特許第6919340号(P6919340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919340
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】搬送システムおよび吸引搬送コンベア
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20210805BHJP
   B65G 47/30 20060101ALI20210805BHJP
   B65G 15/58 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   B65G47/52 A
   B65G47/30 Z
   B65G15/58 B
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-108286(P2017-108286)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-203423(P2018-203423A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 禎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 靖広
(72)【発明者】
【氏名】森 拓也
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−124933(JP,U)
【文献】 特開昭51−018072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B65G 15/58
B65G 47/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送する上流コンベアと、前記上流コンベアの下流に設けられた吸引搬送コンベアとを有する搬送システムであって、
前記吸引搬送コンベアが、被搬送物の上部を吸引する搬送面を有する吸引帯状体と、前記吸引帯状体の搬送面の裏面から被搬送物を吸引する吸引ユニットとを有し、
前記吸引ユニットが、前記吸引帯状体の搬送面の裏面に対峙する開口面と、前記開口面から前記吸引帯状体に対して負圧を与える負圧空間を有し、
前記開口面が、複数の個別開口領域を有し、
前記吸引搬送コンベアが、前記個別開口領域から前記吸引帯状体に対して与える負圧をそれぞれ独立して制御する複数の負圧制御ユニットを有し、
前記上流コンベアが、被搬送物の状態を検出する状態検出手段を有し、
前記負圧制御ユニットが、前記状態検出手段の出力に応じて前記個別開口領域の負圧を個別に制御することを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記負圧制御ユニットが、前記吸引ユニットの負圧空間内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記負圧制御ユニットが、前記個別開口領域に対応した個別空間を形成する個別ボックスと、前記個別空間と前記負圧空間とを仕切るように前記個別ボックスに設けられたシャッター部材とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記シャッター部材が、ヒンジにより開閉可能に形成され、
前記負圧制御ユニットが、前記シャッター部材を開閉する前記負圧空間内に配置されたアクチュエータを有することを特徴とする請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記個別開口領域が、前記吸引帯状体の幅方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送システム。
【請求項6】
被搬送物が缶体であり、
前記上流コンベアおよび吸引搬送コンベアが、幅方向に複数の缶体を搬送可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送システム。
【請求項7】
被搬送物が缶体であり、
前記状態検出手段が、倒れた缶体を検出する倒缶検出手段であり、
前記負圧制御ユニットが、前記倒れた缶体の周囲の所定の数の缶体が個別開口領域に到達した際に、当該個別開口領域の吸引を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の搬送システム。
【請求項8】
被搬送物を吸引する搬送面を有する吸引帯状体と、前記吸引帯状体の搬送面の裏面から被搬送物を吸引する吸引ユニットとを有する吸引搬送コンベアであって、
前記吸引ユニットが、前記吸引帯状体の搬送面の裏面に対峙する開口面と、前記開口面から前記吸引帯状体に対して負圧を与える負圧空間を有し、
前記開口面が、複数の個別開口領域を有し、
前記個別開口領域から前記吸引帯状体に対して与える負圧をそれぞれ独立して制御する複数の負圧制御ユニットをさらに有し、
前記負圧制御ユニットが、前記吸引ユニットの負圧空間内に配置され、前記搬送面に吸引されている搬送物を各前記個別開口領域に対応して選択的に落下させるように構成されていることを特徴とする吸引搬送コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を搬送する上流コンベアと、前記上流コンベアの下流に設けられた吸引搬送コンベアとを有する搬送システムに関し、特に、有底筒状の缶体を洗浄、乾燥する工程に使用するのに適した搬送システムおよび吸引搬送コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
缶の製造工程において、絞り−しごき加工等によって有底筒状に加工された缶体は次に塗装工程に送られるが、これに先立って洗浄、乾燥工程において、ネットコンベア上で移送されながら缶体の内外表面に付着したクーラントを薬液シャワーで洗浄し、その後缶体の内外面に残った薬液をリンス水シャワーで洗い落とした後に乾燥される。
洗浄、乾燥工程では缶底を上面とした形態で搬送されるので、缶内外面に付着したクーラントおよびウオッシャ薬液は缶内外面に滞留せずに落下する。缶洗浄はネットコンベア上に缶体が倒立状態で搬送される。
この洗浄、乾燥工程で倒缶が発生した場合、薬液シャワーやリンス水シャワーでの洗浄が不十分となり、この倒れた缶体(倒缶)が次工程(塗装工程)に送られた場合には塗膜剥離の問題を生じるため、洗浄工程のコンベアの下流に、缶を上方から吸引する吸引搬送コンベアを配置して、倒缶を落下させて乾燥工程に流出させないものが公知である。
【0003】
しかしながら、ネットコンベア上で缶体は多列、密状態で搬送されるため、洗浄工程の途中で倒缶が発生した場合、缶体が倒れる際あるいはその後の搬送過程で、倒缶の内面側に残った洗浄用薬液や薬液成分を含むリンス水が周囲に飛散し、倒れていない周囲の缶体の内外面に付着する場合がある。
洗浄用薬液や薬液成分を含むリンス水が飛散、付着すると、その後の外面塗装印刷工程、内面スプレー塗装工程での塗膜密着性が低下し、塗膜剥離の原因となることから、薬液等が飛散、付着した虞がある倒缶周囲の缶体についても確実に排斥、除去する必要がある。
吸引搬送コンベアは、その構造から倒缶のみ落下しライン上から排斥、除去できるが、その周囲の缶体は倒れていない限り落下しないので、周囲の缶体の表面に洗浄用薬液や薬液成分を含むリンス水が飛散、付着していても除去できない。
【0004】
そこで、従来から、吸引搬送コンベアの直前に設置した倒缶センサーにて倒缶を検知した場合、工程担当者は倒缶センサーと連動したブザー、パトライト(登録商標)等で倒缶発生を認識し、工程担当者が直ちに出口コンベアに駆けつけ、倒缶周囲の缶を手作業で除去する作業を行っていた。
この作業において、排斥すべき缶体がすべて除去できず、後工程(塗装工程)に流出させてしまった場合は高い確率で塗膜剥離が発生することから本作業は工程担当者に緊張をしいる作業であった。
また、別の作業中であってもその作業を中断し、倒缶周囲の缶体の除去作業場所である出口コンベアに駆けつける必要があることやライン稼働中に手作業で行うことから安全面での問題もあった。
これを自動化するため、洗浄工程での倒缶を検知した場合、倒缶が通過するタイミングで出口コンベア(搬出コンベア33)を下方に揺動させることで、倒缶周囲の缶をすべて排除するものが公知である(特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5103317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で公知の手段では、出口コンベア(搬出コンベア33)を下方に揺動させることから、倒缶周囲の大量の缶体が排除されるため、正常な缶体の排除ロスが多かった。
また、出口コンベアを揺動させるために、大型で特別な設備を設ける必要があり、従来のラインに採用するためには、スペース的にもコスト的にも負担が大きかった。
本発明は、このような課題を解決するものであり、排除すべき被搬送物を的確に排除することが可能で、排除する被搬送物のロスを減少させるとともに、簡単な設備で導入が容易な搬送システムおよび吸引搬送コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る搬送システムは、被搬送物を搬送する上流コンベアと、前記上流コンベアの下流に設けられた吸引搬送コンベアとを有する搬送システムであって、前記吸引搬送コンベアが、被搬送物の上部を吸引する搬送面を有する吸引帯状体と、前記吸引帯状体の搬送面の裏面から被搬送物を吸引する吸引ユニットとを有し、前記吸引ユニットが、前記吸引帯状体の搬送面の裏面に対峙する開口面と、前記開口面から前記吸引帯状体に対して負圧を与える負圧空間を有し、前記開口面が、複数の個別開口領域を有し、前記吸引搬送コンベアが、前記個別開口領域から前記吸引帯状体に対して与える負圧をそれぞれ独立して制御する複数の負圧制御ユニットを有し、前記上流コンベアが、被搬送物の状態を検出する状態検出手段を有し、前記負圧制御ユニットが、前記状態検出手段の出力に応じて前記個別開口領域の負圧を個別に制御することにより、前記課題を解決するものである。
本発明に係る吸引搬送コンベアは、被搬送物を吸引する搬送面を有する吸引帯状体と、前記吸引帯状体の搬送面の裏面から被搬送物を吸引する吸引ユニットとを有する吸引搬送コンベアであって、前記吸引ユニットが、前記吸引帯状体の搬送面の裏面に対峙する開口面と、前記開口面から前記吸引帯状体に対して負圧を与える負圧空間を有し、前記開口面が、複数の個別開口領域を有し、前記個別開口領域から前記吸引帯状体に対して与える負圧をそれぞれ独立して制御する複数の負圧制御ユニットをさらに有し、し、前記負圧制御ユニットが、前記吸引ユニットの負圧空間内に配置され、前記搬送面に吸引されている搬送物を各前記個別開口領域に対応して選択的に落下させるように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る搬送システムおよび吸引搬送コンベアによれば、吸引ユニットが、吸引帯状体の搬送面の裏面に対峙する開口面と、前記開口面から前記吸引帯状体に対して負圧を与える負圧空間を有し、開口面が、複数の個別開口領域を有し、個別開口領域から吸引帯状体に対して与える負圧をそれぞれ独立して制御する複数の負圧制御ユニットをさらに有することにより、吸引帯状体部分の各個別開口領域に面した部分のみの吸引力を制御できるため、排除すべき被搬送物を的確に排除することが可能で、排除する被搬送物のロスを減少させることができる。
また、負圧制御ユニットによる負圧の制御のみで排除すべき被搬送物を的確に排除することができるため、簡単な設備で、従来の設備に対し導入が容易である。
さらに、本発明に係る搬送システムによれば、上流コンベアが、被搬送物の状態を検出する状態検出手段を有し、負圧制御ユニットが、状態検出手段の出力に応じて個別開口領域の負圧を個別に制御することにより、排除すべき被搬送物をさらに的確に排除することが可能となる。
【0009】
請求項2に係る構成によれば、負圧制御ユニットが、吸引ユニットの負圧空間内に配置されていることにより、従来の設備に対してスペースの増加はなく、従来の設備に対し導入がさらに容易である。
請求項3に係る構成によれば、負圧制御ユニットが、個別開口領域に対応した個別空間を形成する個別ボックスと、個別空間と前記負圧空間とを仕切るように個別ボックスに設けられたシャッター部材とを有することにより、シャッターの動作のみで負圧制御が可能で、さらに簡単な設備となる。
請求項4に係る構成によれば、シャッター部材が、ヒンジにより開閉可能に形成され、負圧制御ユニットが、シャッター部材を開閉する前記負圧空間内に配置されたアクチュエータを有することにより、さらに簡単な設備となる。
請求項5に係る構成によれば、個別開口領域が、吸引帯状体の幅方向に複数設けられていることにより、排除すべき被搬送物を幅方向で少数単位に区分でき、排除する被搬送物のロスをさらに減少させることができる。
【0010】
請求項6に係る構成によれば、被搬送物が缶体であり、上流コンベアおよび吸引搬送コンベアが、幅方向に複数の缶体を搬送可能に構成されていることにより、倒缶および周囲の缶体を排除する工程に使用でき、より好適には底筒状の缶体を洗浄、乾燥する工程に好適に使用することが可能となる。
請求項7に係る構成によれば、被搬送物が缶体であり、状態検出手段が、倒れた缶体を検出する倒缶検出手段であり、負圧制御ユニットが、倒れた缶体の周囲の所定の数の缶体が個別開口領域に到達した際に、当該個別開口領域の吸引を解除するように構成されていることにより、倒缶および周囲の缶体を排除する工程に使用でき、より好適には底筒状の缶体を洗浄、乾燥する工程で倒缶周囲の缶体を確実に排除することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る搬送システムの概略説明図。
図2】本発明の第1実施形態に係る搬送システムの斜視透視説明図。
図3】本発明の第1実施形態に係る吸引搬送コンベアの側面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る搬送システム10は、図1に概略で示すように、缶体の製造工程において、洗浄装置21に設けられた上流コンベア20と、その下流に設けられた吸引搬送コンベア100を有しており、被搬送物である有底筒状に加工された缶体Cを、上流コンベア20から乾燥装置31に設けられた下流コンベア30に連続的に移載しつつ、倒缶CTを落下させるように構成されている。
吸引搬送コンベア100は、図2、3に示すように、缶体Cの上部を吸引する搬送面を有する吸引帯状体110と、吸引帯状体110の搬送面の裏面から缶体Cを吸引する吸引ユニット120とを有している。
詳細に説明すると、吸引帯状体110は、網状のネットベルトや小穴が複数設けられたベルトで、搬送面側と裏面側が通気可能であり、吸引ユニット120が負圧により吸引帯状体110を通して缶体C内の空気を吸気することで、吸引帯状体110の搬送面は缶体Cの上部を吸着する。
また、上流コンベア20の洗浄装置21の下流側には、状態検出手段である倒缶CTを検知するための倒缶センサー40が設けられている。
吸引ユニット120は、吸引帯状体110の搬送面の裏面に対峙する開口面121と、開口面121から吸引帯状体110に対して負圧を与える負圧空間122を有している。
開口面121は複数の個別開口領域132を有し、個別開口領域132から吸引帯状体110に対して与える負圧は、負圧制御ユニット130によって、それぞれ独立して制御される。
【0013】
負圧制御ユニット130は、吸引ユニット120の負圧空間122内に配置されており、個別開口領域132に対応した個別空間133を形成する個別ボックス131と、個別空間133と負圧空間122とを仕切るように個別ボックス131に設けられたシャッター部材134と、シャッター部材134を開閉する流体圧シリンダからなるアクチュエータ136とを有している。
個別開口領域132は、吸引帯状体110の幅方向に複数設けられ、それぞれに対応して個別空間133を形成する個別ボックス131、シャッター部材134、アクチュエータ136が設けられている。
また、図3に示すように、上流端部側および下流端部側には、負圧空間122から独立した弱負圧空間140が設けられている。
これらは、吸引搬送コンベア100の入口および出口からの一定区間を静的に負圧空間122より弱い吸引力とすることで、缶体Cを円滑に移載するようにしたものである。
【0014】
個別ボックス131は、本実施形態では、幅方向に複数の個別開口領域132に対応した個別空間133を形成するように設けられており、それぞれに設けられたシャッター部材134は、ヒンジ135を中心に回動して開閉するように設けられている。
シャッター部材134は、負圧空間122内に配置されたアクチュエータ136によって開閉され、通常はシャッター部材134が開放した状態で個別空間133は負圧空間122と連通しており、開口面121は、個別開口領域132を含めてすべて同一の吸引力を吸引帯状体110に対して与える。
アクチュエータ136によってシャッター部材134が閉塞されると、閉塞された個別空間133には負圧が及ばなくなり、対応する個別開口領域132において、吸引帯状体110の吸引力が低下あるいは消失する。
なお、個別開口領域132および負圧制御ユニット130に係る構成を除いた部分は公知の構造でよいため、詳細な説明は省略する。
【0015】
以上のような本実施形態に係る搬送システム10の動作について説明する。
缶体Cは、多数が整列し、開口部を下に向けた状態で上流コンベア20によって洗浄装置21内を搬送される。
上流コンベア20の洗浄装置21の下流側には、倒缶CTを検知するための倒缶センサー40が配置されており、洗浄装置21から出てきた多数の缶体Cに対し、倒缶CTの有無とその位置が検出される。
上流コンベア20によって搬送された缶体Cは、整列した状態のまま、その下流の吸引搬送コンベア100に上部を吸引され、乾燥装置31に設けられた下流コンベア30に向けて連続的に搬送される。
【0016】
倒缶CTが存在した場合、倒缶CTは吸引搬送コンベア100には吸引されないため、上流コンベア20の最下流から下方に落下して排除される。
また、倒缶センサー40によって倒缶CTの位置が検出されているため、吸引搬送コンベア100によって搬送される缶体Cの内、倒缶CTが存在した位置の周囲の缶体Cが個別開口領域132に達したタイミングで、負圧制御ユニット130が作動して下方に落下して排除される。
作動する個別開口領域132は、幅方向の倒缶CTが存在した位置を中心に、薬液等が飛散、付着した虞がある缶体Cが確実に排除される最低限の数とすることで、排除する缶体Cのロスを少なくすることができる。
例えば、個別開口領域132同士の境界域近辺に倒缶CTが存在する場合は、当該境界域近辺の隣接する複数の個別開口領域132の負圧制御ユニットを作動させればよい。
また、稀に、倒缶CTが周囲の缶体Cに挟まり上流コンベア20の最下流から下方に落下しないことがあるが、本実施形態では、負圧制御ユニット130の作動で周囲の缶体Cを落下させる際に、倒缶CTも確実に落下する。
【0017】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態により限定されるものではない。
例えば、図示する実施形態では、個別開口領域132を幅方向に並べて設けているが、移送方向にも複数配置してもよい。
また、移送方向に異なる位置の個別開口領域132を千鳥状に配置してもよい。
また、シャッター部材134は、スライド式に開閉するものであってもよく、個別空間133と負圧空間122との連通、閉塞を行えるものであれば、シャッター部材134として開閉バルブ等の一般的な流体制御手段を用いてもよい。
さらに、個別開口領域132で缶体Cの吸着搬送と落下を制御できれば、個別空間133を形成する個別ボックス131は、吸引帯状体110の直上に極めて薄く形成されてもよく、シャッター部材134が直接吸引帯状体110に当接するものであってもよい。
逆に、個別空間133を形成する個別ボックス131は、負圧空間122全体のうちの個別開口領域132の上方を仕切り壁等で区分したものであってもよい。
【符号の説明】
【0018】
10 ・・・ 搬送システム
20 ・・・ 上流コンベア
21 ・・・ 洗浄装置
30 ・・・ 下流コンベア
31 ・・・ 乾燥装置
40 ・・・ 倒缶センサー(状態検出手段)
100 ・・・ 吸引搬送コンベア
110 ・・・ 吸引帯状体
120 ・・・ 吸引ユニット
121 ・・・ 開口面
122 ・・・ 負圧空間
130 ・・・ 負圧制御ユニット
131 ・・・ 個別ボックス
132 ・・・ 個別開口領域
133 ・・・ 個別空間
134 ・・・ シャッター部材
135 ・・・ ヒンジ
136 ・・・ アクチュエータ
140 ・・・ 弱負圧空間
C ・・・ 缶体(被搬送物)
CT ・・・ 倒缶
図1
図2
図3