(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カムの摺動部は、前記電磁ソレノイドが前記励磁状態にあるときに前記第2レバーの爪部が当接可能な第1面と、前記第1面よりも前記カムの回動方向下流側に配置される第2面とを有し、
前記第2面は、前記第1面よりも前記カムの回動軸線からの寸法が大きくなる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクラッチ装置。
前記電磁ソレノイドが前記励磁解除状態にあるとともに前記第2レバーの爪部が前記カムの前記係止部に係止している状態において前記電磁ソレノイドが前記励磁状態に切り替えられると、前記第1レバーが前記第2位置から前記第1位置へ変位して前記第1規制部と前記第2規制部とが当接し、前記第2レバーの爪部が前記カムの前記係合部との係合状態を解除する位置に変位する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のクラッチ装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0014】
[画像形成装置の全体構成]
図1に示す画像形成装置1は、本発明に係るクラッチ装置を備えた画像形成装置の一実施形態であり、筐体2と、用紙Sに画像を形成する画像形成部5と、用紙Sを画像形成部5に供給する給紙部3と、駆動源であるモータ11とを備えている。
【0015】
なお、以下の説明においては、
図1における右側を画像形成装置1の前側、
図1における左側を画像形成装置1の後側と規定し、
図1における紙面手前側を画像形成装置1の左側、
図1における紙面奥側を画像形成装置1の右側と規定する。また、
図1における上下方向を画像形成装置1の上下方向と規定する。
【0016】
筐体2は、略直方体形状に形成される箱体であり、給紙部3、画像形成部5、及び排紙部7を収容している。筐体2は、前面に開口する開口部2Aと、開口部2Aを開閉可能なマルチパーパストレイ(以降、MPトレイと記す)21とを備えている。また、筐体2の上面は上面カバー23により覆われている。
【0017】
MPトレイ21は、MPトレイ21の下端部に位置し左右方向へ水平に延出する回動軸21aを中心として回動可能に構成されている。MPトレイ21は、開口部2Aを閉塞する閉位置と、開口部2Aを開放する開位置との間で回動可能に構成されており、開位置にある状態では用紙Sを支持可能となっている。
上面カバー23には、前側から後側へ向かって下り傾斜するように凹む排紙トレイ23aが形成されている。
【0018】
給紙部3は、シートカセット31と、給紙ローラ32と、分離ローラ33と、分離パッド33aと、レジストローラ対35a、35bと、クラッチ装置8とを備えている。筐体2内には、シートカセット31から画像形成部5を経由して排紙トレイ23aへ至る搬送経路Pが構成されている。
【0019】
シートカセット31は、複数枚の用紙Sを積層状態で収容している。シートカセット31に収容される用紙Sは、給紙ローラ32により分離ローラ33側へ繰り出されるとともに、分離ローラ33及び分離パッド33aにより一枚ずつ分離されて搬送経路Pに送り出される。
【0020】
クラッチ装置8は、モータ11からの駆動力を給紙ローラ32および分離ローラ33に対して間欠的に伝達するものである。給紙ローラ32および分離ローラ33は、モータ11からの駆動力がクラッチ装置8を介して伝達された際に回転して、用紙Sを搬送経路Pに送り出す。
【0021】
搬送経路Pに送り出された用紙Sは、搬送経路Pにおける分離ローラ33よりも下流側に配置されるレジストローラ対35a、35bにより、画像形成部5に向けて搬送される。レジストローラ対35a、35bは、搬送される用紙Sの先端の移動を規制して一旦停止させた後、用紙Sを所定のタイミングにて画像形成ユニット5の転写位置に向けて搬送する。
【0022】
画像形成ユニット5はシートカセット31の上方に配置されており、供給ユニット3から搬送されてきた用紙Sの表面に画像を転写するプロセスカートリッジ50と、プロセスカートリッジ50の感光体ドラム54の表面を露光する露光ユニット56と、プロセスカートリッジ50により用紙Sに転写された画像を定着させる定着ユニット60とを備えている。
【0023】
プロセスカートリッジ50は、現像ローラ53と、感光体ドラム54と、転写ローラ55等とを備えている。
露光ユニット56は、レーザダイオード、ポリゴンミラー、レンズ、及び反射鏡等を備えており、画像形成装置1に入力された画像データに基づいてレーザ光を感光体ドラム54へ向けて照射することにより、感光体ドラム54の表面を露光する。
【0024】
感光体ドラム54は、現像ローラ53に隣接して配置されている。感光体ドラム54の表面は、図示しない帯電器により一様に正帯電された後、露光ユニット56により露光される。感光体ドラム54の露光された部分は他の部分よりも電位が低くなり、感光体ドラム54に画像データに基づく静電潜像が形成される。
そして、静電潜像が形成された感光体ドラム54の表面に、正に帯電されたトナーが現像ローラ53から供給されることにより、静電潜像が顕像化されて現像剤像となる。
【0025】
転写ローラ55は、感光体ドラム54に対向配置され、図示しないバイアス印加手段により負の転写バイアスが印加される。転写ローラ55の表面に転写バイアスがされている状態で、現像剤像が形成された感光体ドラム54と転写ローラ55との間(転写位置)で用紙Sを挟持しなから搬送することにより、感光体ドラム54の表面に形成された現像剤像が用紙Sの表面に転写される。
【0026】
定着ユニット60は、加熱ローラ61と加圧ローラ62とを備えている。加熱ローラ61は、モータ11からの駆動力により駆動されるとともに、図示しない電源から電力が供給されることで加熱される。加圧ローラ62は加熱ローラ61に対向配置されており、加熱ローラ61に密着して従動回転する。現像剤像が転写された用紙Sが定着ユニット60に搬送されてくると、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間で用紙Sを挟持しながら搬送し、用紙Sに現像剤像を定着させる。
【0027】
排出ユニット7は排出ローラ対71、71を備えており、定着ユニット60から搬送されてくる用紙Sを筐体2の外部へ向けて排出する。具体的には、定着ユニット60から搬送されてくる用紙Sを、排出ローラ対71、71により上面カバー23に形成される排紙トレイ23aに排出する。
【0028】
図2に示すように、用紙搬送装置4は筐体2の開口部2Aに配置されており、開位置にあるMPトレイ21に支持された用紙Sを画像形成部5へ向けて搬送可能に構成されている。用紙搬送装置4は、用紙Sを送り出す給紙ローラ41と、給紙ローラ41よりも用紙Sの搬送方向下流側に配置される分離ローラ42と、分離ローラ42に対向して配置される分離パッド43とを有している。給紙ローラ41および分離ローラ42は、モータ11からの駆動力により駆動される。
【0029】
MPトレイ21に支持された用紙Sは、給紙ローラ41により分離ローラ42側へ繰り出されるとともに、分離ローラ42及び分離パッド43により一枚ずつ分離されて搬送経路Pに送り出される。搬送経路Pに送り出された用紙Sは、レジストローラ対35a、35bにより画像形成部5に向けて搬送される。
【0030】
[クラッチ装置の第1実施形態]
次に、クラッチ装置8の第1実施形態について説明する。
図3に示すように、画像形成装置1は、モータ11からの駆動力により駆動される駆動ギア80と、駆動力を給紙ローラ32および分離ローラ33側に向けて出力する出力ギア84とを備えており、駆動ギア80と出力ギア84との間にクラッチ装置8が介装されている。クラッチ装置8は、駆動ギア80からの回転力を回転体である出力ギア84に間欠的に伝達するクラッチ装置である。出力ギア84に伝達された回転力は、さらに給紙ローラ32および分離ローラ33に伝達される。
【0031】
クラッチ装置8は、第1欠け歯ギア81と、第2欠け歯ギア82と、カム83と、第1レバー91と、第2レバー92と、第1付勢バネ93と、第2付勢バネ95と、電磁ソレノイド94とを備えている。
【0032】
第1欠け歯ギア81は、駆動ギア80と噛み合い可能な歯が設けられている第1ギア部81aと歯が設けられていない第1欠け歯部81bとを有している。第1欠け歯ギア81は、駆動ギア80と噛み合い可能な欠け歯ギアの一例である。
第1欠け歯ギア81の回転位置が、駆動ギア80の位置に第1ギア部81aがある回転位置であるときには、第1ギア部81aと駆動ギア80とが噛み合い、モータ11からの駆動力により駆動される駆動ギア80の回転力が第1欠け歯ギア81に伝達される。また、第1欠け歯ギア81の回転位置が、駆動ギア80の位置に第1欠け歯部81bがある回転位置であるときには、第1ギア部81aと駆動ギア80とは噛み合わず、駆動ギア80の回転力は第1欠け歯ギア81に伝達されない。
【0033】
第1欠け歯ギア81は、第1欠け歯ギア81と一体的に回転可能な駆動カム81cを有している。駆動カム81cは、図示せぬ付勢部材により第1欠け歯ギア81の回転方向(
図3(b)における時計回り方向)に付勢されている(
図3(b)において駆動カム81cに付された矢印参照)。
【0034】
第2欠け歯ギア82は、出力ギア84と噛み合い可能な歯が設けられている第2ギア部82aと歯が設けられていない第2欠け歯部82bとを有している。第2欠け歯ギア82は、第1欠け歯ギア81と一体的に回転可能に構成されている。従って、駆動ギア80の回転力が第1欠け歯ギア81に伝達されると、第1欠け歯ギア81と第2欠け歯ギア82とは一体的に回転する。
【0035】
第2欠け歯ギア82の回転位置が、出力ギア84の位置に第2ギア部82aがある回転位置であるときには、第2ギア部82aと出力ギア84とが噛み合い、第2欠け歯ギア82の回転力が出力ギア84に伝達される。また、第2欠け歯ギア82の回転位置が、出力ギア84の位置に第2欠け歯部82bがある回転位置であるときには、第2ギア部82aと出力ギア84とは噛み合わず、第2欠け歯ギア82の回転力は出力ギア84に伝達されない。
【0036】
電磁ソレノイド94は本体94aと本体94aから伸縮可能に突出するプランジャ94bとを有しており、励磁状態と励磁解除状態とを切替可能に構成されている。画像形成装置1は、電磁ソレノイド94の励磁状態と励磁解除状態との切り替えを制御する制御部12を有している。制御部12には電磁ソレノイド94が接続されている。
電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときには、本体94a内に発生する電磁力によりプランジャ94aが吸引されて、プランジャ94aが縮小する。一方、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあるときには、本体94a内に電磁力が発生せずにプランジャ94aが伸張する。プランジャ94aは第1レバー91と係合する係合部94cを有している。
【0037】
図3、
図4に示すように、カム83は、係止部83aと、離間面83bと、第1面83cと、第2面83dと、第3面83eとを有している。カム83は、回動軸線83pを中心として第1欠け歯ギア81および第2欠け歯ギア82と一体的に回動可能に構成されている。係止部83a、離間面83b、第1面83c、第2面83d、および第3面83eは、カム83のカム面である。
【0038】
離間面83bは係止部83aよりもカム83の回動方向下流側に配置されている。第1面83cは離間面83bよりもカム83の回動方向下流側に配置されている。第2面83dは第1面83cよりもカム83の回動方向下流側に配置されている。第3面83eは第2面83dよりもカム83の回動方向下流側に配置されている。
【0039】
第1面83cは、回動軸線83pから第1面83cまでの寸法Rbが、回動軸線83pから離間面83bまでの寸法Raよりも大きくなる位置に配置されている。第2面83dは、回動軸線83pから第2面83dまでの寸法Rcが、回動軸線83pから第1面83cまでの寸法Rbよりも大きくなる位置に配置されている。第3面83eは、第2面83dにおけるカム83の回動方向下流側端部からカム83の回動方向下流側へいくに従って、回動軸線83pから第3面83eまでの寸法Rdが漸減する傾斜面に形成されている。
【0040】
図5、
図6に示すように、第1レバー91は、支持軸90に回動可能に支持される支持部91bと、電磁ソレノイド94のプランジャ94bにおける係合部94cに係合可能な係合部91cと、第1規制部91dとを有しており、第1軸線91aを中心に揺動可能に構成されている。第1レバー91の揺動中心となる第1軸線91aと支持軸90の軸線90aとは、同軸上に配置されている。第1規制部91dは、支持部91bから半径方向外側へ向けて突出する突出片である。係合部91cおよび第1規制部91dは、支持部91bと一体的に回動可能である。係合部91cは、第1レバー91における電磁ソレノイド94との係合箇所である。
【0041】
第1レバー91は、電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときには第1位置(
図7に示す位置)に変位し、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあるときには第2位置(
図3に示す位置)に変位するように構成されている。
つまり、電磁ソレノイド94が励磁状態となってプランジャ94aが縮小すると、プランジャ94aの係合部94cと第1レバー91の係合部91cとが係合し、第1レバー91は係合部91cが本体94aに近接する方向へ回動して第1位置に変位する。
【0042】
また、第1レバー91の係合部91cと電磁ソレノイド94の本体94aとの間には、第2付勢バネ95が介装されている。第2付勢バネ95は圧縮バネにより構成されている。そして、電磁ソレノイド94が励磁解除状態となってプランジャ94aが伸張すると、第1レバー91は第2付勢バネ95の付勢力により係合部91cが本体94aから離間する方向に回動して第2位置に変位する。
第2付勢バネ95は、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあるときに第1レバー91を第2位置に変位させるバネ部材である。第2位置は、第2付勢バネ95の付勢力により本体94aから離間する方向へ回動する係合部91cがプランジャ94aの係合部94cと係合する位置である。
【0043】
第2レバー92は、支持軸90に回動可能に支持される支持部92bと、カム83の係止部83aに係止可能な爪部92cと、第2規制部92dとを有しており、第1軸線91aと平行な第2軸線92aを中心に揺動可能に構成されている。第2レバー92の揺動中心となる第2軸線92aと支持軸90の軸線90aとは、同軸上に配置されている。また、第2軸線92aと第1軸線91aとは同軸上に配置されている。
第2軸線92aと第1軸線91aとを同軸上に配置することで、第2レバー92と第1レバー91とを同じ支持軸90により支持することが可能となるため、クラッチ装置8を簡単な構造により構成することが可能となっている。
【0044】
第2規制部92dは、支持部92bから半径方向外側へ向けて突出する突出片である。
第2規制部92dは、第1レバー91の第1規制部91dと当接離間可能であり、第1規制部91dと当接したときに、第2レバー92の第1レバー91に対する第2規制部92dが第1規制部91dに当接する方向への変位を規制する。
【0045】
クラッチ装置8は第1付勢バネ93を有しており、第2レバー92は第1付勢バネ93により第1規制部91dと第2規制部92dとが当接する方向に付勢されている。第1付勢バネ93は、第1規制部91dと第2規制部92dとが当接する方向に第2レバー92を付勢するバネ部材である。第1付勢バネ93の付勢力は、第2付勢バネ95の付勢力よりも小さく構成されている。
【0046】
第1付勢バネ93は、第2レバー92における支持部92bと爪部92cとの間の部分と、筐体2におけるバネ支持部25との間に介装される引張バネにより構成されている。第1付勢バネ93は、第1レバー91と第2レバーとの間に介装されるトーションバネにて構成することも可能である。
【0047】
第2レバー92は、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあるときには、第1付勢バネ93の付勢力により爪部92cがカム83に近接する方向へ変位し、爪部92cがカム83の係止部83aと係止可能になっている。具体的には、
図3に示すように、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあるとともに、カム83の回動位置が、爪部92cの位置に係止部83aがある回転位置であるときに、爪部92cが係止部83aに係止する。
【0048】
一方、電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときには、第1レバー91が第1位置に変位して、第1規制部91dと第2規制部92dとが当接することにより、第2レバー92は、第1付勢バネ93の付勢力に抗して爪部92cがカム83から離間する方向へ変位するように構成されている。
【0049】
例えば、
図3に示すように、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあるとともに第2レバー92の爪部92cがカム83の係止部83aに係止している状態において電磁ソレノイド94が励磁状態に切り替えられると、
図7に示すように、第1レバー91が第2位置から第1位置へ変位して第1規制部91dと第2規制部92dとが当接する。これにより、第2レバー92は、爪部92cがカム83から離間して爪部92cと係止部83aとの係止状態が解除される位置まで変位する。
【0050】
このように、カム83の回動位置が、爪部92cの位置に係止部83aがある回転位置である場合、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあると、カム83の係止部83と第2レバー92の爪部92cとが係止し、電磁ソレノイド94が励磁状態にあると、カム83の係止部83と第2レバー92の爪部92cとの係止状態が解除される。
【0051】
また、クラッチ装置8においては、爪部92cが係止部83aに係止している状態で電磁ソレノイド94が励磁状態に切り替えられると、第1レバー91が第2位置から第1位置へ変位して第1規制部91dと第2規制部92dとが当接し、爪部92cが係止部83aとの係合状態を解除する位置に変位するように構成している。
【0052】
これにより、電磁ソレノイド94により揺動されるとともにカム83の係止部83aに係止するレバーを、電磁ソレノイド94と係合する第1レバー91と係止部83aに係止する爪部92cを有する第2レバー92とで構成した場合において、簡単な構成で、電磁ソレノイド94を励磁状態に切り替えた際に爪部92cと係止部83aとの係合状態を解除することが可能になっている。
【0053】
カム83の回動位置が、爪部92cの位置に離間面83bがある回転位置である場合、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあると、第2レバー92は第1付勢バネ93によってカム83に近接する方向へ付勢され、爪部92cが離間面83bに当接した状態となる。一方、
図8に示すように、電磁ソレノイド94が励磁状態にあると、第2レバー92が第1付勢バネ93の付勢力に抗してカム83から離間する方向へ変位して、爪部92cが離間面83bから離間した状態となる。
【0054】
カム83の回動位置が、爪部92cの位置に第1面83cがある回転位置である場合、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあると、第2レバー92は第1付勢バネ93によってカム83に近接する方向へ付勢され、爪部92cが第1面83cに当接した状態となる。一方、電磁ソレノイド94が励磁状態にあると、第2レバー92は第1付勢バネ93の付勢力に抗してカム83から離間する方向へ変位するが、回動軸線83pから第1面83cまでの寸法Rbは、回動軸線83pから離間面83bまでの寸法Raよりも大きく形成されており、爪部92cが第1面83cに当接した状態となる。
【0055】
カム83の回動位置が、爪部92cの位置に第2面83dがある回転位置である場合、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあると、第2レバー92は第1付勢バネ93によってカム83に近接する方向へ付勢され、爪部92cが第2面83dに当接した状態となる。一方、
図9に示すように、電磁ソレノイド94が励磁状態にあると、第2レバー92は第1付勢バネ93の付勢力に抗してカム83から離間する方向へ変位するが、回動軸線83pから第2面83dまでの寸法Rcは、回動軸線83pから第1面83cまでの寸法Rbよりも大きく形成されているため、爪部92cが第2面83dに当接した状態となる。
【0056】
この場合、爪部92cは、第2面83dによって、第2規制部92dを第1規制部91dから離間させるように第1付勢バネ93の付勢方向と反対方向に押圧された状態となる。つまり、カム83の第2面83dは、電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときに、第2レバー92の第2規制部92dを第1レバー91の第1規制部91dから離間させるように第1付勢バネ93の付勢方向と反対方向に第2レバー92の爪部92cを押圧するカム面の一例である。
【0057】
また、カム83の第1面83cおよび第2面83dは、電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときに、第2レバー92の爪部92cが当接する摺動部を構成している。つまり、電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときにカム93が回動すると、第2レバー92の爪部92cは、カム83の第1面83c上および第2面83d上を摺動することとなる。
【0058】
カム83の回動位置が、爪部92cの位置に第3面83eがある回転位置である場合、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあると、第2レバー92は第1付勢バネ93によってカム83に近接する方向へ付勢され、爪部92cが第3面83eに当接した状態となる。
【0059】
[クラッチ装置の動作]
次に、クラッチ装置8の動作について説明する。
図3に示すように、カム83の回動位置が、爪部92cの位置に係止部83aがある回転位置であるとともに、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にある場合、カム83の係止部83に第2レバー92の爪部92cが係止した状態となっている。この場合、カム83は第1欠け歯ギア81の駆動カム81cを付勢する付勢部材により回動方向(
図3(a)における反時計回り方向)に付勢されているが、爪部92cが係止部83に係止しているため、回動が規制されて停止している。
【0060】
係止部83に爪部92cが係止した状態では、第1欠け歯ギア81の回転位置は、駆動ギア80の位置に第1欠け歯部81bがある回転位置となっており、駆動ギア80の回転力は第1欠け歯ギア81に伝達されていない。
また、係止部83に爪部92cが係止した状態では、第2欠け歯ギア82の回転位置は、出力ギア84の位置に第2欠け歯部82bがある回転位置となっており、第2ギア部82aと出力ギア84とは噛み合っておらず、出力ギア84が停止した出力停止状態となっている。
【0061】
この状態から、電磁ソレノイド94が励磁状態に切り替えられると、
図7に示すように、第1レバー91が第2位置から第1位置へ変位して第1規制部91dと第2規制部92dとが当接する。これにより、第2レバー92は、爪部92cがカム83から離間する方向へ変位して、爪部92cと係止部83aとの係止状態が解除される。
電磁ソレノイド94が励磁状態に切り替えられて爪部92cと係止部83aとの係止状態が解除されるとカム83の回動が許容され、カム83は駆動カム81cを付勢する付勢部材の付勢力により回動を開始する。
【0062】
カム83が回動すると、第1欠け歯ギア81の回転位置が、駆動ギア80の位置に第1欠け歯部81bがある回転位置から、駆動ギア80の位置に第1ギア部81aがある回転位置に切り替わり、駆動ギア80と第1ギア部81aとが噛み合って、駆動ギア80の回転力が第1欠け歯ギア81に伝達される。つまり、第1欠け歯ギア81の駆動が、駆動カム81cを付勢する付勢部材による駆動から、駆動ギア80による駆動に切り替わる。
【0063】
その後、
図8に示すように、第1欠け歯ギア81と一体的に回転する第2欠け歯ギア82の回転位置が、出力ギア84の位置に第2欠け歯部82bがある回転位置から、出力ギア84の位置に第2ギア部82aがある回転位置に切り替わり、第2ギア部82aと出力ギア84とが噛み合う。第2ギア部82aと出力ギア84とが噛み合うことにより、第2欠け歯ギア82の回転力の出力ギア84への伝達が開始され、出力ギア84が回転する出力状態となる。
【0064】
図8に示すように、第2欠け歯ギア82の第2ギア部82aと出力ギア84とが噛み合いを開始した時点では、カム83の回動位置は、爪部92cの位置に離間面83bがある回転位置となっており、爪部92cと離間面83bとは離間している。
この状態からカム83がさらに回動すると、カム83の回動位置が、爪部92cの位置に第1面83cがある回転位置となり、爪部92cが第1面83cと当接する。
【0065】
この場合、離間面83bと第1面83cとは滑らかな曲面により接続されており、電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときに爪部92cが第1面83cと当接するため、爪部92cが第1面83cに当接する際に発生する衝突音が抑制される。特に、離間面83bと第1面83cとの境界部においては、カム83の回動軸線83pからカム面(離間面83bおよび第1面83c)までの寸法は、カム83の回動方向下流側へいくに従って漸増するように形成されているため、爪部92cが第1面83cに当接する際に発生する衝突音を効果的に低減することが可能となっている。
【0066】
爪部92cが第1面83cと当接している状態からカム83がさらに回動すると、
図9に示すように、カム83の回動位置が、爪部92cの位置に第2面83dがある回転位置となり、爪部92cが第2面83dと当接した状態となる。
この場合、第2面83dは、第1面83cよりもカム83の回動軸線83pからの寸法が大きくなる位置に配置されているため、第2レバー92の爪部92cは第2面83dによって第2規制部92dが第1規制部91dから離間するように第1付勢バネ93の付勢方向と反対方向に押圧され、第2レバー92はカム83から離間する方向へ変位する。
【0067】
従って、爪部92cが第2面83dに当接している状態では、爪部92cは第1付勢バネ93の付勢力により第2面83dに圧接された状態となっている。このため、爪部92cは第2面83dと当接している状態をより安定的に保持することが可能となっている。
【0068】
ただし、第1付勢バネ93の付勢力は第2付勢バネ95の付勢力よりも小さく構成されているため、爪部92cは第2面83dに過剰な圧力で当接することがなく、爪部92cの第2面83dに対する押圧力を小さく抑えて、第2面83dの摩耗を抑制することが可能となっている。
【0069】
このように、クラッチ装置8においては、第1付勢バネ93と第2付勢バネ95とを個別に設置しており、第1付勢バネ93の付勢力を第2付勢バネ95の付勢力よりも小さく構成することが可能であるため、カム83の摺動部である第1面83cおよび第2面83d等に当接する爪部92cのカム83に対する押圧力を小さくして、カム83の摩耗を抑制することが可能となっている。
【0070】
図10に示すように、クラッチ装置8においては、第2レバー92の爪部92cがカム83の第2面83dに当接しているときに、制御部12の制御により電磁ソレノイド94を励磁状態から励磁解除状態に切り替えるように構成している。
電磁ソレノイド94が励磁状態から励磁解除状態に切り替えられると、第1レバー91は第1位置から第2位置に変位し、第1規制部91dが第2規制部92dから離間する。
【0071】
電磁ソレノイド94が励磁状態から励磁解除状態に切り替えられて第1レバー91が第2位置に変位した状態においても、第2レバー92の爪部92cはカム83の第2面83dに当接した状態を保持する。
つまり、爪部92cは電磁ソレノイド94が励磁状態から励磁解除状態に切り替えられる以前に第2面83dに当接していて、電磁ソレノイド94が励磁状態から励磁解除状態に切り替えられた際に新たに第2面83dに当接することがないため、爪部92cが第2面83dに当接することにより生ずる衝突音を抑制することが可能となっている。
【0072】
また、第1付勢バネ93の付勢力は第2付勢バネ95の付勢力よりも小さく構成されているため、電磁ソレノイド94が励磁状態から励磁解除状態に切り替えられた際に、第1レバー91を第2付勢バネ95の付勢力によって確実に第2位置に変位させることが可能となっている。
【0073】
また、
図10に示すように、クラッチ装置8においては、第2レバー92における第2軸線92aから爪部92cまでの寸法L2が、第1レバー91の第1軸線91aから電磁ソレノイド94におけるプランジャ94aの係合部94cとの係合箇所までの寸法L1よりも大きくなるように構成されている。
これにより、第1付勢バネ93によりカム83に近接する方向へ付勢される第2レバー92の寸法L2を大きくすることができ、第2レバー92に作用する付勢トルクに起因する爪部92cのカム83に対する押圧力を小さくすることができ、カム83の摩耗を抑制することが可能となっている。
【0074】
爪部92cが第2面83dと当接している状態からカム83がさらに回動すると、カム83の回動位置は、爪部92cの位置に第3面83eがある回転位置となり、爪部92cが第3面83eと当接した状態となる。
爪部92cが第3面83eと当接した状態でカム83が回動すると、第3面83eはカム83の回動方向下流側へいくに従って、回動軸線83pから第3面83eまでの寸法Rdが小さくなる傾斜面に形成されているため、回動するカム83の第3面83eに爪部92cが摺接する第2レバー92は、第1付勢バネ93の付勢力により第2規制部92dと第1規制部91dとが近接する側に変位する。
【0075】
ただし、回動軸線83pから第3面83eまでの寸法Rdは、カム83の回動方向下流側へいくに従って漸減するように形成されているため、カム83が回動した際に、第2レバー92が第1規制部91dと第2規制部92dとが当接する方向へ急激に変位することがなく、第1規制部91dと第2規制部92dとが当接した際に衝突音が発生することを抑制可能となっている。
【0076】
なお、第3面83eに関して、「第2面83dからカム83の回動方向下流側へいくに従って、カム83の回動軸線83pからの寸法Rdが漸減する傾斜面」とは、「第2レバー92が第1付勢バネ93の付勢力により第1レバー91の第1規制部91dと第2レバー92の第2規制部92dとが当接する方向へ変位する速度よりも、カム83が回動する際に第3カム面93eに当接する第2レバー92が第1レバー91の第1規制部91dと第2レバー92の第2規制部92dとが当接する方向へ変位する速度の方が小さくなる傾斜度合を有する傾斜面」のことである。
【0077】
爪部92cが第3面83eに当接した状態でカム83が回動して、カム83の回動位置が、爪部92cの位置に第3面83eの回動方向下流側端部がある回転位置になると、第2欠け歯ギア82の回転位置が、出力ギア84の位置に第2ギア部82aがある回転位置から、出力ギア84の位置に第2欠け歯部82bがある回転位置に切り替わり、第2欠け歯ギア82の回転力の出力ギア84への伝達が停止される。
さらに、第1欠け歯ギア81の回転位置が、駆動ギア80の位置に第1ギア部81aがある回転位置から、駆動ギア80の位置に第1欠け歯部81bがある回転位置に切り替わり、駆動ギア80の回転力が第1欠け歯ギア81に伝達されなくなる。
【0078】
駆動ギア80の回転力が第1欠け歯ギア81に伝達されなくなると、カム83は駆動カム81cを付勢する付勢部材の付勢力により回動を継続する。
駆動カム81cを付勢する付勢部材により回動されるカム83は、
図3に示すように、爪部92cの位置に係止部83aがある回転位置に達し、爪部92cが係止部83aに係止することで回動を停止する。
【0079】
[クラッチ装置の第2実施形態]
クラッチ装置8は次のように構成することもできる。
図11に示すように、本実施形態のクラッチ装置108は、第1レバー191の揺動中心となる第1軸線191aと、第2レバー92の揺動中心となる第2軸線92aとが同軸上に配置されていない点が、第1実施形態にかかるクラッチ装置8と異なっている。
【0080】
クラッチ装置108の第1レバー191は、支持部191bと、係合部191cと、延出部191eと、第2レバー支持部191fと、第1規制部191dとを有しており、第1軸線191aを中心に揺動可能に構成されている。
【0081】
支持部191bは、支持軸90に回動可能に支持されている。係合部191cは、電磁ソレノイド94のプランジャ94bにおける係合部94cに係合可能である。延出部191eは、支持部191bから係合部191c側とは反対側に延出している。第2レバー支持部191fは、延出部191eに形成され第2レバー92を回動可能に支持している。第1規制部191dは、延出部191eから半径方向外側へ向けて突出する突出片である。係合部191c、延出部191e、第2レバー支持部191f、および第1規制部191dは、支持部191bと一体的に回動可能である。
【0082】
第2レバー92は、支持部92bが第2レバー支持部191fに回動可能に支持されることにより、第2軸線92aを中心に揺動可能となっている。
第1レバー191の支持部191bが支持される支持軸90の軸線90aと、第2レバー92の支持部92bが支持される第2レバー支持部191fの軸線とは、同一軸上に配置されていない。これにより、第1レバー191の第1軸線191aと第2レバー92の第2軸線92aとが、異なった軸線上に配置されている。
【0083】
第1レバー191の他の構成は、第1実施形態における第1レバー91と同様であるため、説明を省略する。第2レバー92の他の構成は、第1実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
また、クラッチ装置108の第1欠け歯ギア81、第2欠け歯ギア82、カム83、電磁ソレノイド94、第1付勢バネ93、および第2付勢バネ95の構成は、第1実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
本実施形態のように、第1レバー191の第1軸線191aと第2レバー92の第2軸線92aとが同軸上に配置されていない構成においても、第1実施形態の場合と同様に、第1付勢バネ93の付勢力を第2付勢バネ95の付勢力よりも小さく構成し、カム83の摺動部である第1面83cおよび第2面83d等に当接する爪部92cのカム83に対する押圧力を小さくして、カム83の摩耗を抑制することが可能である。
【0085】
[本実施形態おける効果]
本実施形態においては、画像形成装置1は以下のようなクラッチ装置8、108を備えている。
つまり、クラッチ装置8、108は、駆動ギア80からの回転力を回転体である出力ギア84に間欠的に伝達するクラッチ装置であって、第1欠け歯ギア81と、カム83と、電磁ソレノイド94と、第1レバー91、191と、第2レバー92と、第1付勢バネ93と、第2付勢バネ95とを備えている。
【0086】
第1欠け歯ギア81は、第1欠け歯部81bを有し駆動ギア80と噛み合い可能である。カム83は、係止部83aと摺動部である第1面83cおよび第2面83dとを有し、第1欠け歯ギア81と一体的に回動する。電磁ソレノイド94は、励磁状態と励磁解除状態とを切替可能である。第1レバー91、191は、電磁ソレノイド94と係合し第1軸線91a、191aを中心に揺動可能であり、電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときには第1位置に変位するとともに電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあるときには第2位置に変位し、第1規制部91d、191dを有する。第2レバー92は、電磁ソレノイド94が励磁解除状態のときにカム83の係止部83aと係止し電磁ソレノイド94が励磁状態のときに係止部83aから離間するとともにカム83の摺動部である第1面83cおよび第2面83dと摺動可能な爪部92cと、第1レバー91、191の第1規制部91d、191dと当接離間可能であり第1規制部91d、191dと当接したときに第1レバー91、191に対する第2レバー92の変位を規制する第2規制部92dとを有し、第1軸線91a、191aと平行な第2軸線92aを中心に揺動可能である。
【0087】
第1付勢バネ93は、第1レバー91、191の第1規制部91d、191dと第2レバー92の第2規制部92dとが当接する方向に第2レバー92を付勢する。第2付勢バネ95は、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあるときに第1レバー91、191を第2位置に変位させる。
そして、カム83の摺動部を構成する第2面83dは、電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときに第2レバー92の第2規制部92dを第1レバー91、191の第1規制部91d、191dから離間させるように第1付勢バネ93の付勢方向と反対方向に第2レバー92の爪部92cを押圧するカム面を形成する。
【0088】
このように、第1付勢バネ93と第2付勢バネ95とを個別に設置することにより、第1付勢バネ93の付勢力を第2付勢バネ95の付勢力よりも小さく構成し、カム83の摺動部である第1面83cおよび第2面83d等に当接する爪部92cのカム83に対する押圧力を小さくして、カム83の摩耗を抑制することが可能となる。
【0089】
また、第1付勢バネ93の付勢力は第2付勢バネ95の付勢力よりも小さい。
これにより、カム83の摺動部である第1面83cおよび第2面83d等に摺接する第2レバー92の爪部92cのカム83に対する押圧力を小さくして、カム83の摩耗を抑制することができる。
【0090】
また、第1レバー91の第1軸線91aと第2レバー92の第2軸線92aとは同軸上に配置されている。
これにより、第2レバー92と第1レバー91とを同じ支持軸90により支持することが可能となり、クラッチ装置8を簡単な構造により構成することが可能となる。
【0091】
また、カム83の摺動部は、電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときに第2レバー92の爪部92cが当接可能な第1面83cと、第1面83cよりもカム83の回動方向下流側に配置される第2面83dとを有し、第2面83dは、第1面83cよりもカム83の回動軸線83pからの寸法が大きくなる位置に配置されている。
これにより、電磁ソレノイド94が励磁状態にあるときに爪部92cが第1面83cと当接するため、爪部92cが第1面83cに当接する際に発生する衝突音を抑制できる。また、爪部92cが第2面83dと当接している状態をより安定的に保持することが可能となる。
【0092】
また、クラッチ装置8、108は、電磁ソレノイド94の励磁状態と励磁解除状態との切り替えを制御する制御部12を有し、制御部12は、第2レバー92の爪部92cがカム83の第2面83dに当接している状態において電磁ソレノイド94を励磁状態から励磁解除状態に切り替える。
これにより、爪部92cが第2面83dに当接している状態において電磁ソレノイド94が励磁状態から励磁解除状態に切り替えられるので、爪部92cが第2面83dに当接することにより生ずる衝突音を抑制することが可能となる。
【0093】
また、カム83は、第2面83dよりもカム83の回動方向下流側に配置される第3面83eを有し、第3面83eは、第2面83dからカム83の回動方向下流側へいくに従ってカム83の回動軸線83pからの寸法が漸減する傾斜面に形成されている。
これにより、カム83が回動した際に、第2レバー92が第1規制部91dと第2規制部92dとが当接する方向へ急激に変位することがなく、第1規制部91dと第2規制部92dとが当接した際に衝突音が発生することを抑制できる。
【0094】
また、電磁ソレノイド94が励磁解除状態にあるとともに第2レバー92の爪部92cがカム83の係止部83aに係止している状態において電磁ソレノイド94が励磁状態に切り替えられると、第1レバー91、191が第2位置から第1位置へ変位して第1規制部91d、191dと第2規制部92dとが当接し、第2レバー92の爪部92cがカム83の係合部83aとの係合状態を解除する位置に変位する。
これにより、電磁ソレノイド94により揺動されるとともにカム83の係止部83aに係止するレバーを、第1レバー91と第2レバー92とで構成した場合に、簡単な構成で、電磁ソレノイド94を励磁状態に切り替えた際に第2レバー92の爪部92cとカム83の係止部83aとの係合状態を解除することが可能になる。
【0095】
また、第2レバー92における第2軸線92aから爪部92cまでの寸法が、第1レバー91、191の第1軸線91a、191aから電磁ソレノイド94との係合箇所である係合部91c、191cまでの寸法よりも大きい。
これにより、第2レバー92の第2軸線92aから爪部92cまでの寸法L2を大きくすることができ、爪部92cのカム83に対する押圧力を小さくして、カム83の摩耗を抑制することが可能となる。
【0096】
なお、上記の実施形態においては、クラッチ装置を、画像形成装置の給紙部における給紙ローラおよび分離ローラに回転力を伝達するためのクラッチ装置に適用した構成について説明したが、本発明にかかるクラッチ装置はこれに限られるものではなく、たとえば画像形成装置のMPトレイに支持された用紙を搬送する用紙搬送装置における給紙ローラおよび分離ローラに回転力を伝達するためのクラッチ装置に適用することもできる。