(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに近接するように配置された第1及び第2の電極と、前記第1の電極に駆動電圧を供給可能なトランジスタと、を備える検出セルを複数有し、当該複数の検出セルが行方向及び列方向にマトリックス状に配置された基板と、
前記第1及び第2の電極と対向するように配置された第3の電極を備えるフィルムと、
前記基板と前記フィルムとを離間して配置するスペーサと、を備え、
前記各々の検出セルは、前記トランジスタが前記第1の電極に駆動電圧を供給している際に、前記フィルムが前記基板に近づく方向に変位して前記第3の電極が前記第1及び第2の電極に接触して前記第1の電極と前記第2の電極とが導通状態となることで圧力を検出するように構成されており、
前記各々のトランジスタは、同一行方向に配置された複数のトランジスタが同一のタイミングで駆動し、且つ列方向に配置された複数のトランジスタが順番に駆動するように構成されており、
前記第3の電極は、前記列方向に配置された複数の検出セルに渡ってライン状に伸びるように配置されている、
感圧センサ装置。
前記スペーサは、前記検出セルの行方向の両側に各々配置されており、且つ前記列方向に配置された複数の検出セルに渡ってライン状に伸びるように配置されている、請求項1に記載の感圧センサ装置。
前記複数のトランジスタは、前記基板の前記第1及び第2の電極が配置されている側の面と逆側の面に配置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の感圧センサ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる感圧センサ装置を示す上面図である。
図2は、実施の形態1にかかる感圧センサ装置が備える検出セルを示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態にかかる感圧センサ装置1は、複数の検出セル10が行方向及び列方向にマトリックス状に配置されている。
図1では、8行×10列の検出セル10を備える例を示しているが、本実施の形態にかかる感圧センサ装置1では、行方向および列方向に設ける検出セル10の数は任意に決定することができる。
【0014】
図2に示すように、検出セル10は、基板11上に形成されている。基板11は、プリント配線基板等のリジッド基板を用いて構成することができる。基板11の上面には、互いに近接するように配置された下部電極12、13(第1及び第2の電極)が配置されている。下部電極12、13の材料には、例えば銅やアルミニウムなどの金属材料や、カーボンブラックやグラファイトなどの炭素系材料を用いることができる。下部電極12、13は、例えば印刷工程を用いて基板11に形成してもよい。また、例えば、下部電極12、13を印刷したフィルムを基板11に貼り合わせて形成してもよい。下部電極12には、トランジスタ(
図7参照)を介して駆動電圧が供給される。
【0015】
基板11の上部にはフィルム15が配置されている。基板11とフィルム15との間にはスペーサ17が設けられている。スペーサ17は、検出セル10の行方向の両側(換言すると、下部電極12、13の両側)に各々配置されている。スペーサ17を設けることで、基板11とフィルム15とを離間して配置することができる。また、フィルム15の下面には上部電極14(第3の電極)が形成されている。上部電極14は、下部電極12、13と対向するように配置されている。
【0016】
図1に示すように、フィルム15は、基板11上に形成された複数の検出セル10を覆うように配置されている。また、上部電極14は、列方向に配置された複数の検出セル10に渡ってライン状に伸びるように配置されている。例えば、上部電極14は、フィルム15の下面に導電性のテープを貼り付けることで形成することができる。例えば、上部電極14には、アルミテープや銅テープを用いることができる。また、上部電極14は印刷工程を用いてフィルム15に形成してもよい。スペーサ17についても同様に、列方向に配置された複数の検出セル10に渡ってライン状に伸びるように配置してもよい。
【0017】
図3に示すように、本実施の形態にかかる感圧センサ装置1は、各々の検出セル10の上面に応力F1が印加された際に、上部電極14が下部電極12、13に接触することで圧力を検出するように構成されている。つまり、各々の検出セル10は、トランジスタが下部電極12に駆動電圧を供給している際に、フィルム15が基板11に近づく方向に変位して上部電極14が下部電極12、13に接触して下部電極12、13が導通状態となることで圧力を検出するように構成されている。
【0018】
また、本実施の形態にかかる感圧センサ装置を作製する際は、
図2に示すように、下部電極12、13が形成された基板11と上部電極14が形成されたフィルム15とを準備する。そして、スペーサ17を介して基板11とフィルム15とを貼り合わせる。このように、本実施の形態にかかる感圧センサ装置は、スペーサ17を介して基板11とフィルム15とを貼り合わせて作製することができるので、大面積の感圧センサ装置を安価かつ効率的に作製することができる。
【0019】
図4は、本実施の形態にかかる感圧センサ装置が備える下部電極の構成例を示す上面図である。本実施の形態にかかる感圧センサ装置1では、
図4に示すように櫛形電極を用いて下部電極12、13を構成してもよい。このように櫛形電極を用いた場合は、上部電極14と下部電極12、13とが一部において接触した場合であっても、下部電極12と下部電極13とが導通するので、感圧センサ装置の感度を高めることができる。
【0020】
図5は、本実施の形態にかかる感圧センサ装置の背面に保護基板を設けた構成例を示す断面図である。
図5に示すように、本実施の形態にかかる感圧センサ装置では、各々の検出セル10_1が備えるトランジスタ25が基板11の背面(基板11の下部電極12、13が配置されている側の面と逆側の面)に設けられている。このように基板11の背面にトランジスタ25を設けることで、基板11の表面を平坦にすることができる。よって、基板11にフィルム15を貼り合わせる際に、貼り合わせ加工が容易になる。また、トランジスタ25を基板11の背面に設けることで、フィルム15に応力が印加された際にこの応力がトランジスタに印加されることを抑制することができる。よって、トランジスタが破損することを抑制することができる。
【0021】
図5に示すように、基板11の背面には保護基板26が設けられている。保護基板26は基板11よりも軟らかい材料で構成されている。よって、基板11に保護基板26を貼り合わせた際に、トランジスタ25の周囲において保護基板26がトランジスタ25の形状にあわせて変形するので、トランジスタ25を取り囲むように保護基板26を配置することができる。したがって、保護基板26を用いてトランジスタ25を保護することができる。
【0022】
また、
図6に示すように、本実施の形態にかかる感圧センサ装置では、保護基板27のトランジスタ25と対応する位置に凹部28を形成してもよい。換言すると、保護基板27を平面視した際、保護基板27のトランジスタ25が配置されている位置と重畳する位置に凹部28を形成してもよい。このように、保護基板27に凹部28を形成することで、トランジスタ25と保護基板27とが干渉することを抑制することができる。この場合も、保護基板27は基板11よりも軟らかい材料を用いて構成してもよい。また、
図6に示す構成では凹部28を形成しているので、基板11と同様に硬い材料で保護基板27を構成してもよい。
【0023】
図7は、本実施の形態にかかる感圧センサ装置の回路図である。
図7に示すように、各々の検出セル10は、トランジスタTr、及び下部電極12、13を備える。なお、本明細書では、トランジスタを総称して示す場合、トランジスタTrと記載する。
【0024】
例えば、トランジスタTr11は、電源線DL1と下部電極12との間に接続されており、ゲートはゲート配線GL1に接続されている。他のトランジスタの接続についても同様である。電源線DL1〜DL10は、各々の検出セル10の下部電極12に駆動電圧を供給する。各々の電源線DL1〜DL10は電圧供給源(不図示)に接続されている。
【0025】
また、各々の検出配線SL1〜SL10は、同一列方向に配置された検出セル10が各々備える下部電極13を互いに接続している。各々の検出配線SL1〜SL10は、検出回路22に接続されている。
【0026】
ゲート配線GL1〜GL8は、同一行方向に配置された複数のトランジスタTrの各々のゲートに接続されている。例えば、ゲート配線GL1は1行目に配置されたトランジスタTr11〜Tr110のゲートに接続されている。また、ゲート配線GL2は2行目に配置されたトランジスタTr21〜Tr210のゲートに接続されている。他のゲート配線についても同様である。ゲート配線GL1〜GL8はシフトレジスタ21に接続されている。シフトレジスタ21は、各々のゲート配線GL1〜GL8にゲート駆動信号を供給する。
【0027】
シフトレジスタ21は、同一行方向に配置された複数のトランジスタが同一のタイミングで駆動し、且つ複数のトランジスタが列方向において順番に駆動するように、各々のゲート配線GL1〜GL8にゲート駆動信号を供給する。
【0028】
図8 は、本実施の形態にかかる感圧センサ装置の駆動波形を示すタイミングチャートである。シフトレジスタ21にはクロック信号CLKが供給されており、このクロック信号CLKに同期して、各々のゲート配線GL1〜GL8に順番にハイレベルのゲート駆動信号が供給される。
【0029】
具体的には、
図8に示すように、タイミングt1においてシフトレジスタ21からゲート配線GL1にハイレベルのゲート駆動信号が供給される。これにより、1行目のトランジスタTr11〜Tr110がオン状態となり、1行目の検出セル10の下部電極12に駆動電圧が供給される。これにより、1行目の検出セル10が活性状態となる。この状態で、検出セル10に応力F1が印加されて(
図3参照)、上部電極14が下部電極12、13に接触すると、下部電極12と下部電極13とが導通状態となり、押圧された検出セル10に対応する検出配線SL1〜SL10に駆動電圧が供給されて検出配線SL1〜SL10の電圧が上昇する。
【0030】
検出回路22は、検出配線SL1〜SL10の電圧と、シフトレジスタ21が駆動しているトランジスタTrに関する情報と、に基づいて圧力の検出を行う。つまり、検出回路22は、電圧が上昇した検出配線SL1〜SL10を特定することで、圧力を検出した検出セル10の列の位置を特定することができる。また、検出回路22は、このときシフトレジスタ21がハイレベルのゲート駆動信号を供給しているゲート配線GL1〜GL8の情報を取得することで、圧力を検出した検出セル10の行の位置を特定することができる。タイミングt1では、ゲート配線GL1にハイレベルのゲート駆動信号が供給されているので、1行目の検出セル10が特定される。このようにして、検出回路22は圧力を検出した検出セル10の位置を特定することができる。
【0031】
その後、
図8に示すタイミングt2において、シフトレジスタ21は、ゲート配線GL2にハイレベルのゲート駆動信号を供給する。これにより、2行目のトランジスタTr21〜Tr210がオン状態となり、2行目の検出セル10の下部電極12に駆動電圧が供給される。これにより、2行目の検出セル10が活性状態となる。
【0032】
以降、同様に、タイミングt3〜t8において、順番にゲート配線GL3〜GL8にハイレベルのゲート駆動信号が供給され、各々のタイミングで3〜8行目の検出セル10が活性状態となる。
【0033】
シフトレジスタ21は、ゲート配線GL8にハイレベルのゲート駆動信号を供給した後のタイミングt9において、再びゲート配線GL1にハイレベルのゲート駆動信号を供給する。これにより、再び1行目の検出セル10が活性状態となる。以降、同様に、シフトレジスタ21は、クロック信号CLKに同期して、各々のゲート配線GL1〜GL8に順番にハイレベルのゲート駆動信号を供給する。
【0034】
図9は、本実施の形態にかかる感圧センサ装置の検出動作を説明するための図である。
図9では、各々の検出セル10が人の足19_1、19_2を検出している例を示している。また、
図9では圧力を検出している検出セル10をハッチングで示している。以下、
図9を用いて、本実施の形態にかかる感圧センサ装置の検出動作について説明する。
【0035】
まず、ゲート配線GL1にハイレベルのゲート駆動信号が供給されると、1行目の全ての検出セル10が活性状態となる。
図9に示す場合は、1行目の全ての検出セル10に圧力が印加されていないため、1行目の検出セル10は圧力を検出しない。次に、ゲート配線GL2にハイレベルのゲート駆動信号が供給されると、2行目の全ての検出セル10が活性状態となる。このとき、2つの検出セル10に圧力が印加されているため、検出配線SL6、SL7の電圧が上昇し、圧力が検出される。次に、ゲート配線GL3にハイレベルのゲート駆動信号が供給されると、3行目の全ての検出セル10が活性状態となる。このとき、2つの検出セル10に圧力が印加されているため、検出配線SL6、SL7の電圧が上昇し、圧力が検出される。
【0036】
次に、ゲート配線GL4にハイレベルのゲート駆動信号が供給されると、4行目の全ての検出セル10が活性状態となる。このとき、3つの検出セル10に圧力が印加されているため、検出配線SL2、SL3、SL7の電圧が上昇し、圧力が検出される。次に、ゲート配線GL5にハイレベルのゲート駆動信号が供給されると、5行目の全ての検出セル10が活性状態となる。このとき、4つの検出セル10に圧力が印加されているため、検出配線SL2、SL3、SL6、SL7の電圧が上昇し、圧力が検出される。次に、ゲート配線GL6にハイレベルのゲート駆動信号が供給されると、6行目の全ての検出セル10が活性状態となる。このとき、1つの検出セル10に圧力が印加されているため、検出配線SL2の電圧が上昇し、圧力が検出される。次に、ゲート配線GL7にハイレベルのゲート駆動信号が供給されると、7行目の全ての検出セル10が活性状態となる。このとき、2つの検出セル10に圧力が印加されているため、検出配線SL2、SL3の電圧が上昇し、圧力が検出される。次に、ゲート配線GL8にハイレベルのゲート駆動信号が供給されると、8行目の全ての検出セル10が活性状態となる。
図9に示す場合は、8行目の検出セル10に圧力が印加されていないため、8行目の検出セル10は圧力を検出しない。
【0037】
以上の動作により、感圧センサ装置を用いて人の足19_1、19_2を検出することができる。
【0038】
図10は、本実施の形態にかかる感圧センサ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態にかかる感圧センサ装置1では、複数の検出セル10を備える検出セルアレイ50、及びシフトレジスタ21がセンサパネル100に設けられている。複数の検出セル10およびシフトレジスタ21は同一の基板に形成されていてもよく、また各々別々に形成されていてもよい。
【0039】
センサパネル100には、駆動回路31および検出回路22が接続されている。駆動回路31は、シフトレジスタ21にクロック信号CLKを供給する。また、検出回路22は、検出配線SL1〜SL10と接続されており、検出配線SL1〜SL10の電圧と、シフトレジスタ21が駆動しているトランジスタTrに関する情報(つまり、駆動回路31から取得した駆動情報)と、に基づいて圧力の検出を行う。例えば、駆動回路31および検出回路22は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)33を用いて構成することができる。
【0040】
処理回路34は、検出回路22で検出された検出結果を用いて、所定の処理を実施する。例えば、処理回路34は、検出回路22で検出された検出結果を用いて、人が歩いている方向や人数を求めることができる。処理回路34で処理された情報は、入出力ポートを介して他の電子機器に出力される。例えば、処理回路34をディスプレイに接続することで、ディスプレイに感圧センサ装置1の検出結果を表示することができる。
【0041】
また、処理回路34は、FPGA(33)のプログラムの書き換え等を行うことができる。例えば、ユーザは入出力ポートを介して、処理回路にプログラム書き換えの指示を出すことができる。処理回路34は、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いて構成することができる。
【0042】
なお、
図10では、駆動回路31、検出回路22、及び処理回路34を、センサパネル100と別に設けた構成例を示したが、本実施の形態にかかる感圧センサ装置1では、センサパネル100に駆動回路31、検出回路22、及び処理回路34を設けてもよい。
【0043】
「発明が解決しようとする課題」で説明したように、特許文献1に開示されている技術では、集積回路チップと対向する位置に導電シートが設けられている。この導電シートは、絶縁フィルムの裏面全体に導電膜を蒸着することで形成することができる。ここで、特許文献1に開示されている技術はサイズの小さい指紋センサに関する技術であるため、導電膜の面積が小さく、絶縁フィルムの裏面全体に蒸着を用いて容易に導電膜を形成することができる。
【0044】
しかしながら、指紋センサよりもサイズが大きい感圧センサ装置(例えば、床に設置する感圧センサ装置など)の場合は、感圧センサの面積が大きいため、蒸着を用いてフィルムに導電膜を形成することは困難である。また、サイズが大きい感圧センサ装置では、フィルムに電極を形成する際、マトリクス状に配置された複数の検出セルと対応する位置に位置決めをして電極を形成することが困難であるという問題があった。
【0045】
このような問題を解決するために、本実施の形態にかかる感圧センサ装置では、
図1に示したように、フィルム15に上部電極14を配置する際に、列方向に配置された複数の検出セル10に渡ってライン状に伸びるように上部電極14を配置している。よって、複数の検出セル10の各々に個別に上部電極を配置する必要がないので、フィルム15に上部電極14を配置する際の位置決めが容易になる。
【0046】
つまり、本実施の形態にかかる感圧センサ装置では、上部電極14を列方向に伸びるように構成しているので、フィルム15に上部電極14を配置する際に、上部電極14の列方向における位置決めが不要になる。よって、フィルム15に上部電極14を配置する際の位置決めが容易になる。
【0047】
また、本実施の形態にかかる感圧センサ装置では、上部電極14がライン状に伸びる方向を、複数のトランジスタが順番に駆動する方向と同一にしている。換言すると、上部電極14がライン状に伸びる方向と複数のトランジスタが同一のタイミングで駆動する方向とが交差するようにしている。これにより、同時に活性状態となっている検出セル10からみると、各々の上部電極14が物理的に分離しているように構成することができる。よって、上部電極14をライン状とすることによって生じる、隣接する検出セル10への影響を抑制することができる。
【0048】
また、本実施の形態にかかる感圧センサ装置1では、
図1に示したように、スペーサ17についても同様に、列方向に配置された複数の検出セル10に渡ってライン状に伸びるように配置している。このようにスペーサ17を配置することで、スペーサ17の列方向における位置決めが不要になる。よって、スペーサ17を配置する際の位置決めが容易になる。
【0049】
以上で説明した本実施の形態にかかる発明により、フィルムに電極を形成する際に電極の位置決めが容易な構造を備える感圧センサ装置を提供することができる。
【0050】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、実施の形態1で説明した感圧センサ装置を複数接続した感圧センサユニットについて説明する。
図11は、本実施の形態にかかる感圧センサユニットを示す上面図である。
【0051】
図11に示すように、本実施の形態にかかる感圧センサユニット2では、複数のセンサパネル100_1〜100_9が接続部材38を用いて接続されている。
図11に示す例では、9枚のセンサパネル100_1〜100_9を接続して、全体として矩形状のユニットを形成している例を示しているが、使用するセンサパネルの枚数や並べ方は任意に決定することができる。例えば、9枚のセンサパネル100_1〜100_9を
図14のように接続して感圧センサユニット3を構成してもよい。接続部材38は、各々のセンサパネル100_1〜100_9のシフトレジスタ21および検出配線SL1〜SL10(
図12参照)を電気的に接続する。
【0052】
各々のセンサパネル100_1〜100_9は、センサパネル100_1、センサパネル100_2、・・・、センサパネル100_9の順に接続部材38を用いて直列に接続されている。センサパネル100_1は、FPGA33(駆動回路31及び検出回路22。
図10参照)に接続されている。FPGA33は、処理回路34に接続されている。FPGA33は、各々のセンサパネル100_1〜100_9を駆動し、また、各々のセンサパネル100_1〜100_9における圧力を検出する。
【0053】
図12は、本実施の形態にかかる感圧センサユニットのシステム構成の一例を示すブロック図である。なお、
図12では、2つのセンサパネル100_1、100_2が接続されている場合を示すが、3つ以上のセンサパネルが接続される場合も同様である。
【0054】
図12に示すように、2つのセンサパネル100_1、100_2は互いに直列に接続されている。具体的には、センサパネル100_1のシフトレジスタ21_1とセンサパネル100_2のシフトレジスタ21_2は互いに直列に接続されている。また、センサパネル100_1のシフトレジスタ21_1とセンサパネル100_2のシフトレジスタ21_2には、駆動回路31から同一のクロック信号CLKが供給される。
【0055】
また、センサパネル100_1の検出配線SL1〜SL10とセンサパネル100_2の検出配線SL1〜SL10は、互いに対応するように直列に接続されている。また、センサパネル100_1の検出配線SL1〜SL10は検出回路22に接続されている。
【0056】
上述したように、センサパネル100_1のシフトレジスタ21_1とセンサパネル100_2のシフトレジスタ21_2は互いに直列に接続されている。よって、センサパネル100_1のシフトレジスタ21_1は、クロック信号CLKに同期して各々の検出セル10_1が備えるトランジスタを駆動する。その後、センサパネル100_2のシフトレジスタ21_2は、クロック信号CLKに同期して各々の検出セル10_2が備えるトランジスタを駆動する。
【0057】
図13は、本実施の形態にかかる感圧センサユニットの駆動波形を示すタイミングチャートである。シフトレジスタ21_1、21_2にはクロック信号CLKが供給されており、このクロック信号CLKに同期して、各々のゲート配線GL11〜GL18、GL21〜GL28に順番にハイレベルのゲート駆動信号を供給する。
【0058】
具体的には、
図13に示すように、タイミングt21においてセンサパネル100_1のシフトレジスタ21_1は、ゲート配線GL11にハイレベルのゲート駆動信号を供給する。これにより、
図12に示すセンサパネル100_1の1行目のトランジスタがオン状態となり、1行目の全ての検出セル10_1が活性状態となる。この状態で、任意の検出セル10_1に応力F1が印加されて(
図3参照)、上部電極14が下部電極12、13に接触すると、下部電極12と下部電極13とが導通状態となり、押圧された検出セル10_1に対応する検出配線SL1〜SL10に駆動電圧が供給されて検出配線SL1〜SL10の電圧が上昇する。
【0059】
図12に示す検出回路22は、検出配線SL1〜SL10の電圧と、シフトレジスタ21_1が駆動しているトランジスタTrに関する情報と、に基づいて圧力の検出を行う。つまり、検出回路22は、電圧が上昇した検出配線SL1〜SL10を特定することで、圧力を検出した検出セル10_1の列の位置を特定することができる。また、検出回路22は、このときシフトレジスタ21_1がハイレベルのゲート駆動信号を供給しているゲート配線の情報を取得することで、圧力を検出したセンサパネル100_1の検出セル10_1の行の位置を特定することができる。タイミングt21では、ゲート配線GL11にハイレベルのゲート駆動信号が供給されているので、1行目の検出セル10_1が特定される。このようにして、検出回路22は圧力を検出した検出セル10_1の位置を特定することができる。
【0060】
以降、同様に、シフトレジスタ21_1は、順番にゲート配線GL12〜GL18にハイレベルのゲート駆動信号を供給する。これにより、各々のタイミングでセンサパネル100_1の2〜8行目の検出セル10_1が活性状態となる。
【0061】
図13に示すように、センサパネル100_1のシフトレジスタ21_1がゲート配線GL18にハイレベルのゲート駆動信号を供給した後のタイミングt22において、センサパネル100_2のシフトレジスタ21_2は、ゲート配線GL21にハイレベルのゲート駆動信号を供給する。これにより、
図12に示すセンサパネル100_2の1行目のトランジスタがオン状態となり、1行目の検出セル10_2が活性状態となる。この状態で、検出セル10_2に応力F1が印加されて(
図3参照)、上部電極14が下部電極12、13に接触すると、下部電極12と下部電極13とが導通状態となり、検出配線SL1〜SL10に駆動電圧が供給されて検出配線SL1〜SL10の電圧が上昇する。
【0062】
図12に示す検出回路22は、検出配線SL1〜SL10の電圧と、シフトレジスタ21_2が駆動しているトランジスタTrに関する情報と、に基づいて圧力の検出を行う。つまり、検出回路22は、電圧が上昇した検出配線SL1〜SL10を特定することで、圧力を検出した検出セル10_2の列の位置を特定することができる。また、検出回路22は、このときシフトレジスタ21_2がハイレベルのゲート駆動信号を供給しているゲート配線の情報を取得することで、圧力を検出したセンサパネル100_2の検出セル10_2の行の位置を特定することができる。タイミングt22では、ゲート配線GL21にハイレベルのゲート駆動信号が供給されているので、1行目の検出セル10_2が特定される。このようにして、検出回路22は圧力を検出した検出セル10_2の位置を特定することができる。
【0063】
以降、同様に、シフトレジスタ21_2は、順番にゲート配線GL22〜GL28にハイレベルのゲート駆動信号を供給する。これにより、各々のタイミングでセンサパネル100_2の2〜8行目の検出セル10_2が活性状態となる。
【0064】
図13に示すように、センサパネル100_2のシフトレジスタ21_2がゲート配線GL28にハイレベルのゲート駆動信号を供給した後のタイミングt23において、センサパネル100_1のシフトレジスタ21_1は、再びゲート配線GL11にハイレベルのゲート駆動信号を供給する。これにより、再び、
図12に示すセンサパネル100_1の1行目の検出セル10_1が活性状態となる。以降、同様に、シフトレジスタ21_1、21_2は、クロック信号CLKに同期して、各々のゲート配線GL11〜GL18、GL21〜GL28に順番にハイレベルのゲート駆動信号を供給する。
【0065】
ここで、シフトレジスタ21_1、21_2が、各々のゲート配線GL11〜GL18、GL21〜GL28にハイレベルのゲート駆動信号を供給するタイミング、換言すると、シフトレジスタ21_1、21_2が、各々のゲート配線GL11〜GL18、GL21〜GL28を列方向に走査する速度は、シフトレジスタ21_1、21_2に供給するクロック信号CLKのクロック周波数を調整することで変更することができる。例えば、クロック周波数を高くすることで、シフトレジスタ21_1、21_2が、各々のゲート配線GL11〜GL18、GL21〜GL28を列方向に走査する速度を速くすることができる。逆に、クロック周波数を低くすることで、シフトレジスタ21_1、21_2が、各々のゲート配線GL11〜GL18、GL21〜GL28を列方向に走査する速度を遅くすることができる。
【0066】
本実施の形態にかかる感圧センサユニットでは、複数のセンサパネル100_1、100_2を直列に接続して構成しているため、1つのセンサパネルの中の1つの行に配置されている検出セル10のみが同時に活性状態となる。このため、複数のセンサパネル100_1、100_2の各々の検出セル10_1、10_2が活性状態となるタイミングは列方向においてずれてしまうが、シフトレジスタ21_1、21_2に供給するクロック信号CLKのクロック周波数を高くすることで、列方向における各々の検出セルが活性状態となるタイミングのずれを少なくすることができる。一方、クロック周波数を高くしすぎると、各々の検出セル10_1、10_2が活性状態となる期間が短くなり、各々の検出セル10_1、10_2の検出精度が低下するおそれがある。
【0067】
よって、本実施の形態かかる感圧センサユニットでは、各々のセンサパネル100が備えるシフトレジスタ21に供給するクロック信号のクロック周波数は、感圧センサユニットを構成するセンサパネルの枚数(センサパネルの面積)や各々の検出セル10の検出精度を考慮して決定する必要がある。例えば、感圧センサユニットを構成するセンサパネルの枚数(センサパネルの面積)が多い場合は、クロック周波数を高くすることで、列方向における各々の検出セル10が活性状態となるタイミングのずれを抑制することができる。
【0068】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。