS端子に印加される検出電圧と、FB端子に印加されるフィードバック電圧とを比較し、比較結果に基づいてトランジスターQ1をオンにする期間を設定する。
【0070】
ノードP2には、
図2の制御信号回路K2aに対応する制御信号回路K2が接続する。制御信号回路K2は、
図2の抵抗R5aに対応する抵抗R5を有する。抵抗R5は、一端がノードP2に接続し、他端が制御端子STに接続する。SOC131、または、入力部15は、制御端子STに、所定の電圧レベルであるPSC信号(制御信号)を入力する。制御信号回路K2は、
図2の制御信号回路K2aと同様、SOC131、または、入力部15から制御端子STを介して入力されたPSC信号を、フォトカプラーPcに出力することで、2次側回路5Bの出力電圧Voutを制御する。
【0071】
図3に示すように、出力端子OUTと出力端子GNDとの間には、スイッチ回路K3が接続する。スイッチ回路K3は、トランジスターQ2と、抵抗R6と、抵抗R7とを有する。本実施形態では、トランジスターQ2は、pnp型のバイポーラトランジスターを用いる。トランジスターQ2は、エミッターが出力端子OUTに接続し、ベースがノードP3に接続し、コレクターが抵抗R3の一端と接続する。ノードP3には、抵抗R6の一端と、抵抗R7の一端とが接続する。抵抗R6は、一端がトランジスターQ2のエミッターと接続し、他端がノードP3に接続する。抵抗R7は、一端がノードP3に接続し、他端が出力端子GNDに接続する。つまり、抵抗R6と抵抗R7とは、直列に接続する。
【0072】
トランジスターQ2は、ベースに出力される電圧に基づき、オンオフの動作を実行する。ここでいうベースに出力される電圧とは、ノードP3の電圧である。ノードP3の電圧は、抵抗R6と抵抗R7とにより出力電圧Voutが分圧された電圧で、トランジスターQ2のベースとエミッターとの間の飽和電圧でクランプされる(以下、P3電圧と表現する)。トランジスターQ2は、P3電圧が所定の電圧を上回る場合に、オンの動作を実行し、P3電圧が所定の電圧以下である場合に、オフの動作を実行する。このオンオフの動作の境目となるP3電圧を、以下の説明において「閾電圧」と表現する。このトランジスターQ2のオンオフの動作の境目である閾電圧は、抵抗R6と抵抗R7との抵抗値により規定される。本実施形態では、出力電圧Voutが10ボルト以下である場合に、P3電圧が、トランジスターQ2がオフの動作を実行する閾電圧となるように、抵抗R6と抵抗R7との抵抗値は、設定される。
【0073】
次に、本実施形態に係るスイッチング電源回路10を有するプリンター1の動作について説明する。
【0074】
図4は、本実施形態のスイッチング電源回路10の各部を含むプリンター1の各部の状態を示すタイミングチャートである。
図4に示すタイミングチャートAは、SOC131、又は、入力部15により制御された状態を示す。また、
図4に示すタイミングチャートBは、2次側回路5Bの出力電圧Voutの状態を示す。また、
図4に示すタイミングチャートCは、P3電圧の状態を示す。また、
図4に示すタイミングチャートDは、トランジスターQ2のオンオフの状態を示す。また、
図4に示すタイミングチャートEは、抵抗R3への電流の流入の状態を示す。
【0075】
図4の説明において、各タイミングチャートの開始時点では、プリンター1の動作モードが通常モードであるとする。また、
図4の説明において、プリンター1の動作モードが通常モードである場合、出力電圧Voutは、42ボルト(V)であるとする。また、
図4の説明において、プリンター1の動作モードが、オフモード、出力電圧Voutは、2ボルトであるとする。
【0076】
タイミングt1において、プリンター1の動作モードが、通常モードから待機モード、又は、オフモードに移行を開始したとする。前述した通り、ユーザーの操作スイッチ(不図示)に対する操作に基づいて待機モードへの移行の指示を入力部15が検出した場合や、通常モードにおいて印刷等の動作を実行しない期間が所定の期間経過した場合に、プリンター1の動作モードは、通常モードから待機モードに移行する。また、前述した通り、ユーザーの操作スイッチ(不図示)に対する操作に基づいてオフモードへの移行の指示を入力部15が検出した場合に、プリンター1の動作モードは、通常モードからオフモードに移行する。
【0077】
図4のタイミングチャートAに示すように、プリンター1の動作モードが、通常モードから待機モード、又は、オフモードへの移行を開始すると、SOC131は、タイミングt1において、制御端子STに「Low」レベルのPSC信号を出力する。
【0078】
タイミングt1において、SOC131が制御端子STにPSC信号を出力すると、制御信号回路K2は、フォトカプラーPcに「Low」レベルのPSC信号を出力する。フォトカプラーPcは、「Low」レベルのPSC信号が入力されると、フォトカプラーPcを構成する発行ダイオードDpに電流が流れる。これにより、フォトカプラーPcを構成する発光ダイオードDpは、発光する。発行ダイオードDpが発行すると、フォトトランジスターQpは、発行ダイオードDpから発行された光を受光する。フォトトランジスターQpが当該光を受光すると、フォトトランジスターQpのコレクターとエミッターとの間には、フィードバック電流が流れる。そして、FB端子にフィードバック電圧が印加され、制御IC51は、FB端子に印加されるフィードバック電圧に基づいて、1次巻線L1に印加される電圧が減少するように、トランジスターQ1に出力するパルスを制御する。
【0079】
1次巻線L1に印加される電圧が減少すると、
図4のタイミングチャートBに示すように、タイミングt2において、出力電圧Voutは、42ボルトから降下する。
【0080】
タイミングt2以降、出力電圧Voutは、42ボルトから降下する。
【0081】
タイミングt2以降、出力電圧Voutが降下していき、タイミングt3において、出力電圧Voutが10ボルトまで降下したとする。すると、
図4のタイミングチャートCに示すように、P3電圧は、タイミングt3までは、トランジスターQ2のベースとエミッターとの間の飽和電圧を維持している。ここで、βボルトは、出力電圧Voutが10ボルトである場合における、抵抗R6と抵抗R7とにより分圧されたP3電圧の電圧値であり、本実施形態では、閾電圧である。
【0082】
前述した通り、本実施形態では、出力電圧Voutが10ボルト以下である場合に、P3電圧が、トランジスターQ2がオフの動作を実行する閾電圧となるように、抵抗R6と抵抗R7との抵抗値は、設定される。したがって、P3電圧がトランジスターQ2のベースとエミッターとの間の飽和電圧を下回ると、
図4のタイミングチャートDに示すように、タイミングt3において、トランジスターQ2は、オフの動作を実行する。そして、トランジスターQ2がオフの動作を実行すると、
図4のタイミングチャートEに示すように、タイミングt3において、抵抗R3への電流の流入は、オフになる。
【0083】
タイミングt3以降、トランジスターQ2は、オフの動作を実行する。また、タイミングt3以降、抵抗R3への電流の流入は、オフになる。
【0084】
タイミングt3以降、さらに出力電圧Voutが降下すると、
図4のタイミングチャートAに示すように、出力電圧Voutは、2ボルトまで降下する。そして、出力電圧Voutの降下に伴い、P3電圧は、タイミングt4において、γボルトまで降下する。ここで、γボルトは、出力電圧Voutが2ボルトである場合における、抵抗R6と抵抗R7とにより分圧されたP3電圧の電圧値である。なお、γボルトは、βボルトより電圧値が低く、ほぼ0ボルトである。タイミングt4においても、P3電圧がβボルトを下回っているため、トランジスターQ2は、オフの動作を実行している。そして、抵抗R3への電流の流入は、オフのままである。
【0085】
このように、PSC信号の入力により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、抵抗R3への電流の流入は、オフになる。すなわち、トランジスターQ2を含むスイッチ回路K3は、PSC信号の入力により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、シャントレギュレーターSRへの電流の供給をオフにして抵抗R5への電流を減少させる。
【0086】
前述した通り、PSC信号により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、出力電圧VoutがPSC信号により制御されているため、シャントレギュレーターSRaによる出力電圧Voutの制御は、不要である。そこで上述したように、PSC信号により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、トランジスターQ2がオフの動作を実行することで、抵抗R3への電流の流入をオフにし、シャントレギュレーターSRへの電流の供給をオフにして抵抗R5への電流を減少させる。これにより、スイッチング電源回路10は、PSC信号により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合において、シャントレギュレーターSRと抵抗R5に無駄な電流が供給されることを防止できる。
【0087】
また、トランジスターQ2は、PSC信号により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、抵抗R3への電流の流入をオフにすることで、シャントレギュレーターSRへの電流の供給をオフにする。つまり、PSC信号により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、抵抗R3において無駄な電力が消費されることが無い。また、抵抗R3への電流の流入がオフになるため、抵抗R5にも電流が流入することがない。したがって、PSC信号により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、抵抗R5において無駄な電力が消費されることが無い。また、抵抗R5への電流が減少したことにより、出力電圧Voutが低下する。出力電圧Voutが低下することで、抵抗R1と抵抗R2への電流が減少する。したがって、スイッチング電源回路10は、PSC信号により、2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合において、消費電力を低減できる。
【0088】
また、本実施形態では、PSC信号により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合とは、プリンター1の動作モードが、待機モード、又は、オフモードのいずれかである場合を示している。待機モードとオフモードとは、消費電力を抑えた動作モードである。そのため、待機モードとオフモードとでは、消費電力が増大することが望まれない。そこで、待機モード、又は、オフモードにおいて、スイッチング電源回路10は、消費電力を削減するため、プリンター1の動作モードが待機モード、又は、オフモードである場合、消費電力が増大することを防止できる。
【0089】
また、スイッチ回路K3は、トランジスターQ2と抵抗R6と抵抗R7とを備えており、出力電圧Voutが、抵抗R6と抵抗R7とにより規定される閾電圧に対応する電圧以下になった場合、トランジスターQ2がオフの動作を実行する。より詳細には、スイッチ回路K3は、出力電圧Voutが、閾電圧であるβボルトに対応する10ボルト以下になった場合、トランジスターQ2がオフの動作を実行する。つまり、出力電圧Voutの降下に伴い、自動で、シャントレギュレーターSRへの電流の供給がオフになる。ここで、トランジスターQ2をオフにするため、外部からオフにする信号をトランジスターQ2のベースに出力する構成が考えらえる。しかしながら、外部からトランジスターQ2をオフにする信号を出力するにしても、信号を出力するために、電力が消費されることになる。これでは、待機モード、又は、オフモードにおいて、消費電力が増加してしまう。また、スイッチ回路K3の外部からトランジスターQ2を制御するためには、スイッチ回路K3の外部にトランジスターQ2を制御する構成を具備することが必要となる場合がある。そこで、本実施形態では、出力電圧Voutの降下に伴い、自動で、トランジスターQ2がオフする。これにより、スイッチング電源回路10は、待機モード、又は、オフモードにおいて、消費電力が増加することを防止し、且つ、簡易な構成で、シャントレギュレーターSRに対する電流の供給をオフにできる。
【0090】
図4に示すタイミングチャートの説明に戻り、タイミングt5において、プリンター1の動作モードが、待機モード、又は、オフモードから通常モードに移行を開始したとする。例えば、ユーザーの操作スイッチ(不図示)に対する操作に基づいて通常モードへの移行の指示を入力部15が検出した場合や、待機モードにおいて印刷等の動作の実行の指示を受け付けた場合に、プリンター1は、動作モードを、待機モードから通常モードに移行させる。また、例えば、ユーザーの操作スイッチ(不図示)に対する操作に基づいて通常モードへの移行の指示を入力部15が検出した場合に、プリンター1は、動作モードを、オフモードから通常モードに移行させる。
【0091】
図4のタイミングチャートAに示すように、プリンター1の動作モードが、待機モード、又は、オフモードから通常モードへの移行を開始すると、SOC131は、タイミングt5において、制御端子STに「Low」レベルのPSC信号の出力を停止する。
【0092】
SOC131が制御端子STにPSC信号の出力を停止すると、制御信号回路K2は、フォトカプラーPcへのPSC信号の出力を停止する。すると、フォトカプラーPcを構成する発光ダイオードDpは、発光を停止し、フォトトランジスターQpのコレクターとエミッターとの間には、フィードバック電流が流れなくなる。そして、FB端子にフィードバック電圧が印加されなくなり、制御IC51は、1次巻線L1に印加される電圧が増加するように、トランジスターQ1に出力するパルスを制御する。
【0093】
1次巻線L1に印加される電圧が増加すると、
図4のタイミングチャートBに示すように、タイミングt6において、出力電圧Voutは、2ボルトから上昇する。また、タイミングt6において、出力電圧Voutが2ボルトから上昇すると、
図4のタイミングチャートCに示すように、P3電圧は、γボルトから上昇する。
【0094】
タイミングt6以降、出力電圧Voutは、2ボルトから上昇する。また、P3電圧は、出力電圧Voutの上昇に伴い、タイミングt6以降、γボルトから上昇する。
【0095】
タイミングt6以降、出力電圧Voutの上昇していき、タイミングt7において、出力電圧Voutが10ボルトまで上昇したとする。すると、
図4のタイミングチャートCに示すように、P3電圧は、タイミングt7において、βボルトまで上昇する。
【0096】
前述した通り、本実施形態では、出力電圧Voutが10ボルト以下である場合に、P3電圧が、トランジスターQ2をオフにする閾電圧となるように、抵抗R6と抵抗R7との抵抗値は、設定される。したがって、P3電圧がβボルトを上回る電圧まで上昇すると、
図4のタイミングチャートDに示すように、タイミングt7において、トランジスターQ2は、オンの動作を実行する。そして、トランジスターQ2がオンの動作を実行すると、
図4のタイミングチャートEに示すように、タイミングt7において、抵抗R3への電力の供給は、オンになる。
【0097】
タイミングt7以降、トランジスターQ2は、オンの動作を実行する。また、タイミングt7以降、抵抗R3への電流の流入は、オンになる。これにより、タイミングt7以降、シャントレギュレーターSRに電流が供給されることになり、シャントレギュレーターSRは、定電圧制御の実行が可能となる。
【0098】
タイミングt7以降、さらに出力電圧Voutが上昇すると、
図4のタイミングチャートAに示すように、出力電圧Voutは、42ボルトまで上昇する。タイミングt8においても、P3電圧がトランジスターQ2のベースとエミッターとの間の飽和電圧であるため、トランジスターQ2は、オンの動作を実行している。そして、抵抗R3への電流の流入は、オンのままである。
【0099】
以上、説明したように、プリンター1(印刷装置)は、スイッチング電源回路10を備える。スイッチング電源回路10は、スイッチング動作を実行する1次側回路5Aと、シャントレギュレーターSRを有し、負荷6に電力を出力する2次側回路5Bと、2次側回路5Bが出力する出力電圧VoutとシャントレギュレーターSRの基準電圧との比較結果を1次側回路5Aにフィードバックし、2次側回路5Bの出力電圧Voutを制御するフォトカプラーPc(フィードバック回路)と、SOC131(外部)から入力されるPSC信号(制御信号)をフォトカプラーPcに出力して2次側回路5Bの出力電圧Voutを制御する制御信号回路K2と、PSC信号の入力により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、シャントレギュレーターSRへの電流の供給をオフにするスイッチ回路K3と、を有する。
【0100】
前述した通り、PSC信号により、2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、出力電圧VoutがPSC信号により制御されているため、シャントレギュレーターSRによる出力電圧Voutの制御は、不要である。そこで、スイッチング電源回路10は、PSC信号により、2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、シャントレギュレーターSRへの電流の供給をオフにするスイッチ回路K3を備える。これにより、PSC信号により、2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合に、シャントレギュレーターSRに無駄な電流が供給されることを防止できる。したがって、スイッチング電源回路10は、PSC信号により、2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合に、シャントレギュレーターSRへの電流の供給を適切に制御できる。
【0101】
また、プリンター1は、PSC信号を制御信号回路K2に入力するSOC131(制御回路)を備える。SOC131は、プリンター1の動作モードが、オフモード、又は、待機モードの少なくともいずれかである場合に、制御信号回路K2にPSC信号を出力し、2次側回路5Bの出力電圧Voutを低電圧にさせる。
【0102】
このように、プリンター1の動作モードが、オフモード、又は、待機モードの少なくともいずれかである場合、SOC131が制御信号回路K2にPSC信号を出力して、2次側回路5Bの出力電圧Voutを低電圧にする。そのため、スイッチング電源回路10は、プリンター1の動作モードが、オフモード、又は、待機モードの少なくともいずれかである場合において、シャントレギュレーターSRに対する電流の供給を適切に制御できる。
【0103】
また、スイッチ回路K3は、トランジスターQ2と抵抗R6と抵抗R7とを備える。トランジスターQ2は、2次側回路5Bの出力電圧Voutが、抵抗R6と抵抗R7とにより規定される閾電圧に対応する電圧以下となった場合、シャントレギュレーターSRへの電流の供給をオフにして抵抗R5への電流を減少させる。
【0104】
このように、2次側回路5Bの出力電圧Voutが、抵抗R6と抵抗R7とにより規定される閾電圧に対応する電圧以下となった場合に、トランジスターQ2がシャントレギュレーターSRへの電流の供給をオフにする。つまり、スイッチング電源回路10は、2次側回路5Bの出力電圧Voutの低下に伴い、自動で、シャントレギュレーターSRへの電流の供給をオフにする。そのため、プリンター1は、スイッチ回路K3の外部からトランジスターQ2を制御する構成を具備する必要がなく、トランジスターQ2を制御する際に電力を消費しない。したがって、スイッチング電源回路10は、消費電力が増加することを防止し、且つ、簡易な構成で、シャントレギュレーターSRに対する電流の供給を適切に制御できる。また、消費電力の低減が望まれるオフモードにおいて、消費電力が増加することを防止できる。
【0105】
また、2次側回路5Bは、一定の電流をシャントレギュレーターSRに供給するための抵抗R3(供給抵抗)を介して、シャントレギュレーターSRに電流を供給可能に構成される。スイッチ回路K3は、PSC信号により2次側回路5Bの出力電圧Voutが低電圧である場合、抵抗R3に対する電流の流入をオフにする。
【0106】
これにより、抵抗R3に対する電流の流入をオフにするため、抵抗R3において電力が消費されることを防止できる。そのため、スイッチ回路K3は、SOC131から入力されたPSC信号により出力電圧Voutが低電圧である場合において、スイッチング電源回路10の消費電力を低減できる。
【0107】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。
【0108】
例えば、上述した実施形態では、スイッチング電源回路10が、プリンター1に内蔵される電源回路として例示した。しかしながら、スイッチング電源回路10は、例えば、ACアダプター等のようなプリンター1の外部の装置に内蔵される電源回路であってもよい。この場合、PSC信号は、プリンター1の外部に出力されることになる。このような場合でも、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0109】
また、例えば、上述した実施形態において、
図3に示した回路構成は一例であって、図に示した回路素子を同数または異なる数のICで置き換える等の構成変更が可能であり、本発明の範囲において任意に変更可能である。
【0110】
また、
図1に示した各機能部は構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に限定されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上述した各実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよい。その他、プリンター1の他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0111】
また、例えば、上述した実施形態において、プリンター1をインクジェットプリンターとして例示したが、これに限定されない。例えば、サーマルプリンターや、ドットインパクトプリンター、レーザープリンター等の他のプリンターでも本発明を適応できる。