特許第6919333号(P6919333)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919333
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】搬送装置、印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20210805BHJP
【FI】
   B65H5/06 F
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-104641(P2017-104641)
(22)【出願日】2017年5月26日
(65)【公開番号】特開2018-199554(P2018-199554A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】武井 大明
【審査官】 國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−136792(JP,A)
【文献】 特開2016−037382(JP,A)
【文献】 特開2016−007801(JP,A)
【文献】 特開2005−280205(JP,A)
【文献】 特開2011−161859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
5/06
5/22
29/12 − 29/24
29/32
B41J 11/00 − 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を挟んだ状態で互いに回転することにより前記媒体を搬送する第1ローラー及び第2ローラーと、
前記媒体の搬送方向と交差する交差方向に延びる所定部材が第1位置に連結された第1フレームと、
前記第1フレームにおける前記第1位置とは異なる第2位置に連結された第2フレームと、
前記第1フレームに連結された第3フレームと、
前記第1ローラーを保持する保持部と、
前記第1ローラーを前記第2ローラー側へ付勢することで前記第2フレームに対して力を作用させる付勢部材と、
を備え、
前記第2フレームは、底板と、前記底板に設けられた軸支部とを有し、
前記保持部は、前記軸支部に揺動可能に支持される軸を有し、
前記第3フレームは、前記付勢部材を係止し、
前記保持部は、前記軸よりも前記搬送方向側において前記第1ローラーを保持し、前記軸よりも前記搬送方向とは逆方向側において前記付勢部材を係止し、
前記第1位置は、前記搬送方向及び前記交差方向と直交する高さ方向において前記第1フレームと前記第2フレームとが重なる領域に位置することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記第2フレームの厚みは、前記第1フレームの厚みよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第2フレームは、前記搬送方向側に曲げられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第2フレームは、
前記第2位置において前記第1フレームに連結された連結部と、
前記付勢部材の力を受ける本体部と、
前記連結部と前記本体部とを接続する接続部と、
を有し、
前記接続部の前記交差方向の長さは、前記連結部の前記交差方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項のうち何れか一項に記載の搬送装置と、
前記交差方向に移動して前記媒体に印刷する印刷部と、
前記所定部材と、
を備え、
前記所定部材は、前記印刷部を前記交差方向に案内するガイド軸であることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する搬送装置、搬送装置を備える印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷装置の一例としてインクを吐出して用紙(媒体)に印刷するインクジェット式のプリンターが知られている。こうしたプリンターの中には、搬送装置の一例として、紙送り駆動ローラ(第2ローラー)と、紙送り従動ローラ(第1ローラー)と、捻りコイルバネ(付勢部材)と、を備えたものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
捻りコイルバネは、垂直方向に延びるように設けられたメインフレームに支持され、一端側が紙送り従動ローラを紙送り駆動ローラ側へ付勢し、他端側がメインフレームに対して略垂直な方向に力を作用させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−341884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした捻りコイルバネは、メインフレームに対して垂直方向に作用する力を大きくすると共に、水平方向に作用する力を小さくすることで、メインフレームの撓みを抑制していた。しかし、例えばプリンターを小型化するためにメインフレームの厚みを薄くしたり、メインフレームを小さくしたりすると、捻りコイルバネの他端側から受ける力でメインフレームが撓み、用紙の搬送に影響を与えてしまう虞があった。
【0006】
なお、こうした課題は、紙送り従動ローラを付勢する捻りコイルバネを備えるプリンターに限らず、第1ローラーを付勢する付勢部材を備える搬送装置、及び搬送装置を備える印刷装置においては、概ね共通したものとなっている。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フレームの撓みを抑制しつつ小型化できる搬送装置、搬送装置を備える印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する搬送装置は、媒体を挟んだ状態で互いに回転することにより前記媒体を搬送する第1ローラー及び第2ローラーと、前記媒体の搬送方向と交差する交差方向に延びる所定部材が第1位置に連結された第1フレームと、前記第1フレームにおける前記第1位置とは異なる第2位置に連結された第2フレームと、前記第1ローラーを前記第2ローラー側へ付勢することで前記第2フレームに対して力を作用させる付勢部材と、を備え、前記第1位置は、前記搬送方向及び前記交差方向と直交する高さ方向において前記第1フレームと前記第2フレームとが重なる領域に位置する。
【0009】
この構成によれば、第1フレームと第2フレームを別々に備えているため、例えば第1フレームの厚さを薄くした場合でも、第2フレームについては、その厚さを薄くしなければ、付勢部材から作用する力に抗する剛性を確保可能である。さらに、高さ方向において第1フレームと第2フレームとが重なる領域に第1位置が位置するため、第2フレームと重ならない領域に第1位置を位置させる場合に比べ、第1フレームの高さ方向の大きさを小さくできる。したがって、第1フレームの撓みを抑制しつつ小型化できる。
【0010】
上記搬送装置において、前記第2フレームの厚みは、前記第1フレームの厚みよりも厚いことが好ましい。
この構成によれば、第2フレームの厚みを第1フレームの厚みよりも厚くする。そのため、付勢部材の力を受ける第2フレームの剛性を高めることができる。
【0011】
上記搬送装置において、前記第2フレームは、前記搬送方向側に曲げられていることが好ましい。
この構成によれば、第2フレームが曲げられているため、曲げられていない場合に比べて第2フレームの剛性を高めることができる。
【0012】
上記搬送装置において、前記第2フレームは、前記第2位置において前記第1フレームに連結された連結部と、前記付勢部材の力を受ける本体部と、前記連結部と前記本体部とを接続する接続部と、を有し、前記接続部の前記交差方向の長さは、前記連結部の前記交差方向の長さよりも短いことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、第2フレームは、連結部に対して接続部の剛性を低くできる。したがって、第2フレームに合わせて第1フレームが変形する虞を低減できる。
上記搬送装置は、前記第1フレームに連結された第3フレームをさらに備え、前記第3フレームは、前記付勢部材を係止することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、付勢部材を係止する第3フレームを備え、第3フレームを第1フレームに連結する。そのため、例えば第1フレームが付勢部材を係止する場合に比べ、第1フレームが変形する虞を低減できる。
【0015】
上記印刷装置は、上記構成の搬送装置と、前記交差方向に移動して前記媒体に印刷する印刷部と、前記所定部材と、を備え、前記所定部材は、前記印刷部を前記交差方向に案内するガイド軸である。
【0016】
この構成によれば、上記搬送装置と同様の効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】印刷装置の一実施形態の斜視図。
図2】印刷装置の内部を示す側断面模式図。
図3】搬送装置の一部断面模式図。
図4】搬送装置の斜視図。
図5】搬送装置の背面図。
図6図5における部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、搬送装置を備えた印刷装置の一実施形態について図を参照して説明する。本実施形態の印刷装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射することによって印刷(記録)するインクジェット式のプリンターである。
【0019】
図1に示すように、印刷装置11は、使用場所に設置された状態で、高さ、奥行及び幅としてそれぞれ所定の長さを有する筐体12を備える。本実施形態において、幅方向と奥行方向は実質的に水平であり、印刷装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向を高さ方向としてZ軸で示す。奥行方向の奧側(後側)から手前側(前側)に向かう方向(前方)をY軸で示す。幅方向(交差方向)は、Z軸及びY軸と交差するX軸で示す。X軸、Z軸及びY軸は、それぞれ幅、高さ及び奥行の長さを示す座標軸となる。交差方向、高さ方向及び奥行方向は、互いに異なる方向である。
【0020】
筐体12の上面には、後側に位置する第1蓋13と、前側に位置する第2蓋14と、が開閉可能に設けられている。筐体12の上面における第2蓋14と交差方向で隣り合う位置には、印刷装置11の各種の操作を行うための操作部15が設けられている。筐体12の前面には、印刷された媒体M(図2参照)が排出される排出口16が形成されている。
【0021】
図2に示すように、筐体12内には、媒体Mを円筒状に巻き重ねたロールRがセットされるセット部18と、セット部18から媒体Mを給送する給送部19と、が設けられている。給送部19は、ロールRを回転可能に保持し、ロールRを一方向(図2では反時計回り方向)に回転させることにより、媒体Mを解いて給送する。
【0022】
印刷装置11は、媒体Mを搬送する搬送装置20と、搬送される媒体Mを支持する支持台21と、媒体Mに印刷する印刷部22と、印刷された媒体Mを切断する切断部23と、を備える。
【0023】
搬送装置20は、第1ローラーの一例である従動ローラー24と、第2ローラーの一例である駆動ローラー25と、駆動ローラー25を回転駆動する駆動源26と、を備える。従動ローラー24と駆動ローラー25は、媒体Mを挟んだ状態で互いに回転することにより媒体Mを搬送する。媒体Mの搬送方向Y1は、搬送方向Y1の上流側となるセット部18から、搬送方向Y1の下流側となる排出口16に向う方向であり、交差方向とは異なる(好ましくは直交する)方向である。本実施形態の搬送方向Y1は、高さ方向とも異なる方向である。
【0024】
印刷部22は、交差方向に移動可能なキャリッジ28と、キャリッジ28に支持される吐出ヘッド29と、を備える。吐出ヘッド29は、例えばインクなどの液体を吐出する複数のノズル(図示略)を有している。印刷部22は、キャリッジ28が交差方向に移動すると共に、吐出ヘッド29から液体を吐出して媒体Mに印刷する。
【0025】
図3に示すように、搬送装置20は、板状の第1フレーム31、第2フレーム32、及び第3フレーム33と、従動ローラー24を保持する保持部34と、保持部34を付勢する付勢部材35と、を備える。本実施形態の第1フレーム31、第2フレーム32、及び第3フレーム33は、厚みの異なる金属の板を曲げ加工や抜き加工などをして形成されている。第2フレーム32の厚みは、第1フレーム31の厚みよりも厚く、第1フレーム31の厚みは、第3フレーム33の厚みよりも厚い。
【0026】
第1フレーム31は、高さ方向及び交差方向に長さを有する側板31aと、奥行方向及び交差方向に長さを有する天板31bと、を有する。天板31bは、側板31aにおける上側の一部が搬送方向Y1の下流側(前側)に向かって曲げられて形成されている。
【0027】
第2フレーム32は、高さ方向及び交差方向に長さを有する後板32a及び前板32bと、奥行方向及び交差方向に長さを有する底板32cと、を有する。底板32cには、保持部34が有する軸36を支持する軸支部32dが形成されている。
【0028】
後板32aは、底板32cにおける搬送方向Y1の上流側(後側)の一部が上側に向かって曲げられて形成されている。前板32bは、底板32cにおける搬送方向Y1の下流側の一部が、媒体Mの搬送経路に近づくように下側に曲げられて形成されている。換言すると、底板32cに対して、後板32a及び前板32bが奥行方向に曲げられて形成されている。すなわち、第2フレーム32は、交差方向とは異なる方向(搬送方向側)に曲げられ、交差方向に亘って折れ目が付いている。
【0029】
第3フレーム33は、高さ方向及び交差方向に長さを有する上板33a、下板33b、及び中板33cと、付勢部材35を係止する爪部33dと、を有する。上板33aと中板33c、中板33cと下板33bの間は、クランク状に曲げられ、上板33aと下板33bは、中板33cよりも前側に位置する。爪部33dは、中板33cと下板33bとの間の位置に形成されている。
【0030】
保持部34は、軸36を中心として揺動可能に設けられている。保持部34は、軸36よりも搬送方向Y1の下流側の位置で従動ローラー24を保持し、軸36よりも搬送方向Y1の上流側に位置して付勢部材35を係止可能な係止部34aを有する。付勢部材35は、保持部34を上方に付勢する引っ張りばねである。付勢部材35により付勢された状態において、従動ローラー24は、軸36よりも下方に位置する。
【0031】
保持部34は、軸36を支点とするてことして作用し、従動ローラー24を駆動ローラー25に押し付ける。このように付勢部材35は、従動ローラー24を駆動ローラー25側へ付勢することで第2フレーム32に対して力を作用させる(第2フレーム32を撓ませる方向への力を作用させる)。具体的には、軸支部32dは、従動ローラー24が駆動ローラー25を付勢する方向とは反対の白抜き矢印で示す方向の力を受ける。
【0032】
高さ方向において、第1フレーム31の側板31aの長さと、第3フレーム33の中板33cの長さは、第2フレーム32の後板32aの長さよりも長い。高さ方向において、第2フレーム32の後板32aの長さは、第3フレーム33の上板33a及び下板33bの長さよりも長い。
【0033】
印刷装置11は、キャリッジ28を交差方向に移動可能に支持する主ガイド軸38及び副ガイド軸39を備える。主ガイド軸38と副ガイド軸39は、交差方向に延びるように設けられている。
【0034】
本実施形態の主ガイド軸38は、キャリッジ28を交差方向に案内する所定部材としてのガイド軸であり、第1フレーム31に連結される。副ガイド軸39は、主ガイド軸38よりも上方の位置に設けられている。キャリッジ28は、丸棒状の主ガイド軸38に対して前側から摺動可能に嵌められると共に、板状の副ガイド軸39に対して後側から摺動可能に接触する。主ガイド軸38と副ガイド軸39を高さ方向に間隔を有して設けることにより、キャリッジ28の高さ方向と交差する方向へ傾き(例えば前傾)が抑制される。
【0035】
搬送装置20は、第2フレーム32、第3フレーム33、主ガイド軸38、及び副ガイド軸39を第1フレーム31に連結する第1ねじ41〜第5ねじ45を備える。
第1ねじ41は、第1フレーム31の側板31aと、主ガイド軸38と、を連結する。第1フレーム31において、第1ねじ41を取り付ける位置を、主ガイド軸38を連結する第1位置P1とする。
【0036】
第2ねじ42は、第1フレーム31の側板31aと、第2フレーム32の後板32aと、を連結する。第1フレーム31において、第2ねじ42を取り付ける位置を、第2フレーム32を連結する第2位置P2とする。
【0037】
第3ねじ43は、第1フレーム31の側板31aと、第3フレーム33の下板33bと、を連結する。第4ねじ44は、第1フレーム31の側板31aと、第3フレーム33の上板33aと、を連結する。第3ねじ43を取り付ける位置を第3位置P3、第4ねじ44を取り付ける位置を第4位置P4とする。第3位置P3と第4位置P4は、第1フレーム31に第3フレーム33を連結する位置である。
【0038】
第5ねじ45は、第1フレーム31の天板31bと、副ガイド軸39と、を連結する。第1フレーム31において、第5ねじ45を取り付ける位置を副ガイド軸39を連結する第5位置P5とする。
【0039】
第1ねじ41、第2ねじ42、第3ねじ43、第4ねじ44、及び第5ねじ45を取り付ける位置とは、第1フレーム31においてねじ穴が形成された位置である。第1ねじ41、第2ねじ42、第3ねじ43、第4ねじ44、及び第5ねじ45は、それぞれ交差方向に並ぶように複数設けられている。すなわち、複数の第1ねじ41は、交差方向に間隔を有し、同じ高さに設けられている。第2ねじ42、第3ねじ43、第4ねじ44、及び第5ねじ45についても同様に、複数のねじが交差方向に間隔を有し、同じ高さに設けられている。
【0040】
第1位置P1〜第5位置P5は、高さ方向において互いに位置が異なる。具体的には、第1位置P1〜第5位置P5は、高さ方向において媒体Mの搬送経路に近い下側から順に第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3、第4位置P4、第5位置P5が位置する。
【0041】
第2フレーム32は、第1フレーム31における第1位置P1とは異なる第2位置P2に連結される。第3フレーム33は、第1フレーム31における第1位置P1及び第2位置P2とは異なる第3位置P3及び第4位置P4に連結される。
【0042】
第1位置P1と第2位置P2は、高さ方向において第1フレーム31と第2フレーム32とが重なる領域に位置する。すなわち、主ガイド軸38は、第1フレーム31において、第2フレーム32により補強された領域に連結されている。第1フレーム31と第2フレーム32とが重なる領域とは、高さ方向において、第1フレーム31の下端と第2フレーム32の上端との間の領域である。
【0043】
図4に示すように、印刷装置11は、交差方向に互いに間隔を有して設けられた一対のサイドフレーム47を備える。サイドフレーム47は、第1フレーム31の交差方向の両側を支持する。
【0044】
図4図5に示すように、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3、第4位置P4、及び第5位置P5は、交差方向においても互いに位置が異なる。そのため、第2フレーム32、第3フレーム33、主ガイド軸38、及び副ガイド軸39は、別々に第1フレーム31に固定されている。
【0045】
図6に示すように、第2フレーム32における第1位置P1には、第1ねじ41の頭部よりも大きな孔48が形成されている。孔48を形成することにより、第1ねじ41は、第1フレーム31と第2フレーム32とが重なる領域において、第2フレーム32を外して第1フレーム31と主ガイド軸38とを連結できる。
【0046】
第2フレーム32は、第2位置P2が位置して第1フレーム31に連結される連結部50と、付勢部材35の力を受ける本体部51と、連結部50と本体部51とを接続する接続部52とを有する。本体部51は、後板32a、前板32b、底板32c、及び軸支部32dにより構成されている。本体部51は、保持部34を支持することにより、付勢部材35の付勢力を受け止める。
【0047】
接続部52は、連結部50よりも交差方向の長さが短く、連結部50に対してくびれている。そのため、接続部52の剛性は、連結部50の剛性に比べて低い。連結部50と接続部52は、本体部51の一部を抜き加工して形成され、周囲が本体部51により囲われて保護されている。
【0048】
次に、印刷装置11の作用について、特に搬送装置20が媒体Mを搬送する場合の作用について説明する。
図2図3に示すように、給送部19は、回転する駆動ローラー25及び従動ローラー24の間に媒体Mを送り込む。搬送装置20は、駆動ローラー25と従動ローラー24が媒体Mを挟んだ状態で従動ローラー24を駆動ローラー25側に付勢する。そのため、媒体Mと駆動ローラー25との間には、媒体Mを搬送するのに十分な摩擦力が生じ、搬送装置20は、駆動ローラー25の回転力を媒体Mに伝えてこの媒体Mを搬送する。キャリッジ28は、主ガイド軸38及び副ガイド軸39に案内されて交差方向に移動し、搬送装置20が搬送する媒体Mに印刷する。
【0049】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1フレーム31と第2フレーム32を別々に備えているため、例えば第1フレーム31の厚さを薄くした場合でも、第2フレーム32については、その厚さを薄くしなければ、付勢部材35から作用する力に抗する剛性を確保可能である。さらに、高さ方向において第1フレーム31と第2フレーム32とが重なる領域に第1位置P1が位置するため、第2フレーム32と重ならない領域に第1位置P1を位置させる場合に比べ、第1フレーム31の高さ方向の大きさを小さくできる。したがって、第1フレーム31の撓みを抑制しつつ小型化できる。
【0050】
(2)第2フレーム32の厚みを第1フレーム31の厚みよりも厚くする。そのため、付勢部材35の力を受ける第2フレーム32の剛性を高めることができる。
(3)第2フレーム32が曲げられているため、曲げられていない場合に比べて第2フレーム32の剛性を高めることができる。
【0051】
(4)第2フレーム32は、連結部50の交差方向の長さに対して接続部52の交差方向の長さが短いため、接続部52の剛性を低くできる。したがって、第2フレーム32に合わせて第1フレーム31が変形する虞を低減できる。
【0052】
(5)付勢部材35を係止する第3フレーム33を備え、第3フレーム33を第1フレーム31に連結する。そのため、例えば第1フレーム31が付勢部材35を係止する場合に比べ、第1フレーム31が変形する虞を低減できる。
【0053】
(6)第1フレーム31と第3フレーム33は、第2フレーム32よりも厚みが薄い。そのため、第1フレーム31と第3フレーム33の厚みを第2フレーム32と同じ厚みにする場合に比べ、搬送装置20を軽量化できる。
【0054】
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。また、上記実施形態と下記変更例とは、任意に組み合わせてもよい。
・付勢部材35は、第1ローラーの一例である駆動ローラー25を第2ローラーの一例である従動ローラー24側へ付勢してもよい。
【0055】
・印刷装置11は、副ガイド軸39を備えない構成としてもよい。
・第3フレーム33は、爪部33dを備えない構成としてもよい。また、第3フレーム33を備えない構成としてもよい。例えば、第1フレーム31もしくは第2フレーム32に爪部33dを形成し、第1フレーム31もしくは第2フレーム32が付勢部材35を係止してもよい。第3フレーム33は、第1フレーム31に連結しなくてもよい。
【0056】
・第2フレーム32は、連結部50と、本体部51と、接続部52と、に分かれていなくてもよい。例えば、平板状の第2フレームに直接ねじ穴を形成してもよい。
・接続部52は、連結部50や本体部51よりも剛性が低ければ任意の形状としてもよい。例えば、交差方向の一方がくびれた形状としてもよい。連結部50と本体部51との間に穴を開けて接続部としてもよい。接続部52は、連結部50や本体部51よりも厚みを薄くすることにより、剛性を低くしてもよい。
【0057】
・連結部50は、本体部51により囲われていなくてもよい。例えば、第2フレーム32の上端から上方に突出するように接続部52と連結部50を形成してもよい。
・第2フレーム32は、曲げられていなくてもよい。第2フレーム32は、交差方向に曲げてもよい。例えば、第2フレーム32は、搬送方向Y1に延びる折り目が付いた波板としてもよい。
【0058】
・第1フレーム31、第2フレーム32、及び第3フレーム33のうち、少なくとも2つのフレームは、同じ厚みとしてもよい。
・搬送装置20は、印刷装置11とは異なる装置に設けられていてもよい。例えば、媒体Mの画像を読み取るイメージセンサーを交差方向に移動可能なキャリッジに搭載したスキャナーとしてもよい。スキャナーの場合でも、キャリッジを案内するガイド軸を所定部材とし、ガイド軸を支持するフレームを第1フレームとしてもよい。
【0059】
・従動ローラー24、第1フレーム31、第2フレーム32、及び第3フレーム33は、駆動ローラー25よりも重力方向側に設けてもよい。例えば、イメージセンサーは、媒体Mの下側から画像を読み取ってもよい。
【0060】
・液体は、媒体Mに付着することで、この媒体Mに印刷することができるものであれば任意に選択することができる。なお、液体とは、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては、インクが挙げられる。インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。
【0061】
・媒体Mは、用紙、樹脂製のフィルム、樹脂製シート、紙と樹脂の複合体フィルム(樹脂含浸紙、樹脂コート紙など)、金属箔、金属フィルム、織物、不織布などとしてもよい。
【0062】
・印刷装置11は、媒体にインクなどの液体やトナーなどの流体を付着させることにより文字や絵、写真などの画像を印刷する装置であって、シリアルプリンター、ラテラル式プリンター、ラインプリンター、ページプリンターなどとしてもよい。また、オフセット印刷装置、捺染印刷装置などとしてもよい。また、印刷装置は、少なくとも媒体に印刷する印刷機能を有していればよく、印刷機能以外の機能も併せ持つ複合機としてもよい。印刷部22が移動しない印刷装置の場合には、印刷部を支持する支持部材が交差方向に延びる所定部材となる。
【符号の説明】
【0063】
11…印刷装置、12…筐体、13…第1蓋、14…第2蓋、15…操作部、16…排出口、18…セット部、19…給送部、20…搬送装置、21…支持台、22…印刷部、23…切断部、24…従動ローラー(第1ローラーの一例)、25…駆動ローラー(第2ローラーの一例)、26…駆動源、28…キャリッジ、29…吐出ヘッド、31…第1フレーム、31a…側板、31b…天板、32…第2フレーム、32a…後板、32b…前板、32c…底板、32d…軸支部、33…第3フレーム、33a…上板、33b…下板、33c…中板、33d…爪部、34…保持部、34a…係止部、35…付勢部材、36…軸、38…主ガイド軸(所定部材、ガイド軸の一例)、39…副ガイド軸、41〜45…第1ねじ〜第5ねじ、47…サイドフレーム、48…孔、50…連結部、51…本体部、52…接続部、M…媒体、R…ロール、P1〜P5…第1位置〜第5位置、Y1…搬送方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6