特許第6919329号(P6919329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919329
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20210805BHJP
【FI】
   G03G15/20 510
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-100713(P2017-100713)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2017-215581(P2017-215581A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2020年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-107223(P2016-107223)
(32)【優先日】2016年5月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】栗木 寛文
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康雅
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭博
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−210686(JP,A)
【文献】 特開2004−047177(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0294471(US,A1)
【文献】 中国実用新案第203433274(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に現像剤を定着する定着装置であって、
エンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトの外側に配置された回転体と、
前記エンドレスベルトの内側に配置され、前記回転体との間で前記エンドレスベルトを挟む弾性部材と、
前記弾性部材の前記エンドレスベルトと接触する面とは反対側の面に固着され、前記弾性部材よりも剛性が高い固定部材と、を備え、
前記固定部材は、前記弾性部材に固着された固着部を有し、
前記固着部は、記録媒体の搬送方向に直交する断面のうち少なくともいずれかの断面において、前記回転体の軸方向の長さが前記弾性部材の前記軸方向の長さよりも小さく、
前記弾性部材の前記固定部材が固着された部分は、前記固定部材が固着されない部分よりも変形量が小さいことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記固着部は、前記搬送方向に直交する断面のすべてにおいて、前記軸方向の長さが前記弾性部材の前記軸方向の長さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記固定部材を介して前記弾性部材を保持する保持部材を備え、
前記保持部材は、前記固定部材の前記軸方向への移動を規制する規制部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記固定部材は、前記軸方向の長さが前記弾性部材の前記軸方向の長さよりも小さくなっており、
前記保持部材は、前記弾性部材の前記エンドレスベルトと接触する面とは反対側の面を支持する支持面を有し、
前記規制部は、前記固定部材が入り込み可能な凹部であり、前記支持面に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記固着部は、前記弾性部材の前記軸方向における中央部に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記固定部材は、前記軸方向の長さが定着可能な最小サイズの記録媒体の前記軸方向の長さ以下であり、前記弾性部材よりも熱伝導率が大きいことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
前記固着部は、前記弾性部材の前記軸方向における両端部に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
前記固定部材を介して前記弾性部材を保持する保持部材を備え、
前記固定部材は、前記搬送方向において前記弾性部材よりも外側に突出する凸部を有し、
前記保持部材には、前記凸部が係合可能であり、係合した前記凸部と前記エンドレスベルトとの間に配置される壁を有する係合部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
前記固定部材は、前記搬送方向における前記弾性部材の下流側の端に寄せられた状態で配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記固着部は、前記固定部材の前記弾性部材に対向する面全体であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に現像剤を定着する定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に現像剤を定着する定着装置として、例えば、特許文献1には、加熱回転体と、加熱回転体の外周面に接触して回転するエンドレスベルトと、エンドレスベルトをその内周面側から加熱回転体に押し付ける加圧体とを有し、加圧体が、ゴム材料などの弾性材料で形成されるパッド部材を備えるものが知られている。この技術において、パッド部材は、合成樹脂や金属などの材料で形成される硬質のヘッド部材の設置面に接着剤などの手段で固定された状態で設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−231008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、定着装置では、エンドレスベルトと加熱回転体の間に形成されるニップ領域の、記録媒体の搬送方向の長さであるニップ幅を、例えば、加熱回転体の軸方向の両端部を中央部よりも大きくするように設定することで、記録媒体にしわが発生するのを抑えることができる。従来、ニップ幅の設定は、パッド部材を所望の形状に成形することで行われていたが、パッド部材を精度よく所望の形状に成形するのは容易ではないため、ニップ幅の設定が容易ではないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ニップ幅を容易に設定することができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するための本発明は、記録媒体に現像剤を定着する定着装置であって、エンドレスベルトと、エンドレスベルトの外側に配置された回転体と、エンドレスベルトの内側に配置され、回転体との間でエンドレスベルトを挟む弾性部材と、弾性部材のエンドレスベルトと接触する面とは反対側の面に固着され、弾性部材よりも剛性が高い固定部材と、を備える。
固定部材は、弾性部材に固着された固着部を有する。
固着部は、記録媒体の搬送方向に直交する断面のうち少なくともいずれかの断面において、回転体の軸方向の長さが弾性部材の前記軸方向の長さよりも小さい。
【0007】
このような構成によれば、弾性部材のエンドレスベルトと接触する面とは反対側に、固定部材が固着された部分と、固着されない部分ができる。弾性部材の固定部材が固着された部分は、固着部によって拘束されるので変形が抑えられ、固定部材が固着されない部分は、拘束されないので変形量が大きくなる。これにより、回転体の軸方向でニップ幅を変化させることができる。本構成では、固着部の大きさを設定することでニップ幅を設定できるので、例えば、弾性部材の形状によってニップ幅を設定する場合と比較して、ニップ幅を容易に設定することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、定着装置においてニップ幅を容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る定着装置を備えた画像形成装置の断面図である。
図2】軸方向から見た定着装置の断面図(a)と、弾性部材と固定板の拡大断面図(b)である。
図3】加熱ローラ、エンドレスベルト、弾性部材、固定板および保持部材の斜視図である。
図4】固定板と弾性部材を固定板側から見た図である。
図5】搬送方向から見た定着装置の断面図であり、ニップリリース位置を示す図(a)と、ニップ位置を示す図(b)である。
図6】弾性部材の軸方向中央部の変形を説明する図(a)と、弾性部材の軸方向両端部の変形を説明する図(b)である。
図7】第1の変形例に係る固定板と弾性部材の斜視図(a)と、定着装置の拡大断面図(b)である。
図8】第2の変形例に係る定着装置の拡大断面図である。
図9】第3の変形例に係る固定板と弾性部材を固定板側から見た図である。
図10】第4の変形例に係る固定板と弾性部材を固定板側から見た図である。
図11】第5の変形例に係る固定板と弾性部材の斜視図(a)と、固定板と弾性部材を固定板側から見た図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向は、図1における紙面に向かって右側を「前」、紙面に向かって左側を「後」とし、紙面に向かって手前側を「左」、紙面に向かって奥側を「右」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下」とする。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置としてのレーザプリンタ1は、筐体2内に、給紙部3と、露光装置4と、プロセスカートリッジ5と、定着装置8とを主に備えている。
【0012】
給紙部3は、筐体2内の下部に設けられ、記録媒体の一例としての用紙Sが収容される給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5に供給される。
【0013】
露光装置4は、筐体2内の上部に配置され、図示しない光源装置や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。露光装置4では、光源装置から出射される画像データに基づく光ビーム(一点鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0014】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。プロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とを備えている。ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、現像剤の一例としてのトナーを収容する収容部74とを主に備えている。
【0015】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からの光ビームによって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0016】
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に配置されている。トナー像が転写された用紙Sは、定着装置8を通過することでトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙Sは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0017】
図2(a)に示すように、定着装置8は、用紙Sにトナー像を定着するため、加熱ユニット8Aと、加圧ユニット8Bとを主に備えている。そして、加熱ユニット8Aは、回転体の一例としての加熱ローラ81と、ハロゲンランプ82とを主に備えて構成されており、加圧ユニット8Bは、エンドレスベルト83と、弾性部材84と、固定部材の一例としての固定板85と、保持部材86とを主に備えて構成されている。
【0018】
なお、以下の説明においては、加熱ローラ81の軸方向を単に「軸方向」といい、定着装置8での用紙Sの搬送方向を単に「搬送方向」という。軸方向は、エンドレスベルト83の長手方向と同じ方向であり、本実施形態では、左右方向に相当する。また、搬送方向は、軸方向から見て、加熱ローラ81とエンドレスベルト83との間に形成されるニップ領域Nの端同士を結んだ直線(図2(a)の用紙Sを示す直線)が延びる方向であり、本実施形態では、前後方向に相当する。
【0019】
図2(a)および図3に示すように、加熱ローラ81は、軸方向に長い円筒状の部材であり、一例として、アルミニウムなどの金属からなる素管81A(図5参照)の外周面にフッ素樹脂などからなる離型層81Bを形成することで構成されている。加熱ローラ81は、定着装置8の図示しないフレームに回転可能に支持されており、レーザプリンタ1の筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が入力されることで図2の時計回りに回転駆動する。
【0020】
ハロゲンランプ82は、加熱ローラ81を加熱するヒータであり、加熱ローラ81の内側で加熱ローラ81の回転軸線に沿うように配置されている。ハロゲンランプ82は、通電によって発光し、輻射熱によって加熱ローラ81を加熱する。
【0021】
エンドレスベルト83は、軸方向に長い筒状の部材であり、可撓性を有している。エンドレスベルト83は、一例として、ステンレス鋼などの金属やポリイミド樹脂などの樹脂などからなる基材の外周面にフッ素樹脂などからなる離型層を形成することで構成されている。エンドレスベルト83は、加熱ローラ81の回転によって図2の反時計回りに従動回転するように設けられている。
【0022】
なお、エンドレスベルト83の内周面には、グリスなどの潤滑剤が配置されている。これにより、エンドレスベルト83の内周面と弾性部材84の後述する第1面84Aとの摺動性を高めることができるので、エンドレスベルト83を良好に回転させることができるようになっている。
【0023】
弾性部材84は、軸方向に長い矩形の板状の部材であり、ゴムなどの弾性材料から形成されていることで弾性変形可能となっている。弾性部材84は、エンドレスベルト83の内側に配置されている。詳しくは、弾性部材84は、エンドレスベルト83の内周面に対向する第1面84Aがエンドレスベルト83の内周面と接触した状態で、エンドレスベルト83の外側に配置された加熱ローラ81との間でエンドレスベルト83を挟むように配置されている。
【0024】
固定板85は、軸方向に長尺な矩形の板状の部材である。固定板85は、ステンレス鋼などの金属から形成されている。このため、固定板85は、ゴムなどの弾性材料から形成された弾性部材84よりも剛性が高く、また、弾性部材84よりも熱伝導率が大きくなっている。
【0025】
固定板85は、弾性部材84の第1面84Aとは反対側の面である第2面84Bに固着されている。詳しくは、固定板85は、当該固定板85の弾性部材84に対向する面である第3面85Aに固着部85Fを有しており、固着部85Fが接着剤などにより弾性部材84の第2面84Bに固着されている。本実施形態では、固定板85の第3面85Aの略全体が固着部85Fとなっている。つまり、固定板85は、例えば、図2(b)に示すように、第3面85Aの略全体に接着剤87を塗布した上で弾性部材84の第2面84Bに固着されている。
【0026】
図4に示すように、固定板85は、軸方向の長さL51が後述する自然状態(実線参照)における弾性部材84の軸方向の長さL41よりも小さくなっている。本実施形態では、固定板85は、第3面85Aの略全体が固着部85Fとなっているので、言い換えると、固着部85Fは、軸方向の長さL51が弾性部材84の軸方向の長さL41よりも小さくなっている。
【0027】
さらに言えば、固着部85Fは、図4に一点鎖線で示すような搬送方向に直交する平面PLで切った断面のすべてにおいて、長さL51が長さL41よりも小さくなっている。詳しくは、固着部85Fは、当該固着部85Fおよび弾性部材84を、搬送方向の各位置で平面PLにより切った断面のうちすべての断面において、長さL51が長さL41よりも小さくなっている。
【0028】
また、固定板85(固着部85F)は、軸方向の長さL51が、定着装置8で定着可能な最小サイズの用紙Sminの軸方向の長さLSmin以下となっている。
【0029】
また、固定板85(固着部85F)は、搬送方向の長さL52が、自然状態(実線参照)における弾性部材84の搬送方向の長さL42よりも若干小さくなっている。
【0030】
固定板85(固着部85F)は、弾性部材84の軸方向における中央部に配置されている。また、固定板85は、弾性部材84の搬送方向における中央部に配置されている。このため、固定板85は、当該固定板85に直交する方向から見て、弾性部材84の略中央に配置されている。
【0031】
図2(a)および図3に示すように、保持部材86は、固定板85を介して弾性部材84を保持する部材であり、例えば、耐熱性を有する樹脂などから軸方向に長い長尺状に形成されている。保持部材86は、エンドレスベルト83の内側を通るように配置され、軸方向両端部が定着装置8の図示しないフレームによって支持されている。保持部材86は、弾性部材84側の面である支持面86Aと、支持面86Aの略中央に形成された規制部86Bとを主に有している。
【0032】
支持面86Aは、弾性部材84の第2面84Bを支持する面であり、軸方向に長い矩形状の略平らな面として形成されている。
【0033】
規制部86Bは、固定板85が入り込み可能な矩形の凹部であり、固定板85の軸方向および搬送方向への移動を規制する。詳しくは、規制部86Bは、軸方向の長さが固定板85の軸方向の長さL51と略同じ長さであり、搬送方向の長さが固定板85の搬送方向の長さL52と略同じ長さとなっている。また、規制部86Bの深さは、固定板85の厚みと略同じとなっている。これにより、規制部86Bは、固定板85が嵌合可能な凹部として形成されている。
【0034】
固定板85は、当該固定板85の第3面85A(固着部85F)とは反対側の面である第4面85Bを凹部状の規制部86Bの底面に対向させた状態で、規制部86Bに嵌合することにより保持部材86に保持されている。そして、固定板85が保持部材86に保持されていることで、固定板85が固着された弾性部材84は、固定板85を介して保持部材86に保持されている。なお、弾性部材84は、第2面84Bの一部が固定板85の固着部85Fと固着されているが、第2面84Bの残りの部分は、保持部材86など他の部材とは固着されていない。
【0035】
図5(a),(b)に示すように、加熱ユニット8Aおよび加圧ユニット8Bの一方は、他方に対して近接離間する方向に移動可能に支持されている。これにより、加熱ユニット8Aおよび加圧ユニット8Bの一方は、加熱ローラ81とエンドレスベルト83が離間する図5(a)に示すニップリリース位置と、加熱ローラ81とエンドレスベルト83が接触する図5(b)に示すニップ位置との間で移動可能となっている。なお、弾性部材84は、加熱ユニット8Aおよび加圧ユニット8Bの一方が図5(a)に示すニップリリース位置にあるとき、弾性変形しない自然状態となっている。
【0036】
加熱ユニット8Aおよび加圧ユニット8Bの一方がニップ位置にあるとき、加熱ユニット8A(具体的には、加熱ローラ81)および加圧ユニット8B(具体的には、保持部材86)の一方は、他方に向けて付勢されている。これにより、弾性部材84および加熱ローラ81は、エンドレスベルト83を挟んで互いに押圧され、弾性部材84が加熱ローラ81の形状に沿うように弾性変形することで、加熱ローラ81とエンドレスベルト83との間にニップ領域N(図2参照)が形成されている。
【0037】
図6(a)に示すように、弾性部材84の軸方向中央部は、第2面84Bが固定板85の固着部85Fに固着されているため、弾性部材84の大部分は、固着部85Fによってその位置が拘束されている。一方、図6(b)に示すように、弾性部材84の軸方向両端部は、第2面84Bが固定板85(固着部85F)に固着されていないため、拘束されておらず、フリーとなっている。これにより、図6(b)に示す軸方向両端部においては、図6(a)に示す軸方向中央部よりも、弾性部材84の搬送方向への変形量が大きくなっている。
【0038】
その結果、加熱ローラ81とエンドレスベルト83の間に形成されるニップ領域Nの、搬送方向の長さであるニップ幅は、図6および図4に示すように、軸方向両端部のニップ幅L2が軸方向中央部のニップ幅L1よりも大きくなるような略コンケーブ形状となっている。
【0039】
図5(a)に示すように、固定板85(固着部85F)の軸方向の長さL51は、定着装置8で定着可能な図示しない最大サイズの用紙の軸方向の長さLSmaxよりも小さくなっている。また、加熱ローラ81の離型層81Bの軸方向の長さL12は、最大サイズの用紙の軸方向の長さLSmaxよりも大きくなっている。また、自然状態における弾性部材84の軸方向の長さL41は、離型層81Bの軸方向の長さL12よりも大きくなっており、かつ、エンドレスベルト83の軸方向の長さL31よりも小さくなっている。
【0040】
図5(b)に示すように、加熱ユニット8Aおよび加圧ユニット8Bの一方がニップ位置にあって、弾性部材84が弾性変形している状態のとき、当該弾性部材84の軸方向の長さL43は、自然状態における長さL41よりも若干大きくなっている。なお、この場合においても、弾性部材84の軸方向の長さL43は、エンドレスベルト83の軸方向の長さL31よりは小さい。
【0041】
以上説明した本実施形態によれば、弾性部材84の第2面84Bに、固定板85が固着された部分と、固着されない部分ができることで、弾性部材84の固定板85が固着された部分は、固着部85Fによって拘束されるので変形が抑えられ、固定板85が固着されない部分は、拘束されないので変形量が大きくなる。これにより、軸方向でニップ幅を変化させることができる。そして、本実施形態によれば、固着部85Fの大きさ、つまり、固定板85の大きさを適宜設定することでニップ幅を設定できるので、弾性部材の形状によってニップ幅を設定する場合と比較して、ニップ幅を容易に設定することができる。
【0042】
また、固定板85(固着部85F)の軸方向の長さL51が弾性部材84の軸方向の長さL41よりも小さいので、軸方向における固定板85が配置された部分と、固定板85が配置されていない部分との間で、ニップ幅の差を大きくすることができる。
【0043】
また、保持部材86が固定板85の軸方向への移動を規制する規制部86Bを有するので、固定板85および弾性部材84の軸方向の位置を良好に決めることができる。これにより、軸方向においてニップ幅を変化させる箇所を良好に規定することができる。
【0044】
また、規制部86Bは固定板85が入り込み可能な凹部であるので、固定板85を規制部86B内に配置することで、固定板85および弾性部材84の軸方向の位置を容易に決めることができ、これによって、軸方向においてニップ幅を変化させる箇所を容易に規定することができる。また、支持面86Aに固定板85が入り込み可能な凹状の規制部86Bが形成されていることで、弾性部材84の第2面84Bのうち固定板85が配置されていない部分を支持面86Aで安定して支持することができる。これにより、固定板85が配置された部分と配置されていない部分とのニップ圧の差を小さくすることができる。
【0045】
また、固着部85Fが弾性部材84の軸方向中央部に配置されていることで、弾性部材84の軸方向両端部が搬送方向に変形しやすくなるため、軸方向両端部のニップ幅L2を中央部のニップ幅L1よりも大きくすることができる。これにより、ニップ領域Nで、用紙Sの軸方向両端部の搬送速度を中央部よりも大きくできるので、用紙Sに軸方向外側に引っ張られるような力が作用し、加熱ローラ81とエンドレスベルト83の間から排出される用紙Sにしわができるのを抑制することができる。
【0046】
また、弾性部材84よりも熱伝導率が大きい固定板85が軸方向の中央部に配置されているので、ニップ領域Nの軸方向における端部の温度上昇を抑えることができる。詳しくは、小サイズの用紙Sを定着する場合には、ニップ領域Nに、用紙Sが通過して熱が用紙Sに奪われる領域と、軸方向の端部の用紙Sが通過しないことで熱が奪われない領域とができるため、弾性部材84などの軸方向の端部の温度が高くなる傾向がある。本実施形態では、軸方向の中央部に配置された固定板85の熱伝導率が弾性部材84よりも大きいことで、熱が弾性部材84の端部から中央部に向けて移動しやすくなっているので、弾性部材84の温度が軸方向で均一化され、端部の温度上昇を抑えることができる。また、熱が軸方向の中央部に集まることで、中央部の温度が低くなりすぎず、安定するので、定着を良好に行うことができる。
【0047】
また、固定板85の第3面85Aの略全体が固着部85Fであるため、ニップ幅を容易かつ精度よく設定することができる。詳しくは、弾性部材を、例えば、コンケーブ形状などに成形してニップ幅を設定する場合には、弾性部材がゴムなどの弾性材料から形成されていることで製造誤差が大きくなりやすいため、ニップ幅を精度よく設定することは容易ではない。一方、本実施形態のように、固着部85Fの大きさ、つまり、固定板85自体の大きさを設定してニップ幅を設定できる構成によれば、弾性部材84よりも剛性が高い金属製の固定板85は、製造誤差を小さくできるので、弾性部材の形状によってニップ幅を設定する場合と比較して、ニップ幅を容易かつ精度よく設定することができる。
【0048】
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0049】
例えば、図7(a),(b)に示すように、固定板185は、搬送方向において弾性部材84よりも外側に突出する凸部85Dを有し、保持部材186には、凸部85Dが係合可能な係合部86Dが設けられていてもよい。
【0050】
詳しく説明すると、固定板185は、固着部85Fを有する本体部85Cと、本体部85Cから搬送方向上流側に向けて延びる凸部85Dとを有し、保持部材186の保持面86Eに接着剤などにより固定されている。また、保持部材186は、保持面86Eを有する保持部材本体86Cと、搬送方向上流側の端部に設けられた係合部86Dとを主に有している。係合部86Dは、壁の一例としての規制壁86Fと、連結部86Gとを主に有して構成されている。規制壁86Fは、軸方向および搬送方向の両方と直交する上下方向において、係合部86Dに係合した凸部85Dとエンドレスベルト83との間に配置されている。また、連結部86Gは、規制壁86Fと保持部材本体86Cの搬送方向上流側の端部同士を連結している。
【0051】
このような構成によれば、凸部85Dが係合部86Dの規制壁86Fに引っ掛かることで、固定板185や当該固定板185と固着された弾性部材84の、保持部材186からの浮き上がりを抑制することができる。なお、固定板の凸部や保持部材の係合部は、搬送方向下流側に設けられていてもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、固定板85が弾性部材84の搬送方向における中央部に配置されていたが、これに限定されない。例えば、図8に示すように、固定板285は、搬送方向における弾性部材84の下流側の端に寄せられた状態で配置されていてもよい。詳しく説明すると、固定板285は、軸方向の長さが弾性部材84の軸方向の長さL41よりも小さく、かつ、搬送方向の長さが弾性部材84の搬送方向の長さL42よりも小さく形成されている(図4参照)。そして、固定板285(固着部85F)は、弾性部材84の第2面84Bの軸方向中央部であって、第2面84Bの搬送方向下流側の端縁から搬送方向中央にかけての位置に固着されている。また、保持部材286は、支持面86Aと、固定板285が嵌合可能な規制部86Bとを有しており、規制部86Bは、固定板285の位置に対応して、支持面86Aの軸方向中央部であって、搬送方向下流側に寄った位置に形成されている。
【0053】
これによれば、弾性部材84の搬送方向下流側の端部が固着部85Fによって拘束されて変形が抑えられることで、弾性部材84の搬送方向下流側の端部を上流側の端部よりも硬くした場合と同様の状態となるので、弾性部材84の搬送方向下流側の端部と加熱ローラ81とによって挟まれたニップ領域Nの搬送方向下流側、つまり、ニップ領域Nの用紙Sが排出される出口付近のニップ圧を高くすることができる。そして、ニップ領域Nの出口付近のニップ圧を高くできることで、例えば、用紙Sに形成される画像の光沢を増大させることができる。
【0054】
また、図示は省略するが、固定板は、搬送方向における弾性部材の上流側の端に寄せられた状態で配置されていてもよい。これによれば、弾性部材の搬送方向下流側の端部が固定板によって拘束されないので、弾性部材の搬送方向下流側の端部の変形量を大きくすることができ、ニップ領域の搬送方向下流側のニップ幅を大きくすることができる。
【0055】
また、前記実施形態では、固定板85(固着部85F)が弾性部材84の軸方向における中央部に配置されていたが、これに限定されない。例えば、図9に示すように、固定板385(固着部85F)は、弾性部材84の軸方向における両端部に1つずつ配置されていてもよい。このような構成によれば、弾性部材84の軸方向中央部が搬送方向に変形しやすくなるため、二点鎖線で示すように軸方向中央部のニップ幅を両端部のニップ幅よりも大きくすることができる。これにより、軸方向中央部での用紙Sへのトナー像の定着強度を大きくすることができる。
【0056】
また、加熱ローラおよび保持部材のうちの一方の軸方向の両端を、それぞれ、バネで他方に向けて付勢する構成では、弾性部材の軸方向両端部が大きくつぶれるように変形して軸方向両端部のニップ幅が大きくなる可能性がある。そこで、図9に示す形態を採用すれば、軸方向中央部のニップ幅を大きくできることで、ニップ幅を軸方向全体として均一にすることも可能となる。
【0057】
また、前記実施形態では、固着部85Fは、搬送方向に直交する断面のすべてにおいて、軸方向の長さL51が弾性部材84の軸方向の長さL41よりも小さい構成であったが、これに限定されず、搬送方向に直交する断面のうち少なくともいずれかの断面において、軸方向の長さが弾性部材の軸方向の長さよりも小さい構成であればよい。例えば、図10に示すように、固着部85Fは、搬送方向に直交する平面PL1〜PL3で切った断面のうち、平面PL2と平面PL3で切った断面において、軸方向の長さが弾性部材84の長さL41よりも小さく、平面PL1で切った断面においては、軸方向の長さが弾性部材84の長さL41と等しい構成であってもよい。
【0058】
より具体的に、固定板485は、第1部位485Aと、第2部位485Bと、第3部位485Cとを有している。第1部位485Aは、固定板485の搬送方向中央に配置され、第2部位485Bは、固定板485の軸方向中央部で第1部位485Aの搬送方向一方側に配置され、第3部位485Cは、固定板485の軸方向中央部で第1部位485Aの搬送方向他方側に配置されている。第2部位485Bと第3部位485Cは、軸方向の長さL53が長さL41よりも小さく、第1部位485Aは、軸方向の長さL54が長さL41よりも大きくなっている。固定板485の第3面85Aは、弾性部材84の第2面84Bに対向する面全体が固着部85F(F1〜F3)となっており、第1部位485Aの弾性部材84側の面のうち弾性部材84から軸方向にはみ出た端部A1,A2は固着部85Fではない。
【0059】
また、固着部85Fは、弾性部材84の搬送方向一方側の端E41から当該固着部85Fの軸方向中央部、つまり、第2部位485Bの搬送方向一方側の端E52までの距離が、端E41から固着部85Fの軸方向両端部、つまり、第1部位485Aの搬送方向一方側の端E511までの距離よりも小さくなっている。また、固着部85Fは、弾性部材84の搬送方向他方側の端E42から当該固着部85Fの軸方向中央部、つまり、第3部位485Cの搬送方向他方側の端E53までの距離が、端E42から固着部85Fの軸方向両端部(第1部位485A)の搬送方向他方側の端E512までの距離よりも小さくなっている。
【0060】
このような構成により、第2部位485Bや第3部位485Cの固着部F2,F3は、搬送方向に直交する断面において、軸方向の長さが長さL41よりも小さく、第1部位485Aの固着部F1は、搬送方向に直交する断面において、軸方向の長さが長さL41と等しくなっている。
【0061】
さらに説明すると、固着部85Fは、軸方向の所定の位置における弾性部材84の搬送方向の長さに対する固着部85Fの搬送方向の長さの割合(以下、「固着部85Fの割合」という。)が、軸方向で異なっている。具体的には、図10に示した形態や図4で示した前記実施形態では、固着部85Fの割合が軸方向中央部で大きくなっており、両端部で小さくなっている(前記実施形態では0となっている)。そのため、これらの形態では、弾性部材84の軸方向両端部が、固着部85Fの割合が小さいことで固着部85Fによって拘束されにくいため、搬送方向に変形しやすくなっている。また、図9に示した形態では、固着部85Fの割合が、軸方向両端部で大きくなっており、中央部で小さくなっている(0となっている)。そのため、図9に示した形態では、弾性部材84の軸方向中央部が、固着部85Fの割合が小さいことで固着部85Fによって拘束されにくいため、搬送方向に変形しやすくなっている。
【0062】
なお、図10に示した形態では、弾性部材84の搬送方向の端E41,E42から固着部85Fの軸方向中央部までの距離が、端E41,E42から固着部85Fの軸方向両端部までの距離よりも小さい構成であったが、これに限定されない。例えば、弾性部材の搬送方向の端から固着部の軸方向両端部までの距離が、弾性部材の搬送方向の端から固着部の軸方向中央部までの距離よりも小さい構成であってもよい。
【0063】
また、図10に示した形態のように、軸方向の長さが異なる固着部(F1〜F3)が、搬送方向に3つ以上並んで設けられている場合には、少なくとも搬送方向における最も上流側または最も下流側に配置された固着部(F2またはF3)の軸方向の長さを、弾性部材の軸方向の長さよりも小さいものとすれば、軸方向において固着部の割合が大きい部分と小さい部分とを形成することができる。この場合において、各固着部は、図10に示したように搬送方向につながっていてもよいし、搬送方向に間隔をあけて離間した状態で配置されていてもよい。
【0064】
また、前記実施形態では、固定板85の第3面85Aの全体が固着部85Fであったが、これに限定されない。例えば、図11(a),(b)に示すように、固着部85Fは、第3面85Aの一部であってもよい。つまり、固定板585は、例えば、第3面85Aの一部(固着部85F)に接着剤87を塗布した上で弾性部材84の第2面84Bに固着されていてもよい。そして、この場合には、固定板585自体は、軸方向の長さが弾性部材84の軸方向の長さと同じであってもよい。さらに言えば、固定板585は、当該固定板585に直交する方向から見て、弾性部材84と同じサイズ(弾性部材84と重なるサイズ)で形成されていてもよい。
【0065】
また、前記実施形態では、保持部材86に形成された規制部86Bは、軸方向の長さが固定板85の軸方向の長さと略同じであり、搬送方向の長さが固定板85の搬送方向の長さと略同じであって、固定板85が嵌合可能な凹部として形成されていたが、これに限定されない。例えば、凹部状の規制部は、軸方向の長さが固定板の軸方向の長さよりも若干大きく、また、搬送方向の長さが固定板の搬送方向の長さよりも若干大きくなっていてもよい。この場合、固定板は、例えば、当該固定板の固着部とは反対側の面が規制部の底面に接着剤などにより固定されることで、保持部材に保持される構成とすることができる。
【0066】
また、前記実施形態で説明した加熱ローラ81やエンドレスベルト83の構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば、前記実施形態では、加熱ローラ81やエンドレスベルト83は、素管や基材の外周面に離型層が形成された2層構造であったが、例えば、3層以上の層を有する構造であってもよい。
【0067】
また、前記実施形態では、加熱ユニット8Aが回転体としての加熱ローラ81を備え、加圧ユニット8Bがエンドレスベルト83や弾性部材84、固定板85などを備える構成であったが、これに限定されない。例えば、定着装置は、加熱ユニットがエンドレスベルトや弾性部材、固定板などを備え、加圧ユニットが加圧ローラのような回転体を備える構成であってもよい。
【0068】
また、前記実施形態では、回転体として、加熱ローラ81のようなローラ形態の回転体を例示したが、これに限定されず、例えば、回転体は、エンドレスベルト83と同様に、可撓性を有する無端のベルト形態の回転体などであってもよい。つまり、定着装置は、加熱ユニットおよび加圧ユニットの両方がそれぞれ無端のベルトを備える構成であってもよい。
【0069】
また、前記実施形態では、弾性部材84と、固定部材としての固定板85が接着剤87によって固着されていたが、これに限定されない。例えば、弾性部材と固定部材は、インサート成形によって固着されていてもよい。具体的には、成形用の金型内に固定部材を配置した状態で、溶融した弾性部材の材料を金型内に注入して固化させることで、弾性部材と固定部材を一体に成形して固着させてもよい。
【0070】
また、前記実施形態では、固定板85が金属から形成されていたが、これに限定されない。例えば、固定板85は、弾性部材84よりも高剛性であり、かつ、線膨張率が保持部材86と同等以下の樹脂材料から形成されていてもよい。なお、固定板85を形成する樹脂材料は、樹脂製の保持部材86と同じ材料であることが望ましい。
【0071】
また、前記実施形態では、固定部材として、固定板85のような板状の固定部材を例示したが、これに限定されず、例えば、固定部材は、ブロック状など、板状でない構成であってもよい。
【0072】
また、前記実施形態では、本発明の定着装置を備えた画像形成装置として、用紙Sにモノクロ画像のみを形成可能なレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、用紙にカラー画像を形成可能なプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。また、前記実施形態では、記録媒体として用紙Sを例示したが、記録媒体は、定着装置で定着可能なものであれば特に限定されない。
【0073】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0074】
8 定着装置
81 加熱ローラ
83 エンドレスベルト
84 弾性部材
84A 第1面
84B 第2面
85 固定板
85A 第3面
85F 固着部
86 保持部材
86A 支持面
86B 規制部
S 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11